衆議院

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第一七四回

閣第四二号

   国際海陸一貫運送コンテナの自動車運送の安全確保に関する法律案

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 国際海陸一貫運送コンテナに関するコンテナ情報の伝達等(第三条−第十一条)

 第三章 不適切状態にある輸入海陸一貫運送コンテナの発見及び是正のための措置(第十二条−第十六条)

 第四章 貨物自動車運送事業者等の遵守事項等(第十七条−第二十二条)

 第五章 雑則(第二十三条−第二十七条)

 第六章 罰則(第二十八条−第三十三条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、国際海陸一貫運送コンテナの自動車運送が貨物の詰替えを行わずに行われる等の特殊性を有することにかんがみ、受荷主等、本邦発荷主、運送取次事業者、運送事業者等に対し、これを積載する貨物自動車の運転者に至るまでの一連のコンテナ情報の伝達を義務付けるとともに、不適切状態にある輸入海陸一貫運送コンテナを発見し、及びこれを是正するための措置、貨物自動車運送事業者等及び運転者が国際海陸一貫運送コンテナの自動車運送に関し遵守すべき事項等を定めることにより、国際海陸一貫運送コンテナの自動車運送の安全の確保を図ることを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「国際海陸一貫運送コンテナ」とは、輸入海陸一貫運送コンテナ及び輸出海陸一貫運送コンテナをいう。

2 この法律において「輸入海陸一貫運送コンテナ」とは、船舶を用いて本邦に輸入される貨物の運送に用いられるコンテナであって、本邦において、当該貨物の詰替えを行わずに貨物自動車(貨物の運送の用に供する道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第二条第二項に規定する自動車をいう。以下同じ。)を用いて運送されるもの(第十二条第一項に規定する確認是正措置が実施された後のものを含む。)をいう。

3 この法律において「輸出海陸一貫運送コンテナ」とは、船舶を用いて本邦から輸出される貨物の運送に用いられるコンテナであって、本邦において、当該貨物の詰込みを行った後、当該貨物の詰替えを行わずに貨物自動車を用いて運送されるものをいう。

4 この法律において「自動車運送」とは、本邦において、貨物自動車運送事業法(平成元年法律第八十三号。以下「事業法」という。)第二条第二項に規定する一般貨物自動車運送事業(第十三項において単に「一般貨物自動車運送事業」という。)、同条第三項に規定する特定貨物自動車運送事業(第十三項において単に「特定貨物自動車運送事業」という。)又は貨物利用運送事業法(平成元年法律第八十二号)第二条第八項に規定する第二種貨物利用運送事業(同項に規定する貨物の集配に係る部分に限る。)として行われる運送(同条第一項に規定する利用運送(以下単に「利用運送」という。)を除く。)をいう。

5 この法律において「受荷主等」とは、輸入海陸一貫運送コンテナの本邦における最終目的地において当該輸入海陸一貫運送コンテナの受取りを行う者(当該受取りが他人の委託により行われる場合その他の政令で定める特殊な態様により行われる場合にあっては、当該態様に応じて政令で定める者)をいう。

6 この法律において「外国発荷主」とは、輸入海陸一貫運送コンテナの出発地において当該輸入海陸一貫運送コンテナに詰められる貨物の詰込みを行う者(当該詰込みが他人の委託により行われる場合にあっては、当該委託の態様に応じて政令で定める者)をいう。

7 この法律において「本邦発荷主」とは、輸出海陸一貫運送コンテナの出発地において当該輸出海陸一貫運送コンテナに詰められる貨物の詰込みを行う者(当該詰込みが他人の委託により行われる場合にあっては、当該委託の態様に応じて政令で定める者)をいう。

8 この法律において「不適切状態」とは、国際海陸一貫運送コンテナを積載する貨物自動車が過積載(貨物自動車について、その最大積載量を超える積載がされている状態をいう。)又は偏荷重(貨物自動車の積載物の重心の位置に偏りがあるものとして国土交通省令で定める状態をいう。)となるような状態その他のその安全な自動車運送に支障を及ぼすおそれがあるものとして国土交通省令で定める国際海陸一貫運送コンテナの状態をいう。

