衆議院

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第二〇四回

閣第五五号

   民法等の一部を改正する法律案

 (民法の一部改正)

第一条 民法(明治二十九年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。

  目次中「第三節 共有(第二百四十九条−第二百六十四条)」を

第三節 共有(第二百四十九条−第二百六十四条)

 

 

第四節 所有者不明土地管理命令及び所有者不明建物管理命令(第二百六十四条の二−第二百六十四条の八)

 

 

第五節 管理不全土地管理命令及び管理不全建物管理命令(第二百六十四条の九−第二百六十四条の十四)

 

 に改める。

  第二百九条の見出しを「(隣地の使用)」に改め、同条第一項中「境界又はその付近において障壁又は建物を築造し又は修繕する」を「次に掲げる目的の」に、「の使用を請求する」を「を使用する」に改め、同項ただし書中「隣人」を「住家については、その居住者」に改め、「その住家に」を削り、同項に次の各号を加える。

  一 境界又はその付近における障壁、建物その他の工作物の築造、収去又は修繕

  二 境界標の調査又は境界に関する測量

  三 第二百三十三条第三項の規定による枝の切取り

  第二百九条第二項中「前項」を「第一項」に、「隣人」を「隣地の所有者又は隣地使用者」に改め、同項を同条第四項とし、同条第一項の次に次の二項を加える。

 2 前項の場合には、使用の日時、場所及び方法は、隣地の所有者及び隣地を現に使用している者(以下この条において「隣地使用者」という。)のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。

 3 第一項の規定により隣地を使用する者は、あらかじめ、その目的、日時、場所及び方法を隣地の所有者及び隣地使用者に通知しなければならない。ただし、あらかじめ通知することが困難なときは、使用を開始した後、遅滞なく、通知することをもって足りる。

  第二百十三条の次に次の見出し及び二条を加える。

  (継続的給付を受けるための設備の設置権等)

 第二百十三条の二 土地の所有者は、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用しなければ電気、ガス又は水道水の供給その他これらに類する継続的給付(以下この項及び次条第一項において「継続的給付」という。)を受けることができないときは、継続的給付を受けるため必要な範囲内で、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用することができる。

 2 前項の場合には、設備の設置又は使用の場所及び方法は、他の土地又は他人が所有する設備(次項において「他の土地等」という。)のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。

 3 第一項の規定により他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用する者は、あらかじめ、その目的、場所及び方法を他の土地等の所有者及び他の土地を現に使用している者に通知しなければならない。

 4 第一項の規定による権利を有する者は、同項の規定により他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用するために当該他の土地又は当該他人が所有する設備がある土地を使用することができる。この場合においては、第二百九条第一項ただし書及び第二項から第四項までの規定を準用する。

 5 第一項の規定により他の土地に設備を設置する者は、その土地の損害(前項において準用する第二百九条第四項に規定する損害を除く。)に対して償金を支払わなければならない。ただし、一年ごとにその償金を支払うことができる。

 6 第一項の規定により他人が所有する設備を使用する者は、その設備の使用を開始するために生じた損害に対して償金を支払わなければならない。

 7 第一項の規定により他人が所有する設備を使用する者は、その利益を受ける割合に応じて、その設置、改築、修繕及び維持に要する費用を負担しなければならない。

 第二百十三条の三 分割によって他の土地に設備を設置しなければ継続的給付を受けることができない土地が生じたときは、その土地の所有者は、継続的給付を受けるため、他の分割者の所有地のみに設備を設置することができる。この場合においては、前条第五項の規定は、適用しない。

 2 前項の規定は、土地の所有者がその土地の一部を譲り渡した場合について準用する。

  第二百三十三条第一項中「隣地」を「土地の所有者は、隣地」に改め、同条第二項を同条第四項とし、同条第一項の次に次の二項を加える。

 2 前項の場合において、竹木が数人の共有に属するときは、各共有者は、その枝を切り取ることができる。

 3 第一項の場合において、次に掲げるときは、土地の所有者は、その枝を切り取ることができる。

  一 竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき。

  二 竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。

  三 急迫の事情があるとき。

  第二百四十九条に次の二項を加える。

 2 共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う。

 3 共有者は、善良な管理者の注意をもって、共有物の使用をしなければならない。

  第二百五十一条中「変更」の下に「(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)」を加え、同条に次の一項を加える。

 2 共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、当該他の共有者以外の他の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることができる。

  第二百五十二条中「は、前条の場合を除き」を「(次条第一項に規定する共有物の管理者の選任及び解任を含み、共有物に前条第一項に規定する変更を加えるものを除く。次項において同じ。)は」に改め、同条ただし書を削り、同条に後段として次のように加える。

   共有物を使用する共有者があるときも、同様とする。

  第二百五十二条に次の四項を加える。

 2 裁判所は、次の各号に掲げるときは、当該各号に規定する他の共有者以外の共有者の請求により、当該他の共有者以外の共有者の持分の価格に従い、その過半数で共有物の管理に関する事項を決することができる旨の裁判をすることができる。

  一 共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。

  二 共有者が他の共有者に対し相当の期間を定めて共有物の管理に関する事項を決することについて賛否を明らかにすべき旨を催告した場合において、当該他の共有者がその期間内に賛否を明らかにしないとき。

 3 前二項の規定による決定が、共有者間の決定に基づいて共有物を使用する共有者に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。

 4 共有者は、前三項の規定により、共有物に、次の各号に掲げる賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利(以下この項において「賃借権等」という。)であって、当該各号に定める期間を超えないものを設定することができる。

  一 樹木の栽植又は伐採を目的とする山林の賃借権等 十年

  二 前号に掲げる賃借権等以外の土地の賃借権等 五年

  三 建物の賃借権等 三年

  四 動産の賃借権等 六箇月

 5 各共有者は、前各項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる。

  第二百五十二条の次に次の一条を加える。

  (共有物の管理者)

 第二百五十二条の二 共有物の管理者は、共有物の管理に関する行為をすることができる。ただし、共有者の全員の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。

 2 共有物の管理者が共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有物の管理者の請求により、当該共有者以外の共有者の同意を得て共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることができる。

 3 共有物の管理者は、共有者が共有物の管理に関する事項を決した場合には、これに従ってその職務を行わなければならない。

 4 前項の規定に違反して行った共有物の管理者の行為は、共有者に対してその効力を生じない。ただし、共有者は、これをもって善意の第三者に対抗することができない。

  第二百五十八条の見出しを削り、同条の前に見出しとして「(裁判による共有物の分割)」を付し、同条第一項中「とき」の下に「、又は協議をすることができないとき」を加え、同条第二項中「の場合において、」を「に規定する方法により」に改め、「の現物」を削り、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。

 2 裁判所は、次に掲げる方法により、共有物の分割を命ずることができる。

  一 共有物の現物を分割する方法

  二 共有者に債務を負担させて、他の共有者の持分の全部又は一部を取得させる方法

  第二百五十八条に次の一項を加える。

 4 裁判所は、共有物の分割の裁判において、当事者に対して、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。

  第二百五十八条の次に次の一条を加える。

 第二百五十八条の二 共有物の全部又はその持分が相続財産に属する場合において、共同相続人間で当該共有物の全部又はその持分について遺産の分割をすべきときは、当該共有物又はその持分について前条の規定による分割をすることができない。

 2 共有物の持分が相続財産に属する場合において、相続開始の時から十年を経過したときは、前項の規定にかかわらず、相続財産に属する共有物の持分について前条の規定による分割をすることができる。ただし、当該共有物の持分について遺産の分割の請求があった場合において、相続人が当該共有物の持分について同条の規定による分割をすることに異議の申出をしたときは、この限りでない。

 3 相続人が前項ただし書の申出をする場合には、当該申出は、当該相続人が前条第一項の規定による請求を受けた裁判所から当該請求があった旨の通知を受けた日から二箇月以内に当該裁判所にしなければならない。

  第二百六十二条の次に次の二条を加える。

  (所在等不明共有者の持分の取得)

 第二百六十二条の二 不動産が数人の共有に属する場合において、共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、その共有者に、当該他の共有者(以下この条において「所在等不明共有者」という。)の持分を取得させる旨の裁判をすることができる。この場合において、請求をした共有者が二人以上あるときは、請求をした各共有者に、所在等不明共有者の持分を、請求をした各共有者の持分の割合で按分してそれぞれ取得させる。

 2 前項の請求があった持分に係る不動産について第二百五十八条第一項の規定による請求又は遺産の分割の請求があり、かつ、所在等不明共有者以外の共有者が前項の請求を受けた裁判所に同項の裁判をすることについて異議がある旨の届出をしたときは、裁判所は、同項の裁判をすることができない。

 3 所在等不明共有者の持分が相続財産に属する場合(共同相続人間で遺産の分割をすべき場合に限る。)において、相続開始の時から十年を経過していないときは、裁判所は、第一項の裁判をすることができない。

 4 第一項の規定により共有者が所在等不明共有者の持分を取得したときは、所在等不明共有者は、当該共有者に対し、当該共有者が取得した持分の時価相当額の支払を請求することができる。

 5 前各項の規定は、不動産の使用又は収益をする権利(所有権を除く。)が数人の共有に属する場合について準用する。

  (所在等不明共有者の持分の譲渡)

