衆議院

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第一八七回

衆第一八号

   電気事業法等の一部を改正する法律案

 (電気事業法の一部改正)

第一条 電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)の一部を次のように改正する。

  目次中「第五節 承継(第五十五条の二)」を

第五節 承継(第五十五条の二)

 

 

第六節 接続に要する費用(第五十五条の三)

 に、「第五十七条の二」を「第五十七条の三」に改める。

  第二十六条の次に次の一条を加える。

  (電気の供給量が需要量を超える場合の措置等)

 第二十六条の二 一般電気事業者及び特定電気事業者(以下この条において「一般電気事業者等」という。)は、当該一般電気事業者等の電気の供給量がその需要量を上回ることが見込まれるときは、次に掲げる措置を講じなければならない。

  一 当該一般電気事業者等が所有する発電設備(太陽光を電気に変換する設備(以下この条において「太陽光発電設備」という。)、風力を電気に変換する設備(以下この条において「風力発電設備」という。)、原子力発電設備、水力を電気に変換する設備(揚水式発電設備を除く。)及び地熱を電気に変換する設備を除く。以下この号において同じ。)及び当該一般電気事業者等が調達している電気の発電設備の出力の抑制(安定供給上支障があるものとして経済産業省令で定める限度まで行われる出力の抑制をいう。)並びに水力を電気に変換する設備(揚水式発電設備に限る。)の揚水運転

  二 当該上回ることが見込まれる量の電気の取引の申込み

 2 一般電気事業者等は、前項の措置を講じたとしてもなお当該一般電気事業者等の電気の供給量がその需要量を上回ることが見込まれる場合は、当該一般電気事業者等が用いる太陽光発電設備及び風力発電設備の出力の抑制をすることを条件として、当該一般電気事業者等がその事業の用に供する変電用、送電用又は配電用の電気工作物と電気的に接続する太陽光発電設備又は風力発電設備であつてその出力が五百キロワット以上のものを用いて電気を供給する者(以下この条において「特定電気供給者」という。)に対し、経済産業省令で定めるところにより、当該太陽光発電設備又は風力発電設備の出力の抑制を指示することができる。この場合において、一般電気事業者等は、当該指示をした後遅滞なく、当該特定電気供給者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。

  一 当該指示を行う前に前項の措置を講じたこと。

  二 前項の措置を講じてもなお当該一般電気事業者等の電気の供給量がその需要量を上回ると見込んだ合理的な理由

  三 当該指示が合理的なものであつたこと。

 3 特定電気供給者は、前項の規定による指示に従つた出力の抑制により生じた損害(年間三十日を超えない範囲内で行われる当該抑制により生じた損害に限る。)について補償を求めることができない。

 4 前項の規定にかかわらず、年間三十日を超えて出力の抑制を行わなければ経済産業大臣が指定する種類の再生可能エネルギー発電設備(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(平成二十三年法律第百八号)第二条第三項に規定する再生可能エネルギー発電設備をいう。以下この項において同じ。)により発電された電気を追加的に受け入れることができなくなることが見込まれる一般電気事業者等として経済産業大臣が指定する一般電気事業者等が、年間三十日を超えて出力の抑制を行わなければ追加的に当該再生可能エネルギー発電設備によつて発電された電気を受け入れることができなくなつた後に、特定電気供給者(当該受入れができなくなつた後に当該一般電気事業者等がその事業の用に供する変電用、送電用又は配電用の電気工作物と電気的に接続した太陽光発電設備又は風力発電設備を用いて電気を供給する特定電気供給者に限る。以下この項において同じ。)に対し第二項の規定による指示を行うときは、当該特定電気供給者は、当該指示に従つた出力の抑制により生じた損害について補償を求めることができない。

 5 一般電気事業者等は、特定電気供給者が第二項の規定による指示に従わないときは、当該特定電気供給者の用いる太陽光発電設備又は風力発電設備と当該一般電気事業者等がその事業の用に供する変電用、送電用又は配電用の電気工作物との電気的な接続を停止することができる。

  第三編第二章に次の一節を加える。

     第六節 接続に要する費用

 第五十五条の三 事業用電気工作物を設置する者のうち発電設備を用いて電気を供給しようとする者(以下この条において「事業用電気供給者」という。)は、当該発電設備と電気事業者がその事業の用に供する変電用、送電用又は配電用の電気工作物とを電気的に接続するときは、当該接続に必要な費用であつて経済産業省令で定めるものを負担しなければならない。

 2 事業用電気供給者は、前項の費用について、経済産業省令で定めるところにより、他の事業用電気供給者と共同して負担することができる。

 3 電気事業者は、第一項又は前項の規定により事業用電気供給者が負担する第一項の費用の額の算定に当たつては、経済的合理性を有する額となるよう配慮しなければならない。

  第三編第三章中第五十七条の二の次に次の一条を加える。

  (接続に要する費用)

