衆議院

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第二一一回

閣第五八号

   刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案

 (刑法の一部改正)

第一条 刑法(明治四十年法律第四十五号)の一部を次のように改正する。

  目次中「強制性交等」を「不同意性交等」に改める。

  第三条第五号中「第百七十六条」の下に「、第百七十七条及び第百七十九条」を加え、「強制わいせつ、強制性交等、準強制わいせつ及び準強制性交等」を「不同意わいせつ、不同意性交等」に、「強制わいせつ等致死傷)及び」を「不同意わいせつ等致死傷)並びに」に改め、同条第十四号中「強盗・強制性交等」を「強盗・不同意性交等」に改める。

  第三条の二第一号中「第百七十六条」の下に「、第百七十七条及び第百七十九条」を加え、「強制わいせつ、強制性交等、準強制わいせつ及び準強制性交等」を「不同意わいせつ、不同意性交等」に、「強制わいせつ等致死傷」を「不同意わいせつ等致死傷」に改め、同条第六号中「強盗・強制性交等」を「強盗・不同意性交等」に改める。

  第二編第二十二章の章名中「強制性交等」を「不同意性交等」に改める。

  第百七十六条から第百七十八条までを次のように改める。

  (不同意わいせつ)

 第百七十六条 次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。

  一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。

  二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。

  三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。

  四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。

  五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。

  六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕(がく)させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。

  七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。

  八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。

 2 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした者も、前項と同様とする。

 3 十六歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。

  (不同意性交等)

 第百七十七条 前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛(こう)門性交、口腔(くう)性交又は膣(ちつ)若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。

 2 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした者も、前項と同様とする。

 3 十六歳未満の者に対し、性交等をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。

 第百七十八条 削除

  第百七十九条第一項中「第百七十六条」を「第百七十六条第一項」に改め、同条第二項中「第百七十七条」を「第百七十七条第一項」に改める。

  第百八十条中「から前条まで」を「、第百七十七条及び前条」に改める。

  第百八十一条の見出しを「(不同意わいせつ等致死傷)」に改め、同条第一項中「、第百七十八条第一項」を削り、同条第二項中「、第百七十八条第二項」を削る。

  第百八十三条を削り、第百八十二条を第百八十三条とし、第百八十一条の次に次の一条を加える。

  (十六歳未満の者に対する面会要求等)

 第百八十二条 わいせつの目的で、十六歳未満の者に対し、次の各号に掲げるいずれかの行為をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。

  一 威迫し、偽計を用い又は誘惑して面会を要求すること。

  二 拒まれたにもかかわらず、反復して面会を要求すること。

  三 金銭その他の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をして面会を要求すること。

 2 前項の罪を犯し、よってわいせつの目的で当該十六歳未満の者と面会をした者は、二年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。

 3 十六歳未満の者に対し、次の各号に掲げるいずれかの行為(第二号に掲げる行為については、当該行為をさせることがわいせつなものであるものに限る。)を要求した者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。

  一 性交、肛門性交又は口腔性交をする姿態をとってその映像を送信すること。

  二 前号に掲げるもののほか、膣又は肛門に身体の一部(陰茎を除く。)又は物を挿入し又は挿入される姿態、性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀(でん)部又は胸部をいう。以下この号において同じ。)を触り又は触られる姿態、性的な部位を露出した姿態その他の姿態をとってその映像を送信すること。

  第二百四十一条の見出し中「強盗・強制性交等」を「強盗・不同意性交等」に改め、同条第一項中「強制性交等の罪(第百七十九条第二項の罪を除く。以下この項において同じ。)」を「第百七十七条の罪」に、「又は強制性交等」を「又は同条」に改める。

 (刑事訴訟法の一部改正)

第二条 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。

  第二百五十条に次の二項を加える。

   前項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる罪についての時効は、当該各号に定める期間を経過することによつて完成する。

  一 刑法第百八十一条の罪(人を負傷させたときに限る。)若しくは同法第二百四十一条第一項の罪又は盗犯等の防止及び処分に関する法律(昭和五年法律第九号)第四条の罪(同項の罪に係る部分に限る。) 二十年

