衆議院

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第一九八回

衆第一二号

   災害弔慰金の支給等に関する法律の一部を改正する法律案

 災害弔慰金の支給等に関する法律(昭和四十八年法律第八十二号)の一部を次のように改正する。

 目次中「第四章 災害援護資金の貸付け(第十条―第十五条)」を

第四章 災害援護資金の貸付け(第十条―第十七条)

 

 

第五章 雑則(第十八条・第十九条)

に改める。

 第十一条中「第十三条第一項」の下に「、第十四条第一項、第十六条、第十八条及び附則第二条第一項」を加える。

 第十五条を第十七条とし、第十四条を第十五条とし、同条の次に次の一条を加える。

 (報告等)

第十六条 市町村は、この法律の規定により、償還金の支払を猶予し、又は災害援護資金の償還未済額の全部若しくは一部の償還を免除するか否かを判断するために必要があると認めるときは、災害援護資金の貸付けを受けた者又はその保証人の収入又は資産の状況について、災害援護資金の貸付けを受けた者若しくはその保証人に報告を求め、又は官公署に対し必要な文書の閲覧若しくは資料の提供を求めることができる。

 第十三条第一項中「又は精神」を「精神」に改め、「認められるとき」の下に「又は破産手続開始の決定若しくは再生手続開始の決定を受けたとき」を加え、同項ただし書中「政令で定める場合」を「次の各号のいずれかに該当するとき」に改め、同項に次の各号を加える。

 一 災害援護資金の貸付けを受けた者が、第十六条の規定により報告を求められて、正当な理由がなく報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

 二 災害援護資金の貸付けを受けた者の保証人が、当該災害援護資金の償還未済額を償還することができると認められるとき。

 第十三条を第十四条とし、第十二条の次に次の一条を加える。

 (償還金の支払猶予)

第十三条 市町村は、災害その他政令で定めるやむを得ない理由により、災害援護資金の貸付けを受けた者が支払期日に償還金を支払うことが著しく困難になつたと認められるときは、償還金の支払を猶予することができる。ただし、災害援護資金の貸付けを受けた者が、第十六条の規定により報告を求められて、正当な理由がなく報告をせず、又は虚偽の報告をしたときは、この限りでない。

2 前項の規定により償還金の支払が猶予されたときは、災害援護資金の利子の計算については、当該償還金の支払によつて償還されるべきであつた災害援護資金は、猶予前の支払期日に償還されたものとみなす。

 本則に次の一章を加える。

   第五章 雑則

 (市町村における合議制の機関)

第十八条 市町村は、災害弔慰金及び災害障害見舞金の支給に関する事項を調査審議するため、条例の定めるところにより、審議会その他の合議制の機関を置くよう努めるものとする。

 (制度の周知徹底)

第十九条 国は、災害弔慰金及び災害障害見舞金の支給並びに災害援護資金の貸付けの申請の機会が確保されるよう、災害弔慰金及び災害障害見舞金の支給並びに災害援護資金の貸付けに関する制度の周知徹底を図るものとする。

 附則第二項を削り、附則第一項を附則第一条とし、附則に次の三条を加える。

 (被災者生活再建支援法附則に規定する都道府県の基金に対する資金の拠出があつた日前に生じた災害に係る償還免除の特例)

第二条 市町村は、被災者生活再建支援法(平成十年法律第六十六号)附則に規定する都道府県の基金に対する資金の拠出があつた日として内閣総理大臣が告示する日前に生じた災害に係る災害援護資金について、当該災害援護資金の貸付けを受けた者がその収入及び資産の状況により当該災害援護資金を償還することが著しく困難であると認められる場合として内閣府令で定める場合には、当該災害援護資金の償還未済額の全部又は一部の償還を免除することができる。ただし、災害援護資金の貸付けを受けた者が、第十六条の規定により報告を求められて、正当な理由がなく報告をせず、又は虚偽の報告をしたときは、この限りでない。

2 都道府県は、市町村が前項の規定により災害援護資金の償還を免除したときは、当該市町村に対し、その免除した金額に相当する額の貸付金の償還を免除するものとする。

3 国は、指定都市又は都道府県が第一項又は前項の規定により災害援護資金又は貸付金の償還を免除したときは、当該指定都市又は都道府県に対し、その免除した金額の三分の二に相当する額の貸付金の償還を免除するものとする。

 (平成三十一年四月一日前に生じた災害に係る災害援護資金の保証債権に関する特例)

第三条 平成三十一年四月一日前に生じた災害に係る災害援護資金の貸付けを受けた者の保証人に対して有する権利について、市町村が、当該災害援護資金の償還期間の終期から十年を経過した後に地方自治法の規定により議会の議決を経て当該権利を放棄したときは、都道府県は、当該市町村に対し、当該保証人の保証を受けた者であつて内閣府令で定める事由があるものの災害援護資金の償還未済額に相当する額の貸付金の償還を免除するものとする。

2 国は、都道府県が前項の規定により貸付金の償還を免除したときは、当該都道府県に対し、その免除した金額の三分の二に相当する額の貸付金の償還を免除するものとする。

3 平成三十一年四月一日前に生じた災害に係る災害援護資金の貸付けを受けた者の保証人に対して有する権利について、指定都市が、当該災害援護資金の償還期間の終期から十年を経過した後に地方自治法の規定により議会の議決を経て当該権利を放棄したときは、国は、当該指定都市に対し、当該保証人の保証を受けた者であつて第一項の内閣府令で定める事由があるものの災害援護資金の償還未済額の三分の二に相当する額の貸付金の償還を免除するものとする。

 (財務大臣との協議)

第四条 内閣総理大臣は、附則第二条第一項又は前条第一項の内閣府令を定めようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、令和元年八月一日から施行する。ただし、次条の規定は、公布の日から施行する。

 (準備行為)

第二条 内閣総理大臣は、この法律による改正後の災害弔慰金の支給等に関する法律(以下「新法」という。)附則第二条第一項又は第三条第一項の内閣府令を定めようとするときは、この法律の施行の日前においても、財務大臣に協議することができる。

 (経過措置)

第三条 この法律の施行前に市町村(特別区を含む。次条において同じ。)が地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号。これに基づく命令を含む。)の規定によりした新法附則第二条第一項に規定する災害に係る災害援護資金に係る債務の免除(同項に規定する場合にされたものに限る。)は、同項の規定による免除とみなす。

第四条 新法附則第三条の規定は、この法律の施行前に、市町村が、平成三十一年四月一日前に生じた災害に係る災害援護資金の貸付けを受けた者の保証人に対して有する権利について、当該災害援護資金の償還期間の終期から十年を経過した後に地方自治法の規定により議会の議決を経て当該権利を放棄したときにも適用する。

 (東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律の一部改正)

第五条 東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律(平成二十三年法律第四十号)の一部を次のように改正する。

  第百三条第一項中「第十三条第一項」を「第十四条第一項」に改める。


     理 由

 災害援護資金の貸付けを受けた者が置かれている状況等に鑑み、償還金の支払猶予、償還免除の対象範囲の拡大、償還免除の特例、市町村における合議制の機関の設置、制度の周知徹底等について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。


   本案施行に要する経費

 本案施行による減収見込額は、約六十億円である。

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