衆議院

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第二〇八回

衆第六〇号

   特定人権侵害行為への対処に関する法律案

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 各議院等による内閣等に対する報告又は記録の提出の要求等(第三条・第四条)

 第三章 特定人権侵害行為への対処のための措置(第五条−第八条)

 第四章 外国為替及び外国貿易法及び出入国管理及び難民認定法の一部改正(第九条・第十条)

 附則

   第一章 総則

 (趣旨)

第一条 この法律は、諸外国の人権状況が国際社会全体の正当な関心事であり、かつ、国際平和の基礎である人権を擁護することが全ての国の重要な責務であることに鑑み、特定人権侵害行為への対処に関し必要な事項を定めるものとする。

 (定義)

第二条 この法律において「特定人権侵害行為」とは、国際人権法(国際人権規約(経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約及びその選択議定書並びに市民的及び政治的権利に関する国際規約及びその選択議定書をいう。)、強制労働の廃止に関する条約(第百五号)、拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約その他の人権の擁護に関する条約その他の国際約束をいう。)に定める人権を著しく侵害する行為であって、当該行為があった外国における当該行為を防止するための措置又は当該行為による被害の救済に係る手続によっては当該行為に係る人権状況の改善が見込まれないと認められるものをいう。

   第二章 各議院等による内閣等に対する報告又は記録の提出の要求等

 (内閣等に対する報告又は記録の提出の要求)

第三条 各議院又は各議院の委員会若しくは参議院の調査会(次項において「各議院等」という。)から特定人権侵害行為が行われている疑いがあると認められる事案に関する調査のため、内閣又は国の行政機関に対し、必要な報告又は記録(第五条の措置を講ずる必要性についての判断に係るものを含む。同項及び同条において同じ。)の提出を求めたときは、国会法(昭和二十二年法律第七十九号)の定めるところにより、その求めに応ずるものとする。

2 各議院等は、前項の求めをするに当たっては、報告又は記録を提出すべき期限を定めることができる。

 (議員の派遣に係る特別の配慮)

第四条 各議院は、特定人権侵害行為が行われている疑いがあると認められる事案に関する調査のため国会法の定めるところにより当該事案に係る外国に議員を派遣することについて、特別の配慮をするものとする。

   第三章 特定人権侵害行為への対処のための措置

 (政府による必要な措置の実施)

第五条 政府は、第三条第一項の求めに係る報告又は記録に係る情報その他これに関連する情報に基づき当該求めに係る特定人権侵害行為が行われていると認めるときは、当該特定人権侵害行為への対処に関する国際的動向等を総合的に勘案し、外国為替及び外国貿易法(昭和二十四年法律第二百二十八号)第十条第一項の規定による措置、出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第五条第三項又は第二十四条第二項の規定による措置、政府開発援助等の国際的な協力活動の適正性の確保のための措置その他の当該特定人権侵害行為に係る人権状況の改善に資するために必要な措置を講ずるものとする。

 (被害者の保護及び支援)

第六条 政府は、特定人権侵害行為により被害を受けた者を保護し、及び支援するため必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

 (国会への報告等)

第七条 政府は、前二条の措置を講じたときは、その内容を、速やかに、国会に報告するとともに、インターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。

 (国際的な連携の強化)

第八条 政府は、特定人権侵害行為に適切に対処するため、外国政府又は国際機関との情報の交換その他国際的な連携の強化に努めるものとする。

   第四章 外国為替及び外国貿易法及び出入国管理及び難民認定法の一部改正

 (外国為替及び外国貿易法の一部改正)

第九条 外国為替及び外国貿易法の一部を次のように改正する。

  目次及び第二章の章名中「維持」の下に「等」を加える。

  第十条第一項中「維持」の下に「又は特定人権侵害行為への対処に関する法律(令和四年法律第▼▼▼号)第二条に規定する特定人権侵害行為への対処」を、「いう」の下に「。以下この条及び第五十三条第二項において同じ」を加え、同条第三項を同条第四項とし、同条第二項中「前項」を「第一項」に改め、「同項の」を削り、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。

 2 前項の閣議決定においては、次に掲げる事項を定めなければならない。

  一 対応措置を講ずべき理由

  二 講ずべき対応措置の内容

  三 対応措置を講ずべき期間

  四 その他対応措置の実施に関し必要な事項

  第五十三条第二項中「第十条第一項に規定する」を削る。

 (出入国管理及び難民認定法の一部改正)

第十条 出入国管理及び難民認定法の一部を次のように改正する。

  第五条第一項第九号ロ及びハ中「第二十四条各号」を「第二十四条第一項各号」に改め、同項第十号中「第二十四条第四号オ」を「第二十四条第一項第四号オ」に改め、同条に次の二項を加える。

 3 前二項に定めるもののほか、法務大臣は、閣議の決定を経て特定人権侵害行為(特定人権侵害行為への対処に関する法律(令和四年法律第▼▼▼号)第二条に規定する特定人権侵害行為をいう。第二十四条第二項において同じ。)に関与する者として指定をする者の上陸を拒否することができる。

