衆議院

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第二一一回

閣第二二号

   日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律案

目次

 第一章 総則(第一条)

 第二章 日本語教育機関の認定(第二条−第十六条)

 第三章 認定日本語教育機関の教員の資格

  第一節 登録日本語教員(第十七条−第二十一条)

  第二節 日本語教員試験(第二十二条−第二十六条)

  第三節 実践研修(第二十七条)

  第四節 指定試験機関(第二十八条−第四十四条)

  第五節 登録実践研修機関(第四十五条−第六十条)

  第六節 登録日本語教員養成機関(第六十一条−第六十六条)

 第四章 罰則(第六十七条−第七十四条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、日本語に通じない外国人が我が国において生活するために必要な日本語を理解し、使用する能力を習得させるための教育(以下「日本語教育」という。)を行うことを目的とした課程(以下「日本語教育課程」という。)を置く教育機関(以下「日本語教育機関」という。)のうち一定の要件を満たすものを認定する制度を創設し、かつ、当該認定を受けた日本語教育機関において日本語教育を行う者の資格について定めることにより、日本語教育の適正かつ確実な実施を図り、もって我が国に居住する外国人が日常生活及び社会生活を国民と共に円滑に営むことができる環境の整備に寄与することを目的とする。

   第二章 日本語教育機関の認定

 (認定)

第二条 日本語教育機関の設置者は、当該日本語教育機関について、申請により、日本語教育を適正かつ確実に実施することができる日本語教育機関である旨の文部科学大臣の認定を受けることができる。

2 前項の認定(以下この章において「認定」という。)を受けようとする日本語教育機関の設置者は、文部科学省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書に、次項各号のいずれにも適合していることを証する書類その他の文部科学省令で定める書類を添えて、文部科学大臣に提出しなければならない。

 一 認定を受けようとする日本語教育機関の設置者の氏名及び住所(法人にあっては、その名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)

 二 認定を受けようとする日本語教育機関の名称及び所在地

 三 その他文部科学省令で定める事項

3 文部科学大臣は、認定の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときは、認定をするものとする。

 一 認定を受けようとする日本語教育機関の設置者が、イ又はロに掲げるもののいずれかであること。

  イ 国、独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人、国立大学法人法(平成十五年法律第百十二号)第二条第一項に規定する国立大学法人、地方公共団体又は地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人

  ロ (1)から(3)までのいずれにも該当するもの(イに掲げるものを除く。)

   (1) 日本語教育機関を経営するために必要な経済的基礎を有すること。

   (2) 日本語教育機関を経営するために必要な知識又は経験を有すること(法人にあっては、認定を受けようとする日本語教育機関の経営を担当する役員が、当該知識又は経験を有すること。)。

   (3) 社会的信望を有すること(法人にあっては、認定を受けようとする日本語教育機関の経営を担当する役員が、社会的信望を有する者であること。)。

 二 認定を受けようとする日本語教育機関が、次に掲げる事項について文部科学省令で定める基準に適合すること。

  イ 日本語教育課程を担当する教員及び職員の体制

  ロ 施設及び設備

  ハ 日本語教育課程の編成及び実施の方法

  ニ 日本語に通じない生徒が我が国において学習を継続するために必要な学習上及び生活上の支援のための体制

4 次の各号のいずれかに該当する者は、認定を受けることができない。

 一 拘禁刑以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して五年を経過しない者

 二 第十四条第一項又は第二項の規定により認定を取り消され、その取消しの日から起算して五年を経過しない者(認定を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しの処分に係る行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十五条の規定による通知があった日前六十日以内に当該法人の役員であった者でその取消しの日から五年を経過しないものを含む。)

 三 法人であって、その役員のうちに前二号のいずれかに該当する者があるもの

5 文部科学大臣は、認定をしたときは、遅滞なく、第二項第一号及び第二号に掲げる事項その他の文部科学省令で定める事項を、インターネットの利用その他の方法により、日本語及び複数の外国語で公表するものとする。

 (情報の公表)

第三条 認定を受けた日本語教育機関(以下「認定日本語教育機関」という。)の設置者は、日本語教育課程の授業科目及びその内容、生徒、教員及び職員の数、授業料その他の当該認定日本語教育機関における学習の環境に関する基本的な情報として文部科学省令で定める事項を、インターネットの利用その他の方法により、日本語で公表しなければならない。

2 認定日本語教育機関の設置者は、前項の規定による公表を複数の外国語で行うよう努めなければならない。

 (名称の使用制限)

第四条 何人も、認定日本語教育機関でないものについて、認定日本語教育機関という名称又はこれと紛らわしい名称を用いてはならない。

 (認定日本語教育機関の表示)

第五条 認定日本語教育機関の設置者は、生徒の募集のための広告その他の文部科学省令で定めるもの(次項において「広告等」という。)に、文部科学大臣の定める表示を付することができる。

2 何人も、前項の規定による場合を除くほか、広告等に同項の表示又はこれと紛らわしい表示を付してはならない。

 (変更の届出等)

第六条 認定日本語教育機関の設置者は、第二条第二項各号に掲げる事項を変更するときは、文部科学省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を文部科学大臣に届け出なければならない。

