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第一九八回

衆第三号

   雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律の一部を改正する法律案

 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和四十七年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。

 目次中「措置」を「措置等」に、「第十三条」を「第十三条の二」に、「解決の援助」を「解決の援助等」に改める。

 第二章第二節の節名中「措置」を「措置等」に改める。

 第十一条の見出し中「雇用管理上の措置」を「事業主の措置等」に改め、同条第一項中「当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上」を「次に掲げる措置その他」に改め、同項に次の各号を加える。

 一 当該不利益を与える行為又は労働者の就業環境を害する当該言動を行つた者への事業主による対処の方針その他の当該行為又は当該言動に関する事業主の方針について、その行う事業に従事する役員、使用人その他の従業者(以下単に「従業者」という。)に周知すること。

 二 公正な立場において、労働者からの当該不利益又は当該性的な言動に係る相談(次号及び次項において単に「相談」という。)に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備すること。

 三 労働者から相談があつた場合における事実の把握、当該不利益を受け、又は当該性的な言動を受けた労働者に対する支援、当該不利益を与える行為又は当該言動を行つた者への対処その他の当該行為又は当該言動に係る事後の迅速かつ適切な対応を行うこと。

 四 労働者から他の事業主の従業者による当該性的な言動に係る相談があつた場合において、必要があると認めるときは、当該他の事業主に対して当該言動に関し第三項の措置を講ずることを求め、又は厚生労働大臣に対して当該相談に係る事実を申告して是正のため適当な措置をとるように求めること。

 第十一条第三項を同条第九項とし、同条第二項中「前項」を「前各項」に、「措置」を「措置等」に改め、「次項」の下に「及び第九項」を加え、同項を同条第七項とし、同項の次に次の一項を加える。

8 厚生労働大臣は、指針を定めるに当たつては、第一項に規定する不利益を受け、又は労働者の就業環境を害する同項に規定する言動を受けた労働者の利益の保護に特に配慮するものとする。

 第十一条第一項の次に次の五項を加える。

2 事業主は、労働者が相談を行つたこと又は事業主による相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

3 事業主は、その従業者が、他の事業主の雇用する労働者に対し、労働者の就業環境を害する第一項に規定する言動を行わないよう、従業者に対する研修の実施、当該言動に係る事後の迅速かつ適切な対応その他の必要な措置を講じなければならない。

4 事業主は、他の事業主から当該他の事業主の講ずる第一項又は前項の措置の実施に関し必要な協力を求められた場合には、これに応ずるように努めなければならない。

5 事業主は、他の事業主から第一項第四号の求めを受けたことを理由として、当該他の事業主に対して契約の解除その他不利益な取扱いをしてはならない。

6 事業主は、その雇用する労働者の就業環境を害する第一項に規定する言動が同項第四号の求めを行つた後においても継続しているとき又は同号の他の事業主が前項の規定に違反したときは、厚生労働大臣に対してその旨を申告して是正のため適当な措置をとるように求めることができる。

 第十一条の二の見出し中「雇用管理上の措置」を「事業主の措置等」に改め、同条第一項中「当該女性労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上」を「次に掲げる措置その他」に改め、同項に次の各号を加える。

 一 女性労働者の就業環境を害する当該言動を行つた者への事業主による対処の方針その他の当該言動に関する事業主の方針について、その従業者に周知すること。

 二 公正な立場において、女性労働者からの女性労働者の就業環境を害する当該言動に係る相談(次号及び次項において単に「相談」という。)に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備すること。

 三 女性労働者から相談があつた場合における事実の把握、女性労働者の就業環境を害する当該言動を受けた女性労働者に対する支援、当該言動を行つた者への対処その他の当該言動に係る事後の迅速かつ適切な対応を行うこと。

 四 女性労働者から他の事業主の従業者による女性労働者の就業環境を害する当該言動に係る相談があつた場合において、必要があると認めるときは、当該他の事業主に対して当該言動に関し第三項の措置を講ずることを求め、又は厚生労働大臣に対して当該相談に係る事実を申告して是正のため適当な措置をとるように求めること。

 第十一条の二第三項を同条第七項とし、同条第二項中「前項」を「前各項」に、「措置」を「措置等」に改め、「次項」の下に「及び第七項」を加え、同項を同条第五項とし、同項の次に次の一項を加える。

6 厚生労働大臣は、指針を定めるに当たつては、女性労働者の就業環境を害する第一項に規定する言動を受けた女性労働者の利益の保護に特に配慮するものとする。

 第十一条の二第一項の次に次の三項を加える。

2 第十一条第二項の規定は、労働者が相談を行い、又は事業主による相談への対応に協力した際に事実を述べた場合について準用する。

3 事業主は、その従業者が、他の事業主の雇用する女性労働者に対し、女性労働者の就業環境を害する第一項に規定する言動を行わないよう、従業者に対する研修の実施、当該言動に係る事後の迅速かつ適切な対応その他の必要な措置を講じなければならない。

