衆議院

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第二〇三回

衆第八号

   新型インフルエンザ等対策特別措置法及び感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の一部を改正する法律案

 (新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部改正)

第一条 新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成二十四年法律第三十一号)の一部を次のように改正する。

  目次中「第三十一条」を「第三十一条の七」に、「第六十二条」を「第六十一条の二」に改める。

  第七条第二項第五号中「新型インフルエンザ等対策」を「適切な医療の提供を確保するための相互応援の円滑な実施に関する事項その他新型インフルエンザ等対策」に改め、同項第六号を同項第七号とし、同項第五号の次に次の一号を加える。

  六 新型インフルエンザ等に関する情報の関係都道府県との共有に関する事項

  第八条第二項第四号中「新型インフルエンザ等対策」を「適切な医療の提供を確保するための相互応援の円滑な実施に関する事項その他新型インフルエンザ等対策」に改める。

  第十六条第三項中「第二十条第三項」を「第二十条第四項」に改める。

  第十七条第二号中「及び」の下に「第三項並びに」を加える。

  第十八条の次に次の一条を加える。

  (基本的対処方針の変更の要請)

 第十八条の二 都道府県対策本部長(第二十三条第一項に規定する都道府県対策本部長をいう。次項において同じ。)は、政府対策本部長に対し、理由を付して、基本的対処方針の変更を要請することができる。

 2 政府対策本部長は、前項の規定による要請に応じない場合は、当該要請をした都道府県対策本部長に対し、その旨及びその理由を示さなければならない。

  第二十条第四項を同条第五項とし、同条第三項中「第一項」の下に「及び前項」を加え、同項を同条第四項とし、同条第二項の次に次の一項を加える。

 3 政府対策本部長は、第一項の総合調整を行うため必要があると認めるときは、都道府県知事等に対し、新型インフルエンザ等対策の実施に関し必要な情報の提供を求めることができる。

  第二十四条第二項中「執行機関(」の下に「第七項及び」を加え、同条第九項を同条第十項とし、同条第八項を同条第九項とし、同条第七項を同条第八項とし、同条第六項の次に次の一項を加える。

 7 前項に定めるもののほか、都道府県対策本部長は、第一項の総合調整を行うため必要があると認めるときは、関係市町村長等に対し、それぞれ当該都道府県の区域に係る新型インフルエンザ等対策の実施に関し必要な情報の提供を求めることができる。

  第二十六条中「第二十二条から前条まで」を「第十八条の二、第二十二条から前条まで、第三十二条の二」に改め、同条の次に次の一条を加える。

  (関係者相互の連携)

 第二十六条の二 指定行政機関の長、指定地方行政機関の長、地方公共団体の長その他の関係者は、新型インフルエンザ等対策の実施に関し必要な情報交換を行うことその他相互の密接な連携を確保しなければならない。

  第三章中第三十一条の次に次の六条を加える。

  (臨時の医療施設等)

 第三十一条の二 都道府県知事は、当該都道府県の区域内において病院その他の医療機関が不足し、医療の提供に支障が生ずるおそれがあると認める場合において、患者等に対する医療の提供を行うため必要があると認めるときは、その都道府県行動計画で定めるところにより、当該医療の提供を行うための施設(第四項及び第四十八条第三項において「医療施設」という。)であって都道府県知事が臨時に開設するもの(以下「臨時の医療施設」という。)において医療を提供することができる。

 2 都道府県知事は、必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、前項の措置の実施に関する事務の一部を市町村長が行うこととすることができる。

 3 消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第十七条第一項及び第二項の規定は、臨時の医療施設については、適用しない。この場合において、都道府県知事は、同法に準拠して、臨時の医療施設についての消防の用に供する設備、消防用水及び消火活動上必要な施設の設置及び維持に関する基準を定め、その他当該臨時の医療施設における災害を防止し、及び公共の安全を確保するため必要な措置を講じなければならない。

