衆議院

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第一九〇回

衆第二二号

   保育等従業者の人材確保等に関する特別措置法案

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 保育等従業者処遇改善助成金の支給(第三条−第五条)

 第三章 子ども・子育て支援に関する事業に従事する者の処遇の改善(第六条)

 第四章 雑則(第七条−第九条)

 第五章 罰則(第十条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、一人一人の子どもが健やかに成長することができる社会を実現するために保育等従業者が重要な役割を担っているにもかかわらずその賃金が他の業種に属する事業に従事する者と比較して低い水準にあること、小学校就学前の子どもの教育及び保育に対する多様な需要への対応の重要性が著しく増大していること等に鑑み、保育等従業者の賃金の改善のための特別の措置等を定めることにより、優れた人材を確保し、もって子ども・子育て支援(子ども・子育て支援法(平成二十四年法律第六十五号)第七条第一項に規定する子ども・子育て支援をいう。第六条第一項及び附則第二条において同じ。)の水準の向上に資することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「保育事業者等」とは、子ども・子育て支援法第二十七条第一項に規定する特定教育・保育施設の設置者及び同法第二十九条第一項に規定する特定地域型保育事業者であって、都道府県、市町村その他政令で定める者以外のものをいう。

2 この法律において「保育等従業者」とは、保育事業者等の従業者(政令で定める者を除く。)をいう。

   第二章 保育等従業者処遇改善助成金の支給

 (保育等従業者処遇改善助成金の支給)

第三条 都道府県知事は、保育等従業者の賃金を改善するための措置を講ずる保育事業者等に対し、その申請に基づき、当該措置に要する費用に充てるための助成金(以下この章において「保育等従業者処遇改善助成金」という。)を支給する。

2 保育等従業者処遇改善助成金の支給の要件、額、申請の方法その他保育等従業者処遇改善助成金の支給に関し必要な事項は、政令で定める。

3 前項の政令を定めるに当たっては、一人一人の子どもが健やかに成長することができる社会を実現するために保育等従業者が重要な役割を担っていること並びに小学校就学前の子どもの教育及び保育に対する多様な需要への対応の重要性が著しく増大していることを踏まえるとともに、保育事業者等における保育等従業者の職責等に応じた処遇の体系、他の業種に属する事業に従事する者の平均的な賃金水準等を勘案し、かつ、第一項の申請に係る保育事業者等の負担に配慮するものとする。

 (不正利得の徴収)

第四条 偽りその他不正の手段により保育等従業者処遇改善助成金の支給を受けた者があるときは、都道府県知事は、国税徴収の例により、その者から、その支給を受けた保育等従業者処遇改善助成金の額に相当する金額の全部又は一部を徴収することができる。

2 前項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。

 (交付金)

第五条 国は、保育等従業者処遇改善助成金の支給に要する費用の全額に相当する金額を都道府県に交付する。

2 国は、毎年度、予算の範囲内で、保育等従業者処遇改善助成金に関する事務の執行に要する費用に相当する金額を都道府県に交付する。

   第三章 子ども・子育て支援に関する事業に従事する者の処遇の改善

第六条 前章に定めるもののほか、国は、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第四十一条に規定する児童養護施設の従業者、同法第六条の三第二項に規定する放課後児童健全育成事業に従事する者その他の社会的養護を含めた子ども・子育て支援に関する事業に従事する者の処遇の改善のために必要な措置を講ずるものとする。

2 国は、前項の措置については、政令で定めるところにより、他の法令の規定にかかわらずその費用の全額を負担することができるものとする。

   第四章 雑則

 (報告等)

第七条 都道府県知事は、この法律の施行に必要な限度において、保育事業者等若しくは保育事業者等であった者若しくは当該保育事業者等の従業者であった者(以下この項において「保育事業者等であった者等」という。)に対し、報告若しくは帳簿書類その他の物件の提出若しくは提示を命じ、保育事業者等若しくは当該保育事業者等の従業者若しくは保育事業者等であった者等に対し出頭を求め、又は当該職員に関係者に対して質問させ、若しくは当該保育事業者等の事業所若しくは施設、事務所その他その業務に関係のある場所に立ち入り、その帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

2 前項の規定による質問又は立入検査を行う場合においては、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

3 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

 (事務の区分)

第八条 第三条第一項、第四条第一項及び前条第一項の規定により都道府県が処理することとされている事務は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。

 (厚生労働省令への委任)

第九条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、厚生労働省令で定める。

   第五章 罰則

第十条 第七条第一項の規定による報告若しくは物件の提出若しくは提示をせず、若しくは虚偽の報告若しくは虚偽の物件の提出若しくは提示をし、又は同項の規定による当該職員の質問に対して、答弁せず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくは同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、三十万円以下の罰金に処する。

2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、同項の刑を科する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (この法律の廃止)

第二条 この法律は、子ども・子育て支援に係る制度について見直しが行われ、保育等従業者に関し、優れた人材の確保に支障がなくなったときは、廃止するものとする。

 (地方自治法の一部改正)

第三条 地方自治法の一部を次のように改正する。

  別表第一に次のように加える。

保育等従業者の人材確保等に関する特別措置法(平成二十八年法律第▼▼▼号)

第三条第一項、第四条第一項及び第七条第一項の規定により都道府県が処理することとされている事務

 (地方財政法の一部改正)

第四条 地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)の一部を次のように改正する。

  第十条第三十三号の次に次の一号を加える。

  三十三の二 保育等従業者処遇改善助成金の支給に要する経費

 (社会保険労務士法の一部改正)

第五条 社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。

  別表第一第二十号の二十二の次に次の一号を加える。

  二十の二十二の二 保育等従業者の人材確保等に関する特別措置法(平成二十八年法律第▼▼▼号)


     理 由

 一人一人の子どもが健やかに成長することができる社会を実現するために保育等従業者が重要な役割を担っているにもかかわらずその賃金が他の業種に属する事業に従事する者と比較して低い水準にあること、小学校就学前の子どもの教育及び保育に対する多様な需要への対応の重要性が著しく増大していること等に鑑み、保育等従業者に優れた人材を確保し、もって子ども・子育て支援の水準の向上に資するため、保育等従業者の賃金の改善のための特別の措置等を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。


   本案施行に要する経費

 本案施行に要する経費としては、平年度約二千五百十億円の見込みである。

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