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第二〇八回

閣第二二号

   情報通信技術を利用する方法による国の歳入等の納付に関する法律案

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 情報通信技術を利用して自ら納付する方法による納付(第三条)

 第三章 情報通信技術を利用して指定納付受託者に委託して納付する方法による納付(第四条−第七条)

 第四章 指定納付受託者(第八条−第十一条)

 第五章 雑則(第十二条−第十五条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、情報通信技術を利用する方法による国の歳入(歳入歳出外現金を含み、各省各庁の事務に係るものに限る。以下「歳入等」という。)の納付(納付の委託を含む。以下この条において同じ。)を行うために必要となる事項を定めることにより、国の歳入等の納付の方法について定めた他の法令の規定にかかわらず、情報通信技術を利用する方法による国の歳入等の納付を可能とし、もって当該納付に係る関係者の利便性の向上を図ることを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「法令」とは、法律、法律に基づく命令及び最高裁判所規則をいう。

2 この法律において「各省各庁」とは、裁判所、会計検査院、内閣(内閣府及びデジタル庁を除く。)、内閣府、デジタル庁及び各省をいう。

   第二章 情報通信技術を利用して自ら納付する方法による納付

第三条 各省各庁は、歳入等の納付のうち、当該歳入等の納付に関する他の法令の規定において収入印紙をもってすることその他の当該歳入等の納付の方法が規定されているもので主務省令(裁判所の事務に係る歳入等にあっては、最高裁判所規則。以下この章から第四章までにおいて同じ。)で定めるものについては、当該法令の規定にかかわらず、当該歳入等を納付しようとする者が自ら納付する方法であって、電子情報処理組織を使用するものその他の情報通信技術を利用するもので主務省令で定めるものにより当該歳入等の納付を行わせることができる。

2 前項の規定は、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)第六条第五項に規定する場合については、適用しない。

   第三章 情報通信技術を利用して指定納付受託者に委託して納付する方法による納付

 (指定納付受託者に委託して納付する方法による納付の実施)

第四条 各省各庁は、歳入等の納付で主務省令で定めるものについては、次条の規定により指定納付受託者(第八条第一項に規定する指定納付受託者をいう。以下この章において同じ。)に当該歳入等の納付を委託して納付する方法により当該歳入等の納付を行わせることができる。この場合において、当該歳入等の納付に関する他の法令の規定において収入印紙をもってすることその他の当該歳入等の納付の方法が規定されているものについては、当該他の法令の規定は、適用しない。

 (指定納付受託者に対する納付の委託)

第五条 各省各庁が前条前段に規定する方法により歳入等の納付を行わせる場合において、当該方法により歳入等を納付しようとする者は、次の各号のいずれかに該当する方法により、当該歳入等の納付を指定納付受託者に委託しなければならない。

 一 電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信技術を利用する方法により次に掲げる事項を指定納付受託者に通知する方法(当該歳入等の徴収又は収納を行う各省各庁を通じて通知する方法を含む。)

  イ 当該納付に係る歳入等を特定するものとして主務省令で定める事項

  ロ 当該納付をしようとする者に付与された番号、記号その他の符号その他の指定納付受託者が当該歳入等の納付の委託を受けるために必要な事項であって主務省令で定めるもの

  ハ その他主務省令で定める事項

 二 歳入等の納付に係る書面(前号イに掲げる事項及びバーコードその他の情報通信技術を利用するための符号が記載されたものに限る。)で主務省令で定めるものを指定納付受託者に提示する方法

 (指定納付受託者による歳入等の納付)

第六条 指定納付受託者は、前条の規定により歳入等を納付しようとする者の委託(以下この条において「委託」という。)を受けたときは、主務省令で定めるところにより、その旨を当該歳入等を納付しようとする者に通知しなければならない。

2 指定納付受託者は、前条の規定により委託を受けたときは、当該歳入等の徴収又は収納を行う各省各庁の長(当該各省各庁が裁判所である場合にあっては、最高裁判所長官。以下同じ。)の定める期間ごとに、遅滞なく、次に掲げる事項を当該各省各庁の長に報告しなければならない。

