衆議院

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第二〇八回

衆第二六号

   情報通信行政の改革の推進に関する法律案

目次

 第一章 総則(第一条−第三条)

 第二章 情報通信行政の改革の基本方針(第四条−第八条)

 第三章 法制上の措置等(第九条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、通信・放送技術(電気通信業及び放送業(有線放送業を含む。)の技術その他電気通信に係る電波の利用の技術をいう。)の進展その他の内外の諸情勢の変化に伴い、情報通信行政において、電波の有効利用の促進並びに行政運営の透明性及び公正性の確保を図ることが喫緊の課題となっていることに鑑み、これらの課題に対処するため、情報通信行政の改革について、その基本理念及び基本方針その他の基本となる事項を定めることにより、情報通信行政の改革を迅速かつ着実に推進することを目的とする。

 (基本理念)

第二条 情報通信行政の改革は、情報通信分野において、事業者間の公正な競争の促進等を通じた事業活動の活性化を図るとともに、国民の利益の増進及び行政に対する国民の信頼の確保に資することを旨として、行われなければならない。

 (国の責務)

第三条 国は、前条の基本理念にのっとり、情報通信行政の改革に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。

   第二章 情報通信行政の改革の基本方針

 (同一の周波数の電波を共用することができる仕組みの一層の活用の促進)

第四条 政府は、複数の無線局(電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)第二条第五号に規定する無線局をいう。次条及び第六条において同じ。)がそれぞれの地理的状況、運用時間等を勘案して同一の周波数の電波を共用することができる仕組みの一層の活用を促進するため、必要な措置を講ずるものとする。

 (無線局の免許について競争を経て申請を行う制度の導入)

第五条 政府は、無線局の免許(電波法第四条の免許をいう。以下この条において同じ。)(特定基地局(同法第二十七条の十二第一項に規定する特定基地局をいう。第五号において同じ。)にあっては、その開設に関する計画の同法第二十七条の十三第一項の認定。第一号及び第二号において同じ。)について競争を経て申請を行う制度を導入するため、次に掲げる措置その他必要な措置を講ずるものとする。

 一 無線局の免許の申請に係る競争(以下この条において単に「競争」という。)は、電波の需給のひっ迫の程度、公益上の必要性等を勘案してこれによることが適当でないと認められる場合を除き、電波法第六条第二項に規定する基幹放送局を含めた全ての無線局を対象として、無線局の免許の申請を行うことができる者を決定するために行うこととし、同法第二十七条の十二第二項第五号に規定する特定基地局開設料の制度は、廃止すること。

 二 競争は、無線局の免許を受けた場合において使用することができる周波数の電波の経済的価値に相当する金額について、競りの方法をもって行うこととし、無線局の運用に当たって公益上の観点から付された条件を満たすことができると認められる者のうちその競りにおいて最も高い価額の申出をした者が、無線局の免許の申請を行うことができる者となるようにすること。

 三 競争を行うに当たっては、競争に係る競落金の価額が過度に高騰すること及び周波数の割当てが特定の者に集中することを防止するための措置を講ずること。

 四 競争を経て無線局の免許を受けた者については、電波法第百三条の二第四項に規定する電波利用料は徴収しないこととし、そのことも考慮して競争に係る最低競落価額を定めること。

 五 競争に係る競落金は、競争を経て無線局の免許(特定基地局にあっては、その開設に関する計画について電波法第二十七条の十三第一項の認定を受けた後最初に開設する特定基地局の免許)を受ける際に支払われるものとすること。

 六 競争に係る競落金は、一般会計の歳入とし、その一部については、電波を使用する高度情報通信ネットワークの整備を促進するために必要な施策その他の当該高度情報通信ネットワークを用いたより良い社会環境の整備に関する施策に要する費用に充てられるようにすること。

 七 競争を経て与えられる無線局の免許の有効期間は、おおむね現行の有効期間の三倍程度の期間となるようにすること。

 (二次取引に係る事業実施の制限の緩和)

第六条 政府は、電気通信事業及び放送事業への民間事業者の一層の参入を促進するため、電波法の規定による二次取引に係る事業実施(同法第十四条第二項第二号に規定する免許人又は同法第二十七条の二十三第一項に規定する登録人から売買その他の取引により当該免許人又は登録人に係る無線局をその用に供する事業の譲渡等を受けた者が当該事業を営むことをいう。)の制限を緩和することについて速やかに検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

 (多様な主体による基幹放送の業務の健全かつ効率的な運営の促進)

第七条 政府は、多様な主体による基幹放送(放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)第二条第二号に規定する基幹放送をいう。第一号及び第二号において同じ。)の業務の健全かつ効率的な運営が促進されるよう、次に掲げる措置を講ずるものとする。

 一 複数の放送対象地域(放送法第九十一条第二項第二号に規定する放送対象地域をいう。)で同一の放送番組の放送を同時に受信できる制度を導入し、基幹放送の業務に係る事業の再編を促進すること。

 二 新聞社を経営する者又は新聞社を経営する者に対して支配関係を有する者からのテレビジョン放送(放送法第二条第十八号に規定するテレビジョン放送をいう。)による地上基幹放送(同条第十五号に規定する地上基幹放送をいう。)の業務への影響を防止する観点から、基幹放送による表現の自由享有基準(同法第九十三条第一項第五号ただし書の総務省令で定める場合をいう。)を見直すこと。

 三 放送法第二条第二十七号に規定する認定放送持株会社に係る同法第百六十四条第一項の保有基準割合に係る制限を緩和すること。

 (情報通信に係る事業の規制に関する事務をつかさどる独立行政委員会の設置)

第八条 政府は、総務省が所掌する情報通信に関する事務のうち放送を含む情報通信に係る事業の規制に関する事務について、中立公正な立場で独立して事務をつかさどる独立行政委員会を新たに設置し、これに移行させるため、必要な措置を講ずるものとする。

   第三章 法制上の措置等

第九条 政府は、前章の基本方針に基づく情報通信行政の改革に関する施策を実施するため、法制上の措置その他必要な措置を講じなければならない。

2 前項の法制上の措置については、前章(前条を除く。)の基本方針に基づくものにあってはこの法律の施行後一年以内に、同条の基本方針に基づくものにあってはこの法律の施行後三年以内に、それぞれ講ぜられるものとする。

   附 則

 この法律は、公布の日から施行する。


     理 由

 通信・放送技術の進展その他の内外の諸情勢の変化に伴い、情報通信行政において、電波の有効利用の促進並びに行政運営の透明性及び公正性の確保を図ることが喫緊の課題となっていることに鑑み、これらの課題に対処するため、情報通信行政の改革について、その基本理念及び基本方針その他の基本となる事項を定めることにより、情報通信行政の改革を迅速かつ着実に推進する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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