 第二百六十二条の三 不動産が数人の共有に属する場合において、共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、その共有者に、当該他の共有者(以下この条において「所在等不明共有者」という。)以外の共有者の全員が特定の者に対してその有する持分の全部を譲渡することを停止条件として所在等不明共有者の持分を当該特定の者に譲渡する権限を付与する旨の裁判をすることができる。

 2 所在等不明共有者の持分が相続財産に属する場合(共同相続人間で遺産の分割をすべき場合に限る。)において、相続開始の時から十年を経過していないときは、裁判所は、前項の裁判をすることができない。

 3 第一項の裁判により付与された権限に基づき共有者が所在等不明共有者の持分を第三者に譲渡したときは、所在等不明共有者は、当該譲渡をした共有者に対し、不動産の時価相当額を所在等不明共有者の持分に応じて按分して得た額の支払を請求することができる。

 4 前三項の規定は、不動産の使用又は収益をする権利(所有権を除く。)が数人の共有に属する場合について準用する。

  第二百六十四条中「この節」の下に「(第二百六十二条の二及び第二百六十二条の三を除く。)」を加える。

  第二編第三章第三節の次に次の二節を加える。

     第四節 所有者不明土地管理命令及び所有者不明建物管理命令

  (所有者不明土地管理命令)

 第二百六十四条の二 裁判所は、所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない土地(土地が数人の共有に属する場合にあっては、共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない土地の共有持分)について、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、その請求に係る土地又は共有持分を対象として、所有者不明土地管理人(第四項に規定する所有者不明土地管理人をいう。以下同じ。)による管理を命ずる処分(以下「所有者不明土地管理命令」という。)をすることができる。

 2 所有者不明土地管理命令の効力は、当該所有者不明土地管理命令の対象とされた土地(共有持分を対象として所有者不明土地管理命令が発せられた場合にあっては、共有物である土地)にある動産(当該所有者不明土地管理命令の対象とされた土地の所有者又は共有持分を有する者が所有するものに限る。)に及ぶ。

 3 所有者不明土地管理命令は、所有者不明土地管理命令が発せられた後に当該所有者不明土地管理命令が取り消された場合において、当該所有者不明土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分及び当該所有者不明土地管理命令の効力が及ぶ動産の管理、処分その他の事由により所有者不明土地管理人が得た財産について、必要があると認めるときも、することができる。

 4 裁判所は、所有者不明土地管理命令をする場合には、当該所有者不明土地管理命令において、所有者不明土地管理人を選任しなければならない。

  (所有者不明土地管理人の権限)

 第二百六十四条の三 前条第四項の規定により所有者不明土地管理人が選任された場合には、所有者不明土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分及び所有者不明土地管理命令の効力が及ぶ動産並びにその管理、処分その他の事由により所有者不明土地管理人が得た財産(以下「所有者不明土地等」という。)の管理及び処分をする権利は、所有者不明土地管理人に専属する。

 2 所有者不明土地管理人が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。ただし、この許可がないことをもって善意の第三者に対抗することはできない。

  一 保存行為

  二 所有者不明土地等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為

  (所有者不明土地等に関する訴えの取扱い)

 第二百六十四条の四 所有者不明土地管理命令が発せられた場合には、所有者不明土地等に関する訴えについては、所有者不明土地管理人を原告又は被告とする。

  (所有者不明土地管理人の義務)

 第二百六十四条の五 所有者不明土地管理人は、所有者不明土地等の所有者(その共有持分を有する者を含む。)のために、善良な管理者の注意をもって、その権限を行使しなければならない。

 2 数人の者の共有持分を対象として所有者不明土地管理命令が発せられたときは、所有者不明土地管理人は、当該所有者不明土地管理命令の対象とされた共有持分を有する者全員のために、誠実かつ公平にその権限を行使しなければならない。

  (所有者不明土地管理人の解任及び辞任)

 第二百六十四条の六 所有者不明土地管理人がその任務に違反して所有者不明土地等に著しい損害を与えたことその他重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人の請求により、所有者不明土地管理人を解任することができる。

 2 所有者不明土地管理人は、正当な事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる。

  (所有者不明土地管理人の報酬等)

 第二百六十四条の七 所有者不明土地管理人は、所有者不明土地等から裁判所が定める額の費用の前払及び報酬を受けることができる。

 2 所有者不明土地管理人による所有者不明土地等の管理に必要な費用及び報酬は、所有者不明土地等の所有者(その共有持分を有する者を含む。)の負担とする。

  (所有者不明建物管理命令)

 第二百六十四条の八 裁判所は、所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない建物(建物が数人の共有に属する場合にあっては、共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない建物の共有持分)について、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、その請求に係る建物又は共有持分を対象として、所有者不明建物管理人(第四項に規定する所有者不明建物管理人をいう。以下この条において同じ。)による管理を命ずる処分(以下この条において「所有者不明建物管理命令」という。)をすることができる。

 2 所有者不明建物管理命令の効力は、当該所有者不明建物管理命令の対象とされた建物(共有持分を対象として所有者不明建物管理命令が発せられた場合にあっては、共有物である建物)にある動産(当該所有者不明建物管理命令の対象とされた建物の所有者又は共有持分を有する者が所有するものに限る。)及び当該建物を所有し、又は当該建物の共有持分を有するための建物の敷地に関する権利(賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利(所有権を除く。)であって、当該所有者不明建物管理命令の対象とされた建物の所有者又は共有持分を有する者が有するものに限る。)に及ぶ。

 3 所有者不明建物管理命令は、所有者不明建物管理命令が発せられた後に当該所有者不明建物管理命令が取り消された場合において、当該所有者不明建物管理命令の対象とされた建物又は共有持分並びに当該所有者不明建物管理命令の効力が及ぶ動産及び建物の敷地に関する権利の管理、処分その他の事由により所有者不明建物管理人が得た財産について、必要があると認めるときも、することができる。

 4 裁判所は、所有者不明建物管理命令をする場合には、当該所有者不明建物管理命令において、所有者不明建物管理人を選任しなければならない。

 5 第二百六十四条の三から前条までの規定は、所有者不明建物管理命令及び所有者不明建物管理人について準用する。

     第五節 管理不全土地管理命令及び管理不全建物管理命令

  (管理不全土地管理命令)

 第二百六十四条の九 裁判所は、所有者による土地の管理が不適当であることによって他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、当該土地を対象として、管理不全土地管理人(第三項に規定する管理不全土地管理人をいう。以下同じ。)による管理を命ずる処分(以下「管理不全土地管理命令」という。)をすることができる。

 2 管理不全土地管理命令の効力は、当該管理不全土地管理命令の対象とされた土地にある動産(当該管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者又はその共有持分を有する者が所有するものに限る。)に及ぶ。

 3 裁判所は、管理不全土地管理命令をする場合には、当該管理不全土地管理命令において、管理不全土地管理人を選任しなければならない。

  (管理不全土地管理人の権限)

 第二百六十四条の十 管理不全土地管理人は、管理不全土地管理命令の対象とされた土地及び管理不全土地管理命令の効力が及ぶ動産並びにその管理、処分その他の事由により管理不全土地管理人が得た財産(以下「管理不全土地等」という。)の管理及び処分をする権限を有する。

 2 管理不全土地管理人が次に掲げる行為の範囲を超える行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。ただし、この許可がないことをもって善意でかつ過失がない第三者に対抗することはできない。

  一 保存行為

  二 管理不全土地等の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為

 3 管理不全土地管理命令の対象とされた土地の処分についての前項の許可をするには、その所有者の同意がなければならない。

  (管理不全土地管理人の義務)

 第二百六十四条の十一 管理不全土地管理人は、管理不全土地等の所有者のために、善良な管理者の注意をもって、その権限を行使しなければならない。

 2 管理不全土地等が数人の共有に属する場合には、管理不全土地管理人は、その共有持分を有する者全員のために、誠実かつ公平にその権限を行使しなければならない。

  (管理不全土地管理人の解任及び辞任)

 第二百六十四条の十二 管理不全土地管理人がその任務に違反して管理不全土地等に著しい損害を与えたことその他重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人の請求により、管理不全土地管理人を解任することができる。

 2 管理不全土地管理人は、正当な事由があるときは、裁判所の許可を得て、辞任することができる。

  (管理不全土地管理人の報酬等)

 第二百六十四条の十三 管理不全土地管理人は、管理不全土地等から裁判所が定める額の費用の前払及び報酬を受けることができる。

 2 管理不全土地管理人による管理不全土地等の管理に必要な費用及び報酬は、管理不全土地等の所有者の負担とする。

  (管理不全建物管理命令)

 第二百六十四条の十四 裁判所は、所有者による建物の管理が不適当であることによって他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、当該建物を対象として、管理不全建物管理人(第三項に規定する管理不全建物管理人をいう。第四項において同じ。)による管理を命ずる処分(以下この条において「管理不全建物管理命令」という。)をすることができる。

 2 管理不全建物管理命令は、当該管理不全建物管理命令の対象とされた建物にある動産(当該管理不全建物管理命令の対象とされた建物の所有者又はその共有持分を有する者が所有するものに限る。)及び当該建物を所有するための建物の敷地に関する権利(賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利(所有権を除く。)であって、当該管理不全建物管理命令の対象とされた建物の所有者又はその共有持分を有する者が有するものに限る。)に及ぶ。

