衆議院

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第一九〇回

参第一号

   自殺対策基本法の一部を改正する法律案

 自殺対策基本法(平成十八年法律第八十五号)の一部を次のように改正する。

 目次中「第十条」を「第十一条」に、

第二章 基本的施策(第十一条−第十九条)

 

 

第三章 自殺総合対策会議(第二十条・第二十一条)

第二章 自殺総合対策大綱及び都道府県自殺対策計画等(第十二条−第十四条)

 

 

第三章 基本的施策(第十五条−第二十二条)

 

 

第四章 自殺総合対策会議等(第二十三条−第二十五条)

に改める。

 第一条中「ことにかんがみ」を「状況にあり、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して、これに対処していくことが重要な課題となっていることに鑑み」に、「に対する」を「の」に改める。

 第二条第四項中「国、地方公共団体、医療機関、事業主、学校、自殺の防止等に関する活動を行う民間の団体その他の関係する者の相互の密接な連携の下に」を「保健、医療、福祉、教育、労働その他の関連施策との有機的な連携が図られ、総合的に」に改め、同項を同条第五項とし、同条中第三項を第四項とし、第二項を第三項とし、同条第一項中「とらえられる」を「捉えられる」に改め、同項を同条第二項とし、同条に第一項として次の一項を加える。

  自殺対策は、生きることの包括的な支援として、全ての人がかけがえのない個人として尊重されるとともに、生きる力を基礎として生きがいや希望を持って暮らすことができるよう、その妨げとなる諸要因の解消に資するための支援とそれを支えかつ促進するための環境の整備充実が幅広くかつ適切に図られることを旨として、実施されなければならない。

 第三条の見出し中「国」の下に「及び地方公共団体」を加え、同条中「次条」を「次項」に改め、同条に次の二項を加える。

2 地方公共団体は、基本理念にのっとり、自殺対策について、国と協力しつつ、当該地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

3 国は、地方公共団体に対し、前項の責務が十分に果たされるように必要な助言その他の援助を行うものとする。

 第四条を削り、第五条を第四条とする。

 第二十一条の見出しを「(会議の組織等)」に改め、同条を第二十四条とし、同条の次に次の一条を加える。

 (必要な組織の整備)

第二十五条 前二条に定めるもののほか、政府は、自殺対策を推進するにつき、必要な組織の整備を図るものとする。

 第二十条第二項第一号中「第八条の大綱」を「自殺総合対策大綱」に改め、同条を第二十三条とする。

 第三章の章名中「自殺総合対策会議」を「自殺総合対策会議等」に改め、同章を第四章とする。

 第十九条の見出し中「に対する」を「の」に改め、同条中「防止」の下に「、自殺者の親族等の支援」を加え、「ために」を「ため、助言、財政上の措置その他の」に改め、第二章中同条を第二十二条とする。

 第十八条の見出し中「に対する」を「の」に改め、同条中「に対する」を「への」に改め、同条を第二十一条とする。

 第十七条の見出し中「に対する」を「等の」に改め、同条中「に対する」を「等への」に改め、同条を第二十条とし、第十六条を第十九条とする。

 第十五条中「整備」の下に「、良質かつ適切な精神医療が提供される体制の整備」を加え、「確保等」を「確保、精神科医とその地域において自殺対策に係る活動を行うその他の心理、保健福祉等に関する専門家、民間の団体等の関係者との円滑な連携の確保等」に改め、同条を第十八条とする。

 第十四条の見出し中「体制の整備」を「教育及び啓発の推進等」に改め、同条中「体制の整備に」を「教育及び啓発の推進並びに相談体制の整備、事業主、学校の教職員等に対する国民の心の健康の保持に関する研修の機会の確保等」に改め、同条に次の二項を加える。

2 国及び地方公共団体は、前項の施策で大学及び高等専門学校に係るものを講ずるに当たっては、大学及び高等専門学校における教育の特性に配慮しなければならない。

3 学校は、当該学校に在籍する児童、生徒等の保護者、地域住民その他の関係者との連携を図りつつ、当該学校に在籍する児童、生徒等に対し、各人がかけがえのない個人として共に尊重し合いながら生きていくことについての意識の涵養等に資する教育又は啓発、困難な事態、強い心理的負担を受けた場合等における対処の仕方を身に付ける等のための教育又は啓発その他当該学校に在籍する児童、生徒等の心の健康の保持に係る教育又は啓発を行うよう努めるものとする。