 一 報告の対象となった期間並びに当該期間において前条の規定により委託を受けた件数及び歳入等の金額の合計額

 二 前号に規定する期間において受けた委託に係る次に掲げる事項

  イ 前条第一号イに掲げる事項

  ロ 当該委託を受けた年月日

 三 その他主務省令で定める事項

3 指定納付受託者は、前条の規定により委託を受けたときは、当該歳入等の額に相当する金銭を受領したかどうかにかかわらず、主務省令で定める日までに当該委託を受けた歳入等を納付しなければならない。

4 前項の場合において、当該指定納付受託者が同項の主務省令で定める日までに当該歳入等を納付したときは、当該委託を受けた日に当該歳入等の納付がされたものとみなす。ただし、当該歳入等に係る延滞金その他の歳入等の納付の遅滞に係る徴収金に関する他の法令の規定の適用については、指定納付受託者が同項の主務省令で定める日までに当該歳入等を納付したかどうかにかかわらず、当該委託を受けた日に当該歳入等の納付がされたものとみなす。

 (指定納付受託者からの歳入等の徴収等)

第七条 指定納付受託者が前条第三項に規定する歳入等を同項の主務省令で定める日までに納付しないときは、各省各庁の長は、国税の保証人に関する徴収の例によりその歳入等を当該指定納付受託者から徴収するものとする。

2 各省各庁の長は、前条第三項の規定により指定納付受託者が納付すべき歳入等については、当該指定納付受託者に対して前項の規定により国税の保証人に関する徴収の例による滞納処分をしてもなお徴収すべき残余がある場合でなければ、その残余の額について当該歳入等に係る第五条の規定による委託をした者から徴収することができない。

   第四章 指定納付受託者

 (指定納付受託者の指定等)

第八条 各省各庁の長は、歳入等を納付しようとする者の委託を受けて国に当該歳入等を納付する事務(第五項、次条及び第十一条第一項第三号において「納付事務」という。)を適切かつ確実に実施することができる者として政令で定める者を、その申請により、主務省令で定めるところにより、指定納付受託者として指定することができる。

2 各省各庁の長は、前項の規定による指定をしたときは、直ちに、指定納付受託者の名称、住所又は事務所の所在地、納付を委託することができる歳入等の種類その他主務省令で定める事項を公示しなければならない。

3 指定納付受託者は、その名称、住所又は事務所の所在地を変更するときは、主務省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を各省各庁の長に届け出なければならない。

4 各省各庁の長は、前項の規定による届出があったときは、速やかに、当該届出に係る事項を公示しなければならない。

5 指定納付受託者は、納付事務の一部を、納付事務を適切かつ確実に実施することができる者として政令で定める者に委託することができる。

 (指定納付受託者の帳簿保存等の義務)

第九条 指定納付受託者は、主務省令で定めるところにより、帳簿を備え付け、これに納付事務に関する事項を記載し、及びこれを保存しなければならない。

 (報告の徴収等)

第十条 各省各庁の長は、第六条から前条までの規定を施行するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、主務省令で定めるところにより、指定納付受託者に対し、報告をさせることができる。

2 各省各庁の長は、第六条から前条までの規定を施行するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、その職員に、指定納付受託者の事務所に立ち入り、指定納付受託者の帳簿書類(その作成又は保存に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)の作成又は保存がされている場合における当該電磁的記録を含む。)その他必要な物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。

3 前項の規定により立入検査を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

4 第二項に規定する権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

 (指定納付受託者の指定の取消し)

第十一条 各省各庁の長は、指定納付受託者が次の各号のいずれかに該当するときは、主務省令で定めるところにより、第八条第一項の規定による指定を取り消すことができる。

 一 第六条第二項又は前条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

 二 第八条第一項に規定する政令で定める者に該当しなくなったとき。

 三 第八条第五項の政令で定める者以外の者に納付事務を委託したとき。

 四 第九条の規定に違反して、帳簿を備え付けず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかったとき。

 五 前条第二項の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。

2 各省各庁の長は、前項の規定により指定を取り消したときは、直ちに、その旨を公示しなければならない。

   第五章 雑則

 (情報通信技術を利用する方法により納付を行うことができる歳入等の公表)

