衆議院

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第二〇四回

閣第一七号

   良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案

 (医療法の一部改正)

第一条 医療法(昭和二十三年法律第二百五号)の一部を次のように改正する。

  第百四条中「平成三十五年三月三十一日」を「令和五年三月三十一日」に改める。

  附則に次の二条を加える。

 第百五条 厚生労働大臣は、労働が長時間にわたる医師の労働時間を短縮し、及びその健康を確保することにより、医師が良質かつ適切な医療を行うことができるよう、当分の間において国及び都道府県並びに病院又は診療所の管理者その他の関係者が適切に対処するために必要な指針を定め、これを公表するものとする。

 第百六条 都道府県は、当分の間、第三十条の十四第一項、第三十条の十八の二第一項及び第三十条の二十三第一項の協議を行うに当たつては、前条の指針を勘案するものとする。

第二条 医療法の一部を次のように改正する。

  目次中「第三十条の十八の二」の下に「−第三十条の十八の四」を加える。

  第二十九条第三項第三号及び第四項第三号中「又は第三十条の十三第五項」を「、第三十条の十三第五項又は第三十条の十八の二第二項」に改める。

  第三十条の三の二に次の一項を加える。

 2 厚生労働大臣は、前条第二項第七号に掲げる事項を定め、又はこれを変更するために必要があると認めるときは、都道府県知事又は第三十条の十八の二第一項に規定する外来機能報告対象病院等若しくは第三十条の十八の三第一項に規定する無床診療所の開設者若しくは管理者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、第三十条の十八の二第一項又は第三十条の十八の三第一項の規定による報告の内容その他の必要な情報の提供を求めることができる。

  第三十条の五中「第三十条の十八の二第一項」を「第三十条の十八の四第一項」に改める。

  第三十条の十三第一項中「一般病床又は療養病床」を「療養病床又は一般病床」に改める。

  第三十条の十四第一項中「第三十条の十八の二第三項」を「第三十条の十八の四第三項」に、「第三十条の十八の二第一項」を「第三十条の十八の四第一項」に改める。

  第三十条の十八の二第一項中「第二号」を「第三号」に、「第四号」を「第五号」に改め、同項中第五号を第六号とし、第四号を第五号とし、第三号を第四号とし、同項第二号中「病院」を「前号に掲げるもののほか、病院」に改め、同号を同項第三号とし、同項第一号の次に次の一号を加える。

  二 第三十条の十八の二第一項及び前条第一項の規定による報告を踏まえた第三十条の十八の二第一項第一号の厚生労働省令で定める外来医療を提供する基幹的な病院又は診療所に関する事項

  第五章第四節中第三十条の十八の二を第三十条の十八の四とし、同条の前に次の二条を加える。

 第三十条の十八の二 病床機能報告対象病院等であつて外来医療を提供するもの(以下この条において「外来機能報告対象病院等」という。)の管理者は、地域における外来医療に係る病院及び診療所の機能の分化及び連携の推進のため、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる事項を当該外来機能報告対象病院等の所在地の都道府県知事に報告しなければならない。

  一 当該外来機能報告対象病院等において提供する外来医療のうち、その提供に当たつて医療従事者又は医薬品、医療機器その他の医療に関する物資を重点的に活用するものとして厚生労働省令で定める外来医療に該当するものの内容

  二 当該外来機能報告対象病院等が地域において前号の厚生労働省令で定める外来医療を提供する基幹的な病院又は診療所としての役割を担う意向を有する場合は、その旨

  三 その他厚生労働省令で定める事項

 2 都道府県知事は、外来機能報告対象病院等の管理者が前項(第二号に係る部分を除く。)の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたときは、期間を定めて、当該外来機能報告対象病院等の開設者に対し、当該管理者をしてその報告を行わせ、又はその報告の内容を是正させることを命ずることができる。

 3 第三十条の十三第三項、第四項及び第六項の規定は、第一項の規定による報告について準用する。この場合において、同条第三項中「病床機能報告対象病院等」とあるのは「外来機能報告対象病院等」と、同条第六項中「前項」とあるのは「第三十条の十八の二第二項」と、「病床機能報告対象病院等」とあるのは「外来機能報告対象病院等」と読み替えるものとする。

 第三十条の十八の三 患者を入院させるための施設を有しない診療所(以下この条において「無床診療所」という。)の管理者は、地域における外来医療に係る病院及び診療所の機能の分化及び連携の推進のため、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる事項を当該無床診療所の所在地の都道府県知事に報告することができる。

  一 当該無床診療所において提供する外来医療のうち、前条第一項第一号の厚生労働省令で定める外来医療に該当するものの内容

  二 当該無床診療所が地域において前条第一項第一号の厚生労働省令で定める外来医療を提供する基幹的な診療所としての役割を担う意向を有する場合は、その旨

  三 その他厚生労働省令で定める事項

 2 第三十条の十三第三項及び第四項の規定は、前項の規定による報告について準用する。この場合において、同条第三項中「病床機能報告対象病院等」とあるのは、「無床診療所」と読み替えるものとする。

  第九十二条中「第三十条の十三第五項」の下に「又は第三十条の十八の二第二項」を加える。

  第百六条中「第三十条の十八の二第一項」を「第三十条の十八の四第一項」に改める。

  附則に次の十九条を加える。

 第百七条 厚生労働大臣は、当分の間、労働が長時間にわたる医師の労働時間を短縮するための病院又は診療所における取組を評価することにより医師による良質かつ適切な医療の効率的な提供に資することを目的とする一般社団法人又は一般財団法人であつて、次条に規定する業務を適切かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、医療機関勤務環境評価センターとして指定することができる。

 2 厚生労働大臣は、前項の規定による指定をしたときは、当該医療機関勤務環境評価センターの名称、住所及び事務所の所在地を公示しなければならない。

 3 医療機関勤務環境評価センターは、その名称、住所又は事務所の所在地を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。

 4 厚生労働大臣は、前項の規定による届出があつたときは、当該届出に係る事項を公示しなければならない。

 第百八条 医療機関勤務環境評価センターは、次に掲げる業務を行うものとする。

  一 病院又は診療所の管理者からの求めに応じ、当該病院又は診療所に勤務する医師の労働時間の短縮のための取組の状況その他厚生労働省令で定める事項について評価を行うこと。

  二 病院又は診療所における医師の労働時間の短縮のための取組について、病院又は診療所の管理者に対し、必要な助言及び指導を行うこと。

  三 前二号に掲げるもののほか、医師による良質かつ適切な医療の効率的な提供に資するよう、病院又は診療所における医師の労働時間の短縮を促進するための業務を行うこと。

 2 医療機関勤務環境評価センターは、前項各号に掲げる業務を行うに当たつては、第百五条の指針を勘案しなければならない。

 第百九条 医療機関勤務環境評価センターは、前条第一項第一号の評価を行つたときは、遅滞なく、当該評価に係る病院又は診療所の管理者及び当該病院又は診療所の所在地の都道府県知事に対して、その評価の結果を通知しなければならない。

 第百十条 医療機関勤務環境評価センターは、第百八条第一項第一号の評価を受けようとする者から、医療機関勤務環境評価センターが厚生労働大臣の認可を受けて定める額の手数料を徴収することができる。

 第百十一条 都道府県知事は、厚生労働省令で定めるところにより、第百九条の規定により通知された評価の結果を公表しなければならない。

 2 都道府県知事は、第百九条の規定による評価の結果の通知を受けたときは、当該評価に係る病院又は診療所に対し、必要に応じ、当該病院又は診療所に勤務する医師の労働時間の短縮に有用な情報の提供、助言その他の支援を行うものとする。

 3 都道府県又は第三十条の二十一第二項の規定による委託を受けた者は、当分の間、同条第一項各号に掲げる事務又は当該委託に係る事務を実施するに当たり、同条第三項各号に掲げる事項に加え、第一項の規定により公表された評価の結果について特に留意するものとする。

 第百十二条 医療機関勤務環境評価センターは、第百八条第一項各号に掲げる業務(以下「評価等業務」という。)を行うときは、その開始前に、評価等業務の実施方法に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項について評価等業務に関する規程(次項及び第百二十二条第一項第三号において「業務規程」という。)を定め、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

 2 厚生労働大臣は、前項の認可をした業務規程が評価等業務の適正かつ確実な実施上不適当となつたと認めるときは、当該業務規程を変更すべきことを命ずることができる。

 第百十三条 医療機関勤務環境評価センターは、毎事業年度、厚生労働省令で定めるところにより、評価等業務に関し事業計画書及び収支予算書を作成し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

