第一八〇回
衆第三五号
医薬品等行政評価・監視委員会設置法案
これまで、我が国においては、特定の血液凝固因子製剤にC型肝炎ウイルスが混入することによって不特定多数の者に感染被害を出した薬害肝炎事件をはじめ様々な薬害事件が起き、被害者及びその遺族の方々は、多大な苦痛を強いられてきた。こうした事件が繰り返されることのないよう、過去の教訓を踏まえ、信頼できる医薬品等行政を確立することは、国民全ての願いである。
また、最先端の医療技術の実用化等の推進が図られる中で、革新的な医薬品等を国民が安心して迅速に利用できるようにすることは、国の重要な責務である。
ここに、信頼できる医薬品等行政を確立するために必要な体制を構築することにより、医薬品等の安全性の確保を図るため、この法律を制定する。
(趣旨)
第一条 この法律は、医薬品等行政評価・監視委員会の設置及び組織等を定めるものとする。
(設置)
第二条 厚生労働省に、医薬品等行政評価・監視委員会(以下「委員会」という。)を置く。
(所掌事務)
第三条 委員会は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)第二条第一項に規定する医薬品、同条第二項に規定する医薬部外品、同条第三項に規定する化粧品及び同条第四項に規定する医療機器であって、専ら動物のために使用されることが目的とされているもの以外のもの(以下「医薬品等」という。)の安全性の確保のための施策の実施の状況を評価し、及び監視すること。
二 前号の規定による評価又は監視の結果、必要があると認めるときは、厚生労働大臣に対し、医薬品等の安全性の確保について、提言、勧告又は意見具申を行うこと。
三 厚生労働大臣に対し、前号の提言、勧告又は意見具申に基づき講じた措置について報告を求めること。
(職権の行使)
第四条 委員会の委員は、独立してその職権を行う。
(資料の提出要求等)
第五条 委員会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、報告を求めることができるほか、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。
(組織)
第六条 委員会は、委員十人以内で組織する。
2 委員会に、特別の事項を調査審議させるため必要があるときは、臨時委員を置くことができる。
3 委員会に、専門の事項を調査させるため必要があるときは、専門委員を置くことができる。
(委員等の任命)
第七条 委員及び臨時委員は、医薬品等の安全性の確保に関して優れた識見を有する者のうちから、厚生労働大臣が任命する。
2 専門委員は、当該専門の事項に関して優れた識見を有する者のうちから、厚生労働大臣が任命する。
(委員の任期等)
第八条 委員の任期は、二年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 臨時委員は、その者の任命に係る当該特別の事項に関する調査審議が終了したときは、解任されるものとする。
3 専門委員は、その者の任命に係る当該専門の事項に関する調査が終了したときは、解任されるものとする。
4 委員、臨時委員及び専門委員は、非常勤とする。
(委員長)
第九条 委員会に、委員長を置き、委員の互選により選任する。
2 委員長は、会務を総理し、委員会を代表する。
3 委員長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。
(政令への委任)
第十条 この法律に定めるもののほか、委員会に関し必要な事項は、政令で定める。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(検討)
第二条 政府は、この法律の施行後三年を目途として、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
(厚生労働省設置法の一部改正)
第三条 厚生労働省設置法(平成十一年法律第九十七号)の一部を次のように改正する。
第六条第二項中「肝炎対策推進協議会」を
「 |
肝炎対策推進協議会 |
|
|
医薬品等行政評価・監視委員会 |
」 |
に改める。
第十一条の四の次に次の一条を加える。
(医薬品等行政評価・監視委員会)
第十一条の五 医薬品等行政評価・監視委員会については、医薬品等行政評価・監視委員会設置法(平成二十四年法律第▼▼▼号。これに基づく命令を含む。)の定めるところによる。
理 由
信頼できる医薬品等行政を確立するために必要な体制を構築することにより、医薬品等の安全性の確保を図るため、厚生労働省に、医薬品等行政評価・監視委員会を設置する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
本案施行に要する経費
本案施行に要する経費としては、平年度約千万円の見込みである。