第一六八回
参第九号
被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案
被災者生活再建支援法(平成十年法律第六十六号)の一部を次のように改正する。
第一条中「であって経済的理由等によって自立して生活を再建することが困難なもの」を削り、「自立した生活の開始を支援する」を「生活の再建を支援し、もって住民の生活の安定と被災地の速やかな復興に資する」に改める。
第二条第二号中「、その居住する住宅が全壊した世帯その他これに準ずる程度の被害を受けたと認められる世帯として政令で定める」を「被害を受けた世帯であって次に掲げる」に改め、同号に次のように加える。
イ 当該自然災害によりその居住する住宅が全壊した世帯
ロ 当該自然災害によりその居住する住宅が半壊し、又はその居住する住宅の敷地に被害が生じ、当該住宅の倒壊による危険を防止するため必要があること、当該住宅に居住するために必要な補修費等が著しく高額となることその他これらに準ずるやむを得ない事由により、当該住宅を解体し、又は解体されるに至った世帯
ハ 当該自然災害により火砕流等による被害が発生する危険な状況が継続することその他の事由により、その居住する住宅が居住不能のものとなり、かつ、その状態が長期にわたり継続することが見込まれる世帯
ニ 当該自然災害によりその居住する住宅が半壊し、基礎、基礎ぐい、壁、柱等であって構造耐力上主要な部分として政令で定めるものの補修を含む大規模な補修を行わなければ当該住宅に居住することが困難であると認められる世帯(ロ及びハに掲げる世帯を除く。次条において「大規模半壊世帯」という。)
第三条中「のうち次の各号に掲げるもの」を削り、「自立した生活を開始するために必要な経費として政令で定めるものに充てるものとして、当該各号に定める額を超えない額の」を「当該世帯主の申請に基づき、」に改め、同条各号を削り、同条に次の四項を加える。
2 被災世帯(被災世帯であって自然災害の発生時においてその属する者の数が一である世帯(第五項において「単数世帯」という。)を除く。以下この条において同じ。)の世帯主に対する支援金の額は、百万円(大規模半壊世帯にあっては、五十万円)に、当該被災世帯が次の各号に掲げる世帯であるときは、当該各号に定める額を加えた額とする。
一 その居住する住宅を建設し、又は購入する世帯 二百万円
二 その居住する住宅を補修する世帯 百万円
三 その居住する住宅(公営住宅法(昭和二十六年法律第百九十三号)第二条第二号に規定する公営住宅を除く。)を賃借する世帯 五十万円
3 前項の規定にかかわらず、被災世帯が、同一の自然災害により同項各号のうち二以上に該当するときの当該世帯の世帯主に対する支援金の額は、百万円(大規模半壊世帯にあっては、五十万円)に当該各号に定める額のうち最も高いものを加えた額とする。
4 前二項の規定にかかわらず、前条第二号ハに該当する被災世帯であって政令で定める世帯の世帯主に対する支援金の額は、三百万円を超えない範囲内で政令で定める額とする。
5 単数世帯の世帯主に対する支援金の額については、前三項の規定を準用する。この場合において、第二項及び第三項中「百万円」とあるのは「七十五万円」と、「五十万円」とあるのは「三十七万五千円」と、第二項中「二百万円」とあるのは「百五十万円」と、前項中「三百万円」とあるのは「二百二十五万円」と読み替えるものとする。
第五条中「額の算定基準」を「申請期間、支給方法」に改める。
第七条第一号中「第三条」を「第三条第一項」に改める。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(支援金の支給に関する経過措置)
第二条 この法律による改正後の被災者生活再建支援法(次条において「新法」という。)第三条第一項の規定は、この法律の公布の日(以下「公布日」という。)以後に生じた自然災害により被災世帯となった世帯の世帯主に対する支援金の支給について適用し、公布日前に生じた自然災害により被災世帯となった世帯の世帯主に対する支援金の支給については、なお従前の例による。
第三条 前条の規定にかかわらず、平成十九年能登半島地震による自然災害、平成十九年新潟県中越沖地震による自然災害、平成十九年台風第十一号及び前線による自然災害又は平成十九年台風第十二号による自然災害により被災世帯となった世帯の世帯主が公布日以後に申請を行った場合における支援金の支給については、新法第三条第一項の規定を適用する。この場合において、この法律による改正前の被災者生活再建支援法第三条の規定により、当該世帯主に対し、同一の自然災害について既に支援金が支給されているときは、同項の規定に基づき支給される支援金の額は、新法第三条第二項から第五項までの規定による支援金の額から、当該既に支給された支援金の額を減じた額とする。
(内閣府設置法の一部改正)
第四条 内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。
第四条第三項第十一号中「第三条」を「第三条第一項」に改める。
理 由
被災者の居住の安定の確保による生活の再建の支援等の充実を図るため、被災者生活再建支援金の支給について被災世帯の世帯主の年齢及び収入に係る要件を廃止し、被災者生活再建支援金の額について百万円に、居住する住宅を建設し、又は購入する世帯については二百万円、居住する住宅を補修する世帯については百万円、居住する住宅を賃借する世帯については五十万円を加えた額とする等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
この法律の施行に伴い必要となる経費
この法律の施行に伴い必要となる経費は、平年度約六億円の見込みである。