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第一八七回

閣第一八号

   災害対策基本法の一部を改正する法律案

 災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)の一部を次のように改正する。

 第七十六条第一項中「次条及び第七十六条の三において」を「以下」に改め、同条第二項中「この項、次条第一項及び第二項並びに第七十六条の四において」を削り、「次条及び第七十六条の三」を「次条第四項及び第七十六条の三第一項」に改める。

 第七十六条の四を第七十六条の五とし、同条の次に次の三条を加える。

 (災害時における車両の移動等)

第七十六条の六 道路管理者は、その管理する道路の存する都道府県又はこれに隣接し若しくは近接する都道府県の地域に係る災害が発生した場合において、道路における車両の通行が停止し、又は著しく停滞し、車両その他の物件が緊急通行車両の通行の妨害となることにより災害応急対策の実施に著しい支障が生じるおそれがあり、かつ、緊急通行車両の通行を確保するため緊急の必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、その管理する道路についてその区間を指定して、当該車両その他の物件の占有者、所有者又は管理者(第三項第三号において「車両等の占有者等」という。)に対し、当該車両その他の物件を付近の道路外の場所へ移動することその他当該指定をした道路の区間における緊急通行車両の通行を確保するため必要な措置をとることを命ずることができる。

2 道路管理者は、前項の規定による指定をしたときは、直ちに、当該指定をした道路の区間(以下この項において「指定道路区間」という。)内に在る者に対し、当該指定道路区間を周知させる措置をとらなければならない。

3 次に掲げる場合においては、道路管理者は、自ら第一項の規定による措置をとることができる。この場合において、道路管理者は、当該措置をとるためやむを得ない限度において、当該措置に係る車両その他の物件を破損することができる。

 一 第一項の規定による措置をとることを命ぜられた者が、当該措置をとらない場合

 二 道路管理者が、第一項の規定による命令の相手方が現場にいないために同項の規定による措置をとることを命ずることができない場合

 三 道路管理者が、道路の状況その他の事情により車両等の占有者等に第一項の規定による措置をとらせることができないと認めて同項の規定による命令をしないこととした場合

4 道路管理者は、第一項又は前項の規定による措置をとるためやむを得ない必要があるときは、その必要な限度において、他人の土地を一時使用し、又は竹木その他の障害物を処分することができる。

5 独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構(以下「機構」という。)は、会社管理高速道路の道路管理者に代わつて、第一項から前項までの規定による権限を行うものとする。

6 機構は、前項の規定により会社管理高速道路の道路管理者に代わつてその権限を行つた場合においては、遅滞なく、その旨を会社に通知しなければならない。

7 機構は、第五項の規定により会社管理高速道路の道路管理者に代わつて行う権限に係る事務の一部を会社に委託しようとするときは、その委託する事務の円滑かつ効率的な実施を確保するため、あらかじめ、会社と協議し、当該委託する事務の内容及びこれに要する費用の負担の方法を定めておかなければならない。

8 地方道路公社は、公社管理道路の道路管理者に代わつて、第一項から第四項までの規定による権限を行うものとする。

9 第五項の規定により機構が会社管理高速道路の道路管理者に代わつて行う権限は、道路整備特別措置法第二十五条第一項の規定により公告する料金の徴収期間の満了の日までに限り行うことができるものとする。前項の規定により地方道路公社が公社管理道路の道路管理者に代わつて行う権限についても、同様とする。

第七十六条の七 国土交通大臣は道路法第十三条第一項に規定する指定区間外の国道(同法第三条第二号に掲げる一般国道をいう。)、都道府県道(同法第三条第三号に掲げる都道府県道をいう。)及び市町村道(同法第三条第四号に掲げる市町村道をいう。以下この条において同じ。)に関し、都道府県知事は地方自治法第二百五十二条の十九第一項に規定する指定都市の市道以外の市町村道に関し、緊急通行車両の通行を確保し、災害応急対策が的確かつ円滑に行われるようにするため特に必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、それぞれ当該道路の道路管理者に対し、前条第一項の規定による指定若しくは命令をし、又は同条第三項若しくは第四項の規定による措置をとるべきことを指示することができる。

第七十六条の八 第七十六条の六に規定する道路管理者である国土交通大臣の権限及び前条に規定する国土交通大臣の権限は、政令で定めるところにより、その全部又は一部を地方整備局長又は北海道開発局長に委任することができる。