9 この法律において「コンテナ情報」とは、次に掲げる情報をいう。

 一 国際海陸一貫運送コンテナの種類、型式、記号、番号及び自重

 二 国際海陸一貫運送コンテナに詰められる貨物の品目に関する情報として国土交通省令で定める情報

 三 前号の貨物の重量に関する情報として国土交通省令で定める情報

 四 第二号の貨物の積付けの状況に関する情報として国土交通省令で定める情報

 五 受荷主等又は本邦発荷主の氏名又は名称及び連絡先

 六 その他国際海陸一貫運送コンテナの自動車運送の安全の確保を図る上で重要なものとして国土交通省令で定める情報

10 この法律において「運送取次事業者」とは、運送取次ぎ(自己の名をもってする運送事業者の行う貨物の運送の取次ぎ若しくは他人の名をもってする運送事業者への貨物の運送の委託又はこれらの行為の委託(二以上の段階にわたる委託を含む。)であって、他人の需要に応じて行うものをいう。以下同じ。)を行う事業を経営する者をいう。

11 この法律において「運送事業者」とは、貨物利用運送事業者及び貨物自動車運送事業者をいう。

12 この法律において「貨物利用運送事業者」とは、貨物利用運送事業法第二条第六項に規定する貨物利用運送事業を経営する者をいう。

13 この法律において「貨物自動車運送事業者」とは、一般貨物自動車運送事業を経営する者及び特定貨物自動車運送事業を経営する者をいう。

14 この法律において「貨物自動車運送事業者等」とは、貨物自動車運送事業者及び特定第二種貨物利用運送事業者(事業法第三十七条第三項に規定する特定第二種貨物利用運送事業者をいう。第十九条第二項及び第二十一条第一項において同じ。)をいう。

15 この法律において「運転者」とは、貨物自動車運送事業者等がその事業の用に供する貨物自動車の運転者をいう。

16 この法律において「外航船舶運航事業者」とは、本邦の港と本邦以外の地域の港との間において行う海上運送法(昭和二十四年法律第百八十七号)第二条第二項に規定する船舶運航事業を経営する者をいう。

17 この法律において「コンテナ取扱港湾運送事業者」とは、港湾運送事業法(昭和二十六年法律第百六十一号)第三条第一号に規定する一般港湾運送事業(以下この項において単に「一般港湾運送事業」という。)又は同条第二号に規定する港湾荷役事業(以下この項において単に「港湾荷役事業」という。)を経営する者であって、コンテナ埠頭において同法第二条第一項第二号及び第四号に掲げる行為を行うもの(同条第四項に規定する港湾以外の港湾において一般港湾運送事業又は港湾荷役事業に相当する事業を経営する者であって、コンテナ埠頭においてこれらの行為に相当する行為を行うものを含む。)をいう。

   第二章 国際海陸一貫運送コンテナに関するコンテナ情報の伝達等

 (国際海陸一貫運送コンテナへの貨物の適切な積付け)

第三条 受荷主等は、輸入海陸一貫運送コンテナを積載する貨物自動車についての不適切状態の発生を防止するため、外国発荷主に対し、輸入海陸一貫運送コンテナに詰められる貨物について、国土交通省令で定める方法により積付けを行うことを求めなければならない。

2 本邦発荷主は、輸出海陸一貫運送コンテナを積載する貨物自動車についての不適切状態の発生を防止するため、国土交通省令で定める方法により輸出海陸一貫運送コンテナに詰められる貨物の積付けを行わなければならない。

 (受荷主等によるコンテナ情報の求め)

第四条 受荷主等は、外国発荷主に対し、国土交通省令で定めるところにより、輸入海陸一貫運送コンテナに関するコンテナ情報(第二条第九項第二号及び第五号に掲げる情報(次条第一項において「特定コンテナ情報」という。)を除く。次条第一項において同じ。)を伝達することを求めなければならない。

