衆議院

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第一七六回

参第四号

   郵政民営化の確実な推進のための日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律を廃止する等の法律案

 (趣旨)

第一条 この法律は、郵政民営化(郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)第一条に規定する郵政民営化をいう。以下同じ。)について平成二十一年十月二十日の閣議決定に基づく見直しに係る措置が講じられていること等により郵政民営化の進(ちょく) (日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律の廃止)

第二条 日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律は、廃止する。

 (平成二十一年十月二十日の閣議決定に基づく郵政民営化の見直しに係る措置等の中止)

第三条 政府は、郵政民営化について、平成二十一年十月二十日の閣議決定に基づく見直しの検討をせず、及び検討した結果に基づく措置を講じないものとする。

2 前項の規定は、郵政民営化の進捗状況について総合的な見直しを行うことを妨げるものではない。

 (日本郵政株式会社等の取締役の選任に関する配慮)

第四条 政府は、郵政民営化法第七条第二項に規定する移行期間(次項において単に「移行期間」という。)中において、日本郵政株式会社の取締役の選任に関し株主としての権利を行使するに当たっては、日本郵政株式会社等(日本郵政株式会社、郵便事業株式会社、郵便局株式会社、郵便貯金銀行(同法第九十四条に規定する郵便貯金銀行をいう。以下同じ。)及び郵便保険会社(同法第百二十六条に規定する郵便保険会社をいう。以下同じ。)をいう。次項において同じ。)の内部の人材が登用される場合(登用された者が再任される場合を含む。次項において同じ。)を除き民間企業において長期間の勤務の経験と優れた実績を有することを重視することにより、日本郵政株式会社について自主性、創造性及び効率性の高い経営を行う資質及び能力を有している者が選任されるよう特に配慮するものとする。

2 日本郵政株式会社は、移行期間中において、郵便事業株式会社又は郵便局株式会社の取締役の選任に関し株主としての権利を行使するに当たっては、日本郵政株式会社等の内部の人材が登用される場合を除き民間企業において長期間の勤務の経験と優れた実績を有することを重視することにより、郵便事業株式会社又は郵便局株式会社について自主性、創造性及び効率性の高い経営を行う資質及び能力を有している者が選任されるよう特に配慮するものとする。

3 前項の規定は、郵便貯金銀行又は郵便保険会社の取締役の選任について準用する。この場合において、同項中「移行期間中において」とあるのは、「郵便貯金銀行にあっては郵政民営化法第百四条に規定する郵便貯金銀行に係る特定日の前日までの間、郵便保険会社にあっては同法第百三十四条に規定する郵便保険会社に係る特定日の前日までの間」と読み替えるものとする。

 (郵便貯金銀行の株式の処分が開始されるまでの間の預入限度額等)

第五条 郵政民営化法第百七条第一号イの政令は、郵便貯金銀行の株式(同法第六十一条第一号に規定する株式をいう。次項において同じ。)の処分が開始されるまでの間、郵便貯金銀行の一の預金者等についての預入限度額(同法第百七条の規定により、郵便貯金銀行が、一の預金者等について、その額を超えることとなる預金等の受入れをしてはならないこととされている額をいう。以下この項において単に「預入限度額」という。)が、同法の施行の時における預入限度額を超えない額となるよう定めるものとする。

2 郵政民営化法第百三十七条第一号イ、第三号イ及び第四号イの政令は、郵便保険会社の株式の処分が開始されるまでの間、郵便保険会社の被保険者一人についての保険金額等の限度額(同条の規定により、郵便保険会社が、被保険者一人について、その額を超えることとなる保険の引受けを行ってはならないこととされている額をいう。以下この項において単に「保険金額等の限度額」という。)が、同法の施行の時における保険金額等の限度額を超えない額となるよう定めるものとする。

 (郵政民営化法の郵便貯金銀行等の業務に係る認可及び子会社保有に係る認可に関する規定の解釈)

第六条 郵政民営化法第百十条第五項及び第百十一条第四項の規定は、これらの規定に規定する認可に当たって、郵政事業(第二条の規定による廃止前の日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律第一条に規定する郵政事業をいう。)の今後の経営に重点を置いて考慮するものと解釈してはならない。

2 前項の規定は、郵政民営化法第百三十八条第四項及び第百三十九条第四項に規定する認可に当たってのこれらの規定の解釈について準用する。

 (郵便貯金銀行等の業務に係る検査及び監督に関する解釈)

第七条 郵政民営化法の規定は、同法第百四条に規定する郵便貯金銀行に係る特定日の前日までの間、郵便貯金銀行の業務(郵便局株式会社が営む業務に郵便貯金銀行の委託を受けて営む業務が含まれている場合にあっては、当該業務を含む。)に関する検査及び監督について、当該業務と同種の業務を営む事業者に対する検査及び監督とは異なる特別な配慮を認める趣旨のものと解釈してはならない。

2 前項の規定は、郵便保険会社の業務(郵便局株式会社が営む業務に郵便保険会社の委託を受けて営む業務が含まれている場合にあっては、当該業務を含む。)に関する検査及び監督について準用する。この場合において、同項中「同法第百四条に規定する郵便貯金銀行に係る特定日」とあるのは、「同法第百三十四条に規定する郵便保険会社に係る特定日」と読み替えるものとする。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から施行する。

 (この法律の失効)

2 この法律(次項の規定を除く。)は、平成二十九年九月三十日限り、その効力を失う。

 (罰則に関する経過措置)

3 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。


     理 由

 郵政民営化について平成二十一年十月二十日の閣議決定に基づく見直しに係る措置が講じられていること等により郵政民営化の進捗が滞る事態が生じていることにかんがみ、これを確実に推進するため、日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律を廃止するとともに、当該閣議決定に基づく郵政民営化の見直しに係る措置の中止等について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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