衆議院

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第二一三回

閣第一七号

   二酸化炭素の貯留事業に関する法律案

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 貯留事業及び試掘

  第一節 貯留事業及び試掘の許可

   第一款 特定区域の指定並びに特定区域における貯留事業及び試掘の許可(第三条−第十一条)

   第二款 特定区域以外の区域における貯留事業及び試掘の許可(第十二条)

   第三款 禁止規定(第十三条)

   第四款 許可貯留区域等の増減等(第十四条−第二十三条)

  第二節 貯留権及び試掘権

   第一款 貯留権及び試掘権の設定等(第二十四条−第三十二条)

   第二款 貯留権及び試掘権の性質等(第三十三条−第三十六条)

  第三節 貯留事業及び試掘の実施

   第一款 貯留事業の実施(第三十七条−第五十二条)

   第二款 貯留事業の廃止等(第五十三条−第五十七条)

   第三款 試掘の実施等(第五十八条−第六十四条)

   第四款 機構の協力業務(第六十五条)

  第四節 保安

   第一款 貯留事業者等の義務等(第六十六条−第六十八条)

   第二款 自主的な保安(第六十九条−第七十四条)

   第三款 工事計画及び検査(第七十五条−第七十七条)

 第三章 導管輸送事業

  第一節 導管輸送事業の届出等(第七十八条−第八十四条)

  第二節 保安

   第一款 導管輸送事業者の義務等(第八十五条−第八十七条)

   第二款 自主的な保安(第八十八条・第八十九条)

   第三款 工事計画及び検査(第九十条−第九十二条)

  第三節 登録導管輸送工作物検査機関(第九十三条−第百六条)

 第四章 貯留層の探査(第百七条−第百十五条)

 第五章 土地の使用及び収用(第百十六条−第百二十三条)

 第六章 損害の賠償(第百二十四条−第百二十九条)

 第七章 雑則(第百三十条−第百三十九条)

 第八章 罰則(第百四十条−第百四十八条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、世界的規模でエネルギーの脱炭素化に向けた取組等が進められる中で、エネルギー及び鉱物資源の利用による環境への負荷の程度を低減させることが重要となっていることに鑑み、二酸化炭素の貯留層における安定的な貯蔵を確保するための措置その他の貯留事業及び導管輸送事業の適正な運営を確保するための措置、これらの事業の用に供する工作物等についての保安に関する規制の措置等を講ずることにより、これらの事業の健全な発達及び海洋環境の保全を図り、並びに公共の安全を確保し、もって国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において「貯留層」とは、その内部及び周辺の地層の温度、圧力その他の性質が二酸化炭素(二酸化炭素がその大部分を占める流体を含む。以下同じ。)の安定的な貯蔵に適している地下の地層をいう。

2 この法律において「貯留事業」とは、二酸化炭素を貯留層に貯蔵する事業をいう。

3 この法律において「貯留区域」とは、貯留層の全部又は一部をその区域に含む地下の一定の範囲における立体的な区域であって、貯留事業の用に供するものをいう。

4 この法律において「試掘」とは、地下の地層が貯留層に該当するかどうかを調査するため、当該地層を掘削すること(当該地層を構成する砂岩その他の岩石を採取することを含み、当該地層における二酸化炭素の貯蔵を伴わないものに限る。)をいう。

5 この法律において「試掘区域」とは、地下の一定の範囲における立体的な区域であって、試掘の用に供するものをいう。

6 この法律において「貯留等工作物」とは、坑井、掘削用機械、圧送機、配管その他の工作物及びこれらの附属設備であって、貯留事業又は試掘の用に供するものをいう。

7 この法律において「貯留権」とは、貯留区域内の貯留層における貯留事業の用に供する貯留等工作物を当該貯留区域に設置し、及び運用し、並びに当該貯留層に二酸化炭素を貯蔵する権利をいう。

8 この法律において「試掘権」とは、試掘区域における試掘の用に供する貯留等工作物を当該試掘区域に設置し、及び運用し、並びに当該試掘区域において試掘を行う権利をいう。

9 この法律において「導管輸送事業」とは、二酸化炭素を貯留層(外国における貯留層に相当するものを含む。)に貯蔵することを目的として、導管により当該二酸化炭素を輸送する事業をいう。

10 この法律において「導管輸送工作物」とは、導管その他の工作物及びこれらの附属設備であって、導管輸送事業の用に供するものをいう。

   第二章 貯留事業及び試掘

    第一節 貯留事業及び試掘の許可

     第一款 特定区域の指定並びに特定区域における貯留事業及び試掘の許可

 (特定区域の指定)

第三条 経済産業大臣は、貯留層が存在し、又は存在する可能性がある区域について、当該貯留層における二酸化炭素の貯蔵により公共の利益の増進を図るためには、当該区域内の当該貯留層における貯留事業又は当該区域における試掘を最も適切に行うことができる者(以下「特定事業者」という。)を選定し、その特定事業者に当該区域における貯留事業又は試掘(以下「貯留事業等」という。)を行わせる必要があると認めるときは、当該区域を特定区域として指定することができる。

2 前項の規定による指定は、その指定の際現にある他の特定区域又は第五条第一項第四号に規定する許可貯留区域等(特定区域以外の区域に存するものに限る。)の直上の区域と重複していない区域に限ってするものとする。

3 経済産業大臣は、第一項の規定による指定(海域に係るものに限る。)をしようとするときは、あらかじめ、環境大臣に協議し、その同意を得なければならない。

4 経済産業大臣は、第一項の特定区域を指定したときは、特定区域ごとに、特定事業者の募集に係る実施要項(以下単に「実施要項」という。)を定めなければならない。

5 実施要項は、次に掲げる事項を定めるものとする。

 一 特定区域の所在地

 二 特定区域の面積

 三 特定区域において行わせる貯留事業又は試掘の別

 四 特定事業者の募集を開始する日及び募集の期間

 五 特定事業者を選定するための評価の基準

 六 その他経済産業省令で定める事項

6 前項第四号に規定する期間は、三月を下らない期間を定めるものとする。ただし、経済産業省令で定める緊急を要する特別の事情があるときは、この限りでない。

7 第五項第五号に規定する評価の基準は、募集に係る特定区域における貯留事業等の適切な実施の確保その他の公共の利益の増進を図る見地から定めるものとする。

8 経済産業大臣は、第一項の規定により特定区域を指定し、又は第四項の規定により実施要項を定めたときは、遅滞なく、特定区域を表示する図面と併せてこれらを公示しなければならない。これらを変更し、特定区域の指定を解除し、又は実施要項を廃止したときも、同様とする。

9 第二項及び第三項の規定は、特定区域の変更について準用する。

 (貯留事業等の許可の申請)

第四条 前条第一項の規定により指定された特定区域(特定区域の変更があったときは、その変更後のもの。第十一条を除き、以下同じ。)において貯留事業等を行おうとする者は、当該特定区域に係る実施要項に従って、経済産業大臣に申請して、貯留事業については貯留区域ごとに、試掘については試掘区域ごとに、それぞれその許可を受けなければならない。

2 前項の規定による申請をしようとする者は、経済産業省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を、経済産業大臣に提出しなければならない。

 一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

 二 当該申請に係る貯留区域又は試掘区域(以下この条、次条第一項及び第七条第二号において「申請貯留区域等」という。)

 三 貯留事業等の開始の予定年月日

 四 貯留事業等の概要

3 前項の申請書には、経済産業省令で定めるところにより、次に掲げる書類を添付しなければならない。

 一 事業計画書

 二 申請貯留区域等を表示する図面

 三 申請貯留区域等の全部又は一部が、この法律又は他の法律によって土地を使用し、又は収用することができる事業の用に供されているときは、当該事業の用に供する者の意見書

 四 申請貯留区域等の利用について法令の規定による制限があるときは、当該法令の施行について権限を有する行政機関の長の意見書

 五 その他経済産業省令で定める書類

4 前項第二号の規定による申請貯留区域等の表示は、当該申請貯留区域等に係る土地又はこれに定着する物件に関して所有権その他の権利を有する者が、自己の権利に係る土地の地下が当該申請貯留区域等に含まれ、又は自己の権利に係る物件が当該申請貯留区域等若しくはその直上の区域にあることを容易に判断できるものでなければならない。

5 第三項第三号及び第四号に掲げる意見書は、貯留事業等を行おうとする者が意見を求めた日から三週間を経過してもこれを得ることができなかったときは、添付することを要しない。この場合においては、意見書を得ることができなかった事情を疎明する書類を添付しなければならない。

 (特定事業者の選定等)

第五条 経済産業大臣は、前条第二項の申請書を受理したときは、その申請に係る募集の期間の終了後遅滞なく、その申請が次に掲げる基準に適合しているかどうかを審査しなければならない。

 一 申請者が、申請貯留区域等における貯留事業等を適確に遂行するに足りる経理的基礎及び技術的能力を有し、かつ、十分な社会的信用を有すること。

 二 申請者が次のいずれにも該当しないこと。

  イ この法律に規定する罪を犯し、刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者

  ロ 第十九条第三項の規定により貯留事業等の許可(前条第一項、第十条第一項又は第十二条第一項の許可をいう。以下同じ。)を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者

  ハ 貯留事業等の許可を受けた者(以下「貯留事業者等」という。)で法人であるものが第十九条第三項の規定により貯留事業等の許可を取り消された場合において、その取消しの日前三十日以内に当該貯留事業者等の役員であった者で、その取消しの日から五年を経過しないもの

  ニ 貯留事業者等で法人であるものが第十九条第三項の規定により貯留事業等の許可を取り消された場合において、その取消しの原因となった事実が発生した当時現に当該貯留事業者等の親会社等(その法人の経営を実質的に支配することが可能となる関係にある法人として政令で定めるものをいう。チ並びに第百八条第二号ニ及びチにおいて同じ。)であった法人で、その取消しの日から五年を経過しないもの

  ホ 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第六号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者(ト並びに第百八条第二号ホ及びトにおいて「暴力団員等」という。)

  ヘ 法人であって、その業務を行う役員のうちにイからハまで又はホのいずれかに該当する者があるもの

  ト 暴力団員等がその事業活動を支配する者

  チ 法人であって、その者の親会社等がイ、ロ、ニ、ヘ又はトのいずれかに該当するもの

 三 貯留事業に係る申請にあっては、その申請に係る貯留区域内の貯留層において、二酸化炭素の安定的な貯蔵が行われることが見込まれること。

 四 申請貯留区域等が他人の許可貯留区域等(貯留事業等の許可に係る貯留区域又は試掘区域をいう。以下同じ。)と隣接する場合においては、当該申請貯留区域等における貯留事業等を行うことが当該他人の許可貯留区域等における貯留事業等の実施を著しく妨害するものでないこと。

 五 申請貯留区域等の直上の区域が、他人の鉱区(鉱業法(昭和二十五年法律第二百八十九号)第五条に規定する鉱区をいう。以下同じ。)と重複し、又は隣接する場合においては、当該申請貯留区域等における貯留事業等を行うことが当該他人の鉱区における鉱業(同法第四条に規定する鉱業をいう。以下同じ。)の実施を著しく妨害するものでないこと。

 六 申請貯留区域等における貯留事業等を行うことが、農業、漁業その他の産業の利益を損じ、公共の福祉に反するものでないこと。

 七 前各号に掲げるもののほか、申請貯留区域等における貯留事業等を行うことが内外の社会的経済的事情に照らして著しく不適切であり、公共の利益の増進に支障を及ぼすおそれがあるものでないこと。

2 経済産業大臣は、前項の規定により審査した結果、その申請が同項各号に掲げる基準に適合していると認められるときは、第三条第五項第五号に規定する評価の基準に従って、その適合していると認められた全ての申請について評価を行うものとする。

3 経済産業大臣は、前条第一項の規定による申請(海域の貯留層における貯留事業に係るものに限る。)について前項の評価を行おうとするときは、その申請が第一項第一号(経理的基礎及び技術的能力に係る部分に限る。)及び第三号に掲げる基準に適合していることについて、あらかじめ、環境大臣に協議し、その同意を得なければならない。

4 経済産業大臣は、第二項の評価に従い、特定区域における貯留事業等を最も適切に行うことができると認められる者を選定し、その者に対し、前条第一項の許可をするものとする。