 2 医療機関勤務環境評価センターは、厚生労働省令で定めるところにより、毎事業年度終了後、評価等業務に関し事業報告書及び収支決算書を作成し、厚生労働大臣に提出しなければならない。

 第百十四条 医療機関勤務環境評価センターは、評価等業務以外の業務を行つている場合には、当該業務に係る経理と評価等業務に係る経理とを区分して整理しなければならない。

 第百十五条 医療機関勤務環境評価センターは、厚生労働大臣の許可を受けなければ、評価等業務の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。

 第百十六条 医療機関勤務環境評価センターの役員若しくは職員又はこれらの者であつた者は、正当な理由がなく、評価等業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

 第百十七条 医療機関勤務環境評価センターは、厚生労働省令で定めるところにより、評価等業務の一部を、厚生労働大臣の承認を受けて、他の者に委託することができる。

 2 前項の規定による委託を受けた者若しくはその役員若しくは職員又はこれらの者であつた者は、正当な理由がなく、当該委託に係る業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

 第百十八条 医療機関勤務環境評価センターには、評価等業務諮問委員会を置かなければならない。

 2 評価等業務諮問委員会は、医療機関勤務環境評価センターの代表者の諮問に応じ、評価等業務の実施方法、評価等業務に基づく評価の結果その他評価等業務の実施に関する重要事項を調査審議し、及びこれらに関し必要と認める意見を医療機関勤務環境評価センターの代表者に述べることができる。

 3 評価等業務諮問委員会の委員は、医療に関して高い識見を有する者、労働に関して高い識見を有する者その他学識経験を有する者のうちから、厚生労働大臣の認可を受けて、医療機関勤務環境評価センターの代表者が任命する。

 第百十九条 医療機関勤務環境評価センターは、厚生労働省令で定めるところにより、帳簿を備え、評価等業務に関し厚生労働省令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。

 第百二十条 厚生労働大臣は、評価等業務の適正な運営を確保するために必要があると認めるときは、医療機関勤務環境評価センターに対し、評価等業務若しくは資産の状況に関し必要な報告を命じ、又は当該職員に、医療機関勤務環境評価センターの事務所に立ち入り、評価等業務の状況若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

 2 第六条の二十四第二項及び第三項の規定は、前項の規定による立入検査について準用する。

 第百二十一条 厚生労働大臣は、この法律を施行するために必要な限度において、医療機関勤務環境評価センターに対し、評価等業務に関し監督上必要な命令をすることができる。

 第百二十二条 厚生労働大臣は、医療機関勤務環境評価センターが次の各号のいずれかに該当するときは、第百七条第一項の規定による指定(以下この条において「指定」という。)を取り消すことができる。

  一 評価等業務を適正かつ確実に実施することができないと認められるとき。

  二 指定に関し不正の行為があつたとき。

  三 この法律の規定若しくは当該規定に基づく命令若しくは処分に違反したとき、又は第百十二条第一項の認可を受けた業務規程によらないで評価等業務を行つたとき。

 2 厚生労働大臣は、前項の規定により指定を取り消したときは、その旨を公示しなければならない。

 第百二十三条 第百七条から前条までに規定するもののほか、医療機関勤務環境評価センターに関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

 第百二十四条 第百十六条又は第百十七条第二項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 第百二十五条 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした医療機関勤務環境評価センターの役員又は職員は、三十万円以下の罰金に処する。

  一 第百十五条の許可を受けないで、評価等業務の全部を廃止したとき。

  二 第百十九条の規定による帳簿の記載をせず、虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかつたとき。

  三 第百二十条第一項の規定による報告を怠り、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。

第三条 医療法の一部を次のように改正する。

  第三十条の四第二項第五号中「ハに」を「ニに」に改め、同号ヘ中「ホ」を「ヘ」に改め、同号中ヘをトとし、ハからホまでをニからヘまでとし、ロの次に次のように加える。

   ハ そのまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある感染症がまん延し、又はそのおそれがあるときにおける医療

  第三十条の四第四項第一号中「ヘ」を「ト」に改める。

  第三十五条第一項第二号中「第十一条第二号若しくは」を「第十一条第一項第二号若しくは」に、「第十一条第二号の」を「第十一条第一項第二号の」に改める。

  第百二十五条第一号中「第百十五条」を「第百三十八条」に改め、同条第二号中「第百十九条」を「第百四十二条」に改め、同条第三号中「第百二十条第一項」を「第百四十三条第一項」に改め、同条を第百四十九条とする。

  第百二十四条中「第百十六条又は第百十七条第二項」を「第百二十一条第三項、第百三十九条又は第百四十条第二項」に改め、同条を第百四十七条とし、同条の次に次の一条を加える。

 第百四十八条 第百十一条又は第百二十六条の規定に基づく命令に違反した場合には、当該違反行為をした者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

  第百二十三条中「第百七条」を「第百三十条」に改め、同条を第百四十六条とする。

  第百二十二条第一項中「第百七条第一項」を「第百三十条第一項」に改め、同項第三号中「第百十二条第一項」を「第百三十五条第一項」に改め、同条を第百四十五条とする。

  第百二十一条を第百四十四条とし、第百十三条から第百二十条までを二十三条ずつ繰り下げる。

  第百十二条第一項中「第百八条第一項各号」を「第百三十一条第一項各号」に、「第百二十二条第一項第三号」を「第百四十五条第一項第三号」に改め、同条を第百三十五条とする。

  第百十一条第一項及び第二項中「第百九条」を「第百三十二条」に改め、同条を第百三十四条とする。

  第百十条中「第百八条第一項第一号」を「第百三十一条第一項第一号」に改め、同条を第百三十三条とする。

  第百九条を第百三十二条とし、第百八条を第百三十一条とし、第百七条を第百三十条とし、第百六条の次に次の二十三条を加える。

 第百七条 病院又は診療所の管理者は、当分の間、当該病院又は診療所に勤務する医師の健康状態を把握し、適切に対応するために必要な体制を整備しなければならない。

 第百八条 病院又は診療所の管理者は、当分の間、当該病院又は診療所に勤務する医師のうち、各月の労働時間の状況が厚生労働省令で定める要件に該当する者(以下この条において「面接指導対象医師」という。)に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師(面接指導対象医師に対し、面接指導(問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うことをいう。以下同じ。)を行うのに適切な者として厚生労働省令で定める要件に該当する者に限る。以下この条において「面接指導実施医師」という。)による面接指導を行わなければならない。

 2 面接指導対象医師は、前項の規定により病院又は診療所の管理者が行う面接指導を受けなければならない。ただし、当該管理者の指定した面接指導実施医師が行う面接指導を受けることを希望しない場合において、他の面接指導実施医師の行う同項の規定による面接指導に相当する面接指導を受け、その結果を証明する書面を当該管理者に提出したときは、この限りでない。

 3 病院又は診療所の管理者は、面接指導実施医師に対し、厚生労働省令で定めるところにより、面接指導対象医師の労働時間に関する情報その他の面接指導実施医師が面接指導を適切に行うために必要な情報として厚生労働省令で定めるものを提供しなければならない。

 4 病院又は診療所の管理者は、第一項又は第二項ただし書の規定による面接指導の結果に基づき、当該面接指導対象医師の健康を保持するために必要な措置について、厚生労働省令で定めるところにより、面接指導実施医師の意見を聴かなければならない。

 5 病院又は診療所の管理者は、前項の規定による面接指導実施医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該面接指導対象医師の実情を考慮して、厚生労働省令で定めるところにより、労働時間の短縮、宿直の回数の減少その他の適切な措置を講じなければならない。

 6 病院又は診療所の管理者は、面接指導対象医師について、各月の当該面接指導対象医師の労働時間の状況が特に長時間であるものとして厚生労働省令で定める要件に該当する場合には、厚生労働省令で定めるところにより、労働時間の短縮のために必要な措置を講じなければならない。

 7 病院又は診療所の管理者は、厚生労働省令で定めるところにより、第一項及び第二項ただし書の規定による面接指導、第四項の規定による面接指導実施医師の意見の聴取並びに前二項の規定による措置の内容を記録し、これを保存しなければならない。

 8 面接指導対象医師に対し、労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第六十六条の八第一項の規定による面接指導(厚生労働省令で定める要件に該当するものに限る。)が行われている場合には、第一項の規定にかかわらず、同項の規定による面接指導を行うことを要しない。

