衆議院

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第一九三回

参第二一号

   労働契約の終了の円滑化に関する施策の推進に関する法律案

 (目的)

第一条 この法律は、解雇の要件が不明確であること等が解雇その他の労働契約の終了に関する個別労働関係紛争(労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争をいう。以下同じ。)の発生及びその長期化の要因となっていること等に鑑み、労働契約の終了の円滑化に関する施策に関し、基本理念を定め、及び国の責務を明らかにするとともに、労働契約の終了の円滑化に関する施策の基本となる事項を定めることにより、労働契約の終了の円滑化に関する施策を重点的に推進することを目的とする。

 (基本理念)

第二条 労働契約の終了の円滑化に関する施策は、次に掲げる事項を旨として行われなければならない。

 一 解雇その他の労働契約の終了に関する個別労働関係紛争の未然の防止を図るとともに、これが生じた場合においてその適切かつ迅速な解決を図ること。

 二 対内直接投資等(外国為替及び外国貿易法(昭和二十四年法律第二百二十八号)第二十六条第二項に規定する対内直接投資等をいう。)の増大等による雇用機会の拡大及び成長産業への労働力の移動の促進に寄与すること。

 (国の責務)

第三条 国は、前条の基本理念にのっとり、労働契約の終了の円滑化に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。

 (法制上の措置等)

第四条 政府は、労働契約の終了の円滑化に関する施策を実施するため、必要な法制上の措置その他の措置を講じなければならない。

 (労働契約の終了の在り方に関する指針の策定等)

第五条 国は、解雇その他の労働契約の終了に関する個別労働関係紛争の未然の防止等に資するため、解雇に関する個別労働関係紛争に係る判決、裁判上の和解、労働審判法(平成十六年法律第四十五号)による調停、労働審判(同法第二十条の規定による労働審判をいう。)、都道府県労働局等によるあっせん(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(平成十三年法律第百十二号)第五条第一項のあっせん及び同法第二十条第一項の施策として地方公共団体が行うあっせんをいう。第八条において同じ。)等の事例並びに事業主及び労働者の合意による労働契約の終了の事例の収集、整理及び分析を行うことにより、労働契約の終了の在り方に関する指針を策定し、並びにこれを公表する等必要な施策を講ずるものとする。

 (解雇が無効とされた場合における金銭解決制度の導入)

第六条 国は、解雇が無効とされた場合において事業主からの労働者に対する金銭の支払を条件として労働契約を終了させる制度を導入するために必要な施策を講ずるものとする。

 (将来の個別労働関係紛争に係る仲裁手続の利用)

第七条 国は、解雇その他の労働契約の終了に関する個別労働関係紛争について、将来において生ずる紛争を対象とする仲裁合意(仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項に規定する仲裁合意をいう。)に基づく公正な仲裁手続を利用できるようにするために必要な施策を講ずるものとする。

 (訴訟手続によらずに個別労働関係紛争の解決を図る制度の一層の活用)

第八条 国は、解雇その他の労働契約の終了に関する個別労働関係紛争について、都道府県労働局等によるあっせんへの事業主の参加を促進するための措置その他訴訟手続によらずに個別労働関係紛争の解決を図る制度が一層活用されるために必要な施策を講ずるものとする。

 (解雇の要件の在り方についての調査研究等)

第九条 国は、解雇の要件の在り方について調査研究を行い、その結果に基づいて、必要な措置を講ずるものとする。

   附 則

 この法律は、公布の日から施行する。


     理 由

 解雇の要件が不明確であること等が解雇その他の労働契約の終了に関する個別労働関係紛争の発生及びその長期化の要因となっていること等に鑑み、労働契約の終了の円滑化に関する施策を重点的に推進するため、労働契約の終了の円滑化に関する施策に関し、基本理念を定め、及び国の責務を明らかにするとともに、労働契約の終了の円滑化に関する施策の基本となる事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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