衆議院

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第一六八回

衆第一八号

   臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案

 臓器の移植に関する法律(平成九年法律第百四号)の一部を次のように改正する。

 題名を次のように改める。

   臓器等の移植に関する法律

 題名の次に次の目次及び章名を付する。

目次

 第一章 総則(第一条−第五条)

 第二章 死体からの臓器等の摘出等(第六条−第十条)

 第三章 生体からの特定臓器の摘出等(第十条の二−第十条の五)

 第四章 臓器売買の禁止等(第十一条−第十七条)

 第五章 雑則(第十七条の二−第十九条)

 第六章 罰則(第二十条−第二十五条)

 附則

   第一章 総則

 第一条中「法律は」の下に「、臓器等の移植が人間の尊厳の保持及び人権の保障に重大な影響を与える可能性があることにかんがみ」を加え、「臓器の」を「臓器等の」に、「臓器を」を「臓器等を」に改め、「死体」の下に「又は生体」を加え、「臓器売買」を「臓器等の売買」に改める。

 第二条第一項中「臓器」を「臓器等」に改め、同条第二項中「臓器」を「臓器等」に改め、「提供は」の下に「、本人の十分な理解に基づき」を加え、同条第三項中「臓器」を「臓器等」に改め、同条第四項中「係る」の下に「死亡した者から提供された臓器等を使用した」を加える。

 第四条中「臓器」を「臓器等」に、「対し必要な」を「対し、移植術が当該移植術を受ける者の生命及び身体の機能に与える影響等について適切な」に改める。

 第五条中「(じん)(すい)2 この法律において「特定臓器」とは、臓器のうち、肺、肝臓、(すい)(じん)3 この法律において「組織」とは、人の心臓弁、(すい)4 この法律において「臓器等」とは、臓器及び組織をいう。

 第五条の次に次の章名を付する。

   第二章 死体からの臓器等の摘出等

 第六条の見出しを削り、同条の前に見出しとして「(臓器の摘出)」を付し、同条第一項中「を移植術」を「を臓器の移植術」に、「法律」を「章の規定」に改め、同条第二項中「全脳」を「脳全体のすべて」に、「停止する」を「喪失する」に改め、同条第三項中「当該者が第一項に規定する意思の表示に併せて前項による判定に従う意思を書面により表示している場合であって、その旨の告知を受けたその者の家族が当該判定を拒まないとき又は家族がないとき」を「次の各号のいずれにも該当する場合」に改め、同項に次の各号を加える。

 一 当該者が第一項に規定する意思の表示に併せて前項による判定に従う意思を書面により表示している場合であって、その旨の告知を受けたその者の家族が当該判定を拒まないとき又は家族がないとき。

 二 当該者が、脳の器質的な障害により、深(こん) 三 当該者について、脳の器質的な障害の原因となる疾患が確実に診断されていて、当該疾患に対して行い得るすべての適切な治療を行った上で回復の可能性がないと認められる場合

 四 その他厚生労働省令で定める場合

 第六条の次に次の三条を加える。

第六条の二 医師は、死亡した者が生存中に心臓弁、(すい) (組織の摘出)

第六条の三 医師は、死亡した者が生存中に組織(前条に規定するものを除く。以下この条において同じ。)を移植術に使用されるために提供する意思を書面により表示している場合であって、その旨の告知を受けた遺族が当該組織の摘出を拒まないとき又は遺族がないときは、この章の規定に基づき、移植術に使用されるための組織を、第六条第二項の脳死した者の身体以外の死体から摘出することができる。

 (臓器等の摘出及び移植術が行われる病院等)

第六条の四 前三条の規定による臓器等の摘出及び当該臓器等又は当該臓器に含まれる組織を使用した移植術は、厚生労働省令で定める基準を満たした病院又は診療所において行われるようにしなければならない。

 第七条の見出し中「臓器」を「臓器等」に改め、同条中「前条」を「第六条から第六条の三まで」に、「臓器」を「臓器等」に改め、「関する手続」の下に「(以下この条及び第十七条の三第一項において「検視等」という。)」を加え、「当該手続」を「当該検視等」に改める。