2 文部科学大臣は、第二条第五項に規定する事項について前項の規定による届出があったときは、遅滞なく、その旨をインターネットの利用その他の方法により、日本語及び複数の外国語で公表するものとする。

 (認定日本語教育機関の教員)

第七条 認定日本語教育機関において日本語教育課程を担当する教員は、第十七条第一項の登録を受けた者でなければならない。

 (日本語教育の実施状況に関する評価等)

第八条 認定日本語教育機関の設置者は、認定日本語教育機関における日本語教育の実施状況について、文部科学省令で定めるところにより、自ら点検及び評価を行い、その結果をインターネットの利用その他の方法により、日本語で公表しなければならない。

2 第三条第二項の規定は、前項の規定による公表について準用する。

 (定期報告)

第九条 認定日本語教育機関の設置者は、認定日本語教育機関における日本語教育の実施状況について、文部科学省令で定めるところにより、毎年度、文部科学大臣に報告しなければならない。

2 文部科学大臣は、前項の規定による報告を受けたときは、当該報告を取りまとめ、その概要を公表するものとする。

 (帳簿の備付け等)

第十条 認定日本語教育機関の設置者は、認定日本語教育機関の運営状況について、文部科学省令で定めるところにより、帳簿を備え、これに文部科学省令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。

 (報告徴収)

第十一条 文部科学大臣は、認定日本語教育機関における日本語教育の適正かつ確実な実施を確保するために必要な限度において、認定日本語教育機関の設置者に対し、日本語教育の実施状況に関し必要な報告又は資料の提出を求めることができる。

 (勧告及び命令)

第十二条 文部科学大臣は、認定日本語教育機関が第二条第三項各号のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、当該認定日本語教育機関の設置者に対し、これらの規定に適合するため必要な措置をとるべきことを勧告することができる。

2 文部科学大臣は、前項の規定による勧告を受けた認定日本語教育機関の設置者が、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかったときは、当該認定日本語教育機関の設置者に対し、期限を定めて、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。

 (廃止の届出等)

第十三条 認定日本語教育機関の設置者は、当該認定日本語教育機関を廃止しようとするときは、文部科学省令で定めるところにより、その廃止しようとする日(以下この条において「廃止の日」という。)の六十日前までに、その旨及び廃止の日を文部科学大臣に届け出なければならない。

2 文部科学大臣は、前項の規定による届出があったときは、遅滞なく、その旨及び廃止の日をインターネットの利用その他の方法により、日本語及び複数の外国語で公表するものとする。

3 認定は、廃止の日として第一項の規定により届け出られた日以後は、その効力を失う。

 (認定の取消し)

第十四条 文部科学大臣は、認定日本語教育機関の設置者が次の各号のいずれかに該当するときは、その認定を取り消すものとする。

 一 偽りその他不正の手段により認定を受けたとき。

 二 第二条第四項第一号又は第三号のいずれかに該当するに至ったとき。

 三 第十二条第二項の規定による命令に違反したとき。

2 文部科学大臣は、認定日本語教育機関の設置者が次の各号のいずれかに該当するときは、その認定を取り消すことができる。

 一 第三条第一項、第六条第一項、第八条第一項、第九条第一項又は第十条の規定に違反したとき。

 二 第七条の規定に違反して、第十七条第一項の登録を受けた者以外の者に認定日本語教育機関の日本語教育課程を担当させたとき。

 三 第十一条の規定による報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告をし、若しくは虚偽の資料を提出したとき。

3 文部科学大臣は、前二項の規定による認定の取消しをしたときは、遅滞なく、その旨をインターネットの利用その他の方法により、日本語及び複数の外国語で公表するものとする。

 (審議会等の意見の聴取等)

第十五条 文部科学大臣は、第二条第三項第二号の文部科学省令を制定し、又は改廃するときは、あらかじめ、法務大臣に協議するとともに、審議会等(国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第八条に規定する機関をいう。次項において同じ。)で政令で定めるものの意見を聴くものとする。

2 前項に規定する場合のほか、次に掲げる場合には、文部科学大臣は、あらかじめ、同項の政令で定める審議会等の意見を聴くものとする。

 一 認定をするとき又は前条第二項の規定により認定を取り消すとき。

 二 第十二条第一項の規定による勧告又は同条第二項の規定による命令をするとき。

 (関係行政機関の長との協力)

第十六条 文部科学大臣及び法務大臣その他の関係行政機関の長は、認定日本語教育機関における日本語教育の適正かつ確実な実施を図るため、相互に連携を図りながら協力するものとする。

   第三章 認定日本語教育機関の教員の資格

    第一節 登録日本語教員

 (登録)

第十七条 日本語教員試験(日本語教育を行うために必要な知識及び技能を有するかどうかを判定するために行う試験をいう。以下この章において同じ。)に合格し、かつ、実践研修(認定日本語教育機関において日本語教育を行うために必要な実践的な技術を習得するための研修をいう。以下この章において同じ。)を修了した者は、文部科学大臣の登録を受けることができる。