 第百九条 病院又は診療所の管理者は、地域の病院又は診療所において前条第一項の規定による面接指導が適切に実施されるよう、第百五条の指針に従い、相互に連携を図りながら協力しなければならない。

 第百十条 病院又は診療所の管理者は、当分の間、当該病院又は診療所に勤務する医師のうち、その予定されている労働時間の状況(一年の期間に係るものに限る。第百二十三条第一項において同じ。)が厚生労働省令で定める要件に該当する者(同項に規定する特定対象医師を除き、以下この条において「対象医師」という。)に対し、当該対象医師ごとに厚生労働省令で定める業務の開始から厚生労働省令で定める時間を経過するまでに、厚生労働省令で定めるところにより、継続した休息時間を確保するよう努めなければならない。ただし、当該業務の開始から厚生労働省令で定める時間を経過するまでに、厚生労働省令で定めるところにより対象医師を宿日直勤務(厚生労働大臣の定める基準に適合するものに限る。第三項並びに第百二十三条第一項及び第三項において同じ。)に従事させる場合は、この限りでない。

 2 病院又は診療所の管理者は、対象医師に対し、前項に規定する休息時間を確保しなかつた場合には、厚生労働省令で定めるところにより、事後において、これに相当する休息時間を確保するよう努めなければならない。

 3 第一項ただし書の場合において、当該病院又は診療所の管理者は、当該宿日直勤務中に、当該対象医師を労働させたときは、当該宿日直勤務後に、当該対象医師に対し、厚生労働省令で定めるところにより、必要な休息時間を確保するよう努めなければならない。

 第百十一条 都道府県知事は、病院又は診療所の管理者が、正当な理由がなく、第百七条に規定する必要な体制の整備をしていないと認めるとき、第百八条第一項の規定による面接指導を行つていないと認めるとき(同条第二項ただし書に規定する書面が提出されている場合及び同条第八項に規定する場合を除く。)又は同条第六項に規定する必要な措置を講じていないと認めるときは、当該病院又は診療所の開設者に対し、期限を定めて、その改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

 第百十二条 第百八条から第百十条までに規定するもののほか、第百八条第一項の規定による面接指導の実施又は第百十条第一項本文、第二項若しくは第三項の規定による休息時間の確保に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

 第百十三条 都道府県知事は、当分の間、次に掲げる医療のいずれかを提供するために医師をやむを得ず長時間従事させる必要がある業務として厚生労働省令で定めるものがあると認められる病院又は診療所(当該都道府県の区域に所在するものに限る。)を、当該病院又は診療所の開設者の申請により、特定地域医療提供機関として指定することができる。

  一 救急医療

  二 居宅等における医療

  三 地域において当該病院又は診療所以外で提供することが困難な医療

 2 前項の規定による指定の申請は、厚生労働省令で定める事項を記載した申請書に、同項に規定する業務に従事する医師の労働時間の短縮に関する計画(以下「労働時間短縮計画」という。)の案を添えてしなければならない。

 3 都道府県知事は、第一項の申請に係る病院又は診療所が次に掲げる要件に該当すると認めるときは、同項の規定による指定をすることができる。

  一 前項の労働時間短縮計画の案が、当該病院又は診療所に勤務する医師その他関係者の意見を聴いて作成されたものであることその他の厚生労働省令で定める要件を満たすものであること。

  二 第百八条第一項の規定による面接指導並びに第百二十三条第一項本文及び第二項後段の規定による休息時間の確保を行うことができる体制が整備されていること。

  三 労働に関する法律の規定であつて政令で定めるものの違反に関し、法律に基づく処分、公表その他の措置が講じられた事実であつて厚生労働省令で定めるものがないこと。

 4 都道府県知事は、第一項の規定による指定をするに当たつては、第百三十二条の規定により通知を受けた同項の申請に係る病院又は診療所の評価の結果を踏まえなければならない。

 5 都道府県知事は、第一項の規定による指定をするに当たつては、あらかじめ、都道府県医療審議会の意見を聴かなければならない。

 6 都道府県知事は、第一項の規定による指定をしたときは、厚生労働省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。

 7 都道府県知事は、この条の規定の施行に必要な限度において、第百三十条第一項の医療機関勤務環境評価センター(第百十六条第一項において単に「医療機関勤務環境評価センター」という。)に対し、必要な事項の報告を求めることができる。

 第百十四条 特定地域医療提供機関の管理者は、前条第一項の規定による指定を受けた後、遅滞なく、労働時間短縮計画を定めなければならない。

 第百十五条 第百十三条第一項の規定による指定は、三年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う。

 2 前項の更新の申請があつた場合において、同項の期間(以下この条において「指定の有効期間」という。)の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、従前の指定は、指定の有効期間の満了後もその処分がされるまでの間は、なおその効力を有する。

 3 前項の場合において、指定の更新がされたときは、その指定の有効期間は、従前の指定の有効期間の満了の日の翌日から起算するものとする。

 4 前二条の規定は、第一項の規定による指定の更新について準用する。

 第百十六条 特定地域医療提供機関の開設者は、第百十三条第一項に規定する業務の変更(厚生労働省令で定める軽微な変更を除く。)をしようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該特定地域医療提供機関の指定をした都道府県知事の承認を受けなければならない。この場合において、当該特定地域医療提供機関の管理者は、あらかじめ、当該特定地域医療提供機関に勤務する医師その他関係者の意見を聴いて、労働時間短縮計画の見直しのための検討を行い、必要な変更を加えるとともに、厚生労働省令で定めるところにより、医療機関勤務環境評価センターによる第百三十一条第一項第一号の評価を受けなければならない。

 2 第百十三条第二項から第七項までの規定は、前項の規定による承認について準用する。この場合において、同条第二項中「同項」とあるのは「第百十三条第一項」と、同項及び同条第三項第一号中「の案」とあるのは「の変更の案」と読み替えるものとする。

 第百十七条 都道府県知事は、特定地域医療提供機関が次のいずれかに該当するときは、第百十三条第一項の規定による指定(以下この条において「指定」という。)を取り消すことができる。

  一 第百十三条第一項に規定する業務がなくなつたと認められるとき。

  二 第百十三条第三項各号に掲げる要件を欠くに至つたと認められるとき。

  三 指定に関し不正の行為があつたとき。

  四 特定地域医療提供機関の開設者が第百十一条又は第百二十六条の規定に基づく命令に違反したとき。

 2 都道府県知事は、前項の規定により指定を取り消すに当たつては、あらかじめ、都道府県医療審議会の意見を聴かなければならない。

 3 都道府県知事は、第一項の規定により指定を取り消したときは、厚生労働省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。

 第百十八条 都道府県知事は、当分の間、他の病院又は診療所に厚生労働省令で定めるところにより医師の派遣(医療提供体制の確保のために必要と認められるものに限る。)を行うことによつて当該派遣をされる医師の労働時間がやむを得ず長時間となる病院又は診療所(当該都道府県の区域に所在するものに限る。)を、当該病院又は診療所の開設者の申請により、連携型特定地域医療提供機関として指定することができる。

 2 第百十三条第二項から第七項まで、第百十四条及び第百十五条の規定は前項の規定による連携型特定地域医療提供機関の指定について、第百十六条の規定は連携型特定地域医療提供機関の同項に規定する派遣をされる医師の業務の変更について、前条の規定は同項の規定による連携型特定地域医療提供機関の指定の取消しについて、それぞれ準用する。この場合において、第百十三条第二項中「同項に規定する業務に従事する医師」とあるのは「他の病院又は診療所に派遣される医師(第百十八条第一項に規定する派遣に係るものに限る。)」と、同条第七項中「この条」とあるのは「第百十八条」と、前条第一項第一号中「第百十三条第一項に規定する業務がなくなつた」とあるのは「次条第一項に規定する医師の派遣が行われなくなつた」と、同項第二号中「第百十三条第三項各号」とあるのは「次条第二項において準用する第百十三条第三項各号」と読み替えるものとする。

 第百十九条 都道府県知事は、当分の間、次の各号のいずれかに該当する病院又は診療所であつて、それぞれ当該各号に定める医師をやむを得ず長時間従事させる必要がある業務として厚生労働省令で定めるものがあると認められるもの(当該都道府県の区域に所在するものに限る。)を、当該病院又は診療所の開設者の申請により、技能向上集中研修機関として指定することができる。