  二 刑法第百七十七条、第百七十八条第二項若しくは第百七十九条第二項の罪又はこれらの罪の未遂罪 十五年

  三 刑法第百七十六条、第百七十八条第一項若しくは第百七十九条第一項の罪若しくはこれらの罪の未遂罪又は児童福祉法第六十条第一項の罪(自己を相手方として淫行をさせる行為に係るものに限る。) 十二年

   前二項の規定にかかわらず、前項各号に掲げる罪について、その被害者が犯罪行為が終わつた時に十八歳未満である場合における時効は、当該各号に定める期間に当該犯罪行為が終わつた時から当該被害者が十八歳に達する日までの期間に相当する期間を加算した期間を経過することによつて完成する。

第三条 刑事訴訟法の一部を次のように改正する。

  第百五十七条の六第一項第一号中「から第百七十九条まで若しくは第百八十一条」を「、第百七十七条、第百七十九条、第百八十一条若しくは第百八十二条」に改め、「第二百二十七条第一項(」の下に「同法」を加え、「若しくは第二百四十一条第一項」を「の罪若しくは同法第二百四十一条第一項」に改める。

  第二百五十条第三項第二号中「、第百七十八条第二項」を削り、同項第三号中「、第百七十八条第一項」を削る。

  第二百九十条の二第一項第一号中「から第百七十九条まで若しくは第百八十一条」を「、第百七十七条、第百七十九条、第百八十一条若しくは第百八十二条」に改め、「第二百二十七条第一項(」の下に「同法」を加え、「若しくは第二百四十一条第一項」を「の罪若しくは同法第二百四十一条第一項」に改める。

  第三百十六条の三十三第一項第二号中「から第百七十九条まで」を「、第百七十七条、第百七十九条」に改める。

  第三百二十一条の二の次に次の一条を加える。

 第三百二十一条の三 第一号に掲げる者の供述及びその状況を録音及び録画を同時に行う方法により記録した記録媒体(その供述がされた聴取の開始から終了に至るまでの間における供述及びその状況を記録したものに限る。)は、その供述が第二号に掲げる措置が特に採られた情況の下にされたものであると認める場合であつて、聴取に至るまでの情況その他の事情を考慮し相当と認めるときは、第三百二十一条第一項の規定にかかわらず、証拠とすることができる。この場合において、裁判所は、その記録媒体を取り調べた後、訴訟関係人に対し、その供述者を証人として尋問する機会を与えなければならない。

  一 次に掲げる者

   イ 刑法第百七十六条、第百七十七条、第百七十九条、第百八十一条若しくは第百八十二条の罪、同法第二百二十五条若しくは第二百二十六条の二第三項の罪(わいせつ又は結婚の目的に係る部分に限る。以下このイにおいて同じ。)、同法第二百二十七条第一項(同法第二百二十五条又は第二百二十六条の二第三項の罪を犯した者を幇助する目的に係る部分に限る。)若しくは第三項(わいせつの目的に係る部分に限る。)の罪若しくは同法第二百四十一条第一項若しくは第三項の罪又はこれらの罪の未遂罪の被害者

   ロ 児童福祉法第六十条第一項の罪若しくは同法第三十四条第一項第九号に係る同法第六十条第二項の罪又は児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第四条から第八条までの罪の被害者

   ハ イ及びロに掲げる者のほか、犯罪の性質、供述者の年齢、心身の状態、被告人との関係その他の事情により、更に公判準備又は公判期日において供述するときは精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認められる者

  二 次に掲げる措置

   イ 供述者の年齢、心身の状態その他の特性に応じ、供述者の不安又は緊張を緩和することその他の供述者が十分な供述をするために必要な措置

   ロ 供述者の年齢、心身の状態その他の特性に応じ、誘導をできる限り避けることその他の供述の内容に不当な影響を与えないようにするために必要な措置

   前項の規定により取り調べられた記録媒体に記録された供述者の供述は、第二百九十五条第一項前段の規定の適用については、被告事件の公判期日においてされたものとみなす。

  第三百二十三条中「前三条」を「第三百二十一条から前条まで」に改め、同条第三号中「外特に」を「ほか特に」に改める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

 一 第二条の規定並びに附則第四条第一項及び第五条の規定 公布の日

 二 第三条中刑事訴訟法第三百二十一条の二の次に一条を加える改正規定及び同法第三百二十三条の改正規定並びに附則第四条第三項の規定 公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日

