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第一八六回

参第二六号

   瀬戸内海環境保全特別措置法の一部を改正する法律案

 瀬戸内海環境保全特別措置法(昭和四十八年法律第百十号)の一部を次のように改正する。

 目次中「・第二条」を「−第二条の二」に、

第二節 富栄養化による被害の発生の防止(第十二条の四−第十二条の六)

第三節 自然海浜の保全等(第十二条の七−第十三条)

第四節 環境保全のための事業の促進等(第十四条−第十九条)

 

 

第二節 自然海浜の保全等(第十二条の四−第十三条)

第三節 環境保全のための事業の促進等(第十四条−第十九条の三)

 

に、「第二十条」を「第十九条の四」に改める。

 第一条中「法律は、」の下に「瀬戸内海の環境の保全に関する基本理念を定め、及び」を加え、「、富栄養化による被害の発生の防止」を削り、「保全等」を「保全、環境保全のための事業の促進等」に改める。

 第二条第一項各号を次のように改める。

 一 和歌山県紀伊日ノ御埼灯台から徳島県伊島及び前島を経て蒲生田岬灯台に至る直線

 二 愛媛県佐田岬灯台から大分県関埼灯台に至る直線

 三 山口県火ノ山下潮流信号所から福岡県門司埼灯台に至る直線

 第一章中第二条の次に次の一条を加える。

 (瀬戸内海の環境の保全に関する基本理念)

第二条の二 瀬戸内海の環境の保全は、瀬戸内海が、我が国のみならず世界においても比類のない美しさを誇り、かつ、その自然と人々の生活及び生業並びに地域のにぎわいとが調和した自然景観と文化的景観を併せ有する景勝の地として、また、国民にとつて貴重な漁業資源の宝庫として、その恵沢を国民がひとしく享受し、後代の国民に継承すべきものであることに鑑み、瀬戸内海を、人の活動が自然に対し適切に作用することを通じて、美しい景観が形成されていること、生物の多様性及び生産性が確保されていること等その有する多面的価値及び機能が最大限に発揮された豊かな海とすることを旨として、行わなければならない。

2 瀬戸内海の環境の保全に関する施策は、環境の保全上の支障を防止するための規制の措置のみならず、地域の多様な主体による取組を含め、藻場、干潟その他の沿岸域の良好な環境の保全、再生及び創出等の瀬戸内海を豊かな海とするための事業を推進するための措置を併せて講ずることにより、総合的かつ計画的に推進されるものとする。

3 瀬戸内海の環境の保全に関する施策は、瀬戸内海の湾、灘その他の海域によつてこれを取り巻く環境の状況等が異なることに鑑み、瀬戸内海の湾、灘その他の海域ごとの実情に応じて行われなければならない。

 第三条第一項中「瀬戸内海が、わが国のみならず世界においても比類のない美しさを誇る景勝地として、また、国民にとつて貴重な漁業資源の宝庫として、その恵沢を国民がひとしく享受し、後代の国民に継承すべきものであることにかんがみ」を「前条の基本理念にのつとり」に、「水質の保全、自然景観の保全」を「沿岸域の環境の保全、再生及び創出、水質の保全及び管理、自然景観及び文化的景観の保全、水産資源の持続的な利用の確保」に改め、同条中第三項を第四項とし、第二項を第三項とし、第一項の次に次の一項を加える。

2 政府は、瀬戸内海の環境の保全に関する施策の効果に関する評価を踏まえ、おおむね五年ごとに、基本計画に検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更しなければならない。

 第四条第一項中「関係府県知事は」の下に「、第二条の二の基本理念にのつとり、かつ」を加え、同条第五項中「前三項」を「第二項から前項まで」に改め、同項を同条第六項とし、同条中第二項から第四項までを一項ずつ繰り下げ、第一項の次に次の一項を加える。