  一 医師法第十六条の二第一項の都道府県知事の指定する病院 同項の臨床研修を受ける医師

  二 医師法第十六条の十一第一項の研修を行う病院又は診療所 当該研修を受ける医師

 2 第百十三条第二項から第七項まで、第百十四条及び第百十五条の規定は前項の規定による技能向上集中研修機関の指定について、第百十六条の規定は技能向上集中研修機関の同項に規定する業務の変更について、第百十七条の規定は同項の規定による技能向上集中研修機関の指定の取消しについて、それぞれ準用する。この場合において、第百十三条第二項中「同項に規定する業務に従事する」とあるのは「第百十九条第一項に規定する業務に従事する同項各号に定める」と、同条第七項中「この条」とあるのは「第百十九条」と、第百十七条第一項第一号中「第百十三条第一項」とあるのは「第百十九条第一項」と、同項第二号中「第百十三条第三項各号」とあるのは「第百十九条第二項において準用する第百十三条第三項各号」と読み替えるものとする。

 第百二十条 都道府県知事は、当分の間、特定分野(医療の分野のうち高度な技能を有する医師を育成することが公益上特に必要と認められるものとして厚生労働大臣が公示したものをいう。)における高度な技能を有する医師を育成するために、当該技能の修得のための研修を行う病院又は診療所であつて、当該研修を受ける医師(当該研修を受けることが適当と認められる者として厚生労働省令で定める要件に該当する者に限る。)をやむを得ず長時間従事させる必要がある業務として厚生労働省令で定めるものがあると認められるもの(当該都道府県の区域に所在するものであつて、当該研修を効率的に行う能力を有することについて厚生労働大臣の確認を受けたものに限る。)を、当該病院又は診療所の開設者の申請により、特定高度技能研修機関として指定することができる。

 2 第百十三条第二項から第七項まで、第百十四条及び第百十五条の規定は前項の規定による特定高度技能研修機関の指定について、第百十六条の規定は特定高度技能研修機関の同項に規定する業務の変更について、第百十七条の規定は同項の規定による特定高度技能研修機関の指定の取消しについて、それぞれ準用する。この場合において、第百十三条第二項中「同項に規定する業務に従事する」とあるのは「第百二十条第一項に規定する業務に従事する同項に規定する研修を受ける」と、同条第七項中「この条」とあるのは「第百二十条」と、第百十七条第一項第一号中「第百十三条第一項」とあるのは「第百二十条第一項」と、同項第二号中「第百十三条第三項各号」とあるのは「第百二十条第二項において準用する第百十三条第三項各号」と読み替えるものとする。

 第百二十一条 前条第一項の確認を受けようとする病院又は診療所は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納付しなければならない。

 2 厚生労働大臣は、前条第一項の確認に係る事務の全部又は一部を、厚生労働省令で定める者に委託することができる。

 3 前項の規定による委託を受けた者若しくはその役員若しくは職員又はこれらの者であつた者は、正当な理由がなく、当該委託に係る事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

 第百二十二条 特定地域医療提供機関、連携型特定地域医療提供機関、技能向上集中研修機関及び特定高度技能研修機関(以下「特定労務管理対象機関」と総称する。)の管理者は、労働時間短縮計画に基づき、医師の労働時間の短縮のための取組を実施しなければならない。

 2 特定労務管理対象機関の管理者は、三年を超えない範囲内で厚生労働省令で定める期間ごとに、当該特定労務管理対象機関に勤務する医師その他関係者の意見を聴いた上で、労働時間短縮計画についてその見直しのための検討を行い、必要があると認めるときは、労働時間短縮計画の変更をするとともに、厚生労働省令で定めるところにより、当該変更後の労働時間短縮計画を当該特定労務管理対象機関の指定をした都道府県知事に提出しなければならない。

 3 特定労務管理対象機関の管理者は、前項の規定により労働時間短縮計画についてその見直しのための検討を行つた結果、その変更をする必要がないと認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、その旨を当該特定労務管理対象機関の指定をした都道府県知事に届け出なければならない。

 第百二十三条 特定労務管理対象機関の管理者は、当該特定労務管理対象機関に勤務する医師のうち、その予定されている労働時間の状況が厚生労働省令で定める要件に該当する者(以下この条及び次条において「特定対象医師」という。)に対し、当該特定対象医師ごとに厚生労働省令で定める業務の開始から厚生労働省令で定める時間を経過するまでに、厚生労働省令で定めるところにより、継続した休息時間を確保しなければならない。ただし、当該業務の開始から厚生労働省令で定める時間を経過するまでに、厚生労働省令で定めるところにより特定対象医師を宿日直勤務に従事させる場合は、この限りでない。

 2 特定労務管理対象機関の管理者が、厚生労働省令で定めるやむを得ない理由により、前項の規定により確保することとした休息時間(以下この項において「休息予定時間」という。)中に特定対象医師を労働させる必要がある場合は、前項の規定にかかわらず、当該休息予定時間中に当該特定対象医師を労働させることができる。この場合においては、厚生労働省令で定めるところにより、当該休息予定時間の終了後に、当該特定対象医師に対し、当該休息予定時間中に労働をさせた時間に相当する時間の休息時間を確保しなければならない。

 3 第一項ただし書の場合において、当該特定労務管理対象機関の管理者は、当該宿日直勤務中に、当該特定対象医師を労働させたときは、当該宿日直勤務後に、当該特定対象医師に対し、厚生労働省令で定めるところにより、必要な休息時間を確保するよう配慮しなければならない。

 4 災害その他避けることのできない事由によつて、臨時の必要がある場合においては、特定労務管理対象機関の管理者は、当該特定労務管理対象機関の所在地の都道府県知事の許可を受けて、その必要の限度において第一項本文及び第二項後段の規定による休息時間の確保を行わないことができる。ただし、事態急迫のために当該都道府県知事の許可を受ける暇がない場合においては、事後に遅滞なく届け出なければならない。

 5 前項ただし書の規定による届出があつた場合において、都道府県知事が第一項本文及び第二項後段の規定による休息時間の確保を行わなかつたことを不適当と認めるときは、その後に必要な休息時間を確保すべきことを、命ずることができる。

 第百二十四条 特定労務管理対象機関の管理者は、厚生労働省令で定めるところにより、特定対象医師に対する前条第一項本文及び第二項後段の規定による休息時間の確保に関する記録を作成し、これを保存しなければならない。

 第百二十五条 特定労務管理対象機関の管理者は、当該特定労務管理対象機関に勤務する医師のうち複数の病院又は診療所に勤務する者に係る第百二十三条第一項本文及び第二項後段に規定する休息時間を適切に確保するために必要があると認めるときは、当該医師が勤務する他の病院又は診療所の管理者に対し、必要な協力を求めることができる。

 2 病院又は診療所の管理者は、前項の規定により協力を求められたときは、その求めに応ずるよう努めなければならない。

 第百二十六条 都道府県知事は、特定労務管理対象機関の管理者が、正当な理由がなく、第百二十三条第一項本文又は第二項後段に規定する休息時間の確保を行つていないと認めるときは、当該特定労務管理対象機関の開設者に対し、期限を定めて、その改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

 第百二十七条 第二十四条の二及び第三十条の規定の適用については、当分の間、第二十四条の二第一項中「又は前条第一項」とあるのは「、前条第一項、第百十一条又は第百二十六条」と、第三十条中「又は第二十九条第一項若しくは第三項」とあるのは「、第二十九条第一項若しくは第三項、第百十一条又は第百二十六条」とする。

 第百二十八条 特定地域医療提供機関において第百十三条第一項に規定する業務に従事する医師、連携型特定地域医療提供機関から他の病院又は診療所に派遣される医師(第百十八条第一項に規定する派遣に係るものに限る。)、技能向上集中研修機関において第百十九条第一項に規定する業務に従事する医師又は特定高度技能研修機関において第百二十条第一項に規定する業務に従事する医師についての労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第百四十一条の規定の適用については、当分の間、同条第二項中「を勘案して」とあるのは「並びに医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第百二十二条第一項に規定する特定労務管理対象機関(次項において単に「特定労務管理対象機関」という。)における業務の性質を勘案して」と、同条第三項中「を勘案して」とあるのは「並びに特定労務管理対象機関における業務の性質を勘案して」とする。

 第百二十九条 第百十三条から前条までに規定するもののほか、特定労務管理対象機関の指定に関する申請の手続その他特定労務管理対象機関に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

  附則に次の一条を加える。

 第百五十条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して第百四十八条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても同条の罰金刑を科する。

 (介護保険法の一部改正)