2 次の各号のいずれかに該当する者は、前項の登録(以下この節において「登録」という。)を受けることができない。

 一 拘禁刑以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して五年を経過しない者

 二 第二十一条第一項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から起算して五年を経過しない者

3 実践研修を修了した者と同等以上の技術を有する者として文部科学省令で定める要件に該当する者は、第一項の規定の適用については、実践研修を修了した者とみなす。

4 登録は、文部科学大臣が、日本語教員登録簿に氏名、生年月日その他の文部科学省令で定める事項を記載してするものとする。

5 日本語教員登録簿は、文部科学省に備える。

 (登録証)

第十八条 文部科学大臣は、登録をしたときは、登録を受けた者(以下この節において「登録日本語教員」という。)に前条第四項に規定する事項を記載した登録証を交付する。

2 登録日本語教員が登録証を亡失し、又は登録証が滅失したときは、文部科学省令で定めるところにより、文部科学大臣に申請をして、登録証の再交付を受けることができる。

 (登録事項の変更の届出等)

第十九条 登録日本語教員は、第十七条第四項に規定する事項に変更があったときは、遅滞なく、その旨を文部科学大臣に届け出なければならない。

2 登録日本語教員は、前項の規定による届出をするときは、当該届出に登録証を添えて提出し、その訂正を受けなければならない。

 (登録等の手数料)

第二十条 登録を受けようとする者又は登録証の再交付若しくは訂正を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を国に納付しなければならない。

 (登録の取消し)

第二十一条 文部科学大臣は、登録日本語教員が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消すものとする。

 一 偽りその他不正の手段により登録を受けたとき。

 二 第十七条第二項第一号に該当するに至ったとき。

2 文部科学大臣は、前項の規定により登録を取り消したときは、その登録を消除するものとする。

3 第一項の規定により登録を取り消された者は、その取消しの日から三十日以内に、文部科学大臣に登録証を返納しなければならない。

    第二節 日本語教員試験

 (日本語教員試験の内容等)

第二十二条 日本語教員試験においては、基礎試験及び応用試験を行うものとし、基礎試験にあっては日本語教育を行うために必要な基礎的な知識及び技能を有するかどうか、応用試験にあっては日本語教育を行うために必要な知識及び技能のうち応用に関するものを有するかどうかを判定するものとする。

2 日本語教員試験は、毎年一回以上、文部科学大臣が行う。

 (試験の免除)

第二十三条 次の各号に掲げる者に対しては、その申請により、当該各号に定める試験を免除する。

 一 文部科学大臣の登録を受けた者が実施する日本語教育を行うために必要な基礎的な知識及び技能を習得させるための課程(第六節において「養成課程」という。)を修了した者又は基礎試験に合格した者と同等以上の知識及び技能を有することを示す資格として文部科学省令で定めるものを有する者 基礎試験

 二 応用試験に合格した者と同等以上の知識及び技能を有することを示す資格として文部科学省令で定めるものを有する者 応用試験

 (受験の停止等)

第二十四条 文部科学大臣は、日本語教員試験に関して不正の行為があった場合には、その不正行為に関係のある者に対しては、その受験を停止させ、又はその日本語教員試験を無効とすることができる。

 (手数料)

第二十五条 日本語教員試験を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を国に納付しなければならない。

 (文部科学省令への委任)

第二十六条 この節に定めるもののほか、基礎試験及び応用試験の科目、受験手続その他の日本語教員試験に関し必要な事項は、文部科学省令で定める。

    第三節 実践研修

第二十七条 実践研修は、認定日本語教育機関において日本語教育を行うために必要な実践的な技術を習得することを目的として、文部科学省令で定める科目について、文部科学大臣が行う。

2 実践研修を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を国に納付しなければならない。

3 前二項に定めるもののほか、受講手続その他の実践研修に関し必要な事項は、文部科学省令で定める。

    第四節 指定試験機関

 (指定試験機関による試験事務の実施等)

第二十八条 文部科学大臣は、その指定する者(以下この節において「指定試験機関」という。)に、日本語教員試験の実施に関する事務(以下この節並びに第六十八条、第六十九条及び第七十一条第四号において「試験事務」という。)を行わせることができる。

2 指定試験機関は、試験事務の実施に関し第二十四条に規定する文部科学大臣の職権を行うことができる。

3 文部科学大臣は、第一項の規定により指定試験機関に試験事務を行わせるときは、試験事務を行わないものとする。

 (指定の手続及び要件)

第二十九条 前条第一項の規定による指定(以下この節において「指定」という。)は、試験事務を行おうとする者の申請により行う。

2 指定を受けようとする者は、文部科学省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書に、次項各号のいずれにも適合していることを証する書類その他の文部科学省令で定める書類を添えて、文部科学大臣に提出しなければならない。

 一 指定を受けようとする者の名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地

 二 その他文部科学省令で定める事項

3 文部科学大臣は、他に指定を受けた者がなく、かつ、指定の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、指定をしてはならない。

 一 職員、設備、試験事務の実施の方法その他の事項についての試験事務の実施に関する計画が定められ、かつ、当該計画が試験事務の適正かつ確実な実施のために適切なものであること。