 4 建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第八十五条第一項本文、第三項及び第四項並びに景観法(平成十六年法律第百十号)第七十七条第一項、第三項及び第四項の規定は第一項の措置の実施に関し都道府県知事が行う医療施設の応急の修繕及び臨時の医療施設の建築について、建築基準法第八十七条の三第一項本文、第三項及び第四項の規定は第一項の措置の実施に関し都道府県知事が建築物の用途を変更して臨時の医療施設として使用する場合における当該臨時の医療施設について、それぞれ準用する。この場合において、同法第八十五条第一項中「非常災害があつた場合において、非常災害区域等(非常災害が発生した区域又はこれに隣接する区域で特定行政庁が指定するものをいう。第八十七条の三第一項において同じ。)内」とあるのは「新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成二十四年法律第三十一号)第十五条第一項の規定により同項に規定する政府対策本部が設置された場合」と、「その災害が発生した日から一月以内」とあるのは「当該政府対策本部が設置された時から同法第二十一条第一項の規定により当該政府対策本部が廃止されるまでの間」と、同法第八十七条の三第一項中「非常災害があつた場合において、非常災害区域等内にある」とあるのは「新型インフルエンザ等対策特別措置法第十五条第一項の規定により同項に規定する政府対策本部が設置された場合において、」と、「その災害が発生した日から一月以内」とあるのは「当該政府対策本部が設置された時から同法第二十一条第一項の規定により当該政府対策本部が廃止されるまでの間」と、景観法第七十七条第一項中「非常災害があった場合において、その発生した区域又はこれに隣接する区域で市町村長が指定するものの内」とあるのは「新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成二十四年法律第三十一号)第十五条第一項の規定により同項に規定する政府対策本部が設置された場合」と、「その災害が発生した日から一月以内」とあるのは「当該政府対策本部が設置された時から同法第二十一条第一項の規定により当該政府対策本部が廃止されるまでの間」と読み替えるものとする。

 5 医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第四章の規定は、臨時の医療施設については、適用しない。

 6 第一項の規定により臨時の医療施設を開設した都道府県知事が統括する都道府県の区域内において病院を開設した者又は医療法第七条第一項に規定する臨床研修等修了医師及び臨床研修等修了歯科医師でない者で当該都道府県の区域内において診療所を開設したものが、第一項に規定する場合における医療の提供を行うことを目的として、病床数その他同条第二項の厚生労働省令で定める事項を変更しようとする場合については、当該医療の提供を行う期間(六月以内の期間に限る。)に限り、同項の規定は、適用しない。

 7 前項の場合において、同項に規定する者は、当該医療の提供を開始した日から起算して十日以内に、当該病院又は診療所の所在地の都道府県知事(診療所の所在地が保健所を設置する市又は特別区の区域にある場合においては、当該保健所を設置する市の市長又は特別区の区長)に当該変更の内容を届け出なければならない。

 8 都道府県知事は、第一項に規定するおそれがなくなったと認めるときは、同項の規定により開設した臨時の医療施設を廃止するものとする。

  (感染防止滞在施設又は居宅等から外出しないことの要請等)

 第三十一条の三 都道府県知事は、当該都道府県の区域内において病院その他の医療機関(臨時の医療施設を含む。)が不足し、医療の提供に支障が生ずるおそれがあると認める場合において、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認めるときは、軽症者等に対し、新型インフルエンザ等の潜伏期間及び治癒までの期間を考慮して当該都道府県知事が定める期間において、当該軽症者等の生活の状況その他の事情を考慮した上で、当該都道府県知事が定めるところにより、次に掲げるいずれかの協力を要請することができる。

  一 感染防止滞在施設(新型インフルエンザ等を他の者に感染させることを防止するために軽症者等を滞在させるための宿泊施設、公共施設その他の施設(政令で定める基準に適合するものに限る。)のうち、都道府県知事が指定する施設をいう。以下同じ。)を利用するとともに、当該感染防止滞在施設から外出しないこと。

  二 当該軽症者等の居宅又はこれに相当する場所(当該都道府県の区域内にあるものに限る。第三項及び次条第三項において「居宅等」という。)から外出しないこと。

 2 前項の「軽症者等」とは、新型インフルエンザ等の病原体を保有している者若しくは新型インフルエンザ等の疑似症を呈している者又は新型インフルエンザ等の所見がある者であって、次に掲げる者以外のものをいう。