 4 法務大臣は、前項の指定をしたときは、その旨を公示しなければならない。

  第十九条の五第二項中「第二十四条第四号ロ」を「第二十四条第一項第四号ロ」に改める。

  第二十四条に次の二項を加える。

 2 前項に定めるもののほか、法務大臣は、閣議の決定を経て特定人権侵害行為に関与する者として指定をする者について、次章に規定する手続により、本邦からの退去を強制することができる。

 3 法務大臣は、前項の指定をしたときは、その旨を公示しなければならない。

  第二十四条の二中「前条第三号の二」を「前条第一項第三号の二」に改める。

  第二十四条の三中「第二十四条第二号の四」を「第二十四条第一項第二号の四」に改め、同条第二号中「第二十四条第三号」を「第二十四条第一項第三号」に改める。

  第二十七条、第三十一条第三項及び第三十九条第一項中「第二十四条各号の一に該当する」を「第二十四条第一項各号のいずれかに該当し、又は同条第二項の指定を受けている」に改める。

  第四十三条第一項中「第二十四条各号の一」を「第二十四条第一項各号のいずれか」に改め、「該当する者」の下に「又は同条第二項の指定を受けていることが明らかな者」を加え、「まつて」を「待つて」に、「虞」を「おそれ」に、「またず」を「待たず」に改める。

  第四十五条第一項中「第二十四条各号」を「第二十四条第一項各号」に改め、「いずれかに該当し」の下に「、又は同条第二項の指定を受け」を加える。

  第四十六条中「第二十四条第一号」を「第二十四条第一項第一号」に改める。

  第四十七条第一項、第四十八条第六項及び第四十九条第四項中「第二十四条各号」を「第二十四条第一項各号」に、「該当しない」を「該当せず、又は同条第二項の指定を受けていない」に改める。

  第五十九条第一項第二号中「第二十四条第五号」を「第二十四条第一項第五号」に改め、同項第三号中「第二十四条各号」を「第二十四条第一項各号」に改め、「該当して」の下に「、又は同条第二項の指定を受けて」を加える。

  第六十一条の二の二第一項第三号及び第六十一条の二の四第一項第五号中「第二十四条第三号」を「第二十四条第一項第三号」に改める。

  第六十一条の二の六第一項中「第二十四条各号」を「第二十四条第一項各号」に改め、「こと」の下に「又は同条第二項の指定を受けていたこと」を加え、同条第二項中「第二十四条各号」を「第二十四条第一項各号」に、「該当する」を「該当し、又は同条第二項の指定を受けている」に改める。

  第六十二条第一項中「第二十四条各号」を「第二十四条第一項各号」に、「該当する」を「該当し、又は同条第二項の指定を受けている」に改める。

  第七十四条の八第一項中「第二十四条第一号」を「第二十四条第一項第一号」に改める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して十日を経過した日から施行する。

 (労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律の一部改正)

第二条 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和四十一年法律第百三十二号)の一部を次のように改正する。

  第四条第三項中「第二十四条第三号の四イ」を「第二十四条第一項第三号の四イ」に改める。

 (日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部改正)

第三条 日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(平成三年法律第七十一号)の一部を次のように改正する。

  第二十二条第三項中「、第四十三条第一項、第四十七条第一項、第四十八条第六項、第四十九条第四項」を削り、「第二十四条各号」とあり」を「第二十四条第一項各号のいずれかに該当し、又は同条第二項の指定を受けている」とあるのは「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法第二十二条第一項各号のいずれかに該当する」と、入管法第四十三条第一項中「第二十四条第一項各号のいずれかに明らかに該当する者又は同条第二項の指定を受けていることが明らかな」とあるのは「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法第二十二条第一項各号のいずれかに明らかに該当する」と」に、「第二十四条各号の」を「第二十四条第一項各号の」に改め、「いずれかに該当し」の下に「、又は同条第二項の指定を受け」を、「いう」の下に「。以下同じ」を加え、「あるのは、」を「あるのは」に、「第二十二条第一項各号」」を「第二十二条第一項各号のいずれか」と、入管法第四十七条第一項、第四十八条第六項及び第四十九条第四項中「第二十四条第一項各号のいずれにも該当せず、又は同条第二項の指定を受けていない」とあるのは「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法第二十二条第一項各号のいずれにも該当しない」」に改める。

 (武力攻撃事態及び存立危機事態における捕虜等の取扱いに関する法律の一部改正)

第四条 武力攻撃事態及び存立危機事態における捕虜等の取扱いに関する法律(平成十六年法律第百十七号)の一部を次のように改正する。

  第百七十八条第一項中「第二十四条各号」を「第二十四条第一項各号」に、「該当する」を「該当し、又は同条第二項の指定を受けている」に改める。


     理 由

 諸外国の人権状況が国際社会全体の正当な関心事であり、かつ、国際平和の基礎である人権を擁護することが全ての国の重要な責務であることに鑑み、特定人権侵害行為への対処に関し必要な事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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