衆議院

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第一九〇回

衆第五号

   周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律及び周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律の一部を改正する法律案

 (周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律の一部改正)

第一条 周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律(平成十一年法律第六十号)の一部を次のように改正する。

  第一条中「寄与し、」を「寄与するとともに、在外邦人等の退避の円滑化を図り、もって」に改める。

  第二条第一項中「規定する船舶検査活動」の下に「、退避邦人等支援活動」を加える。

  第三条第一項第一号中「(以下「合衆国軍隊」を「及びこれと共に当該活動を行う外国(我が国との間で、自衛隊と当該外国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する協定を締結しているものに限る。)の軍隊(第三項において「合衆国軍隊等」に改め、同項第四号を同項第五号とし、同項第三号の次に次の一号を加える。

  四 退避邦人等支援活動 周辺事態に際して退避しようとし、又は退避している邦人(当該邦人と共に我が国に退避しようとし、又は退避している外国人があるときは、当該邦人及び当該外国人。以下「退避邦人等」という。)について、その退避の支援を行う活動であって、我が国領域及び我が国周辺の次に掲げる地域(当該地域にあっては、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域に限る。)において我が国が実施するものをいう。

   イ 公海及びその上空

   ロ 外国の領海及びその上空(当該活動が行われることについて当該外国(国際連合の総会又は安全保障理事会の決議に従って当該外国において施政を行う機関がある場合にあっては、当該機関)の同意がある場合に限る。)

  第三条第三項中「合衆国軍隊」を「合衆国軍隊等」に改め、同条に次の一項を加える。

 4 退避邦人等支援活動として自衛隊が実施する措置は、別表第三に掲げるものとする。

  第四条第一項に次の二号を加える。

  五 前条第四項の退避邦人等支援活動

  六 前号に掲げるもののほか、関係行政機関が退避邦人等支援活動として実施する措置であって特に内閣が関与することにより総合的かつ効果的に実施する必要があるもの

  第四条第二項第一号を次のように改める。

  一 周辺事態に関する次に掲げる事項

   イ 事態の経緯並びに我が国の平和及び安全に与える影響

   ロ 我が国が対応措置を実施することが必要であると認められる理由

  第四条第二項中第八号を第十一号とし、第七号を第十号とし、同項第六号中「第二号」を「第三号」に改め、同号を同項第九号とし、同項第五号中「前三号」を「第三号から前号まで」に改め、同号を同項第八号とし、同項第四号を同項第五号とし、同号の次に次の二号を加える。

  六 前項第五号又は第六号に掲げる退避邦人等支援活動を実施する場合における次に掲げる事項

   イ 当該退避邦人等支援活動に係る基本的事項

   ロ 当該退避邦人等支援活動の内容

   ハ 当該退避邦人等支援活動を実施する区域の範囲及び当該区域の指定に関する事項

   ニ 当該退避邦人等支援活動を自衛隊が外国の領域で実施する場合には、当該退避邦人等支援活動を外国の領域で実施する自衛隊の部隊等の規模及び構成並びに装備並びに派遣期間

   ホ その他当該退避邦人等支援活動の実施に関する重要事項

  七 自衛隊が実施する周辺事態に対応するために必要な警戒監視の措置(第九条において単に「警戒監視の措置」という。)の実施に関する事項

  第四条第二項第三号ハ中「重要事項(」の下に「当該後方地域支援をアメリカ合衆国の軍隊以外の外国の軍隊に対して実施する場合における当該外国の国名並びに」を加え、同号を同項第四号とし、同項第二号中ニをホとし、ハをニとし、ロをハとし、イの次に次のように加え、同号を同項第三号とする。

   ロ 当該後方地域支援をアメリカ合衆国の軍隊以外の外国の軍隊に対して実施する場合における当該外国の国名

  第四条第二項第一号の次に次の一号を加える。

  二 前号に掲げるもののほか、対応措置の実施に関する基本的な方針

  第四条第三項中「第一項」の下に「及び前項」を加え、同項を同条第四項とし、同条第二項の次に次の一項を加える。

 3 前条第四項の退避邦人等支援活動を外国の領域で実施する場合には、当該外国(同条第一項第四号ロに規定する機関がある場合にあっては、当該機関)と協議して、実施する区域の範囲を定めるものとする。