5 経済産業大臣は、前条第一項の許可をしたときは、当該許可を受けた者以外の者がした申請については、同項の許可を与えないこととし、遅滞なく、その旨及びその理由を、その者に通知するものとする。

 (関係都道府県知事への協議等)

第六条 経済産業大臣は、第四条第一項の許可をしようとするときは、その申請に係る貯留事業等について関係のある都道府県知事に協議しなければならない。

2 経済産業大臣は、第四条第一項の許可をしようとする場合において、同条第五項の規定により意見書の添付がなかったときその他必要があると認めるときは、同条第三項第三号の事業の用に供する者又はその申請に係る貯留事業等について関係のある行政機関の長(前項に規定する都道府県知事を除く。)の意見を求めなければならない。ただし、同号の事業の用に供する者については、その者を確知することができないときその他その意見を求めることができないときは、この限りでない。

3 第一項に規定する都道府県知事又は前項に規定する行政機関の長は、第四条第一項の許可について、経済産業大臣に対して意見を述べることができる。

 (公告及び縦覧)

第七条 経済産業大臣は、第四条第一項の許可をしようとするときは、その申請に係る次に掲げる事項を公告し、公告の日から一月間これらの事項を公衆の縦覧に供しなければならない。

 一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

 二 申請貯留区域等を表示する図面

 三 貯留事業等の概要

 四 その他経済産業省令で定める事項

 (利害関係人の意見書の提出)

第八条 前条の規定による公告があったときは、第四条第一項の許可について利害関係を有する者は、前条の縦覧期間内に、経済産業大臣に意見書を提出することができる。

 (試掘の許可の有効期間及び更新)

第九条 第四条第一項の許可(試掘に係るものに限る。)の有効期間は、当該許可の日から起算して四年とする。

2 前項に規定する許可の有効期間の満了後引き続き当該許可に係る試掘を行おうとする者は、有効期間の満了前に、経済産業省令で定めるところにより、当該許可の更新を受けなければならない。

3 前項の更新の申請をしようとする者は、経済産業省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を、経済産業大臣に提出しなければならない。

 一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

 二 第一項に規定する許可に係る試掘区域

 三 試掘を開始した年月日

 四 試掘の概要

4 経済産業大臣は、第二項の更新の申請が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、その更新をしてはならない。

 一 誠実に試掘をした事実又はやむを得ない理由により試掘の事業に着手していない場合には当該事業の準備をした事実が明らかであると認めるとき。

 二 試掘区域内の地下の地層が貯留層に該当するかどうかを調査するため更に試掘を継続する必要があると認めるとき。

5 第四条第三項から第五項までの規定は第三項の申請書並びに当該申請書に係る試掘及び試掘区域について、第六条から前条までの規定は第二項の更新並びに当該更新に係る試掘及び試掘区域について、それぞれ準用する。

6 第二項の規定によりその更新を受けた場合における第一項に規定する許可の有効期間は、当該更新前の許可の有効期間が満了する日の翌日から起算して二年を経過する日までの期間とする。

 (試掘の許可を受けた者による貯留事業の許可の申請)

第十条 第四条第一項の許可(試掘に係るものに限る。)を受けた者は、その試掘区域における試掘の状況を踏まえ、当該試掘区域内の貯留層における貯留事業を行おうとするときは、経済産業大臣に申請して、貯留区域ごとに、その許可を受けなければならない。

2 前項の規定による申請をしようとする者は、経済産業省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を、経済産業大臣に提出しなければならない。

 一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

 二 当該申請に係る貯留区域(次項及び第五項において「申請貯留区域」という。)

 三 貯留事業の開始の予定年月日

 四 貯留事業の概要

3 経済産業大臣は、第一項の規定による申請が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、その申請を許可してはならない。

 一 申請者が、申請貯留区域内の貯留層における貯留事業を適確に遂行するに足りる経理的基礎及び技術的能力を有し、かつ、十分な社会的信用を有すること。

 二 申請者が第五条第一項第二号イからチまでのいずれにも該当しないこと。

 三 申請貯留区域がなお試掘を要するものでないこと。

 四 申請貯留区域内の貯留層において、二酸化炭素の安定的な貯蔵が行われることが見込まれること。

 五 申請貯留区域が他人の許可貯留区域等と隣接する場合においては、当該申請貯留区域内の貯留層における貯留事業を行うことが当該他人の許可貯留区域等における貯留事業等の実施を著しく妨害するものでないこと。

 六 申請貯留区域の直上の区域が、他人の鉱区と重複し、又は隣接する場合においては、当該申請貯留区域内の貯留層における貯留事業を行うことが当該他人の鉱区における鉱業の実施を著しく妨害するものでないこと。

 七 申請貯留区域内の貯留層における貯留事業を行うことが、農業、漁業その他の産業の利益を損じ、公共の福祉に反するものでないこと。

 八 前各号に掲げるもののほか、申請貯留区域内の貯留層における貯留事業を行うことが内外の社会的経済的事情に照らして著しく不適切であり、公共の利益の増進に支障を及ぼすおそれがあるものでないこと。

4 経済産業大臣は、第一項の規定による申請(海域の貯留層における貯留事業に係るものに限る。)について同項の許可をしようとするときは、その申請が前項第一号(経理的基礎及び技術的能力に係る部分に限る。)及び第四号に掲げる基準に適合していることについて、あらかじめ、環境大臣に協議し、その同意を得なければならない。

5 第四条第三項から第五項までの規定は第二項の申請書並びに当該申請書に係る貯留事業及び申請貯留区域について、第六条から第八条までの規定は第一項の許可並びに当該許可に係る貯留事業及び申請貯留区域について、それぞれ準用する。

 (特定区域の指定及び変更の提案)

第十一条 特定区域以外の区域において貯留事業等を行おうとする者は、当該区域に貯留層が存在し、又は存在する可能性があると思料するときは、経済産業省令で定めるところにより、経済産業大臣に対し、当該区域を特定区域として指定し、又は特定区域を変更することを提案することができる。

2 経済産業大臣は、前項の規定による提案が行われた場合において、当該提案に係る区域について特定区域として指定をしないこととしたとき、又は当該提案に係る特定区域の変更をしないこととしたときは、遅滞なく、その旨及びその理由を、当該提案をした者に通知するものとする。

     第二款 特定区域以外の区域における貯留事業及び試掘の許可

第十二条 鉱物(鉱業法第三条第一項に規定する鉱物をいう。次条第一項において同じ。)のうち石油、可燃性天然ガスその他の政令で定めるものについて同法第二十一条第一項、第四十条第三項若しくは第七項又は第四十一条第一項の規定により採掘権の設定を受けた者は、その鉱区であって特定区域以外の区域に存するものにおいて貯留事業等を行おうとするときは、経済産業大臣に申請して、貯留事業については貯留区域ごとに、試掘については試掘区域ごとに、それぞれその許可を受けることができる。

2 前項の規定による申請をしようとする者は、経済産業省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を、経済産業大臣に提出しなければならない。

 一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

 二 当該申請に係る貯留区域又は試掘区域(以下この条において「申請貯留区域等」という。)

 三 申請貯留区域等において行おうとする貯留事業又は試掘の別

 四 貯留事業等の開始の予定年月日

 五 貯留事業等の概要

3 経済産業大臣は、第一項の規定による申請が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、その申請を許可してはならない。

 一 申請貯留区域等において貯留層が存在し、又は存在する可能性があり、かつ、公共の利益の増進を図るためには、当該申請貯留区域等における貯留事業等を行わせる必要があると認められること。

 二 申請者が、申請貯留区域等における貯留事業等を適確に遂行するに足りる経理的基礎及び技術的能力を有し、かつ、十分な社会的信用を有すること。

 三 申請者が第五条第一項第二号イからチまでのいずれにも該当しないこと。

 四 貯留事業に係る申請にあっては、その申請に係る貯留区域内の貯留層において、二酸化炭素の安定的な貯蔵が行われることが見込まれること。

 五 申請貯留区域等が他人の許可貯留区域等と隣接する場合においては、当該申請貯留区域等における貯留事業等を行うことが当該他人の許可貯留区域等における貯留事業等の実施を著しく妨害するものでないこと。

 六 申請貯留区域等の直上の区域が、他人の鉱区と重複し、又は隣接する場合においては、当該申請貯留区域等における貯留事業等を行うことが当該他人の鉱区における鉱業の実施を著しく妨害するものでないこと。

 七 申請貯留区域等における貯留事業等を行うことが、農業、漁業その他の産業の利益を損じ、公共の福祉に反するものでないこと。

 八 前各号に掲げるもののほか、申請貯留区域等における貯留事業等を行うことが内外の社会的経済的事情に照らして著しく不適切であり、公共の利益の増進に支障を及ぼすおそれがあるものでないこと。

4 経済産業大臣は、第一項の規定による申請(海域の貯留層における貯留事業に係るものに限る。)について同項の許可をしようとするときは、その申請が前項第二号(経理的基礎及び技術的能力に係る部分に限る。)及び第四号に掲げる基準に適合していることについて、あらかじめ、環境大臣に協議し、その同意を得なければならない。

5 第四条第三項から第五項までの規定は第二項の申請書及び当該申請書に係る申請貯留区域等について、第六条から第八条までの規定は第一項の許可及び当該許可に係る申請貯留区域等について、それぞれ準用する。

6 第九条(第五項を除く。)の規定は第一項の許可(試掘に係るものに限る。)について、第四条第三項から第五項までの規定はこの項において準用する第九条第三項の申請書並びに当該申請書に係る試掘及び試掘区域について、第六条から第八条までの規定はこの項において準用する第九条第二項の更新並びに当該更新に係る試掘及び試掘区域について、それぞれ準用する。

     第三款 禁止規定

第十三条 貯留事業の許可(第四条第一項若しくは前条第一項の許可(貯留事業に係るものに限る。)又は第十条第一項の許可をいう。以下同じ。)を受けた者(以下「貯留事業者」という。)でなければ、貯留層における二酸化炭素の貯蔵を行ってはならない。ただし、鉱物の掘採に伴うものその他の経済産業省令で定める二酸化炭素の貯蔵については、この限りでない。

2 試掘の許可(第四条第一項又は前条第一項の許可(試掘に係るものに限る。)をいう。以下同じ。)を受けた者(以下「試掘者」という。)でなければ、試掘を行ってはならない。

     第四款 許可貯留区域等の増減等

 (許可貯留区域等の増減の許可の申請)

第十四条 貯留事業者等は、その許可貯留区域等の増減をしようとするときは、経済産業大臣に申請して、その許可を受けなければならない。

2 前項の規定による申請をしようとする貯留事業者等は、経済産業省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を、経済産業大臣に提出しなければならない。

 一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

 二 当該申請に係る増減をしようとする許可貯留区域(貯留事業の許可に係る貯留区域をいう。以下同じ。)又は許可試掘区域(試掘の許可に係る試掘区域をいう。以下同じ。)

 三 当該申請に係る増減後の貯留区域又は試掘区域(次項において「申請貯留区域等」という。)

 四 貯留事業等の概要

3 第四条第三項から第五項まで(許可貯留区域等の減少に係る申請にあっては、第三項第三号及び第四号並びに第五項を除く。)の規定は前項の申請書並びに当該申請書に係る許可貯留区域等の増減及び申請貯留区域等について、第六条から第八条までの規定は第一項の許可(許可貯留区域等の増加に係るものに限る。)及び当該許可に係る申請貯留区域等について、第十二条第三項(第一号及び第三号を除き、許可貯留区域等の減少に係る申請にあっては、第二号及び第四号に限る。)の規定は第一項の規定による申請及び当該申請に係る申請貯留区域等について、それぞれ準用する。

4 経済産業大臣は、第一項の規定による申請(海域の貯留層における貯留事業に係るものに限る。)について同項の許可をしようとするときは、その申請が前項において準用する第十二条第三項第二号(経理的基礎及び技術的能力に係る部分に限る。)及び第四号に掲げる基準に適合していることについて、あらかじめ、環境大臣に協議し、その同意を得なければならない。

5 第一項の規定による申請(抵当権の設定が登録されている貯留権に係る許可貯留区域の減少に係るものに限る。)は、あらかじめ抵当権者の承諾を得なければすることができない。

