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第二〇四回

衆第三九号

   農業用植物の優良な品種を確保するための公的新品種育成の促進等及び在来品種の保全に関する法律案

 (目的)

第一条 この法律は、地域における農業の基盤である農業用植物の優良な品種を確保する上で農業用植物の新品種の育成及び在来品種の保全が重要であることに鑑み、公的新品種育成の促進及び公的育成品種の有効かつ適正な利用(第三条において「公的新品種育成の促進等」という。)並びに在来品種の保全に関し、基本方針の策定その他の必要な事項を定めることにより、地域における農業の持続的な発展を図り、もって国民生活の安定向上に寄与することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「農業用植物」とは、農産物の生産のために栽培される植物をいう。

2 この法律において「公的新品種育成」とは、独立行政法人、地方公共団体又は地方独立行政法人の試験研究機関(次項において「公的試験研究機関」という。)における農業用植物の新品種の育成(遺伝子組換え技術又はゲノム編集技術を用いるものを除く。)をいう。

3 この法律において「公的育成品種」とは、公的試験研究機関において育成された農業用植物の品種をいう。

4 この法律において「在来品種」とは、地域において長期にわたり栽培されてきた農業用植物の品種をいう。

 (基本方針)

第三条 農林水産大臣は、公的新品種育成の促進等及び在来品種の保全に関する基本方針(以下この条において単に「基本方針」という。)を定めるものとする。

2 基本方針には、次に掲げる事項を定めるものとする。

 一 公的新品種育成の促進等及び在来品種の保全の意義及び基本的な方向に関する事項

 二 公的新品種育成の促進に関する事項

 三 公的育成品種の有効かつ適正な利用に関する事項

 四 在来品種の保全に関する事項

 五 種苗の生産に係る技術を有する人材の育成に関する事項

 六 その他公的新品種育成の促進等及び在来品種の保全に関し必要な事項

3 農林水産大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議しなければならない。

4 農林水産大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これをインターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。

 (公的新品種育成の促進)

第四条 国は、農業用植物の新品種の育成が継続的かつ安定的に行われるよう、公的新品種育成の促進に必要な財政上の措置その他の措置を講ずるものとする。

 (公的育成品種の有効かつ適正な利用)

第五条 国及び地方公共団体は、公的育成品種の有効かつ適正な利用を図るため、公的育成品種を農業者が低廉な対価で利用することができる環境の整備、公的育成品種の知的財産権に関する国民の理解と関心を深めるための啓発活動その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

 (在来品種の保全)

第六条 国及び地方公共団体は、在来品種が、地域の自然的条件に適合した優良なものであること、地域の特色ある食文化を形成してきたこと及び農業用植物の品種の多様性を確保する上で重要であることに鑑み、在来品種の保全を図るため、在来品種の種苗の収集及び体系的な保存に必要な措置を講ずるよう努めるとともに、在来品種に係る情報の提供その他在来品種の積極的な活用の促進に必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

 (種苗の生産に係る技術を有する人材の育成)

第七条 国及び地方公共団体は、公的育成品種の有効な利用及び在来品種の保全を図る上でこれらの品種の種苗の生産に係る技術が継承されることが重要であることに鑑み、当該技術を有する人材を育成するため、当該技術の普及指導その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

   附 則

 この法律は、公布の日から施行する。


     理 由

 地域における農業の基盤である農業用植物の優良な品種を確保する上で農業用植物の新品種の育成及び在来品種の保全が重要であることに鑑み、地域における農業の持続的な発展を図るため、公的新品種育成の促進等及び在来品種の保全に関し、基本方針の策定その他の必要な事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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