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第一九七回

衆第九号

   貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案

第一条 貨物自動車運送事業法(平成元年法律第八十三号)の一部を次のように改正する。

  第五条各号列記以外の部分を次のように改める。

   国土交通大臣は、次に掲げる場合には、第三条の許可をしてはならない。

  第五条第一号中「一年」を「許可を受けようとする者が、一年」に、「二年」を「五年」に改め、「者」の下に「であるとき。」を加え、同条第二号中「一般貨物自動車運送事業」を「許可を受けようとする者が、一般貨物自動車運送事業」に、「二年」を「五年」に改め、「いう」の下に「。第四号において同じ」を加え、「第四号」を「第六号及び第八号」に改め、「ものを含む。)」の下に「であるとき。」を加え、同条第四号中「法人であって」を「許可を受けようとする者が法人である場合において」に、「前三号」を「前各号(第三号を除く。)」に、「のあるもの」を「があるとき。」に改め、同号を同条第八号とし、同条第三号中「営業」を「許可を受けようとする者が営業」に、「あって」を「ある場合において」に、「前二号」を「前各号(第三号を除く。)」に改め、「もの」の下に「であるとき。」を加え、同号を同条第七号とし、同条第二号の次に次の四号を加える。

  三 許可を受けようとする者と密接な関係を有する者(許可を受けようとする者(法人に限る。以下この号において同じ。)の株式の所有その他の事由を通じて当該許可を受けようとする者の事業を実質的に支配し、若しくはその事業に重要な影響を与える関係にある者として国土交通省令で定めるもの(以下この号において「許可を受けようとする者の親会社等」という。)、許可を受けようとする者の親会社等が株式の所有その他の事由を通じてその事業を実質的に支配し、若しくはその事業に重要な影響を与える関係にある者として国土交通省令で定めるもの又は当該許可を受けようとする者が株式の所有その他の事由を通じてその事業を実質的に支配し、若しくはその事業に重要な影響を与える関係にある者として国土交通省令で定めるもののうち、当該許可を受けようとする者と国土交通省令で定める密接な関係を有する法人をいう。)が、一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から五年を経過しない者であるとき。

  四 許可を受けようとする者が、一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業の許可の取消しの処分に係る聴聞の通知が到達した日から当該処分をする日又は処分をしないことを決定する日までの間に第三十二条(第三十五条第六項において準用する場合を含む。)の規定による事業の廃止の届出をした者(当該事業の廃止について相当の理由がある者を除く。)で、当該届出の日から五年を経過しないものであるとき。

  五 許可を受けようとする者が、第六十条第四項の規定による検査が行われた日から聴聞決定予定日(当該検査の結果に基づき一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業の許可の取消しの処分に係る聴聞を行うか否かの決定をすることが見込まれる日として国土交通省令で定めるところにより国土交通大臣が当該許可を受けようとする者に当該検査が行われた日から十日以内に特定の日を通知した場合における当該特定の日をいう。)までの間に第三十二条(第三十五条第六項において準用する場合を含む。)の規定による事業の廃止の届出をした者(当該事業の廃止について相当の理由がある者を除く。)で、当該届出の日から五年を経過しないものであるとき。

  六 第四号に規定する期間内に第三十二条(第三十五条第六項において準用する場合を含む。)の規定による事業の廃止の届出があった場合において、許可を受けようとする者が、同号の聴聞の通知が到達した日前六十日以内に当該届出に係る法人(当該事業の廃止について相当の理由がある法人を除く。)の役員であった者で、当該届出の日から五年を経過しないものであるとき。

  第六条第一号中「防止」の下に「、事業用自動車の安全性」を加え、同条第二号中「その事業の遂行上」を「事業用自動車の数、自動車車庫の規模その他の国土交通省令で定める事項に関し、その事業を継続して遂行するために」に改め、同条第三号中「適確に」の下に「、かつ、継続して」を、「足る」の下に「経済的基礎及びその他の」を加える。

  第十条第二項に次の一号を加える。

  三 前号の運賃及び料金の収受に関する事項については、国土交通省令で定める特別の事情がある場合を除き、運送の役務の対価としての運賃と運送の役務以外の役務又は特別に生ずる費用に係る料金とを区分して収受する旨が明確に定められているものであること。

