衆議院

メインへスキップ



第二一〇回

参第六号

   規制の新設等に際し規制の総量の削減の実施を確保する制度の導入に関する法律案

 (趣旨)

第一条 この法律は、規制改革として様々な取組が行われてきているものの、規制の総量の削減が進んでおらず、他方で、規制の新設又は強化(以下「規制の新設等」という。)が行われていることにより、事業者等による自由な経済活動が妨げられている状況にあることに鑑み、これを解消するため、規制の新設等に際し規制の総量の削減の実施を確保する制度(以下「規制削減制度」という。)の導入について、その基本的な理念及び方針、国の責務その他の基本となる事項を定めるものとする。

 (基本理念)

第二条 規制削減制度は、次に掲げるところによるものとし、並びに事業者等による経済活動の活性化を図るとともに行政運営の簡素化及び効率化に資することを旨として、導入されなければならない。

 一 対象とする規制については、法律又はこれに基づく命令により規定された規制を基本としつつ、できる限り幅広いものとなるようにすること。

 二 規制の新設等に際して、規制の個数が削減されるとともに、規制に関する費用が抑制されなければならないこととすることにより、規制の総量を削減すること。

2 規制削減制度においては、規制を所掌する国の行政機関のそれぞれがその規制の削減に主体的に取り組むとともに、その取組の状況が客観的に検証されるようにしなければならない。

 (国の責務)

第三条 国は、前条に定める基本理念にのっとり、規制削減制度の導入に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。

 (法制上の措置等)

第四条 政府は、次条から第七条までに定める基本方針に基づき、規制削減制度の導入に関する施策を実施するため必要な法制上の措置その他の措置を講じなければならない。この場合において、必要となる法制上の措置については、この法律の施行後一年以内に講ずるものとする。

 (各行政機関の取組)

第五条 国の行政機関が規制の新設等のための措置をとるときは、当該規制の新設等により増加する規制の個数と比較してその二倍以上規制の個数を減少させることとなるよう、規制の廃止又は緩和(以下「規制の廃止等」という。)のための措置がとられなければならず、かつ、規制に関する費用について、当該規制の新設等により増加する費用がこれに伴う規制の廃止等により減少する費用と比較してこれを上回らないようにしなければならないものとする。この場合において、規制の個数及び規制に関する費用の比較は、次に掲げるところによるものとする。

 一 内閣府及び各省を基本として法律で定める行政機関の単位ごとに、その任務又は所掌事務の範囲内で行うものとすること。

 二 一年間に行われ、又は行われる見込みである規制の新設等と規制の廃止等について行うものとすること。この場合において、減少する規制の個数が増加する規制の個数の二倍を超えるときにおけるその超える分に相当する個数及び増加する費用が減少する費用を下回るときにおけるその差に相当する費用については、その翌年に限り、それぞれ減少する規制の個数又は費用に算入することができるものとすること。

 三 当該比較における規制に関する費用の算定は、基本的に、規制を受ける事業者及び国民が規制を遵守するために負担する費用並びに規制の実施主体において発生する費用について行うものとすること。

2 国の行政機関は、規制の性質上やむを得ないものとして法律で定める場合に該当するときは、前項の規制の廃止等のための措置をとらずに、規制の新設等のための措置をとることができるものとする。この場合においては、あらかじめ、学識経験を有する者で構成される合議制の機関であって法律で定めるもの(以下「合議制の機関」という。)の意見を聴かなければならないものとする。

3 合議制の機関は、規制に該当するかどうかの判断の基準、規制の個数及び規制に関する費用の算定方法その他の前二項に定める各行政機関の取組に関し必要な事項の詳細について、指針を策定するものとする。

 (合議制の機関による調査、勧告等)

第六条 合議制の機関は、前条第一項及び第二項に定める各行政機関の取組の状況を調査するとともに、必要に応じ、各行政機関に対する当該調査を踏まえた意見の表明、規制の廃止等の勧告等を行うものとする。

2 前項の勧告に係る事項については、特に必要がある場合には、内閣法(昭和二十二年法律第五号)第六条の規定による措置がとられることとなるようにするものとする。

 (国会報告等及び見直し)

第七条 前二条に定めるもののほか、規制削減制度については、次に掲げる措置が講ぜられるものとする。

 一 毎年、前年の規制削減制度の実施の状況についての国会への報告及び公表が行われること。

 二 三年ごとに、規制削減制度の見直しが行われること。

   附 則

 この法律は、公布の日から施行する。


     理 由

 規制改革として様々な取組が行われてきているものの、規制の総量の削減が進んでおらず、他方で、規制の新設等が行われていることにより、事業者等による自由な経済活動が妨げられている状況にあることに鑑み、これを解消するため、規制の新設等に際し規制の総量の削減の実施を確保する制度の導入について、その基本的な理念及び方針、国の責務その他の基本となる事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.