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第二一一回

閣第一号

   我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案

目次

 第一章 総則(第一条)

 第二章 財政投融資特別会計財政融資資金勘定及び外国為替資金特別会計からの一般会計への繰入れ(第二条・第三条)

 第三章 独立行政法人国立病院機構及び独立行政法人地域医療機能推進機構の国庫納付金の納付の特例(第四条・第五条)

 第四章 防衛力強化資金(第六条−第十三条)

 第五章 防衛力強化税外収入の使途(第十四条)

 附則

   第一章 総則

 (趣旨等)

第一条 この法律は、令和五年度以降における我が国の防衛力の抜本的な強化及び抜本的に強化された防衛力の安定的な維持に必要な財源を確保するための特別措置として、財政投融資特別会計財政融資資金勘定からの一般会計への繰入れの特例に関する措置及び外国為替資金特別会計からの一般会計への繰入れの特別措置並びに独立行政法人国立病院機構及び独立行政法人地域医療機能推進機構の国庫納付金の納付の特例に関する措置を講ずるとともに、防衛力強化資金の設置等について定めるものとする。

2 政府は、令和五年度以降の各年度の予算に計上される防衛力整備計画対象経費の額が令和四年度の当初予算に計上された防衛力整備計画対象経費の額を上回る場合における当該上回る額に係る費用の財源に充てるため、第十四条第一項に定める財政投融資特別会計財政融資資金勘定及び外国為替資金特別会計からの一般会計への繰入金並びに独立行政法人国立病院機構及び独立行政法人地域医療機能推進機構の国庫納付金並びに同条第二項に定める国有財産の処分による収入その他の租税収入以外の収入(第八条第二項において「防衛力強化税外収入」という。)並びに第十一条の規定による防衛力強化資金からの受入金を確保するものとする。

3 前項に規定する防衛力整備計画対象経費とは、自衛隊の管理及び運営並びにこれに関する事務並びに条約に基づく外国軍隊の駐留及び日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定の規定に基づくアメリカ合衆国政府の責務の本邦における遂行に伴う事務に関するものとして各年度の一般会計予算(防衛省の所管に係るものに限る。)に計上される経費(防衛省が行う情報システムの整備及び管理に関する事業に必要な経費のうちデジタル庁設置法(令和三年法律第三十六号)第四条第二項第十八号イの規定により確保され、デジタル庁の所管に係る予算に一括して計上される経費を含む。)であって、次に掲げる経費を除いたものをいう。

 一 日米安全保障協議委員会(日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(以下この号において「日米安保条約」という。)に基づき、日本国政府とアメリカ合衆国政府の間の相互理解を促進することに役立つとともに安全保障の分野における両国間の協力関係の強化に貢献するような問題であって安全保障問題の基盤をなすもののうち、安全保障問題に関するものを検討するために設置された特別の委員会をいう。以下この項において「協議委員会」という。)の下に設置された沖縄県に所在する駐留軍(日米安保条約に基づき日本国にあるアメリカ合衆国の軍隊をいう。以下この項において同じ。)の施設及び区域に関連する諸問題を検討するための特別行動委員会において取りまとめられ、協議委員会において承認された沖縄県における駐留軍の施設及び区域の整理、統合及び縮小並びに沖縄県における駐留軍の運用の方法の調整方策に係る計画及び措置を実施するために必要な経費

 二 平成十八年五月一日にワシントンで開催された協議委員会において承認された駐留軍又は自衛隊の部隊又は機関の編成、配置又は運用の態様の変更(当該変更が航空機(回転翼航空機を除く。)を保有する部隊の編成又は配置の変更である場合にあっては、当該航空機を搭載し、当該部隊と一体として行動する艦船の部隊の編成又は配置の変更を含む。)に関して政府が講ずる措置を実施するために必要な経費

 三 自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第百条の五第二項に規定する国賓等の輸送の用に主として供するための航空機の取得に要する経費

   第二章 財政投融資特別会計財政融資資金勘定及び外国為替資金特別会計からの一般会計への繰入れ

 (財政投融資特別会計財政融資資金勘定からの一般会計への繰入れ)

第二条 政府は、令和五年度において、特別会計に関する法律(平成十九年法律第二十三号)第五十八条第三項の規定にかかわらず、財政投融資特別会計財政融資資金勘定から、二千億円を限り、一般会計の歳入に繰り入れることができる。

2 前項の規定による繰入金は、財政投融資特別会計財政融資資金勘定の歳出とし、当該繰入金に相当する金額を特別会計に関する法律第五十八条第一項の積立金から同勘定の歳入に繰り入れるものとする。

3 前項に規定する繰入金に相当する金額は、特別会計に関する法律第五十六条第一項の繰越利益の額から減額して整理するものとする。

 (外国為替資金特別会計からの一般会計への繰入れ)

第三条 政府は、令和五年度において、特別会計に関する法律第八条第二項の規定による外国為替資金特別会計からの一般会計の歳入への繰入れをするほか、同特別会計から、一兆二千四億三千三百四万三千円を限り、一般会計の歳入に繰り入れることができる。

2 前項の規定による繰入金は、外国為替資金特別会計の歳出とする。

   第三章 独立行政法人国立病院機構及び独立行政法人地域医療機能推進機構の国庫納付金の納付の特例

 (独立行政法人国立病院機構の国庫納付金の納付の特例)