 三 附則第十九条の規定 刑事訴訟法等の一部を改正する法律(令和五年法律第▼▼▼号)附則第一条第四号に定める日

 (罰則の適用に関する経過措置)

第二条 この法律の施行前にした行為の処罰については、なお従前の例による。

2 前項の規定によりなお従前の例によることとされる場合における第一条の規定による改正前の刑法(以下「旧刑法」という。)第百七十六条から第百七十八条までの罪又はこれらの罪の未遂罪の被害者は、第三条の規定による改正後の刑事訴訟法(以下「新刑事訴訟法」という。)第百五十七条の六第一項の規定の適用については、同項第一号に掲げる者とみなす。

3 第一項の規定によりなお従前の例によることとされる場合における旧刑法第百七十六条から第百七十八条までの罪又はこれらの罪の未遂罪に係る事件は、新刑事訴訟法第二百九十条の二第一項の規定の適用については、同項第一号に掲げる事件とみなす。

4 第一項の規定によりなお従前の例によることとされる場合における旧刑法第百七十六条から第百七十八条までの罪は、新刑事訴訟法第三百十六条の三十三第一項の規定の適用については、同項第二号に掲げる罪とみなす。

第三条 刑法等の一部を改正する法律(令和四年法律第六十七号)の施行の日(以下この条において「刑法施行日」という。)の前日までの間における第一条の規定による改正後の刑法第百七十六条、第百七十七条及び第百八十二条の規定の適用については、同法第百七十六条第一項及び第百八十二条中「拘禁刑」とあるのは「懲役」と、同法第百七十七条第一項中「有期拘禁刑」とあるのは「有期懲役」とする。刑法施行日以後における刑法施行日前にした行為に対する同法第百七十六条、第百七十七条及び第百八十二条の規定の適用についても、同様とする。

 (刑事訴訟法の一部改正に伴う経過措置)

第四条 附則第一条第一号に掲げる規定の施行の日からこの法律の施行の日(次条第二項及び附則第十一条第二項において「施行日」という。)の前日までの間における第二条の規定による改正後の刑事訴訟法(以下この項及び次条において「第二条改正後刑事訴訟法」という。)第二百五十条第三項及び第四項の規定の適用については、刑法の一部を改正する法律(平成二十九年法律第七十二号)附則第二条第一項の規定によりなお従前の例によることとされる場合における同法による改正前の刑法(以下この条において「従前の例による平成二十九年改正前刑法」という。)第百七十八条の二の罪又はその未遂罪は、第二条改正後刑事訴訟法第二百五十条第三項第二号に掲げる罪とみなし、従前の例による平成二十九年改正前刑法第百八十一条第三項(人を負傷させたときに限る。)の罪又は従前の例による平成二十九年改正前刑法第二百四十一条前段の罪若しくはその未遂罪は、第二条改正後刑事訴訟法第二百五十条第三項第一号に掲げる罪とみなす。

2 新刑事訴訟法第二百五十条第三項及び第四項の規定の適用については、附則第二条第一項の規定によりなお従前の例によることとされる場合における旧刑法第百七十六条若しくは第百七十八条第一項の罪又はこれらの罪の未遂罪は、新刑事訴訟法第二百五十条第三項第三号に掲げる罪とみなし、附則第二条第一項の規定によりなお従前の例によることとされる場合における旧刑法第百七十七条若しくは第百七十八条第二項の罪若しくはこれらの罪の未遂罪又は従前の例による平成二十九年改正前刑法第百七十八条の二の罪若しくはその未遂罪は、新刑事訴訟法第二百五十条第三項第二号に掲げる罪とみなし、従前の例による平成二十九年改正前刑法第百八十一条第三項(人を負傷させたときに限る。)の罪又は従前の例による平成二十九年改正前刑法第二百四十一条前段の罪若しくはその未遂罪は、新刑事訴訟法第二百五十条第三項第一号に掲げる罪とみなす。