 (許可貯留区域の増減命令)

第十五条 経済産業大臣は、二酸化炭素の貯蔵の状況その他の事情を勘案して、貯留事業者の許可貯留区域を変更しなければ当該許可貯留区域内の貯留層における二酸化炭素の安定的な貯蔵ができないと認めるときその他貯留事業の適切な実施を確保するため必要があると認めるときは、当該貯留事業者に対し、前条第一項の規定による許可貯留区域の増減の申請をすべきことを命ずることができる。

 (許可貯留区域の分割及び合併の許可の申請)

第十六条 貯留事業者は、その許可貯留区域の分割又は合併をしようとするときは、経済産業大臣に申請して、その許可を受けなければならない。

2 前項の規定による申請をしようとする貯留事業者は、経済産業省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を、経済産業大臣に提出しなければならない。

 一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

 二 当該申請に係る分割又は合併をしようとする許可貯留区域

 三 当該申請に係る分割後又は合併後の貯留区域

 四 貯留事業の概要

3 前項の申請書には、経済産業省令で定めるところにより、次に掲げる書類を添付しなければならない。

 一 事業計画書

 二 前項第三号に掲げる貯留区域を表示する図面

 三 その他経済産業省令で定める書類

4 経済産業大臣は、第一項の規定による申請に係る分割後又は合併後の貯留区域内の貯留層における貯留事業が安定的に遂行されると見込まれるときでなければ、その申請を許可してはならない。

5 第一項の規定による申請(抵当権の設定が登録されている貯留権に係る許可貯留区域に係るものに限る。)は、あらかじめ抵当権者の承諾及び抵当権の順位に関する協定を経なければすることができない。

 (貯留事業等の譲渡及び譲受けの認可等)

第十七条 貯留事業者等が一の許可貯留区域等における貯留事業等の全部の譲渡を行う場合において、譲渡人及び譲受人があらかじめ当該譲渡及び譲受けについて経済産業省令で定めるところにより経済産業大臣の認可を受けたときは、譲受人は、貯留事業者等の地位を承継する。

2 貯留事業者等である法人の合併の場合(貯留事業者等である法人と貯留事業者等でない法人が合併する場合において、貯留事業者等である法人が存続するときを除く。)又は分割の場合(当該一の許可貯留区域等における貯留事業等の全部を承継させる場合に限る。)において、あらかじめ当該合併又は分割について経済産業省令で定めるところにより経済産業大臣の認可を受けたときは、合併後存続する法人若しくは合併により設立された法人又は分割により当該一の許可貯留区域等における貯留事業等の全部を承継した法人は、貯留事業者等の地位を承継する。

3 経済産業大臣は、前二項の認可の申請が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、これらの認可をしてはならない。

 一 当該一の許可貯留区域等における貯留事業等の全部を譲り受ける者又は合併後存続する法人若しくは合併により設立される法人若しくは分割により当該一の許可貯留区域等における貯留事業等の全部を承継する法人(以下この条において「譲受人等」という。)が、当該一の許可貯留区域等における貯留事業等を適確に遂行するに足りる経理的基礎及び技術的能力を有し、かつ、十分な社会的信用を有すること。

 二 譲受人等が第五条第一項第二号イからチまでのいずれにも該当しないこと。

 三 貯留事業の譲渡又は貯留事業者である法人の合併若しくは分割に係る申請にあっては、当該一の許可貯留区域内の貯留層において、二酸化炭素の安定的な貯蔵が行われることが見込まれること。

 四 前三号に掲げるもののほか、譲受人等が当該一の許可貯留区域等における貯留事業等を行うことが内外の社会的経済的事情に照らして著しく不適切であり、公共の利益の増進に支障を及ぼすおそれがあるものでないこと。

4 経済産業大臣は、第一項又は第二項の認可(海域の貯留層における貯留事業に係るものに限る。)をしようとするときは、その申請が前項第一号(経理的基礎及び技術的能力に係る部分に限る。)及び第三号に掲げる基準に適合していることについて、あらかじめ、環境大臣に協議し、その同意を得なければならない。

 (貯留事業者等の相続)

第十八条 貯留事業者等について相続があったときは、相続人(相続人が二人以上ある場合において、その全員の同意により当該貯留事業者等が行っていた貯留事業等を承継すべき相続人を選定したときは、その者。以下この条において同じ。)は、貯留事業者等の地位を承継する。

2 前項の規定により貯留事業者等の地位を承継した相続人は、経済産業省令で定めるところにより、被相続人の死亡後三月以内にその旨を経済産業大臣に届け出なければならない。

3 経済産業大臣は、前項の規定による届出が、次の各号に掲げる基準のいずれにも適合すると認めるときは、その旨をその届出をした者に通知し、いずれかに適合しないと認めるときは、貯留事業者等である相続人が行う全ての許可貯留区域等における貯留事業等(第一号及び第四号並びに次条第三項第五号において「相続貯留事業等」という。)を、その譲渡をするために通常必要と認められる期間として経済産業省令で定める期間内に譲渡すべき旨をその届出をした者に通知しなければならない。

 一 相続人が、相続貯留事業等を適確に遂行するに足りる経理的基礎及び技術的能力を有し、かつ、十分な社会的信用を有すること。

 二 相続人が第五条第一項第二号イからハまで又はホのいずれにも該当しないこと。

 三 相続人が貯留事業者の地位を承継した場合にあっては、その許可貯留区域内の貯留層において、二酸化炭素の安定的な貯蔵が行われることが見込まれること。

 四 前三号に掲げるもののほか、相続人が相続貯留事業等を行うことが内外の社会的経済的事情に照らして著しく不適切であり、公共の利益の増進に支障を及ぼすおそれがあるものでないこと。

4 経済産業大臣は、前項各号に掲げる基準のいずれにも適合する旨の通知(海域の貯留層における貯留事業に係るものに限る。)をしようとするときは、第二項の規定による届出が前項第一号(経理的基礎及び技術的能力に係る部分に限る。)及び第三号に掲げる基準に適合していることについて、あらかじめ、環境大臣に協議し、その同意を得なければならない。

 (貯留事業等の許可の取消し等)

第十九条 経済産業大臣は、貯留事業者等が行う貯留事業等が、農業、漁業その他の産業の利益を損じ、著しく公共の福祉に反するようになったと認めるときは、当該貯留事業等に係る許可貯留区域等のその部分について減少の処分をし、又は貯留事業等の許可を取り消さなければならない。

2 経済産業大臣は、貯留事業者等が行う貯留事業等が、他人が行う貯留事業等又は鉱業を著しく妨害するに至った場合において、他にその妨害を排除する方法がないと認めるときは、当該貯留事業者等が行う貯留事業等に係る許可貯留区域等のその部分について減少の処分をし、又は貯留事業等の許可を取り消すことができる。

3 経済産業大臣は、貯留事業者等が次の各号のいずれかに該当するときは、貯留事業等の許可を取り消すことができる。

 一 偽りその他不正の手段により貯留事業等の許可又は試掘の許可の更新を受けたとき。

 二 第五条第一項第一号、第十条第三項第一号又は第十二条第三項第二号(第十四条第三項において準用する場合を含む。)に掲げる基準(経理的基礎及び技術的能力に係る部分に限る。)のいずれかに適合しなくなったとき。

 三 第五条第一項第二号イからチまでのいずれかに該当するに至ったとき。

 四 前条第二項の規定による届出をしなかったとき。

 五 前条第三項の経済産業省令で定める期間内に相続貯留事業等の譲渡がされないとき。

 六 第三十七条第一項、同条第二項(第五十八条第三項において準用する場合を含む。)若しくは第五十八条第一項の規定に違反して貯留事業等の事業に着手しないとき、又は第三十七条第五項(第五十八条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反して引き続き一年以上休業したとき。

 七 第四十二条又は第六十三条の規定による命令に違反したとき。

 八 第百三十条第一項の規定により貯留事業等の許可に付された条件に違反したとき。

4 環境大臣は、海域の貯留層における貯留事業を行う貯留事業者が第五条第一項第一号、第十条第三項第一号若しくは第十二条第三項第二号(第十四条第三項において準用する場合を含む。)に掲げる基準(経理的基礎及び技術的能力に係る部分に限る。)のいずれかに適合しなくなったと認めるとき、又は第四十二条の規定による命令に違反したと認めるときは、経済産業大臣に対し、前項の規定による貯留事業の許可の取消しを求めることができる。

 (損失の補償)

第二十条 国は、前条第一項の規定による許可貯留区域等の減少の処分又は貯留事業等の許可の取消しによって損失を受けた貯留事業者等又は貯留事業者等であった者(以下この条において「損失を受けた者」という。)に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。

2 前項の規定による損失の補償については、国と損失を受けた者とが協議しなければならない。

3 前項の規定による協議が成立しない場合においては、国は、自己の見積もった金額を損失を受けた者に支払わなければならない。

4 前項の補償金額に不服がある損失を受けた者は、その決定の通知を受けた日から六月以内に、訴えをもって、その増額を請求することができる。

5 前項の訴えにおいては、国を被告とする。

6 前条第一項の規定による許可貯留区域の減少の処分又は貯留事業の許可の取消しに係る貯留権の上に抵当権があるときは、当該抵当権に係る抵当権者から供託をしなくてもよい旨の申出がある場合を除き、国は、その補償金を供託しなければならない。

7 前項の抵当権者は、同項の規定により供託した補償金に対してその権利を行うことができる。

8 国は、第一項の規定による補償金額の全部又は一部をその理由を生じさせた者に負担させることができる。

 (許可貯留区域の減少の処分等と抵当権)

第二十一条 経済産業大臣は、第十九条第一項若しくは第二項の規定により抵当権の設定が登録されている貯留権に係る許可貯留区域の減少の処分をしようとするとき、又は同条第一項から第三項までの規定により抵当権の設定が登録されている貯留権に係る貯留事業の許可を取り消そうとするときは、あらかじめ、その旨を当該抵当権に係る抵当権者に通知しなければならない。

 (貯留開始貯留事業の許可の取消し等に伴う措置)

第二十二条 貯留事業者であって、その許可貯留区域内の貯留層への二酸化炭素の注入を開始している貯留事業(以下「貯留開始貯留事業」という。)を行っているもの(以下「貯留開始貯留事業者」という。)が貯留開始貯留事業の許可の取消し(第十九条第一項から第三項までの規定による貯留事業の許可(貯留開始貯留事業に係るものに限る。)の取消しをいう。以下この条において同じ。)を受けたとき、又は貯留開始貯留事業者が解散し、若しくは死亡した場合において第十七条第一項若しくは第二項若しくは第十八条第一項の規定による承継がなかったときは、旧貯留開始貯留事業者(貯留開始貯留事業の許可の取消しを受けた貯留開始貯留事業者であった者又は貯留開始貯留事業者が解散し、若しくは死亡した場合において第十七条第一項若しくは第二項若しくは第十八条第一項の規定による承継がなかったときの清算人若しくは破産管財人若しくは相続人に代わって相続財産を管理する者をいう。以下この条において同じ。)は、その貯留開始貯留事業に対するこの法律の規定(第五十三条第一項から第三項までの規定(これらの規定に係る罰則を含む。)を除く。)の適用については、第五十三条第五項の許可を受けるまでの間は、なお貯留開始貯留事業者とみなす。この場合において、同条第四項中「閉鎖措置」とあるのは「特定閉鎖措置(第二十二条第三項に規定する特定閉鎖措置をいう。次項において同じ。)」と、同条第五項中「閉鎖措置」とあるのは「特定閉鎖措置」と、「以後」とあるのは「以後、遅滞なく」とする。

2 貯留開始貯留事業の許可の取消しがあったとき、又は貯留開始貯留事業者が解散し、若しくは死亡した場合において第十七条第一項若しくは第二項若しくは第十八条第一項の規定による承継がなかったときは、旧貯留開始貯留事業者は、直ちに、その取り消された許可又はその解散し、若しくは死亡した貯留開始貯留事業者が行っていた貯留開始貯留事業に係る許可貯留区域内の貯留層への二酸化炭素の注入を停止しなければならない。

