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第二一三回

衆第二九号

   性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律の一部を改正する法律案

 性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律(令和四年法律第七十八号)の一部を次のように改正する。

 題名を次のように改める。

   性行為映像制作物に係る出演契約等に関する特則等に関する法律

 目次中「第四節 差止請求権(第十五条)」を

第四節 差止請求権(第十五条)

 

 

第五節 特定出演契約に関する特例(第十五条の二−第十五条の四)

に改める。

 第一条中「性行為映像制作物の制作公表により出演者の心身及び私生活に将来にわたって取り返しの付かない重大な被害が生ずるおそれがあり、また、現に生じていることに鑑み、」を「出演者の自由な意思に基づかない」に、「ために徹底した対策を講ずることが出演者の個人としての人格を尊重し、あわせてその心身の健康及び私生活の平穏その他の利益を保護するために不可欠であるとの認識の下に、性行為の強制の禁止並びに他の法令による契約の無効及び性行為その他の行為の禁止又は制限をいささかも変更するものではないとのこの法律の実施及び解釈の基本原則を明らかにした上で」を「ため」に、「厳格な規制を定める」を「出演契約等に関する」に、「定め、もって出演者の」を「定めることにより、出演者の個人としての人格を尊重し、あわせてその心身の健康及び私生活の平穏その他の利益を保護し、もってその」に改める。

 第二条に次の一項を加える。

9 この法律において「特定出演契約」とは、二十歳以上の出演者であって、過去に性行為映像制作物への出演をして、その性行為映像制作物の公表が行われたことがあるもの(第十五条の三第一項及び第十五条の四において「特定出演者」という。)が締結する出演契約をいう。

 第三条第一項中「、その行う性行為映像制作物の制作公表により出演者の心身及び私生活に将来にわたって取り返しの付かない重大な被害が生ずるおそれがあり、また、現に生じていることを深く自覚して」を削る。

 第二章に次の一節を加える。

    第五節 特定出演契約に関する特例

 (締結等に関する規定の適用除外及び出演契約書等の記載又は記録事項の特例)

第十五条の二 特定出演契約(その締結の日から一年以内に撮影が行われる性行為映像制作物に係る特定出演契約に限る。)については、第四条第一項及び第十条第一項の規定は、適用しない。この場合における第四条第三項及び第十三条第一項の規定の適用については、第四条第三項第二号中「予定する日時及び場所」とあるのは「行うことが見込まれる期間(当該出演契約の締結の日から一年以内の期間に限る。)及び場所」と、同項第三号中「なる」とあるのは「なることが見込まれる」と、同項第四号中「相手方」とあるのは「相手方となることが見込まれる者」と、第十三条第一項ただし書中「行われた日」とあるのは「行われた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)」とする。

2 前項の規定は、既に公表が行われている二以上の性行為映像制作物を編集して制作される性行為映像制作物に係る特定出演契約については、適用しない。

 (性行為映像制作物の撮影及び公表の時期を制限する規定の特例)

第十五条の三 特定出演契約に基づく特定出演者の性行為映像制作物への出演に係る撮影についての第七条第一項の規定の適用については、同項中「一月」とあるのは、「一週間」とする。

2 特定出演契約に基づく性行為映像制作物の公表についての第九条の規定の適用については、同条中「四月」とあるのは、「一週間」とする。

 (特定出演者の書面又は電磁的記録による承諾)

第十五条の四 次の各号に掲げる規定は、制作公表者が当該各号に定める時までに、当該各号に掲げる規定の適用を受けることについて特定出演者の書面又は電磁的記録による承諾を得た場合に限り、適用する。

 一 第十五条の二第一項の規定 特定出演契約を締結する時

 二 前条第一項の規定 特定出演者の性行為映像制作物への出演に係る撮影を行う時

 三 前条第二項の規定 性行為映像制作物の公表を行う時

 第十七条第一項中「から、」の下に「出演者の自由な意思に基づかない」を、「貧困」の下に「(出演者が受ける報酬の額が低廉であることによる貧困を含む。次条第一項において同じ。)」を加える。

 第十八条中「ほか、」の下に「出演者の自由な意思に基づかない」を加え、同条に次の一項を加える。

2 政府は、前項の措置の効果的な実施に資するよう、出演契約の締結及び性行為映像制作物の制作公表の実態に係る調査を行うものとする。

 第十九条中「地方公共団体は、」及び「通じて、」の下に「出演者の自由な意思に基づかない」を加える。

 附則第三条第三項中「前二項」を「前各項」に改め、「第二項」の下に「(同条第三項から第五項までの規定により読み替えられた場合を含む。)」を加え、同項を同条第六項とし、同条第二項の次に次の三項を加える。

3 第十五条の三第一項の規定の適用がある場合における特定出演契約に係る前項の規定の適用については、同項中「四年六月」とあるのは、「四年五月」とする。

4 第十五条の三第二項の規定の適用がある場合における特定出演契約に係る第二項の規定の適用については、同項中「四年六月」とあるのは、「四年二月」とする。

5 第十五条の三第一項の規定の適用があり、かつ、同条第二項の規定の適用がある場合における特定出演契約に係る第二項の規定の適用については、前二項の規定にかかわらず、第二項中「四年六月」とあるのは、「四年一月」とする。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日の翌日から施行する。

 (経過措置)

第二条 この法律による改正後の性行為映像制作物に係る出演契約等に関する特則等に関する法律(以下この条及び次条において「新法」という。)第十五条の三の規定は、この法律の施行前に締結された出演契約(新法第二条第六項に規定する出演契約をいう。次条において同じ。)で特定出演契約(新法第二条第九項に規定する特定出演契約をいう。)に相当するものに基づく特定出演者(同項に規定する特定出演者をいう。次条において同じ。)の性行為映像制作物への出演(新法第二条第三項に規定する性行為映像制作物への出演をいう。)に係る撮影及びその性行為映像制作物(同条第二項に規定する性行為映像制作物をいう。)の公表についても、適用する。

 (検討)

第三条 出演契約の任意解除等(新法第十三条第一項に規定する出演契約の任意解除等をいう。)に係る制度の在り方、新法第十五条の四の承諾が特定出演者の真意に出たものであることを確認するための方法その他の出演契約等に関する特則の在り方等については、この法律の施行後二年を目途として、新法の施行状況等を勘案し、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。

 (特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律の一部改正)

第四条 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律(令和六年法律第二十五号)の一部を次のように改正する。

  附則第九条(見出しを含む。)中「性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律」を「性行為映像制作物に係る出演契約等に関する特則等に関する法律」に改める。

 (調整規定)

第五条 この法律の施行の日が特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律の施行の日以後となる場合には、前条の規定は、適用しない。


     理 由

 性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律の施行を通じて明らかになった課題等に対応するため、題名及び目的規定等を改正するとともに、特定出演契約に関する特例の創設、政府に対する実態調査の義務付け等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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