  第四条に次の一項を加える。

 5 外務大臣は、退避邦人等支援活動を実施することが適当であると認めるときは、内閣総理大臣に対し、第一項又は前項において準用する第一項の閣議の決定を求めるよう要請することができる。

  第五条の見出し中「承認」を「承認等」に改め、同条第一項中「基本計画に定められた自衛隊の部隊等が実施する後方地域支援、後方地域捜索救助活動又は船舶検査活動については、」を削り、「これらの対応措置の」を「前条第一項の規定により基本計画の決定があったときは、当該基本計画に定める自衛隊の部隊等が実施する後方地域支援、後方地域捜索救助活動、船舶検査活動又は退避邦人等支援活動の」に、「これらの対応措置を実施すること」を「当該基本計画(これらの対応措置に係る部分に限る。以下この条において同じ。)」に改め、同項ただし書中「ただし、」の下に「特に」を加え、「又は船舶検査活動を」を「、船舶検査活動又は退避邦人等支援活動を」に改め、同条第二項中「又は船舶検査活動」を「、船舶検査活動又は退避邦人等支援活動」に、「速やかに、これらの対応措置の実施」を「直ちに、当該基本計画」に改め、同条第三項中「とき」の下に「又は後方地域支援、後方地域捜索救助活動、船舶検査活動若しくは退避邦人等支援活動を実施する必要がなくなったとき」を加え、「速やかに、当該後方地域支援、後方地域捜索救助活動又は船舶検査活動」を「直ちに、これらの対応措置」に改め、同条に次の四項を加える。

 4 前三項の規定は、基本計画の変更(対応措置の終了に係るものを除く。)について準用する。この場合において、第一項中「当該基本計画に定める自衛隊の部隊等が実施する後方地域支援、後方地域捜索救助活動、船舶検査活動又は退避邦人等支援活動の実施前に、当該基本計画(これらの対応措置に係る部分に限る。以下この条において同じ。)」とあるのは「当該基本計画のうち当該変更に係る部分に定める後方地域支援、後方地域捜索救助活動、船舶検査活動又は退避邦人等支援活動の実施前に、当該部分」と、第二項中「当該基本計画」とあるのは「当該基本計画のうち当該変更に係る部分」と、前項中「とき又は後方地域支援、後方地域捜索救助活動、船舶検査活動若しくは退避邦人等支援活動を実施する必要がなくなったときは、直ちに、これらの対応措置」とあるのは「ときは、直ちに、当該不承認の議決に係る対応措置」と読み替えるものとする。

 5 内閣総理大臣は、第一項の規定による国会の承認を得た日から六月を経過する日を超えて引き続き当該承認に係る基本計画(基本計画の変更があったときは、その変更後のもの)に定める後方地域支援、後方地域捜索救助活動、船舶検査活動又は退避邦人等支援活動を実施しようとするときは、当該日の三十日前の日から当該日までの間に、当該基本計画につき、その時までに実施したこれらの対応措置の内容を記載した報告書を添えて国会に付議して、その承認を求めなければならない。ただし、国会が閉会中の場合又は衆議院が解散されている場合には、その後最初に召集される国会においてその承認を求めなければならない。

 6 政府は、前項の場合において不承認の議決があったときは、直ちに、当該後方地域支援、後方地域捜索救助活動、船舶検査活動又は退避邦人等支援活動を終了させなければならない。

 7 前二項の規定は、国会の承認を得て基本計画に定める後方地域支援、後方地域捜索救助活動、船舶検査活動又は退避邦人等支援活動を継続した後、更に六月を超えてこれらの対応措置を引き続き実施しようとする場合について準用する。

  第六条第三項中「おいて、」の下に「実施される必要のある役務の提供の具体的内容を考慮し、防衛省の機関又は自衛隊の部隊等がこれを円滑かつ安全に実施することができるように」を加え、同条第四項中「がこの法律又は基本計画に定められた要件を満たさない」を「において、自衛隊の部隊等が第三条第二項の後方地域支援を円滑かつ安全に実施することが困難であると認める場合その他この法律又は基本計画に定められた要件が満たされない」に改め、同条第五項中「おける輸送」を「おけるもの」に、「当該輸送」を「当該後方地域支援」に、「場合又は」を「場合若しくは」に改め、「予測される場合」の下に「又は当該部隊等の安全を確保するために必要と認める場合」を加え、「一時休止する」を「一時休止し又は避難する」に改める。