3 附則第二条第一項の規定によりなお従前の例によることとされる場合における旧刑法第百七十六条から第百七十八条までの罪若しくはこれらの罪の未遂罪又は従前の例による平成二十九年改正前刑法第百七十八条の二の罪若しくはその未遂罪、従前の例による平成二十九年改正前刑法第百八十一条第三項の罪若しくは従前の例による平成二十九年改正前刑法第二百四十一条の罪若しくはその未遂罪の被害者は、新刑事訴訟法第三百二十一条の三第一項の規定の適用については、同項第一号イに掲げる者とみなす。

 (公訴時効に関する経過措置)

第五条 第二条改正後刑事訴訟法第二百五十条第三項及び第四項の規定は、第二条の規定の施行の際既にその公訴の時効が完成している罪については、適用しない。

2 第二条改正後刑事訴訟法(施行日以後においては新刑事訴訟法)第二百五十条第三項及び第四項の規定は、刑法等の一部を改正する法律(平成十六年法律第百五十六号)附則第三条第二項の規定にかかわらず、第二条の規定の施行の際その公訴の時効が完成していない罪についても、適用する。

 (風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部改正)

第六条 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)の一部を次のように改正する。

  第四条第一項第二号ロ中「第百八十二条」を「第百八十三条」に改める。

 (旅館業法の一部改正)

第七条 旅館業法(昭和二十三年法律第百三十八号)の一部を次のように改正する。

  第八条第一号中「又は第百八十二条」を「、第百八十二条又は第百八十三条」に改める。

 (組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部改正)

第八条 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号)の一部を次のように改正する。

  別表第三第二号カ中「から第百七十八条まで(強制わいせつ、強制性交等、準強制わいせつ及び準強制性交等)」を「(不同意わいせつ)又は第百七十七条(不同意性交等)」に改める。

 (組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部改正に伴う経過措置)

第九条 附則第二条第一項の規定によりなお従前の例によることとされる場合における旧刑法第百七十六条から第百七十八条までの罪は、前条の規定による改正後の組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律第六条の二、別表第三及び別表第四の規定の適用については、同法別表第三第二号カに掲げる罪とみなす。

 (犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律の一部改正)

第十条 犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律(平成十二年法律第七十五号)の一部を次のように改正する。

  第二十三条第一項第二号イ中「から第百七十九条まで(強制わいせつ、強制性交等、準強制わいせつ及び準強制性交等、」を「(不同意わいせつ)、第百七十七条(不同意性交等)又は第百七十九条(」に改める。

 (犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律の一部改正に伴う経過措置)

第十一条 附則第二条第一項の規定によりなお従前の例によることとされる場合における旧刑法第百七十六条から第百七十八条までの罪は、刑事訴訟法等の一部を改正する法律附則第二十二条の規定による改正後の犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律第二十四条第一項の規定の適用については、同項第二号イに掲げる罪とみなす。

2 施行日から刑事訴訟法等の一部を改正する法律附則第一条第四号に掲げる規定の施行の日の前日までの間における前項の規定の適用については、同項中「罪は、刑事訴訟法等の一部を改正する法律附則第二十二条」とあるのは「罪は、前条」と、「第二十四条第一項」とあるのは「第二十三条第一項」とする。

 (インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律の一部改正)

第十二条 インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律(平成十五年法律第八十三号)の一部を次のように改正する。

  第八条第二号中「この法律」の下に「、刑法(明治四十年法律第四十五号)第百八十二条」を加える。

  第十八条第三項第一号中「この法律」の下に「、刑法第百八十二条」を加える。

 (心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律の一部改正)

第十三条 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成十五年法律第百十号)の一部を次のように改正する。

  第二条第一項第二号中「から第百八十条まで」を「、第百七十七条、第百七十九条又は第百八十条」に改める。

 (心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律の一部改正に伴う経過措置)

第十四条 附則第二条第一項の規定によりなお従前の例によることとされる場合における旧刑法第百七十六条から第百七十八条まで又は旧刑法第百八十条(旧刑法第百七十六条から第百七十八条までに係るものに限る。)に規定する行為は、前条の規定による改正後の心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第二条第一項の規定の適用については、同項第二号に掲げる行為とみなす。

 (教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律の一部改正)

第十五条 教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律(令和三年法律第五十七号)の一部を次のように改正する。

  第二条第三項第一号中「第百七十七条」を「第百七十七条第一項」に改め、同項第三号中「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」を「刑法第百八十二条の罪又は児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」に改める。