第四条 介護保険法(平成九年法律第百二十三号)の一部を次のように改正する。

  附則第十五条を附則第十六条とする。

  附則第十四条第二項中「附則第十二条第七項」を「附則第十三条第七項」に改め、同条第五項中「附則第十二条第八項」を「附則第十三条第八項」に改め、同条を附則第十五条とする。

  附則第十三条第二項中「附則第十一条第七項」を「附則第十二条第七項」に改め、同条第五項中「附則第十一条第八項」を「附則第十二条第八項」に改め、同条を附則第十四条とする。

  附則第十二条第二項第一号中「附則第十四条第二項各号」を「附則第十五条第二項各号」に改め、同条を附則第十三条とする。

  附則第十一条第二項第一号中「附則第十三条第二項各号」を「附則第十四条第二項各号」に改め、同条を附則第十二条とする。

  附則第十条を附則第十一条とし、附則第九条の次に次の一条を加える。

  (医療法の準用等)

 第十条 医療法第百七条、第百八条及び第百十条から第百十二条までの規定は、介護老人保健施設及び介護医療院について準用する。この場合において、これらの規定に関し必要な技術的読替えは、政令で定める。

 2 第百五条及び第百十四条の八の規定の適用については、当分の間、第百五条中「及び第百四条第一項」とあるのは「、第百四条第一項及び附則第十条第一項において準用する同法第百十一条」と、第百十四条の八中「及び第百十四条の六第一項」とあるのは「、第百十四条の六第一項及び附則第十条第一項において準用する同法第百十一条」とする。

  附則に次の見出し及び二条を加える。

  (罰則)

 第十七条 附則第十条第一項において準用する医療法第百十一条の規定に基づく命令に違反した場合には、当該違反行為をした者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

 第十八条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、同条の罰金刑を科する。

 (医師法の一部改正)

第五条 医師法(昭和二十三年法律第二百一号)の一部を次のように改正する。

  目次中「第三十三条の三」を「第三十三条の四」に改める。

  第十七条の次に次の二条を加える。

 第十七条の二 大学において医学を専攻する学生であつて、当該学生が臨床実習を開始する前に修得すべき知識及び技能を具有しているかどうかを評価するために大学が共用する試験として厚生労働省令で定めるものに合格したものは、前条の規定にかかわらず、当該大学が行う臨床実習において、医師の指導監督の下に、医師として具有すべき知識及び技能の修得のために医業(政令で定めるものを除く。次条において同じ。)をすることができる。

 2 厚生労働大臣は、前項の厚生労働省令の制定又は改正の立案をしようとするときは、医道審議会の意見を聴かなければならない。

 第十七条の三 前条第一項の規定により医業をする者は、正当な理由がある場合を除き、その業務上知り得た人の秘密を他に漏らしてはならない。同項の規定により医業をする者でなくなつた後においても、同様とする。

  本則中第三十三条の三を第三十三条の四とし、第三十三条の二を第三十三条の三とし、第三十三条の次に次の一条を加える。

 第三十三条の二 第十七条の三の規定に違反して、業務上知り得た人の秘密を漏らした者は、六月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

 2 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

第六条 医師法の一部を次のように改正する。

  第十一条第一号中「者」の下に「(大学において医学を専攻する学生が臨床実習を開始する前に修得すべき知識及び技能を具有しているかどうかを評価するために大学が共用する試験として厚生労働省令で定めるもの(第十七条の二において「共用試験」という。)に合格した者に限る。)」を加え、同条に次の一項を加える。

 2 厚生労働大臣は、前項第一号の厚生労働省令の制定又は改正の立案をしようとするときは、医道審議会の意見を聴かなければならない。

  第十二条中「前条第三号」を「前条第一項第三号」に改める。

  第十六条の十一第一項中「医師が」の下に「、長時間にわたる労働により健康を損なうことなく、」を加える。

  第十七条の二第一項中「当該学生が臨床実習を開始する前に修得すべき知識及び技能を具有しているかどうかを評価するために大学が共用する試験として厚生労働省令で定めるもの」を「共用試験」に改め、同条第二項を削る。

  第十七条の三中「前条第一項」を「前条」に、「同項」を「同条」に改める。

 (歯科医師法の一部改正)

第七条 歯科医師法(昭和二十三年法律第二百二号)の一部を次のように改正する。

  題名の次に次の目次を付する。

 目次

  第一章 総則(第一条)

  第二章 免許(第二条−第八条)

  第三章 試験(第九条−第十六条)

  第三章の二 臨床研修(第十六条の二−第十六条の六)

  第四章 業務(第十七条−第二十三条の二)

  第五章 歯科医師試験委員(第二十四条−第二十八条)

  第五章の二 雑則(第二十八条の二・第二十八条の三)

  第六章 罰則(第二十九条−第三十一条の四)

  附則

  第十一条中「一に」を「いずれかに」に改め、同条第一号中「第十六条の二第一項」の下に「及び第十七条の二第一項」を加える。

  第十七条の次に次の二条を加える。

 第十七条の二 大学において歯学を専攻する学生であつて、当該学生が臨床実習を開始する前に修得すべき知識及び技能を具有しているかどうかを評価するために大学が共用する試験として厚生労働省令で定めるものに合格したものは、前条の規定にかかわらず、当該大学が行う臨床実習において、歯科医師の指導監督の下に、歯科医師として具有すべき知識及び技能の修得のために歯科医業(政令で定めるものを除く。次条において同じ。)をすることができる。

 2 厚生労働大臣は、前項の厚生労働省令の制定又は改正の立案をしようとするときは、医道審議会の意見を聴かなければならない。

 第十七条の三 前条第一項の規定により歯科医業をする者は、正当な理由がある場合を除き、その業務上知り得た人の秘密を他に漏らしてはならない。同項の規定により歯科医業をする者でなくなつた後においても、同様とする。

  本則中第三十一条の三を第三十一条の四とし、第三十一条の二を第三十一条の三とし、第三十一条の次に次の一条を加える。

 第三十一条の二 第十七条の三の規定に違反して、業務上知り得た人の秘密を漏らした者は、六月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

 2 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

第八条 歯科医師法の一部を次のように改正する。

  第十一条第一号中「第十六条の二第一項及び第十七条の二第一項において」を「以下」に改め、「者」の下に「(大学において歯学を専攻する学生が臨床実習を開始する前に修得すべき知識及び技能を具有しているかどうかを評価するために大学が共用する試験として厚生労働省令で定めるもの(第十七条の二において「共用試験」という。)に合格した者に限る。)」を加え、同条に次の一項を加える。

 2 厚生労働大臣は、前項第一号の厚生労働省令の制定又は改正の立案をしようとするときは、医道審議会の意見を聴かなければならない。

  第十二条中「前条第三号」を「前条第一項第三号」に改める。

  第十七条の二第一項中「当該学生が臨床実習を開始する前に修得すべき知識及び技能を具有しているかどうかを評価するために大学が共用する試験として厚生労働省令で定めるもの」を「共用試験」に改め、同条第二項を削る。

  第十七条の三中「前条第一項」を「前条」に、「同項」を「同条」に改める。

 (診療放射線技師法の一部改正)

第九条 診療放射線技師法(昭和二十六年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。

  第二条第一項第一号中「アルフア線」を「アルファ線」に改め、同項第四号中「エツクス線」を「エックス線」に改め、同条第二項中「を人体に対して」を「の人体に対する」に改め、「又は放射性同位元素(その化合物及び放射性同位元素又はその化合物の含有物を含む。)」を削り、「そう入して行なう」を「挿入して行う」に、「)する」を「)をする」に改める。

  第二十四条の二第一号中「磁気共鳴画像診断装置」の下に「、超音波診断装置」を加える。

  第二十六条第一項中「を人体に対して照射して」を「の人体に対する照射をして」に改め、同条第二項第一号中「エツクス線」を「エックス線」に、「場合」を「とき。」に改め、同項第二号中「胸部エツクス線検査」を「胸部エックス線検査」に、「エツクス線を」を「エックス線を」に改め、同項第三号中「エツクス線」を「エックス線」に改め、同項に次の一号を加える。

  四 医師又は歯科医師が診察した患者について、その医師又は歯科医師の指示を受け、出張して超音波診断装置その他の画像による診断を行うための装置であつて厚生労働省令で定めるものを用いた検査を行うとき。

  第二十八条第一項中「を人体に対して照射した」を「の人体に対する照射をした」に改める。

 (臨床検査技師等に関する法律の一部改正)