 第五十七条の三 一般用電気工作物を設置する者のうち発電設備を用いて電気を供給しようとする者(以下この条において「一般用電気供給者」という。)は、当該発電設備と電気事業者がその事業の用に供する変電用、送電用又は配電用の電気工作物とを電気的に接続するときは、当該接続に必要な費用であつて経済産業省令で定めるものを負担しなければならない。

 2 一般用電気供給者は、前項の費用について、経済産業省令で定めるところにより、他の一般用電気供給者と共同して負担することができる。

 3 電気事業者は、第一項又は前項の規定により一般用電気供給者が負担する第一項の費用の額の算定に当たつては、経済的合理性を有する額となるよう配慮しなければならない。

 (電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法の一部改正)

第二条 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(平成二十三年法律第百八号)の一部を次のように改正する。

  第五条第一項中「この条」の下に「及び次条」を、「いう。」の下に「次条第一項及び」を加え、同項第三号中「前二号」を「前三号」に改め、同号を同項第四号とし、同項第二号を同項第三号とし、同項第一号の次に次の一号を加える。

  二 当該接続の請求に応じることにより、当該電気事業者が所有する発電設備(再生可能エネルギー発電設備を除く。)と当該電気事業者がその事業の用に供する変電用、送電用又は配電用の電気工作物との電気的な接続を電気の安定供給上支障があるものとして経済産業省令で定める限度まで停止したとしてもなお当該電気工作物に送電することができる電気の容量を超えた電気の供給を受けることとなることが合理的に見込まれるとき。

  第五条の次に次の一条を加える。

  (接続検討等)

 第五条の二 再生可能エネルギー発電設備を用いて発電しようとする者であって次条第一項の認定を受けようとするもの(特定供給者を含む。)は、電気事業者に対し、経済産業省令で定めるところにより、当該再生可能エネルギー発電設備(認定発電設備を含む。)と当該電気事業者がその事業の用に供する変電用、送電用又は配電用の電気工作物とを電気的に接続すること(以下この条において「系統接続」という。)についての技術的な検討(以下この条において「接続検討」という。)を申し込むものとする。

 2 電気事業者は、前項の規定による申込みがあった場合には、経済産業省令で定めるところにより、接続検討を行うものとする。

 3 電気事業者は、接続検討の結果、当該接続検討に係る系統接続が可能であると認める場合にあっては第一項の規定による申込みをした者に対しその旨を通知し、当該系統接続が困難であると認める場合又は当該申込みのあった日から経済産業省令で定める期間以内に接続検討を終えることができないと見込まれる場合にあってはその旨及びその理由を経済産業省令で定めるところにより広域的運営推進機関に報告するとともに、当該者に対し当該報告をした旨及びその内容を通知しなければならない。

 4 広域的運営推進機関は、前項の規定による報告を受けたときは、当該報告に係る系統接続について、送配電等業務指針(電気事業法第二十八条の四十第三号に規定する送配電等業務指針をいう。)に照らし、かつ、広域的な周波数の調整及び連系線(一般電気事業者の供給区域と他の一般電気事業者の供給区域とを連系する送電設備をいう。)の活用を考慮して、確認又は検証を行い、経済産業省令で定めるところにより、その結果を当該報告をした電気事業者に対し通知するものとする。この場合において、広域的運営推進機関は、必要があると認めるときは、理由を付して同項の規定による報告をした電気事業者に改めて接続検討を行うよう求めることができる。

 5 広域的運営推進機関が、前項の規定により、同項の確認又は検証の結果当該確認又は検証に係る系統接続が困難であると認める旨又は当該系統接続に係る第一項の規定による申込みのあった日から第三項の経済産業省令で定める期間以内に接続検討を終えることができないことについて正当な理由があると認める旨を通知する場合は、当該通知を受けた電気事業者は、当該申込みをした者に対しその旨を通知しなければならない。

 6 電気事業者は、第四項後段の規定による求めがあった場合には、経済産業省令で定めるところにより、改めて接続検討を行い、その結果(同項の確認又は検証の結果を含む。)を第一項の規定による申込みをした者に対し通知しなければならない。

 7 電気事業者及び広域的運営推進機関は、接続検討又は第四項の確認若しくは検証の実施状況、電力系統の運用状況(他の電気事業者の電力系統と電気的に接続する電力系統の運用状況を含む。)その他経済産業省令で定める事項を公表しなければならない。

 (電気事業法の一部を改正する法律の一部改正)

第三条 電気事業法の一部を改正する法律(平成二十五年法律第七十四号)の一部を次のように改正する。

  第二十八条の次に二款及び款名を加える改正規定のうち第二十八条の四中「より、」の下に「電気の安定供給の確保を図り、及び電気についてエネルギー源としての再生可能エネルギー源(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法第二条第四項に規定する再生可能エネルギー源をいう。)の利用の促進に資するための広域的な電気の需給の調整その他の」を加え、第二十八条の四十第三号中「及び卸電気事業者」を「、卸電気事業者及び特定電気事業者」に改め、同条第六号中「からの」の下に「第五十五条の三第一項及び第五十七条の三第一項の費用その他に関する」を加える。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、平成二十七年四月一日から施行する。ただし、第三条、次条並びに附則第三条及び第五条の規定は、公布の日から施行する。

