衆議院

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第一七四回

衆第三一号

   自衛隊法の一部を改正する法律案

 自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)の一部を次のように改正する。

 第八十四条の三を次のように改める。

 (在外邦人等の避難措置)

第八十四条の三 外務大臣は、外国における災害、騒乱その他の緊急事態に際して、邦人の生命又は身体の保護のため必要があると認める場合には、内閣総理大臣に対し、当該邦人についてその避難のために必要な輸送及び当該輸送の際の警護(以下「避難措置」という。)の実施を要請することができる。この場合において、外務大臣は、当該緊急事態に際して生命又は身体の保護を要する外国人についても、内閣総理大臣に対し、当該避難措置の対象とすることを要請することができる。

2 内閣総理大臣は、前項前段の要請があつた場合には、部隊等に当該要請に係る邦人について避難措置の実施を命ずることができる。この場合において、内閣総理大臣は、同項後段の要請があつたときは、邦人の避難措置の実施に支障を生じない限度において、当該要請に係る外国人についても、当該避難措置の対象とすることができる。

3 内閣総理大臣は、前項の規定による避難措置の実施を命じた場合には、速やかに、当該避難措置の実施につき、国会の承認を求めなければならない。ただし、国会が閉会中の場合又は衆議院が解散されている場合には、その後最初に召集される国会において、速やかに、その承認を求めなければならない。

4 内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決があつたときは、速やかに、当該避難措置を終了させなければならない。

 第九十四条の五の見出し中「輸送」を「避難措置」に改め、同条中「第八十四条の三第一項に規定する外国において同項の輸送の職務に従事する」を「第一項の」に改め、「、当該輸送に用いる航空機若しくは船舶の所在する場所又はその保護の下に入つた当該輸送の対象である邦人若しくは外国人を当該航空機若しくは船舶まで誘導する経路においてその職務を行うに際し」を削り、「自己と共に当該輸送」を「当該避難措置」に、「又は当該」を「若しくは当該避難措置の対象である」に、「又は身体」を「若しくは身体」に、「やむを得ない必要がある」を「又は前二項の規定による権限の行使に対する抵抗の抑止のため必要である」に改め、同条を同条第三項とし、同項の前に次の二項を加える。

  第八十四条の三第二項の規定により避難措置の実施を命ぜられた部隊等の自衛官は、当該避難措置の対象である邦人又は外国人に対する暴行がまさに行われようとするのを認める場合であつて、急を要するときには、その行為を制止することができる。

2 前項の自衛官は、当該避難措置の実施に対して暴行又は脅迫による妨害が現に行われている場合には、その行為を制止することができる。

 第九十四条の五に次の二項を加える。

4 前項の規定により武器を使用する場合のほか、第一項の自衛官は、当該避難措置の対象である邦人又は外国人が暴行を受け、又は受けようとする明白な危険があり、武器を使用するほか、他にこれを排除する適当な手段がないと認める相当の理由があるときは、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。

5 第八十九条第二項の規定は、前二項の規定により自衛官が武器を使用する場合について準用する。

 第百条の六第一項第三号中「同項」を「同条第二項」に、「輸送」を「避難措置」に改める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から施行する。

 (経過措置)

第二条 この法律による改正後の自衛隊法(以下「新法」という。)第八十四条の三及び第九十四条の五の規定は、この法律の施行の日以後に新法第八十四条の三第一項前段の規定により要請された邦人等の避難措置及び当該避難措置の際の権限について適用し、同日前にこの法律による改正前の自衛隊法第八十四条の三第一項前段に規定する依頼があった邦人等の輸送及び当該輸送の際の権限については、なお従前の例による。

2 前項に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。


     理 由

 外国における災害、騒乱その他の緊急事態に際して、より広範に対応できるよう、生命又は身体の保護を要する邦人について、その避難のために必要な輸送及び輸送の際の警護並びにこれらの措置を実施する際の権限について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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