第十条 臨床検査技師等に関する法律(昭和三十三年法律第七十六号)の一部を次のように改正する。

  第十一条中「第二十条の二第一項」を「第二十条の二第一項第二号」に改める。

  第二十条の二第一項中「採血及び検体採取(医師又は歯科医師の具体的な指示を受けて行うものに限る。)並びに第二条の厚生労働省令で定める生理学的検査」を「、次に掲げる行為(第一号、第二号及び第四号に掲げる行為にあつては、医師又は歯科医師の具体的な指示を受けて行うものに限る。)」に改め、同項に次の各号を加える。

  一 採血を行うこと。

  二 検体採取を行うこと。

  三 第二条の厚生労働省令で定める生理学的検査を行うこと。

  四 前三号に掲げる行為に関連する行為として厚生労働省令で定めるものを行うこと。

 (臨床工学技士法の一部改正)

第十一条 臨床工学技士法(昭和六十二年法律第六十号)の一部を次のように改正する。

  第三十七条第一項中「操作」の下に「及び生命維持管理装置を用いた治療において当該治療に関連する医療用の装置(生命維持管理装置を除く。)の操作(当該医療用の装置の先端部の身体への接続又は身体からの除去を含む。)として厚生労働省令で定めるもの(医師の具体的な指示を受けて行うものに限る。)」を加える。

 (救急救命士法の一部改正)

第十二条 救急救命士法(平成三年法律第三十六号)の一部を次のように改正する。

  第二条第一項中「又はその生命が」を「若しくはその生命が」に、「及び第四十四条第二項」を「並びに第四十四条第二項及び第三項」に、「又は診療所」を「若しくは診療所」に改め、「の間」の下に「又は重度傷病者が病院若しくは診療所に到着し当該病院若しくは診療所に入院するまでの間(当該重度傷病者が入院しない場合は、病院又は診療所に到着し当該病院又は診療所に滞在している間。同条第二項及び第三項において同じ。)」を加える。

  第四十四条第二項ただし書中「又は」を「若しくは」に改め、「の間」の下に「又は重度傷病者が病院若しくは診療所に到着し当該病院若しくは診療所に入院するまでの間」を加え、同条に次の一項を加える。

 3 病院又は診療所に勤務する救急救命士は、重度傷病者が当該病院又は診療所に到着し当該病院又は診療所に入院するまでの間において救急救命処置を行おうとするときは、あらかじめ、厚生労働省令で定めるところにより、当該病院又は診療所の管理者が実施する医師その他の医療従事者との緊密な連携の促進に関する事項その他の重度傷病者が当該病院又は診療所に到着し当該病院又は診療所に入院するまでの間において救急救命士が救急救命処置を行うために必要な事項として厚生労働省令で定める事項に関する研修を受けなければならない。

 (地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律の一部改正)

第十三条 地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律(平成元年法律第六十四号)の一部を次のように改正する。

  目次中「第三章 特定民間施設の整備(第十二条−第二十二条)」を

第二章の二 再編計画の認定(第十一条の二−第十一条の十)

 

 

第三章 特定民間施設の整備(第十二条−第二十二条)

 に改める。

  第四条第二項第二号イ中「地域医療構想」の下に「(以下単に「地域医療構想」という。)」を加え、同号中ヘをトとし、ロからホまでをハからヘまでとし、イの次に次のように加える。

   ロ 地域医療構想の達成に向けた医療機関(地域における病床の機能(医療法第三十条の三第二項第六号に規定する病床の機能をいう。以下同じ。)の分化及び連携を推進するために当該地域における病床数の変更を伴う取組を行うものに限る。)の運営の支援に関する事業

  第六条中「三分の二」の下に「(第四条第二項第二号ロに掲げる事業に要する経費に係るものについては、その全額)」を加える。

  第二章の次に次の一章を加える。

    第二章の二 再編計画の認定

  (再編計画の認定等)

 第十一条の二 医療機関の開設者は、単独で又は共同して、地域医療構想の達成に向けた病床の機能の分化及び連携を推進するための二以上の医療機関の再編の事業(以下「医療機関の再編の事業」という。)に関する計画(以下「再編計画」という。)を作成し、厚生労働省令で定めるところにより、これを厚生労働大臣に提出して、当該再編計画が適当である旨の認定を受けることができる。

 2 再編計画においては、次に掲げる事項を記載しなければならない。

  一 医療機関の再編の事業の対象とする医療機関に関する事項

  二 医療機関の再編の事業の内容

  三 医療機関の再編の事業の実施時期

  四 その他厚生労働省令で定める事項

 3 第一項の認定(以下「再編計画の認定」という。)の申請は、その計画に係る医療機関の所在地を管轄する都道府県知事を経由してするものとする。

  (認定の基準)

 第十一条の三 厚生労働大臣は、再編計画の認定の申請があった場合において、当該申請に係る再編計画が次の各号に適合すると認めるときは、再編計画の認定をするものとする。

  一 地域医療構想の達成に向けた病床の機能の分化及び連携を推進するために適切なものであること。

  二 前条第二項各号に掲げる事項が、医療法第三十条の十四第一項に規定する協議の場における協議に基づくものであること。

  三 前二号に掲げるもののほか、地域医療構想の達成の推進のために必要なものとして厚生労働省令で定める基準に適合するものであること。

  (関係都道府県の意見の聴取)

 第十一条の四 厚生労働大臣は、再編計画の認定をしようとするときは、あらかじめ、関係都道府県の意見を聴かなければならない。

  (認定の通知)

 第十一条の五 厚生労働大臣は、再編計画の認定をしたときは、速やかに、その旨を関係都道府県に通知しなければならない。

  (再編計画の変更)

 第十一条の六 再編計画の認定を受けた医療機関の開設者は、当該再編計画の認定を受けた再編計画の変更をしようとするときは、厚生労働大臣の認定を受けなければならない。ただし、厚生労働省令で定める軽微な変更については、この限りでない。

 2 再編計画の認定を受けた医療機関の開設者は、前項ただし書の厚生労働省令で定める軽微な変更をしたときは、遅滞なく、その旨を当該再編計画に係る医療機関の所在地を管轄する都道府県知事を経由して厚生労働大臣に届け出なければならない。

 3 第十一条の二第三項及び前三条の規定は、第一項の変更の認定について準用する。

  (報告の徴収)

 第十一条の七 厚生労働大臣は、再編計画の認定を受けた再編計画(前条第一項の変更の認定又は同条第二項の変更の届出があったときは、その変更後のもの。以下「認定再編計画」という。)に係る医療機関の再編の事業を行う医療機関の開設者(以下「認定医療機関開設者」という。)に対し、当該認定再編計画に係る医療機関の再編の事業の実施状況に関し報告をさせることができる。

  (認定の取消し)

 第十一条の八 厚生労働大臣は、認定再編計画が第十一条の三各号のいずれかに適合しなくなったと認めるとき、又は認定医療機関開設者が認定再編計画に従って医療機関の再編の事業を実施しないときは、再編計画の認定を取り消すことができる。

 2 第十一条の四及び第十一条の五の規定は、前項の規定による取消しについて準用する。

  (指導及び助言)

 第十一条の九 国及び都道府県は、認定医療機関開設者に対し、認定再編計画に従って行われる医療機関の再編の事業の実施に関し必要な指導及び助言を行うものとする。

  (資金の確保)

 第十一条の十 国は、認定医療機関開設者が認定再編計画に従って医療機関の再編の事業を行うために必要な資金の確保に努めるものとする。

  第三十五条第一項中「第十八条」を「第十一条の七又は第十八条」に改める。

  附則第一条の二第二項中「附則第一条の二第一項各号」を「附則第一条の三第一項各号」に改め、同条を附則第一条の三とし、附則第一条の次に次の一条を加える。

  (都道府県計画作成における留意事項)

 第一条の二 都道府県は、当分の間、労働が長時間にわたる医師の労働時間を短縮し、及びその健康を確保することにより、医師が良質かつ適切な医療を行うことができるよう、都道府県計画に第四条第二項第二号に掲げる事項を定めるに当たっては、医療法第百五条の厚生労働大臣が定める指針を勘案して定めるよう努めるものとする。

 (良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律の一部改正)

第十四条 良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律(平成十八年法律第八十四号)の一部を次のように改正する。

  附則第十条の三第五項中「平成三十二年九月三十日」を「令和五年九月三十日」に改める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、令和六年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