3 旧貯留開始貯留事業者は、前項の規定により同項に規定する許可貯留区域内の貯留層への二酸化炭素の注入を停止したときは、主務省令で定めるところにより、当該許可貯留区域及び当該許可貯留区域に係る貯留事業の用に供する貯留等工作物を設置する場所についての坑口の閉塞その他の主務省令で定める措置(以下この条において「特定閉鎖措置」という。)に関する計画(以下この条において「特定閉鎖措置計画」という。)を定め、貯留開始貯留事業の許可の取消しを受けた日又は貯留開始貯留事業者の解散若しくは死亡の日から主務省令で定める期間内に主務大臣に認可の申請をしなければならない。

4 旧貯留開始貯留事業者は、前項の認可を受けるまでの間は、特定閉鎖措置を講じてはならない。

5 旧貯留開始貯留事業者は、第三項の認可を受けた特定閉鎖措置計画を変更しようとするときは、主務省令で定めるところにより、主務大臣の認可を受けなければならない。ただし、主務省令で定める軽微な変更をしようとするときは、この限りでない。

6 主務大臣は、第三項又は前項の認可の申請に係る特定閉鎖措置計画が主務省令で定める基準に適合していると認めるときは、第三項又は前項の認可をしなければならない。

7 旧貯留開始貯留事業者は、第三項の認可を受けた特定閉鎖措置計画について第五項ただし書の主務省令で定める軽微な変更をしたときは、その旨を主務大臣に届け出なければならない。

8 旧貯留開始貯留事業者は、第三項の認可を受けた特定閉鎖措置計画(第五項又は前項の規定による変更の認可又は届出があったときは、その変更後のもの)に従って特定閉鎖措置を講じなければならない。

9 主務大臣は、前項の規定に違反して特定閉鎖措置を講じた旧貯留開始貯留事業者に対し、当該特定閉鎖措置に係る許可貯留区域内の貯留層における二酸化炭素の安定的な貯蔵の確保又は公共の安全の維持若しくは災害の発生の防止のために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

 (貯留開始貯留事業以外の貯留事業等に係る許可の取消し等に伴う措置)

第二十三条 第十九条第一項から第三項までの規定による貯留事業等の許可の取消し(貯留開始貯留事業に係るものを除く。)があったとき、貯留事業者等(貯留開始貯留事業以外の貯留事業又は試掘を行っている者に限る。以下この項において同じ。)が解散し、若しくは死亡した場合において第十七条第一項若しくは第二項若しくは第十八条第一項の規定による承継がなかったとき、又は試掘の許可の有効期間が満了したときは、その許可の取消しを受けた貯留事業者等であった者、貯留事業者等が解散し、若しくは死亡した場合において第十七条第一項若しくは第二項若しくは第十八条第一項の規定による承継がなかったときの清算人若しくは破産管財人若しくは相続人に代わって相続財産を管理する者又はその有効期間が満了した試掘の許可に係る試掘者であった者は、遅滞なく、その取り消された許可、その解散し、若しくは死亡した貯留事業者等が行っていた貯留開始貯留事業以外の貯留事業若しくは試掘又はその有効期間が満了した試掘の許可に係る許可貯留区域等及び当該許可貯留区域等に係る貯留事業等の用に供する貯留等工作物を設置する場所についての坑口の閉塞その他の経済産業省令で定める措置を講じなければならない。

2 経済産業大臣は、前項の規定に違反した者に対し、同項に規定する措置の円滑かつ着実な実施又は公共の安全の維持若しくは災害の発生の防止のために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

    第二節 貯留権及び試掘権

     第一款 貯留権及び試掘権の設定等

 (貯留事業等の許可の告示)

第二十四条 経済産業大臣は、貯留事業等の許可をしたときは、遅滞なく、その旨及び次に掲げる事項を当該許可に係る貯留事業者等に通知するとともに、告示しなければならない。

 一 当該貯留事業者等の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

 二 許可貯留区域等

 三 当該許可に係る貯留事業又は試掘の別

 四 貯留事業等の概要

 五 試掘の許可にあっては、当該許可の有効期間が満了する日

 (貯留権等の設定とその効果)

第二十五条 前条の規定による告示があったときは、当該告示に係る許可貯留区域等に係る貯留権等(貯留権又は試掘権をいう。以下同じ。)が設定され、当該許可貯留区域等に係る土地に関するその他の権利は、当該貯留権等に係る貯留事業者等が当該許可貯留区域等において行う二酸化炭素の貯蔵若しくは試掘を妨げ、又は当該貯蔵若しくは試掘に支障を及ぼす限度においてその行使を制限される。

2 前項の規定により試掘権が設定された場合における同項の規定により土地に関するその他の権利がその行使を制限される期間は、前条の規定による告示の日から当該試掘権に係る試掘の許可の有効期間が満了する日までの期間に限るものとする。

 (損失の補償)

第二十六条 前条第一項の規定による権利の行使の制限によって具体的な損失が生じたときは、当該損失を受けた者は、第二十四条の規定による告示の日から一年以内に限り、貯留事業者等に対し、その損失の補償を請求することができる。

2 前項の規定による損失の補償は、貯留事業者等と損失を受けた者とが協議して定めなければならない。

3 前項の規定による協議が成立しないときは、土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第九十四条第二項から第十二項までの規定を準用する。この場合において、同条第二項中「起業者」とあるのは「貯留事業者等(二酸化炭素の貯留事業に関する法律第五条第一項第二号ハに規定する貯留事業者等をいう。第六項において同じ。)」と、同条第六項中「起業者である者」とあるのは「貯留事業者等である者」と、同条第七項中「この法律」とあるのは「二酸化炭素の貯留事業に関する法律」と読み替えるものとする。

4 前項において準用する土地収用法第九十四条第二項又は第九項の規定による裁決の申請又は訴えの提起は、貯留事業者等が行う許可貯留区域等における貯留事業等を停止しない。

 (図面の縦覧)

第二十七条 経済産業大臣は、第二十四条の規定による告示をしたときは、直ちに、経済産業省令で定めるところにより、許可貯留区域等を表示する図面を公衆の縦覧に供しなければならない。

 (試掘権の消滅)

第二十八条 試掘権は、試掘の許可の有効期間が満了した時に消滅する。

 (試掘の許可の更新の告示及び試掘権の変更等)

第二十九条 経済産業大臣は、第九条第二項(第十二条第六項において準用する場合を含む。)の規定による試掘の許可の更新をしたときは、遅滞なく、その旨及び次に掲げる事項を当該更新を受けた者に通知するとともに、告示しなければならない。

 一 試掘の許可の更新を受けた者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

 二 許可試掘区域

 三 試掘の概要

 四 試掘の許可の有効期間が満了する日

2 前項の規定による告示があったときは、当該告示に係る許可試掘区域に係る試掘権が変更され、当該許可試掘区域に係る土地に関するその他の権利は、当該試掘権に係る試掘の許可の更新を受けた者が当該許可試掘区域において行う試掘を妨げ、又は当該試掘に支障を及ぼす限度においてその行使を制限される。

3 前項の規定により試掘権が変更された場合における同項の規定により土地に関するその他の権利がその行使を制限される期間は、第一項の規定による告示の日から当該試掘権に係る試掘の許可の有効期間が満了する日までの期間に限るものとする。

4 第二十六条及び第二十七条の規定は、第一項の規定による告示及び当該告示に係る試掘の許可の更新を受けた者について準用する。この場合において、第二十六条第四項中「許可貯留区域等」とあるのは「許可試掘区域」と、「貯留事業等」とあるのは「試掘」と、第二十七条中「許可貯留区域等」とあるのは「許可試掘区域」と読み替えるものとする。

 (許可貯留区域等の増減の許可等の告示及び貯留権等の変更等)

第三十条 経済産業大臣は、第十四条第一項若しくは第十六条第一項の許可をしたとき、又は第十九条第一項若しくは第二項の規定による許可貯留区域等の減少の処分をしたときは、遅滞なく、その旨及び次に掲げる事項を当該許可又は処分を受けた者に通知するとともに、告示しなければならない。

 一 貯留事業者等の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

 二 当該許可又は処分により変更された許可貯留区域等

 三 貯留事業等の概要

 四 当該許可又は処分を受けた者が試掘者である場合にあっては、当該試掘者に係る試掘の許可の有効期間が満了する日

2 前項の規定による告示があったときは、当該告示に係る許可貯留区域等に係る貯留権等が変更され、当該許可貯留区域等に係る土地に関するその他の権利は、当該貯留権等に係る貯留事業者等が当該許可貯留区域等において行う二酸化炭素の貯蔵若しくは試掘を妨げ、又は当該貯蔵若しくは試掘に支障を及ぼす限度においてその行使を制限される。

3 前項の規定により試掘権が変更された場合における同項の規定により土地に関するその他の権利がその行使を制限される期間は、第一項の規定による告示の日から当該試掘権に係る試掘の許可の有効期間が満了する日までの期間に限るものとする。

4 第二十六条の規定は第一項の規定による告示(許可貯留区域等の増加に係るものに限る。)について、第二十七条の規定は同項の規定による告示について、それぞれ準用する。この場合において、第二十六条第一項中「具体的な損失」とあるのは、「具体的な損失(許可貯留区域等の増加によるものに限る。)」と読み替えるものとする。

 (貯留事業等の譲渡及び譲受けの認可等の告示並びに貯留権等の移転等)

第三十一条 経済産業大臣は、第十七条第一項若しくは第二項の認可をしたとき、又は第十八条第三項の規定により同項各号に掲げる基準のいずれにも適合する旨の通知をしたときは、遅滞なく、その旨及び次に掲げる事項を告示しなければならない。

 一 貯留事業者等の地位を承継した者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

 二 承継された許可貯留区域等

 三 承継された貯留事業等の概要

 四 貯留事業者等の地位を承継した者に移転した貯留権等の種類

 五 試掘権が移転した場合にあっては、当該試掘権に係る試掘の許可の有効期間が満了する日

2 第二十七条の規定は、前項の規定による告示について準用する。

 (貯留事業等の許可の取消しの告示及び貯留権等の消滅)

第三十二条 経済産業大臣は、第十九条第一項から第三項までの規定により貯留事業等の許可(貯留開始貯留事業に係るものを除く。)を取り消したときは、遅滞なく、その旨及び次に掲げる事項を当該許可を取り消された者に通知するとともに、告示しなければならない。

 一 当該許可を取り消された者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

 二 当該許可の取消しに係る許可貯留区域等

 三 当該許可の取消しに係る貯留事業等に係る貯留権等が消滅する旨

2 前項の規定による告示があったときは、当該告示に係る貯留権等は、消滅する。

     第二款 貯留権及び試掘権の性質等

 (性質)

第三十三条 貯留権等は、物権とみなし、この法律に別段の定めがある場合を除き、不動産に関する規定を準用する。

 (権利の目的)

第三十四条 貯留権等は、相続その他の一般承継、譲渡、滞納処分、強制執行、仮差押え及び仮処分の目的となるほか、権利の目的となることができない。ただし、貯留権にあっては、抵当権の目的となることができる。

 (処分の制限等)

第三十五条 貯留権等は、第十七条第一項又は第二項の認可を受けなければ、移転(相続によるものを除く。)をすることができない。

2 貯留開始貯留事業者は、貯留開始貯留事業に係る貯留権を放棄することができない。

3 貯留事業者等は、その貯留権等(貯留権にあっては、貯留開始貯留事業以外の貯留事業に係るものに限る。)を放棄したときは、経済産業省令で定めるところにより、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。

4 経済産業大臣は、前項の規定による届出があったときは、遅滞なく、その旨及び次に掲げる事項を告示しなければならない。

 一 当該届出をした貯留事業者等の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

 二 当該届出に係る貯留権等が消滅する旨

 三 当該届出に係る貯留権等に係る許可貯留区域等

5 前項の規定による告示があったときは、当該告示に係る貯留権等は、消滅する。

6 貯留開始貯留事業以外の貯留事業に係る貯留権であって、抵当権の設定が登録されているものについては、その抵当権者の同意がなければ、これを放棄することができない。

7 第十七条第一項若しくは第二項の認可を受けないでした貯留権等の移転又は前項の同意を得ないでした貯留権の放棄は、その効力を生じない。

8 第三項の規定による届出があった場合において、当該届出が貯留権に係るものであるときは当該貯留権に係る許可貯留区域における貯留事業について第五十七条第一項の規定による届出があったものと、当該届出が試掘権に係るものであるときは当該試掘権に係る許可試掘区域における試掘について第六十四条第二項において準用する第五十七条第一項の規定による届出があったものとみなす。

