衆議院

メインへスキップ



第二一三回

衆第二五号

   不払養育費の立替・取立制度の導入に関する法律案

 (趣旨)

第一条 この法律は、父母が離婚した場合等における子の貧困の防止及び子の心身の健全な発達のためには、子の監護に要する費用の支払を確保することが極めて重要であることに鑑み、不払養育費の立替・取立制度の導入に関し必要な基本的事項を定めるものとする。

 (定義)

第二条 この法律において「養育費債権」とは、民法等の一部を改正する法律(令和六年法律第三十三号)第一条の規定による改正後の民法(明治二十九年法律第八十九号。以下この条において「新民法」という。)第七百六十六条(新民法第七百四十九条、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務に係る金銭債権をいう。

2 この法律において「法定養育費債権」とは、新民法第七百六十六条の三(新民法第七百四十九条、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。次項において同じ。)の規定による子の監護に関する義務に係る金銭債権をいう。

3 この法律において「不払養育費の立替え」とは、法定養育費債権又は養育費債権(法定養育費相当額(新民法第七百六十六条の三第一項の額に相当する額をいう。次項において同じ。)を超えない部分に限る。)であって、履行期限を経過してもなおその全部又は一部が履行されていないものについて、債権者である父母の一方の請求に基づき、政府が、債務者である他の一方に代わってこれを弁済し、当該他の一方に対してその求償及び手数料の徴収を行うことをいう。

4 この法律において「不払養育費の取立て」とは、養育費債権(法定養育費相当額を超える部分に限る。)であって、履行期限を経過してもなおその全部又は一部が履行されていないものについて、債権者である父母の一方の請求に基づき、政府が、当該父母の一方に代わって債務者である他の一方に対してその取立て及び手数料の徴収を行い、当該父母の一方に対してその取り立てた金銭を引き渡すことをいう。

5 この法律において「不払養育費の立替・取立制度」とは、不払養育費の立替え及び不払養育費の取立てに係る制度をいう。

 (不払養育費の立替・取立制度の導入)

第三条 政府は、次に掲げるところにより不払養育費の立替・取立制度を導入するものとし、このために必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。

 一 別に法律で定めるところにより、不払養育費の立替・取立制度に関する事務を行わせるための法人として、不払養育費立替・取立機構を設立するものとすること。

 二 不払養育費立替・取立機構は、市町村(特別区を含む。)、弁護士(弁護士法人及び弁護士・外国法事務弁護士共同法人を含む。)、債権回収会社(債権管理回収業に関する特別措置法(平成十年法律第百二十六号)第二条第三項に規定する債権回収会社をいう。)その他の者に対し、その業務の一部を委託することができるものとすること。

 三 適正な請求の促進及び不正な利用の防止を図るものとすること。

 (地方公共団体に対する財政措置等)

第四条 政府は、父母が離婚した場合等における子の監護に要する費用の支払の確保に関する地方公共団体の施策を支援するために必要な財政上の措置その他の措置を講ずるものとする。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から施行する。

 (検討)

2 政府は、不払養育費の立替・取立制度における債務者に対する求償及び取立てをより実効的かつ円滑に行うことができるようにするため、国税滞納処分の例によって徴収する方法の導入について検討を加え、その結果に基づいて必要な法制上の措置を講ずるものとする。


     理 由

 父母が離婚した場合等における子の貧困の防止及び子の心身の健全な発達のためには、子の監護に要する費用の支払を確保することが極めて重要であることに鑑み、不払養育費の立替・取立制度の導入に関し必要な基本的事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.