衆議院

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第二〇四回

衆第三五号

   新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案

 (趣旨)

第一条 この法律は、新型コロナウイルス感染症(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)第六条第七項第三号に規定する新型コロナウイルス感染症をいう。)をはじめとする新型インフルエンザ等(新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成二十四年法律第三十一号)第二条第一号に規定する新型インフルエンザ等をいう。以下同じ。)の急速なまん延に対処し、国民の生命及び健康を保護するため、新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関し、特別の措置その他必要な事項を定めるものとする。

 (指定)

第二条 厚生労働大臣は、新型インフルエンザ等対策特別措置法第十五条第一項に規定する政府対策本部(以下この条及び第七条第一号において単に「政府対策本部」という。)が設置され、かつ、新型インフルエンザ等の発生及びまん延の状況に関する指標を踏まえ国民の生命及び健康を保護するため緊急の必要があると認める場合であって、新型インフルエンザ等の治療に関し優れた使用価値を有する医薬品について製造販売の承認(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号。第六条において「医薬品医療機器等法」という。)第十四条又は第十九条の二の製造販売の承認をいう。以下同じ。)を受けているものがないときにおいて、次のいずれにも該当する医薬品について、新型インフルエンザ等の治療に関し使用価値を有すると認めるときは、政府対策本部が廃止されるまでの間、当該医薬品を新型インフルエンザ等治療用特定医薬品として指定することができる。

 一 新型インフルエンザ等の治療以外の用途に係る製造販売の承認を受けている医薬品(新型インフルエンザ等の治療に係る製造販売の承認を受けていないものに限る。)であって、当該医薬品の副作用が既に知られているもの

 二 医事若しくは薬事又は自然科学に関する雑誌その他の刊行物であって、世界に広く知られているものとして厚生労働大臣が定めるものに掲載された最新の論文その他により得られた医学的及び薬学的知見に基づき、新型インフルエンザ等の治療において有用性が認められる医薬品であって、その有用性に比して著しく有害な作用を有すると認められないもの

 (情報の提供等)

第三条 厚生労働大臣は、新型インフルエンザ等治療用特定医薬品に関し、最新の論文その他により得られた医学的及び薬学的知見、我が国及び外国で実施された臨床試験の試験成績その他の当該新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の有効性及び安全性に関する情報の収集、整理、分析及び提供を行うものとする。

 (新型インフルエンザ等治療用特定医薬品に係る療養の給付)

第四条 新型インフルエンザ等治療用特定医薬品が新型インフルエンザ等の治療に使用された場合における医療保険各法等(高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号)第七条第一項に規定する医療保険各法及び高齢者の医療の確保に関する法律をいう。)の規定の適用については、当該新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の使用は、療養の給付として行われたものとみなす。

 (新型インフルエンザ等治療用特定医薬品に係る副作用救済給付)

第五条 新型インフルエンザ等治療用特定医薬品が新型インフルエンザ等の治療の目的に従い適切に使用された場合において、当該使用により人に有害な反応が発現したときは、当該反応を独立行政法人医薬品医療機器総合機構法(平成十四年法律第百九十二号。以下この項及び次項において「機構法」という。)第四条第十項に規定する許可医薬品等の副作用とみなして、機構法の規定を適用する。この場合において、機構法第十五条第一項第一号ハ中「拠出金」とあるのは「新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法第五条第一項の規定により読み替えて適用する第十九条第一項の拠出金」と、機構法第十九条第一項中「費用」とあるのは「費用(新型インフルエンザ等治療用特定医薬品(新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法に規定する新型インフルエンザ等治療用特定医薬品をいう。第七項において同じ。)に係る副作用救済給付業務に必要な費用を除く。)」と、同条第七項中「決定した副作用救済給付」とあるのは「決定した副作用救済給付(新型インフルエンザ等治療用特定医薬品に係るものを除く。)」とする。

2 前項の規定により読み替えて適用する機構法第十九条第一項の副作用救済給付業務であって新型インフルエンザ等治療用特定医薬品に係るものに必要な費用は、国の負担とする。

3 前二項に定めるもののほか、前項に規定する副作用救済給付業務に関し必要な事項は、政令で定める。

 (新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の確保)

第六条 厚生労働大臣は、新型インフルエンザ等治療用特定医薬品について、国内において需給が著しくひっ迫し、又はひっ迫するおそれがあり、これを早急に確保しなければ国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるときは、当該新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の製造販売業者(医薬品に係る医薬品医療機器等法第十二条第一項の許可を受けている者をいう。)に対する当該新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の増産の要請その他必要な措置を講ずるものとする。

 (指定の失効)

第七条 新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定は、次のいずれかに該当するときは、その効力を失う。

 一 政府対策本部が廃止されたとき。

 二 新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定を受けた医薬品について、新型インフルエンザ等の治療に係る製造販売の承認があったとき。

 (指定の取消し等)

第八条 厚生労働大臣は、新型インフルエンザ等の治療に係る医薬品であって新型インフルエンザ等治療用特定医薬品に比して優れた使用価値を有するものについて製造販売の承認があったときその他当該新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定の必要がなくなったと認めるときは、当該新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定を取り消すことができる。

2 厚生労働大臣は、新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の使用により、既に知られている副作用以外の健康被害が発生した場合において、保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため必要があると認めるときは、当該新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定を取り消し、又は期間を定めて当該指定の効力を停止することができる。

 (感染症に係る医薬品の生産体制の整備に対する財政上の措置等)

第九条 国は、新型インフルエンザ等その他の国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある感染症に係る医薬品の安定的な供給の確保が国民の生命及び健康の保護に資し、ひいては我が国の安全保障に寄与するものであることに鑑み、国内において当該感染症に係る医薬品を生産する体制の整備が図られるよう、必要な財政上又は税制上の措置その他の措置を講ずるものとする。

 (政令への委任)

第十条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。

   附 則

 この法律は、公布の日から施行する。


     理 由

 新型コロナウイルス感染症をはじめとする新型インフルエンザ等の急速なまん延に対処し、国民の生命及び健康を保護するため、新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関し、特別の措置その他必要な事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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