  一 新型インフルエンザ等の病状の程度が重篤となるおそれがある者

  二 前号に掲げる者のほか、感染症法第二十六条(感染症法第八条第二項又は第三項の規定によりみなして適用する場合を含む。)において準用する感染症法第十九条第一項の規定又は感染症法第四十六条第一項の規定による入院の勧告をされるべき者

 3 都道府県知事は、第一項の規定により軽症者等(前項に規定する軽症者等をいう。以下同じ。)に対して居宅等から外出しないことの要請をする場合において、新型インフルエンザ等を他の者に感染させることを防止するため特に必要があると認めるときは、当該軽症者等に対し、第一項の規定により定める期間内において、多数の者と面会しないことその他の新型インフルエンザ等の感染の防止に必要な協力を要請することができる。

 4 都道府県知事は、第一項又は前項の規定による要請をする場合には、当該要請に係る軽症者等又はその保護者(親権を行う者又は後見人をいう。次条第四項において同じ。)に対し適切な説明を行い、その理解を得るよう努めなければならない。

 5 都道府県知事は、第一項の規定による要請をした軽症者等について、当該要請に係る新型インフルエンザ等の病原体を保有していないことが確認されたことその他の事由により当該要請を継続する必要がなくなったと認めるときは、同項の規定により定めた期間を短縮しなければならない。

 第三十一条の四 都道府県知事は、前条第一項の規定による要請をしたときは、当該要請に応じた軽症者等の生命及び健康の確保に関し十分に配慮し、危険が及ばないよう必要な措置を講じなければならない。

 2 都道府県知事は、政令で定めるところにより、前項の軽症者等に対し、前条第一項の規定により定めた期間内において、当該軽症者等の体温その他の健康状態について報告を求めることができる。

 3 都道府県知事は、前条第一項の規定による要請をしたときは、必要に応じ、当該要請に応じた軽症者等に対し、食事の提供、日用品の支給その他日常生活を営むために必要なサービスの提供又は物品の支給(次項において「食事の提供等」という。)をしなければならない。ただし、同条第一項の規定による居宅等から外出しないことの要請に応じた軽症者等に対し、生活の維持に必要な場合に外出することができることとするときは、この限りでない。

 4 都道府県知事は、前項の規定により、必要な食事の提供等を行った場合は、当該食事の提供等を受けた者又はその保護者から、当該食事の提供等に要した実費を徴収することができる。

  (感染防止滞在施設の確保)

 第三十一条の五 都道府県知事は、当該都道府県の区域内における新型インフルエンザ等のまん延の状況及び医療の提供の状況その他の状況を勘案し、第三十一条の三第一項の規定による要請を適切に行うために必要な数の感染防止滞在施設を確保しなければならない。

  (土地等の使用)

 第三十一条の六 都道府県知事は、当該都道府県の区域に係る新型インフルエンザ等対策の実施に当たり、臨時の医療施設を開設し、又は感染防止滞在施設を確保するため、土地、家屋又は物資(以下この条において「土地等」という。)を使用する必要があると認めるときは、当該土地等の所有者及び占有者の同意を得て、当該土地等を使用することができる。

  (物資の生産等の要請)

 第三十一条の七 指定行政機関の長又は指定地方行政機関の長は、新型インフルエンザ等対策の実施に必要な物資(医薬品、食品、衛生用品その他の政令で定める物資に限る。)の供給が不足し、又は不足するおそれがある場合において、当該物資の生産又は輸入を促進する必要があると認めるときは、当該物資の生産又は輸入をすることができると認められる事業者に対し、その目標を示して、当該物資の生産又は輸入を要請することができる。

 2 指定行政機関の長又は指定地方行政機関の長は、前項に規定する新型インフルエンザ等対策の実施に必要な物資の供給が不足し、かつ、その需給の均衡を回復することが相当の期間困難である場合には、当該物資であって生産、集荷、販売、配給、保管又は輸送を業とする者が取り扱うもの(以下「特定物資」という。)について、その所有者に対し、売渡先を定めて、当該特定物資の売渡しを要請することができる。