  第十七条第一項を次のように改める。

   一般貨物自動車運送事業者は、次に掲げる事項に関し国土交通省令で定める基準を遵守しなければならない。

  一 事業用自動車の数、荷役その他の事業用自動車の運転に附帯する作業の状況等に応じて必要となる員数の運転者及びその他の従業員の確保、事業用自動車の運転者がその休憩又は睡眠のために利用することができる施設の整備及び管理、事業用自動車の運転者の適切な勤務時間及び乗務時間の設定その他事業用自動車の運転者の過労運転を防止するために必要な事項

  二 事業用自動車の定期的な点検及び整備その他事業用自動車の安全性を確保するために必要な事項

  第十九条第二項第一号及び第二号中「二年」を「五年」に改める。

  第二十四条の三の次に次の一条を加える。

  (事業の適確な遂行)

 第二十四条の四 一般貨物自動車運送事業者は、次に掲げる事項に関し国土交通省令で定める基準を遵守しなければならない。

  一 事業用自動車を保管することができる自動車車庫の整備及び管理に関する事項

  二 健康保険法(大正十一年法律第七十号)等の定めるところにより納付義務を負う保険料等の納付その他の事業の適正な運営に関する事項

  三 前二号に掲げるもののほか、輸送の安全に係る事項以外の事項であってその事業を適確に遂行するために必要なもの

 2 国土交通大臣は、一般貨物自動車運送事業者が前項の基準を遵守していないと認めるときは、当該一般貨物自動車運送事業者に対し、その是正のために必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。

  第三十二条中「廃止したときは、その日から三十日以内」を「廃止しようとするときは、その三十日前まで」に改める。

  第三十三条第二号中「第五条各号のいずれか」を「第五条第一号、第二号、第七号又は第八号」に改める。

  第三十五条第三項中「その事業の計画が過労運転の防止その他輸送の安全を確保するため適切なものである」を「第一項の許可の申請が次に掲げる基準に適合している」に、「第一項」を「同項」に改め、同項に次の各号を加える。

  一 その事業の計画が過労運転の防止、事業用自動車の安全性その他輸送の安全を確保するため適切なものであること。

  二 前号に掲げるもののほか、自動車車庫の規模その他の国土交通省令で定める事項に関し、その事業を遂行するために適切な計画を有するものであること。

  三 その事業を自ら適確に遂行するに足る能力を有するものであること。

  第三十五条第六項中「第二十四条の三」を「第二十四条の四」に改める。

  第三十六条第二項中「まで、第二十三条」の下に「、第二十四条の四」を加える。

  第三十七条第三項中「第二十四条の三」を「第二十四条の四」に改める。

  第六十三条の次に次の一条を加える。

  (荷主の責務)

 第六十三条の二 荷主は、貨物自動車運送事業者がこの法律又はこの法律に基づく命令を遵守して事業を遂行することができるよう、必要な配慮をしなければならない。

  第六十四条第一項中「一般貨物自動車運送事業者若しくは特定貨物自動車運送事業者(以下「一般貨物自動車運送事業者等」という。)」を「貨物自動車運送事業者」に改め、「第三十五条第六項」の下に「及び第三十六条第二項」を加え、「一般貨物自動車運送事業者等が」を「貨物自動車運送事業者が」に、「一般貨物自動車運送事業者等に」を「貨物自動車運送事業者に」に改め、同条に次の一項を加える。

 3 国土交通大臣は、第一項の規定による勧告をしたときは、その旨を公表するものとする。

  第七十六条第一号中「第二十五条第四項」を「第二十四条の四第二項(第三十五条第六項、第三十六条第二項及び第三十七条第三項において準用する場合を含む。)、第二十五条第四項」に改め、同条第七号の次に次の一号を加える。

  七の二 第三十二条(第三十五条第六項において準用する場合を含む。)の規定による届出をしないで、又は虚偽の届出をして、事業を休止し、又は廃止した者

  第七十九条第六号中「第三十二条(第三十五条第六項において準用する場合を含む。)、」を削る。

  附則第一条の次に次の一条を加える。

  (違反原因行為への対処)

 第一条の二 平成三十六年三月三十一日までの間、国土交通大臣は、貨物自動車運送事業者がこの法律又はこの法律に基づく命令に違反する原因となるおそれのある行為(以下この条において「違反原因行為」という。)を荷主がしている疑いがあると認めるときは、関係行政機関の長に対し、当該荷主に関する情報を提供することができる。

 2 平成三十六年三月三十一日までの間、国土交通大臣は、前項の荷主に対し、貨物自動車運送事業者がこの法律又はこの法律に基づく命令を遵守して事業を遂行することができるよう荷主が配慮することの重要性について理解を得るために必要な措置を講ずることができる。