第四条 独立行政法人国立病院機構は、令和五事業年度については、独立行政法人国立病院機構法(平成十四年法律第百九十一号)第十七条第二項の規定にかかわらず、独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号。以下この章において「通則法」という。)第四十四条第一項又は第二項の規定によりこの法律の施行の日を含む中期目標の期間(通則法第二十九条第二項第一号に規定する中期目標の期間をいう。次条第一項において同じ。)における積立金として整理された金額のうち四百二十二億円(次項において「国立病院機構の特別国庫納付金額」という。)を令和六年三月三十一日までに国庫に納付しなければならない。

2 国立病院機構の特別国庫納付金額は、通則法第四十四条第一項の規定による積立金の額から減額して整理するものとする。

 (独立行政法人地域医療機能推進機構の国庫納付金の納付の特例)

第五条 独立行政法人地域医療機能推進機構は、令和五事業年度については、独立行政法人地域医療機能推進機構法(平成十七年法律第七十一号)第十六条第二項の規定にかかわらず、通則法第四十四条第一項又は第二項の規定によりこの法律の施行の日を含む中期目標の期間における積立金として整理された金額のうち三百二十四億円(次項において「地域医療機能推進機構の特別国庫納付金額」という。)を令和六年三月三十一日までに国庫に納付しなければならない。

2 地域医療機能推進機構の特別国庫納付金額は、通則法第四十四条第一項の規定による積立金の額から減額して整理するものとする。

   第四章 防衛力強化資金

 (資金の設置)

第六条 防衛力の抜本的な強化及び抜本的に強化された防衛力の安定的な維持のために確保する財源を防衛力の整備に計画的かつ安定的に充てることを目的として、当分の間、防衛力強化資金(以下「資金」という。)を設置する。

 (資金の所属及び管理)

第七条 資金は、一般会計の所属とし、財務大臣が、法令の定めるところに従い、管理する。

 (資金への繰入れ)

第八条 政府は、予算の定めるところにより、一般会計から資金に繰入れをすることができる。

2 前項の規定による繰入金の財源については、防衛力強化税外収入をもって充てる。

 (資金に充てる財源)

第九条 資金は、前条第一項の規定による繰入金及び次条第一項の規定により預託した場合に生ずる利子をもって充てる。

 (資金の預託)

第十条 資金に属する現金は、財政融資資金に預託することができる。

2 前項の規定により預託した場合に生ずる利子は、資金に編入するものとする。

 (資金の使用)

第十一条 資金は、防衛力整備計画対象経費(第一条第三項に規定する防衛力整備計画対象経費をいう。第十四条において同じ。)の財源に充てる場合に限り、予算の定めるところにより、使用することができる。

 (資金の経理)

第十二条 資金の受払いは、歳入歳出外とし、その経理に関する手続は、財務省令で定める。

 (資金の増減に関する計画表及び実績表)

第十三条 財務大臣は、毎会計年度、政令で定めるところにより、資金の増減に関する計画表(次項において「計画表」という。)及び資金の増減に関する実績表(以下この条において「実績表」という。)を作成しなければならない。

2 内閣は、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第二十七条の規定に基づき毎会計年度の予算を国会に提出する場合においては、前々年度の実績表並びに前年度及び当該年度の計画表を添付しなければならない。

3 内閣は、財政法第三十九条の規定に基づき毎会計年度の歳入歳出決算を会計検査院に送付する場合においては、当該年度の実績表を添付しなければならない。

4 内閣は、財政法第四十条第一項の規定に基づき毎会計年度の歳入歳出決算を国会に提出する場合においては、当該年度の実績表を添付しなければならない。

   第五章 防衛力強化税外収入の使途

第十四条 令和五年度における第二条の規定による財政投融資特別会計財政融資資金勘定からの一般会計への繰入金及び第三条の規定による外国為替資金特別会計からの一般会計への繰入金並びに第四条の規定による独立行政法人国立病院機構の国庫納付金及び第五条の規定による独立行政法人地域医療機能推進機構の国庫納付金は、防衛力整備計画対象経費の財源又は資金への繰入れの財源に充てるものとする。

2 前項に規定する収入のほか、令和五年度以降の各年度において、国有財産の処分による収入その他の租税収入以外の収入であって国会の議決を経た範囲に属するものは、防衛力整備計画対象経費の財源又は資金への繰入れの財源に充てるものとする。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から施行する。

 (財政投融資特別会計財政融資資金勘定の健全な運営を確保するために必要な措置)

第二条 令和五年度から令和十四年度までの間、第二条第一項の規定による繰入金を繰り入れた後における財政投融資特別会計財政融資資金勘定の健全な運営を確保するために必要がある場合には、予算で定めるところにより、特別会計に関する法律第五十八条第一項の積立金から同勘定の歳入に繰り入れることができる。

2 前項に規定する繰入金に相当する金額は、特別会計に関する法律第五十六条第一項の繰越利益の額から減額して整理するものとする。

 (財務省設置法の一部改正)

第三条 財務省設置法(平成十一年法律第九十五号)の一部を次のように改正する。

  第四条第一項第四号の次に次の一号を加える。

  四の二 防衛力強化資金の管理に関すること。


     理 由

 令和五年度以降における我が国の防衛力の抜本的な強化及び抜本的に強化された防衛力の安定的な維持に必要な財源を確保するための特別措置として、財政投融資特別会計財政融資資金勘定からの一般会計への繰入れの特例に関する措置及び外国為替資金特別会計からの一般会計への繰入れの特別措置並びに独立行政法人国立病院機構及び独立行政法人地域医療機能推進機構の国庫納付金の納付の特例に関する措置を講ずるとともに、防衛力強化資金の設置等について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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