 一 第一条中医療法第百四条の改正規定及び第十四条の規定並びに次条並びに附則第三条、第十三条第二項、第十四条第二項、第十五条第二項及び第十八条の規定 公布の日

 二 第十三条の規定(第四号に掲げる改正規定を除く。)及び附則第二十五条(同号に掲げる改正規定を除く。)の規定 令和三年四月一日又はこの法律の公布の日のいずれか遅い日

 三 第九条から第十二条までの規定並びに附則第十三条第一項及び第三項、第十四条第一項及び第三項、第十五条第一項及び第三項、第十六条、第十七条、第二十二条並びに第二十三条の規定 令和三年十月一日

 四 第一条の規定(第一号に掲げる改正規定を除く。)並びに第十三条中地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律附則第一条の二第二項の改正規定及び同条を同法附則第一条の三とし、同法附則第一条の次に一条を加える改正規定並びに附則第四条及び第九条の規定、附則第二十五条中地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律(令和二年法律第五十二号)第七条のうち地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律附則第一条の二第一項及び第二項の改正規定の改正規定並びに附則第二十六条の規定 令和四年三月三十一日までの間において政令で定める日

 五 第二条の規定並びに附則第五条から第八条まで及び第十条の規定 令和四年四月一日

 六 第五条の規定並びに附則第十九条の規定並びに附則第二十一条中沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律(昭和四十六年法律第百二十九号)第百条第三項及び同項の表の改正規定 令和五年四月一日

 七 第三条中医療法第三十五条第一項第二号の改正規定(「第十一条第二号若しくは」を「第十一条第一項第二号若しくは」に改める部分に限る。)及び第六条の規定(医師法第十六条の十一第一項の改正規定を除く。)並びに附則第十一条、第二十条及び第二十七条の規定 令和七年四月一日

 八 第三条中医療法第三十五条第一項第二号の改正規定(前号に掲げる改正規定を除く。)及び第八条の規定並びに附則第十二条の規定 令和八年四月一日

 (検討)

第二条 政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律による改正後のそれぞれの法律(以下この条において「改正後の各法律」という。)の施行の状況等を勘案し、必要があると認めるときは、改正後の各法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

 (医療機関勤務環境評価センターの指定に係る準備行為)

第三条 第二条の規定による改正後の医療法(以下「第五号新医療法」という。)第百七条第一項の規定による指定を受けようとする者は、附則第一条第五号に掲げる規定の施行の日(次項及び第三項において「第五号施行日」という。)前においても、第五号新医療法第百七条第一項の規定の例により、その申請を行うことができる。

2 厚生労働大臣は、前項の規定により申請があった場合には、第五号施行日前においても、第五号新医療法第百七条第一項及び第二項の規定の例により、指定をすることができる。この場合において、当該指定は、第五号施行日において同条第一項の規定によりされたものとみなす。

3 前項の規定により第五号新医療法第百七条第一項の規定の例による指定を受けた者は、第五号施行日前においても、第五号新医療法第百十二条第一項及び第百十三条第一項の規定の例により、厚生労働大臣の認可を受けることができる。この場合において、当該認可は、第五号施行日において第五号新医療法第百十二条第一項又は第百十三条第一項の規定によりされたものとみなす。

 (労働時間短縮計画の作成に関する経過措置)

第四条 病院(医療法第一条の五第一項に規定する病院をいう。以下同じ。)又は診療所(同条第二項に規定する診療所をいう。以下同じ。)の管理者は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)の前日までの間、当該病院又は診療所に勤務する医師の労働時間が厚生労働省令で定める時間を超えている場合には、当該医師の労働時間の短縮に関する計画(以下「労働時間短縮計画」という。)を作成するよう努めなければならない。

2 病院又は診療所の管理者は、労働時間短縮計画の作成に当たっては、厚生労働省令で定めるところにより、当該病院又は診療所に勤務する医師その他関係者の意見を聴かなければならない。

3 病院又は診療所の管理者は、労働時間短縮計画を作成したときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該労働時間短縮計画を当該病院又は診療所の所在地の都道府県知事(以下この条において単に「都道府県知事」という。)に提出することができる。

4 都道府県知事は、前項の規定により労働時間短縮計画の提出を受けたときは、当該病院又は診療所に対し、必要に応じ、当該病院又は診療所に勤務する医師の労働時間の短縮に有用な情報の提供、助言その他の支援を行うものとする。

5 病院又は診療所の管理者は、第三項の規定により労働時間短縮計画を提出した後に、当該病院又は診療所に勤務する医師の労働時間の短縮のための取組の状況を踏まえ、当該労働時間短縮計画に変更を加えたときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該変更後の労働時間短縮計画を都道府県知事に提出しなければならない。

 (特定労務管理対象機関の指定に係る準備行為)

第五条 第三条の規定による改正後の医療法(以下「新医療法」という。)第百十三条第一項の指定を受けようとする者は、施行日前においても、同条及び新医療法第百二十九条の規定の例により、その申請を行うことができる。

2 都道府県知事は、前項の規定による申請があった場合には、施行日前においても、新医療法第百十三条及び第百二十九条の規定の例により、指定をすることができる。この場合において、当該指定は、施行日において新医療法第百十三条第一項の規定によりされたものとみなす。

第六条 前条の規定は、新医療法第百十八条第一項の規定による指定について準用する。この場合において、前条第二項中「第百十三条及び」とあるのは「第百十八条及び」と、「第百十三条第一項」とあるのは「第百十八条第一項」と読み替えるものとする。

第七条 附則第五条の規定は、新医療法第百十九条第一項の規定による指定について準用する。この場合において、附則第五条第二項中「第百十三条及び」とあるのは「第百十九条及び」と、「第百十三条第一項」とあるのは「第百十九条第一項」と読み替えるものとする。

第八条 附則第五条の規定は、新医療法第百二十条第一項の規定による指定について準用する。この場合において、附則第五条第二項中「第百十三条及び」とあるのは「第百二十条及び」と、「第百十三条第一項」とあるのは「第百二十条第一項」と読み替えるものとする。

第九条 厚生労働大臣は、施行日前においても、前条の規定による指定に関し、新医療法第百二十条第一項の医療の分野のうち高度な技能を有する医師を育成することが公益上特に必要と認められるものを公示することができる。

第十条 厚生労働大臣は、施行日前においても、新医療法第百二十条第一項、第百二十一条及び第百二十九条の規定の例により、新医療法第百二十条第一項の確認を行うことができる。

 (医師法の一部改正に伴う経過措置)

第十一条 第六条の規定(医師法第十六条の十一第一項の改正規定を除く。以下この条において同じ。)の施行の際現に第六条の規定による改正前の医師法(以下この条において「旧医師法」という。)第十一条第一号に該当する者(附則第二十七条の規定による改正前の防衛省設置法(昭和二十九年法律第百六十四号)第十七条第一項の規定により旧医師法第十一条第一号に該当する者とみなされた者を含む。)は、第六条の規定による改正後の医師法第十一条第一項(第一号に係る部分に限る。)の規定にかかわらず、医師国家試験を受けることができる。

 (歯科医師法の一部改正に伴う経過措置)

第十二条 第八条の規定の施行の際現に同条の規定による改正前の歯科医師法第十一条第一号に該当する者は、第八条の規定による改正後の歯科医師法第十一条第一項(第一号に係る部分に限る。)の規定にかかわらず、歯科医師国家試験を受けることができる。

 (診療放射線技師法の一部改正に伴う経過措置)

第十三条 令和六年四月一日前に診療放射線技師の免許を受けた者及び同日前に診療放射線技師国家試験に合格した者であって同日以後に診療放射線技師の免許を受けたものは、第九条の規定による改正後の診療放射線技師法第二条第二項の規定に基づき放射線の人体に対する照射(放射性同位元素(その化合物及び放射性同位元素又はその化合物の含有物を含む。)を人体内に挿入して行うものに限る。)をしようとするときは、あらかじめ、厚生労働大臣が指定する研修を受けなければならない。

2 厚生労働大臣は、第九条の規定の施行の日前においても、前項に規定する指定をすることができる。

3 病院又は診療所の管理者は、当該病院又は診療所に勤務する診療放射線技師のうちに第一項に規定する者がいる場合は、施行日までの間に、当該者に対し、同項に規定する研修の受講の機会を与えるように努めなければならない。

 (臨床検査技師等に関する法律の一部改正に伴う経過措置)

