衆議院

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第二〇八回

衆第三二号

   現下の物価の高騰による国民生活及び国民経済への悪影響を緩和するために講ずべき国民負担の軽減等に関する措置に関する法律案

目次

 第一章 総則(第一条)

 第二章 石油製品に関する措置(第二条・第三条)

 第三章 消費税に関する措置(第四条−第六条)

 第四章 社会保険料及び法人税に関する措置(第七条・第八条)

 第五章 国民生活及び国民経済への悪影響を緩和するためのその他の措置(第九条−第十四条)

 附則

   第一章 総則

 (趣旨)

第一条 この法律は、現下の石油製品の価格その他の物価の高騰が国民生活及び国民経済に悪影響を及ぼしていることに鑑み、その悪影響を緩和するために政府が講ずべき国民負担の軽減等に関する措置について定めるものとする。

   第二章 石油製品に関する措置

 (揮発油税等の税率の特例の廃止等)

第二条 現下の揮発油及び軽油の価格の高騰による国民生活及び国民経済への悪影響を緩和するため、揮発油税及び地方揮発油税並びに軽油引取税の税率の特例を廃止するものとし、政府は、このために必要な法制上の措置を速やかに講ずるものとする。

2 政府は、前項の措置を講ずるに当たっては、地方公共団体の財政に悪影響を及ぼすことのないようにするものとする。

3 第一項に規定するもののほか、現下の揮発油、灯油、軽油、重油その他の石油製品の価格の高騰による国民生活及び国民経済への悪影響を緩和するため、その購入に要する費用に係る負担の軽減に資する措置を一層拡充するものとし、政府は、このために必要な措置を速やかに講ずるものとする。

 (石油製品に対する課税の在り方の見直し)

第三条 政府は、国民負担の軽減を図る観点から、石油製品に対する課税の在り方について抜本的な見直しを行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

   第三章 消費税に関する措置

 (消費税の軽減税率の特例)

第四条 現下の物価の高騰による国民生活及び国民経済への悪影響を緩和するため、消費税(地方消費税を含む。次項及び第六条において同じ。)の軽減税率を段階的に百分の三に引き下げる特例を設けるものとし、政府は、このために必要な法制上の措置を速やかに講ずるものとする。

2 前項の悪影響の程度その他の経済社会情勢を勘案して必要があると認められるときは、同項の規定にかかわらず、消費税の軽減税率が適用されるものについて消費税を課さないこととする特例を設けるものとし、政府は、このために必要な法制上の措置を講ずるものとする。

3 政府は、前二項の措置を講ずるに当たっては、地方公共団体の財政に悪影響を及ぼすことのないようにするものとする。

 (消費税率の特例)

第五条 前条第一項の悪影響が緩和された後においては、景気回復に資するため、当分の間、消費税率(地方消費税率を含む。次条において同じ。)について軽減税率を含めて百分の五と一律にする特例を設けるものとし、政府は、このために必要な法制上の措置を講ずるものとする。

2 政府は、前項の措置を講ずるに当たっては、地方公共団体の財政に悪影響を及ぼすことのないようにするものとする。

 (特例に係る期間の終了後における消費税率)

第六条 前条第一項の特例に係る期間の終了後における消費税については、軽減税率制度を廃止した上で税率を百分の八とするものとし、政府は、このために必要な法制上の措置を講ずるものとする。

   第四章 社会保険料及び法人税に関する措置

 (低所得者の社会保険料の特例)

第七条 現下の物価の高騰による悪影響を受けている低所得者世帯の負担の軽減を図るため、当分の間、低所得者の負担すべき社会保険料を大幅に減額し、又は免除する特例を設けるものとし、政府は、このために必要な措置を講ずるものとする。

 (中小企業者の法人税率及び社会保険料の特例)

第八条 現下の物価の高騰による悪影響を受けている中小企業者の経営の安定に資するため、当分の間、中小企業者の法人税率を所得の金額にかかわらず百分の十五とする特例を設けるとともに、中小企業者の負担すべき社会保険料を大幅に減額し、又は免除する特例を設けるものとし、政府は、このために必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。

   第五章 国民生活及び国民経済への悪影響を緩和するためのその他の措置

 (原子力による発電による電力量の確保)

第九条 現下の経済社会情勢により燃料の調達が困難となることが見込まれることに鑑み、電気の安定供給を確保するため、発電用原子炉(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)第二条第五項に規定する発電用原子炉をいう。以下この条において同じ。)の設置又は変更の許可等に係る特例措置の創設、原子力規制委員会による手続の迅速化、発電用原子炉に係る定期事業者検査の間隔の拡大等により、原子力による発電による電力量を確保するものとし、政府は、このために必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。

 (電気及びガスの料金の設定に関する措置)

第十条 現下の燃料及び原料の価格の上昇に伴う電気及びガスの料金の急激な高騰を抑制するため、みなし小売電気事業者(電気事業法等の一部を改正する法律(平成二十六年法律第七十二号)附則第二条第二項に規定するみなし小売電気事業者をいう。)による電気の供給及び旧一般ガスみなしガス小売事業者(電気事業法等の一部を改正する等の法律(平成二十七年法律第四十七号)附則第二十二条第一項に規定する旧一般ガスみなしガス小売事業者をいう。)によるガスの供給に係る料金の設定の在り方を見直すものとし、政府は、このために必要な措置を講ずるものとする。

 (物流に係る費用の上昇を抑制するための措置)

第十一条 現下の物流に係る費用の上昇を抑制するため、物資等を輸送する場合の有料道路に係る料金の減額、航空機燃料税及び着陸料等の更なる減免等を行うものとし、政府は、このために必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。

 (麦の売渡価格の引下げ)

第十二条 現下の輸入に係る麦の価格の高騰に対処するため、令和四年四月から同年九月までの期間において主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(平成六年法律第百十三号)第四十二条第二項の規定により売り渡す麦の価格を引き下げるものとし、政府は、このために必要な措置を講ずるものとする。

 (施設園芸及び茶業を営む農業者の経営に及ぼす悪影響を緩和するための措置)

第十三条 現下の燃油の価格の高騰に対処するため、当該価格の高騰が施設園芸及び茶業を営む農業者の経営に及ぼす悪影響を緩和する事業による支援の要件を緩和するものとし、政府は、このために必要な措置を講ずるものとする。

 (漁業者及び畜産業を営む者の経営に及ぼす悪影響を緩和するための措置)

第十四条 現下の燃油及び養殖業に係る配合飼料の価格の高騰に対処するため、当該価格の高騰が漁業者の経営に及ぼす悪影響を緩和する事業に係る基金に追加して出資するものとし、政府は、このために必要な措置を講ずるものとする。

2 現下の畜産業に係る配合飼料の価格の高騰に対処するため、当該価格の異常な高騰が畜産業を営む者の経営に及ぼす悪影響を緩和する事業に係る基金に追加して出資するものとし、政府は、このために必要な措置を講ずるものとする。

   附 則

 この法律は、公布の日から施行する。


     理 由

 現下の石油製品の価格その他の物価の高騰が国民生活及び国民経済に悪影響を及ぼしていることに鑑み、その悪影響を緩和するために政府が講ずべき国民負担の軽減等に関する措置について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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