 二 指定を受けようとする者が、前号の計画の適正かつ確実な実施に必要な経理的及び技術的な基礎を有すること。

 三 指定を受けようとする者が試験事務以外の業務を行っている場合には、その業務を行うことによって試験事務が不公正となるおそれがないこと。

4 次の各号のいずれかに該当する者は、指定を受けることができない。

 一 一般社団法人又は一般財団法人以外の者

 二 第四十条第一項又は第二項の規定により指定を取り消され、その取消しの日から起算して五年を経過しない者

 三 その役員のうちに、次のいずれかに該当する者があるもの

  イ 拘禁刑以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して五年を経過しない者

  ロ 第三十一条第二項の規定による命令により解任され、その解任の日から起算して五年を経過しない者

  ハ 第四十条第一項又は第二項の規定による取消しの処分に係る行政手続法第十五条の規定による通知があった日前六十日以内に当該取消しを受けた法人の役員であった者でその取消しの日から五年を経過しないもの

5 文部科学大臣は、指定をしたときは、第二項第一号に掲げる事項その他の文部科学省令で定める事項を官報で公示するものとする。

 (変更の届出等)

第三十条 指定試験機関は、前条第二項各号に掲げる事項を変更するときは、文部科学省令で定めるところにより、その二週間前までに、その旨を文部科学大臣に届け出なければならない。

2 文部科学大臣は、前条第五項に規定する事項について前項の規定による届出があったときは、その旨を官報で公示するものとする。

 (役員の選任及び解任)

第三十一条 指定試験機関の役員の選任及び解任は、文部科学大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

2 文部科学大臣は、指定試験機関の役員が、この法律、この法律に基づく命令若しくは処分若しくは第三十四条第一項に規定する試験事務規程に違反する行為をしたとき、又は試験事務に関し著しく不適当な行為をしたときは、指定試験機関に対し、当該役員の解任を命ずることができる。

 (試験委員)

第三十二条 指定試験機関は、日本語教育を行うために必要な知識及び技能を有するかどうかの判定に関する事務については、試験委員に行わせなければならない。

2 指定試験機関は、文部科学省令で定める要件を備える者のうちから試験委員を選任しなければならない。

3 指定試験機関は、試験委員を選任したときは、その日から二週間以内に、文部科学省令で定めるところにより、その旨を文部科学大臣に届け出なければならない。試験委員を変更したときも、同様とする。

4 前条第二項の規定は、試験委員の解任について準用する。

 (秘密保持義務等)

第三十三条 指定試験機関の役員若しくは職員(試験委員を含む。次項において同じ。)又はこれらの職にあった者は、試験事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

2 試験事務に従事する指定試験機関の役員又は職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

 (試験事務規程)

第三十四条 指定試験機関は、試験事務の実施に関する規程(以下この条及び第四十条第二項第四号において「試験事務規程」という。)を定め、試験事務の開始前に、文部科学大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 試験事務規程には、日本語教育を行うために必要な知識及び技能を有するかどうかの判定の基準その他文部科学省令で定める事項を定めなければならない。

3 文部科学大臣は、第一項の認可をした試験事務規程が試験事務の適正かつ確実な実施上不適当となったと認めるときは、指定試験機関に対し、その試験事務規程を変更すべきことを命ずることができる。

 (事業計画書の認可等)

第三十五条 指定試験機関は、文部科学省令で定めるところにより、毎事業年度、事業計画書及び収支予算書を作成し、文部科学大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 指定試験機関は、毎事業年度、文部科学省令で定めるところにより、事業報告書及び収支決算書を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に文部科学大臣に提出しなければならない。

 (帳簿の備付け等)

第三十六条 指定試験機関は、試験事務について、文部科学省令で定めるところにより、帳簿を備え、これに文部科学省令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。

 (報告徴収及び立入検査)

第三十七条 文部科学大臣は、試験事務の適正かつ確実な実施を確保するために必要な限度において、指定試験機関に対し、試験事務に関し必要な報告若しくは資料の提出を求め、又はその職員に、指定試験機関の事務所その他必要な場所に立ち入り、試験事務に関し質問させ、若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。

2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

 (監督命令)

第三十八条 文部科学大臣は、試験事務の適正かつ確実な実施を確保するため必要があると認めるときは、指定試験機関に対し、試験事務に関し監督上必要な命令をすることができる。

 (試験事務の休廃止)

第三十九条 指定試験機関は、文部科学大臣の許可を受けなければ、試験事務の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。

2 文部科学大臣は、前項の許可をしたときは、その旨を官報で公示するものとする。

3 文部科学大臣が第一項の規定により試験事務の全部の廃止を許可したときは、指定は、その効力を失う。

 (指定の取消し等)

第四十条 文部科学大臣は、指定試験機関が次の各号のいずれかに該当するときは、その指定を取り消すものとする。

 一 偽りその他不正の手段により指定を受けたとき。

 二 第二十九条第四項第一号又は第三号に該当するに至ったとき。

2 文部科学大臣は、指定試験機関が次の各号のいずれかに該当するときは、その指定を取り消し、又は期間を定めて試験事務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。