 第八条中「第六条」の下に「から第六条の三まで」を加え、「臓器」を「臓器等」に改める。

 第九条の見出し中「臓器」を「臓器等」に改め、同条中「第六条」の下に「から第六条の三まで」を加え、「臓器」を「臓器等」に改め、同条に次のただし書を加える。

  ただし、第十七条の四第一項の規定により研究に使用される場合は、この限りでない。

 第十条第一項中「同条」の下に「から第六条の三まで」を加え、「臓器」を「臓器等」に、「を使用した」を「若しくは当該臓器に含まれる組織を使用した」に改め、同条第二項中「五年間」を「二十年間」に改め、同条第三項中「臓器」を「臓器等」に改め、同条の次に次の一章及び章名を加える。

   第三章 生体からの特定臓器の摘出等

 (生命及び身体の安全の確保)

第十条の二 移植術に使用されるための特定臓器の生体からの摘出に当たっては、当該特定臓器が摘出されることとなる者の生命及び身体の安全が最大限確保されなければならない。

 (特定臓器の摘出等)

第十条の三 医師は、第五条第二項の厚生労働省令で定める内臓又は(じん)2 前項の承認は、同項の病院又は診療所が、厚生労働省令で定めるところにより、次の各号のいずれにも該当することを確認した場合に限り行うことができる。

 一 特定臓器が摘出されることとなる者が当該移植対象者の親族であること。

 二 当該親族が特定臓器を当該移植対象者に対する移植術に使用されるために提供する意思を書面により表示していること(当該親族が二十歳に達した日後に当該意思の表示をした場合に限る。)。

 三 特定臓器の摘出が当該親族の生命及び身体の機能に重大な影響を与えるおそれがないとの判定が、これを的確に行うために必要な知識及び経験を有する二人以上の医師(当該承認がなされた場合に当該親族から特定臓器を摘出し、又は当該特定臓器若しくは当該特定臓器に含まれる組織を使用した移植術を行うこととなる医師を除く。)の判断の一致によって行われたこと。

 四 医師が、移植対象者の親族が第二号の意思を書面により表示するまでに、当該親族に対し、特定臓器の摘出が当該親族の生命及び身体の機能に与える影響その他の当該親族からの特定臓器の摘出及び当該特定臓器又は当該特定臓器に含まれる組織を使用した移植術に関する事項であって厚生労働省令で定める事項について、当該親族が十分理解できるように説明していること。

3 第一項の病院又は診療所において同項の承認の事務に従事する者であって厚生労働省令で定めるものは、同項の承認がされたときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該承認に係る事項が記載された書面を作成しなければならない。

4 第一項の承認に基づいて移植対象者の親族から特定臓器を摘出しようとする医師は、あらかじめ、当該親族に係る前項の書面の交付を受けなければならない。

5 第六条の四の規定は、第一項の規定により摘出された特定臓器又は当該特定臓器に含まれる組織を使用した移植術について準用する。

 (使用されなかった部分の特定臓器の処理)

第十条の四 病院又は診療所の管理者は、前条の規定により摘出された特定臓器であって移植術に使用されなかった部分の特定臓器を、厚生労働省令で定めるところにより処理しなければならない。

 (記録の作成、保存及び閲覧)

第十条の五 第十条の三第三項に規定する者は、同条第一項の承認が行われた場合には、厚生労働省令で定めるところにより、承認に関する記録を作成しなければならない。

2 医師は、第十条の三の規定による特定臓器の摘出又は当該特定臓器若しくは当該特定臓器に含まれる組織を使用した移植術(以下この項において「摘出等」という。)を行った場合には、厚生労働省令で定めるところにより、摘出等に関する記録を作成しなければならない。

3 第一項の記録は第十条の三第一項の病院又は診療所の管理者が、前項の記録は病院又は診療所に勤務する医師が作成した場合にあっては当該病院又は診療所の管理者が、病院又は診療所に勤務する医師以外の医師が作成した場合にあっては当該医師が、二十年間保存しなければならない。

4 第十条第三項の規定は、前項の規定により第一項又は第二項の記録を保存する者について準用する。この場合において、同条第三項中「臓器等」とあるのは「特定臓器」と、「遺族」とあるのは「者」と読み替えるものとする。

   第四章 臓器売買の禁止等

 第十一条の見出し中「臓器売買」を「臓器等の売買」に改め、同条中「臓器」を「臓器等」に改める。

 第十二条の見出し中「臓器」を「臓器等」に改め、同条第一項中「限る。)」の下に「若しくは移植術に使用されるための第六条の三に規定する組織(第六条第二項の脳死した者の身体以外の死体から摘出されるもの又は摘出されたものに限る。)」を加え、「その提供」を「それらの提供」に改め、「受けること」の下に「(この項に規定する臓器に含まれる第六条の二に規定する組織の提供を受けることを含む。)」を加え、「臓器の」を「臓器等の」に改め、同条第二項第二号中「臓器」を「臓器等」に改める。