  第三十二条第一項中「第五項及び第三十四条第一項において」を「以下」に改め、同条第五項中「いう」の下に「。次条第一項において同じ」を加え、同条の次に次の一条を加える。

  (新型インフルエンザ等緊急事態宣言等の要請)

 第三十二条の二 都道府県対策本部長は、政府対策本部長に対し、理由を付して、新型インフルエンザ等緊急事態宣言若しくは新型インフルエンザ等緊急事態解除宣言をし、又は前条第一項第一号に掲げる期間を延長し、若しくは同項第二号に掲げる区域を変更するよう要請することができる。

 2 政府対策本部長は、前項の規定による要請に応じない場合は、当該要請をした都道府県対策本部長に対し、その旨及びその理由を示さなければならない。

  第三十三条第一項中「第二十条第三項及び第四項」を「第二十条第四項及び第五項」に改める。

  第三十七条中「第二十二条から前条まで」を「第十八条の二、第二十二条から前条まで、第三十二条の二」に改める。

  第四十五条第二項中「次項」を「以下この条及び第六十一条の二第一項」に改め、同条第四項を同条第五項とし、同条第三項中「前項」を「、第二項」に改め、「応じないとき」の下に「又は前項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の報告をせず、若しくは虚偽の報告をした場合であって、施設管理者等が当該要請に係る措置を講じていない疑いがあると認められるとき」を加え、同項を同条第四項とし、同条第二項の次に次の一項を加える。

 3 特定都道府県知事は、施設管理者等が前項の規定による要請に応じているかどうかを調査するため必要があると認めるときは、施設管理者等に対し必要な報告を求め、又はその職員に同項の施設に立ち入り、当該要請に係る措置の実施の状況を検査させることができる。

  第四十五条に次の二項を加える。

 6 第三項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。

 7 第三項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

  第四十八条第一項中「患者等に対する医療の提供を行うための施設(第四項において「医療施設」という。)であって特定都道府県知事が臨時に開設するもの(以下この条及び次条において「臨時の医療施設」という。)」を「臨時の医療施設」に改め、同条第三項を削り、同条第四項中「(昭和二十五年法律第二百一号)」及び「(平成十六年法律第百十号)」を削り、同項を同条第三項とし、同条第五項を削り、同条第六項を同条第四項とし、同条第七項を同条第五項とする。

  第四十九条第一項中「開設する」を「開設し、又は感染防止滞在施設を確保する」に改め、同条第二項中「、又は」を「又は」に、「開設する」を「開設し、又は感染防止滞在施設を確保する」に改める。

  第五十五条第一項中「新型インフルエンザ等緊急事態措置の実施に必要な物資(医薬品、食品その他の政令で定める物資に限る。)であって生産、集荷、販売、配給、保管又は輸送を業とする者が取り扱うもの(以下「特定物資」という。)について、その」を「特定物資の」に改める。

  第五章中第六十二条の前に次の二条を加える。

  (給付金の支給)

 第六十一条の二 都道府県は、第四十五条第二項の要請のうち同項の政令で定める多数の者が利用する施設の使用の制限若しくは停止若しくは催物の開催の制限若しくは停止(以下この項において「施設の使用制限等」という。)に係る要請に応じ、又は同条第四項の指示のうち施設の使用制限等に係る指示に従った施設管理者等に対し、当該施設管理者等の申請に基づき、給付金の支給を行うものとする。

 2 前項に規定する給付金の額は、同項に規定する要請又は指示の内容、当該要請に応じ、又は当該指示に従った時期及び期間その他の事情を勘案して政令で定めるところにより算定した額とする。

 3 都道府県は、第二十四条第十項の協力の要請のうち多数の者が利用する施設の使用の制限若しくは停止又は催物の開催の制限若しくは停止に係る協力の要請に応じた事業者に対し、当該事業者の申請に基づき、給付金の支給を行うことができる。

 4 前項に規定する給付金の額は、同項に規定する協力の要請の内容、当該協力の要請に応じた時期及び期間その他の事情を勘案して政令で定めるところにより算定した額とする。

 5 前各項に定めるもののほか、第一項及び第三項に規定する給付金の申請期間、支給方法その他当該給付金の支給に関し必要な事項は、政令で定める。

  (不正利得の徴収)