 一 第二十九条第三項各号のいずれかに適合しなくなったと認められるとき。

 二 第三十条第一項、第三十二条第一項から第三項まで、第三十五条、第三十六条又は前条第一項の規定に違反したとき。

 三 第三十一条第二項(第三十二条第四項において準用する場合を含む。)、第三十四条第三項又は第三十八条の規定による命令に違反したとき。

 四 第三十四条第一項の認可を受けた試験事務規程によらないで試験事務を行ったとき。

 五 第三十七条第一項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、若しくは虚偽の報告をし、若しくは虚偽の資料を提出し、又は当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。

 六 第四十二条第一項の規定により付された条件に違反したとき。

3 文部科学大臣は、前二項の規定により指定を取り消し、又は試験事務の全部若しくは一部の停止を命じたときは、その旨を官報で公示するものとする。

 (文部科学大臣による試験事務の実施等)

第四十一条 文部科学大臣は、指定試験機関が第三十九条第一項の許可を受けて試験事務の全部若しくは一部を休止したとき、前条第二項の規定により指定試験機関に対し試験事務の全部若しくは一部の停止を命じたとき、又は指定試験機関が天災その他の事由により試験事務の全部若しくは一部を実施することが困難となった場合において必要があると認めるときは、試験事務の全部又は一部を自ら行うものとする。

2 文部科学大臣は、前項の規定により試験事務の全部若しくは一部を自ら行うこととするとき、又は自ら行っていた試験事務の全部若しくは一部を行わないこととするときは、その旨を官報で公示するものとする。

3 文部科学大臣が、第一項の規定により試験事務を行うこととし、第三十九条第一項の規定により試験事務の廃止を許可し、又は前条第一項若しくは第二項の規定により指定を取り消した場合における試験事務の引継ぎその他の必要な事項は、文部科学省令で定める。

 (指定等の条件)

第四十二条 文部科学大臣は、指定、第三十一条第一項、第三十四条第一項若しくは第三十五条第一項の認可又は第三十九条第一項の許可(次項において「指定等」という。)には、条件を付し、及びこれを変更することができる。

2 前項の条件は、指定等に係る事項の適正かつ確実な実施を図るため必要な最小限度のものに限り、かつ、指定等を受ける者に不当な義務を課することとなるものであってはならない。

 (指定試験機関がした処分等に係る審査請求)

第四十三条 指定試験機関が行う試験事務に係る処分又はその不作為について不服がある者は、文部科学大臣に対し、審査請求をすることができる。この場合において、文部科学大臣は、行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)第二十五条第二項及び第三項、第四十六条第一項及び第二項、第四十七条並びに第四十九条第三項の規定の適用については、指定試験機関の上級行政庁とみなす。

 (手数料)

第四十四条 指定試験機関が試験事務を行う場合においては、指定試験機関が行う日本語教員試験を受けようとする者は、第二十五条の規定にかかわらず、同条の政令で定める額の手数料を指定試験機関に納付しなければならない。この場合において、納付された手数料は、指定試験機関の収入とする。

    第五節 登録実践研修機関

 (登録実践研修機関による研修事務の実施等)

第四十五条 文部科学大臣は、その登録を受けた者(以下この節において「登録実践研修機関」という。)に、実践研修の実施に関する事務(以下この節並びに第六十九条及び第七十一条第四号において「研修事務」という。)の全部又は一部を行わせることができる。

2 文部科学大臣は、前項の規定により登録実践研修機関に研修事務の全部又は一部を行わせるときは、当該研修事務の全部又は一部を行わないものとする。

 (登録の手続及び要件)

第四十六条 前条第一項の登録(以下この節において「登録」という。)は、研修事務を行おうとする者の申請により行う。

2 登録を受けようとする者は、文部科学省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書に、次項各号のいずれにも適合していることを証する書類その他の文部科学省令で定める書類を添えて、文部科学大臣に提出しなければならない。

 一 登録を受けようとする者の氏名及び住所(法人にあっては、その名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)

 二 その他文部科学省令で定める事項

3 文部科学大臣は、登録の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときは、登録をするものとする。

 一 登録を受けようとする者が実施する実践研修が、第二十七条第一項の文部科学省令で定める科目について行われるものであること。

 二 登録を受けようとする者が実施する実践研修における前号の科目の指導時間数が、文部科学省令で定める時間数以上であること。

 三 登録を受けようとする者が実施する実践研修における第一号の科目の指導が、当該科目の指導を行うために必要な資格及び経験として文部科学省令で定めるものを有する者により行われること。

4 次の各号のいずれかに該当する者は、登録を受けることができない。

 一 拘禁刑以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して五年を経過しない者

 二 第五十八条第一項又は第二項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から起算して五年を経過しない者(登録を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しの処分に係る行政手続法第十五条の規定による通知があった日前六十日以内に当該法人の役員であった者でその取消しの日から五年を経過しないものを含む。)

 三 法人であって、その役員のうちに前二号のいずれかに該当する者があるもの

5 登録は、文部科学大臣が、登録実践研修機関登録簿に第二項第一号に掲げる事項その他の文部科学省令で定める事項を記載してするものとする。

6 文部科学大臣は、登録をしたときは、前項に規定する事項(文部科学省令で定めるものを除く。)を官報で公示するものとする。

 (変更の届出等)