 (貯留権等の登録)

第三十六条 貯留権等及び貯留権を目的とする抵当権の設定、移転、変更、消滅及び処分の制限は、貯留権等登録簿に登録する。

2 前項の規定による登録は、登記に代わるものとする。

3 第一項の規定による登録に関する処分については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二章及び第三章の規定は、適用しない。

4 貯留権等登録簿については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)の規定は、適用しない。

5 貯留権等登録簿に記録されている保有個人情報(個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)第六十条第一項に規定する保有個人情報をいう。)については、同法第五章第四節の規定は、適用しない。

6 前各項に規定するもののほか、登録に関し必要な事項は、政令で定める。

    第三節 貯留事業及び試掘の実施

     第一款 貯留事業の実施

 (事業着手の義務等)

第三十七条 貯留事業者は、貯留事業に着手するために通常必要と認められる期間として経済産業省令で定める期間内に、貯留事業に着手しなければならない。

2 貯留事業者は、やむを得ない理由により前項の経済産業省令で定める期間内に貯留事業に着手することができないときは、期間を定め、理由を付して、経済産業大臣の認可を受けなければならない。

3 貯留事業者は、貯留事業に着手したときは、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。許可貯留区域内の貯留層への二酸化炭素の注入を開始したときも、同様とする。

4 経済産業大臣は、前項後段の規定による届出を受理したときは、当該届出に係る貯留事業者の氏名又は名称及び住所その他経済産業省令で定める事項を独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(以下「機構」という。)に通知するものとする。

5 貯留事業者は、引き続き一年以上その貯留事業を休止しようとするときは、期間を定め、理由を付して、経済産業大臣の認可を受けなければならない。

6 貯留事業者は、前項の認可を受けて休止した貯留事業を再開したときは、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。

 (貯留事業実施計画)

第三十八条 貯留事業者は、許可貯留区域ごとに、主務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した貯留事業実施計画を定め、貯留事業を開始する前に、主務大臣の認可を受けなければならない。

 一 許可貯留区域

 二 二酸化炭素の貯蔵の方法に関する事項

 三 貯留事業場(許可貯留区域及び当該許可貯留区域に係る貯留事業の用に供する貯留等工作物を設置する場所をいう。以下同じ。)における保安を確保するための措置に関する事項

 四 貯蔵する二酸化炭素の漏えいを防止するための措置に関する事項

 五 貯蔵する二酸化炭素の貯蔵の状況の監視に関する事項

 六 貯蔵する二酸化炭素の特性に関する事項

 七 貯留事業の安定的な遂行を確保するための措置に関する事項その他の主務省令で定める事項

2 主務大臣は、前項の認可の申請に係る貯留事業実施計画が次に掲げる基準に適合していると認めるときは、同項の認可をしなければならない。

 一 二酸化炭素の貯蔵の方法がその安定的な貯蔵を確保する観点から適切であること。

 二 貯留事業場における保安を確保するための措置が、公共の安全の維持及び災害の発生の防止の観点から適切であること。

 三 貯蔵する二酸化炭素の漏えいを防止するための措置が適切であること。

 四 貯蔵する二酸化炭素の貯蔵の状況の監視が適切に行われることが見込まれること。

 五 二酸化炭素の貯蔵が海域の貯留層において行われる場合にあっては、次に掲げる基準に適合すること。

  イ 貯蔵する二酸化炭素が政令で定める基準に適合するものであること。

  ロ 海域の貯留層における二酸化炭素の貯蔵以外に適切な処分の方法がないこと。

 六 その他貯留事業が安定的に遂行されることが見込まれること。

 (貯留事業実施計画の変更の認可等)

第三十九条 貯留事業者は、前条第一項の認可を受けた貯留事業実施計画を変更しようとするときは、主務省令で定めるところにより、主務大臣の認可を受けなければならない。ただし、主務省令で定める軽微な変更をしようとするときは、この限りでない。

2 貯留事業者は、前条第一項の認可を受けた貯留事業実施計画について前項ただし書の主務省令で定める軽微な変更をしたときは、その旨を主務大臣に届け出なければならない。

3 前条第二項の規定は、第一項の規定による変更の認可について準用する。

 (貯留事業実施計画の遵守)

第四十条 貯留事業者は、第三十八条第一項の認可を受けた貯留事業実施計画(前条第一項又は第二項の規定による変更の認可又は届出があったときは、その変更後のもの。以下「認可貯留事業実施計画」という。)によらなければ、貯留事業を行ってはならない。

 (認可貯留事業実施計画の変更勧告等)

第四十一条 主務大臣は、貯留事業者の認可貯留事業実施計画を変更しなければその許可貯留区域における貯留事業の安定的な遂行又は貯留事業場における保安を確保することができないと認めるときは、当該貯留事業者に対し、認可貯留事業実施計画を変更すべきことを勧告することができる。

2 主務大臣は、前項の規定による勧告を受けた貯留事業者が、正当な理由がなくてその勧告に従わないときは、当該貯留事業者に対し、認可貯留事業実施計画を変更すべきことを命ずることができる。

 (貯留事業停止命令)

第四十二条 主務大臣は、貯留事業者が次の各号のいずれかに該当するときは、当該貯留事業者に対し、期間を定めて当該貯留事業の全部又は一部の停止を命ずることができる。

 一 第十五条、前条第二項、次条第三項、第四十四条第二項、第四十八条第二項、第六十六条第三項、第六十七条第二項若しくは第三項、第六十八条第二項、第六十九条第四項、第七十三条、第七十四条第三項若しくは第七十五条第五項の規定による命令又は第六十七条第二項若しくは第三項の規定による制限に違反したとき。

 二 第四十条の規定に違反して、認可貯留事業実施計画によらないで貯留事業を行ったとき。

 三 第百三十条第一項の規定により貯留事業の許可又は第三十八条第一項の認可若しくは第三十九条第一項の規定による変更の認可に付された条件に違反したとき。

 (二酸化炭素の貯蔵の状況の監視)

第四十三条 貯留開始貯留事業者は、主務省令で定めるところにより、認可貯留事業実施計画に従い、その貯留開始貯留事業に係る許可貯留区域内の貯留層の温度、圧力その他の当該貯留層における二酸化炭素の貯蔵の状況を確認するために必要な事項として主務省令で定めるものを監視しなければならない。

2 貯留開始貯留事業者は、主務省令で定めるところにより、前項の規定による監視の結果を主務大臣に報告しなければならない。

3 主務大臣は、貯留開始貯留事業者が認可貯留事業実施計画に従い、その貯留開始貯留事業に係る許可貯留区域内の貯留層における二酸化炭素の貯蔵の状況を適切に監視していないと認めるときは、当該貯留開始貯留事業者に対し、必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

 (二酸化炭素の注入を終了した後の貯留開始貯留事業の実施に必要な費用に充てるための資金の確保)

第四十四条 貯留開始貯留事業者は、その貯留開始貯留事業に係る許可貯留区域内の貯留層への二酸化炭素の注入を終了したときから第五十三条第五項の許可を受けるまでの間における前条第一項の規定による監視に要する費用その他の当該貯留開始貯留事業の実施に必要な費用に充てるため、経済産業省令で定めるところにより、引当金の積立てその他の当該費用に充てるための資金を確保するための措置として経済産業省令で定めるものを講じなければならない。

2 経済産業大臣は、貯留開始貯留事業者が前項の経済産業省令で定める措置を講じていないと認めるときは、当該貯留開始貯留事業者に対し、当該措置を講ずべきことを命ずることができる。

 (拠出金)

第四十五条 貯留開始貯留事業者は、機構が行う第五十四条第一項に規定する通知貯留区域管理業務に必要な費用に充てるため、各年度(毎年四月一日から翌年三月三十一日までをいう。次条第一項において同じ。)、貯留開始貯留事業に係る許可貯留区域ごとに、機構に対し、拠出金を納付しなければならない。

2 前項の拠出金の額は、許可貯留区域ごとの第五十四条第一項に規定する通知貯留区域管理業務に要する費用の長期的な見通しに照らし、当該通知貯留区域管理業務を円滑かつ着実に実施するために十分なものとするために経済産業省令で定める基準に従い、機構が定める。

3 貯留開始貯留事業者は、経済産業省令で定めるところにより、認可貯留事業実施計画、第四十三条第一項の規定による監視の結果その他経済産業省令で定める事項を機構に届け出なければならない。

4 機構は、拠出金の額を定め、又はこれを変更しようとするときは、経済産業大臣の認可を受けなければならない。

5 機構は、前項の認可を受けたときは、遅滞なく、経済産業省令で定めるところにより、当該認可に係る拠出金の額を貯留開始貯留事業者に通知しなければならない。

6 経済産業大臣は、第五十四条第一項に規定する通知貯留区域管理業務に要する費用に充てるための資金の確保の状況その他の事情に照らし必要と認めるときは、機構に対し、拠出金の額の変更をすべきことを命ずることができる。

 (拠出金の納付の期限等)

第四十六条 前条第一項の規定による拠出金の納付は、各年度の三月一日(その年度に貯留層への二酸化炭素の注入を新たに開始した許可貯留区域に係る拠出金にあっては、その注入を新たに開始した日の属する年度の翌年度の三月一日)までにしなければならない。

2 機構は、拠出金を前項の納期限までに納付しない貯留開始貯留事業者があるときは、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に報告しなければならない。

3 経済産業大臣は、前項の規定による報告を受けたときは、その旨を公表するものとする。

4 拠出金の延納その他拠出金の納付に関して必要な事項は、政令で定める。

 (督促及び滞納処分)

第四十七条 機構は、貯留開始貯留事業者が前条第一項の納期限までに拠出金を納付しないときは、期限を指定して、これを督促しなければならない。

2 機構は、前項の規定による督促をするときは、貯留開始貯留事業者に対し、督促状を発する。この場合において、督促状により指定すべき期限は、督促状を発する日から起算して十日以上経過した日でなければならない。

3 機構は、第一項の規定による督促を受けた貯留開始貯留事業者がその指定の期限までにその督促に係る拠出金及び第五項の規定による延滞金を納付しないときは、国税の滞納処分の例により、経済産業大臣の認可を受けて、滞納処分をすることができる。

4 前項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとし、その時効については、国税の例による。

5 機構は、第一項の規定による督促をしたときは、その督促に係る拠出金の額につき年十四・五パーセントの割合で、納期限の翌日からその拠出金の完納の日又は財産の差押えの日の前日までの日数により計算した額の延滞金を徴収することができる。ただし、経済産業省令で定める場合は、この限りでない。

 (漏えい時の措置)

第四十八条 貯留開始貯留事業者は、その貯留開始貯留事業に係る許可貯留区域内の貯留層に貯蔵された二酸化炭素の漏えいが発生し、又は発生するおそれがあるときは、直ちに、二酸化炭素の漏えいの防止のための応急の措置を講ずるとともに、速やかに、その漏えいの状況及び講じた措置の概要を主務大臣に報告しなければならない。

2 主務大臣は、貯留開始貯留事業者が前項の応急の措置を講じていないと認めるときは、当該貯留開始貯留事業者に対し、同項の応急の措置を講ずべきことを命ずることができる。

 (定期の報告)

第四十九条 貯留事業者は、主務省令で定めるところにより、認可貯留事業実施計画の実施状況(第四十三条第一項の規定による監視の結果を除く。)を主務大臣に報告しなければならない。

 (特定貯留事業約款)

第五十条 特定貯留事業者(他の者の委託を受けて行う貯留事業であって、他の者の活動に伴って排出された二酸化炭素に係るもの(以下「特定貯留事業」という。)を行う貯留事業者をいう。以下同じ。)は、特定貯留事業に係る料金その他の条件について、経済産業省令で定めるところにより、特定貯留事業約款を定め、経済産業大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 特定貯留事業者は、前項の規定による届出をした特定貯留事業約款以外の条件により特定貯留事業を行ってはならない。ただし、その特定貯留事業約款により難い特別の事情がある場合において、経済産業大臣の承認を受けた料金その他の条件により特定貯留事業を行うときは、この限りでない。

