衆議院

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第二一〇回

衆第三号

   通園バスの車内における幼児等の置き去りによる事故の防止その他の認定こども園等における幼児等の安全の確保のための措置等に関する法律案

 (目的)

第一条 この法律は、通園バスの車内における幼児等の置き去りによる事故が相次いで発生している状況に鑑み、当該置き去りによる事故を防止するため通園バスへの置き去り防止装置の設置の義務付け及び当該設置に要する費用の補助について定めるとともに、通園バスを利用する幼児等の安全の確保に関する指針の策定等並びに認定こども園等の職員の充実及びその処遇の改善のための措置等について定めることにより、認定こども園等における幼児等の安全の確保等を図ることを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「認定こども園等」とは、認定こども園、幼稚園、保育所、特別支援学校、障害児通所支援事業(児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第六条の二の二第一項に規定する障害児通所支援事業をいう。次条第一項において同じ。)を行う施設その他これらに類する施設で幼児又は障害児(以下「幼児等」という。)を通わせるものをいう。

2 この法律において「通園バス」とは、認定こども園等に通う幼児等を運送するために当該認定こども園等において使用される一定の乗車定員以上の自動車をいい、「通学バス」とは、小学校(義務教育学校の前期課程を含む。以下この項及び第七条において同じ。)に通う児童を運送するために当該小学校において使用される一定の乗車定員以上の自動車をいう。

3 この法律において「置き去り防止装置」とは、通園バス又は通学バスに乗車した全ての幼児等又は児童が当該通園バス又は当該通学バスに置き去りにされていないことの確実な確認を担保するために必要な機能を有する装置をいう。

 (通園バスへの置き去り防止装置の設置の義務付け及び費用の補助等)

第三条 政府は、全ての通園バスに置き去り防止装置が設置されるよう、速やかに、認定こども園等の設置者(障害児通所支援事業を行う施設その他これに類する施設で幼児等を通わせるものにあっては、これらの施設に係る事業を行う者。以下この条及び次条第一項において同じ。)に対して通園バスへの置き去り防止装置の設置(認定こども園等の設置者以外の者が置き去り防止装置を設置した通園バスの使用を含む。次項及び第三項において同じ。)を義務付けるために必要な措置を講ずるものとする。

2 政府は、前項の措置に係る通園バスへの置き去り防止装置の設置が円滑に実施されるよう、認定こども園等の設置者に対し、当該設置に通常要する費用(その維持管理に通常要する費用を含む。)の全部を補助するものとする。

3 政府は、第一項の措置に係る通園バスへの置き去り防止装置の設置が円滑に実施されるよう、置き去り防止装置の円滑な供給を確保し、及びそのための研究開発を促進するために必要な措置を講ずるものとする。

 (通園バスを利用する幼児等の安全の確保に関する指針の策定等)

第四条 政府は、前条に定めるもののほか、通園バスの車内における幼児等の置き去りによる事故の防止その他の通園バスを利用する幼児等の安全の確保のため、次に掲げる措置その他の認定こども園等における通園バスの使用に関し必要な措置を講ずるものとする。

 一 次に掲げる事項その他の通園バスを利用する幼児等の安全の確保に関する事項に係る認定こども園等の設置者が遵守すべき指針を策定すること。

  イ 通園バスの外からの当該通園バス内の視認性を確保するために必要な事項その他通園バスの車内における幼児等の置き去りによる事故の防止に関する事項

  ロ イに掲げるもののほか、通園バスの使用に係る業務管理体制の整備充実に関する事項

 二 通園バスを利用する幼児等の安全の確保に関連する法令及び前号の指針の遵守の状況を調査するために地方公共団体が行う検査その他の措置(次条第二号において「検査等」という。)について、その適正かつ効果的な実施を確保するため、地方公共団体に対する助言その他の援助を行うこと。

 三 通園バスの車内における幼児等の置き去りによる事故の防止その他の通園バスを利用する幼児等の安全の確保に関し、認定こども園等の設置者が実施する職員その他の関係者に対する研修、幼児等に対する安全教育その他各種の取組を推進すること。

2 政府は、認定こども園等に通う幼児等の通園の状況を把握することが通園バスの車内における幼児等の置き去りによる事故の防止その他の認定こども園等における幼児等の安全の確保に資することに鑑み、その幼児等の通園の状況その他の状況を的確に把握するための情報通信機器の研究開発及び普及の促進を図るために必要な措置を講ずるものとする。

 (通園バスを利用する幼児等の安全の確保に資する情報の活用)

第五条 政府は、通園バスを利用する幼児等の安全の確保に資する情報が適切に活用されるよう、次に掲げる措置を講ずるものとする。

 一 通園バスの車内における幼児等の置き去りによる事故その他通園バスの使用に伴い生じた事故又はこれらの事故の兆候に関する情報、これらの事故の防止のための取組に関する情報その他通園バスを利用する幼児等の安全の確保に資する情報の収集、整理、分析及び提供を行うこと。

 二 地方公共団体が検査等により収集した情報が分かりやすい形で公表されるよう、地方公共団体に対する助言その他の援助を行うこと。

 (認定こども園等の職員の充実及びその処遇の改善)

第六条 政府は、認定こども園等における幼児等の安全の確保を図るため、認定こども園等における職員の配置に係る基準の改善その他の認定こども園等の職員の充実及びその処遇の改善のために必要な法制上及び財政上の措置を講ずるものとする。

 (通学バスへの置き去り防止装置の設置の奨励及び費用の補助)

第七条 政府は、通学バスの車内における児童の置き去りによる事故を防止するため、小学校の設置者に対し、通学バスを利用する児童の状況等に応じて、通学バスへの置き去り防止装置の設置(小学校の設置者以外の者が置き去り防止装置を設置した通学バスの使用を含む。次項において同じ。)を奨励するものとする。

2 政府は、通学バスへの置き去り防止装置の設置を行う小学校の設置者に対し、当該設置に通常要する費用(その維持管理に通常要する費用を含む。)の全部を補助するものとする。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から施行する。

 (置き去り防止装置の研究開発及び普及の促進)

2 政府は、第三条第一項の措置を講じた後においても、置き去り防止装置の一層の改善を図るための研究開発及びその普及を促進するため、必要な措置を講ずるものとする。

 (検討)

3 政府は、この法律の施行後一年を目途として、この法律の施行の状況等について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。


     理 由

 通園バスの車内における幼児等の置き去りによる事故が相次いで発生している状況に鑑み、当該置き去りによる事故を防止するため通園バスへの置き去り防止装置の設置の義務付け及び当該設置に要する費用の補助について定めるとともに、通園バスを利用する幼児等の安全の確保に関する指針の策定等並びに認定こども園等の職員の充実及びその処遇の改善のための措置等について定めることにより、認定こども園等における幼児等の安全の確保等を図る必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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