 3 裁判所は、管理不全建物管理命令をする場合には、当該管理不全建物管理命令において、管理不全建物管理人を選任しなければならない。

 4 第二百六十四条の十から前条までの規定は、管理不全建物管理命令及び管理不全建物管理人について準用する。

  第三百九十二条第一項中「按分する」を「按分する」に改める。

  第八百九十七条の次に次の一条を加える。

  (相続財産の保存)

 第八百九十七条の二 家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、いつでも、相続財産の管理人の選任その他の相続財産の保存に必要な処分を命ずることができる。ただし、相続人が一人である場合においてその相続人が相続の単純承認をしたとき、相続人が数人ある場合において遺産の全部の分割がされたとき、又は第九百五十二条第一項の規定により相続財産の清算人が選任されているときは、この限りでない。

 2 第二十七条から第二十九条までの規定は、前項の規定により家庭裁判所が相続財産の管理人を選任した場合について準用する。

  第八百九十八条に次の一項を加える。

 2 相続財産について共有に関する規定を適用するときは、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分をもって各相続人の共有持分とする。

  第九百四条の二の次に次の一条を加える。

  (期間経過後の遺産の分割における相続分)

 第九百四条の三 前三条の規定は、相続開始の時から十年を経過した後にする遺産の分割については、適用しない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。

  一 相続開始の時から十年を経過する前に、相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。

  二 相続開始の時から始まる十年の期間の満了前六箇月以内の間に、遺産の分割を請求することができないやむを得ない事由が相続人にあった場合において、その事由が消滅した時から六箇月を経過する前に、当該相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき。

  第九百七条の見出し中「審判等」を「審判」に改め、同条第一項中「次条」を「次条第一項」に改め、「場合」の下に「又は同条第二項の規定により分割をしない旨の契約をした場合」を加え、同条第三項を削る。

  第九百八条に次の四項を加える。

 2 共同相続人は、五年以内の期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割をしない旨の契約をすることができる。ただし、その期間の終期は、相続開始の時から十年を超えることができない。

 3 前項の契約は、五年以内の期間を定めて更新することができる。ただし、その期間の終期は、相続開始の時から十年を超えることができない。

 4 前条第二項本文の場合において特別の事由があるときは、家庭裁判所は、五年以内の期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割を禁ずることができる。ただし、その期間の終期は、相続開始の時から十年を超えることができない。

 5 家庭裁判所は、五年以内の期間を定めて前項の期間を更新することができる。ただし、その期間の終期は、相続開始の時から十年を超えることができない。

  第九百十八条の見出しを「(相続人による管理)」に改め、同条第二項及び第三項を削る。

  第九百二十六条第二項中「、第六百五十条第一項」を「並びに第六百五十条第一項」に改め、「並びに第九百十八条第二項及び第三項」を削る。

  第九百三十六条(見出しを含む。)中「管理人」を「清算人」に改める。

  第九百四十条第一項中「によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで」を「の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間」に、「の管理を継続しなければ」を「を保存しなければ」に改め、同条第二項中「、第六百五十条第一項」を「並びに第六百五十条第一項」に改め、「並びに第九百十八条第二項及び第三項」を削る。

  第九百五十二条の見出し及び同条第一項中「管理人」を「清算人」に改め、同条第二項中「管理人」を「清算人」に、「これ」を「、その旨及び相続人があるならば一定の期間内にその権利を主張すべき旨」に改め、同項に後段として次のように加える。

   この場合において、その期間は、六箇月を下ることができない。

  第九百五十三条、第九百五十四条(見出しを含む。)及び第九百五十五条ただし書中「相続財産の管理人」を「相続財産の清算人」に改める。

  第九百五十六条の見出し及び同条第一項中「相続財産の管理人」を「相続財産の清算人」に改め、同条第二項中「相続財産の管理人」を「相続財産の清算人」に、「管理の」を「清算に係る」に改める。

  第九百五十七条第一項中「後二箇月以内に相続人のあることが明らかにならなかった」を削り、「相続財産の管理人は、遅滞なく、すべて」を「相続財産の清算人は、全て」に、「一定の」を「二箇月以上の期間を定めて、その」に、「二箇月を下ることができない」を「同項の規定により相続人が権利を主張すべき期間として家庭裁判所が公告した期間内に満了するものでなければならない」に改める。

  第九百五十八条を削る。

  第九百五十八条の二中「前条」を「第九百五十二条第二項」に、「相続財産の管理人」を「相続財産の清算人」に改め、同条を第九百五十八条とする。

  第九百五十八条の三第二項中「第九百五十八条」を「第九百五十二条第二項」に改め、同条を第九百五十八条の二とする。

 (不動産登記法の一部改正)

第二条 不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)の一部を次のように改正する。

  目次中「第七十四条」を「第七十三条の二」に改める。

  第三条第十号中「第五十条」の下に「、第七十条第二項」を加える。

  第十六条第二項中「第七十六条」の下に「から第七十六条の四まで、第七十六条の六」を加える。

  第二十五条第七号中「第六十五条」の下に「、第七十六条の五」を加える。

  第五十九条第六号中「含む。)」の下に「若しくは第九百八条第二項」を加え、「同法第九百八条」を「同条第一項」に、「同法第九百七条第三項」を「同条第四項」に改める。

  第六十三条に次の一項を加える。

 3 遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)による所有権の移転の登記は、第六十条の規定にかかわらず、登記権利者が単独で申請することができる。

  第六十九条の次に次の一条を加える。

  (買戻しの特約に関する登記の抹消)

 第六十九条の二 買戻しの特約に関する登記がされている場合において、契約の日から十年を経過したときは、第六十条の規定にかかわらず、登記権利者は、単独で当該登記の抹消を申請することができる。

  第七十条の見出しを「(除権決定による登記の抹消等)」に改め、同条第一項中「登記義務者の」を「共同して登記の抹消の申請をすべき者の」に、「登記義務者と」を「その者と」に改め、同条第三項を同条第四項とし、同条第二項中「前項の場合」を「前二項の場合」に、「前項の登記」を「第一項の登記」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。

 2 前項の登記が地上権、永小作権、質権、賃借権若しくは採石権に関する登記又は買戻しの特約に関する登記であり、かつ、登記された存続期間又は買戻しの期間が満了している場合において、相当の調査が行われたと認められるものとして法務省令で定める方法により調査を行ってもなお共同して登記の抹消の申請をすべき者の所在が判明しないときは、その者の所在が知れないものとみなして、同項の規定を適用する。

  第七十条の次に次の一条を加える。

  (解散した法人の担保権に関する登記の抹消)

 第七十条の二 登記権利者は、共同して登記の抹消の申請をすべき法人が解散し、前条第二項に規定する方法により調査を行ってもなおその法人の清算人の所在が判明しないためその法人と共同して先取特権、質権又は抵当権に関する登記の抹消を申請することができない場合において、被担保債権の弁済期から三十年を経過し、かつ、その法人の解散の日から三十年を経過したときは、第六十条の規定にかかわらず、単独で当該登記の抹消を申請することができる。

  第四章第三節第二款中第七十四条の前に次の一条を加える。

  (所有権の登記の登記事項)

 第七十三条の二 所有権の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。

  一 所有権の登記名義人が法人であるときは、会社法人等番号(商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第七条(他の法令において準用する場合を含む。)に規定する会社法人等番号をいう。)その他の特定の法人を識別するために必要な事項として法務省令で定めるもの

  二 所有権の登記名義人が国内に住所を有しないときは、その国内における連絡先となる者の氏名又は名称及び住所その他の国内における連絡先に関する事項として法務省令で定めるもの

 2 前項各号に掲げる登記事項についての登記に関し必要な事項は、法務省令で定める。

  第七十六条の次に次の五条を加える。

  (相続等による所有権の移転の登記の申請)

 第七十六条の二 所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により所有権を取得した者も、同様とする。

 2 前項前段の規定による登記(民法第九百条及び第九百一条の規定により算定した相続分に応じてされたものに限る。次条第四項において同じ。)がされた後に遺産の分割があったときは、当該遺産の分割によって当該相続分を超えて所有権を取得した者は、当該遺産の分割の日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。

 3 前二項の規定は、代位者その他の者の申請又は嘱託により、当該各項の規定による登記がされた場合には、適用しない。

  (相続人である旨の申出等)

 第七十六条の三 前条第一項の規定により所有権の移転の登記を申請する義務を負う者は、法務省令で定めるところにより、登記官に対し、所有権の登記名義人について相続が開始した旨及び自らが当該所有権の登記名義人の相続人である旨を申し出ることができる。

 2 前条第一項に規定する期間内に前項の規定による申出をした者は、同条第一項に規定する所有権の取得(当該申出の前にされた遺産の分割によるものを除く。)に係る所有権の移転の登記を申請する義務を履行したものとみなす。

 3 登記官は、第一項の規定による申出があったときは、職権で、その旨並びに当該申出をした者の氏名及び住所その他法務省令で定める事項を所有権の登記に付記することができる。

 4 第一項の規定による申出をした者は、その後の遺産の分割によって所有権を取得したとき(前条第一項前段の規定による登記がされた後に当該遺産の分割によって所有権を取得したときを除く。)は、当該遺産の分割の日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。