3 経済産業大臣は、特定貯留事業約款が次の各号のいずれかに該当しないと認めるときは、当該特定貯留事業者に対し、相当の期限を定め、その特定貯留事業約款を変更すべきことを命ずることができる。

 一 第一項の規定による届出に係る特定貯留事業約款により二酸化炭素の貯蔵の役務の提供を受けようとする者が当該役務の提供を受けることを著しく困難にするおそれがないこと。

 二 料金の額の算出方法が適正かつ明確に定められていること。

 三 特定の者に対して不当な差別的取扱いをするものでないこと。

4 特定貯留事業者は、第一項の規定による届出をしたときは、経済産業省令で定めるところにより、その特定貯留事業約款を公表しなければならない。

5 経済産業大臣は、特定貯留事業者が正当な理由なく特定貯留事業約款による二酸化炭素の貯蔵の役務の提供を拒んだときは、当該特定貯留事業者に対し、当該役務の提供を行うべきことを命ずることができる。

 (禁止行為等)

第五十一条 特定貯留事業者は、その特定貯留事業の業務について、特定の者に対し、不当に優先的な取扱いをし、若しくは利益を与え、又は不当に不利な取扱いをし、若しくは不利益を与えてはならない。

2 経済産業大臣は、前項の規定に違反する行為があると認めるときは、当該特定貯留事業者に対し、当該行為の停止又は変更を命ずることができる。

 (業務改善命令)

第五十二条 経済産業大臣は、貯留事業の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、その必要の限度において、貯留事業者に対し、業務の方法の変更その他業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

     第二款 貯留事業の廃止等

 (貯留開始貯留事業の廃止の許可等)

第五十三条 貯留開始貯留事業者は、一の許可貯留区域における貯留開始貯留事業を廃止しようとするときは、閉鎖措置(当該許可貯留区域に係る貯留事業場についての坑口の閉塞その他の主務省令で定める措置をいう。以下この条において同じ。)を講じなければならない。

2 貯留開始貯留事業者は、閉鎖措置を講じようとするときは、あらかじめ、主務省令で定めるところにより、閉鎖措置に関する計画(次項において「閉鎖措置計画」という。)を定め、主務大臣の認可を受けなければならない。

3 第二十二条第五項から第九項までの規定は、貯留開始貯留事業者並びにその閉鎖措置計画及び閉鎖措置について準用する。この場合において、同条第五項から第八項までの規定中「第三項」とあるのは、「第五十三条第二項」と読み替えるものとする。

4 貯留開始貯留事業者は、閉鎖措置が終了したときは、主務省令で定めるところにより、その結果が主務省令で定める基準に適合していることについて、主務大臣の確認を受けなければならない。

5 前項の確認を受けた貯留開始貯留事業者は、当該閉鎖措置に係る許可貯留区域内の貯留層への二酸化炭素の注入を最後に行った日から起算して当該貯留層に貯蔵された二酸化炭素の貯蔵の状況が安定するまでに必要と認められる期間として主務省令で定める期間を経過する日以後、当該閉鎖措置に係る貯留開始貯留事業の廃止について、経済産業大臣に申請して、その許可を受けなければならない。

6 前項の規定による申請をしようとする貯留開始貯留事業者は、経済産業省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を、経済産業大臣に提出しなければならない。

 一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

 二 廃止しようとする貯留開始貯留事業に係る許可貯留区域

 三 前号に掲げる許可貯留区域内の貯留層への二酸化炭素の注入を終了した年月日

 四 貯留開始貯留事業を廃止する予定年月日

 五 その他経済産業省令で定める事項

7 前項の申請書には、経済産業省令で定めるところにより、次に掲げる書類を添付しなければならない。

 一 廃止しようとする貯留開始貯留事業に係る許可貯留区域内の貯留層における二酸化炭素の貯蔵の状況を説明する書類

 二 貯留開始貯留事業の廃止後、機構が次条第一項に規定する通知貯留区域管理業務を円滑かつ着実に実施するために必要な事務の引継ぎその他の経済産業省令で定める措置の実施状況を説明する書類

 三 その他経済産業省令で定める書類

8 経済産業大臣は、第五項の許可の申請が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。

 一 廃止しようとする貯留開始貯留事業に係る許可貯留区域内の貯留層における二酸化炭素の貯蔵の状況が安定しており、かつ、その状況が将来にわたって継続することが見込まれること。

 二 機構に第四十五条第一項の拠出金が納付されていること。

 三 前項第二号の経済産業省令で定める措置が適切に実施されていると認められること。

9 経済産業大臣は、第五項の許可(海域の貯留層における貯留開始貯留事業に係るものに限る。)をしようとするときは、その申請が前項第一号に掲げる基準に適合していることについて、あらかじめ、環境大臣に協議し、その同意を得なければならない。

10 経済産業大臣は、第五項の許可をしようとするときは、あらかじめ、機構の意見を聴かなければならない。

11 経済産業大臣は、第五項の許可をしたときは、直ちに、その旨、当該許可に係る許可貯留区域その他経済産業省令で定める事項を機構に通知しなければならない。

12 経済産業大臣は、第五項の許可をしたときは、遅滞なく、次に掲げる事項を告示しなければならない。

 一 当該許可を受けた貯留開始貯留事業に係る貯留権が機構に移転する旨

 二 通知貯留区域(前項の規定による通知に係る許可貯留区域をいう。以下同じ。)

13 第二十七条の規定は、前項の規定による告示をしたときについて準用する。この場合において、同条中「許可貯留区域等」とあるのは、「第五十三条第十二項第二号に規定する通知貯留区域」と読み替えるものとする。

14 第五項の規定による申請(抵当権の設定が登録されている貯留権に係る許可貯留区域に係るものに限る。)は、あらかじめ抵当権者の承諾を得なければすることができない。

 (機構が行う通知貯留区域の管理の業務)

第五十四条 機構は、通知貯留区域内の貯留層における二酸化炭素が安定的に貯蔵されていることを確認するために必要な事項として主務省令で定めるものの監視その他通知貯留区域の管理の業務(第三項及び次条第一項において「通知貯留区域管理業務」という。)を行うものとする。

2 機構は、主務省令で定めるところにより、前項の監視の結果を主務大臣に報告しなければならない。

3 第十三条第一項の規定は、機構が行う通知貯留区域管理業務については、適用しない。

 (貯留権の移転等)

第五十五条 第五十三条第十二項の規定による告示があったときは、第三十五条第一項の規定にかかわらず、当該告示に係る貯留権は機構に移転し、当該告示に係る通知貯留区域に係る土地に関するその他の権利は、機構が当該通知貯留区域において行う通知貯留区域管理業務を妨げ、又は通知貯留区域管理業務に支障を及ぼす限度においてその行使を制限される。

2 機構は、前項の規定により移転した貯留権を放棄することができない。

 (漏えい時の措置)

第五十六条 機構は、通知貯留区域内の貯留層に貯蔵された二酸化炭素の漏えいが発生し、又は発生するおそれがあるときは、直ちに、二酸化炭素の漏えいの防止のための応急の措置を講ずるとともに、速やかに、その漏えいの状況及び講じた措置の概要を主務大臣に報告しなければならない。

 (貯留開始貯留事業以外の貯留事業の廃止の届出等)

第五十七条 貯留事業者は、一の許可貯留区域における貯留開始貯留事業以外の貯留事業を廃止したときは、経済産業省令で定めるところにより、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。

2 経済産業大臣は、前項の規定による届出があったときは、遅滞なく、その旨及び次に掲げる事項を告示しなければならない。

 一 当該届出をした貯留事業者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

 二 当該届出に係る貯留事業に係る貯留権が消滅する旨

 三 当該届出に係る貯留事業に係る許可貯留区域

3 前項の規定による告示があったときは、当該告示に係る貯留権は、消滅する。

4 第一項の規定により貯留事業者が抵当権の設定が登録されている貯留権に係る許可貯留区域における貯留開始貯留事業以外の貯留事業の廃止の届出をしようとするときは、あらかじめ、抵当権者の承諾を得なければならない。

5 第二十三条の規定は、貯留事業者が第一項の規定による届出をしたときについて準用する。この場合において、同条第一項中「その取り消された許可、その解散し、若しくは死亡した貯留事業者等が行っていた貯留開始貯留事業以外の貯留事業若しくは試掘又はその有効期間が満了した試掘の許可」とあるのは「第五十七条第一項の規定による届出」と、「許可貯留区域等」とあるのは「許可貯留区域」と、「貯留事業等の用」とあるのは「貯留事業の用」と読み替えるものとする。

     第三款 試掘の実施等

 (事業着手の義務等)

第五十八条 試掘者は、試掘の事業に着手するために通常必要と認められる期間として経済産業省令で定める期間内に、試掘の事業に着手しなければならない。

2 試掘者は、試掘の事業に着手したときは、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。

3 第三十七条第二項、第五項及び第六項の規定は、試掘者による試掘の事業について準用する。この場合において、同条第二項中「前項」とあるのは、「第五十八条第一項」と読み替えるものとする。

 (試掘実施計画)

第五十九条 試掘者は、許可試掘区域ごとに、経済産業省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した試掘実施計画を定め、試掘の事業を開始する前に、経済産業大臣の認可を受けなければならない。

 一 許可試掘区域

 二 試掘の方法に関する事項

 三 試掘場(許可試掘区域及び当該許可試掘区域に係る試掘の用に供する貯留等工作物を設置する場所をいう。以下同じ。)における保安を確保するための措置に関する事項

 四 試掘の適切な実施を確保するための措置に関する事項その他の経済産業省令で定める事項

2 経済産業大臣は、前項の認可の申請に係る試掘実施計画が次に掲げる基準に適合していると認めるときは、同項の認可をしなければならない。

 一 試掘の方法が適切であること。

 二 試掘場における保安を確保するための措置が、公共の安全の維持及び災害の発生の防止の観点から適切であること。

 三 その他試掘が適切に実施されることが見込まれること。

 (試掘実施計画の変更の認可等)

第六十条 試掘者は、前条第一項の認可を受けた試掘実施計画を変更しようとするときは、経済産業省令で定めるところにより、経済産業大臣の認可を受けなければならない。ただし、経済産業省令で定める軽微な変更をしようとするときは、この限りでない。

2 試掘者は、前条第一項の認可を受けた試掘実施計画について前項ただし書の経済産業省令で定める軽微な変更をしたときは、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。

3 前条第二項の規定は、第一項の規定による変更の認可について準用する。

 (試掘実施計画の遵守)

第六十一条 試掘者は、第五十九条第一項の認可を受けた試掘実施計画(前条第一項又は第二項の規定による変更の認可又は届出があったときは、その変更後のもの。以下「認可試掘実施計画」という。)によらなければ、試掘を行ってはならない。

 (認可試掘実施計画の変更勧告等)

第六十二条 経済産業大臣は、試掘者の認可試掘実施計画を変更しなければその許可試掘区域における試掘の適切な実施又は試掘場における保安を確保することができないと認めるときは、当該試掘者に対し、認可試掘実施計画を変更すべきことを勧告することができる。

2 経済産業大臣は、前項の規定による勧告を受けた試掘者が、正当な理由がなくてその勧告に従わないときは、当該試掘者に対し、認可試掘実施計画を変更すべきことを命ずることができる。

 (試掘停止命令)

第六十三条 経済産業大臣は、試掘者が次の各号のいずれかに該当するときは、当該試掘者に対し、期間を定めて当該試掘の全部又は一部の停止を命ずることができる。

 一 第六十一条の規定に違反して、認可試掘実施計画によらないで試掘を行ったとき。

 二 前条第二項、第六十六条第三項、第六十七条第二項若しくは第三項、第六十八条第二項、第六十九条第四項、第七十三条、第七十四条第三項若しくは第七十五条第五項の規定による命令又は第六十七条第二項若しくは第三項の規定による制限に違反したとき。

 三 第百三十条第一項の規定により試掘の許可又は第五十九条第一項の認可若しくは第六十条第一項の規定による変更の認可に付された条件に違反したとき。

 (定期の報告等に係る規定の準用)