 第六十一条の三 偽りその他不正の手段により前条第一項又は第三項に規定する給付金の支給を受けた者があるときは、都道府県知事は、国税徴収の例により、その者から、当該支給を受けた給付金の額に相当する金額の全部又は一部を徴収することができる。

 2 前項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。

  第六十八条の見出しを「(市町村長が都道府県知事の措置の実施に関する事務の一部を行う場合等の費用の支弁)」に改め、同条第二項中「、又は」を「又は」に改め、同項を同条第四項とし、同条第一項を同条第二項とし、同項の次に次の一項を加える。

 3 都道府県知事は、第三十一条の二第二項の規定によりその権限に属する措置の実施に関する事務の一部を市町村長が行うこととしたとき又は都道府県が当該措置の実施に要する費用を支弁するいとまがないときは、市町村に当該措置の実施に要する費用を一時的に立て替えて支弁させることができる。

  第六十八条に第一項として次の一項を加える。

   都道府県は、都道府県知事が第三十一条の二第二項の規定によりその権限に属する措置の実施に関する事務の一部を市町村長が行うこととしたときは、当該市町村長による当該措置の実施に要する費用を支弁しなければならない。

  第六十九条第一項中「支弁する」の下に「第三十一条の二第一項、第三十一条の三第一項、」を加え、同条の次に次の二条を加える。

  (給付金の支給に要する費用に係る国の負担の特例)

 第六十九条の二 国は、都道府県が支弁する第六十一条の二第一項に規定する給付金の支給に要する費用を負担する。

 2 国は、政令で定めるところにより、都道府県が支弁する第六十一条の二第三項に規定する給付金の支給に要する費用の一部を負担する。

  (地方債の特例)

 第六十九条の三 第六十一条の二第三項に規定する給付金の支給につき都道府県が必要とする経費については、地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)第五条各号に規定する経費に該当しないものについても、地方債をもってその財源とすることができる。

 2 前項に規定する給付金の支給につき都道府県が必要とする経費の財源に充てるため起こした地方債で、総務大臣が指定したものに係る元利償還に要する経費は、地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)の定めるところにより、当該都道府県に交付すべき地方交付税の額の算定に用いる基準財政需要額に算入するものとする。

  第七十条中「前条」を「前三条」に改める。

  第七十三条中「第四十八条第七項」を「第三十一条の二第七項及び第四十八条第五項」に改める。

  附則第一条の二第一項中「第三項において」を「以下」に、「同項」を「第三項」に改め、同条第二項中「あるのは、」を「あるのは」に改め、「あるものに限る」の下に「。第三十一条の三第二項第二号において同じ」を、「とき)」と」の下に「、第三十一条の三第二項第二号中「感染症法第二十六条(感染症法第八条第二項又は第三項の規定によりみなして適用する場合を含む。)において準用する感染症法第十九条第一項の規定又は感染症法第四十六条第一項の規定」とあるのは「新型コロナウイルス感染症について感染症法第七条第一項の政令により準用することとされた感染症法第十九条第一項の規定」と」を加え、同条の次に次の三条を加える。

  (社会経済活動のための新型コロナウイルス感染症に係る検査体制の整備)

 第一条の三 都道府県知事は、前条第一項に規定する政令で定める日までの間、社会経済活動の円滑化を図るため、新型コロナウイルス感染症に係る検査(感染症法の規定により実施する検査を除く。)を実施するための体制の整備に努めるものとする。

 2 都道府県知事は、必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、前項に規定する体制の整備に関する事務の一部を保健所を設置する市の長が行うこととすることができる。

 3 都道府県は、都道府県知事が前項の規定により第一項に規定する体制の整備に関する事務の一部を保健所を設置する市の長が行うこととしたときは、当該保健所を設置する市の長による当該体制の整備に要する費用を支弁しなければならない。

 4 都道府県知事は、第二項の規定により第一項に規定する体制の整備に関する事務の一部を保健所を設置する市の長が行うこととしたとき又は都道府県が当該体制の整備に要する費用を支弁するいとまがないときは、保健所を設置する市に当該体制の整備に要する費用を一時的に立て替えて支弁させることができる。

