衆議院

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第二〇四回

参第二〇号

   難民等の保護に関する法律案

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 難民等の認定等(第三条−第三十条)

 第三章 難民等保護委員会(第三十一条−第五十条)

 第四章 生活支援(第五十一条−第五十七条)

 第五章 雑則(第五十八条−第六十八条)

 第六章 罰則(第六十九条−第八十条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、難民等の認定及びその在留資格に係る許可等、難民等及び難民等の認定の申請者に対する生活上の支援に関する施策等について定めることにより、これらの者の権利利益(条約又は確立された国際法規に基づくものその他国際連合難民高等弁務官事務所その他の国際機関により保護すべき権利利益とされているものを含む。第五条第二項及び第三十二条において同じ。)の保護を図り、もって難民等に関する問題を解決するための国際社会の取組に寄与することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 一 外国人 日本の国籍を有しない者をいう。

 二 難民等 条約難民、補完的保護対象者及び無国籍者をいう。

 三 条約難民 国際連合難民高等弁務官事務所その他の国際機関の見解を踏まえ、難民の地位に関する条約(以下「難民条約」という。)第一条の規定又は難民の地位に関する議定書第一条の規定により難民条約の適用を受ける難民として難民等保護委員会規則で定めるものをいう。

 四 補完的保護対象者 次に掲げる者(条約難民を除く。)をいう。

  イ 出入国管理法(昭和二十六年政令第三百十九号。以下「入管法」という。)第五十三条第三項各号に掲げる国から本邦に入った者

  ロ 国際連合、国際連合難民高等弁務官事務所その他の国際機関の見解を踏まえ、送還されることによりその生命、身体、身体の自由又はその他難民条約第一条A(2)若しくは市民的及び政治的権利に関する国際規約第七条の規定により保護された権利利益を害されるおそれのある領域から本邦に入った者であって保護されるべきものとして難民等保護委員会規則で定めるもの

  ハ 国際連合、国際連合難民高等弁務官事務所その他の国際機関の見解を踏まえ、難民条約第一条A(2)に規定する理由に準ずる理由又は戦争、内乱、暴動、大規模な人権侵害若しくは公の秩序を著しく乱すその他の事情によりその生命、身体、身体の自由又はその他難民条約第一条A(2)若しくは市民的及び政治的権利に関する国際規約第七条の規定により保護された権利利益を害されるおそれのある領域から本邦に入った者であって保護されるべきものとして難民等保護委員会規則で定めるもの

 五 無国籍者 国際連合難民高等弁務官事務所その他の国際機関の見解を踏まえ、いずれの国によってもその法令の運用において国民と認められていない者であって保護されるべきものとして難民等保護委員会規則で定めるものをいう。

2 前項第三号並びに第四号ロ及びハの難民等保護委員会規則を定めるに当たっては、拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律(平成十八年法律第九十六号)の趣旨を踏まえ、北朝鮮から本邦に入った者であって人道的見地から保護が必要であると認められるものの保護に欠けることのないように配慮するものとする。

   第二章 難民等の認定等

 (難民等の認定)

第三条 難民等保護委員会は、本邦にある外国人又はその代理人から難民等保護委員会規則で定める手続により申請があったときは、その提出した資料に基づき、当該外国人が条約難民、補完的保護対象者又は無国籍者である旨の認定(以下「難民等の認定」という。)を行うことができる。

2 難民等保護委員会は、前項の難民等保護委員会規則を定めるに当たっては、同項の資料について外国語で作成した資料の提出を認めるほか、同項の申請の手続が当該外国人に過重な負担を課するものとならないよう十分に配慮するものとする。

3 難民等保護委員会は、第一項の申請に係る外国人の主張及び立証の内容のみでは当該外国人が難民等であることを認めることが困難な場合であっても、当該外国人の供述の全趣旨及び事実の調査の結果に基づき、難民等の認定を行うことができる。この場合においては、その置かれている特殊な諸事情を踏まえて当該外国人に対して過重な負担を課するものとならないようにする観点から、当該外国人に係る本邦外及び本邦における一連の事情を全体的かつ総合的に検討し、事案の実情に即した適切な判断を行うものとする。

4 難民等保護委員会は、難民等の認定をしたときは、難民等保護委員会規則で定める手続により、当該外国人に対し、条約難民、補完的保護対象者又は無国籍者の区分を明示して、難民等認定証明書を交付し、その認定をしないときは、当該外国人に対し、理由を付した書面をもって、その旨を通知する。

 (法務大臣に対する通知)

第四条 難民等保護委員会は、前条第一項の申請があったときは、その旨を法務大臣に通知しなければならない。

2 難民等保護委員会は、前項の通知をしたときは、速やかに、当該申請が次の各号のいずれかに該当すると認められるかどうかを国際連合難民高等弁務官事務所その他の国際機関の見解を踏まえて難民等保護委員会が定める基準に基づき審査し、その結果を法務大臣に通知しなければならない。

 一 明らかに理由がないこと。

 二 申請者による権利の濫用であること。

3 難民等保護委員会は、前条第一項の申請に係る処分をしたときは、その旨を法務大臣に通知しなければならない。

 (難民等認定基準)

第五条 難民等保護委員会は、国際連合難民高等弁務官事務所その他の国際機関の見解を踏まえ、難民等の認定の基準(以下この条において「難民等認定基準」という。)を定めるものとする。

2 難民等認定基準を定めるに当たっては、難民等の保護を国際的な協調及び連帯の下に推進するため、外国政府、国際機関等による難民等の保護に係る判断の状況を考慮し、その内容が難民等の権利利益の一層の保護に資するものとなるように十分に配慮しなければならない。

3 難民等保護委員会は、難民等認定基準を公にしておかなければならない。ただし、特別の支障があるときは、その一部を公にしないことができる。

 (在留資格に係る許可)

第六条 法務大臣は、第四条第三項の通知(難民等の認定をする処分に係るものに限る。)を受けた場合であって当該通知に係る外国人が在留資格未取得外国人(入管法別表第一又は別表第二の上欄の在留資格をもって本邦に在留する者、第十三条に規定する一時庇護許可者で当該一時庇護許可書に記載された期間を経過していないもの及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(平成三年法律第七十一号)に定める特別永住者以外の者をいう。以下同じ。)であるときは、当該在留資格未取得外国人が次の各号のいずれかに該当する場合を除き、その者に入管法別表第二の定住者の在留資格(次条において「定住者の在留資格」という。)の取得を許可するものとする。

 一 入管法第二十四条第三号から第三号の五まで又は第四号ハからヨまでに掲げる者のいずれかに該当するとき。

 二 本邦に入った後に、刑法(明治四十年法律第四十五号)第二編第十二章、第十六章から第十九章まで、第二十三章、第二十六章、第二十七章、第三十一章、第三十三章、第三十六章、第三十七章若しくは第三十九章の罪、暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)第一条、第一条ノ二若しくは第一条ノ三(刑法第二百二十二条又は第二百六十一条に係る部分を除く。)の罪、盗犯等の防止及び処分に関する法律(昭和五年法律第九号)の罪、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律(平成十五年法律第六十五号)第十五条若しくは第十六条の罪又は自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(平成二十五年法律第八十六号)第二条若しくは第六条第一項の罪により懲役又は禁錮の刑に処せられたものであるとき。