 (受荷主等によるコンテナ情報の伝達等)

第五条 受荷主等は、次の各号に掲げる場合には、輸入海陸一貫運送コンテナに関する特定コンテナ情報及び前条の求めにより輸入海陸一貫運送コンテナに関し取得したコンテナ情報を、当該各号に定める者に対し、国土交通省令で定めるところにより伝達しなければならない。

 一 自らが輸入海陸一貫運送コンテナの自動車運送に関し運送取次ぎを運送取次事業者に委託する場合 当該運送取次事業者

 二 自らが輸入海陸一貫運送コンテナの自動車運送に関し利用運送を運送事業者に委託する場合 当該運送事業者

 三 自らが輸入海陸一貫運送コンテナの自動車運送を貨物自動車運送事業者等に委託する場合 当該貨物自動車運送事業者等

 四 他の者(運送取次事業者を除く。)が輸入海陸一貫運送コンテナの自動車運送に関し運送取次ぎを運送取次事業者に委託する場合 当該他の者

 五 他の者(運送取次事業者及び運送事業者を除く。)が輸入海陸一貫運送コンテナの自動車運送に関し利用運送を運送事業者に委託する場合 当該他の者

 六 他の者(運送取次事業者及び運送事業者を除く。)が輸入海陸一貫運送コンテナの自動車運送を貨物自動車運送事業者等に委託する場合 当該他の者

2 次の各号に掲げる者は、その取得した輸入海陸一貫運送コンテナに関するコンテナ情報を、当該各号に定める者に対し、国土交通省令で定めるところにより伝達しなければならない。

 一 前項第四号に定める者 その委託する運送取次事業者

 二 前項第五号に定める者 その委託する運送事業者

 三 前項第六号に定める者 その委託する貨物自動車運送事業者等

 (本邦発荷主によるコンテナ情報の伝達等)

第六条 本邦発荷主は、次の各号に掲げる場合には、輸出海陸一貫運送コンテナに関するコンテナ情報を、当該各号に定める者に対し、国土交通省令で定めるところにより伝達しなければならない。

 一 自らが輸出海陸一貫運送コンテナの自動車運送に関し運送取次ぎを運送取次事業者に委託する場合 当該運送取次事業者

 二 自らが輸出海陸一貫運送コンテナの自動車運送に関し利用運送を運送事業者に委託する場合 当該運送事業者

 三 自らが輸出海陸一貫運送コンテナの自動車運送を貨物自動車運送事業者等に委託する場合 当該貨物自動車運送事業者等

 四 他の者(運送取次事業者を除く。)が輸出海陸一貫運送コンテナの自動車運送に関し運送取次ぎを運送取次事業者に委託する場合 当該他の者

 五 他の者(運送取次事業者及び運送事業者を除く。)が輸出海陸一貫運送コンテナの自動車運送に関し利用運送を運送事業者に委託する場合 当該他の者

 六 他の者(運送取次事業者及び運送事業者を除く。)が輸出海陸一貫運送コンテナの自動車運送を貨物自動車運送事業者等に委託する場合 当該他の者

2 次の各号に掲げる者は、その取得した輸出海陸一貫運送コンテナに関するコンテナ情報を、当該各号に定める者に対し、国土交通省令で定めるところにより伝達しなければならない。

 一 前項第四号に定める者 その委託する運送取次事業者

 二 前項第五号に定める者 その委託する運送事業者

 三 前項第六号に定める者 その委託する貨物自動車運送事業者等

 (運送取次事業者等によるコンテナ情報の伝達)

第七条 次の各号に掲げる者は、その取得した国際海陸一貫運送コンテナに関するコンテナ情報を、当該各号に定める者に対し、国土交通省令で定めるところにより伝達しなければならない。