 5 国は、政令で定めるところにより、都道府県が支弁する第一項に規定する体制の整備に要する費用の一部を負担する。

  (より簡易かつ迅速に新型コロナウイルス感染症に係る検査を実施することができる医療機器等の研究開発等)

 第一条の四 国は、附則第一条の二第一項に規定する政令で定める日までの間、より簡易かつ迅速に新型コロナウイルス感染症に係る検査を実施することができる医療機器、体外診断用医薬品(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第二条第十四項に規定する体外診断用医薬品をいう。)等(次項において「医療機器等」という。)の研究開発の促進を図るため、財政上及び金融上の措置その他の必要な措置を講ずるものとする。

 2 国及び地方公共団体は、医療機器等の供給の促進を図るため、財政上及び金融上の措置その他の必要な措置を講ずるものとする。

  (新型コロナウイルス感染症対策に関わる医療従事者等の支援のための財政上の措置)

 第一条の五 国は、附則第一条の二第一項に規定する政令で定める日までの間、新型コロナウイルス感染症に対する対策を実施し、並びに新型コロナウイルス感染症の発生時において国民の生命及び健康を保護する上で医療従事者、介護従事者、医療機関、社会福祉施設等が果たしている役割の重要性に鑑み、これらの者を支援するための給付金の支給等の措置を講ずるため必要な財政上の措置を講ずるものとする。

 (感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の一部改正)

第二条 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)の一部を次のように改正する。

  附則第一条の次に次の八条を加える。

  (新型コロナウイルス感染症に関する情報の提供)

 第一条の二 都道府県知事又は保健所を設置する市若しくは特別区の長は、他の都道府県知事又は保健所を設置する市若しくは特別区の長から、新型コロナウイルス感染症(新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成二十四年法律第三十一号)附則第一条の二第一項に規定する新型コロナウイルス感染症をいう。以下同じ。)の発生の状況、動向及び原因の調査のため、当該感染症について第七条第一項の政令により準用することとされた第十二条第二項、第十五条第八項、第十六条の三第八項、第二十六条の三第六項又は第二十六条の四第六項の規定による報告に係る情報の提供を求められたときは、できる限り、これに応じなければならない。

 第一条の三 保健所を設置する市又は特別区の長は、当該市又は特別区の属する都道府県の知事から、新型コロナウイルス感染症について第七条第一項の政令により準用することとされた第十六条第一項の規定による情報の公表のため、当該政令により準用することとされた第十二条及び第十五条の規定により収集した当該感染症に関する情報の提供を求められたときは、できる限り、これに応じなければならない。

  (新型コロナウイルス感染症に関する情報の報告等の統一的な体制の整備)

 第一条の四 国は、都道府県知事又は保健所を設置する市若しくは特別区の長からの厚生労働大臣に対する報告、前二条の規定による情報の提供等が迅速かつ円滑に行われるための統一的な体制の整備を行うものとする。

  (新型コロナウイルス感染症に係る検査等の実施体制の整備等)

 第一条の五 都道府県、保健所を設置する市及び特別区(次項において「都道府県等」という。)は、新型コロナウイルス感染症について第七条第一項の政令により準用することとされた第十五条第三項及び第四項、第十六条の三第一項、第三項及び第七項、第二十六条の三第一項、第三項及び第五項並びに第二十六条の四第一項、第三項及び第五項の規定による事務を効率的かつ安定的に行うための体制の整備を行うものとする。

 2 国は、前項の体制の整備に資するため、都道府県等が検体の採取及び当該検体の検査に必要な医療機器(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第二条第四項に規定する医療機器をいう。)、体外診断用医薬品(同条第十四項に規定する体外診断用医薬品をいう。)等を確保することができるよう必要な措置を講ずるものとする。

  (都道府県等の支弁すべき費用)

 第一条の六 都道府県、保健所を設置する市又は特別区は、前条第一項の規定による体制の整備に要する費用を支弁しなければならない。

  (国の負担)

