衆議院

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第二〇八回

衆第二二号

   戦争等避難者に係る出入国管理及び難民認定法の特例等に関する法律案

 (趣旨)

第一条 この法律は、人道的見地から、戦争等避難者を我が国に緊急かつ円滑に受け入れるため、戦争等避難者について、出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号。第三条及び附則第二条第一項ただし書において「入管法」という。)の特例等を定めるものとする。

 (定義等)

第二条 この法律において「戦争等避難者」とは、戦争、内乱、暴動、大規模な人権侵害若しくは公の秩序を著しく乱すその他の事情又は難民の地位に関する条約第一条A(2)に規定する理由に準ずる理由によりその生命、身体、身体の自由又はその他同条A(2)若しくは市民的及び政治的権利に関する国際規約第七条の規定により保護された権利利益を害されるおそれのある領域から避難することを余儀なくされている者であって、保護されるべきものと認められるものをいう。

2 本邦に上陸しようとする外国人又は本邦に在留する外国人が戦争等避難者に該当するか否かについては、国際連合、国際連合難民高等弁務官事務所その他の国際機関の見解を踏まえて判断されなければならない。

 (戦争等避難者に係る入管法の特例)

第三条 戦争等避難者に対する入管法第五条、第七条第一項第四号及び第二十二条の四第一項第一号の規定の適用については、入管法第五条第一項中「次の各号」とあるのは「第一号、第二号又は第四号から第十四号まで」と、同項第一号中「ある者」とあるのは「ある者のうち、その上陸を許可した場合には国民の生命及び健康に極めて重大な影響を与えるおそれがあると認められる者」と、同項第二号中「随伴しないもの」とあるのは「随伴しないもののうち、本邦におけるその活動又は行動を補助する者を確保する見込みが全くないもの」と、同項第十四号中「前各号」とあるのは「第一号、第二号及び第四号から前号まで」と、同条第二項中「前項各号」とあるのは「前項第一号、第二号及び第四号から第十四号まで」と、「同項各号」とあるのは「同項第一号、第二号及び第四号から第十四号まで」と、「できる」とあるのは「できる。ただし、当該国が同項第三号に相当する事由により日本人の上陸を拒否するときは、この限りでない」と、入管法第七条第一項第四号中「第五条第一項各号」とあるのは「第五条第一項第一号、第二号及び第四号から第十四号まで」と、「同項各号」とあるのは「同項第一号、第二号及び第四号から第十四号まで」と、入管法第二十二条の四第一項第一号中「第五条第一項各号」とあるのは「第五条第一項第一号、第二号及び第四号から第十四号まで」とする。

2 本邦に上陸しようとする戦争等避難者が、戦争等避難者の地位を有する者としての活動を行うものとして、入管法第六条第二項の申請をした場合には、入管法第七条第一項に規定する上陸のための条件は、同項第一号、第二号及び第四号に掲げるものとする。この場合において、同項第二号の規定の適用については、戦争等避難者の地位を入管法別表第二の定住者の項の下欄に掲げる地位として法務大臣があらかじめ告示をもって定めるものに該当するものとみなす。

3 戦争等避難者の地位を有する者としての活動を行うものとして入管法第六条第二項の申請をした戦争等避難者について入管法別表第二の定住者の在留資格を決定する場合における当該在留資格に伴う在留期間は、入管法第二条の二第三項の規定にかかわらず、一年とする。

4 法務大臣は、本邦に上陸しようとする戦争等避難者から、戦争等避難者の地位を有する者としての活動を行うものとして、入管法第七条の二第一項の申請があった場合には、戦争等避難者の地位を入管法第七条第一項第二号に規定する入管法別表第二の定住者の項の下欄に掲げる地位として法務大臣があらかじめ告示をもって定めるものに該当するものとみなして、入管法第七条の二第一項に規定する在留資格認定証明書を交付することができる。

5 次の各号に掲げる戦争等避難者についてそれぞれ当該各号に掲げる許可をする場合におけるその在留資格に伴う在留期間は、第三項と同様とする。

 一 入管法別表第一又は別表第二の上欄の在留資格(定住者の在留資格を除く。)をもって本邦に在留する戦争等避難者であって戦争等避難者の地位を有するものとして入管法第二十条第一項の規定により在留資格の変更を受けようとするもの 同条第三項の規定による入管法別表第二の定住者の在留資格への変更の許可

 二 入管法別表第二の定住者の在留資格をもって本邦に在留する戦争等避難者であって戦争等避難者の地位を有するものとして入管法第二十一条第一項の規定により在留期間の更新を受けようとするもの 同条第三項の規定による在留期間更新の許可

 三 戦争等避難者の地位を有する者の子として本邦で出生した戦争等避難者であって戦争等避難者の地位を有するものとして入管法第二十二条の二第二項の規定により在留資格を取得しようとするもの 同条第三項において準用する入管法第二十条第三項の規定による入管法別表第二の定住者の在留資格の取得の許可

6 入管法別表第一の三の表の短期滞在の在留資格をもって本邦に在留する戦争等避難者であって戦争等避難者の地位を有するものとして入管法第二十条第一項の規定により在留資格の変更を受けようとするものが、同条第二項の申請をした場合には、同条第三項ただし書の規定は、適用しない。

 (戦争等避難者の迅速かつ円滑な入国のための措置)

第四条 政府は、戦争等避難者が本邦に迅速かつ円滑に入国することができるよう、有効な旅券で日本国領事官等の査証を受けたものを所持しない戦争等避難者に対する旅券に代わる証明書の発行又は査証の発給を迅速かつ円滑に行う体制の整備その他の必要な措置を講ずるものとする。

 (本邦に在留する戦争等避難者の支援等)

第五条 国は、地方公共団体及び民間事業者と緊密な連携協力を図りながら、本邦に在留する戦争等避難者に対する医療、福祉、就労、教育、住宅その他の支援のために必要な施策を講ずるものとする。

2 国は、広報活動、啓発活動等を通じて、本邦に在留する戦争等避難者に対する国民の理解を深めるよう必要な施策を講ずるものとする。

3 国は、前二項の施策を実施するために必要な財政上の措置その他の措置を講ずるものとする。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第三条の規定は、公布の日から起算して一月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (この法律の失効)

第二条 この法律は、難民等の保護に関する法律(令和四年法律第▼▼▼号)の施行の日に、その効力を失う。ただし、この法律の失効の際現に戦争等避難者の地位を入管法別表第二の定住者の項の下欄に掲げる地位として認められ同表の定住者の在留資格をもって本邦に在留する戦争等避難者の在留資格及び在留期間については、この法律の規定は、この法律の失効後も、なおその効力を有する。

2 前項ただし書に規定するもののほか、この法律の失効に伴い必要な経過措置は、別に法律で定める。


     理 由

 人道的見地から、戦争等避難者を我が国に緊急かつ円滑に受け入れるため、戦争等避難者について、出入国管理及び難民認定法の特例等を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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