第六十四条 第四十九条の規定は、試掘者の認可試掘実施計画の実施状況について準用する。この場合において、同条中「主務省令」とあるのは「経済産業省令」と、「主務大臣」とあるのは「経済産業大臣」と読み替えるものとする。

2 第五十七条第一項から第三項までの規定は、試掘者の許可試掘区域における試掘について準用する。この場合において、同条第二項第二号及び第三項中「貯留権」とあるのは、「試掘権」と読み替えるものとする。

3 第二十三条の規定は、試掘者が前項において準用する第五十七条第一項の規定による届出をしたときについて準用する。この場合において、第二十三条第一項中「その取り消された許可、その解散し、若しくは死亡した貯留事業者等が行っていた貯留開始貯留事業以外の貯留事業若しくは試掘又はその有効期間が満了した試掘の許可」とあるのは「第六十四条第二項において準用する第五十七条第一項の規定による届出」と、「許可貯留区域等」とあるのは「許可試掘区域」と、「貯留事業等の用」とあるのは「試掘の用」と読み替えるものとする。

     第四款 機構の協力業務

第六十五条 機構は、貯留事業者等の依頼に応じて、その貯留事業等の適切な実施に資するよう、二酸化炭素の貯蔵の方法又は試掘の方法に関する情報の提供その他必要な協力の業務を行うものとする。

    第四節 保安

     第一款 貯留事業者等の義務等

 (貯留事業者等の義務)

第六十六条 貯留事業者は、次に掲げる事項について、経済産業省令で定めるところにより、公共の安全の維持及び災害の発生の防止のために必要な措置を講じなければならない。

 一 貯留事業のための土地の掘削

 二 貯留層における二酸化炭素の貯蔵

 三 貯留等工作物の工事、維持及び運用並びに火薬類(火薬類取締法(昭和二十五年法律第百四十九号)第二条第一項に規定する火薬類をいう。以下同じ。)及び火気の取扱い

2 試掘者は、次に掲げる事項について、経済産業省令で定めるところにより、公共の安全の維持及び災害の発生の防止のために必要な措置を講じなければならない。

 一 試掘のための土地の掘削

 二 貯留等工作物の工事、維持及び運用並びに火薬類及び火気の取扱い

3 経済産業大臣は、貯留事業者等が前二項の規定に違反していると認めるときその他貯留事業場又は試掘場(以下「貯留事業場等」という。)における保安を確保するため必要があると認めるときは、当該貯留事業者等に対し、公共の安全の維持又は災害の発生の防止のために必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。

 (貯留等工作物の維持等)

第六十七条 貯留事業者等は、その貯留等工作物を経済産業省令で定める技術上の基準に適合するように維持しなければならない。

2 経済産業大臣は、貯留等工作物が前項の経済産業省令で定める技術上の基準に適合していないと認めるときは、貯留事業者等に対し、当該技術上の基準に適合するようにその貯留等工作物を修理し、改造し、若しくは移転し、若しくはその使用を一時停止すべきことを命じ、又はその使用を制限することができる。

3 経済産業大臣は、公共の安全の維持又は災害の発生の防止のため緊急の必要があると認めるときは、貯留事業者等に対し、その貯留等工作物を移転し、若しくはその使用を一時停止すべきことを命じ、若しくはその使用を制限し、又はその貯留等工作物内における二酸化炭素の廃棄その他の必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。

 (災害時の報告)

第六十八条 貯留事業者等は、貯留事業等に係る災害として経済産業省令で定めるものが発生した場合には、経済産業省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に報告しなければならない。

2 経済産業大臣は、前項の規定による報告があったときは、貯留事業者等に対し、災害発生の日時、場所及び原因、被害の程度その他必要な事項を報告すべきことを命ずることができる。

     第二款 自主的な保安

 (保安規程)

第六十九条 貯留事業者等は、その貯留事業場等における保安を確保するため、当該貯留事業場等の現況に応じて講ずべき保安上必要な措置について、経済産業省令で定めるところにより、保安規程を定め、貯留事業等(第七十六条第一項の自主検査を伴う貯留等工作物の設置又は変更の工事をする場合にあっては、当該工事)の開始前に、経済産業大臣に届け出なければならない。

2 貯留事業者等は、保安規程を変更したときは、遅滞なく、変更した事項を経済産業大臣に届け出なければならない。

3 貯留事業者等は、保安規程を定め、又は変更するに当たっては、第七十四条の規定による調査の結果を踏まえて行わなければならない。

4 経済産業大臣は、第七十四条の規定による調査の結果に照らして保安規程の内容が貯留事業場等における保安を確保するため適当でないと認めるときその他貯留事業場等における保安を確保するため必要があると認めるときは、貯留事業者等に対し、保安規程を変更すべきことを命ずることができる。

5 貯留事業者等及びその従業者は、保安規程を守らなければならない。

 (保安教育)

第七十条 貯留事業者等は、その従業者に保安教育を施さなければならない。

2 経済産業大臣は、貯留事業者等がその従業者に施す保安教育が公共の安全の維持又は災害の発生の防止上十分でないと認めるときは、当該貯留事業者等に対し、その従業者に保安教育を施し、又はその内容若しくは方法を改善すべきことを勧告することができる。

 (作業監督者)

第七十一条 貯留事業者等は、経済産業省令で定めるところにより、経済産業省令で定める要件を備える者のうちから、作業監督者を選任し、その貯留事業場等における保安の監督をさせなければならない。

2 貯留事業者等は、前項の規定により作業監督者を選任したときは、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。

 (作業監督者の義務等)

第七十二条 作業監督者は、誠実にその職務を行わなければならない。

2 貯留事業等に従事する者は、作業監督者が貯留事業場等における保安を確保するためにする指示に従わなければならない。

 (作業監督者の解任命令)

第七十三条 経済産業大臣は、作業監督者がこの法律若しくはこの法律に基づく命令若しくはこれらに基づく処分に違反したとき、又はその者にその職務を行わせることが貯留事業場等における保安に支障を及ぼすと認めるときは、貯留事業者等に対し、当該作業監督者を解任すべきことを命ずることができる。

 (貯留事業者等による現況調査等)

第七十四条 貯留事業者等は、貯留事業等を開始しようとするときその他経済産業省令で定めるときは、その貯留事業場等の現況について、経済産業省令で定める事項を調査し、経済産業省令で定めるところにより、その結果を記録し、これを保存しなければならない。

2 貯留事業者等は、第六十八条第一項の規定による報告をしたときは、当該報告に係る災害の原因その他の経済産業省令で定める事項を調査し、経済産業省令で定めるところにより、その結果を記録し、これを保存しなければならない。

3 経済産業大臣は、貯留事業場等における保安を確保するため必要があると認めるときは、貯留事業者等に対し、当該貯留事業場等における保安に関する事項を調査し、経済産業省令で定めるところにより、その結果を記録し、これを保存すべきことを命ずることができる。

4 前三項に定めるもののほか、貯留事業者等は、貯留事業等の実施に際し、必要に応じ、その貯留事業場等における保安に関する事項を調査するよう努めなければならない。

     第三款 工事計画及び検査

 (工事計画)

第七十五条 貯留事業者等は、その貯留等工作物の設置又は変更の工事であって経済産業省令で定めるものをしようとするときは、その工事の計画を経済産業大臣に届け出なければならない。ただし、その貯留等工作物が滅失し、若しくは損壊した場合又は災害その他非常の場合において、やむを得ない一時的な工事としてするときは、この限りでない。

2 貯留事業者等は、前項の規定による届出に係る工事の計画を変更しようとするときは、経済産業大臣に届け出なければならない。ただし、その変更が経済産業省令で定める軽微なものであるときは、この限りでない。

3 前二項の規定による届出をした者は、その届出が受理された日から三十日を経過した後でなければ、当該届出に係る工事を開始してはならない。

4 経済産業大臣は、第一項又は第二項の規定による届出のあった工事の計画が次に掲げる基準に適合していると認めるときは、前項に規定する期間を短縮することができる。

 一 その貯留等工作物が第六十七条第一項の経済産業省令で定める技術上の基準に適合するものであること。

 二 その貯留等工作物の設置又は変更の工事が公共の安全の維持及び災害の発生の防止に支障を及ぼすおそれがないものであること。

5 経済産業大臣は、第一項又は第二項の規定による届出のあった工事の計画が前項各号に掲げる基準のいずれかに適合していないと認めるときは、貯留事業者等に対し、その届出を受理した日から三十日(次項の規定により第三項に規定する期間が延長された場合にあっては、その延長後の期間)以内に限り、当該工事の計画を変更し、又は廃止すべきことを命ずることができる。

6 経済産業大臣は、第一項又は第二項の規定による届出のあった工事の計画が第四項各号に掲げる基準に適合するかどうかについて審査するため相当の期間を要し、その審査が第三項に規定する期間内に終了しないと認める相当の理由があるときは、当該期間を相当と認める期間に延長することができる。この場合において、経済産業大臣は、当該届出をした者に対し、遅滞なく、その延長後の期間及びその延長の理由を通知しなければならない。

7 貯留事業者等は、第一項ただし書の規定によりやむを得ない一時的な工事をする場合は、当該工事の開始の後、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。

8 貯留事業者等は、第二項ただし書の経済産業省令で定める軽微な変更をする場合は、その工事の計画を変更した後、遅滞なく、その変更した工事の計画を経済産業大臣に届け出なければならない。ただし、経済産業省令で定める場合は、この限りでない。

 (使用前自主検査)

第七十六条 貯留事業者等は、前条第一項又は第二項の規定による届出をして設置又は変更の工事をする貯留等工作物(その工事の計画について同条第五項の規定による命令があった場合において同条第一項又は第二項の規定による届出をしていないものを除く。)であって経済産業省令で定めるものの設置又は変更の工事を完成したときは、経済産業省令で定めるところにより、その使用の開始前に、当該貯留等工作物について自主検査を行い、その記録を作成し、これを保存しなければならない。

2 前項の自主検査においては、その貯留等工作物が次に掲げる基準に適合していることを確認しなければならない。

 一 その工事が前条第一項又は第二項の規定による届出をした工事の計画(同項ただし書の経済産業省令で定める軽微な変更をしたものを含む。)に従って行われたものであること。

 二 第六十七条第一項の経済産業省令で定める技術上の基準に適合するものであること。

 (定期自主検査)

第七十七条 貯留事業者等は、その貯留等工作物であって経済産業省令で定めるものについては、経済産業省令で定めるところにより、定期に、自主検査を行い、その記録を作成し、これを保存しなければならない。

   第三章 導管輸送事業

    第一節 導管輸送事業の届出等

 (導管輸送事業の届出)

第七十八条 導管輸送事業を行おうとする者は、経済産業省令で定めるところにより、次に掲げる事項を経済産業大臣に届け出なければならない。

 一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

 二 輸送しようとする二酸化炭素が許可貯留区域内の貯留層に貯蔵される場合にあっては、当該許可貯留区域に係る貯留事業者に関する次に掲げる事項

  イ 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

  ロ 許可貯留区域

 三 輸送しようとする二酸化炭素が外国における貯留層に相当するものに貯蔵される場合にあっては、当該外国における貯留事業者に相当する者に関する次に掲げる事項

  イ 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

  ロ 当該外国における許可貯留区域に相当する区域

 四 導管の設置の場所及び内径その他の導管輸送工作物に関する事項として経済産業省令で定めるもの

 五 事業開始の予定年月日

 六 その他経済産業省令で定める事項

2 前項の規定による届出には、経済産業省令で定める書類を添付しなければならない。

3 導管輸送事業者(第一項の規定による届出をした者をいう。以下同じ。)は、同項各号に掲げる事項に変更があったときは、経済産業省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。ただし、経済産業省令で定める軽微な変更については、この限りでない。

 (承継)

第七十九条 導管輸送事業の全部の譲渡しがあり、又は導管輸送事業者について相続、合併若しくは分割(当該導管輸送事業の全部を承継させるものに限る。)があったときは、導管輸送事業の全部を譲り受けた者又は相続人(相続人が二人以上ある場合において、その全員の同意により当該導管輸送事業者が行っていた導管輸送事業を承継すべき相続人を選定したときは、その者)、合併後存続する法人若しくは合併により設立された法人若しくは分割により当該導管輸送事業の全部を承継した法人は、導管輸送事業者の地位を承継する。