第十二条 各省各庁は、第三条第一項に規定する情報通信技術を利用して自ら納付する方法及び第四条前段に規定する指定納付受託者に納付を委託して納付する方法により納付を行うことができる当該各省各庁の事務に係る歳入等を、インターネットの利用その他の方法により公表するものとする。

 (権限又は事務の委任)

第十三条 前二章に規定する各省各庁の長の権限又は事務は、政令で定めるところにより、当該各省各庁の機関に委任することができる。

 (主務省令)

第十四条 この法律における主務省令は、歳入等の納付に関する他の法令(会計検査院規則、人事院規則、公正取引委員会規則、国家公安委員会規則、個人情報保護委員会規則、カジノ管理委員会規則、公害等調整委員会規則、公安審査委員会規則、中央労働委員会規則、運輸安全委員会規則及び原子力規制委員会規則を除く。)を所管する内閣官房、内閣府、デジタル庁又は各省の内閣官房令、内閣府令、デジタル庁令又は省令とする。ただし、会計検査院、人事院、公正取引委員会、国家公安委員会、個人情報保護委員会、カジノ管理委員会、公害等調整委員会、公安審査委員会、中央労働委員会、運輸安全委員会又は原子力規制委員会の所管に係る歳入等の納付については、それぞれ会計検査院規則、人事院規則、公正取引委員会規則、国家公安委員会規則、個人情報保護委員会規則、カジノ管理委員会規則、公害等調整委員会規則、公安審査委員会規則、中央労働委員会規則、運輸安全委員会規則又は原子力規制委員会規則とする。

 (政令への委任)

第十五条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のために必要な事項は、政令で定める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次条から附則第四条までの規定は、令和五年四月一日から施行する。

 (電波法の一部改正)

第二条 電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。

  第三十八条の十一第一項中「及び第百三条の二第三十七項」を削る。

  第百三条の二中第二十五項から第四十一項までを削り、第四十二項を第二十五項とし、第四十三項を第二十六項とし、同条第四十四項中「第四十二項」を「第二十五項」に改め、同項を同条第二十七項とし、同条第四十五項を同条第二十八項とする。

 (電波法の一部改正に伴う経過措置)

第三条 附則第一条ただし書に規定する規定の施行の際現に前条の規定による改正前の電波法第百三条の二第二十七項の規定による指定を受けている者に委託して納付することとしている電波利用料(電波法第百三条の二第四項に規定する電波利用料をいう。)の納付については、なお従前の例による。

 (特定機器に係る適合性評価手続の結果の外国との相互承認の実施に関する法律の一部改正)

第四条 特定機器に係る適合性評価手続の結果の外国との相互承認の実施に関する法律(平成十三年法律第百十一号)の一部を次のように改正する。

  第三十四条中「第四十五項」を「第二十八項」に改める。

 (特別会計に関する法律の一部改正)

第五条 特別会計に関する法律(平成十九年法律第二十三号)の一部を次のように改正する。

  第二百十三条第二項第一号ロ中「同条第五項ただし書及び」を「同条第五項ただし書、」に、「の規定による手数料」を「並びに情報通信技術を利用する方法による国の歳入等の納付に関する法律(令和四年法律第▼▼▼号)第三条第一項及び第四条の規定によるもの」に改める。

 (復興庁設置法の一部改正)

第六条 復興庁設置法(平成二十三年法律第百二十五号)の一部を次のように改正する。

  附則第三条第一項の表に次のように加える。

情報通信技術を利用する方法による国の歳入等の納付に関する法律(令和四年法律第▼▼▼号)

第二条第二項

及びデジタル庁

、デジタル庁及び復興庁

 

 

及び各省

、復興庁及び各省

 

第十四条

又は各省

、復興庁又は各省

 

 

又は省令

、復興庁令又は省令


     理 由

 国の歳入等の納付に係る関係者の利便性の向上を図るため、国の歳入等の納付の方法について定めた他の法令の規定にかかわらず、情報通信技術を利用して自ら納付する方法及び情報通信技術を利用して指定納付受託者に委託して納付する方法による国の歳入等の納付を可能とするために必要な事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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