 5 前項の規定は、代位者その他の者の申請又は嘱託により、同項の規定による登記がされた場合には、適用しない。

 6 第一項の規定による申出の手続及び第三項の規定による登記に関し必要な事項は、法務省令で定める。

  (所有権の登記名義人についての符号の表示)

 第七十六条の四 登記官は、所有権の登記名義人(法務省令で定めるものに限る。)が権利能力を有しないこととなったと認めるべき場合として法務省令で定める場合には、法務省令で定めるところにより、職権で、当該所有権の登記名義人についてその旨を示す符号を表示することができる。

  (所有権の登記名義人の氏名等の変更の登記の申請)

 第七十六条の五 所有権の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所について変更があったときは、当該所有権の登記名義人は、その変更があった日から二年以内に、氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記を申請しなければならない。

  (職権による氏名等の変更の登記)

 第七十六条の六 登記官は、所有権の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所について変更があったと認めるべき場合として法務省令で定める場合には、法務省令で定めるところにより、職権で、氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記をすることができる。ただし、当該所有権の登記名義人が自然人であるときは、その申出があるときに限る。

  第百十九条に次の一項を加える。

 6 登記官は、第一項及び第二項の規定にかかわらず、登記記録に記録されている者(自然人であるものに限る。)の住所が明らかにされることにより、人の生命若しくは身体に危害を及ぼすおそれがある場合又はこれに準ずる程度に心身に有害な影響を及ぼすおそれがあるものとして法務省令で定める場合において、その者からの申出があったときは、法務省令で定めるところにより、第一項及び第二項に規定する各書面に当該住所に代わるものとして法務省令で定める事項を記載しなければならない。

  第百十九条の次に次の一条を加える。

  (所有不動産記録証明書の交付等)

 第百十九条の二 何人も、登記官に対し、手数料を納付して、自らが所有権の登記名義人(これに準ずる者として法務省令で定めるものを含む。)として記録されている不動産に係る登記記録に記録されている事項のうち法務省令で定めるもの(記録がないときは、その旨)を証明した書面(以下この条において「所有不動産記録証明書」という。)の交付を請求することができる。

 2 相続人その他の一般承継人は、登記官に対し、手数料を納付して、被承継人に係る所有不動産記録証明書の交付を請求することができる。

 3 前二項の交付の請求は、法務大臣の指定する登記所の登記官に対し、法務省令で定めるところにより、することができる。

 4 前条第三項及び第四項の規定は、所有不動産記録証明書の手数料について準用する。

  第百二十条第三項中「前条第三項」を「第百十九条第三項」に改める。

  第百二十一条第二項中「附属書類」の下に「のうち前項の図面」を、「表示したもの」の下に「。次項において同じ。」を加え、同項ただし書を削り、同条第三項を同条第五項とし、同条第二項の次に次の二項を加える。

 3 何人も、正当な理由があるときは、登記官に対し、法務省令で定めるところにより、手数料を納付して、登記簿の附属書類(第一項の図面を除き、電磁的記録にあっては、記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したもの。次項において同じ。)の全部又は一部(その正当な理由があると認められる部分に限る。)の閲覧を請求することができる。

 4 前項の規定にかかわらず、登記を申請した者は、登記官に対し、法務省令で定めるところにより、手数料を納付して、自己を申請人とする登記記録に係る登記簿の附属書類の閲覧を請求することができる。

  第百二十二条中「第百五十三条」を「第百五十四条」に改める。

  第百三十一条第五項中「第百三十一条第二項各号」を「第百三十一条第三項各号」に改める。

  第百四十九条第一項中「第百五十三条」を「第百五十四条」に改める。

  第百五十四条を削り、第百五十三条を第百五十四条とし、第百五十二条を第百五十三条とし、第百五十一条を第百五十二条とし、第七章中同条の前に次の一条を加える。

  (情報の提供の求め)

 第百五十一条 登記官は、職権による登記をし、又は第十四条第一項の地図を作成するために必要な限度で、関係地方公共団体の長その他の者に対し、その対象となる不動産の所有者等(所有権が帰属し、又は帰属していた自然人又は法人(法人でない社団又は財団を含む。)をいう。)に関する情報の提供を求めることができる。

  第百五十九条中「第百五十一条第二項」を「第百五十二条第二項」に改める。

  第百六十条中「者は」を「ときは、当該違反行為をした者は」に改める。

  第百六十二条中「者は」を「場合には、当該違反行為をした者は」に改め、同条各号中「者」を「とき。」に改める。

  第百六十四条中「又は第五十八条第六項」を「、第五十八条第六項」に改め、「第七項」の下に「、第七十六条の二第一項若しくは第二項又は第七十六条の三第四項」を、「者が」の下に「正当な理由がないのに」を加え、同条に次の一項を加える。

 2 第七十六条の五の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、五万円以下の過料に処する。

 (非訟事件手続法の一部改正)

第三条 非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)の一部を次のように改正する。

  目次中

第一章 削除

 

 

第二章 保存、供託等に関する事件(第九十二条−第九十八条)

 を

第一章 共有に関する事件(第八十五条−第八十九条)

 

 

第二章 土地等の管理に関する事件(第九十条−第九十二条)

 

 

第三章 供託等に関する事件(第九十三条−第九十八条)

 に改める。

  第三編第一章の章名を次のように改める。

    第一章 共有に関する事件

  第八十五条から第九十一条までを次のように改める。

  (共有物の管理に係る決定)

 第八十五条 次に掲げる裁判に係る事件は、当該裁判に係る共有物又は民法(明治二十九年法律第八十九号)第二百六十四条に規定する数人で所有権以外の財産権を有する場合における当該財産権(以下この条において単に「共有物」という。)の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。

  一 民法第二百五十一条第二項、第二百五十二条第二項第一号及び第二百五十二条の二第二項(これらの規定を同法第二百六十四条において準用する場合を含む。)の規定による裁判

  二 民法第二百五十二条第二項第二号(同法第二百六十四条において準用する場合を含む。第三項において同じ。)の規定による裁判

 2 前項第一号の裁判については、裁判所が次に掲げる事項を公告し、かつ、第二号の期間が経過した後でなければ、することができない。この場合において、同号の期間は、一箇月を下ってはならない。

  一 当該共有物について前項第一号の裁判の申立てがあったこと。

  二 裁判所が前項第一号の裁判をすることについて異議があるときは、当該他の共有者等(民法第二百五十一条第二項(同法第二百六十四条において準用する場合を含む。)に規定する当該他の共有者、同法第二百五十二条第二項第一号(同法第二百六十四条において準用する場合を含む。)に規定する他の共有者又は同法第二百五十二条の二第二項(同法第二百六十四条において準用する場合を含む。)に規定する当該共有者をいう。第六項において同じ。)は一定の期間内にその旨の届出をすべきこと。

  三 前号の届出がないときは、前項第一号の裁判がされること。

 3 第一項第二号の裁判については、裁判所が次に掲げる事項を当該他の共有者(民法第二百五十二条第二項第二号に規定する当該他の共有者をいう。以下この項及び次項において同じ。)に通知し、かつ、第二号の期間が経過した後でなければ、することができない。この場合において、同号の期間は、一箇月を下ってはならない。

  一 当該共有物について第一項第二号の裁判の申立てがあったこと。

  二 当該他の共有者は裁判所に対し一定の期間内に共有物の管理に関する事項を決することについて賛否を明らかにすべきこと。

  三 前号の期間内に当該他の共有者が裁判所に対し共有物の管理に関する事項を決することについて賛否を明らかにしないときは、第一項第二号の裁判がされること。

 4 前項第二号の期間内に裁判所に対し共有物の管理に関する事項を決することについて賛否を明らかにした当該他の共有者があるときは、裁判所は、その者に係る第一項第二号の裁判をすることができない。

 5 第一項各号の裁判は、確定しなければその効力を生じない。

 6 第一項第一号の裁判は、当該他の共有者等に告知することを要しない。

  (共有物分割の証書の保存者の指定)

 第八十六条 民法第二百六十二条第三項の規定による証書の保存者の指定の事件は、共有物の分割がされた地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。

 2 裁判所は、前項の指定の裁判をするには、分割者(申立人を除く。)の陳述を聴かなければならない。

 3 裁判所が前項の裁判をする場合における手続費用は、分割者の全員が等しい割合で負担する。

 4 第二項の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。

  (所在等不明共有者の持分の取得)

 第八十七条 所在等不明共有者の持分の取得の裁判(民法第二百六十二条の二第一項(同条第五項において準用する場合を含む。次項第一号において同じ。)の規定による所在等不明共有者の持分の取得の裁判をいう。以下この条において同じ。)に係る事件は、当該裁判に係る不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。

 2 裁判所は、次に掲げる事項を公告し、かつ、第二号、第三号及び第五号の期間が経過した後でなければ、所在等不明共有者の持分の取得の裁判をすることができない。この場合において、第二号、第三号及び第五号の期間は、いずれも三箇月を下ってはならない。

  一 所在等不明共有者(民法第二百六十二条の二第一項に規定する所在等不明共有者をいう。以下この条において同じ。)の持分について所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てがあったこと。