 3 平成三十六年三月三十一日までの間、国土交通大臣は、荷主が違反原因行為をしていることを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、当該荷主に対し、違反原因行為をしないよう要請することができる。

 4 平成三十六年三月三十一日までの間、国土交通大臣は、前項の規定による要請を受けた荷主がなお違反原因行為をしていることを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、当該荷主に対し、違反原因行為をしないよう勧告することができる。ただし、第六十四条第一項の規定により勧告することができる場合は、この限りでない。

 5 国土交通大臣は、前項の規定による勧告をしたときは、その旨を公表するものとする。

 6 関係行政機関の長は、荷主による違反原因行為の効果的な防止を図るため、第二項から第四項までの規定の実施について、国土交通大臣に協力するものとする。

 7 国土交通大臣は、第二項から第四項までの規定の実施に際し、貨物自動車運送事業者に対する荷主の行為が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)第二条第九項に規定する不公正な取引方法に該当すると疑うに足りる事実を把握したときは、公正取引委員会に対し、その事実を通知するものとする。

第二条 貨物自動車運送事業法の一部を次のように改正する。

  附則第一条の二の次に次の一条を加える。

  (標準的な運賃)

 第一条の三 平成三十六年三月三十一日までの間、国土交通大臣は、事業用自動車の運転者の労働条件を改善するとともに、一般貨物自動車運送事業の健全な運営を確保し、及びその担う貨物流通の機能の維持向上を図るため、一般貨物自動車運送事業の能率的な経営の下における適正な原価及び適正な利潤を基準として、標準的な運賃を定めることができる。

 2 国土交通大臣は、前項の規定による標準的な運賃を定めたときは、遅滞なく、これを告示しなければならない。

 3 国土交通大臣は、第一項の規定による標準的な運賃の設定については、運輸審議会に諮らなければならない。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第二条の規定は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (許可等の申請に関する経過措置)

第二条 この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前にされたこの法律による改正前の貨物自動車運送事業法第三条若しくは第三十五条第一項の許可の申請又は同法第九条第一項(同法第三十五条第六項において準用する場合を含む。)、第十条第一項、第三十条第一項若しくは第二項若しくは第三十一条第一項の認可の申請であって、この法律の施行の際、許可又は認可をするかどうかの処分がなされていないものについてのこれらの処分については、なお従前の例による。

2 施行日前にされた中心市街地の活性化に関する法律(平成十年法律第九十二号)第四十八条第四項(同法第四十九条第三項において準用する場合を含む。)、流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(平成十七年法律第八十五号)第四条第一項若しくは第五条第一項、福島復興再生特別措置法(平成二十四年法律第二十五号)第六十一条第九項若しくは同法第六十二条第一項において準用する東日本大震災復興特別区域法(平成二十三年法律第百二十二号)第六条第一項又は都市の低炭素化の促進に関する法律(平成二十四年法律第八十四号)第三十三条第三項(同条第七項において準用する場合を含む。)の認定の申請であって、この法律の施行の際、認定をするかどうかの処分がなされていないものについてのこれらの処分については、この法律による改正後の貨物自動車運送事業法(次条において「新法」という。)第五条又は第六条の規定にかかわらず、なお従前の例による。

 (事業の休止及び廃止の届出に関する経過措置)

第三条 新法第三十二条(新法第三十五条第六項において準用する場合を含む。)の規定は、施行日から起算して三十日を経過した日以後にその事業を休止し、又は廃止する一般貨物自動車運送事業者又は特定貨物自動車運送事業者について適用し、同日前にその事業を休止し、又は廃止した一般貨物自動車運送事業者又は特定貨物自動車運送事業者については、なお従前の例による。

 (罰則に関する経過措置)

第四条 前条の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (政令への委任)

第五条 前三条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

 (調整規定)

第六条 施行日が成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律(平成▼▼▼年法律第▼▼▼号)附則第一条第一号に掲げる規定の施行の日前である場合には、同法第百四十九条第六号中「第五条第三号」とあるのは、「第五条第七号」とする。


     理 由

 貨物自動車運送事業の健全な発達及び事業用自動車の運転者の労働条件の改善を図るため、事業の適確な遂行に関する遵守義務を創設するとともに、荷主に勧告をした場合における公表制度の創設等の措置を講ずるほか、貨物自動車運送事業の業務について平成三十六年度から時間外労働の限度時間の設定がされること等を踏まえ、その担い手である運転者の不足により国民生活及び経済活動の重要な基盤である円滑な貨物流通に支障が生ずることのないよう、標準的な運賃を定めることができることとする等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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