 第一条の七 国は、次に掲げる費用に対して、政令で定めるところにより、その全額を負担する。

  一 新型コロナウイルス感染症について第七条第一項の政令により準用することとされた第五十八条第一号の費用(当該政令により準用することとされた第十六条の規定により実施される事務に要する費用を除く。)

  二 新型コロナウイルス感染症について第七条第一項の政令により準用することとされた第五十八条第四号の二の費用

  三 新型コロナウイルス感染症について第七条第一項の政令により準用することとされた第五十八条第四号の三の費用

  四 前条の費用

  (事務の区分)

 第一条の八 附則第一条の五第一項の規定により都道府県、保健所を設置する市又は特別区が処理することとされている事務は、地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。

  (新型コロナウイルス感染症に係る特例の失効)

 第一条の九 附則第一条の二から前条までの規定は、新型コロナウイルス感染症について第七条第一項の政令で定められた期間の末日限り、その効力を失う。ただし、その時までに附則第一条の六の規定により支弁する費用又は附則第一条の七の規定により負担する負担金については、附則第一条の二から前条までの規定は、その時以後も、なおその効力を有する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して二月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第一条中新型インフルエンザ等対策特別措置法附則第一条の二第一項の改正規定及び同条の次に三条を加える改正規定並びに第二条の規定並びに次条から附則第五条までの規定は、公布の日から施行する。

 (新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部改正に伴う準備行為)

第二条 都道府県知事は、第一条による改正後の新型インフルエンザ等対策特別措置法(次項及び次条において「新特措法」という。)第七条第一項の都道府県行動計画を作成し、又は変更しようとするときは、この法律の施行前においても、同条の規定の例により、他の地方公共団体の長の意見の聴取その他の必要な行為を行うことができる。

2 市町村長は、新特措法第八条第一項の市町村行動計画を作成し、又は変更しようとするときは、この法律の施行前においても、同条の規定の例により、他の地方公共団体の長の意見の聴取その他の必要な行為を行うことができる。

 (新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部改正に伴う経過措置)

第三条 新特措法第六十一条の二第一項に規定する給付金は、第一条による改正前の新型インフルエンザ等対策特別措置法(次項において「旧特措法」という。)第四十五条第二項の要請のうち同項の政令で定める多数の者が利用する施設の使用の制限若しくは停止若しくは催物の開催の制限若しくは停止(以下この項において「施設の使用制限等」という。)に係る要請又は同条第三項の指示のうち施設の使用制限等に係る指示がされた場合において、この法律の施行の日以後に当該要請に応じ、又は当該指示に従った新特措法第四十五条第二項の施設管理者等に対しても、支給を行うものとする。

2 この法律の施行の日前に、都道府県が前項に規定する要請に応じ、又は同項に規定する指示に従った旧特措法第四十五条第二項の施設管理者等に対して給付した金銭がある場合において、当該金銭の額が同日以後の期間も勘案して算定されたものであるときは、前項の施設管理者等に対して新特措法第六十一条の二第一項の規定により支給を行うべき給付金については、同項の規定にかかわらず、政令で定めるところにより、その全部又は一部の支給を行わないことができる。

 (感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の一部改正に伴う経過措置)

第四条 附則第一条ただし書に規定する日から新型コロナウイルス感染症について感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第七条第一項の政令で定められた期間の末日までの間における地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)別表第一感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)の項の適用については、同項中「第十章」とあるのは、「第十章並びに附則第一条の五第一項」とする。

 (政令への委任)

第五条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。


     理 由

 新型コロナウイルス感染症の発生の状況及びそのまん延防止のための措置の実施の状況に鑑み、新型コロナウイルス感染症に対する対策を含めた新型インフルエンザ等対策の実効性の向上を図るため、施設の使用制限等に係る要請等に応じた事業者に対する給付金の支給、新型インフルエンザ等対策を実施する関係機関の間の情報の共有等について定めるとともに、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく都道府県知事の権限を拡大し、あわせて新型コロナウイルス感染症の特性に即した対応の強化を図るため、社会経済活動のための検査体制の整備、情報の報告等の統一的な体制の整備等について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。


   本案施行に要する経費

 本案施行に要する経費としては、約一兆三千億円の見込みである。

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