第十四条 令和六年四月一日前に臨床検査技師の免許を受けた者及び同日前に臨床検査技師国家試験に合格した者であって同日以後に臨床検査技師の免許を受けたものは、診療の補助として、第十条の規定による改正後の臨床検査技師等に関する法律第二十条の二第一項第四号に規定する厚生労働省令で定める行為を行おうとするときは、あらかじめ、厚生労働大臣が指定する研修を受けなければならない。

2 厚生労働大臣は、第十条の規定の施行の日前においても、前項に規定する指定をすることができる。

3 病院又は診療所の管理者は、当該病院又は診療所に勤務する臨床検査技師のうちに第一項に規定する者がいる場合は、施行日までの間に、当該者に対し、同項に規定する研修の受講の機会を与えるように努めなければならない。

 (臨床工学技士法の一部改正に伴う経過措置)

第十五条 令和七年四月一日前に臨床工学技士の免許を受けた者及び同日前に臨床工学技士国家試験に合格した者であって同日以後に臨床工学技士の免許を受けたものは、診療の補助として、第十一条の規定による改正後の臨床工学技士法第三十七条第一項に規定する医療用の装置の操作として厚生労働省令で定めるものを行おうとするときは、あらかじめ、厚生労働大臣が指定する研修を受けなければならない。

2 厚生労働大臣は、第十一条の規定の施行の日前においても、前項に規定する指定をすることができる。

3 病院又は診療所の管理者は、当該病院又は診療所に勤務する臨床工学技士のうちに第一項に規定する者がいる場合は、施行日までの間に、当該者に対し、同項に規定する研修の受講の機会を与えるように努めなければならない。

 (救急救命士法の一部改正に伴う経過措置)

第十六条 病院又は診療所の管理者は、施行日までの間に、当該病院又は診療所に勤務する救急救命士に対し、第十二条の規定による改正後の救急救命士法第四十四条第三項に規定する研修の受講の機会を与えるように努めなければならない。

 (罰則に関する経過措置)

第十七条 この法律(附則第一条各号に掲げる規定については、当該各規定)の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (政令への委任)

第十八条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。

 (自衛隊法の一部改正)

第十九条 自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)の一部を次のように改正する。

  第百十五条の二十五の次に次の一条を加える。

  (医師法の特例)

 第百十五条の二十六 防衛省設置法第十六条第一項第一号の教育訓練を受けている者であつて、医師法第十七条の二第一項に規定する試験に合格したものは、同法第十七条の規定にかかわらず、防衛医科大学校が行う臨床実習において、医師の指導監督の下、医師として具有すべき知識及び技能の修得のために同項に規定する医業をすることができる。

第二十条 自衛隊法の一部を次のように改正する。

  第百十五条の二十六中「第十七条の二第一項」を「第十一条第一項第一号」に、「同項」を「同法第十七条の二」に改める。

 (沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律の一部改正)

第二十一条 沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律の一部を次のように改正する。

  第百条第三項中「第三十三条の二並びに第三十三条の三」を「第三十三条の三並びに第三十三条の四」に改め、同項の表第三十三条の二第一号の項中「第三十三条の二第一号」を「第三十三条の三第一号」に改め、同表第三十三条の二第二号の項中「第三十三条の二第二号」を「第三十三条の三第二号」に改め、同表第三十三条の二第三号の項中「第三十三条の二第三号」を「第三十三条の三第三号」に改める。

  第百一条第二項中「第三十一条の二並びに第三十一条の三」を「第三十一条の三並びに第三十一条の四」に改め、同項の表第三十一条の二第一号の項中「第三十一条の二第一号」を「第三十一条の三第一号」に改め、同表第三十一条の二第二号の項中「第三十一条の二第二号」を「第三十一条の三第二号」に改め、同表第三十一条の二第三号の項中「第三十一条の二第三号」を「第三十一条の三第三号」に改める。

 (外国医師等が行う臨床修練等に係る医師法第十七条等の特例等に関する法律の一部改正)

第二十二条 外国医師等が行う臨床修練等に係る医師法第十七条等の特例等に関する法律(昭和六十二年法律第二十九号)の一部を次のように改正する。

  第二条第四号中「の間」の下に「若しくは重度傷病者が臨床修練病院等に到着し当該臨床修練病院等に入院するまでの間(当該重度傷病者が入院しない場合は、臨床修練病院等に到着し当該臨床修練病院等に滞在している間)」を加える。

  第十六条第十項中「以下この項」の下に「及び次項」を加え、「又は」を「若しくは」に改め、「あるのは「臨床修練病院等」と」の下に「、同条第三項中「病院又は診療所」とあるのは「臨床修練病院等」と」を加える。

  第二十四条第六号中「第四十四条」を「第四十四条第一項又は第二項」に改める。

 (武力攻撃事態及び存立危機事態における捕虜等の取扱いに関する法律の一部改正)

第二十三条 武力攻撃事態及び存立危機事態における捕虜等の取扱いに関する法律(平成十六年法律第百十七号)の一部を次のように改正する。

  第三十三条第三項中「第二条第二項及び」を「第二条第二項、第三十七条第一項及び」に改める。

 (独立行政法人地域医療機能推進機構法の一部改正)

第二十四条 独立行政法人地域医療機能推進機構法(平成十七年法律第七十一号)の一部を次のように改正する。

  第三条中「ホ」を「ヘ」に改める。

 (地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律の一部改正)

第二十五条 地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律の一部を次のように改正する。

  第七条のうち地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律目次の改正規定中「第三章 特定民間施設の整備(第十二条−第二十二条)」を

第二章の二 再編計画の認定(第十一条の二−第十一条の十)

 

 

第三章 特定民間施設の整備(第十二条−第二十二条)

 に、「第四章 特定民間施設の整備(第十三条−第二十三条)」を

第三章の二 再編計画の認定(第十二条の二−第十二条の十)

 

 

第四章 特定民間施設の整備(第十三条−第二十三条)

 に改める。

  第七条のうち地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律第三十五条第一項の改正規定中「第三十五条第一項中」の下に「「第十一条の七」を「第十二条の七」に、」を加える。

  第七条のうち地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律第十六条を同法第十七条とし、同法第十二条から第十五条までを一条ずつ繰り下げる改正規定の次に次のように加える。

   第三章を第四章とする。

   第二章の二中第十一条の十を第十二条の十とし、第十一条の九を第十二条の九とする。

   第十一条の八第一項中「第十一条の三各号」を「第十二条の三各号」に改め、同条第二項中「第十一条の四及び第十一条の五」を「第十二条の四及び第十二条の五」に改め、同条を第十二条の八とする。

   第十一条の七を第十二条の七とする。

   第十一条の六第三項中「第十一条の二第三項」を「第十二条の二第三項」に改め、同条を第十二条の六とする。

   第十一条の五を第十二条の五とし、第十一条の四を第十二条の四とし、第十一条の三を第十二条の三とし、第十一条の二を第十二条の二とする。

  第七条のうち地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律第三章を同法第四章とし、同法第二章の次に一章を加える改正規定中「第三章を第四章」を「第二章の二を第三章の二」に改める。

  第七条のうち地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律附則第一条の二第一項の改正規定中「附則第一条の二第一項」を「附則第一条の三第一項」に改め、同条第二項の改正規定中「附則第一条の二第一項各号」を「附則第一条の三第一項各号」に、「附則第一条の二第一項の」を「附則第一条の三第一項の」に改める。

 (調整規定)

第二十六条 附則第一条第四号に掲げる規定の施行の日が地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律附則第一条第二号に掲げる規定の施行の日以後である場合には、第十三条のうち地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律附則第一条の二第二項の改正規定中「附則第一条の二第一項各号」とあるのは「附則第一条の二第一項」と、「附則第一条の三第一項各号」とあるのは「附則第一条の三第一項」とし、前条の規定(地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律第七条のうち地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律附則第一条の二第一項及び第二項の改正規定の改正規定に限る。)は、適用しない。

 (防衛省設置法の一部改正)

第二十七条 防衛省設置法の一部を次のように改正する。

  第十七条第一項中「第十一条」を「第十一条第一項」に、「同条第一号に該当する」を「学校教育法に基づく大学において、医学の正規の課程を修めて卒業した」に改める。


     理 由

 医師の長時間労働等の状況に鑑み、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するため、医師の労働時間の短縮及び健康確保のための制度の創設、各医療関係職種の業務範囲の見直し等の措置を講ずるとともに、外来医療の機能の明確化及び連携の推進のための報告制度の創設、地域医療構想の実現に向けた医療機関の取組に関する支援の仕組みの強化等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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