第四十七条 登録実践研修機関は、前条第五項に規定する事項を変更するときは、文部科学省令で定めるところにより、その二週間前までに、その旨を文部科学大臣に届け出なければならない。

2 文部科学大臣は、前条第六項に規定する事項について前項の規定による届出があったときは、その旨を官報で公示するものとする。

 (役員の選任及び解任)

第四十八条 登録実践研修機関が法人である場合において、その役員を選任し、又は解任したときは、遅滞なく、その旨を文部科学大臣に届け出なければならない。

 (研修事務規程)

第四十九条 登録実践研修機関は、研修事務の実施に関する規程(以下この条及び次条において「研修事務規程」という。)を定め、研修事務の開始前に、文部科学大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 研修事務規程には、実践研修の実施の方法その他文部科学省令で定める事項を定めなければならない。

3 文部科学大臣は、第一項の認可をした研修事務規程が研修事務の適正かつ確実な実施上不適当となったと認めるときは、登録実践研修機関に対し、その研修事務規程を変更すべきことを命ずることができる。

 (研修事務の実施に係る義務)

第五十条 登録実践研修機関は、研修事務を、公正に、かつ、前条第一項の認可を受けた研修事務規程に従って実施しなければならない。

 (定期報告)

第五十一条 登録実践研修機関は、研修事務の実施状況について、文部科学省令で定めるところにより、定期的に、文部科学大臣に報告しなければならない。

 (財務諸表等の作成、備置き及び閲覧等)

第五十二条 登録実践研修機関は、毎事業年度、当該事業年度の終了後三月以内に、文部科学省令で定めるところにより、当該事業年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書又は収支計算書並びに事業報告書(これらの作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この条において同じ。)の作成がされている場合における当該電磁的記録を含む。次項及び第七十三条において「財務諸表等」という。)を作成し、これに文部科学省令で定める事項を記載し、又は記録し、五年間事務所に備え置かなければならない。

2 実践研修を受けようとする者その他の利害関係人は、登録実践研修機関の業務時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該登録実践研修機関の定めた費用を支払わなければならない。

 一 財務諸表等が書面をもって作成されているときは、当該書面又は当該書面の写しの閲覧の請求

 二 前号の書面の謄本又は抄本の交付の請求

 三 財務諸表等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を文部科学省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求

 四 前号の電磁的記録に記録された事項を登録実践研修機関の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下この号において同じ。)と当該事項の提供を受けようとする者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって文部科学省令で定めるものにより提供することの請求又は当該事項を記載した書面の交付の請求

 (帳簿の備付け等)

第五十三条 登録実践研修機関は、研修事務について、文部科学省令で定めるところにより、帳簿を備え、これに文部科学省令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。

 (報告徴収及び立入検査)

第五十四条 文部科学大臣は、研修事務の適正かつ確実な実施を確保するために必要な限度において、登録実践研修機関に対し、研修事務に関し必要な報告若しくは資料の提出を求め、又はその職員に、登録実践研修機関の事務所その他必要な場所に立ち入り、研修事務に関し質問させ、若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。

2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

 (適合命令)

第五十五条 文部科学大臣は、登録実践研修機関が実施する実践研修が第四十六条第三項各号のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、当該登録実践研修機関に対し、これらの規定に適合するため必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

 (改善命令)

第五十六条 文部科学大臣は、登録実践研修機関が実施する研修事務が第五十条の規定に違反していると認めるときは、当該登録実践研修機関に対し、その研修事務の実施の方法を改善するため必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

 (研修事務の休廃止)

第五十七条 登録実践研修機関は、文部科学大臣の許可を受けなければ、研修事務の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。

2 文部科学大臣は、前項の許可をしたときは、その旨を官報で公示するものとする。

3 文部科学大臣が第一項の規定により研修事務の全部の廃止を許可したときは、当該登録実践研修機関の登録は、その効力を失う。

 (登録の取消し等)

第五十八条 文部科学大臣は、登録実践研修機関が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消すものとする。

 一 偽りその他不正の手段により登録を受けたとき。

 二 第四十六条第四項第一号又は第三号のいずれかに該当するに至ったとき。

2 文部科学大臣は、登録実践研修機関が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消し、又は期間を定めて研修事務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。

 一 第四十七条第一項、第四十八条、第五十一条、第五十二条第一項、第五十三条又は前条第一項の規定に違反したとき。

 二 第四十九条第三項、第五十五条又は第五十六条の規定による命令に違反したとき。

 三 正当な理由がないのに第五十二条第二項の規定による請求を拒んだとき。

 四 第五十四条第一項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、若しくは虚偽の報告をし、若しくは虚偽の資料を提出し、又は当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。

3 文部科学大臣は、前二項の規定により登録を取り消し、又は研修事務の全部若しくは一部の停止を命じたときは、その旨を官報で公示するものとする。

 (文部科学大臣による研修事務の実施等)

第五十九条 文部科学大臣は、登録実践研修機関が第五十七条第一項の許可を受けて研修事務の全部若しくは一部を休止し、若しくは廃止したとき、前条第一項若しくは第二項の規定により登録を取り消し、若しくは登録実践研修機関に対し研修事務の全部若しくは一部の停止を命じたとき、又は登録実践研修機関が天災その他の事由により研修事務の全部若しくは一部を実施することが困難となった場合において必要があると認めるときは、研修事務の全部又は一部を自ら行うことができる。