2 法務大臣は、第四条第三項の通知に係る在留資格未取得外国人について、当該通知が難民等の認定をしない処分に係るものであるとき、又は当該通知が難民等の認定をする処分に係るものである場合であって前項の規定による許可をしないときは、当該在留資格未取得外国人が入管法第四十七条の二第三項各号のいずれかに該当するか否かを審査するものとし、該当すると認めるときは、その在留を特別に許可することができる。この場合においては、同条第四項及び第五項の規定を準用する。

3 法務大臣は、前二項の規定による許可をすることとしたときは、出入国在留管理庁長官に、当該外国人に対し、その旨を通知させるものとする。この場合において、その通知は、出入国在留管理庁長官が、入国審査官に、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める措置をとらせることにより行うものとする。

 一 当該許可に係る外国人が中長期在留者(入管法第十九条の三に規定する中長期在留者をいう。以下同じ。)となるとき 当該外国人に対する在留カード(同条に規定する在留カードをいう。以下同じ。)の交付

 二 前号に掲げる場合以外の場合 当該外国人に対する入管法第二条の二第一項に規定する在留資格及び同条第三項に規定する在留期間を記載した在留資格証明書の交付

4 第一項又は第二項の規定による許可は、それぞれ前項各号に定める措置があった時に、その効力を生ずる。

5 法務大臣は、第一項又は第二項の規定による許可をする場合において、当該在留資格未取得外国人が第十二条第一項に規定する一時庇護のための上陸の許可、入管法第十三条第一項の規定による仮上陸の許可又は入管法第三章第四節の規定による上陸の許可を受けているときは、当該仮上陸の許可又は上陸の許可を取り消すものとする。

第七条 法務大臣は、難民等の認定を受けている外国人(前条第二項の許可により在留資格を取得した者を除く。)から、入管法第二十条第二項の規定による定住者の在留資格への変更の申請があったとき、又は入管法第二十二条の二第二項(第十三条において準用する場合を含む。)の規定による定住者の在留資格の取得の申請があったときは、入管法第二十条第三項本文(入管法第二十二条の二第三項(第十三条において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、これを許可するものとする。

 (在留資格取得に伴う住居地届出)

第八条 第六条第一項又は第二項の規定による許可を受けて新たに中長期在留者となった者は、住居地(本邦における主たる住居の所在地をいう。以下同じ。)を定めた日(既に住居地を定めている者にあっては、当該許可の日)から十四日以内に、法務省令で定める手続により、住居地の市町村(特別区を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、区又は総合区。以下同じ。)の長に対し、在留カードを提出した上、当該市町村の長を経由して、出入国在留管理庁長官に対し、その住居地を届け出なければならない。

2 入管法第十九条の七第二項の規定は、前項の規定による在留カードの提出があった場合に準用する。

3 第一項に規定する中長期在留者が、在留カードを提出して住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号)第三十条の四十六又は第三十条の四十七の規定による届出をしたときは、当該届出は同項の規定による届出とみなす。

 (本人の出頭義務と代理人による届出等)

第九条 外国人が次の各号に掲げる行為をするときは、それぞれ当該各号に定める場所に自ら出頭して行わなければならない。

 一 第六条第三項第一号の規定により交付される在留カードの受領 地方出入国在留管理局

 二 前条第一項の規定による届出又は同条第二項において準用する入管法第十九条の七第二項の規定により返還される在留カードの受領 住居地の市町村の事務所

2 前項第一号に掲げる行為については、外国人の法定代理人が当該外国人に代わってする場合その他法務省令で定める場合には、同項の規定にかかわらず、当該外国人が自ら出頭してこれを行うことを要しない。

3 外国人が十六歳に満たない場合又は疾病その他の事由により自ら第一項第二号に掲げる行為をすることができない場合には、当該行為は、次の各号に掲げる者(十六歳に満たない者を除く。)であって当該外国人と同居するものが、当該各号の順位により、当該外国人に代わってしなければならない。

 一 配偶者

 二 子

 三 父又は母

 四 前三号に掲げる者以外の親族

4 第一項第二号に掲げる行為については、前項に規定する場合のほか、同項各号に掲げる者(十六歳に満たない者を除く。)であって外国人と同居するものが当該外国人の依頼により当該外国人に代わってする場合その他法務省令で定める場合には、第一項の規定にかかわらず、当該外国人が自ら出頭してこれを行うことを要しない。

 (在留資格の取消し)

第十条 法務大臣は、入管法別表第一又は別表第二の上欄の在留資格をもって本邦に在留する外国人で難民等の認定を受けているものについて、偽りその他不正の手段により第六条第一項各号のいずれにも該当しないものとして同項の許可を受けたことが判明したときは、法務省令で定める手続により、当該外国人が現に有する在留資格を取り消すことができる。

2 入管法第二十二条の四第二項から第九項まで(第七項ただし書を除く。)の規定は前項の規定による在留資格の取消しについて、入管法第六十一条の九の二第一項から第五項までの規定はこの項において準用する入管法第二十二条の四第三項又は第六項の規定による書類の送達について、それぞれ準用する。この場合において、同条第七項本文中「第一項(第一号及び第二号を除く。)」とあるのは、「難民等の保護に関する法律第十条第一項」と読み替えるものとする。

第十一条 法務大臣は、第六条第二項の規定による許可を受けた者であって入管法別表第一又は別表第二の上欄の在留資格をもって本邦に在留するもの(難民等の認定を受けている者を除く。)について、次の各号に掲げるいずれかの事実が判明したときは、法務省令で定める手続により、当該者が現に有する在留資格を取り消すことができる。

 一 偽りその他不正の手段により、第六条第二項の規定による許可を受けたこと(当該許可の後、同項の規定による許可又は上陸許可の証印等(入管法第三章第一節若しくは第二節の規定による上陸許可の証印若しくは許可(在留資格の決定を伴うものに限る。)又は入管法第四章第二節の規定による許可をいい、これらが二以上ある場合には直近のものをいうものとする。)を受けた場合を除く。)。

 二 第六条第二項の規定による許可を受けて、新たに中長期在留者となった者が、当該許可を受けた日から九十日以内に、出入国在留管理庁長官に、住居地の届出をしないこと(届出をしないことにつき正当な理由がある場合を除く。)。

2 入管法第二十二条の四第二項から第九項まで(第七項ただし書を除く。)の規定は前項の規定による在留資格の取消しについて、入管法第六十一条の九の二の規定はこの項において準用する入管法第二十二条の四第三項又は第六項の規定による書類の送達について、それぞれ準用する。この場合において、同条第七項本文中「第一項(第一号及び第二号を除く。)」とあるのは、「難民等の保護に関する法律第十一条第一項」と読み替えるものとする。

 (一時庇護のための上陸の許可)

第十二条 入国審査官は、船舶又は航空機に乗っている外国人から法務省令・難民等保護委員会規則で定めるところにより第四項前段又は第五項の規定による許可(以下「一時庇護のための上陸の許可」という。)の申請があったときは、直ちに、その旨を難民等保護委員会に通知しなければならない。