 第十三条中「臓器あっせん機関」を「臓器等あっせん機関」に、「臓器の」を「臓器等の」に改める。

 第十四条、第十五条第一項、第十六条及び第十七条中「臓器あっせん機関」を「臓器等あっせん機関」に改め、同条の次に次の章名及び四条を加える。

   第五章 雑則

 (移植術を受けた者等の健康状態の把握)

第十七条の二 国は、第六条から第六条の三までの規定により摘出された臓器等若しくは当該臓器に含まれる組織又は第十条の三の規定により摘出された特定臓器若しくは当該特定臓器に含まれる組織を使用した移植術を受けた者及び同条の規定により特定臓器を摘出された者の適切な健康管理に資するため、これらの者の健康に関する情報に係るデータベースが整備されること等により、これらの者その他関係者がこれらの者の当該移植術後の健康状態及び当該摘出後の健康状態を的確に把握することができるよう必要な措置を講ずるものとする。

 (検証の実施)

第十七条の三 国は、この法律の規定による臓器等の移植に関し、臓器等を提供する意思表示の有効性、第六条第二項の脳死した者の身体から臓器の摘出が行われた場合における同項の判定の適正性及び同条第三項第一号の意思表示の有効性、同条から第六条の三までの規定により臓器等が摘出される前に検視等が行われた場合における当該検視等の適正性、移植術の必要性、移植術を受けた者及び特定臓器を摘出された者の当該移植術後及び摘出後の健康状態その他必要な事項の調査及び分析を通じて、適正な移植医療の確保を図るための検証を行うものとする。

2 前項の検証を行う機関の設置その他同項の検証に関し必要な事項については、別に法律で定める。

 (研究目的への転用等)

第十七条の四 医師その他の厚生労働省令で定める者は、死亡した者が生存中に第六条第一項、第六条の二又は第六条の三に規定する意思の表示に併せて死体から移植術に使用されるために摘出された臓器等であって移植術に使用されなかった部分の臓器等が研究のために使用されることを承諾する意思を書面により表示しているときは、厚生労働省令で定める要件を満たした施設において、当該施設の承認があった場合に限り、当該使用されなかった部分の臓器等を、疾病の予防、診断及び治療の方法の開発その他保健医療の向上に資する目的での研究に使用することができる。

2 前項の承認は、厚生労働省令で定めるところにより、行うものとする。

3 第六条から第六条の三までの規定による臓器等の摘出が行われた病院又は診療所の管理者は、当該摘出された臓器等であって移植術に使用されなかった部分の臓器等を、当該病院又は診療所以外の施設において行われようとする第一項の規定による研究のために引き渡すときは、あらかじめ、当該死亡した者について同項に規定する意思があったことその他厚生労働省令で定める事項について、厚生労働省令で定めるところにより行われる当該病院又は診療所の確認を受けなければならない。

4 第一項に規定する施設の管理者は、同項の規定による研究のために提供され、又は引き渡された臓器等であって不要となった部分の臓器等を、厚生労働省令で定めるところにより処理しなければならない。

 (研究用臓器等の引渡しに関する財産上の利益の収受等の禁止)

第十七条の五 何人も、移植術に使用されるために摘出された臓器等であって移植術に使用されなかった部分の臓器等のうち研究に使用されるためのもの(以下この条において「研究用臓器等」という。)を引き渡すこと又は引き渡したことの対価として、財産上の利益の供与を受けてはならない。

2 何人も、研究用臓器等の引渡しを受けること又は受けたことの対価として、財産上の利益を供与してはならない。

3 何人も、研究用臓器等を引き渡すこと又はその引渡しを受けることのあっせんをすること又はあっせんをしたことの対価として、財産上の利益の供与を受けてはならない。

4 何人も、研究用臓器等を引き渡すこと又はその引渡しを受けることのあっせんを受けること又はあっせんを受けたことの対価として、財産上の利益を供与してはならない。

5 前各項の対価には、交通、通信、研究用臓器等の保存若しくは移送又は研究等に要する費用であって、研究用臓器等を引き渡すこと若しくはその引渡しを受けること又はそれらのあっせんをすることに関して通常必要であると認められるものは、含まれない。