  二 裁判所が所在等不明共有者の持分の取得の裁判をすることについて異議があるときは、所在等不明共有者は一定の期間内にその旨の届出をすべきこと。

  三 民法第二百六十二条の二第二項(同条第五項において準用する場合を含む。)の異議の届出は、一定の期間内にすべきこと。

  四 前二号の届出がないときは、所在等不明共有者の持分の取得の裁判がされること。

  五 所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てがあった所在等不明共有者の持分について申立人以外の共有者が所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てをするときは一定の期間内にその申立てをすべきこと。

 3 裁判所は、前項の規定による公告をしたときは、遅滞なく、登記簿上その氏名又は名称が判明している共有者に対し、同項各号(第二号を除く。)の規定により公告した事項を通知しなければならない。この通知は、通知を受ける者の登記簿上の住所又は事務所に宛てて発すれば足りる。

 4 裁判所は、第二項第三号の異議の届出が同号の期間を経過した後にされたときは、当該届出を却下しなければならない。

 5 裁判所は、所在等不明共有者の持分の取得の裁判をするには、申立人に対して、一定の期間内に、所在等不明共有者のために、裁判所が定める額の金銭を裁判所の指定する供託所に供託し、かつ、その旨を届け出るべきことを命じなければならない。

 6 裁判所は、前項の規定による決定をした後所在等不明共有者の持分の取得の裁判をするまでの間に、事情の変更により同項の規定による決定で定めた額を不当と認めるに至ったときは、同項の規定により供託すべき金銭の額を変更しなければならない。

 7 前二項の規定による裁判に対しては、即時抗告をすることができる。

 8 裁判所は、申立人が第五項の規定による決定に従わないときは、その申立人の申立てを却下しなければならない。

 9 所在等不明共有者の持分の取得の裁判は、確定しなければその効力を生じない。

 10 所在等不明共有者の持分の取得の裁判は、所在等不明共有者に告知することを要しない。

 11 所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てを受けた裁判所が第二項の規定による公告をした場合において、その申立てがあった所在等不明共有者の持分について申立人以外の共有者が同項第五号の期間が経過した後に所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てをしたときは、裁判所は、当該申立人以外の共有者による所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てを却下しなければならない。

  (所在等不明共有者の持分を譲渡する権限の付与)

 第八十八条 所在等不明共有者の持分を譲渡する権限の付与の裁判(民法第二百六十二条の三第一項(同条第四項において準用する場合を含む。第三項において同じ。)の規定による所在等不明共有者の持分を譲渡する権限の付与の裁判をいう。第三項において同じ。)に係る事件は、当該裁判に係る不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。

 2 前条第二項第一号、第二号及び第四号並びに第五項から第十項までの規定は、前項の事件について準用する。

 3 所在等不明共有者の持分を譲渡する権限の付与の裁判の効力が生じた後二箇月以内にその裁判により付与された権限に基づく所在等不明共有者(民法第二百六十二条の三第一項に規定する所在等不明共有者をいう。)の持分の譲渡の効力が生じないときは、その裁判は、その効力を失う。ただし、この期間は、裁判所において伸長することができる。

  (検察官の不関与)

 第八十九条 第四十条の規定は、この章の規定による非訟事件の手続には、適用しない。

  (所有者不明土地管理命令及び所有者不明建物管理命令)

 第九十条 民法第二編第三章第四節の規定による非訟事件は、裁判を求める事項に係る不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。

 2 裁判所は、次に掲げる事項を公告し、かつ、第二号の期間が経過した後でなければ、所有者不明土地管理命令(民法第二百六十四条の二第一項に規定する所有者不明土地管理命令をいう。以下この条において同じ。)をすることができない。この場合において、同号の期間は、一箇月を下ってはならない。

  一 所有者不明土地管理命令の申立てがその対象となるべき土地又は共有持分についてあったこと。

  二 所有者不明土地管理命令をすることについて異議があるときは、所有者不明土地管理命令の対象となるべき土地又は共有持分を有する者は一定の期間内にその旨の届出をすべきこと。

  三 前号の届出がないときは、所有者不明土地管理命令がされること。

 3 民法第二百六十四条の三第二項又は第二百六十四条の六第二項の許可の申立てをする場合には、その許可を求める理由を疎明しなければならない。

 4 裁判所は、民法第二百六十四条の六第一項の規定による解任の裁判又は同法第二百六十四条の七第一項の規定による費用若しくは報酬の額を定める裁判をする場合には、所有者不明土地管理人(同法第二百六十四条の二第四項に規定する所有者不明土地管理人をいう。以下この条において同じ。)の陳述を聴かなければならない。

 5 次に掲げる裁判には、理由を付さなければならない。

  一 所有者不明土地管理命令の申立てを却下する裁判

  二 民法第二百六十四条の三第二項又は第二百六十四条の六第二項の許可の申立てを却下する裁判

  三 民法第二百六十四条の六第一項の規定による解任の申立てについての裁判

 6 所有者不明土地管理命令があった場合には、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、所有者不明土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分について、所有者不明土地管理命令の登記を嘱託しなければならない。

 7 所有者不明土地管理命令を取り消す裁判があったときは、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、所有者不明土地管理命令の登記の抹消を嘱託しなければならない。

 8 所有者不明土地管理人は、所有者不明土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分及び所有者不明土地管理命令の効力が及ぶ動産の管理、処分その他の事由により金銭が生じたときは、その土地の所有者又はその共有持分を有する者のために、当該金銭を所有者不明土地管理命令の対象とされた土地(共有持分を対象として所有者不明土地管理命令が発せられた場合にあっては、共有物である土地)の所在地の供託所に供託することができる。この場合において、供託をしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。

 9 裁判所は、所有者不明土地管理命令を変更し、又は取り消すことができる。

 10 裁判所は、管理すべき財産がなくなったとき(管理すべき財産の全部が供託されたときを含む。)その他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、所有者不明土地管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、所有者不明土地管理命令を取り消さなければならない。

 11 所有者不明土地等(民法第二百六十四条の三第一項に規定する所有者不明土地等をいう。以下この条において同じ。)の所有者(その共有持分を有する者を含む。以下この条において同じ。)が所有者不明土地等の所有権(その共有持分を含む。)が自己に帰属することを証明したときは、裁判所は、当該所有者の申立てにより、所有者不明土地管理命令を取り消さなければならない。この場合において、所有者不明土地管理命令が取り消されたときは、所有者不明土地管理人は、当該所有者に対し、その事務の経過及び結果を報告し、当該所有者に帰属することが証明された財産を引き渡さなければならない。

 12 所有者不明土地管理命令及びその変更の裁判は、所有者不明土地等の所有者に告知することを要しない。

 13 所有者不明土地管理命令の取消しの裁判は、事件の記録上所有者不明土地等の所有者及びその所在が判明している場合に限り、その所有者に告知すれば足りる。

 14 次の各号に掲げる裁判に対しては、当該各号に定める者に限り、即時抗告をすることができる。

  一 所有者不明土地管理命令 利害関係人

  二 民法第二百六十四条の六第一項の規定による解任の裁判 利害関係人

  三 民法第二百六十四条の七第一項の規定による費用又は報酬の額を定める裁判 所有者不明土地管理人

  四 第九項から第十一項までの規定による変更又は取消しの裁判 利害関係人

 15 次に掲げる裁判に対しては、不服を申し立てることができない。

  一 民法第二百六十四条の二第四項の規定による所有者不明土地管理人の選任の裁判

  二 民法第二百六十四条の三第二項又は第二百六十四条の六第二項の許可の裁判

 16 第二項から前項までの規定は、民法第二百六十四条の八第一項に規定する所有者不明建物管理命令及び同条第四項に規定する所有者不明建物管理人について準用する。

  (管理不全土地管理命令及び管理不全建物管理命令)

 第九十一条 民法第二編第三章第五節の規定による非訟事件は、裁判を求める事項に係る不動産の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。

 2 民法第二百六十四条の十第二項又は第二百六十四条の十二第二項の許可の申立てをする場合には、その許可を求める理由を疎明しなければならない。

 3 裁判所は、次の各号に掲げる裁判をする場合には、当該各号に定める者の陳述を聴かなければならない。ただし、第一号に掲げる裁判をする場合において、その陳述を聴く手続を経ることにより当該裁判の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。

  一 管理不全土地管理命令(民法第二百六十四条の九第一項に規定する管理不全土地管理命令をいう。以下この条において同じ。) 管理不全土地管理命令の対象となるべき土地の所有者

  二 民法第二百六十四条の十第二項の許可の裁判 管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者

  三 民法第二百六十四条の十二第一項の規定による解任の裁判 管理不全土地管理人(同法第二百六十四条の九第三項に規定する管理不全土地管理人をいう。以下この条において同じ。)

  四 民法第二百六十四条の十三第一項の規定による費用の額を定める裁判 管理不全土地管理人

  五 民法第二百六十四条の十三第一項の規定による報酬の額を定める裁判 管理不全土地管理人及び管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者

 4 次に掲げる裁判には、理由を付さなければならない。

  一 管理不全土地管理命令の申立てについての裁判

  二 民法第二百六十四条の十第二項の許可の申立てについての裁判

  三 民法第二百六十四条の十二第一項の規定による解任の申立てについての裁判

  四 民法第二百六十四条の十二第二項の許可の申立てを却下する裁判

 5 管理不全土地管理人は、管理不全土地管理命令の対象とされた土地及び管理不全土地管理命令の効力が及ぶ動産の管理、処分その他の事由により金銭が生じたときは、その土地の所有者(その共有持分を有する者を含む。)のために、当該金銭を管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所在地の供託所に供託することができる。この場合において、供託をしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。

