第二〇四回
衆第四二号
新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種の計画的かつ円滑な実施の推進に関する法律案
(目的)
第一条 この法律は、新型コロナウイルス感染症(予防接種法(昭和二十三年法律第六十八号)附則第七条第一項に規定する新型コロナウイルス感染症をいう。第三条第一項第一号イにおいて同じ。)の感染の拡大の防止を図る上でワクチン接種が重要であることに鑑み、新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種に関し、政府による工程表の策定等について定めるとともに、新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種のための筋肉内注射を実施する者の確保を図るために政府が講ずべき措置について定めることにより、新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種の計画的かつ円滑な実施の推進を図ることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種」とは、予防接種法附則第七条第一項の規定による予防接種をいう。
(新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種に関する工程表)
第三条 政府は、この法律の施行後速やかに、新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種に関し、次に掲げる事項を明らかにした工程表(以下この条において単に「工程表」という。)を策定しなければならない。
一 次に掲げる者について、新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種を開始する時期及び終了する時期の見通しに関する事項
イ 医療従事者その他の新型コロナウイルス感染症の患者に頻繁に接する業務に従事する者
ロ 高齢者
ハ 基礎疾患を有する者
ニ 高齢者が入所し、又は居住する施設において業務に従事する者
ホ イからニまでに掲げる者以外の者
二 新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種の一日当たりの実施回数に関する事項
三 前号の実施回数を達成するために必要な医師、看護師等(保健師、助産師、看護師及び准看護師をいう。次条において同じ。)その他の新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種に係る業務に従事する者の数及びその確保のための方策に関する事項
四 その他新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種を円滑に実施するために必要な事項
2 政府は、地方公共団体における新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種の実施状況を踏まえ、少なくとも一月ごとに工程表に検討を加え、これを変更しなければならない。
3 政府は、工程表を策定したときは、その内容を国会に報告するとともに、インターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。前項の規定により工程表を変更したときも、同様とする。
(新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種のための筋肉内注射を実施する者の確保)
第四条 政府は、新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種のための筋肉内注射を実施する医師及び看護師等の確保を図るため、これらの者の処遇の改善のために必要な財政上の措置その他の措置を講ずるものとする。
2 前項に定めるもののほか、政府は、新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種のための筋肉内注射を実施する医師及び看護師等が不足する事態に備えるため、新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種に係る業務を担っている薬剤師をはじめとする医療関係の職種の者(医師及び看護師等を除く。次項において「薬剤師等」という。)が当該筋肉内注射を実施するとした場合における必要な研修の内容についての検討、当該研修の実施のための体制の整備その他の必要な措置を講ずるものとする。
3 政府は、新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種のための筋肉内注射を実施する医師及び看護師等が不足する事態の発生を認めたときは、速やかに、薬剤師等に対して前項の研修を実施するとともに、当該研修を修了した薬剤師等が当該筋肉内注射を実施することができるようにするために必要な措置を講ずるものとする。
附 則
この法律は、公布の日から施行する。
理 由
新型コロナウイルス感染症の感染の拡大の防止を図る上でワクチン接種が重要であることに鑑み、新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種の計画的かつ円滑な実施の推進を図るため、新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種に関し、政府による工程表の策定等について定めるとともに、新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種のための筋肉内注射を実施する者の確保を図るために政府が講ずべき措置について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。