  第七条第二項中「おいて、」の下に「実施される必要のある後方地域捜索救助活動の具体的内容を考慮し、自衛隊の部隊等がこれを円滑かつ安全に実施することができるように」を加え、同条第四項中「当該外国」の下に「(第三条第一項第四号ロに規定する機関がある場合にあっては、当該機関)」を加える。

  第十二条を第十五条とする。

  第十一条第一項中「実施を」の下に「命ぜられ、又は第七条第一項の規定により後方地域捜索救助活動の実施を」を加え、「自己又は」を「自己若しくは」に改め、「者」の下に「又はその職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者」を加え、同条第二項を次のように改める。

 2 第八条第一項の規定により退避邦人等支援活動の実施を命ぜられた自衛隊の部隊等の自衛官は、その職務を行うに際し、自己若しくは自己と共に当該職務に従事する者又はその職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者の生命又は身体の防護のためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器(自衛隊が外国の領域で当該退避邦人等支援活動を実施している場合については、第四条第二項第六号ニの規定により基本計画に定める装備に該当するものに限る。)を使用することができる。

  第十一条に次の一項を加え、同条を第十四条とする。

 4 自衛隊法第九十六条第三項の規定は、第八条第一項の規定により退避邦人等支援活動(我が国の領域外におけるものに限る。)の実施を命ぜられた自衛隊の部隊等の自衛官については、自衛隊員以外の者の犯した犯罪に関しては適用しない。

  第十条を第十三条とする。

  第九条第三項中「前二項」を「第一項又は第二項」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項の次に次の一項を加え、同条を第十二条とする。

 3 関係行政機関の長は、前二項の規定により協力を求め又は協力を依頼するに当たっては、安全の確保に配慮して行わなければならない。

  第八条中「前二条」を「第六条から前条まで」に改め、同条を第十条とし、同条の次に次の一条を加える。

  (安全の確保等)

 第十一条 防衛大臣及びその他の関係行政機関の長は、対応措置の実施に当たっては、その円滑かつ効果的な推進に努めるとともに、自衛隊の部隊等及び対応措置に従事する関係行政機関の職員の安全の確保に配慮しなければならない。

  第七条の次に次の二条を加える。

  (自衛隊による退避邦人等支援活動の実施)

 第八条 防衛大臣は、基本計画に従い、第三条第四項の退避邦人等支援活動について、実施要項を定め、これについて内閣総理大臣の承認を得て、防衛省の機関又は自衛隊の部隊等にその実施を命ずるものとする。

 2 防衛大臣は、前項の実施要項において、実施される必要のある退避邦人等支援活動の具体的内容を考慮し、防衛省の機関又は自衛隊の部隊等がこれを円滑かつ安全に実施することができるように当該退避邦人等支援活動を実施する区域(以下この条において「実施区域」という。)を指定するものとする。

 3 防衛大臣は、実施区域の全部又は一部において、自衛隊の部隊等が第三条第四項の退避邦人等支援活動を円滑かつ安全に実施することが困難であると認める場合、外国の領域で実施する当該退避邦人等支援活動についての同条第一項第四号ロの同意が存在しなくなったと認める場合その他この法律又は基本計画に定められた要件が満たされないものとなった場合には、速やかに、その指定を変更し、又はそこで実施されている活動の中断を命じなければならない。

 4 第六条第五項の規定は、我が国の領域外における退避邦人等支援活動の実施を命ぜられた自衛隊の部隊等の長又はその指定する者について準用する。この場合において、同項中「前項」とあるのは、「第八条第三項」と読み替えるものとする。

 5 第一項の規定は、同項の実施要項の変更(第三項の規定により実施区域を縮小する変更を除く。)について準用する。

  (警戒監視の措置の実施)