 一 国際海陸一貫運送コンテナの自動車運送に関し運送取次ぎを他の運送取次事業者に委託する運送取次事業者 当該他の運送取次事業者

 二 国際海陸一貫運送コンテナの自動車運送に関し運送取次ぎを行う運送取次事業者(前号に掲げる者を除く。) その取り次ぎ、又は委託する運送を行う運送事業者

 三 国際海陸一貫運送コンテナの自動車運送に関し利用運送を行う運送事業者 その利用する運送を行う運送事業者

 四 国際海陸一貫運送コンテナの自動車運送を行う貨物自動車運送事業者等 当該国際海陸一貫運送コンテナを積載する貨物自動車の運転者

 (外航船舶運航事業者等の協力)

第八条 輸入海陸一貫運送コンテナの自動車運送を行う貨物自動車運送事業者等は、当該輸入海陸一貫運送コンテナに関するコンテナ情報のうち第五条若しくは前条の規定によっては取得することができなかったものがある場合又はこれらの規定により取得した当該輸入海陸一貫運送コンテナに関するコンテナ情報に誤りがあり、若しくはそのおそれがあると認めた場合には、当該輸入海陸一貫運送コンテナを取り扱う外航船舶運航事業者、コンテナ取扱港湾運送事業者その他の者に対し、当該輸入海陸一貫運送コンテナに関するコンテナ情報のうちこれらの者がその業務の実施に際して知り得たものを伝達するよう協力を求めるものとする。

2 前項の規定により協力を求められた者は、当該求めをした貨物自動車運送事業者等に対し、当該求めに係るコンテナ情報を速やかに伝達するよう努めるものとする。

 (輸入海陸一貫運送コンテナの重量の測定等)

第九条 受荷主等は、輸入海陸一貫運送コンテナに関する第二条第九項第三号に掲げる情報が第四条の求めによっては取得できなかった場合には、当該輸入海陸一貫運送コンテナの重量の測定及びこれに基づく当該情報の当該輸入海陸一貫運送コンテナを積載する貨物自動車の運転者への伝達について国土交通省令で定める措置を実施しなければならない。ただし、当該輸入海陸一貫運送コンテナの自動車運送を行う貨物自動車運送事業者等が第五条又は第七条の規定による伝達によらずに当該情報を取得した場合にあっては、この限りでない。

2 貨物自動車運送事業者等は、前項ただし書に規定する場合においては、受荷主等に対し、遅滞なく、その旨を通知しなければならない。

3 輸入海陸一貫運送コンテナの運送の用に供される岸壁その他の係留施設の存する港湾の港湾管理者(港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第二条第一項に規定する港湾管理者をいう。第十四条第一項において同じ。)は、当該港湾における輸入海陸一貫運送コンテナの取扱量、当該港湾における重量計(輸入海陸一貫運送コンテナの重量の測定の用に供する施設又は設備をいう。以下この項において同じ。)の設置状況その他の状況に照らし、当該港湾における輸入海陸一貫運送コンテナの円滑な取扱いを確保するため必要があると認めるときは、当該港湾において必要な重量計が確保されるよう重量計の整備について同法第三条の三第一項に規定する港湾計画その他の港湾の整備に関する計画に定めなければならない。

 (勧告及び命令)

第十条 国土交通大臣は、正当な理由がなくて前条第一項に規定する措置を実施しない受荷主等があるときは、当該受荷主等に対し、必要な措置をとるべきことを勧告することができる。

2 国土交通大臣は、前項の規定による勧告を受けた受荷主等が、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかったときは、当該受荷主等に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。

 (適用除外)

第十一条 この章の規定は、コンテナ情報を伝達しなくてもその安全の確保に支障を生ずるおそれがないものとして国土交通省令で定める国際海陸一貫運送コンテナの自動車運送については、適用しない。

   第三章 不適切状態にある輸入海陸一貫運送コンテナの発見及び是正のための措置

 (確認是正措置等)

