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第一七一回

衆第三〇号

   臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案

 臓器の移植に関する法律(平成九年法律第百四号)の一部を次のように改正する。

 第六条第一項中「場合」の下に「(当該意思の表示が十五歳に達した日後においてなされた場合に限る。)」を加え、同条第六項中「第二項」を「第三項」に改め、同項を同条第八項とし、同条第五項中「第二項」を「第三項」に改め、同項を同条第七項とし、同条第四項中「第二項」を「第三項」に改め、同項を同条第六項とし、同条第三項中「限り」を削り、同項を同条第四項とし、同項の次に次の一項を加える。

5 前項に規定する場合のほか、臓器の摘出に係る第三項の判定は、当該者が同項による判定が行われる時に十五歳未満である場合において、第一項に規定する意思がないことを表示しているとき以外のときであり、かつ、第三項による判定に従う意思がないことを表示しているとき以外のときであって、次の各号のいずれにも該当するときに、行うことができる。

 一 当該者の家族が当該判定を行うことを書面により承諾していること。

 二 当該判定が行われる病院又は診療所において、厚生労働省令で定めるところにより、当該者の家族に対する当該判定及び当該臓器の摘出に関し必要な事項についての説明が不適切であったこと、当該者に対するその家族による虐待が行われた疑いがあることその他の移植医療の適正を害するおそれのある事実として厚生労働省令で定める事実がない旨の確認がされていること。

 第六条第二項中「前項」を「第一項」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。

2 前項に規定する場合のほか、医師は、死亡した者がその死亡の当時十五歳未満である場合において、その生存中に前項に規定する意思がないことを表示しているとき以外のときであって、次の各号のいずれにも該当するときは、この法律に基づき、移植術に使用されるための臓器を、死体から摘出することができる。

 一 当該者の遺族が当該臓器の摘出について書面により承諾していること。

 二 当該臓器の摘出が行われる病院又は診療所において、厚生労働省令で定めるところにより、当該者の遺族に対する当該臓器の摘出に関し必要な事項についての説明が不適切であったこと、当該者に対するその遺族による虐待が行われた疑いがあることその他の移植医療の適正を害するおそれのある事実として厚生労働省令で定める事実がない旨の確認がされていること。

 第十条第一項中「第六条第二項」を「第六条第三項」に改める。

 第十七条の次に次の一条を加える。

 (移植医療に関する啓発等)

第十七条の二 国及び地方公共団体は、国民があらゆる機会を通じて移植医療に対する理解を深めることができるよう、移植術に使用されるための臓器を死亡した後に提供する意思の有無を運転免許証及び医療保険の被保険者証等に記載することができることとする等、移植医療に関する啓発及び知識の普及に必要な施策を講ずるものとする。

 第二十一条第一項中「第六条第五項」を「第六条第七項」に改め、同条第二項中「第六条第六項」を「第六条第八項」に、「同条第五項」を「同条第七項」に改める。

 附則第二条第三項中「第六条第二項」を「第六条第三項」に改める。

 附則第四条第一項中「第六条第一項」の下に「及び第二項」を、「より表示している場合」の下に「(当該意思の表示が十五歳に達した日後においてなされた場合に限る。)」を加え、「同条第二項」を「同条第三項」に改める。

 附則第十一条第一項中「第六条第二項」を「第六条第三項」に改める。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して一年を経過した日から施行する。

 (検討)

2 この法律による改正後の臓器の移植に関する法律(以下「新法」という。)による臓器の移植については、この法律の施行後三年を目途として、臓器の移植に関する国民の意識の変化を踏まえ、新法の施行の状況を勘案し、その全般について検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるべきものとする。


     理 由

 死亡した者がその死亡の当時十五歳未満である場合において、その生存中に臓器を移植術に使用されるために提供する意思がないことを表示しているとき以外のときであって、当該者の遺族が当該臓器の摘出について書面により承諾し、かつ、当該臓器の摘出が行われる病院又は診療所において、当該者の遺族に対する当該臓器の摘出に関し必要な事項についての説明が不適切であったこと等の事実がない旨の確認がされているときは、医師は、移植術に使用されるための臓器を死体から摘出することができることとするとともに、国及び地方公共団体は、移植医療に関する啓発及び知識の普及に必要な施策を講ずる等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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