 6 裁判所は、管理不全土地管理命令を変更し、又は取り消すことができる。

 7 裁判所は、管理すべき財産がなくなったとき(管理すべき財産の全部が供託されたときを含む。)その他財産の管理を継続することが相当でなくなったときは、管理不全土地管理人若しくは利害関係人の申立てにより又は職権で、管理不全土地管理命令を取り消さなければならない。

 8 次の各号に掲げる裁判に対しては、当該各号に定める者に限り、即時抗告をすることができる。

  一 管理不全土地管理命令 利害関係人

  二 民法第二百六十四条の十第二項の許可の裁判 管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者

  三 民法第二百六十四条の十二第一項の規定による解任の裁判 利害関係人

  四 民法第二百六十四条の十三第一項の規定による費用の額を定める裁判 管理不全土地管理人

  五 民法第二百六十四条の十三第一項の規定による報酬の額を定める裁判 管理不全土地管理人及び管理不全土地管理命令の対象とされた土地の所有者

  六 前二項の規定による変更又は取消しの裁判 利害関係人

 9 次に掲げる裁判に対しては、不服を申し立てることができない。

  一 民法第二百六十四条の九第三項の規定による管理不全土地管理人の選任の裁判

  二 民法第二百六十四条の十二第二項の許可の裁判

 10 第二項から前項までの規定は、民法第二百六十四条の十四第一項に規定する管理不全建物管理命令及び同条第三項に規定する管理不全建物管理人について準用する。

  第三編第二章の章名を削る。

  第九十条の前に次の章名を付する。

    第二章 土地等の管理に関する事件

  第九十二条を次のように改める。

  (適用除外)

 第九十二条 第四十条及び第五十七条第二項第二号の規定は、この章の規定による非訟事件の手続には、適用しない。

  第九十二条の次に次の章名を付する。

    第三章 供託等に関する事件

 (家事事件手続法の一部改正)

第四条 家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)の一部を次のように改正する。

  目次中「第十二節 相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件(第百九十条)」を

第十二節 相続の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判事件(第百九十条)

 

 

第十二節の二 相続財産の保存に関する処分の審判事件(第百九十条の二)

 に改める。

  第三条の十一第三項中「又は管理」を削り、「同表の九十の項」を「同表の八十九の項」に、「第二百一条第十項」を「第百九十条の二」に、「管理人」を「清算人」に、「おける相続財産の管理に」を「おける相続財産の清算に」に改める。

  第八十二条第三項中「及び第百五十三条(第百九十九条」を「、第百五十三条(第百九十九条第一項」に改め、「含む。)」の下に「及び第百九十九条第二項」を加える。

  第八十三条中「第百九十九条」を「第百九十九条第一項」に改め、「含む。)」の下に「及び第百九十九条第二項」を加える。

  第百四十六条第二項中「第六項」の下に「、次条並びに第百四十七条」を加え、同条第四項中「次条」を「第百四十七条」に改め、同条の次に次の一条を加える。

  (供託等)

 第百四十六条の二 家庭裁判所が選任した管理人は、不在者の財産の管理、処分その他の事由により金銭が生じたときは、不在者のために、当該金銭を不在者の財産の管理に関する処分を命じた裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内の供託所に供託することができる。

 2 家庭裁判所が選任した管理人は、前項の規定による供託をしたときは、法務省令で定めるところにより、その旨その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。

  第百四十七条中「財産がなくなったとき」の下に「(家庭裁判所が選任した管理人が管理すべき財産の全部が供託されたときを含む。)」を加える。

  第二編第二章第十二節の次に次の一節を加える。

     第十二節の二 相続財産の保存に関する処分の審判事件

 第百九十条の二 相続財産の保存に関する処分の審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。

 2 第百二十五条第一項から第六項まで、第百四十六条の二及び第百四十七条の規定は、相続財産の保存に関する処分の審判事件について準用する。この場合において、第百二十五条第三項中「成年被後見人の財産」とあるのは、「相続財産」と読み替えるものとする。

  第百九十九条の見出し中「に関する規定の準用」を削り、同条に次の一項を加える。

 2 第八十二条第二項の規定にかかわらず、遺産の分割の審判の申立ての取下げは、相続開始の時から十年を経過した後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。

  第二百一条第一項中「別表第一の八十九の項」を「別表第一の九十の項」に改め、同条第三項中「管理人」を「清算人」に改め、同条第十項を削る。

  第二百三条第一号中「管理」を「清算」に改め、同条第二号中「管理に」を「清算に」に、「管理人」を「清算人」に改める。

  第二百四条第一項中「第九百五十八条」を「第九百五十二条第二項」に改める。

  第二百五条から第二百七条までの規定中「相続財産の管理人」を「相続財産の清算人」に改める。

  第二百八条中「管理」を「清算」に改める。

  第二百七十三条第二項中「民事訴訟法」を「第八十二条第三項及び第四項並びに民事訴訟法」に改め、「場合において」の下に「、第八十二条第三項中「前項ただし書、第百五十三条(第百九十九条第一項において準用する場合を含む。)及び第百九十九条第二項」とあるのは「第二百七十三条第二項」と」を加え、「あるのは、」を「あるのは」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。

 2 前項の規定にかかわらず、遺産の分割の調停の申立ての取下げは、相続開始の時から十年を経過した後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。

  別表第一の八十九の項を削り、同表の推定相続人の廃除の部の次に次の一部を加える。

相続財産の保存

 

 

八十九

相続財産の保存に関する処分

民法第八百九十七条の二第一項及び第二項

  別表第一の九十の項を次のように改める。

九十

相続の承認又は放棄をすべき期間の伸長

民法第九百十五条第一項ただし書

  別表第一の九十四の項中「管理人」を「清算人」に改め、同表の九十九の項中「管理」を「清算」に、「、第九百五十三条及び第九百五十八条」を「及び第九百五十三条」に改め、同表の百一の項中「第九百五十八条の三第一項」を「第九百五十八条の二第一項」に改める。

  別表第二の十三の項中「第九百七条第三項」を「第九百八条第四項及び第五項」に改める。

   附 則

  (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

 一 第二条中不動産登記法第百三十一条第五項の改正規定及び附則第三十四条の規定 公布の日

 二 第二条中不動産登記法の目次の改正規定、同法第十六条第二項の改正規定、同法第四章第三節第二款中第七十四条の前に一条を加える改正規定、同法第七十六条の次に五条を加える改正規定(第七十六条の二及び第七十六条の三に係る部分に限る。)、同法第百十九条の改正規定及び同法第百六十四条の改正規定(同条に一項を加える部分を除く。)並びに附則第五条第四項から第六項まで、第六条、第二十二条及び第二十三条の規定 公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日

 三 第二条中不動産登記法第二十五条第七号の改正規定、同法第七十六条の次に五条を加える改正規定(第七十六条の四から第七十六条の六までに係る部分に限る。)、同法第百十九条の次に一条を加える改正規定、同法第百二十条第三項の改正規定及び同法第百六十四条の改正規定(同条に一項を加える部分に限る。)並びに附則第五条第七項の規定 公布の日から起算して五年を超えない範囲内において政令で定める日

 (相続財産の保存に必要な処分に関する経過措置)

第二条 この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前に第一条の規定による改正前の民法(以下「旧民法」という。)第九百十八条第二項(旧民法第九百二十六条第二項(旧民法第九百三十六条第三項において準用する場合を含む。)及び第九百四十条第二項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の規定によりされた相続財産の保存に必要な処分は、施行日以後は、第一条の規定による改正後の民法(以下「新民法」という。)第八百九十七条の二の規定によりされた相続財産の保存に必要な処分とみなす。

2 施行日前に旧民法第九百十八条第二項の規定によりされた相続財産の保存に必要な処分の請求(施行日前に当該請求に係る審判が確定したものを除く。)は、施行日以後は、新民法第八百九十七条の二の規定によりされた相続財産の保存に必要な処分の請求とみなす。

 (遺産の分割に関する経過措置)

第三条 新民法第九百四条の三及び第九百八条第二項から第五項までの規定は、施行日前に相続が開始した遺産の分割についても、適用する。この場合において、新民法第九百四条の三第一号中「相続開始の時から十年を経過する前」とあるのは「相続開始の時から十年を経過する時又は民法等の一部を改正する法律(令和三年法律第▼▼▼号)の施行の時から五年を経過する時のいずれか遅い時まで」と、同条第二号中「十年の期間」とあるのは「十年の期間(相続開始の時から始まる十年の期間の満了後に民法等の一部を改正する法律の施行の時から始まる五年の期間が満了する場合にあっては、同法の施行の時から始まる五年の期間)」と、新民法第九百八条第二項ただし書、第三項ただし書、第四項ただし書及び第五項ただし書中「相続開始の時から十年」とあるのは「相続開始の時から十年を経過する時又は民法等の一部を改正する法律の施行の時から五年を経過する時のいずれか遅い時」とする。

 (相続財産の清算に関する経過措置)

第四条 施行日前に旧民法第九百三十六条第一項の規定により選任された相続財産の管理人は、施行日以後は、新民法第九百三十六条第一項の規定により選任された相続財産の清算人とみなす。