第十二条 輸入海陸一貫運送コンテナの自動車運送を行う貨物自動車運送事業者等は、第五条若しくは第七条の規定により取得した当該輸入海陸一貫運送コンテナに関するコンテナ情報その他の情報により当該輸入海陸一貫運送コンテナが不適切状態にあることを知ったとき、又はこれらの情報若しくは当該輸入海陸一貫運送コンテナの状態により当該輸入海陸一貫運送コンテナが不適切状態にあるおそれがあると認めたときは、当該輸入海陸一貫運送コンテナについての不適切状態にあるかどうかの確認又は是正のための措置として国土交通省令で定めるもの(以下「確認是正措置」という。)を実施するよう、受荷主等に対して求めなければならない。ただし、当該貨物自動車運送事業者等の責めに帰すべき事由によって当該不適切状態が生じた場合は、この限りでない。

2 前項の規定による求めを受けた受荷主等は、当該輸入海陸一貫運送コンテナについて、確認是正措置を実施し、その結果を、国土交通省令で定めるところにより、同項の貨物自動車運送事業者等に通知しなければならない。

3 運送取次事業者、運送事業者、外航船舶運航事業者、コンテナ取扱港湾運送事業者、埠頭運営者(港湾法第五十条の四第二項又は第五十四条の三第二項の認定を受けた者及び特定外貿埠頭の管理運営に関する法律(昭和五十六年法律第二十八号)第三条第三項に規定する指定会社から同条第一項第二号イに規定する岸壁等の貸付けを受けた者をいう。第十四条第一項において同じ。)その他の輸入海陸一貫運送コンテナを取り扱う者は、受荷主等が実施する確認是正措置に必要な協力をするよう努めるものとする。

4 第一項の貨物自動車運送事業者等は、確認是正措置が実施されたことにより輸入海陸一貫運送コンテナが不適切状態でなくなった場合には、当該輸入海陸一貫運送コンテナを積載する貨物自動車の運転者に対し、当該確認是正措置が実施された後の当該輸入海陸一貫運送コンテナに関するコンテナ情報を伝達するものとする。

5 前項の規定によるコンテナ情報の伝達を行った貨物自動車運送事業者等は、当該伝達を行ったことをもって、第七条の規定によるコンテナ情報の伝達を行ったものとみなす。

 (指針)

第十三条 国土交通大臣は、輸入海陸一貫運送コンテナについて不適切状態で自動車運送が行われることを防止するため、不適切状態にある輸入海陸一貫運送コンテナの発見及び是正のための措置に関し、その適切かつ円滑な実施を図るために必要な指針を作成し、これを公表するものとする。

 (輸入海陸一貫運送コンテナ安全対策協議会)

第十四条 地方運輸局長、地方整備局長(北海道の区域にあっては、北海道開発局長)、港湾管理者、受荷主等、運送取次事業者、運送事業者、運転者の組織する団体、外航船舶運航事業者、コンテナ取扱港湾運送事業者及び埠頭運営者は、輸入海陸一貫運送コンテナの取卸しが行われる港湾又はコンテナ埠頭ごとに、次条第一項に規定する発見是正要領の作成、当該発見是正要領に定められた措置の実施に係る連絡調整その他の当該港湾又はコンテナ埠頭における不適切状態にある輸入海陸一貫運送コンテナの発見及び是正のための措置を講ずることによる輸入海陸一貫運送コンテナの自動車運送の安全の確保に関し必要な協議を行うための輸入海陸一貫運送コンテナ安全対策協議会(以下「協議会」という。)を組織することができる。

2 協議会は、必要があると認めるときは、次に掲げる者をその構成員として加えることができる。

 一 道路管理者(道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第十八条第一項に規定する道路管理者をいう。)

 二 都道府県公安委員会

 三 その他協議会が必要と認める者

3 前二項に定めるもののほか、協議会の運営に関し必要な事項は、協議会が定める。

 (発見是正要領の作成等)