 (教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律の一部改正に伴う経過措置)

第十六条 前条の規定による改正後の教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律第二条第三項(第三号に係る部分に限る。)の規定は、この法律の施行前に行われた同号に規定する刑法第百八十二条の罪に当たる行為については、適用しない。

 (刑法等の一部を改正する法律の一部改正)

第十七条 刑法等の一部を改正する法律(令和四年法律第六十七号)の一部を次のように改正する。

  第二条のうち、刑法第百六十五条第一項、第百六十六条第一項、第百六十七条第一項、第百六十八条の二第一項、第百六十八条の三、第百六十九条、第百七十二条、第百七十四条、第百七十五条第一項及び第百七十六条の改正規定中「、第百七十五条第一項及び第百七十六条」を「及び第百七十五条第一項」に改め、同法第百七十七条の改正規定を削り、同法第百八十一条、第百八十二条、第百八十四条、第百八十六条並びに第百八十七条第一項及び第二項の改正規定中「第百八十二条」を「第百八十三条」に改める。

 (刑事訴訟法等の一部を改正する法律の一部改正)

第十八条 刑事訴訟法等の一部を改正する法律の一部を次のように改正する。

  第一条のうち刑事訴訟法第二百一条の次に一条を加える改正規定のうち第二百一条の二及び同法第二百七十一条の次に七条を加える改正規定のうち第二百七十一条の二中「から第百七十九条まで若しくは第百八十一条」を「、第百七十七条、第百七十九条、第百八十一条若しくは第百八十二条」に改める。

 (刑事訴訟法等の一部を改正する法律の一部改正に伴う経過措置)

第十九条 附則第二条第一項の規定によりなお従前の例によることとされる場合における旧刑法第百七十六条から第百七十八条までの罪又はこれらの罪の未遂罪に係る事件は、刑事訴訟法等の一部を改正する法律第一条の規定による改正後の刑事訴訟法(以下この項及び次項において「改正後の刑事訴訟法」という。)第二百一条の二第一項及び第二項、第二百七条の二、第二百七条の三第一項(第一号イに係る部分に限る。)並びに第四百二十九条第三項の規定の適用については改正後の刑事訴訟法第二百一条の二第一項第一号イに掲げる事件とみなし、改正後の刑事訴訟法第二百七十一条の二第一項、第二百七十一条の五第一項(第一号イに係る部分に限る。)、第二百七十一条の六、第二百七十一条の八第一項及び第四項、第二百九十九条の四第二項、第四項、第七項及び第九項、第二百九十九条の五第二項(第二号イに係る部分に限る。)並びに第三百十二条の二第一項、同条第四項において読み替えて準用する改正後の刑事訴訟法第二百七十一条の六第五項及び第二百七十一条の八第一項並びに改正後の刑事訴訟法第四百六十八条第四項の規定の適用については改正後の刑事訴訟法第二百七十一条の二第一項第一号イに掲げる事件とみなす。

2 附則第二条第一項の規定によりなお従前の例によることとされる場合における旧刑法第百七十六条から第百七十八条までの罪又はこれらの罪の未遂罪に係る事件は、刑事訴訟法等の一部を改正する法律附則第二十二条の規定による改正後の犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律第二十二条第一項及び第四十六条第一項の規定の適用については、改正後の刑事訴訟法第二百七十一条の二第一項第一号イに掲げる事件とみなす。

3 民事訴訟法等の一部を改正する法律(令和四年法律第四十八号)の施行の日の前日までの間における前項の規定の適用については、同項中「第四十六条第一項」とあるのは、「第四十二条第一項」とする。


     理 由

 近年における性犯罪をめぐる状況に鑑み、この種の犯罪に適切に対処するため、強制わいせつ罪及び準強制わいせつ罪並びに強制性交等罪及び準強制性交等罪をそれぞれ統合し、それらの構成要件を改めて不同意わいせつ罪及び不同意性交等罪とするとともに、十三歳以上十六歳未満の者にわいせつな行為又は性交等をした当該者より五歳以上年長の者に対する不同意わいせつ罪又は不同意性交等罪としての処罰を可能とする等の処罰規定の整備を行い、あわせて、性犯罪について公訴時効の期間を延長する等の刑事訴訟法の規定の整備を行う必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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