 第十四条を第十七条とする。

 第十三条中「自殺の防止等に関する」を「大学、専修学校、関係団体等との連携協力を図りながら、自殺対策に係る」に改め、同条を第十六条とする。

 第十二条を削る。

 第十一条の見出しを「(調査研究等の推進及び体制の整備)」に改め、同条第一項を次のように改める。

  国及び地方公共団体は、自殺対策の総合的かつ効果的な実施に資するため、自殺の実態、自殺の防止、自殺者の親族等の支援の在り方、地域の状況に応じた自殺対策の在り方、自殺対策の実施の状況等又は心の健康の保持増進についての調査研究及び検証並びにその成果の活用を推進するとともに、自殺対策について、先進的な取組に関する情報その他の情報の収集、整理及び提供を行うものとする。

 第十一条第二項中「国」の下に「及び地方公共団体」を加え、「効果的かつ効率的な」を「効率的かつ円滑な」に改め、同条を第十五条とする。

 第二章を第三章とし、第一章の次に次の一章を加える。

   第二章 自殺総合対策大綱及び都道府県自殺対策計画等

 (自殺総合対策大綱)

第十二条 政府は、政府が推進すべき自殺対策の指針として、基本的かつ総合的な自殺対策の大綱(次条及び第二十三条第二項第一号において「自殺総合対策大綱」という。)を定めなければならない。

 (都道府県自殺対策計画等)

第十三条 都道府県は、自殺総合対策大綱及び地域の実情を勘案して、当該都道府県の区域内における自殺対策についての計画(次項及び次条において「都道府県自殺対策計画」という。)を定めるものとする。

2 市町村は、自殺総合対策大綱及び都道府県自殺対策計画並びに地域の実情を勘案して、当該市町村の区域内における自殺対策についての計画(次条において「市町村自殺対策計画」という。)を定めるものとする。

 (都道府県及び市町村に対する交付金の交付)

第十四条 国は、都道府県自殺対策計画又は市町村自殺対策計画に基づいて当該地域の状況に応じた自殺対策のために必要な事業、その総合的かつ効果的な取組等を実施する都道府県又は市町村に対し、当該事業等の実施に要する経費に充てるため、推進される自殺対策の内容その他の事項を勘案して、厚生労働省令で定めるところにより、予算の範囲内で、交付金を交付することができる。

 第十条中「概要」を「概況」に改め、「政府が」及び「の実施の状況」を削り、第一章中同条を第十一条とする。

 第九条を第十条とし、第八条を削り、第七条を第九条とする。

 第六条中「自殺対策の重要性に対する関心と理解」を「生きることの包括的な支援としての自殺対策の重要性に関する理解と関心」に改め、同条を第五条とし、同条の次に次の三条を加える。

 (国民の理解の増進)

第六条 国及び地方公共団体は、教育活動、広報活動等を通じて、自殺対策に関する国民の理解を深めるよう必要な措置を講ずるものとする。

 (自殺予防週間及び自殺対策強化月間)

第七条 国民の間に広く自殺対策の重要性に関する理解と関心を深めるとともに、自殺対策の総合的な推進に資するため、自殺予防週間及び自殺対策強化月間を設ける。

2 自殺予防週間は九月十日から九月十六日までとし、自殺対策強化月間は三月とする。

3 国及び地方公共団体は、自殺予防週間においては、啓発活動を広く展開するものとし、それにふさわしい事業を実施するよう努めるものとする。

4 国及び地方公共団体は、自殺対策強化月間においては、自殺対策を集中的に展開するものとし、関係機関及び関係団体と相互に連携協力を図りながら、相談事業その他それにふさわしい事業を実施するよう努めるものとする。

 (関係者の連携協力)

第八条 国、地方公共団体、医療機関、事業主、学校(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校をいい、幼稚園及び特別支援学校の幼稚部を除く。第十七条第一項及び第三項において同じ。)、自殺対策に係る活動を行う民間の団体その他の関係者は、自殺対策の総合的かつ効果的な推進のため、相互に連携を図りながら協力するものとする。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、平成二十八年四月一日から施行する。ただし、次項の規定は、公布の日から施行する。

 (内閣の重要政策に関する総合調整等に関する機能の強化のための国家行政組織法等の一部を改正する法律の一部改正)

2 内閣の重要政策に関する総合調整等に関する機能の強化のための国家行政組織法等の一部を改正する法律(平成二十七年法律第六十六号)の一部を次のように改正する。

  第十一条のうち厚生労働省設置法(平成十一年法律第九十七号)第四条第一項の改正規定中「自殺対策の大綱」を「自殺総合対策大綱」に、「第八条」を「第十二条」に改める。


     理 由

 自殺対策の一層の推進を図るため、自殺対策が生きることの包括的な支援として実施されるべきこと等を基本理念に明記するとともに、都道府県自殺対策計画及び市町村自殺対策計画の策定等について定めるほか、基本的施策を拡充し、自殺対策の推進につき必要な組織の整備を図る等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

 

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