衆議院

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第二一三回

衆第一六号

   政治資金規正法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案

 (政治資金規正法の一部改正)

第一条 政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)の一部を次のように改正する。

  第八条の二の次に次の一条を加える。

  (渡切りの方法による支出の禁止)

 第八条の二の二 政治団体の経費の支出は、当該政治団体の役職員又は構成員に対する渡切りの方法によつては、することができない。

  第十二条第一項第一号中「すべて」を「全て」に改め、同号ト及びチ中「二十万円」を「五万円」に改める。

  第十三条の次に次の一条を加える。

  (特定支出報告書の提出)

 第十三条の二 第十二条第一項(第二号に係る部分に限る。)の規定にかかわらず、政党の会計責任者は、当該政党に係る支出のうち、当該政党の政治的勢力の伸張、政策の立案又は調査研究を目的とする支出であつて、その支出を受けた者の氏名又は住所が明らかにされることにより当該政党の政治活動に重大な支障を生ずるおそれがあると認めるもの(以下この条において「特定支出」という。)については、その金額の合計額が各年中において次に掲げる額のいずれか少ない額を超えない範囲内で、その支出を受けた者の氏名及び住所に代えて当該支出が特定支出である旨を同項の報告書に記載することができる。この場合において、当該特定支出については、同条第二項の規定は、適用しない。

  一 五千万円

  二 特定支出の支出があつた年分としてその政党に対して交付すべき政党交付金の額の百分の一に相当する額又はこれに相当する額として政令で定める額

 2 前項の場合においては、政党の会計責任者は、第十二条第一項の報告書とともに特定支出についてその支出を受けた者の氏名及び住所並びに当該支出の目的、金額及び年月日を記載した報告書(以下「特定支出報告書」という。)を提出しなければならない。

 3 前項の規定により特定支出報告書を提出するときは、政党の会計責任者は、特定支出について、総務省令で定めるところにより、次に掲げる書面を併せて提出しなければならない。

  一 特定支出の支出を受けた者の氏名又は住所が明らかにされることによりその政党の政治活動に重大な支障を生ずるおそれがあると認める旨及びその理由を記載した書面

  二 領収書等の写し(領収書等を徴し難い事情があつたときは、領収書等を徴し難かつた支出の明細書又は当該支出の目的を記載した書面及び振込明細書の写し)

  第四章中第二十条の三の次に次の三条を加える。

  (特定支出報告書の公表)

 第二十条の四 特定支出報告書を受理したときから十年を経過したときは、総務大臣又は都道府県の選挙管理委員会は、当該特定支出報告書を、インターネットを利用する方法により公表しなければならない。

 2 前項の規定による公表は、同項の規定により特定支出報告書を公表した日から同日以後三年を経過する日(次条第一項及び第二項において「経過日」という。)までの間、継続して行うものとする。

  (特定支出報告書の保存及び閲覧等)

 第二十条の五 特定支出報告書及び第十三条の二第三項各号に掲げる書面は、これらを受理した総務大臣又は都道府県の選挙管理委員会において、経過日まで保存しなければならない。

 2 何人も、前条第一項の規定により特定支出報告書が公表された日から経過日までの間、総務大臣の場合にあつては総務省令で定めるところにより、都道府県の選挙管理委員会の場合にあつては当該選挙管理委員会の定めるところにより、当該特定支出報告書の閲覧又は写しの交付を請求することができる。

 3 前項の規定により総務大臣に対して写しの交付を請求しようとする者は、実費の範囲内において政令で定める額の手数料を納付しなければならない。

  (特定支出報告書等に係る情報の公開)

 第二十条の六 特定支出報告書又は第十三条の二第三項各号に掲げる書面(次項において「特定支出報告書等」という。)で第二十条の四第一項の規定により当該特定支出報告書が公表される前のものに係る行政機関の保有する情報の公開に関する法律第三条の規定による開示の請求があつた場合においては、当該特定支出報告書が公表される日前は同法第九条第一項の決定を行わない。

 2 都道府県は、前項の規定の例により、特定支出報告書等に係る情報の開示を行うものとする。

  第二十一条の見出し中「寄附の制限」を「寄附等の禁止」に改め、同条第一項中「、政党及び政治資金団体以外の者に対しては」を削り、「政治活動に関する寄附」の下に「又は政治資金パーティーの対価の支払」を加え、同条第二項中「寄附」の下に「及び政治資金パーティーの対価の支払」を加え、同条第三項中「(政党及び政治資金団体に対するものを除く。)」を「又は政治資金パーティーの対価の支払」に改める。

  第二十一条の二第二項を削る。

  第二十二条第一項中「五千万円」を「千万円」に改める。

  第二十二条の八第一項中「一の政治資金パーティーにつき」を「各年中において」に、「百五十万円」を「百万円」に改め、同条第三項中「政治資金パーティーの対価の支払をする場合において、一の政治資金パーティーにつき、百五十万円」を「各年中において、同一の者に対し、百万円」に改め、「当該」を削る。

 (租税特別措置法の一部改正)

第二条 租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)の一部を次のように改正する。

  第四十一条の十八に次の一項を加える。

 7 第一項の規定については、同項第四号イ中「衆議院議員、参議院議員、都道府県の議会の議員、都道府県知事又は地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市の議会の議員若しくは市長の職」を「公職選挙法第三条に規定する公職」に改め、「おいて」の下に「単に」を加える改正措置が、速やかに講ぜられるものとする。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、令和八年一月一日から施行する。ただし、次条から附則第四条までの規定は、公布の日から施行する。

 (経過措置)

第二条 この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。

 (関係法律の整備)

第三条 この法律の施行に関し必要な罰則の規定の整備その他関係法律(この法律を含む。)の整備については、別に法律で定める。

 (検討)

第四条 第一条の規定による改正後の政治資金規正法第十三条の二第一項の特定支出の支出が法令の規定に従って行われているかどうか等を独立した公正な立場において検証し及び監査するための新たな機関の設置その他政治資金の収支の報告が適正に行われるようにするための政治資金の監査の在り方については、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。


     理 由

 今般の政治資金をめぐる諸問題に鑑み、政治に対する国民の信頼の回復を図るため、企業・団体による寄附及び政治資金パーティーの対価の支払の禁止、政党及び政治資金団体以外の政治団体のする寄附の個別量的制限額の引下げ、政治資金パーティーの透明性及び公正性の確保のための対価支払者の公開基準額及び対価支払の上限額の引下げ並びに個人献金の促進のための税制上の優遇措置の拡充を行うほか、いわゆる政策活動費について政党等による候補者個人への寄附及び渡切りの方法による支出を禁止するとともに、限度額と使途の限定を設けた上で政党に係る支出を受けた者の氏名及び住所の公表を十年後とする「特定支出」の制度を設ける必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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