2 施行日前に旧民法第九百五十二条第一項の規定により選任された相続財産の管理人は、新民法第九百四十条第一項及び第九百五十三条から第九百五十六条までの規定の適用については、新民法第九百五十二条第一項の規定により選任された相続財産の清算人とみなす。

3 施行日前に旧民法第九百五十二条第一項の規定によりされた相続財産の管理人の選任の請求(施行日前に当該請求に係る審判が確定したものを除く。)は、施行日以後は、新民法第九百五十二条第一項の規定によりされた相続財産の清算人の選任の請求とみなす。

4 施行日前に旧民法第九百五十二条第一項の規定により相続財産の管理人が選任された場合における当該相続財産の管理人の選任の公告、相続債権者及び受遺者に対する請求の申出をすべき旨の公告及び催告、相続債権者及び受遺者に対する弁済並びにその弁済のための相続財産の換価、相続債権者及び受遺者の換価手続への参加、不当な弁済をした相続財産の管理人の責任、相続人の捜索の公告、公告期間内に申出をしなかった相続債権者及び受遺者の権利並びに相続人としての権利を主張する者がない場合における相続人、相続債権者及び受遺者の権利については、なお従前の例による。

5 施行日前に旧民法第九百五十二条第一項の規定により相続財産の管理人が選任された場合における特別縁故者に対する相続財産の分与については、新民法第九百五十八条の二第二項の規定にかかわらず、なお従前の例による。

 (不動産登記法の一部改正に伴う経過措置)

第五条 第二条の規定(附則第一条各号に掲げる改正規定を除く。)による改正後の不動産登記法(以下「新不動産登記法」という。)第六十三条第三項、第六十九条の二及び第七十条の二の規定は、施行日以後にされる登記の申請について適用する。

2 新不動産登記法第七十条第二項の規定は、施行日以後に申し立てられる公示催告の申立てに係る事件について適用する。

3 新不動産登記法第百二十一条第二項から第五項までの規定は、施行日以後にされる登記簿の附属書類の閲覧請求について適用し、施行日前にされた登記簿の附属書類の閲覧請求については、なお従前の例による。

4 第二条の規定(附則第一条第二号に掲げる改正規定に限る。)による改正後の不動産登記法(以下「第二号新不動産登記法」という。)第七十三条の二の規定は、同号に掲げる規定の施行の日(以下「第二号施行日」という。)以後に登記の申請がされる所有権の登記の登記事項について適用する。

5 登記官は、第二号施行日において現に法人が所有権の登記名義人として記録されている不動産について、法務省令で定めるところにより、職権で、第二号新不動産登記法第七十三条の二第一項第一号に規定する登記事項に関する変更の登記をすることができる。

6 第二号新不動産登記法第七十六条の二の規定は、第二号施行日前に所有権の登記名義人について相続の開始があった場合についても、適用する。この場合において、同条第一項中「所有権の登記名義人」とあるのは「民法等の一部を改正する法律(令和三年法律第▼▼▼号)附則第一条第二号に掲げる規定の施行の日(以下この条において「第二号施行日」という。)前に所有権の登記名義人」と、「知った日」とあるのは「知った日又は第二号施行日のいずれか遅い日」と、同条第二項中「分割の日」とあるのは「分割の日又は第二号施行日のいずれか遅い日」とする。

7 第二条の規定(附則第一条第三号に掲げる改正規定に限る。)による改正後の不動産登記法(以下この項において「第三号新不動産登記法」という。)第七十六条の五の規定は、同号に掲げる規定の施行の日(以下「第三号施行日」という。)前に所有権の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所について変更があった場合についても、適用する。この場合において、第三号新不動産登記法第七十六条の五中「所有権の登記名義人の」とあるのは「民法等の一部を改正する法律(令和三年法律第▼▼▼号)附則第一条第三号に掲げる規定の施行の日(以下この条において「第三号施行日」という。)前に所有権の登記名義人となった者の」と、「あった日」とあるのは「あった日又は第三号施行日のいずれか遅い日」とする。

 (第三号施行日の前日までの間の読替え)

第六条 第二号施行日から第三号施行日の前日までの間における第二号新不動産登記法第十六条第二項の規定の適用については、同項中「第七十六条の四まで、第七十六条の六」とあるのは、「第七十六条の三まで」とする。

 (家事事件手続法の一部改正に伴う経過措置)

第七条 第四条の規定による改正後の家事事件手続法(以下この条において「新家事事件手続法」という。)第百九十九条第二項及び第二百七十三条第二項の規定は、施行日前に相続が開始した遺産の分割についても、適用する。この場合において、新家事事件手続法第百九十九条第二項中「十年を経過した後」とあるのは「十年を経過した後(相続開始の時から始まる十年の期間の満了後に民法等の一部を改正する法律(令和三年法律第▼▼▼号)の施行の時から始まる五年の期間が満了する場合にあっては、同法の施行の時から五年を経過した後)」と、新家事事件手続法第二百七十三条第二項中「十年を経過した後」とあるのは「十年を経過した後(相続開始の時から始まる十年の期間の満了後に民法等の一部を改正する法律の施行の時から始まる五年の期間が満了する場合にあっては、同法の施行の時から五年を経過した後)」とする。

2 施行日前に旧民法第九百五十二条第一項の規定により相続財産の管理人が選任された場合における特別縁故者に対する相続財産の分与の審判については、新家事事件手続法第二百四条第一項の規定にかかわらず、なお従前の例による。

3 施行日前に旧民法第九百五十二条第一項の規定により選任された相続財産の管理人は、新家事事件手続法第二百五条から第二百八条までの規定の適用については、新民法第九百五十二条第一項の規定により選任された相続財産の清算人とみなす。

 (外国法人の登記及び夫婦財産契約の登記に関する法律の一部改正)

第八条 外国法人の登記及び夫婦財産契約の登記に関する法律(明治三十一年法律第十四号)の一部を次のように改正する。

  第八条中「、第百二十一条第二項及び第三項、第百五十二条」を「(第六項を除く。)、第百二十一条第三項から第五項まで、第百五十三条」に改める。

 (外国法人の登記及び夫婦財産契約の登記に関する法律の一部改正に伴う経過措置)

第九条 前条の規定による改正後の外国法人の登記及び夫婦財産契約の登記に関する法律第八条において準用する新不動産登記法第百二十一条第三項から第五項までの規定は、施行日以後にされる登記簿の附属書類の閲覧請求について適用し、施行日前にされた登記簿の附属書類の閲覧請求については、なお従前の例による。

2 施行日から第二号施行日の前日までの間における前条の規定による改正後の外国法人の登記及び夫婦財産契約の登記に関する法律第八条の規定の適用については、同条中「第百十九条(第六項を除く。)」とあるのは、「第百十九条」とする。

 (抵当証券法の一部改正)

第十条 抵当証券法(昭和六年法律第十五号)の一部を次のように改正する。

  第四十一条中「第百二十一条第二項及第三項、第百五十三条、第百五十五条、」を「第百二十一条第三項乃至第五項、第百五十四条乃至」に、「同法第百二十一条第二項及第三項」を「同法第百二十一条第三項中「登記簿の附属書類(第一項の図面を除き、」トアルハ「抵当証券の控え及びその附属書類(」ト、同条第四項中「登記を」トアルハ「抵当証券の交付を」ト、「登記記録に係る登記簿の附属書類」トアルハ「抵当証券の控え及びその附属書類」ト、同条第五項」に、「トアリ並ニ同法第百五十三条及」を「トアルハ「抵当証券の控え及びその附属書類」ト、同法第百五十四条中「登記簿等及び」トアルハ「抵当証券の控え及びその附属書類並びに」ト、同法」に改める。

 (抵当証券法の一部改正に伴う経過措置)

第十一条 前条の規定による改正後の抵当証券法第四十一条において読み替えて準用する新不動産登記法第百二十一条第三項から第五項までの規定は、施行日以後にされる抵当証券の控え及びその附属書類の閲覧請求について適用し、施行日前にされた抵当証券の控え及びその附属書類の閲覧請求については、なお従前の例による。

 (大麻取締法の一部改正)

第十二条 大麻取締法(昭和二十三年法律第百二十四号)の一部を次のように改正する。

  第十条第二項中「。以下同じ。」を「又は相続財産の清算人」に改める。

 (相続税法及び租税特別措置法の一部改正)

第十三条 次に掲げる法律の規定中「第九百五十八条の三第一項」を「第九百五十八条の二第一項」に改める。

 一 相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)第四条第一項

 二 租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)第六十九条の六第二項

 (相続税法及び租税特別措置法の一部改正に伴う経過措置)

第十四条 施行日前に旧民法第九百五十二条第一項の規定により相続財産の管理人が選任された場合における前条の規定による改正後の相続税法第四条第一項及び租税特別措置法第六十九条の六第二項の規定の適用については、これらの規定中「民法第九百五十八条の二第一項」とあるのは、「民法等の一部を改正する法律(令和三年法律第▼▼▼号)附則第四条第五項の規定によりなお従前の例によることとされる場合における同法第一条の規定による改正前の民法第九百五十八条の三第一項」とする。

 (質屋営業法の一部改正)

第十五条 質屋営業法(昭和二十五年法律第百五十八号)の一部を次のように改正する。

  第二十八条第三項中「左の各号の一」を「次の各号のいずれか」に改め、同項第一号中「相続財産管理人」を「相続財産の管理人若しくは相続財産の清算人」に改め、同項第二号及び第三号中「因り」を「より」に改める。

