衆議院

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第二〇八回

衆第二四号

   新型コロナウイルス感染症等の影響を受けている中小事業者に対する金融の円滑化の促進に関する法律案

 (目的)

第一条 この法律は、新型コロナウイルス感染症(病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和二年一月に、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)である感染症をいう。)及びそのまん延防止のための措置の影響(以下「新型コロナウイルス感染症等の影響」という。)を受けている中小事業者の事業の継続に必要な資金の借入れに係る債務の負担の状況に鑑み、金融機関の業務の健全かつ適切な運営の確保に配意しつつ、中小事業者に対する金融の円滑化を促進するために必要な措置を定めることにより、中小事業者の事業の継続及び再生並びにこれらを通じた雇用の安定(次条第一項及び第三条において「事業の継続及び再生等」という。)を期し、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

 (中小事業者の債務の弁済に係る負担の軽減等)

第二条 政府は、新型コロナウイルス感染症等の影響を受けている中小事業者の事業の継続及び再生等に資するため、中小事業者に対して債権を有する金融機関が当該中小事業者の申込みに応じて次に掲げる措置その他の当該中小事業者の債務の弁済に係る負担の軽減に資する措置を適切かつ効果的に講ずることができるよう、法制上の措置、金融機関が講ずべき措置に関する指針の策定その他必要な措置(次項及び次条において「法制上の措置等」という。)を講ずるものとする。

 一 債務の減免、利子の軽減、据置期間の延長その他の中小事業者に対する資金の貸付けの条件の変更

 二 旧債の借換え

 三 中小事業者の株式の取得であって債務を消滅させるためにするもの

2 政府は、前項の法制上の措置等を講ずるに当たっては、次に掲げる事項に特に留意しなければならない。

 一 中小事業者が新型コロナウイルス感染症等の影響を受けて行った事業の継続に必要な資金の借入れに係る債務の弁済に係る負担の軽減に当たっては、新型コロナウイルス感染症等の影響が自己の責めに帰することができない事由であること等を踏まえ、中小事業者が経営責任を負うこととならないようにすること。

 二 金融機関が前号の借入れに係る債務の減免を行うに当たっては、当該債務の弁済に係る負担により事業の継続に支障を来している中小事業者に限り、かつ、当該借入れに係る資金の使途が適正であることを確認した上で行われるようにするとともに、中小事業者の事業の再生の計画(事業の再生のおおよその見通しを記載した書面を含む。次項において「事業再生計画」という。)の内容を踏まえてその事業の継続への支障を除去するために必要な範囲を超えないようにすること。

3 政府は、前項第二号の債務の減免を受けようとする中小事業者による事業再生計画の適切かつ円滑な作成を支援するために必要な措置を講ずるものとする。

4 政府は、金融機関の経営に影響を及ぼさないよう、金融機関が債務の減免で第二項第二号に掲げる事項を満たすもの又は利子の軽減を行ったことにより生じた損失を補塡するために必要な措置その他の措置を講ずるものとする。

 (関係者相互の連携)

第三条 政府は、新型コロナウイルス感染症等の影響を受けている中小事業者の事業の継続及び再生等に資するため、金融機関、信用保証協会、株式会社地域経済活性化支援機構、中小事業者の事業の再生の支援を行う投資事業有限責任組合(投資事業有限責任組合契約に関する法律(平成十年法律第九十号)第二条第二項に規定する投資事業有限責任組合をいう。)その他の関係者が適切かつ効果的に連携することができるよう、法制上の措置等を講ずるものとする。

 (相談体制の充実)

第四条 政府は、新型コロナウイルス感染症等の影響を受けている中小事業者の債務の弁済に係る負担の軽減に関する相談に的確に応ずるための体制の充実を図るものとする。

   附 則

 この法律は、公布の日から施行する。


     理 由

 新型コロナウイルス感染症等の影響を受けている中小事業者の事業の継続に必要な資金の借入れに係る債務の負担の状況に鑑み、金融機関の業務の健全かつ適切な運営の確保に配意しつつ、中小事業者に対する金融の円滑化を促進するために必要な措置を定め、中小事業者の事業の継続及び再生並びにこれらを通じた雇用の安定を期する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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