2 関係府県知事は、府県計画を定めようとするときは、府県計画が関係のある瀬戸内海の湾、灘その他の海域の実情に応じたものとなるようにするため、あらかじめ、当該湾、灘その他の海域を単位として関係者により構成される協議会の意見を聴く等必要な措置を講ずるものとする。

 第四条の二に次の一項を加える。

2 国は、地方公共団体による前項の措置が円滑かつ着実に実施されるよう、地方公共団体に対し、必要な援助を行うように努めるものとする。

 第三章第二節を削る。

 第三章第三節中第十二条の七を第十二条の四とし、第十二条の八を第十二条の五とする。

 第十三条第一項中「第三条第一項」を「第二条の二第一項」に改める。

 第三章第三節を同章第二節とする。

 第十四条中「汚染」を「水質」に、「かんがみ」を「鑑み」に、「汚でい」を「汚泥」に改める。

 第十六条の次に次の一条を加える。

 (漂流ごみ等の除去等)

第十六条の二 国及び地方公共団体は、瀬戸内海の海域等において、漂流し、又は海底に存するごみその他の汚物又は不要物(以下この条において「漂流ごみ等」という。)に起因する瀬戸内海の環境の保全上の支障を防止するため、漂流ごみ等の除去その他の必要な措置を講ずるように努めるものとする。

 第三章第四節中第十九条の次に次の二条を加える。

 (有害動植物の駆除等)

第十九条の二 国及び地方公共団体は、瀬戸内海の海域における生物の多様性及び生産性の確保に支障を及ぼすおそれがある有害動植物について、駆除その他の必要な措置を講ずるように努めるものとする。

 (水産動物の種苗の放流等)

第十九条の三 国及び地方公共団体は、瀬戸内海の水産資源の持続的な利用の確保を図るため、水産動物の種苗の放流、水産動植物の繁殖地の保護及び整備その他の必要な措置を講ずるように努めるものとする。

 第三章第四節を同章第三節とする。

 第四章中第二十条の前に次の一条を加える。

 (瀬戸内海の環境の調査)

第十九条の四 環境大臣は、瀬戸内海における水質の状況その他の環境の状況について定期的に調査をし、その結果をこの法律の適正な運用に活用するものとする。

 第二十五条中「次の各号の一に該当する」を「第七条第二項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした」に改め、各号を削る。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、目次の改正規定(「・第二条」を「−第二条の二」に改める部分に限る。)、第一条の改正規定(「法律は、」の下に「瀬戸内海の環境の保全に関する基本理念を定め、及び」を加える部分に限る。)、第一章中第二条の次に一条を加える改正規定、第三条第一項の改正規定及び第十三条第一項の改正規定並びに附則第五項の規定は、公布の日から施行する。

 (検討)

2 政府は、瀬戸内海における栄養塩類の減少、偏在等の実態の調査、それが水産資源に与える影響に関する研究その他の瀬戸内海における栄養塩類の適切な管理に関する調査及び研究に努めるものとし、その成果を踏まえ、この法律の施行後五年を目途として、瀬戸内海における栄養塩類の管理の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

3 政府は、前項に定めるもののほか、この法律の施行後五年以内を目途として、この法律による改正後の瀬戸内海環境保全特別措置法(以下この項において「新法」という。)の施行の状況を勘案し、新法第五条第一項に規定する特定施設の設置の規制の在り方を含め、新法の規定について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

 (経過措置)

4 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

5 前項に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。


     理 由

 瀬戸内海の現状等に鑑み、瀬戸内海の環境の保全上有効な施策を一層推進するため、瀬戸内海の環境の保全に関する基本理念を定め、基本計画について記載事項の拡充及び定期的な見直しの明確化を図り、並びに府県計画の策定時における協議会の意見聴取等並びに基本計画及び府県計画の達成に必要な措置に係る地方公共団体への援助について定めるとともに、漂流ごみ等の除去、有害動植物の駆除、水産動物の種苗の放流、環境の調査等について定めるほか、栄養塩類の管理の在り方に関する検討及び特定施設の規制の在り方を含めた新法の規定に関する検討について定める等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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