 第十九条の次に次の章名を付する。

   第六章 罰則

 第二十条の前の見出しを削る。

 第二十一条第一項中「第六条第五項」の下に「又は第十条の三第三項」を加え、同条第二項中「した者」の下に「又は第十条の三第四項の規定に違反して同条第三項の書面の交付を受けないで特定臓器の摘出をした者」を加える。

 第二十二条中「臓器」を「臓器等」に改め、同条の次に次の一条を加える。

第二十二条の二 第十七条の五第一項から第四項までの規定に違反した者は、百万円以下の罰金に処する。

 第二十三条第一項第一号中「第九条」の下に「、第十条の四又は第十七条の四第四項」を加え、同項第二号中「第十条第一項」の下に「若しくは第十条の五第一項若しくは第二項」を加え、「同条第二項」を「第十条第二項若しくは第十条の五第三項」に改める。

 第二十四条第一項中「、第二十二条及び前条」を「及び第二十二条から前条まで」に改める。

 附則第四条第一項中「第六条第一項」の下に「又は第六条の三」を加え、「同条第二項」を「第六条第二項」に改め、同条第二項中「中「前条」とあるのは「附則第四条第一項」と、第八条及び第九条中「第六条」を「から第九条までの規定中「第六条から第六条の三まで」に改め、「同条」の下に「から第六条の三まで」を、「附則第四条第一項の規定による」と」の下に「、第十七条の二中「第六条から第六条の三まで」とあるのは「附則第四条第一項」と、「若しくは当該臓器に含まれる組織又は第十条の三の規定により摘出された特定臓器若しくは当該特定臓器に含まれる組織を使用した移植術を受けた者及び同条の規定により特定臓器の摘出を受けた者」とあるのは「を使用した移植術を受けた者」と、「これらの者」とあるのは「その者」と、「当該移植術後の健康状態及び当該摘出後」とあるのは「当該移植術後」と、第十七条の三第一項中「第六条第二項の脳死した者の身体から臓器の摘出が行われた場合における同項の判定の適正性及び同条第三項第一号の意思表示の有効性、同条から第六条の三まで」とあるのは「附則第四条第一項」と、「及び特定臓器を摘出された者の当該移植術後及び摘出後」とあるのは「の当該移植術後」と」を加える。

 附則第七条中「第六条」の下に「又は第六条の三」を加え、「臓器」を「臓器等」に、「第九条」を「第九条本文」に改める。

 附則第八条中「第六条」の下に「又は第六条の三」を加え、「臓器」を「臓器等」に改める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を経過した日から施行する。

 (子どもについての臓器等の移植に関する制度に関する検討)

第二条 子どもについての臓器等(この法律による改正後の臓器等の移植に関する法律(以下「新法」という。)第五条第四項に規定する臓器等をいう。以下同じ。)の移植に関する制度については、臓器等の移植に関し子どもの自己決定及び親の関与が認められる範囲、子どもについての脳死判定基準並びに虐待を受けた子どもからの臓器等の摘出を防止するために有効な仕組みの在り方を含めて多様な分野の専門家その他広く国民の意見を求めつつ検討が加えられ、必要があると認められるときは、所要の措置が講ぜられるものとする。

2 前項の検討を行うに当たっては、児童の権利に関する条約の趣旨を踏まえ、子どもの人権の保障に配慮されなければならない。

 (臓器等を摘出しようとする場合における検視等の制度に関する検討)

第三条 新法第六条から第六条の三まで又は附則第四条第一項の規定により死体から臓器等が摘出されようとする場合において当該死体について新法第七条に規定する検視等が行われるときにおける当該死亡した者が死亡した原因、死亡した状況等の究明を適切に行う方策については、速やかに検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。

 (経過措置)

第四条 この法律の施行の際この法律による改正前の臓器の移植に関する法律(以下「旧法」という。)第六条第一項の規定により同条第二項の脳死した者の身体から臓器(旧法第五条に規定する臓器をいう。以下この条、附則第七条及び第八条において同じ。)の摘出に着手している場合における当該臓器の摘出、当該摘出に係る礼意の保持、当該摘出及び当該臓器を使用した移植術に関する記録の作成並びに死体から摘出された臓器のあっせんの許可については、なお従前の例による。

第五条 新法第六条第二項の規定は、この法律の施行後に終了する脳死した者の身体に係る判定から適用する。この場合において、この法律の施行前に着手した当該脳死した者の身体に係る判定に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

