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第二〇四回

参第三〇号

   児童対象性犯罪等の防止を図るための児童福祉法等の一部を改正する等の法律案

 (趣旨)

第一条 この法律は、児童福祉施設(児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第七条第一項に規定する児童福祉施設をいう。)、教育施設その他児童(十八歳に満たない者をいう。以下同じ。)が生活し、又は活動する場(以下「児童福祉施設等」という。)において児童に日常的に接する業務に従事する者によるその業務に係る児童に対する児童対象性犯罪等(次条の規定による改正後の児童福祉法(第六条及び附則第二条において「新児童福祉法」という。)第十八条の五第二号に規定する罪をいう。以下同じ。)の防止を図ることが喫緊の課題であることに鑑み、その防止を図るため、保育士(児童福祉法第十八条の四に規定する保育士をいう。第六条及び附則第七条第一号において同じ。)等の欠格事由に係る同法等の一部改正等について定めるとともに、児童福祉施設等において児童に日常的に接する業務に従事しようとする者について児童対象性犯罪等の経歴を有しないことを証明する制度の整備について定めるものとする。

 (児童福祉法の一部改正)

第二条 児童福祉法の一部を次のように改正する。

  第十八条の五中第五号を第七号とし、第四号を第六号とし、同条第三号中「この法律」を「前号に該当する者を除くほか、この法律」に改め、同号を同条第五号とし、同条第二号中「禁錮」を「前号に該当する者を除くほか、禁錮」に、「二年」を「五年」に改め、同号を同条第三号とし、同号の次に次の一号を加える。

  四 第六十条第一項の罪又は児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律に規定する罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して五年を経過しない者

  第十八条の五第一号の次に次の一号を加える。

  二 第六十条第一項の罪、刑法(明治四十年法律第四十五号)第百七十六条から第百七十八条までの罪(その被害者が児童である場合に限る。)、同法第百七十九条の罪若しくは同法第百八十条、第百八十一条、第二百二十五条(わいせつの目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)、第二百二十六条の二第三項(わいせつの目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)、第二百二十七条第三項(わいせつの目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)、第二百二十八条(同法第二百二十五条、第二百二十六条の二第三項又は第二百二十七条第三項に係る部分に限る。)、第二百四十一条第一項若しくは第三項若しくは第二百四十三条(同項に係る部分に限る。)の罪(その被害者が児童である場合に限る。)、盗犯等の防止及び処分に関する法律(昭和五年法律第九号)第四条(刑法第二百四十一条第一項に係る部分に限る。)の罪(その被害者が児童である場合に限る。)又は児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)に規定する罪を犯したことにより、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して十年を経過しない者

  第十八条の十二第二項中「(明治四十年法律第四十五号)」を削る。

  第十八条の十九第一項第一号中「第四号」を「第六号」に改める。

  第三十四条の二十第一項第二号中「(平成十一年法律第五十二号)」を削る。

 (国家戦略特別区域法の一部改正)

第三条 国家戦略特別区域法(平成二十五年法律第百七号)の一部を次のように改正する。

  第十二条の五第二項中「、児童」の下に「(同法第四条第一項に規定する児童をいう。以下この条において同じ。)」を加え、同条第四項中第五号を第七号とし、第四号を第六号とし、同項第三号中「第十五項」を「前号に該当する者を除くほか、第十五項」に改め、同号を同項第五号とし、同項第二号中「禁錮」を「前号に該当する者を除くほか、禁錮」に、「二年」を「五年」に改め、同号を同項第三号とし、同号の次に次の一号を加える。

  四 児童福祉法第六十条第一項の罪又は児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律に規定する罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して五年を経過しない者

  第十二条の五第四項第一号の次に次の一号を加える。

  二 刑法第百七十六条から第百七十八条までの罪(その被害者が児童である場合に限る。)、同法第百七十九条の罪若しくは同法第百八十条、第百八十一条、第二百二十五条(わいせつの目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)、第二百二十六条の二第三項(わいせつの目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)、第二百二十七条第三項(わいせつの目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)、第二百二十八条(同法第二百二十五条、第二百二十六条の二第三項又は第二百二十七条第三項に係る部分に限る。)、第二百四十一条第一項若しくは第三項若しくは第二百四十三条(同項に係る部分に限る。)の罪(その被害者が児童である場合に限る。)、盗犯等の防止及び処分に関する法律(昭和五年法律第九号)第四条(刑法第二百四十一条第一項に係る部分に限る。)の罪(その被害者が児童である場合に限る。)、児童福祉法第六十条第一項の罪又は児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)に規定する罪を犯したことにより、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して十年を経過しない者

 (学校教育法の一部改正)

第四条 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)の一部を次のように改正する。

  第九条中第四号を第五号とし、第三号を第四号とし、第二号を第三号とし、第一号の次に次の一号を加える。

  二 児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第六十条第一項の罪又は児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)に規定する罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して五年を経過しない者

 (教育職員免許法の一部改正)

第五条 教育職員免許法(昭和二十四年法律第百四十七号)の一部を次のように改正する。

  第五条第一項中第六号を第七号とし、第五号を第六号とし、第四号を第五号とし、第三号の次に次の一号を加える。

  四 児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第六十条第一項の罪又は児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)に規定する罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して五年を経過しない者