 第七十六条の三の次に次の一条を加える。

第七十六条の四 都道府県公安委員会は、通行禁止等を行うため必要があると認めるときは、道路管理者(高速自動車国道法(昭和三十二年法律第七十九号)第四条第一項に規定する高速自動車国道にあつては国土交通大臣、その他の道路にあつては道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第十八条第一項に規定する道路管理者をいう。以下同じ。)に対し、当該通行禁止等を行おうとする道路の区間において、第七十六条の六第一項の規定による指定若しくは命令をし、又は同条第三項若しくは第四項の規定による措置をとるべきことを要請することができる。

2 会社管理高速道路(道路整備特別措置法(昭和三十一年法律第七号)第二条第四項に規定する会社(第七十六条の六第六項及び第七項において「会社」という。)が同法第四条の規定により維持、修繕及び災害復旧を行う高速道路(高速道路株式会社法(平成十六年法律第九十九号)第二条第二項に規定する高速道路をいう。)をいう。第七十六条の六において同じ。)の区間について前項の規定による要請をする場合における同項の規定の適用については、同項中「道路管理者(高速自動車国道法(昭和三十二年法律第七十九号)第四条第一項に規定する高速自動車国道にあつては国土交通大臣、その他の道路にあつては道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第十八条第一項に規定する道路管理者をいう。以下同じ。)」とあるのは「独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構(以下この項において「機構」という。)」と、「第七十六条の六第一項」とあるのは「第七十六条の六第五項の規定により会社管理高速道路の道路管理者に代わつて機構が行う同条第一項」とする。

3 公社管理道路(地方道路公社(地方道路公社法(昭和四十五年法律第八十二号)第一条の地方道路公社をいう。以下同じ。)が道路整備特別措置法第十四条の規定により維持、修繕及び災害復旧を行い、又は同法第十五条第一項の許可を受けて維持、修繕及び災害復旧を行う道路をいう。第七十六条の六第八項及び第九項において同じ。)の区間について第一項の規定による要請をする場合における同項の規定の適用については、同項中「道路管理者(高速自動車国道法(昭和三十二年法律第七十九号)第四条第一項に規定する高速自動車国道にあつては国土交通大臣、その他の道路にあつては道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第十八条第一項に規定する道路管理者をいう。以下同じ。)」とあるのは「地方道路公社(第三項に規定する地方道路公社をいう。以下この項において同じ。)」と、「第七十六条の六第一項」とあるのは「第七十六条の六第八項の規定により公社管理道路の道路管理者に代わつて地方道路公社が行う同条第一項」とする。

 第八十二条第一項中「第四項において準用する場合を含む。)」の下に「、第七十六条の六第三項後段若しくは第四項」を加え、同条第二項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。

2 機構又は地方道路公社は、第七十六条の六第五項又は第八項の規定により同条第三項後段又は第四項の規定による処分が行われたときは、前項の規定にかかわらず、それぞれ、当該処分により通常生ずべき損失を補償しなければならない。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から施行する。

 (検討)

第二条 政府は、この法律の施行後適当な時期において、この法律による改正後の規定の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

 (道路交通法の一部改正)

第三条 道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)の一部を次のように改正する。

  第百十四条の五第二項中「第七十六条の四」を「第七十六条の五」に改める。

 (原子力災害対策特別措置法の一部改正)

第四条 原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号)の一部を次のように改正する。

  第二十八条第一項の表第四十七条第二項の項中

防災計画

防災計画若しくは原子力災害対策指針

 を

防災計画の

防災計画若しくは原子力災害対策指針の

 に改め、同条第二項の表第七十六条の四の項中「第七十六条の四」を「第七十六条の五」に改め、同項の次に次のように加える。

第七十六条の六第一項

災害が発生した場合

原子力緊急事態宣言があつた時から原子力緊急事態解除宣言があるまでの間

 

災害応急対策

緊急事態応急対策

第七十六条の七

災害応急対策

緊急事態応急対策

 (独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法の一部改正)

第五条 独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法(平成十六年法律第百号)の一部を次のように改正する。

  第十二条第一項第九号中「(昭和三十一年法律第七号)」の下に「及び災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)」を加え、「同法」を「道路整備特別措置法」に改める。

  第二十六条第一項中「道路整備特別措置法」の下に「又は災害対策基本法」を加える。

 (武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律の一部改正)

第六条 武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(平成十六年法律第百十二号)の一部を次のように改正する。

  第百五十五条第二項中「及び第七十六条の二から第七十六条の四まで」を「、第七十六条の二、第七十六条の三及び第七十六条の五」に、「第七十六条の四中」を「第七十六条の五中」に改める。


     理 由

 災害時における緊急通行車両の通行を確保するため、道路管理者が自ら緊急通行車両の通行の妨害となる車両その他の物件を移動することができることとする等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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