 第九条 防衛大臣は、基本計画に従い、警戒監視の措置を実施するものとする。

  別表第一基地業務の項の次に次のように加える。

宿泊

宿泊設備の利用、寝具の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供

保管

倉庫における一時保管、保管容器の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供

施設の利用

土地又は建物の一時的な利用並びにこれらに類する物品及び役務の提供

訓練業務

訓練に必要な指導員の派遣、訓練用器材の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供(戦闘行為に係る任務を遂行するために必要なものを除く。)

  別表第一の備考第一号中「含む」の下に「。次号において同じ」を加え、同表の備考第二号中「戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油及び整備」を「次に掲げるもの」に改め、同号に次のように加える。

   イ 戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油及び整備

   ロ 公海の上空を航行中の航空機に対する給油

   ハ 核弾頭を含む大量破壊兵器その他の我が国として輸送することが適当でないものとして政令で定める武器の輸送、これに係る輸送用資材の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供

   ニ 核弾頭を含む大量破壊兵器その他の我が国として修理及び整備をすることが適当でないものとして政令で定める武器の修理及び整備、これらに係る修理及び整備用機器並びに部品及び構成品の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供

   ホ 核弾頭を含む大量破壊兵器その他の我が国として保管することが適当でないものとして政令で定める武器の倉庫における一時保管、これに係る保管容器の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供

  別表第一の備考第三号を削る。

  別表第二の備考第一号中「含む」の下に「。次号において同じ」を加え、同表の備考第二号中「戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油及び整備」を「次に掲げるもの」に改め、同号に次のように加える。

   イ 戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油及び整備

   ロ 公海の上空を航行中の航空機に対する給油

   ハ 核弾頭を含む大量破壊兵器その他の我が国として輸送することが適当でないものとして政令で定める武器の輸送、これに係る輸送用資材の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供

   ニ 核弾頭を含む大量破壊兵器その他の我が国として修理及び整備をすることが適当でないものとして政令で定める武器の修理及び整備、これらに係る修理及び整備用機器並びに部品及び構成品の提供並びにこれらに類する物品及び役務の提供

  別表に次の一表を加える。

 別表第三(第三条関係)

  一 退避邦人等を輸送する船舶に対する給水又は給油

  二 退避邦人等に対する食事の提供

  三 傷病者である退避邦人等に対する医療又は衛生器具の提供

  四 退避邦人等に対する食糧、衣料、医薬品その他の生活関連物資の配布

  五 前各号に掲げる措置に類する措置

 (周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律の一部改正)

第二条 周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律(平成十二年法律第百四十五号)の一部を次のように改正する。

  第三条中「アメリカ合衆国の軍隊」を「合衆国軍隊等(周辺事態安全確保法第三条第一項第一号に規定する合衆国軍隊等をいう。)」に、「周辺事態安全確保法第三条第一項第一号」を「同号」に改める。

  第四条第五号中「重要事項(」の下に「当該後方地域支援をアメリカ合衆国の軍隊以外の外国の軍隊に対して実施する場合における当該外国の国名並びに」を加える。

  第五条第二項中「実施要項において、」の下に「実施される必要のある船舶検査活動の具体的内容を考慮し、自衛隊の部隊等がこれを円滑かつ安全に実施することができるように」を加える。

  第六条第一項中「実施を」の下に「命ぜられ、又は同条第六項において準用する周辺事態安全確保法第六条第二項の規定により船舶検査活動の実施に伴う第三条後段の後方地域支援としての自衛隊の役務の提供の実施を」を加え、「当該船舶検査活動の対象船舶に乗船して」を削り、「自己又は」を「自己若しくは」に改め、「者」の下に「又はその職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者」を加える。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次項の規定は、公布の日から施行する。

 (関係法律の整備等)

2 第一条の規定による改正後の周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律(以下「新法」という。)第三条第四項の退避邦人等支援活動に関する自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第八十四条の四の規定の整備、新法第十三条及び第二条の規定による改正後の周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律第六条の規定による武器の使用に関する自衛隊法第九十四条の六の規定の整備その他この法律の施行に伴って必要となる関係法律の整備及び経過措置については、別に法律で定める。


     理 由

 周辺事態における後方地域支援の範囲を拡充し、対応措置に退避邦人等支援活動を追加するとともに、後方地域支援等に関し、国会の承認の対象を見直し、安全の確保等の規定を追加する等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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