 (国土調査法の一部改正)

第十六条 国土調査法(昭和二十六年法律第百八十号)の一部を次のように改正する。

  第三十二条の三第一項中「第百二十一条第二項ただし書」を「第百二十一条第三項」に改め、「かかわらず」の下に「、登記官に対し、手数料を納付して」を加える。

 (農地法の一部改正)

第十七条 農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)の一部を次のように改正する。

  第三条第一項第十二号中「第九百五十八条の三」を「第九百五十八条の二」に改める。

 (農地法の一部改正に伴う経過措置)

第十八条 施行日前に旧民法第九百五十二条第一項の規定により相続財産の管理人が選任された場合における前条の規定による改正後の農地法第三条第一項の規定の適用については、同項第十二号中「同法第九百五十八条の二」とあるのは、「民法等の一部を改正する法律(令和三年法律第▼▼▼号)附則第四条第五項の規定によりなお従前の例によることとされる場合における同法第一条の規定による改正前の民法第九百五十八条の三」とする。

 (特許法の一部改正)

第十九条 特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)の一部を次のように改正する。

  第七十六条中「第九百五十八条」を「第九百五十二条第二項」に改める。

 (特許法の一部改正に伴う経過措置)

第二十条 施行日前に旧民法第九百五十二条第一項の規定により相続財産の管理人が選任された場合における特許権、実用新案権、意匠権及び商標権の消滅については、前条の規定による改正後の特許法第七十六条(実用新案法(昭和三十四年法律第百二十三号)第二十六条、意匠法(昭和三十四年法律第百二十五号)第三十六条及び商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)第三十五条において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、なお従前の例による。

 (建物の区分所有等に関する法律の一部改正)

第二十一条 建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)の一部を次のように改正する。

  第六条に次の一項を加える。

 4 民法(明治二十九年法律第八十九号)第二百六十四条の八及び第二百六十四条の十四の規定は、専有部分及び共用部分には適用しない。

  第七条第三項中「(明治二十九年法律第八十九号)」を削る。

 (住民基本台帳法の一部改正)

第二十二条 住民基本台帳法(昭和四十二年法律第八十一号)の一部を次のように改正する。

  別表第一の三十一の項中「移転の登記」の下に「、同法第七十六条の三第三項の登記、同法第七十六条の四の符号の表示」を加える。

 (住民基本台帳法の一部改正に伴う経過措置)

第二十三条 第二号施行日から第三号施行日の前日までの間における前条の規定による改正後の住民基本台帳法別表第一の三十一の項の規定の適用については、同項中「登記、同法第七十六条の四の符号の表示」とあるのは、「登記」とする。

 (日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の南部の共同開発に関する協定の実施に伴う石油及び可燃性天然ガス資源の開発に関する特別措置法の一部改正)

第二十四条 日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の南部の共同開発に関する協定の実施に伴う石油及び可燃性天然ガス資源の開発に関する特別措置法(昭和五十三年法律第八十一号)の一部を次のように改正する。

  第三十一条第一項中「第九百五十八条」を「第九百五十二条第二項」に改める。

 (日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の南部の共同開発に関する協定の実施に伴う石油及び可燃性天然ガス資源の開発に関する特別措置法の一部改正に伴う経過措置)

第二十五条 施行日前に旧民法第九百五十二条第一項の規定により相続財産の管理人が選任された場合における日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の南部の共同開発に関する協定の実施に伴う石油及び可燃性天然ガス資源の開発に関する特別措置法第二条第三項に規定する特定鉱業権の消滅については、前条の規定による改正後の同法第三十一条第一項の規定にかかわらず、なお従前の例による。

 (民事訴訟法の一部改正)

第二十六条 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)の一部を次のように改正する。

  第百二十四条の見出しを削り、同条の前に見出しとして「(訴訟手続の中断及び受継)」を付し、同条第一項第一号中「相続財産管理人」を「相続財産の管理人、相続財産の清算人」に改める。

  第百二十五条を次のように改める。

 第百二十五条 所有者不明土地管理命令(民法第二百六十四条の二第一項に規定する所有者不明土地管理命令をいう。以下この項及び次項において同じ。)が発せられたときは、当該所有者不明土地管理命令の対象とされた土地又は共有持分及び当該所有者不明土地管理命令の効力が及ぶ動産並びにその管理、処分その他の事由により所有者不明土地管理人(同条第四項に規定する所有者不明土地管理人をいう。以下この項及び次項において同じ。)が得た財産(以下この項及び次項において「所有者不明土地等」という。)に関する訴訟手続で当該所有者不明土地等の所有者(その共有持分を有する者を含む。同項において同じ。)を当事者とするものは、中断する。この場合においては、所有者不明土地管理人は、訴訟手続を受け継ぐことができる。

 2 所有者不明土地管理命令が取り消されたときは、所有者不明土地管理人を当事者とする所有者不明土地等に関する訴訟手続は、中断する。この場合においては、所有者不明土地等の所有者は、訴訟手続を受け継がなければならない。

 3 第一項の規定は所有者不明建物管理命令(民法第二百六十四条の八第一項に規定する所有者不明建物管理命令をいう。以下この項において同じ。)が発せられた場合について、前項の規定は所有者不明建物管理命令が取り消された場合について準用する。

 (破産法の一部改正)

第二十七条 破産法(平成十六年法律第七十五号)の一部を次のように改正する。

  第二百二十四条、第二百二十六条第一項、第二百三十条第一項第三号、第二百三十四条、第二百三十六条及び第二百六十六条中「管理人」の下に「、相続財産の清算人」を加える。

 (有限責任事業組合契約に関する法律の一部改正)

第二十八条 有限責任事業組合契約に関する法律(平成十七年法律第四十号)の一部を次のように改正する。

  第七十四条第二項中「同法第九百七条第三項」を「同条第四項」に改める。

 (競争の導入による公共サービスの改革に関する法律の一部改正)

第二十九条 競争の導入による公共サービスの改革に関する法律(平成十八年法律第五十一号)の一部を次のように改正する。

  第三十三条の二第一項第三号中「同条第一項」を「同項」に改め、「(電磁的記録にあっては、記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したもの)」を削り、同項第四号中「第百二十一条第二項」を「第百二十一条第三項又は第四項」に、「同項の」を「これらの規定の」に改め、「(前号の図面を除く。)」を削り、「同項ただし書の利害関係」を「同条第三項の正当な理由」に改め、同項第十号及び第十一号中「第百二十一条第二項の規定に基づく同項」を「第百二十一条第三項又は第四項の規定に基づくこれらの規定」に、「同項ただし書の利害関係」を「同条第三項の正当な理由」に改める。

 (特別会計に関する法律の一部改正)

第三十条 特別会計に関する法律(平成十九年法律第二十三号)の一部を次のように改正する。

  附則第三百八十二条中「附則第三百七十二条の規定による改正後の」を削り、「第百二十条第三項、第百二十一条第三項」を「第百十九条の二第四項、第百二十条第三項、第百二十一条第五項」に改める。

 (特別会計に関する法律の一部改正に伴う経過措置)

第三十一条 施行日から第三号施行日の前日までの間における前条の規定による改正後の特別会計に関する法律附則第三百八十二条の規定の適用については、同条中「第百十九条の二第四項、第百二十条第三項」とあるのは、「第百二十条第三項」とする。

 (所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の一部改正)

第三十二条 所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(平成三十年法律第四十九号)の一部を次のように改正する。

  目次中「不在者の財産及び相続財産」を「所有者不明土地」に改める。

  第三章第三節の節名を次のように改める。

     第三節 所有者不明土地の管理に関する民法の特例

  第三十八条中「の長(」の下に「次項及び」を加え、「管理人」を「清算人」に改め、同条に次の一項を加える。

 2 国の行政機関の長等は、所有者不明土地につき、その適切な管理のため特に必要があると認めるときは、地方裁判所に対し、民法第二百六十四条の二第一項の規定による命令の請求をすることができる。

 (表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律の一部改正)

第三十三条 表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律(令和元年法律第十五号)の一部を次のように改正する。

  第三十二条の見出しを「(適用除外)」に改め、同条を同条第二項とし、同項の前に次の一項を加える。

   所有者等特定不能土地及び特定社団等帰属土地(いずれも第十五条第一項第四号イ又はロに定める登記をする前に民法(明治二十九年法律第八十九号)第二百六十四条の二第一項の規定による命令がされたものを除く。)については、同条から同法第二百六十四条の七までの規定は、適用しない。

 (その他の経過措置の政令等への委任)

第三十四条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

2 第二条の規定による不動産登記法の一部改正に伴う登記に関する手続について必要な経過措置は、法務省令で定める。


     理 由

 所有者不明土地の増加等の社会経済情勢の変化に鑑み、所有者不明土地の発生を防止するとともに、土地の適正な利用及び相続による権利の承継の一層の円滑化を図るため、相隣関係並びに共有物の利用及び管理に関する規定の整備、所有者不明土地管理命令等の制度の創設並びに具体的相続分による遺産分割を求めることができる期間の制限等に関する規定の整備を行うとともに、相続等による所有権の移転の登記の申請を相続人に義務付ける規定の創設等を行う必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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