4 第十一条第四項の規定は事業主が他の事業主から当該他の事業主の講ずる第一項又は前項の措置の実施に関し必要な協力を求められた場合について、同条第五項の規定は事業主が他の事業主から第一項第四号の求めを受けた場合について、同条第六項の規定は女性労働者の就業環境を害する第一項に規定する言動が同項第四号の求めを行つた後においても継続している場合又は事業主がこの項において準用する同条第五項の規定に違反した場合について、それぞれ準用する。

 第十一条の二を第十一条の三とし、同条の次に次の一条を加える。

 (職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関する国及び地方公共団体、事業主並びに従業者の責務)

第十一条の四 国及び地方公共団体は、女性労働者の就業環境を害する前条第一項に規定する言動を行つてはならないこと、当該言動をなくすことが女性労働者の職業生活の充実にとつて不可欠であることその他当該言動に起因する問題(第三項において「妊娠・出産等関係言動問題」という。)に対する事業主その他国民一般の関心と理解を深めるため、広報活動、啓発活動その他の措置を講ずるものとする。

2 事業主は、国及び地方公共団体の講ずる前項の措置に協力しなければならない。

3 事業主の従業者及び個人である事業主は、妊娠・出産等関係言動問題に対する関心と理解を深めるとともに、女性労働者に対して女性労働者の就業環境を害する前条第一項に規定する言動を行わないようにしなければならない。

4 事業主の従業者は、当該事業主の講ずる前条第一項及び第三項の措置に協力するように努めなければならない。

 第十一条の次に次の一条を加える。

 (職場における性的な言動に起因する問題に関する国及び地方公共団体、事業主並びに従業者の責務)

第十一条の二 国及び地方公共団体は、前条第一項に規定する不利益を与える行為又は労働者の就業環境を害する同項に規定する言動を行つてはならないこと、当該行為及び当該言動をなくすことが労働者の職業生活の充実にとつて不可欠であることその他当該行為又は当該言動に起因する問題(第三項において「性的言動問題」という。)に対する事業主その他国民一般の関心と理解を深めるため、広報活動、啓発活動その他の措置を講ずるものとする。

2 事業主は、国及び地方公共団体の講ずる前項の措置に協力しなければならない。

3 事業主の従業者及び個人である事業主は、性的言動問題に対する関心と理解を深めるとともに、労働者に対して前条第一項に規定する不利益を与える行為又は労働者の就業環境を害する同項に規定する言動を行わないようにしなければならない。

4 事業主の従業者は、当該事業主の講ずる前条第一項及び第三項の措置に協力するように努めなければならない。

 第二章第二節中第十三条の次に次の一条を加える。

 (男女雇用機会均等推進者)

第十三条の二 事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、第八条、第十一条第一項及び第三項、第十一条の二第二項、第十一条の三第一項及び第三項、第十一条の四第二項、第十二条並びに前条第一項に定める措置等並びに職場における男女の均等な機会及び待遇の確保が図られるようにするために講ずべきその他の措置の適切かつ有効な実施を図るための業務を担当する者を選任するものとする。

 第十四条に次の二項を加える。

2 国は、第十一条第一項及び第三項並びに第十一条の三第一項及び第三項の規定に基づき事業主が講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図るため、相談、情報の提供その他の必要な援助に努めるものとする。

3 国は、前項の援助を行うに当たつては、中小企業者に対し、特別の配慮をするものとする。

 第三章第一節の節名中「援助」を「援助等」に改める。

 第十六条中「、第十一条の二第一項、第十二条及び」を「、第二項(第十一条の三第二項において準用する場合を含む。)及び第三項、第十一条の三第一項及び第三項、第十二条並びに」に改める。

 第十七条第二項を次のように改める。

2 第十一条第二項の規定は、労働者が前項の援助を求めた場合について準用する。

 第十八条第二項中「前条第二項」を「第十一条第二項」に改める。

 第二十条第一項中「関係当事者」の下に「又は関係当事者と同一の事業場に雇用される労働者その他の参考人」を加え、同条第二項を削る。

 第二十八条の見出しを「(調査研究等)」に改め、同条第三項を同条第四項とし、同条第二項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。

2 厚生労働大臣は、第十一条第一項に規定する不利益を与える行為若しくは労働者の就業環境を害する同項に規定する言動又は女性労働者の就業環境を害する第十一条の三第一項に規定する言動に関し、その実態の調査、当該行為又はこれらの言動の効果的な防止に関する研究その他の調査研究並びに情報の収集、整理及び分析を行うものとする。

 第三十条中「第十一条の二第一項、第十二条及び」を「第二項(第十一条の三第二項、第十七条第二項及び第十八条第二項において準用する場合を含む。)及び第三項、第十一条の三第一項及び第三項、第十二条並びに」に改め、同条の次に次の一条を加える。

 (事業主の申告に係る措置)