  第十条第一項第一号及び第十四条第一号中「又は第六号」を「、第四号又は第七号」に改める。

  第十四条の二中「若しくは第六号」を「、第四号若しくは第七号」に改める。

  附則第十八項中「(昭和二十二年法律第百六十四号)」を削る。

 (データベースの整備)

第六条 政府は、保育士又は国家戦略特別区域限定保育士(国家戦略特別区域法第十二条の五第二項に規定する国家戦略特別区域限定保育士をいう。)の欠格事由に関し、新児童福祉法第十八条の五第二号又は第三条の規定による改正後の国家戦略特別区域法(附則第三条において「新国家戦略特別区域法」という。)第十二条の五第四項第二号に該当するかどうかの判断が迅速に行われるようにするためのデータベースの整備に必要な措置を講ずるものとする。

 (児童対象性犯罪等の経歴を有しないことを証明する制度の整備)

第七条 政府は、この法律の公布後二年以内に、児童福祉施設等において児童に日常的に接する業務に従事しようとする者について児童対象性犯罪等の経歴を有しないことを公の機関が証明する制度を整備するものとし、このために必要な措置を講ずるものとする。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第一条、第六条及び第七条並びに附則第六条及び第七条の規定は、公布の日から施行する。

 (児童福祉法の一部改正に伴う経過措置)

第二条 新児童福祉法第十八条の五第二号の規定の適用については、刑法の一部を改正する法律(平成二十九年法律第七十二号。以下この項及び次条第一項において「刑法一部改正法」という。)による改正前の刑法(明治四十年法律第四十五号。以下この項及び次条第一項において「旧刑法」という。)第百七十七条、第百七十八条第二項、第百七十八条の二、第百七十九条(旧刑法第百七十七条、第百七十八条第二項又は第百七十八条の二に係る部分に限る。次条第一項において同じ。)、第二百四十一条又は第二百四十三条(旧刑法第二百四十一条に係る部分に限る。次条第一項において同じ。)(刑法一部改正法附則第二条第一項の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこれらの規定を含む。)の罪(その被害者が児童である場合に限る。)その他旧刑法又は刑法一部改正法附則第三条の規定による改正前の盗犯等の防止及び処分に関する法律(昭和五年法律第九号)に規定する罪であって児童対象性犯罪等に相当する罪として政令で定めるものは、同号に規定する罪とみなす。

2 新児童福祉法第十八条の五第二号から第四号までの規定は、この法律の施行の際第二条の規定による改正前の児童福祉法第十八条の五第二号及び第三号のいずれにも該当しない者については、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後に新児童福祉法第十八条の五第二号から第四号までに規定する刑に処せられた場合について適用する。

 (国家戦略特別区域法の一部改正に伴う経過措置)

第三条 新国家戦略特別区域法第十二条の五第四項第二号の規定の適用については、旧刑法第百七十七条、第百七十八条第二項、第百七十八条の二、第百七十九条、第二百四十一条若しくは第二百四十三条(刑法一部改正法附則第二条第一項の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこれらの規定を含む。)の罪(その被害者が児童である場合に限る。)又は前条第一項の政令で定める罪は、同号に規定する罪とみなす。

2 新国家戦略特別区域法第十二条の五第四項第二号から第四号までの規定は、この法律の施行の際第三条の規定による改正前の国家戦略特別区域法第十二条の五第四項第二号及び第三号のいずれにも該当しない者については、施行日以後に新国家戦略特別区域法第十二条の五第四項第二号から第四号までに規定する刑に処せられた場合について適用する。

 (学校教育法の一部改正に伴う経過措置)

第四条 第四条の規定による改正後の学校教育法第九条第二号(同法第百三十三条第一項及び第百三十四条第二項並びに就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成十八年法律第七十七号)第二十六条において準用する場合を含む。)の規定は、施行日以後に同号に規定する刑に処せられた者について適用する。

 (教育職員免許法の一部改正に伴う経過措置)

第五条 第五条の規定による改正後の教育職員免許法第五条第一項第四号の規定は、施行日以後に同号に規定する刑に処せられた者について適用する。

 (政令への委任)

第六条 附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

 (検討)

第七条 政府は、次に掲げる事項について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

 一 保育士、教員等が児童対象性犯罪等又は児童に対するわいせつな行為を行った場合における当該保育士、教員等に対する措置の適正かつ厳格な実施の徹底その他の児童福祉施設等において児童に接する業務に従事する者によりその業務に係る児童に対して児童対象性犯罪等又はわいせつな行為が行われないようにするための方策

 二 児童対象性犯罪等の特性を踏まえた再犯の防止に関する施策の充実その他児童対象性犯罪等を行った者の改善更生を一層促進するための方策


     理 由

 児童福祉施設等において児童に日常的に接する業務に従事する者によるその業務に係る児童に対する児童対象性犯罪等の防止を図ることが喫緊の課題であることに鑑み、その防止を図るため、保育士等の欠格事由の厳格化の措置を講ずるとともに、児童福祉施設等において児童に日常的に接する業務に従事しようとする者について児童対象性犯罪等の経歴を有しないことを証明する制度の整備について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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