第十五条 協議会は、第十三条に規定する指針に即し、かつ、当該協議会が組織された港湾又はコンテナ埠頭の実情に応じて、当該港湾又はコンテナ埠頭において不適切状態にある輸入海陸一貫運送コンテナを発見し、及びこれを是正するために関係者がとるべき措置の実施に関する要領(以下この条及び次条において「発見是正要領」という。)を作成することができる。

2 発見是正要領には、次に掲げる事項を定めるものとする。

 一 不適切状態にあるおそれがある輸入海陸一貫運送コンテナの取扱いに関する事項

 二 不適切状態にあることが判明した輸入海陸一貫運送コンテナの取扱いに関する事項

 三 不適切状態にある輸入海陸一貫運送コンテナの発見及び是正に関する関係者間の役割分担に関する事項

 四 不適切状態にある輸入海陸一貫運送コンテナの発見及び是正に関係する関係者間の連絡調整に関する事項

 五 その他不適切状態にある輸入海陸一貫運送コンテナの発見及び是正に関する事項

3 前項第三号に掲げる事項には、受荷主等以外の協議会の構成員を確認是正措置を実施すべき者として定めることができる。

4 協議会は、発見是正要領を作成したときは、遅滞なく、これを公表するとともに、国土交通大臣に送付しなければならない。

5 国土交通大臣は、前項の規定により発見是正要領の送付を受けたときは、協議会に対し、必要な助言をすることができる。

6 前二項の規定は、発見是正要領の変更について準用する。

 (発見是正要領に定められた措置の実施等)

第十六条 発見是正要領を作成した協議会の構成員は、当該発見是正要領に従い、不適切状態にある輸入海陸一貫運送コンテナの発見及び是正のための措置を実施しなければならない。

2 受荷主等が発見是正要領を作成した協議会の構成員である場合であって、当該発見是正要領に確認是正措置を実施すべき者として受荷主等以外の協議会の構成員が定められているときは、第十二条第一項中「受荷主等」とあるのは「第十五条第一項に規定する発見是正要領において確認是正措置を実施すべき者として定められた第十四条第一項に規定する協議会の構成員(当該貨物自動車運送事業者等を除く。)」と、同条第二項中「受荷主等」とあるのは「者」と、同条第三項中「受荷主等」とあるのは「第十五条第一項に規定する発見是正要領において確認是正措置を実施すべき者として定められた第十四条第一項に規定する協議会の構成員」とする。

3 協議会は、不適切状態にある輸入海陸一貫運送コンテナの発見及び是正のための措置を実施するために必要があると認めるときは、当該協議会の構成員以外の者に対し、発見是正要領に定められた措置の実施のために必要な協力を要請することができる。

   第四章 貨物自動車運送事業者等の遵守事項等

 (貨物自動車運送事業者等の遵守事項等)

第十七条 貨物自動車運送事業者等は、第五条から第七条までの規定により取得した国際海陸一貫運送コンテナに関するコンテナ情報その他の情報により当該国際海陸一貫運送コンテナが不適切状態にあることを知ったとき、又はこれらの情報若しくは国際海陸一貫運送コンテナの状態により当該国際海陸一貫運送コンテナが不適切状態にあるおそれがあると認めたときは、運転者に対し、当該国際海陸一貫運送コンテナを運送することを命じ、又は運転者が当該国際海陸一貫運送コンテナを運送することを容認してはならない。

2 他の貨物自動車運送事業者等が行う運送を利用して国際海陸一貫運送コンテナの運送を行う貨物自動車運送事業者等は、その利用する運送を行う貨物自動車運送事業者等が前項の規定を遵守することにより輸送の安全を確保することを阻害する行為をしてはならない。

3 貨物自動車運送事業者等は、国際海陸一貫運送コンテナを積載する貨物自動車を事業の用に供する場合には、当該貨物自動車の構造上の特殊性にかんがみ、国土交通省令で定めるところにより、運転者に対し、当該特殊性に関する知識及び当該特殊性を踏まえた運転技術を習得させるとともに、第二十条の規定により運転者が遵守すべき事項について、国土交通省令で定めるところにより、運転者に指導しなければならない。