2 文部科学大臣は、前項の規定により研修事務の全部若しくは一部を自ら行うこととするとき、又は自ら行っていた研修事務の全部若しくは一部を行わないこととするときは、その旨を官報で公示するものとする。

3 文部科学大臣が第一項の規定により研修事務を行うこととした場合における研修事務の引継ぎその他の必要な事項は、文部科学省令で定める。

 (手数料)

第六十条 登録実践研修機関が研修事務を行う場合においては、登録実践研修機関が行う実践研修を受けようとする者は、第二十七条第二項の規定にかかわらず、政令で定めるところにより登録実践研修機関が文部科学大臣の認可を受けて定める額の手数料を当該登録実践研修機関に納付しなければならない。この場合において、納付された手数料は、当該登録実践研修機関の収入とする。

    第六節 登録日本語教員養成機関

 (登録)

第六十一条 養成課程を実施しようとする者は、申請により、第二十三条第一号の登録(以下この節において「登録」という。)を受けることができる。

 (登録の手続及び要件)

第六十二条 登録を受けようとする者は、文部科学省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書に、次項各号のいずれにも適合していることを証する書類その他の文部科学省令で定める書類を添えて、文部科学大臣に提出しなければならない。

 一 登録を受けようとする者の氏名及び住所(法人にあっては、その名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地)

 二 その他文部科学省令で定める事項

2 文部科学大臣は、登録の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときは、登録をするものとする。

 一 登録を受けようとする者が実施する養成課程が、日本語教育についての基礎的な知識及び技能の習得に必要な科目として文部科学省令で定めるものを含むものであること。

 二 登録を受けようとする者が実施する養成課程に含まれる前号の科目の授業時間数が、文部科学省令で定める時間数以上であること。

 三 登録を受けようとする者が実施する養成課程に含まれる第一号の科目の授業が、当該科目の教授を行うために必要な資格として文部科学省令で定めるものを有する者により行われること。

3 次の各号のいずれかに該当する者は、登録を受けることができない。

 一 拘禁刑以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して五年を経過しない者

 二 第六十六条第一項又は第二項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から起算して五年を経過しない者(登録を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しの処分に係る行政手続法第十五条の規定による通知があった日前六十日以内に当該法人の役員であった者でその取消しの日から五年を経過しないものを含む。)

 三 法人であって、その役員のうちに前二号のいずれかに該当する者があるもの

4 登録は、文部科学大臣が、登録日本語教員養成機関登録簿に第一項第一号に掲げる事項その他の文部科学省令で定める事項を記載してするものとする。

5 文部科学大臣は、登録をしたときは、前項に規定する事項(文部科学省令で定めるものを除く。)を官報で公示するものとする。

 (養成業務規程)

第六十三条 登録を受けた者(以下この節において「登録日本語教員養成機関」という。)は、養成課程の実施に関する規程(以下この条において「養成業務規程」という。)を定め、養成課程の実施に関する業務(以下この節並びに第六十九条及び第七十一条第四号において「養成業務」という。)の開始前に、文部科学大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 養成業務規程には、養成課程の実施の方法、養成課程に関する料金その他文部科学省令で定める事項を定めなければならない。

3 文部科学大臣は、第一項の規定による届出のあった養成業務規程が養成業務の適正かつ確実な実施上不適当であり、又は不適当となったと認めるときは、その養成業務規程を変更すべきことを命ずることができる。

 (養成業務の休廃止)

第六十四条 登録日本語教員養成機関は、養成業務の全部又は一部を休止し、又は廃止しようとするときは、文部科学省令で定めるところにより、その休止し、又は廃止しようとする日(以下この項及び次項において「休止又は廃止の日」という。)の三十日前までに、その旨及び休止又は廃止の日を文部科学大臣に届け出なければならない。

2 文部科学大臣は、前項の規定による届出があったときは、その旨及び休止又は廃止の日を官報で公示するものとする。

3 第一項の規定による養成業務の全部の廃止の届出があったときは、当該登録日本語教員養成機関の登録は、その廃止しようとする日として届け出られた日以後は、その効力を失う。

 (準用)

第六十五条 第四十七条、第四十八条及び第五十条から第五十六条までの規定は、登録日本語教員養成機関が養成業務を実施する場合について準用する。この場合において、第四十七条第一項中「前条第五項」とあるのは「第六十二条第四項」と、同条第二項中「前条第六項」とあるのは「第六十二条第五項」と、第五十条中「前条第一項の認可を受けた研修事務規程」とあるのは「第六十三条第一項の規定により届け出た同項に規定する養成業務規程」と、第五十二条第二項中「実践研修を受けようと」とあるのは「養成課程を履修しようと」と、第五十五条中「第四十六条第三項各号」とあるのは「第六十二条第二項各号」と読み替えるものとする。

 (登録の取消し等)

第六十六条 文部科学大臣は、登録日本語教員養成機関が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消すものとする。