第三十条の二 厚生労働大臣は、事業主から第十一条第六項(第十一条の三第四項において準用する場合を含む。)の規定による申告があつたときは、必要な調査を行い、その申告の内容が事実であると認めるときは、当該申告に係る他の事業主に対する指導又は勧告、当該申告の内容が事実であつた旨の公表その他の適当な措置をとらなければならない。

 第三十一条第一項中「第十一条第三項、第十一条の二第三項」を「第十一条第九項、第十一条の三第七項」に、「第十一条第二項、第十一条の二第二項」を「第十一条第七項及び第八項、第十一条の三第五項及び第六項」に、「第十一条の二第一項」を「第十一条の三第一項」に改め、「第十二条」の下に「、第十三条の二」を加える。

 第三十二条中「第二章第一節及び第三節」を「第二章第一節、第十三条の二、同章第三節」に、「、第二十九条並びに第三十条」を「及び第二十九条から第三十条の二まで」に改め、「第二章第二節」の下に「(第十三条の二を除く。)」を加える。

 附則第二項を次のように改める。

 (女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の失効までの間の男女雇用機会均等推進者の業務)

2 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成二十七年法律第六十四号)附則第二条第一項に規定する日までの間は、第十三条の二中「並びに職場」とあるのは、「、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成二十七年法律第六十四号)第八条第一項に規定する一般事業主行動計画に基づく取組及び同法第二十条の規定による情報の公表の推進のための措置並びに職場」とする。

 附則第三項を削る。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、附則第三条及び第八条の規定は、公布の日から施行する。

 (検討)

第二条 政府は、この法律の施行後三年を目途として、この法律による改正後の雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(次条において「新法」という。)の施行の状況等を勘案し、職場において行われる性的な言動に対する労働者の対応により当該労働者にその労働条件につき不利益を与える行為及び労働者の就業環境を害する職場において行われる性的な言動並びに女性労働者の就業環境を害する職場において行われる妊娠、出産等に関する言動に対する禁止その他の規制の在り方について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

2 政府は、この法律の施行後三年を目途として、雇用と類似の就業形態の者及び労働者になろうとする者に対して行われる性的な言動に対するこれらの者の対応によりこれらの者にその契約条件等につき不利益を与える行為及びこれらの者の就業環境等を害する性的な言動並びにこれらの者の就業環境等を害する妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に対処するための施策について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

3 政府は、前二項に規定するもののほか、この法律の施行後五年を目途として、労働者等の就業環境等を害する言動に起因する問題に対処するための施策について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

 (新法の適用を受けない国家公務員に関する措置)

第三条 新法第二章第二節及び第三章の規定の適用を受けない国家公務員については、これらの規定を踏まえ、必要な措置が講ぜられるものとする。

 (船員職業安定法の一部改正)

第四条 船員職業安定法(昭和二十三年法律第百三十号)の一部を次のように改正する。

  第九十一条中「、第十二条及び」を「及び第三項、第十二条並びに」に改め、同条後段を削る。

 (障害者の雇用の促進等に関する法律の一部改正)

第五条 障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三十五年法律第百二十三号)の一部を次のように改正する。

  第七十四条の八中「、第二十条第一項及び第二十一条」を削り、「第二十条第一項中「関係当事者」とあるのは「関係当事者又は」を「第二十条中「関係当事者と同一の事業場に雇用される労働者」とあるのは「」に改め、「その他の参考人」を削る。

  第八十五条の二第三項中「第二十条第一項、第二十一条」を「第二十条」に、「同項中「関係当事者」とあるのは「関係当事者又は」を「同法第二十条中「関係当事者と同一の事業場に雇用される労働者」とあるのは「」に改め、「その他の参考人」を削る。

 (労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律の一部改正)

第六条 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)の一部を次のように改正する。

  第四十七条の二中「、第十一条の二第一項、第十二条及び」を「及び第三項、第十一条の三第一項及び第三項、第十二条並びに」に改め、同条後段を削る。

  第四十七条の八中「、第二十条第一項及び第二十一条」を削り、「第二十条第一項中「関係当事者」とあるのは「関係当事者又は関係当事者と同一の事業所に雇用される労働者その他の参考人」を「第二十条中「事業場」とあるのは「事業所」に改める。

 (短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部改正)

第七条 短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成五年法律第七十六号)の一部を次のように改正する。

  第二十六条中「、第二十条第一項及び第二十一条」を削り、「第二十条第一項中「関係当事者」とあるのは「関係当事者又は関係当事者と同一の事業所に雇用される労働者その他の参考人」を「第二十条中「事業場」とあるのは「事業所」に、「第二十五条第一項」と読み替える」を「第二十三条」と読み替える」に改める。

 (政令への委任)

第八条 この法律の施行に関して必要な経過措置は、政令で定める。


     理 由

 いわゆるセクシュアルハラスメント等を効果的に防止できるよう、新たに事業主に対してその従業者が他社の労働者にセクシュアルハラスメント等を行わないように必要な措置を義務付けるとともに、セクシュアルハラスメント等に関する対処の方針の周知、迅速かつ適切な事後対応その他の事業主が講ずべき措置を具体化する等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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