 (電気のエネルギー源としての再生可能エネルギー源の利用の促進)

第二条 政府は、電気についてエネルギー源としての再生可能エネルギー源(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法第二条第四項に規定する再生可能エネルギー源をいう。)の利用の一層の促進を図るため、電気事業を営む者その他の関係者との連携を図りつつ、これらの者が行う送電の用に供する電線路及びこれに附属する設備の施設又は増強、揚水式発電設備の施設又は活用、蓄電池の普及の促進等に対する支援その他必要な措置を講ずるものとする。

 (検討)

第三条 政府は、電気事業法の一部を改正する法律附則第十一条の規定に基づく電気事業に係る制度の抜本的な改革の実施状況を踏まえ、電気供給事業者及び電気の小売業を営む者が、実際の電気の需給の時にできる限り近い時まで、発電又は電気の小売に係る需給量を調整することができる電気の売買取引に係る制度の整備について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

 (経済産業省令への委任)

第四条 この法律の施行に関し必要な経過措置は、経済産業省令で定める。

 (電気事業法等の一部を改正する法律の一部改正)

第五条 電気事業法等の一部を改正する法律(平成二十六年法律第七十二号)の一部を次のように改正する。

  第一条のうち電気事業法目次の改正規定中「第五款 承継(第五十五条の二)」を

第五款 承継(第五十五条の二)

 

 

第六款 接続に要する費用(第五十五条の三)

 に、「第五十七条の二」を「第五十七条の三」に改める。

  第一条のうち電気事業法第一編及び第二編の編名、同編第一章及び第二章の章名、同章第一節及び第二節の節名、同節第二款の款名、同章第三節の節名、同編第三章の章名、第三編の編名、同編第一章及び第二章の章名、同章第一節から第五節までの節名、同編第三章の章名、第四編及び第五編の編名、同編第一章から第三章までの章名並びに第六編及び第七編の編名を削る改正規定中「第五節」を「第六節」に改める。

  第一条中電気事業法第二十六条第二項及び第三項の改正規定の次に次のように加える。

   第二十六条の二第一項中「一般電気事業者及び特定電気事業者」を「一般送配電事業者及び特定送配電事業者」に、「一般電気事業者等」を「一般送配電事業者等」に改め、同条第二項、第四項及び第五項中「一般電気事業者等」を「一般送配電事業者等」に改める。

  第一条のうち電気事業法第二十八条の四十第三号の改正規定中「送電事業者」に」の下に「、「特定電気事業者」を「特定送配電事業者」に」を加える。

  第一条中電気事業法第五十五条の次に款名を付する改正規定の次に次のように加える。

   第五十五条の二の次に次の款名を付する。

       第六款 接続に要する費用

   第五十五条の三第一項中「電気事業者」を「一般送配電事業者、送電事業者又は特定送配電事業者」に改め、同条第三項中「電気事業者」を「一般送配電事業者、送電事業者及び特定送配電事業者」に改める。

  第一条のうち電気事業法第五十五条の二の次に節名を付する改正規定中「第五十五条の二」を「第五十五条の三」に改める。

  第一条中電気事業法第五十七条の二第二項及び第三項の改正規定の次に次のように加える。

   第五十七条の三第一項中「電気事業者」を「一般送配電事業者、送電事業者又は特定送配電事業者」に改め、同条第三項中「電気事業者」を「一般送配電事業者、送電事業者及び特定送配電事業者」に改める。

  第一条のうち電気事業法第五十七条の二の次に章名を付する改正規定中「第五十七条の二」を「第五十七条の三」に改める。

  第三条のうち電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法第五条第一項の改正規定中「この条」の下に「及び次条」を加える。

  第三条中電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法第五条に一項を加える改正規定の次に次のように加える。

   第五条の二第一項から第三項までの規定中「電気事業者」を「一般送配電事業者等」に改め、同条第四項中「一般電気事業者」を「一般送配電事業者」に、「電気事業者」を「一般送配電事業者等」に改め、同条第五項から第七項までの規定中「電気事業者」を「一般送配電事業者等」に改める。


     理 由

 再生可能エネルギー発電設備と電気事業者がその事業の用に供する電気工作物との電気的な接続が円滑に行われていない等の状況に鑑み、電気のエネルギー源としての再生可能エネルギー源の利用の一層の促進を図るため、電気の供給量が需要量を超える場合において再生可能エネルギー発電設備を用いた電気の供給を優先するための措置を明確化するとともに、電気事業者が特定供給者からの接続の請求を拒否することができる事由として、自ら所有する発電設備の系統接続を停止してもなお電気の容量を超えた電気の供給を受けることが明らかな場合を追加し、接続検討に係る広域的運営推進機関による確認又は検証等の手続を整備する等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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