 (輸送の安全確保の命令)

第十八条 国土交通大臣は、貨物自動車運送事業者等が、前条の規定を遵守していないため輸送の安全が確保されていないと認めるときは、当該貨物自動車運送事業者等に対し、その是正のために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

 (許可の取消し等)

第十九条 国土交通大臣は、貨物自動車運送事業者が第十七条の規定又は前条の規定による命令に違反したときは、六月以内において期間を定めて自動車その他の輸送施設の当該事業のための使用の停止若しくは事業の全部若しくは一部の停止を命じ、又は事業法第三条の許可を取り消すことができる。

2 国土交通大臣は、特定第二種貨物利用運送事業者が第十七条の規定又は前条の規定による命令に違反したときは、六月以内において期間を定めて自動車その他の輸送施設の当該事業のための使用の停止を命ずることができる。

3 事業法第三十四条の規定は、第一項の規定により事業用自動車の使用の停止又は事業の停止を命じた場合及び前項の規定により事業用自動車の使用の停止を命じた場合について準用する。

 (運転者の遵守事項)

第二十条 運転者は、貨物自動車に国際海陸一貫運送コンテナを積載したときは、当該国際海陸一貫運送コンテナの荷台への確実な固定、その取得したコンテナ情報を踏まえた安全な速度での運転その他の当該貨物自動車の運行の安全を確保するための国土交通省令で定める事項を遵守しなければならない。

 (委託受荷主等への勧告等)

第二十一条 国土交通大臣は、貨物自動車運送事業者等が第十七条第一項若しくは第二項の規定に違反したことにより第十八条の規定による命令をする場合又は貨物自動車運送事業者等が第十七条第一項若しくは第二項の規定若しくは第十八条の規定による命令に違反したことにより第十九条第一項若しくは第二項の規定による処分をする場合において、当該命令又は処分に係る違反行為が当該貨物自動車運送事業者等に自動車運送を委託した受荷主等、本邦発荷主、第五条第二項各号若しくは第六条第二項各号に掲げる者(第二十四条第一項及び第二項において「特定委託者」という。)、運送取次事業者又は貨物利用運送事業者(特定第二種貨物利用運送事業者を除く。以下この条において「委託受荷主等」という。)の指示に基づき行われたことが明らかであるときその他当該違反行為が主として委託受荷主等の行為に起因するものであると認められ、かつ、当該貨物自動車運送事業者等に対する命令又は処分のみによっては当該違反行為の再発を防止することが困難であると認められるときは、当該委託受荷主等に対しても、当該違反行為の再発の防止を図るため適当な措置をとるべきことを勧告することができる。

2 委託受荷主等は、前項の規定による勧告を受けた場合において、貨物自動車運送事業者等が国土交通大臣に対し当該勧告に係る違反行為の原因となった委託受荷主等の行為を知らせたことを理由として、当該貨物自動車運送事業者等に対して取引の数量の減少、取引の停止その他の不利益な取扱いをしてはならない。

3 国土交通大臣は、委託受荷主等が前項の不利益な取扱いをしていると認めるときは、当該委託受荷主等に対し、速やかにその不利益な取扱いをやめるべきことその他必要な措置をとるべきことを勧告することができる。

4 国土交通大臣は、第一項又は前項の規定による勧告をするときは、あらかじめ、当該勧告の対象となる委託受荷主等が行う事業を所管する大臣の意見を聴かなければならない。

 (地方貨物自動車運送適正化事業実施機関の事業の特例)

第二十二条 事業法第三十八条第一項に規定する地方貨物自動車運送適正化事業実施機関は、その同項に規定する区域において、事業法第三十九条各号に掲げる事業のほか、次に掲げる事業を行うものとする。

 一 この法律の遵守に関し貨物自動車運送事業者等に対する指導を行うこと。

 二 国土交通大臣がこの法律の施行のためにする措置に対して協力すること。

2 前項の規定により同項の地方貨物自動車運送適正化事業実施機関が行う同項各号に掲げる事業については、事業法第三十九条に規定する地方適正化事業とみなして、事業法の規定を適用する。