2 前項の法務省令・難民等保護委員会規則を定めるに当たっては、同項の申請の手続が当該外国人に過重な負担を課するものとならないよう十分に配慮するものとする。

3 第一項の通知を受けた難民等保護委員会は、当該外国人が明らかに難民等に該当しないと認められるかどうかを審査して、その結果を入国審査官に通知しなければならない。

4 入国審査官は、難民等保護委員会から当該外国人が明らかに難民等に該当しないとは認められない旨の通知を受けた場合において、当該外国人が次の各号に掲げる上陸のための条件のいずれにも適合していると認定したときは、当該外国人に対し、一時庇護のための上陸を許可するものとする。この場合においては、入管法第九条第二項の規定を準用する。

 一 当該外国人(次号に規定する者を除く。)が入管法第五条第一項第一号、第二号及び第四号から第十四号までのいずれにも該当しないこと。

 二 入管法第五条の二の規定の適用を受ける外国人にあっては、当該外国人が同条に規定する特定の事由によって入管法第五条第一項第四号、第五号、第七号、第九号又は第九号の二に該当する場合であって、当該事由以外の事由によっては同項第一号、第二号及び第四号から第十四号までのいずれにも該当しないこと。

5 前項の場合のほか、入国審査官は、難民等保護委員会から当該外国人が明らかに難民等に該当しないとは認められない旨の通知を受けた場合において、当該外国人を一時的に上陸させることが相当であると思料するときは、当該外国人に対し、一時庇護のための上陸を許可することができる。

6 入国審査官は、一時庇護のための上陸の許可に係る審査のために必要があると認めるときは、法務省令で定めるところにより、当該外国人に対し、電磁的方式(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式をいう。)によって個人識別情報(指紋、写真その他の個人を識別することができる情報として法務省令で定めるものをいう。)を提供させることができる。

7 一時庇護のための上陸の許可を与える場合には、入国審査官は、当該外国人に一時庇護許可書を交付しなければならない。

8 一時庇護のための上陸の許可を与える場合には、入国審査官は、法務省令で定めるところにより、難民等保護委員会の意見を聴いて、当該外国人に対し、上陸期間、住居及び行動範囲の制限その他必要と認める条件を付することができる。

9 前項の規定により条件を付する場合において、収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動をしなければ当該外国人が一時庇護のための上陸の許可に係る上陸期間中の最低限度の生活の維持を図るのに困難を生ずるおそれがあると難民等保護委員会が認めるときは、入国審査官は、収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動であって当該外国人が一時庇護のための上陸の許可に係る上陸期間中の最低限度の生活を維持するために必要なものを妨げる条件を付してはならない。

 (一時庇護許可者の在留資格の取得)

第十三条 入管法第二十二条の二第二項から第四項までの規定は、一時庇護のための上陸の許可を受けた外国人(以下「一時庇護許可者」という。)で入管法別表第一又は別表第二の上欄の在留資格のいずれかをもって在留しようとするものに準用する。この場合において、同条第二項中「日本の国籍を離脱した日又は出生その他当該事由が生じた日から三十日以内」とあるのは、「当該上陸の許可に係る上陸期間内」と読み替えるものとする。

 (一時庇護許可者の在留資格取得に伴う住居地届出)

第十四条 前条において準用する入管法第二十二条の二第三項において準用する入管法第二十条第三項本文又は前条において準用する入管法第二十二条の二第四項において準用する入管法第二十二条第二項の規定による許可を受けて新たに中長期在留者となった者は、住居地を定めた日(既に住居地を定めている者にあっては、当該許可の日)から十四日以内に、法務省令で定める手続により、住居地の市町村の長に対し、在留カードを提出した上、当該市町村の長を経由して、出入国在留管理庁長官に対し、その住居地を届け出なければならない。

2 第八条第二項及び第三項の規定は、前項の場合について準用する。

3 一時庇護許可者が、前条において準用する入管法第二十二条の二第二項の規定による申請をするに際し、法務大臣に対し、住民基本台帳法第十二条第一項に規定する住民票の写し又は住民票記載事項証明書を提出したときは、前条において準用する入管法第二十二条の二第三項において準用する入管法第二十条第三項本文の規定による許可又は前条において準用する入管法第二十二条の二第四項において準用する入管法第二十二条第二項の規定による許可があった時に、第一項の規定による届出があったものとみなす。

 (一時庇護許可書の携帯及び提示)

第十五条 一時庇護許可者は、常に一時庇護許可書を携帯していなければならない。

2 一時庇護許可者は、入国審査官、入国警備官、警察官、海上保安官その他法務省令で定める国又は地方公共団体の職員が、その職務の執行に当たり、一時庇護許可書の提示を求めたときは、これを提示しなければならない。

3 前項に規定する職員は、一時庇護許可書の提示を求める場合には、その身分を示す証票を携帯し、請求があるときは、これを提示しなければならない。

4 十六歳に満たない外国人は、第一項の規定にかかわらず、一時庇護許可書を携帯することを要しない。

5 一時庇護許可者については、入管法第二十三条の規定(これに係る罰則を含む。)は、適用しない。

 (本人の出頭義務と法定代理人による申請等)

第十六条 外国人が第十三条において準用する入管法第二十二条の二第四項において準用する入管法第二十二条第一項若しくは第十三条において準用する入管法第二十二条の二第二項の規定による申請又は第十三条において準用する入管法第二十二条の二第三項において準用する入管法第二十条第四項第一号若しくは第十三条において準用する入管法第二十二条の二第四項において準用する入管法第二十二条第三項の規定により交付される在留カードの受領をするときは、地方出入国在留管理局に自ら出頭して行わなければならない。

2 第九条第二項の規定は、前項の場合に準用する。

 (仮滞在の許可)

第十七条 法務大臣は、難民等保護委員会から第三条第一項の申請が第四条第二項各号のいずれにも該当しないと認められる旨の通知を受けた場合であって、当該通知に係る外国人が在留資格未取得外国人であるときは、当該在留資格未取得外国人が次の各号のいずれかに該当する場合を除き、その者に仮に本邦に滞在することを許可するものとする。ただし、その者が入管法第十三条第六項に規定する仮上陸許可者収容許可状、入管法第三十九条第一項に規定する容疑者収容許可状又は入管法第五十二条第六項に規定する退去強制対象者収容許可状の発付を受けて収容されている間は、この限りでない。

 一 入管法第十三条第一項の規定による仮上陸の許可を受けているとき。

 二 入管法第十四条第一項の規定による寄港地上陸の許可、入管法第十四条の二第一項若しくは第二項の規定による船舶観光上陸の許可、入管法第十五条第一項若しくは第二項の規定による通過上陸の許可、入管法第十六条第一項若しくは第二項の規定による乗員上陸の許可、入管法第十七条第一項の規定による緊急上陸の許可又は入管法第十八条第一項若しくは第二項の規定による遭難による上陸の許可を受け、旅券(入管法第二条第五号に規定する旅券をいう。)又は当該許可書に記載された期間を経過していないとき。

 三 この項の規定による許可(以下「仮滞在の許可」という。)を受けているとき。

 四 入管法第二十二条の二第一項の規定により本邦に在留することができるとき。

 五 入管法第五十二条第六項に規定する退去強制対象者収容許可状の発付を受けて収容されている期間が六月に達したことにより放免されているとき。

 六 入管法第五十二条第十一項の規定により放免されているとき。

 七 本邦に入った時に、入管法第五条第一項第四号から第十四号までに掲げる者のいずれかに該当していたとき。

 八 入管法第二十四条第三号から第三号の五まで又は第四号ハからヨまでに掲げる者のいずれかに該当すると疑うに足りる相当の理由があるとき。

 九 本邦に入った後に、刑法第二編第十二章、第十六章から第十九章まで、第二十三章、第二十六章、第二十七章、第三十一章、第三十三章、第三十六章、第三十七章若しくは第三十九章の罪、暴力行為等処罰に関する法律第一条、第一条ノ二若しくは第一条ノ三(刑法第二百二十二条又は第二百六十一条に係る部分を除く。)の罪、盗犯等の防止及び処分に関する法律の罪、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律第十五条若しくは第十六条の罪又は自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第二条若しくは第六条第一項の罪により懲役又は禁錮の刑に処せられたものであるとき。