 一 偽りその他不正の手段により登録を受けたとき。

 二 第六十二条第三項第一号又は第三号のいずれかに該当するに至ったとき。

2 文部科学大臣は、登録日本語教員養成機関が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消し、又は期間を定めて養成業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。

 一 第六十三条第三項又は前条において準用する第五十五条若しくは第五十六条の規定による命令に違反したとき。

 二 第六十四条第一項又は前条において準用する第四十七条第一項、第四十八条、第五十一条、第五十二条第一項若しくは第五十三条の規定に違反したとき。

 三 正当な理由がないのに前条において準用する第五十二条第二項の規定による請求を拒んだとき。

 四 前条において準用する第五十四条第一項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、若しくは虚偽の報告をし、若しくは虚偽の資料を提出し、又は当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。

3 文部科学大臣は、前二項の規定により登録を取り消し、又は養成業務の全部若しくは一部の停止を命じたときは、その旨を官報で公示するものとする。

   第四章 罰則

第六十七条 偽りその他不正の手段により第二条第一項の認定を受けたときは、当該違反行為をした者は、一年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

第六十八条 第三十三条第一項の規定に違反して、試験事務に関して知り得た秘密を漏らした者は、一年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。

第六十九条 第四十条第二項、第五十八条第二項又は第六十六条第二項の規定による試験事務、研修事務又は養成業務の全部又は一部の停止の命令に違反したときは、当該違反行為をした者は、一年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。

第七十条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、五十万円以下の罰金に処する。

 一 第六条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。

 二 第十条の規定に違反して、帳簿を備えず、帳簿に記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかったとき。

 三 第十一条の規定による報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告をし、若しくは虚偽の資料を提出したとき。

第七十一条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、三十万円以下の罰金に処する。

 一 第四条又は第五条第二項の規定に違反したとき。

 二 第三十六条又は第五十三条(第六十五条において準用する場合を含む。)の規定に違反して帳簿を備えず、帳簿に記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかったとき。

 三 第三十七条第一項又は第五十四条第一項(第六十五条において準用する場合を含む。)の規定による報告若しくは資料の提出をせず、若しくは虚偽の報告をし、若しくは虚偽の資料を提出し、又は当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。

 四 第三十九条第一項若しくは第五十七条第一項の許可を受けないで、又は第六十四条第一項の規定による届出をしないで、試験事務、研修事務又は養成業務の全部を廃止したとき。

第七十二条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第六十七条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して同条の罰金刑を科する。

第七十三条 第五十二条第一項(第六十五条において準用する場合を含む。)の規定に違反して財務諸表等を作成せず、財務諸表等に記載し、若しくは記録すべき事項を記載せず、若しくは記録せず、若しくは虚偽の記載若しくは記録をし、若しくは財務諸表等を備え置かず、又は正当な理由がないのに第五十二条第二項(第六十五条において準用する場合を含む。)の規定による請求を拒んだときは、当該違反行為をした者は、二十万円以下の過料に処する。

第七十四条 第二十一条第三項の規定に違反して登録証を返納しなかった者は、十万円以下の過料に処する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、令和六年四月一日から施行する。ただし、附則第四条の規定は、公布の日から施行する。

 (認定日本語教育機関の教員に関する経過措置)

第二条 令和十一年三月三十一日までの間における第七条及び第十四条第二項の規定の適用については、第七条中「受けた者」とあるのは「受けた者又はこれに準ずるものとして文部科学省令で定める資格若しくは実務経験を有する者」と、同項第二号中「受けた者」とあるのは「受けた者及び第七条の文部科学省令で定める資格又は実務経験を有する者」とする。

 (刑法等改正法の施行の日の前日までの間における経過措置)

第三条 刑法等の一部を改正する法律(令和四年法律第六十七号。次項において「刑法等改正法」という。)の施行の日の前日までの間における第二条第四項、第十七条第二項、第二十九条第四項、第四十六条第四項及び第六十二条第三項の規定の適用については、第二条第四項第一号、第十七条第二項第一号、第二十九条第四項第三号イ、第四十六条第四項第一号及び第六十二条第三項第一号中「拘禁刑」とあるのは、「禁錮」とする。

2 刑法等改正法の施行の日の前日までの間における第六十七条から第六十九条までの規定の適用については、これらの規定中「拘禁刑」とあるのは、「懲役」とする。刑法等改正法の施行の日以後における同日前にした行為に対するこれらの規定の適用についても、同様とする。

 (政令への委任)

第四条 前二条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

 (検討)

第五条 政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律の規定について、その施行の状況等を勘案して検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

 (文部科学省設置法の一部改正)

第六条 文部科学省設置法(平成十一年法律第九十六号)の一部を次のように改正する。

  第十九条中「、第三十六号」を削る。


     理 由

 日本語に通じない外国人が我が国において生活するために必要な日本語を理解し、使用する能力を習得させるための教育の適正かつ確実な実施を図り、もって我が国に居住する外国人が日常生活及び社会生活を国民と共に円滑に営むことができる環境の整備に寄与するため、日本語教育を行うことを目的とした課程を置く教育機関のうち一定の要件を満たすものを認定する制度を創設するとともに、当該認定を受けた日本語教育機関において日本語教育を行う者の資格について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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