   第五章 雑則

 (国の援助)

第二十三条 国は、国際海陸一貫運送コンテナの自動車運送の安全の確保を図るために必要な資金の確保、技術的な助言その他の援助に努めるものとする。

 (報告の徴収及び立入検査)

第二十四条 国土交通大臣は、この法律の施行に必要な限度において、受荷主等、本邦発荷主、特定委託者、運送取次事業者又は運送事業者に対し、必要な報告をさせることができる。

2 国土交通大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、受荷主等、本邦発荷主、特定委託者、運送取次事業者又は運送事業者の事務所その他の事業場に立ち入り、業務の状況若しくは事業の用に供する施設、帳簿、書類その他の物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。

3 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

4 第二項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

 (経過措置)

第二十五条 この法律の規定に基づき政令又は国土交通省令を制定し、又は改廃する場合においては、それぞれ、政令又は国土交通省令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

 (権限の委任)

第二十六条 この法律に規定する国土交通大臣の権限は、国土交通省令で定めるところにより、地方運輸局長に委任することができる。

2 前項の規定により地方運輸局長に委任された権限は、国土交通省令で定めるところにより、運輸監理部長又は運輸支局長に委任することができる。

 (国土交通省令への委任)

第二十七条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、国土交通省令で定める。

   第六章 罰則

第二十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役若しくは百五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 一 第十九条第一項の規定による輸送施設の使用の停止又は事業の停止の命令に違反した者

 二 第十九条第二項の規定による輸送施設の使用の停止の命令に違反した者

第二十九条 第十八条の規定による命令に違反した者は、百万円以下の罰金に処する。

第三十条 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。

 一 第五条から第七条までの規定に違反して伝達をせず、又は虚偽の伝達をした者

 二 第十条第二項の規定による命令に違反した者

第三十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。

 一 第二十四条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

 二 第二十四条第二項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者

第三十二条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第二十八条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。

第三十三条 第四条の規定に違反した者は、三十万円以下の過料に処する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第九条第一項及び第二項、第十条並びに第三十条第二号並びに附則第三条の規定は、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (経過措置)

第二条 この法律の施行の際現に貨物の詰込みが完了している国際海陸一貫運送コンテナについては、第二章の規定は、適用しない。

第三条 第九条第一項及び第二項、第十条並びに第三十条第二号の規定は、次の各号に掲げる水域にある船舶から取卸しをされた輸入海陸一貫運送コンテナについて、当該各号に定める日から適用する。

 一 港則法(昭和二十三年法律第百七十四号)の適用がある港であって第九条第三項に規定する重量計の設置状況その他の状況を勘案して国土交通大臣が告示で指定するものの区域 公布の日から起算して五年を経過する日前において国土交通大臣が告示で指定する日(次項において「一部適用日」という。)

 二 前号の港の区域以外の水域 公布の日から起算して五年を経過した日

2 一部適用日は、前項の規定により一部適用日を指定する告示をした日から一月以上を経過した日でなければならない。

 (検討)

第四条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

 (貨物利用運送事業法の一部改正)

第五条 貨物利用運送事業法の一部を次のように改正する。

  第三十三条第三号中「含む。)」の下に「又は国際海陸一貫運送コンテナの自動車運送の安全確保に関する法律(平成二十二年法律第▼▼▼号)第十九条第一項若しくは第二項」を加える。


     理 由

 国際海陸一貫運送コンテナの自動車運送の安全を確保するため、受荷主等、本邦発荷主、運送取次事業者、運送事業者等に対し、これを積載する貨物自動車の運転者に至るまでの一連のコンテナ情報の伝達を義務付けるとともに、不適切状態にある輸入海陸一貫運送コンテナを発見し、及びこれを是正するための措置、貨物自動車運送事業者等及び運転者が国際海陸一貫運送コンテナの自動車運送に関し遵守すべき事項等について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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