2 法務大臣は、仮滞在の許可をする場合には、法務省令で定めるところにより、当該仮滞在の許可に係る滞在期間(以下「仮滞在期間」という。)を決定し、入国審査官に、当該在留資格未取得外国人に対し当該仮滞在期間を記載した仮滞在許可書を交付させるものとする。この場合において、当該仮滞在の許可は、当該交付のあった時に、その記載された内容をもって効力を生ずる。

3 法務大臣は、仮滞在の許可をする場合には、法務省令で定めるところにより、難民等保護委員会の意見を聴いて、当該在留資格未取得外国人に対し、住居及び行動範囲の制限、活動の制限、呼出しに対する出頭の義務その他必要と認める条件を付し、かつ、必要があると認める場合は、指紋を押なつさせることができる。この場合においては、第十二条第九項の規定を準用する。

4 法務大臣は、仮滞在の許可を受けた外国人(以下「仮滞在許可者」という。)から仮滞在期間の更新の申請があったときは、これを許可するものとする。この場合においては、第二項の規定を準用する。

5 仮滞在許可者が次の各号に掲げるいずれかの事由に該当することとなったときは、当該仮滞在許可者に係る仮滞在期間(前項の規定により更新された仮滞在期間を含む。以下同じ。)は、当該事由に該当することとなった時に、その終期が到来したものとする。

 一 難民等の認定をしない処分(第三条第一項の申請が二以上あるときは、他の同項の申請に係る難民等の認定に先立って行われた当該処分を除く。)につき、行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)の規定による審査請求(以下この条及び第二十四条において「審査請求」という。)がなくて同法第十八条第一項本文の期間が経過したとき又は審査請求があった場合であって当該審査請求が取り下げられ、若しくはこれを却下し若しくは棄却する旨の裁決があったときであって、次のいずれかに該当すること。

  イ 当該処分に係る行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)第三条第二項に規定する処分の取消しの訴えが提起されることなく同法第十四条第一項又は第二項の規定により訴えを提起することができる期間が経過したとき。

  ロ 当該処分に係る行政事件訴訟法第三条第二項に規定する処分の取消しの訴えが提起された場合であって、当該訴えが取り下げられ、又は当該訴えを却下し若しくは訴状を却下する裁判若しくは当該訴えに係る請求を棄却する判決が確定したとき。

 二 難民等の認定(第三条第一項の申請が二以上あるときは、他の同項の申請に係る難民等の認定に先立って行われた難民等の認定を除く。)がされた場合においてなされた第六条第一項及び第二項の規定による許可をしない処分につき、前号イ又はロのいずれかに該当すること。

 三 次条の規定による仮滞在の許可の取消しの処分につき、第一号イ又はロのいずれかに該当すること。

 四 第三条第一項の申請(当該申請が二以上あるときは、これらの申請の全て)が取り下げられたこと。

 (仮滞在の許可の取消し)

第十八条 法務大臣は、仮滞在許可者について、次の各号に掲げるいずれかの事実が判明したときは、法務省令で定める手続により、当該仮滞在の許可を取り消すことができる。ただし、第三号又は第四号に掲げる事実については、法務省令で定める手続により、あらかじめ、難民等保護委員会の確認を受けなければならない。

 一 仮滞在の許可を受けた当時前条第一項第五号から第九号までのいずれかに該当していたこと。

 二 仮滞在の許可を受けた後に前条第一項第八号又は第九号に該当することとなったこと。

 三 前条第三項の規定に基づき付された条件に違反したこと。

 四 不正に難民等の認定を受ける目的で、偽造若しくは変造された資料若しくは虚偽の資料を提出し、又は虚偽の陳述をし、若しくは関係人に虚偽の陳述をさせたこと。

 五 入管法第二十五条の出国の確認を受けるための手続をしたこと。

 (仮滞在許可書の携帯及び提示)

第十九条 仮滞在許可者は、常に仮滞在許可書を携帯していなければならない。

2 第十五条第二項から第五項までの規定は、仮滞在許可者及び仮滞在許可書について準用する。

 (退去強制手続との関係)

第二十条 第六条第一項又は第二項の規定による許可を受けた外国人については、当該外国人が当該許可を受けた時に入管法第二十四条各号のいずれかに該当していたことを理由としては、入管法第五章に規定する退去強制の手続(入管法第六十三条第一項の規定に基づく退去強制の手続を含む。以下この条において同じ。)を行わない。

2 仮滞在許可者については、入管法第二十四条各号のいずれかに該当すると疑うに足りる相当の理由がある場合であっても、当該仮滞在の許可に係る仮滞在期間が経過するまでの間は、入管法第五章に規定する退去強制の手続を停止するものとする。

3 第四条第一項の通知に係る在留資格未取得外国人(入管法第二十四条第三号の二又は第三号の三に該当する者を除く。)で、仮滞在の許可を受けていないもの(第三条第一項の申請を同一の事情に基づき二回以上にわたり行った者として難民等保護委員会が認めるものを除く。)又は当該仮滞在の許可に係る仮滞在期間が経過することとなったもの(第十七条第五項第一号、第二号及び第四号に該当するものを除く。)について、入管法第五章に規定する退去強制の手続を行う場合には、第十七条第五項第一号及び第二号に掲げるいずれかの事由に該当することとなるまでの間は、入管法第五十二条第三項の規定による送還(同項ただし書の規定による引渡し及び入管法第五十九条の規定による送還を含む。)を停止するものとする。

4 入管法第四十七条の二第三項、第四十八条の二第二項及び第五十条第一項の規定は、仮滞在許可者で第十七条第五項第一号若しくは第二号のいずれかに該当することとなったもの又は前項に規定する者に対する入管法第五章に規定する退去強制の手続については、適用しない。

 (難民等の認定の取消し)

第二十一条 難民等保護委員会は、本邦に在留する外国人で条約難民である旨の認定を受けている者について、次の各号に掲げるいずれかの事実が判明したときは、難民等保護委員会規則で定める手続により、その条約難民である旨の認定を取り消すものとする。

 一 条約難民に該当しない者が偽りその他不正の手段により条約難民である旨の認定を受けたこと。

 二 難民条約第一条C(1)から(6)までのいずれかに掲げる場合に該当することとなったこと。

 三 条約難民である旨の認定を受けた後に、難民条約第一条F(a)又は(c)に掲げる行為を行ったこと。

2 難民等保護委員会は、前項の規定により条約難民である旨の認定を取り消す場合には、当該外国人に対し、理由を付した書面をもって、その旨を通知するとともに、当該外国人に係る難民等認定証明書がその効力を失った旨を官報に告示する。

3 前項の規定により条約難民である旨の認定の取消しの通知を受けたときは、難民等認定証明書の交付を受けている外国人は、速やかに難民等保護委員会に当該難民等認定証明書を返納しなければならない。

