第二一〇回
衆第一四号
性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律の一部を改正する法律案
性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律(令和四年法律第七十八号)の一部を次のように改正する。
目次中「第四節 差止請求権(第十五条)」を
「 |
第四節 差止請求権(第十五条) |
|
|
第五節 特定出演契約に関する特例(第十五条の二−第十五条の四) |
」 |
に改める。
第二条に次の一項を加える。
9 この法律において「特定出演契約」とは、その全ての当事者間において信頼関係が構築されているものとして、次に掲げる要件のいずれにも該当する場合に締結する出演契約をいう。
一 その当事者と同一の当事者間で締結された出演契約(性行為映像制作物を編集して制作される性行為映像制作物に係る出演契約を除く。)で、これに基づく性行為映像制作物の公表が既に行われているもの(次号において「公表済出演契約」という。)があること。
二 直近の公表済出演契約の締結の日からその締結しようとする出演契約の締結の日までの間においてその同一の当事者間で締結された出演契約(当該直近の公表済出演契約を含む。附則第三条の二において「対象出演契約」という。)が、いずれも無効とされ、取り消され、又は解除されていないこと。
第十三条第一項中「この条」の下に「及び附則第四条第二項」を加える。
第二章に次の一節を加える。
第五節 特定出演契約に関する特例
(締結等に関する規定の適用除外及び出演契約書等の記載又は記録事項の特例)
第十五条の二 特定出演契約(その締結の日から一年以内に撮影が行われる性行為映像制作物に係る特定出演契約に限る。)については、第四条第一項及び第十条第一項の規定は、適用しない。この場合における第四条第三項及び第十三条第一項の規定の適用については、第四条第三項第二号中「予定する日時及び場所」とあるのは「行うことが見込まれる期間(当該出演契約の締結の日から一年以内の期間に限る。)及び場所」と、同項第三号中「なる」とあるのは「なることが見込まれる」と、同項第四号中「相手方」とあるのは「相手方となることが見込まれる者」と、第十三条第一項ただし書中「行われた日」とあるのは「行われた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)」とする。
2 前項の規定は、既に公表が行われている二以上の性行為映像制作物を編集して制作される性行為映像制作物に係る特定出演契約については、適用しない。
(性行為映像制作物の撮影及び公表の時期を制限する規定の適用除外)
第十五条の三 特定出演契約に基づく出演者の性行為映像制作物への出演に係る撮影については、第七条第一項の規定は、適用しない。この場合における第七条第四項の規定の適用については、同項中「前三項」とあるのは、「前二項」とする。
2 特定出演契約に基づく性行為映像制作物の公表については、第九条の規定は、適用しない。
(出演者の書面又は電磁的記録による承諾)
第十五条の四 第十五条の二第一項及び前条の規定は、制作公表者がその特定出演契約を締結するまでに、当該規定の適用を受けることについて出演者の書面又は電磁的記録による承諾を得た場合に限り、適用する。
附則第三条第三項中「前二項」を「前各項」に改め、「第二項」の下に「(同条第三項から第五項までの規定により読み替えられた場合を含む。)」を加え、同項を同条第六項とし、同条第二項の次に次の三項を加える。
3 第十五条の三第一項の規定の適用がある場合における特定出演契約に係る前項の規定の適用については、同項中「四年六月」とあるのは、「四年五月」とする。
4 第十五条の三第二項の規定の適用がある場合における特定出演契約に係る第二項の規定の適用については、同項中「四年六月」とあるのは、「四年二月」とする。
5 第十五条の三第一項の規定の適用があり、かつ、同条第二項の規定の適用がある場合における特定出演契約に係る第二項の規定の適用については、前二項の規定にかかわらず、第二項中「四年六月」とあるのは、「四年一月」とする。
附則第三条の次に次の一条を加える。
第三条の二 第二条第九項第一号の出演契約には、この法律の施行前に締結され、その締結の日から五月を経過した出演契約を含むものとし、対象出演契約には、この法律の施行前に締結された出演契約を含むものとする。
附則第四条第二項中「及び無効」を「、無効」に改め、「範囲」の下に「及び出演契約の任意解除等に係る制度の在り方」を加える。
附 則
この法律は、公布の日の翌日から施行する。
理 由
性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律の施行を通じて明らかになった課題等に対応するため、その全ての当事者間において信頼関係が構築されているものとして一定の要件に該当する場合に締結する出演契約について、出演契約は性行為映像制作物ごとに締結しなければならないとする規定並びに性行為映像制作物の撮影及び公表の時期を制限する規定の適用を除外することができることとする等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。