2 この法律の施行前に終了した旧法第六条第二項の判定が的確に行われたことを証する書面の作成及び当該判定に関する記録の作成については、なお従前の例による。

第六条 この法律の施行前に終了した旧法第六条第二項の判定に係る脳死した者の身体(以下「旧基準による脳死した者の身体」という。)からこの法律の施行後に臓器(新法第五条第一項に規定する臓器をいう。)の摘出に着手する場合における当該摘出、当該旧基準による脳死した者の身体からの臓器の摘出の制限、当該摘出に係る礼意の保持、当該摘出及び当該臓器に係る移植術に関する記録の作成並びに死体から摘出された臓器のあっせんの許可については、当該旧基準による脳死した者の身体を新法第六条第二項の脳死した者の身体とみなし、新法第六条第一項及び第六項、第七条、第八条、第十条第一項並びに第十二条の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)を適用する。この場合において、新法第六条第六項中「第二項の判定」とあるのは「臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律(平成十九年法律第▼▼▼号。以下「改正法」という。)による改正前の臓器の移植に関する法律(以下「旧法」という。)第六条第二項の判定」と、「前項の書面」とあるのは「旧法第六条第五項の書面(改正法附則第五条第二項の規定によりなお従前の例により作成された書面を含む。)」とする。

第七条 新法第九条及び第十七条の四の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)は、この法律の施行後に移植術に使用されるために死体(新法第六条第二項の脳死した者の身体(旧基準による脳死した者の身体を含む。)を含む。)からの摘出に着手した臓器等であって移植術に使用されなかった部分の臓器等について適用し、この法律の施行前に移植術に使用されるために死体(旧法第六条第二項の脳死した者の身体を含む。)からの摘出に着手した臓器であって移植術に使用されなかった部分の臓器のこの法律の施行後の処理については、なお従前の例による。

第八条 新法第十条第二項の規定(これに係る罰則を含む。)は、この法律の施行後に終了した新法第六条第二項の判定又はこの法律の施行後に着手した同条若しくは新法附則第四条第一項の規定による臓器等の摘出(附則第六条の規定により行われる旧基準による脳死した者の身体からの臓器等の摘出を含む。)若しくは当該臓器等を使用した移植術に関する記録の保存について適用し、この法律の施行前に終了した旧法第六条第二項の判定又はこの法律の施行前に着手した旧法第六条若しくは附則第四条第一項の規定による臓器の摘出(附則第四条の規定によりなお従前の例によることとされる臓器の摘出を含む。)若しくは当該臓器を使用した移植術に関する記録の保存については、なお従前の例による。

第九条 この法律の施行後に行われる旧基準による脳死した者の身体への処置については、当該旧基準による脳死した者の身体を新法第六条第二項の脳死した者の身体とみなし、新法附則第十一条の規定を適用する。

第十条 この法律の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

第十一条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、厚生労働省令で定める。

 (登録免許税法の一部改正)

第十二条 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。

  別表第一第七十五号中「行う臓器」を「行う臓器等」に、「臓器の移植に関する法律」を「臓器等の移植に関する法律」に改める。

 (組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部改正)

第十三条 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号)の一部を次のように改正する。

  別表第五十六号中「臓器の移植に関する法律」を「臓器等の移植に関する法律」に、「臓器売買」を「臓器等の売買」に改める。

 (厚生労働省設置法の一部改正)

第十四条 厚生労働省設置法(平成十一年法律第九十七号)の一部を次のように改正する。

  第四条第一項第二十号中「臓器」を「臓器等」に改める。

 


     理 由

 我が国では人の死を極めて慎重にかつ礼節をもって遇する伝統及び習慣があり、臓器の移植に関する法律の制定時においては脳死を人の死とはせずに臓器移植を認める法案も審議された経緯があったことを踏まえれば、脳死した者の身体をどのように取り扱うかについては十分な慎重さが求められるべきであること並びに現行法下における脳死の判定に関して疑義が生じていること、生体間の臓器の移植では移植対象者の親族が臓器提供を拒むことが困難な場合があること等を踏まえれば、臓器等の移植が人間の尊厳の保持及び人権の保障に重大な影響を与える可能性があることにかんがみ、脳死の判定の基準及びその手続の適正化を図り、並びに組織についての移植及び生体間の臓器の移植について必要な規制を定めるとともに、移植術を受けた者等の健康状態の把握に関する規定及び臓器等の移植に関する検証に関する規定を設ける等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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