4 難民等保護委員会は、第一項の規定により条約難民である旨の認定を取り消したときは、その旨を出入国在留管理庁長官に通知しなければならない。

第二十二条 難民等保護委員会は、本邦に在留する外国人で補完的保護対象者である旨の認定を受けている者について、次の各号に掲げるいずれかの事実が判明したときは、難民等保護委員会規則で定める手続により、その補完的保護対象者である旨の認定を取り消すものとする。

 一 補完的保護対象者に該当しない者が偽りその他不正の手段により補完的保護対象者である旨の認定を受けたこと。

 二 難民条約第一条C(1)から(6)までのいずれかに掲げる場合に相当する場合として難民等保護委員会規則で定めるものに該当することとなったこと。

 三 補完的保護対象者である旨の認定を受けた後に、難民条約第一条F(a)又は(c)に掲げる行為に相当する行為として難民等保護委員会規則で定めるものを行ったこと。

 四 前二号に掲げるもののほか、国際連合難民高等弁務官事務所その他の国際機関の見解を踏まえ保護を与える必要がないものとして難民等保護委員会規則で定める場合に該当すること。

2 前条第二項から第四項までの規定は、前項の場合に準用する。

第二十三条 難民等保護委員会は、本邦に在留する外国人で無国籍者である旨の認定を受けている者について、次の各号に掲げるいずれかの事実が判明したときは、難民等保護委員会規則で定める手続により、その無国籍者である旨の認定を取り消すものとする。

 一 無国籍者に該当しない者が偽りその他不正の手段により無国籍者である旨の認定を受けたこと。

 二 無国籍者である旨の認定を受けた後に、難民条約第一条F(a)又は(c)に掲げる行為に相当する行為として難民等保護委員会規則で定めるものを行ったこと。

 三 前号に掲げるもののほか、国際連合難民高等弁務官事務所その他の国際機関の見解を踏まえ保護を与える必要がないものとして難民等保護委員会規則で定める場合に該当すること。

2 第二十一条第二項から第四項までの規定は、前項の場合に準用する。

 (難民等の認定等に係る審査請求の方式)

第二十四条 次に掲げる処分又は不作為についての審査請求は、難民等保護委員会規則で定めるところにより、文書又は口頭ですることができる。

 一 難民等の認定をしない処分

 二 第三条第一項の申請に係る不作為

 三 第二十一条第一項、第二十二条第一項又は前条第一項の規定による難民等の認定の取消し

 (難民等に関する永住許可の特則)

第二十五条 難民等の認定を受けている者から入管法第二十二条第一項の永住許可の申請があった場合には、法務大臣は、同条第二項本文の規定にかかわらず、その者が同項第二号に適合しないときであっても、これを許可することができる。

 (難民旅行証明書)

第二十六条 出入国在留管理庁長官は、本邦に在留する外国人で条約難民又は補完的保護対象者である旨の認定を受けている者が出国しようとするときは、法務省令で定める手続により、その者の申請に基づき、条約難民又は補完的保護対象者の区分を明示して、難民旅行証明書を交付するものとする。ただし、出入国在留管理庁長官においてその者が日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認める場合は、この限りでない。

2 前項の規定により難民旅行証明書の交付を受ける外国人(条約難民である旨の認定を受けている者に限る。)で、外国の難民旅行証明書を所持するものは、その交付を受ける際に当該外国の難民旅行証明書を出入国在留管理庁長官に提出しなければならない。

3 第一項の難民旅行証明書の有効期間は、五年とする。

4 第一項の難民旅行証明書の交付を受けている者は、当該難民旅行証明書の有効期間内は本邦に入国し、及び出国することができる。この場合において、入国については、入管法第二十六条第一項の規定による再入国の許可を要しない。

5 前項の場合において、出入国在留管理庁長官は、特に必要があると認めるときは、三月以上五年未満の範囲内で、当該難民旅行証明書により入国することのできる期限を定めることができる。

6 出入国在留管理庁長官は、第一項の難民旅行証明書の交付を受けて出国した者について、当該難民旅行証明書の有効期間内に入国することができない相当の理由があると認めるときは、その者の申請に基づき、六月を超えない範囲内で、当該難民旅行証明書の有効期間を延長することができる。

7 前項の延長は、当該難民旅行証明書にその旨を記載して行うものとし、その事務は、入管法第二条第四号に規定する日本国領事官等に委任するものとする。

8 出入国在留管理庁長官は、第一項の難民旅行証明書の交付を受けている者について第二十一条第四項(第二十二条第二項において準用する場合を含む。)の通知があったときは、その者に係る難民旅行証明書が効力を失った旨を、その者に対し書面をもって通知するとともに、官報に告示する。

9 前項の規定による通知を受けた者は、速やかに出入国在留管理庁長官に当該難民旅行証明書を返納しなければならない。

10 出入国在留管理庁長官は、第一項の難民旅行証明書の交付を受けている者が日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるときは、その者が本邦にある間において、法務省令で定めるところにより、その者に対して、期限を付して、その所持する難民旅行証明書の返納を命ずることができる。

11 前項の規定により返納を命ぜられた難民旅行証明書は、その返納があったときは当該返納の時に、同項の期限までに返納がなかったときは当該期限を経過した時に、その効力を失う。この場合において、同項の期限までに返納がなかったときは、出入国在留管理庁長官は、当該難民旅行証明書がその効力を失った旨を官報に告示する。

 (退去強制令書の発付に伴う難民旅行証明書の返納等)

第二十七条 本邦に在留する外国人で難民等の認定を受けているものが、入管法第四十七条第六項、第四十七条の二第十項(入管法第四十八条の二第三項において準用する場合を含む。)、第四十八条第十項若しくは第四十九条第六項の規定により、又は入管法第六十三条第一項の規定に基づく退去強制の手続において入管法第五十一条に規定する退去強制令書の発付を受けたときは、当該外国人は、速やかに出入国在留管理庁長官にその所持する前条第一項の難民旅行証明書を返納しなければならない。

2 本邦に在留する外国人で難民等の認定を受けているものが入管法第五十二条第三項又は第五十九条の規定により送還されるときは、当該外国人は、難民等保護委員会規則で定めるところにより、速やかに難民等保護委員会にその所持する難民等認定証明書を返納しなければならない。

 (事実の調査)

第二十八条 難民等保護委員会は、難民等の認定又は第二十一条第一項、第二十二条第一項若しくは第二十三条第一項の規定による難民等の認定の取消しに関する処分を行うため必要がある場合には、調査官に事実の調査をさせることができる。

2 前項の事実の調査は、次に掲げる事項を旨として行われなければならない。

 一 我が国が締結した条約その他の国際約束及び確立された国際法規に基づき、かつ、国際連合、国際連合難民高等弁務官事務所その他の国際機関の見解を踏まえ、公正かつ中立に行うこと。

 二 当該外国人が所在していた領域の状況を調査するに当たっては、外務大臣、国際連合、国際連合難民高等弁務官事務所その他の国際機関、外国政府、民間の団体等からできる限り正確かつ最新の情報を収集し、並びにそれらの情報について整理及び分析をした結果を活用し、当該領域の状況を適切に把握すること。

