第二一三回
衆第一一号
デジタル歳入給付庁の設置による内国税・保険料等の徴収等に関する業務及び公的給付の支給等に関する業務の効率化等の推進に関する法律案
(目的)
第一条 この法律は、情報通信技術を用いた情報の活用等により内国税・保険料等の徴収等に関する業務及び公的給付の支給等に関する業務を一元的に行うデジタル歳入給付庁の設置に関する基本的な事項について定めることにより、内国税・保険料等の徴収等に関する業務及び公的給付の支給等に関する業務の効率化その他の行政運営の効率化並びに国民の利便性の向上を推進することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「内国税・保険料等の徴収等に関する業務」とは、次に掲げる事務又は業務をいう。
一 内国税の賦課及び徴収に関する事務その他の国税庁が所掌している事務
二 厚生労働省が所掌している労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)による労働者災害補償保険事業及び雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)による雇用保険事業に関する事務のうち、労働者災害補償保険法による労働者災害補償保険及び雇用保険法による雇用保険の保険料(第五条第三項において「労働保険料」という。)等の徴収に関する事務その他その徴収に関し必要となる事務
三 日本年金機構が行っている業務のうち、厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)による厚生年金保険及び国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)による国民年金の保険料並びに健康保険法(大正十一年法律第七十号)による全国健康保険協会が管掌する同法による健康保険及び船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)による船員保険の保険料(第五条第三項において「年金保険料等」という。)その他徴収金の徴収に関する業務、厚生年金保険法による厚生年金保険及び国民年金法による国民年金の被保険者の資格並びに健康保険法による全国健康保険協会が管掌する同法による健康保険及び船員保険法による船員保険の被保険者の資格に関する業務その他これらに関し必要となる業務
2 この法律において「公的給付の支給等に関する業務」とは、各行政機関の長等(公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律(令和三年法律第三十八号)第二条第一項に規定する行政機関の長等をいう。)が行っている公的給付の支給等(同条第二項に規定する公的給付の支給等をいう。第五条第三項において同じ。)に関する事務又は業務をいう。
3 この法律において「情報通信技術を用いた情報の活用等」とは、デジタル社会形成基本法(令和三年法律第三十五号)第二条に規定する情報通信技術を用いた情報の活用及び高度情報通信ネットワークの利用をいう。
(デジタル歳入給付庁の設置)
第三条 内閣府に、その外局としてデジタル歳入給付庁を置くものとし、政府は、このために必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。
2 デジタル歳入給付庁は、令和七年度中に置かれるものとする。
(デジタル歳入給付庁が一元的に行う事務又は業務)
第四条 次に掲げる事務又は業務については、デジタル歳入給付庁において情報通信技術を用いた情報の活用等により一元的に行うものとする。
一 内国税・保険料等の徴収等に関する業務
二 公的給付の支給等に関する業務
三 前二号に掲げるもののほか、これらと一元的に行うことが行政運営の効率化及び国民の利便性の向上に資する事務又は業務
2 前項第三号に掲げる事務又は業務を定めるに当たっては、労働者災害補償保険法による保険給付及び雇用保険法による失業等給付に関する事務並びに厚生年金保険法による年金である保険給付及び国民年金法による年金である給付に関する業務並びに健康保険法及び船員保険法による保険給付に関する業務を第二条第一項第二号に掲げる事務及び同項第三号に掲げる業務と一元的に行うことが、行政運営の効率化及び国民の利便性の向上に資することを考慮するものとする。
(デジタル歳入給付庁が事務又は業務を行うに当たっての体制の整備等)
第五条 前条第一項各号に掲げる事務又は業務の実施に必要な情報の収集に当たっては、行政運営の効率化及び国民の利便性の向上を図りつつ国民が納得できるより公正な給付と負担の確保を図る観点から、情報通信技術を用いた情報の活用等により、個人の所得及び資産を適確に把握することができる体制を整備するものとする。
2 デジタル歳入給付庁が収集した個人の所得及び資産に関する情報については、行政運営の効率化及び国民の利便性の向上を図りつつ国民が納得できるより公正な給付と負担の確保を図る観点から、公的給付の支給等に関する業務その他これらに関し必要となる事務又は業務の実施のための基礎となる情報として活用されるものとする。
3 前条第一項各号に掲げる事務又は業務のうち、内国税並びに労働保険料及び年金保険料等の納付を行う者並びに公的給付の支給等を受ける者の利便性の向上を図りつつ業務の効率化を進める観点から民間に委託することが適当な事務又は業務については、民間への委託をすることができるものとする。
(デジタル歳入給付庁の職員の定員等)
第六条 デジタル歳入給付庁の職員の定員は、デジタル歳入給付庁が設置される直前における国税庁の職員の定員にできる限り近い必要最小限の数とするものとする。
2 デジタル歳入給付庁の設置に伴い退職をする者が生じる場合においては、当該退職に際し、適切な配慮がなされるものとする。
(地方税の徴収事務の委託に関する制度の導入)
第七条 政府は、地方公共団体が地方税の徴収に関する事務をデジタル歳入給付庁に委託することができる制度を導入するものとし、このために必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。
附 則
この法律は、公布の日から施行する。
理 由
情報通信技術を用いた情報の活用等により内国税・保険料等の徴収等に関する業務及び公的給付の支給等に関する業務を一元的に行うデジタル歳入給付庁の設置に関する基本的な事項について定めることにより、内国税・保険料等の徴収等に関する業務及び公的給付の支給等に関する業務の効率化その他の行政運営の効率化並びに国民の利便性の向上を推進する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。