 三 調査に伴う当該外国人の心理的な負担が過重なものとならないよう配慮しつつ、言語、社会、文化等の相違を踏まえ、当該外国人と十分な意思疎通を図ること。

3 調査官は、第一項の事実の調査に当たっては、難民等保護委員会規則で定める場合を除き、当該外国人との面接によりその事情を聴取しなければならない。この場合において、当該外国人が日本語に通じないときは、通訳人を付さなければならない。

4 前項の面接に当たっては、当該外国人又はその代理人は、当該外国人に係る第一項の処分について、意見を述べ、及び日本語又は外国語で作成した資料を提出することができる。

5 国際連合難民高等弁務官事務所の職員は、難民等保護委員会規則で定めるところにより、第三項の面接に立ち会うことができる。

6 第三項の面接に当たっては、調査官は、当該外国人の供述及び当該面接の状況を録音及び録画を同時に行う方法により記録媒体に記録しておかなければならない。ただし、当該外国人がこれに同意しない場合その他記録しないことがやむを得ない場合として難民等保護委員会規則で定める場合は、この限りでない。

7 難民等保護委員会は、第一項の処分を適正に行うため、必要に応じ、前項の記録を活用するものとする。

8 調査官は、第一項の事実の調査のため必要があるときは、関係人に対し出頭を求め、質問をし、又は文書の提示を求めることができる。

9 難民等保護委員会又は調査官は、第一項の事実の調査について、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

 (標準処理期間)

第二十九条 難民等保護委員会は、第三条第一項の申請がされてから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間を定め、適当な方法により公にしておかなければならない。

 (審査の進行状況等に関する情報の提供)

第三十条 難民等保護委員会は、難民等の認定の申請者の求めに応じ、当該申請に係る審査の進行状況及び当該申請に対する処分の時期の見通しを示すよう努めなければならない。

   第三章 難民等保護委員会

 (設置)

第三十一条 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項の規定に基づいて、法務省の外局として、難民等保護委員会(以下「委員会」という。)を設置する。

 (任務)

第三十二条 委員会は、公正かつ適正な難民等の認定その他難民等及び難民等の認定の申請者の権利利益の保護を行うことを任務とする。

 (所掌事務)

第三十三条 委員会は、前条の任務を達成するため、次に掲げる事務をつかさどる。

 一 難民等の認定に関すること。

 二 一時庇護のための上陸の許可に関すること(入国審査官が行うべき事務を除く。)。

 三 仮滞在の許可に関すること(法務大臣及び入国審査官が行うべき事務を除く。)。

 四 第五十四条第三項の規定により法務大臣に意見を述べること。

 五 生活維持費の支給に関すること(法務大臣が行うべき事務を除く。)。

 六 所掌事務に係る国際協力に関すること。

 七 前各号に掲げる事務を行うために必要な調査及び研究に関すること。

 八 前各号に掲げるもののほか、法律(法律に基づく命令を含む。)に基づき委員会に属させられた事務

2 委員会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、難民等の保護に関する事項について勧告し、及びその勧告に基づいてとった措置について報告を求めることができる。

 (職権行使の独立性)

第三十四条 委員会の委員長及び委員は、独立してその職権を行う。

 (組織等)

第三十五条 委員会は、委員長及び委員十二人をもって組織する。

2 委員のうち六人は、非常勤とする。

3 委員長及び委員は、人格が高潔で識見が高く、かつ、難民等の保護に関し公正な判断をすることができる者であって、次の各号に掲げるもののうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。

 一 難民等の保護に関する学識経験のある者

 二 法律に関する学識経験のある者

 三 国際情勢に関する学識経験のある者

 四 難民等の保護に関する活動を行う民間の団体の実務に関して十分な知識と経験を有する者

4 前項の規定により委員長及び委員に任命される者の数は、同項各号に掲げる者につき、それぞれ三人以上でなければならない。

 (任期等)

第三十六条 委員長及び委員の任期は、五年とする。ただし、補欠の委員長又は委員の任期は、前任者の残任期間とする。

2 委員長及び委員は、再任されることができる。

3 委員長及び委員の任期が満了したときは、当該委員長及び委員は、後任者が任命されるまで引き続きその職務を行うものとする。

4 委員長又は委員の任期が満了し、又は欠員を生じた場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、内閣総理大臣は、前条第三項の規定にかかわらず、同項に定める資格を有する者のうちから、委員長又は委員を任命することができる。この場合においては、同条第四項の規定を準用する。

5 前項前段の場合においては、任命後最初の国会において両議院の事後の承認を得なければならない。この場合において、両議院の事後の承認が得られないときは、内閣総理大臣は、直ちに、その委員長又は委員を罷免しなければならない。

 (身分保障)

第三十七条 委員長及び委員は、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、在任中、その意に反して罷免されることがない。

 一 破産手続開始の決定を受けたとき。

 二 この法律の規定に違反して刑に処せられたとき。

 三 禁錮以上の刑に処せられたとき。

 四 委員会により、心身の故障のため職務を執行することができないと認められたとき、又は職務上の義務違反その他委員長若しくは委員たるに適しない非行があると認められたとき。

 (罷免)

第三十八条 内閣総理大臣は、委員長又は委員が前条各号のいずれかに該当するときは、その委員長又は委員を罷免しなければならない。

 (委員長)

第三十九条 委員長は、委員会の会務を総理し、委員会を代表する。

2 委員会は、あらかじめ常勤の委員のうちから、委員長に事故がある場合に委員長を代理する者を定めておかなければならない。

 (会議)

第四十条 委員会の会議は、委員長が招集する。

2 委員会は、委員長及び六人以上の委員の出席がなければ、会議を開き、議決をすることができない。

3 委員会の議事は、出席者の過半数でこれを決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。

4 第三十七条第四号の規定による認定をするには、前項の規定にかかわらず、本人を除く全員の一致がなければならない。

5 委員長に事故がある場合の第二項の規定の適用については、前条第二項に規定する委員長を代理する者は、委員長とみなす。

6 委員長は、必要があると認めるときは、国際連合難民高等弁務官事務所の職員その他の関係者を会議に出席させ、意見を述べさせることができる。

 (専門委員)

第四十一条 委員会に、専門の事項を調査させるため、専門委員を置くことができる。

2 専門委員は、委員会の申出に基づいて法務大臣が任命する。

3 専門委員は、当該専門の事項に関する調査が終了したときは、解任されるものとする。

4 専門委員は、非常勤とする。

 (事務局の組織)

第四十二条 委員会の事務を処理させるため、委員会に事務局を置く。

2 事務局に、事務局長のほか、調査官、相談員その他所要の職員を置く。

3 事務局長は、委員長の命を受けて、局務を掌理する。

4 調査官は、委員会の所掌事務に関する事実の調査に関する事務に従事する。

5 調査官は、委員会の所掌事務に関する専門的な知識経験を有する者のうちから、委員会が任命する。

6 相談員は、委員会の所掌事務に関する相談及び国際連合難民高等弁務官事務所による援助を必要とする者に対する国際連合難民高等弁務官事務所の紹介に関する事務に従事する。

 (地方事務所)

第四十三条 委員会の事務局の地方機関として、所要の地に地方事務所を置く。

2 前項の地方事務所の名称、位置及び管轄区域は、政令で定める。

3 第一項の地方事務所には、所要の地にその支所を置き、地方事務所の事務を分掌させることができる。

4 前項の支所の名称、位置及び管轄区域は、法務省令で定める。

5 地方事務所又はその支所の所掌事務を分掌させるため、所要の地に、地方事務所又はその支所の出張所を置くことができる。

6 地方事務所又はその支所の出張所の名称、位置及び管轄区域は、法務省令で定める。

 (政治運動等の禁止)

第四十四条 委員長及び委員は、在任中、政党その他の政治団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならない。

2 委員長及び常勤の委員は、在任中、内閣総理大臣の許可のある場合を除くほか、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行ってはならない。

 (秘密保持義務)

第四十五条 委員長、委員、専門委員及び事務局の職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らし、又は盗用してはならない。その職務を退いた後も、同様とする。

 (給与)

第四十六条 委員長及び委員の給与は、別に法律で定める。

 (規則の制定)

第四十七条 委員会は、その所掌事務について、法律若しくは政令を実施するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基づいて、難民等保護委員会規則を制定することができる。

 (資料の提出等の要求)

第四十八条 委員会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出その他必要な協力を求めることができる。

 (国会に対する報告)

第四十九条 委員会は、毎年、内閣総理大臣を経由して国会に対し所掌事務の処理状況を報告するとともに、その概要を公表しなければならない。

 (委員会の運営)

第五十条 この法律に定めるもののほか、委員会の運営に関し必要な事項は、委員会が定める。

   第四章 生活支援

 (基本理念)

第五十一条 難民等(難民等の認定の申請者を含む。以下この条、第五十八条及び第五十九条において同じ。)に対する生活上の支援(以下「生活支援」という。)に関する施策は、難民等が地域社会において適切に日常生活及び社会生活を営むことができるよう、地域社会の理解と協力を得つつ、総合的かつ一体的に行われなければならない。

 (国の責務)

第五十二条 国は、前条の基本理念(次条において「基本理念」という。)にのっとり、生活支援に関する総合的な施策を策定し、及び実施するものとする。

2 国は、前項の施策を実施するため必要な法制上及び財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

 (地方公共団体の責務)

第五十三条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、生活支援に関し、その地域の実情に応じた施策を策定し、及び実施するものとする。

 (生活支援基本計画)

第五十四条 政府は、生活支援に関する施策を総合的かつ一体的に実施するため、生活支援に関する施策の基本となるべき計画(以下この条において「生活支援基本計画」という。)を定めなければならない。

2 生活支援基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

 一 生活支援に関する基本的な方針

 二 次に掲げる生活支援に係る施策の実施に関する事項

  イ 日常生活及び社会生活に関する相談への対応、日本語の習得の援助その他日常生活及び社会生活を円滑に営むことができるようにするために必要な施策

  ロ 健康診断の実施、医療の提供その他保健及び医療の確保を図るために必要な施策

  ハ 公営住宅(公営住宅法(昭和二十六年法律第百九十三号)第二条第二号に規定する公営住宅をいう。)等の供給その他居住の安定を図るために必要な施策

  ニ 職業訓練の実施、就職のあっせんその他雇用の機会の確保を図るために必要な施策

  ホ 就学の円滑化、教育の充実その他必要な教育を受けることができるようにするために必要な施策

  ヘ 一定期間にわたり、宿泊場所の供与、食事の提供その他日常生活を営むのに必要な便宜の供与を受けることができるようにするために必要な施策

 三 生活支援を行う民間の団体との連携及び当該団体に対する援助に関する事項

 四 前各号に掲げるもののほか、生活支援に関する施策を総合的かつ一体的に実施するために必要な事項

3 法務大臣は、関係行政機関の長に協議するとともに、委員会の意見を聴いて、生活支援基本計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。

4 法務大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、生活支援基本計画を国会に報告するとともに、公表しなければならない。

5 前二項の規定は、生活支援基本計画の変更について準用する。

 (生活維持費の支給)

第五十五条 国は、一時庇護許可者又は仮滞在許可者が最低限度の生活の維持を図るのに困難を生ずるおそれがあると委員会が認める場合には、これらの者に対し、法務省令・難民等保護委員会規則で定めるところにより、一時庇護のための上陸の許可に係る上陸期間又は仮滞在期間中の最低限度の生活を維持するために必要な費用を支給することができる。

 (民間の団体の能力の活用等)

第五十六条 国及び地方公共団体は、生活支援に関する施策を実施するに当たっては、生活支援について民間の団体が果たしている役割の重要性に留意し、これらの団体との緊密な連携の確保に努めるとともに、その能力の積極的な活用を図るものとする。

 (国及び地方公共団体の連携)

第五十七条 国及び地方公共団体は、生活支援に関する施策を実施するに当たっては、相互の緊密な連携の確保に努めるものとする。

   第五章 雑則

 (難民等の保護に職務上関係のある者による配慮等)

第五十八条 難民等の保護に職務上関係のある者は、その職務を行うに当たっては、難民等の心身の状況、その置かれている環境等を踏まえ、難民等の人権に十分な配慮をしなければならない。

2 国は、難民等の保護に職務上関係のある者に対し、難民等の人権に関する理解を深めさせ、並びに難民等の保護を適正かつ効果的に行うために必要な知識及び技能を習得させ、及び向上させるための研修及び訓練の実施に関し必要な措置を講ずるものとする。

 (教育及び啓発)

第五十九条 国及び地方公共団体は、難民等の保護に関する国民の理解を深めるための教育及び啓発に努めるものとする。

 (事実の調査)

第六十条 法務大臣又は出入国在留管理庁長官は、第六条第一項若しくは第二項、第七条若しくは第十七条第一項の規定による許可、第十八条の規定による許可の取消し又は第十三条において準用する入管法第二十二条の二第三項において準用する入管法第二十条第三項本文、第十三条において準用する入管法第二十二条の二第四項において準用する入管法第二十二条第二項若しくは第二十五条の規定による許可に関する処分を行うため必要がある場合には入国審査官に、第十条第一項又は第十一条第一項の規定による在留資格の取消しに関する処分を行うため必要がある場合には入国審査官又は入国警備官に、それぞれ事実の調査をさせることができる。

2 入国審査官又は入国警備官は、前項の調査のため必要があるときは、外国人その他の関係人に対し出頭を求め、質問をし、又は文書の提示を求めることができる。

3 法務大臣、出入国在留管理庁長官、入国審査官又は入国警備官は、第一項の調査について、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。

 (情報提供)

第六十一条 委員会は、この法律に規定する難民等の保護の職務に相当する職務を行う外国の当局(以下この条において「外国当局」という。)に対し、その職務(この法律に規定する難民等の保護の職務に相当するものに限る。次項において同じ。)の遂行に資すると認める情報を提供することができる。

2 前項の規定による情報の提供については、当該情報が当該外国当局の職務の遂行に資する目的以外の目的で使用されないよう適切な措置がとられなければならない。

3 委員会は、外国当局からの要請があったときは、前項の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、第一項の規定により提供した情報を当該要請に係る外国の刑事事件の捜査又は審判(以下この項において「捜査等」という。)に使用することについて同意をすることができる。

 一 当該要請に係る刑事事件の捜査等の対象とされている犯罪が政治犯罪であるとき、又は当該要請が政治犯罪について捜査等を行う目的で行われたものと認められるとき。

 二 当該要請に係る刑事事件の捜査等の対象とされている犯罪に係る行為が日本国内において行われたとした場合において、その行為が日本国の法令によれば罪に当たるものでないとき。

 三 日本国が行う同種の要請に応ずる旨の当該要請に係る外国の保証がないとき。

4 委員会は、前項の同意をする場合においては、あらかじめ、同項第一号及び第二号に該当しないことについて法務大臣の確認を、同項第三号に該当しないことについて外務大臣の確認を、それぞれ受けなければならない。

5 委員会は、国際連合難民高等弁務官事務所に対し、難民条約第三十五条2の範囲内で、我が国における条約難民の保護の状況に関する情報を提供することができる。

 (身柄の引渡し)

第六十二条 検察官は、第六十九条の罪に係る被疑者を受け取った場合において、公訴を提起しないと決定するときは、入国警備官による入管法第十三条第六項に規定する仮上陸許可者収容許可状、入管法第三十九条第一項に規定する容疑者収容許可状又は入管法第五十二条第六項に規定する退去強制対象者収容許可状の提示を待って、当該被疑者を釈放して当該入国警備官に引き渡さなければならない。

 (刑事訴訟法の特例)

第六十三条 司法警察員は、第六十九条の罪に係る被疑者を逮捕し、若しくは受け取り、又はこれらの罪に係る現行犯人を受け取った場合には、入管法第十三条第六項に規定する仮上陸許可者収容許可状又は入管法第三十九条第一項に規定する容疑者収容許可状が発付され、かつ、その者が他に罪を犯した嫌疑のないときに限り、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第二百三条(同法第二百十一条及び第二百十六条の規定により準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、書類及び証拠物とともに、当該被疑者を入国警備官に引き渡すことができる。

2 前項の場合には、被疑者が身体を拘束された時から四十八時間以内に、当該被疑者を引き渡す手続をしなければならない。

 (手数料)

第六十四条 外国人は、第二十六条第一項の規定により難民旅行証明書の交付を受け、又は同条第七項の規定により難民旅行証明書に有効期間の延長の記載を受けるときは、手数料を納付しなければならない。

2 前項に規定する手数料の額は、条約難民である旨の認定を受けている者に対して交付される難民旅行証明書にあっては難民条約附属書第三項の定めるところにより、補完的保護対象者である旨の認定を受けている者に対して交付される難民旅行証明書にあっては同項の趣旨を踏まえ、別に政令で定める。

 (事務の区分)

第六十五条 第八条第一項、同条第二項(第十四条第二項において準用する場合を含む。)において準用する入管法第十九条の七第二項及び第十四条第一項の規定により市町村が処理することとされている事務は、地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。

 (難民等保護委員会規則等への委任)

第六十六条 第二章からこの章までの規定の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、次の各号に掲げる事務に応じ、当該各号に定める命令で定める。

 一 委員会が行うべき事務 難民等保護委員会規則

 二 法務大臣が行うべき事務 法務省令

 三 市町村の長が行うべき事務 政令

 (権限の委任)

第六十七条 この法律に規定する法務大臣の権限は、政令で定めるところにより、出入国在留管理庁長官に委任することができる。ただし、第五十四条第三項及び第四項(これらの規定を同条第五項において準用する場合を含む。)に規定する権限については、この限りでない。

2 この法律に規定する出入国在留管理庁長官の権限(前項の規定により委任された権限を含む。)は、法務省令で定めるところにより、地方出入国在留管理局長に委任することができる。

 (経過措置)

第六十八条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

   第六章 罰則

第六十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科する。

 一 難民等でないにもかかわらず、偽りその他不正の手段により難民等の認定を受けた者

 二 第十条第二項において準用する入管法第二十二条の四第七項本文の規定により期間の指定を受けた者で、当該期間を経過して本邦に残留するもの

 三 一時庇護許可者で、当該一時庇護許可書に記載された期間を経過して本邦に残留するもの

 四 仮滞在許可者で、仮滞在期間を経過して本邦に残留するもの

第七十条 前条第三号の罪を犯した者については、次の各号に該当することの証明があったときは、その刑を免除する。

 一 条約難民又は補完的保護対象者であること。

 二 前号の条約難民又は補完的保護対象者に係る領域においてその生命、身体、身体の自由又はその他難民条約第一条A(2)若しくは市民的及び政治的権利に関する国際規約第七条の規定により保護された権利利益を害されるおそれがあることにより、当該罪に係る行為をしたものであること。

第七十一条 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 一 他人の入管法第七十条第一項第一号又は第二号に規定する行為の実行を容易にする目的で、偽りその他不正の手段により、第二十六条第一項の難民旅行証明書の交付を受けたとき。

 二 入管法第七十条第一項第一号又は第二号の罪を犯す目的で、偽りその他不正の手段により、第二十六条第一項の難民旅行証明書の交付を受けたとき。

2 営利の目的で前項第一号の罪を犯したときは、その違反行為をした者は、五年以下の懲役及び五百万円以下の罰金に処する。

第七十二条 前条の罪の未遂は、罰する。

第七十三条 前二条の罪は、刑法第二条の例に従う。

第七十四条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して第七十一条(第一項第二号を除く。)の罪又はその未遂罪を犯したときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、同条の罰金刑を科する。

第七十五条 第四十五条の規定に違反して秘密を漏らし、又は盗用した者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

第七十六条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役若しくは二十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 一 第二十一条第三項(第二十二条第二項及び第二十三条第二項において準用する場合を含む。)又は第二十七条第二項の規定に違反して難民等認定証明書を返納しなかった者

 二 第二十六条第九項又は第二十七条第一項の規定に違反して難民旅行証明書を返納しなかった者

 三 第二十六条第十項の規定により難民旅行証明書の返納を命ぜられた者で、同項の規定により付された期限内にこれを返納しなかったもの

第七十七条 第八条第一項又は第十四条第一項の規定による届出に関し虚偽の届出をした者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。

第七十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。

 一 第八条第一項又は第十四条第一項の規定に違反して住居地を届け出なかった者

 二 一時庇護許可者で、第十二条第八項の規定に基づき付された条件に違反して逃亡したもの

 三 仮滞在許可者で、第十七条第三項の規定に基づき付された条件に違反して、逃亡し、又は正当な理由がなくて呼出しに応じないもの

第七十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、十万円以下の罰金に処する。

 一 第十五条第一項又は第十九条第一項の規定に違反した者

 二 第十五条第二項(第十九条第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反して一時庇護許可書又は仮滞在許可書の提示を拒んだ者

第八十条 第九条第三項各号に掲げる者が、同項の規定に違反して、第八条第一項若しくは第十四条第一項の規定による届出又は第八条第二項(第十四条第二項において準用する場合を含む。)において準用する入管法第十九条の七第二項の規定により返還される在留カードの受領をしなかったときは、五万円以下の過料に処する。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次項の規定は、公布の日から施行する。

 (経過措置等)

2 この法律の施行に伴う経過措置及び関係法律の整備その他必要な事項については、別に法律で定める。


     理 由

 難民等及び難民等の認定の申請者の権利利益の保護を図り、もって難民等に関する問題を解決するための国際社会の取組に寄与するため、難民等の認定及びその在留資格に係る許可等、難民等及び難民等の認定の申請者に対する生活上の支援に関する施策等について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。


   この法律の施行に伴い必要となる経費

 この法律の施行に伴い必要となる経費は、平年度約二十二億円の見込みである。

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