2 前項の規定により導管輸送事業者の地位を承継した者は、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。

 (事業の休止及び廃止並びに法人の解散)

第八十条 導管輸送事業者は、その事業を休止し、又は廃止したときは、遅滞なく、経済産業省令で定めるところにより、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。

2 導管輸送事業者である法人が合併以外の事由により解散したときは、その清算人(解散が破産手続開始の決定による場合にあっては、破産管財人)は、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。

 (流量等の測定義務)

第八十一条 導管輸送事業者は、経済産業省令で定めるところにより、その輸送する二酸化炭素の流量、圧力その他経済産業省令で定める事項を測定し、その結果を記録し、これを保存しなければならない。

 (特定導管輸送事業約款)

第八十二条 特定導管輸送事業者(他の者の委託を受けて行う導管輸送事業であって、他の者の活動に伴って排出された二酸化炭素に係るもの(以下「特定導管輸送事業」という。)を行う導管輸送事業者をいう。以下同じ。)は、特定導管輸送事業に係る料金その他の条件について、経済産業省令で定めるところにより、特定導管輸送事業約款を定め、経済産業大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 特定導管輸送事業者は、前項の規定による届出をした特定導管輸送事業約款以外の条件により特定導管輸送事業を行ってはならない。ただし、その特定導管輸送事業約款により難い特別の事情がある場合において、経済産業大臣の承認を受けた料金その他の条件により特定導管輸送事業を行うときは、この限りでない。

3 経済産業大臣は、特定導管輸送事業約款が次の各号のいずれかに該当しないと認めるときは、当該特定導管輸送事業者に対し、相当の期限を定め、その特定導管輸送事業約款を変更すべきことを命ずることができる。

 一 第一項の規定による届出に係る特定導管輸送事業約款により導管による二酸化炭素の輸送の役務の提供を受けようとする者が当該役務の提供を受けることを著しく困難にするおそれがないこと。

 二 料金の額の算出方法が適正かつ明確に定められていること。

 三 特定の者に対して不当な差別的取扱いをするものでないこと。

4 特定導管輸送事業者は、第一項の規定による届出をしたときは、経済産業省令で定めるところにより、その特定導管輸送事業約款を公表しなければならない。

5 経済産業大臣は、特定導管輸送事業者が正当な理由なく特定導管輸送事業約款による導管による二酸化炭素の輸送の役務の提供を拒んだときは、当該特定導管輸送事業者に対し、当該役務の提供を行うべきことを命ずることができる。

 (禁止行為等)

第八十三条 特定導管輸送事業者は、その特定導管輸送事業の業務その他のその維持し、及び運用する導管に係る業務について、特定の者に対し、不当に優先的な取扱いをし、若しくは利益を与え、又は不当に不利な取扱いをし、若しくは不利益を与えてはならない。

2 経済産業大臣は、前項の規定に違反する行為があると認めるときは、当該特定導管輸送事業者に対し、当該行為の停止又は変更を命ずることができる。

 (業務改善命令)

第八十四条 経済産業大臣は、導管輸送事業の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、その必要の限度において、導管輸送事業者に対し、業務の方法の変更その他業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

    第二節 保安

     第一款 導管輸送事業者の義務等

 (導管輸送事業者の義務)

第八十五条 導管輸送事業者は、公共の安全の維持及び災害の発生の防止のために必要な措置を講じなければならない。

 (導管輸送工作物の維持等)

第八十六条 導管輸送事業者は、その導管輸送工作物を経済産業省令で定める技術上の基準に適合するように維持しなければならない。

2 経済産業大臣は、導管輸送工作物が前項の経済産業省令で定める技術上の基準に適合していないと認めるときは、導管輸送事業者に対し、当該技術上の基準に適合するようにその導管輸送工作物を修理し、改造し、若しくは移転し、若しくはその使用を一時停止すべきことを命じ、又はその使用を制限することができる。

3 経済産業大臣は、公共の安全の維持又は災害の発生の防止のため緊急の必要があると認めるときは、導管輸送事業者に対し、その導管輸送工作物を移転し、若しくはその使用を一時停止すべきことを命じ、若しくはその使用を制限し、又はその導管輸送工作物内における二酸化炭素の廃棄その他の必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。

 (災害時の報告に係る規定の準用)

第八十七条 第六十八条の規定は、導管輸送事業者及び導管輸送事業について準用する。

     第二款 自主的な保安

 (保安規程)

第八十八条 導管輸送事業者は、その導管輸送工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため、経済産業省令で定めるところにより、保安規程を定め、導管輸送事業(第九十一条第一項の自主検査を伴う導管輸送工作物の設置又は変更の工事をする場合にあっては、当該工事)の開始前に、経済産業大臣に届け出なければならない。

2 導管輸送事業者は、保安規程を変更したときは、遅滞なく、変更した事項を経済産業大臣に届け出なければならない。

3 経済産業大臣は、導管輸送工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため必要があると認めるときは、導管輸送事業者に対し、保安規程を変更すべきことを命ずることができる。

4 導管輸送事業者及びその従業者は、保安規程を守らなければならない。

 (保安教育等に係る規定の準用)

第八十九条 第七十条から第七十三条までの規定は、導管輸送事業者について準用する。この場合において、第七十一条第一項、第七十二条第二項及び第七十三条中「貯留事業場等における保安」とあるのは「導管輸送工作物の工事、維持及び運用に関する保安」と、同項中「貯留事業等に従事する者」とあるのは「導管輸送工作物の工事、維持又は運用に従事する者」と読み替えるものとする。

     第三款 工事計画及び検査

 (工事計画)

第九十条 導管輸送事業者は、その導管輸送工作物の設置又は変更の工事であって経済産業省令で定めるものをしようとするときは、その工事の計画を経済産業大臣に届け出なければならない。ただし、その導管輸送工作物が滅失し、若しくは損壊した場合又は災害その他非常の場合において、やむを得ない一時的な工事としてするときは、この限りでない。

2 導管輸送事業者は、前項の規定による届出に係る工事の計画を変更しようとするときは、経済産業大臣に届け出なければならない。ただし、その変更が経済産業省令で定める軽微なものであるときは、この限りでない。

3 前二項の規定による届出をした者は、その届出が受理された日から三十日を経過した後でなければ、当該届出に係る工事を開始してはならない。

4 経済産業大臣は、第一項又は第二項の規定による届出のあった工事の計画が次に掲げる基準に適合していると認めるときは、前項に規定する期間を短縮することができる。

 一 その導管輸送工作物が第八十六条第一項の経済産業省令で定める技術上の基準に適合するものであること。

 二 その導管輸送工作物の設置又は変更の工事が公共の安全の維持及び災害の発生の防止に支障を及ぼすおそれがないものであること。

5 経済産業大臣は、第一項又は第二項の規定による届出のあった工事の計画が前項各号に掲げる基準のいずれかに適合していないと認めるときは、導管輸送事業者に対し、その届出を受理した日から三十日(次項の規定により第三項に規定する期間が延長された場合にあっては、その延長後の期間)以内に限り、当該工事の計画を変更し、又は廃止すべきことを命ずることができる。

6 経済産業大臣は、第一項又は第二項の規定による届出のあった工事の計画が第四項各号に掲げる基準に適合するかどうかについて審査するため相当の期間を要し、その審査が第三項に規定する期間内に終了しないと認める相当の理由があるときは、当該期間を相当と認める期間に延長することができる。この場合において、経済産業大臣は、当該届出をした者に対し、遅滞なく、その延長後の期間及びその延長の理由を通知しなければならない。

7 導管輸送事業者は、第一項ただし書の規定によりやむを得ない一時的な工事をする場合は、当該工事の開始の後、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。

8 導管輸送事業者は、第二項ただし書の経済産業省令で定める軽微な変更をする場合は、その工事の計画を変更した後、遅滞なく、その変更した工事の計画を経済産業大臣に届け出なければならない。ただし、経済産業省令で定める場合は、この限りでない。

 (使用前検査)

第九十一条 導管輸送事業者は、前条第一項又は第二項の規定による届出をして設置又は変更の工事をする導管輸送工作物(その工事の計画について同条第五項の規定による命令があった場合において同条第一項又は第二項の規定による届出をしていないものを除く。)であって経済産業省令で定めるものの設置又は変更の工事を完成したときは、経済産業省令で定めるところにより、その使用の開始前に、当該導管輸送工作物について自主検査を行い、その結果が次項各号に掲げる基準に適合していることについて経済産業省令で定めるところにより経済産業大臣の登録を受けた者(以下「登録導管輸送工作物検査機関」という。)が行う検査を受け、これに合格した後でなければ、これを使用してはならない。ただし、経済産業省令で定める場合は、この限りでない。

2 登録導管輸送工作物検査機関が行う検査においては、導管輸送工作物が次に掲げる基準に適合しているときは、合格とする。

 一 その工事が前条第一項又は第二項の規定による届出をした工事の計画(同項ただし書の経済産業省令で定める軽微な変更をしたものを含む。)に従って行われたものであること。

 二 第八十六条第一項の経済産業省令で定める技術上の基準に適合するものであること。

3 導管輸送事業者は、経済産業省令で定めるところにより、第一項の自主検査の記録を作成し、これを保存しなければならない。

 (定期自主検査に係る規定の準用)

第九十二条 第七十七条の規定は、導管輸送事業者及び導管輸送工作物について準用する。

    第三節 登録導管輸送工作物検査機関

 (登録)

第九十三条 第九十一条第一項の登録(以下この節において単に「登録」という。)は、経済産業省令で定めるところにより、同項の検査(以下この節、第百三十一条第五号及び第百四十二条第四号において単に「検査」という。)を行おうとする者の申請により行う。

 (登録の基準)

第九十四条 経済産業大臣は、前条の規定により登録を申請した者(第二号及び第三号において「登録申請者」という。)が次に掲げる基準に適合しているときは、その登録をしなければならない。この場合において、登録に関して必要な手続は、経済産業省令で定める。

 一 経済産業省令で定める資格を有する者が検査を実施するものであること。

 二 登録申請者が次のいずれにも該当しないこと。

  イ この法律若しくはこの法律に基づく命令又はこれらに基づく処分に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者

  ロ 第百四条第一項又は第二項の規定により登録を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者

  ハ 法人であって、その業務を行う役員のうちにイ又はロのいずれかに該当する者があるもの

 三 登録申請者が、導管輸送事業者に支配されているものとして次のいずれかに該当するものでないこと。

  イ 登録申請者が株式会社である場合にあっては、導管輸送事業者がその親法人(会社法(平成十七年法律第八十六号)第八百七十九条第一項に規定する親法人をいう。)であること。

  ロ 登録申請者の役員(会社法第五百七十五条第一項に規定する持分会社にあっては、業務を執行する社員)に占める導管輸送事業者の役員又は職員(過去二年間に当該導管輸送事業者の役員又は職員であった者を含む。)の割合が二分の一を超えていること。

  ハ 登録申請者(法人にあっては、その代表権を有する役員)が、導管輸送事業者の役員又は職員(過去二年間に当該導管輸送事業者の役員又は職員であった者を含む。)であること。

2 登録は、導管輸送工作物検査機関登録簿に次に掲げる事項を記載してするものとする。

 一 登録年月日及び登録番号

 二 登録導管輸送工作物検査機関の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

 三 登録導管輸送工作物検査機関が検査を行う事業所の名称及び所在地

3 経済産業大臣は、登録をしたときは、遅滞なく、前項各号に掲げる事項を告示しなければならない。

 (登録の更新)

第九十五条 登録は、三年を下らない政令で定める期間ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。

2 前二条(前条第三項を除く。)の規定は、前項の登録の更新について準用する。

3 第一項の登録の更新の申請があった場合において、同項の期間(以下この項及び次項において「登録の有効期間」という。)の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、従前の登録は、登録の有効期間の満了後もその処分がされるまでの間は、なおその効力を有する。

4 前項の場合において、第一項の登録の更新がされたときは、その登録の有効期間は、従前の登録の有効期間の満了の日の翌日から起算するものとする。

5 経済産業大臣は、第一項の規定により登録が効力を失ったときは、遅滞なく、その旨を告示しなければならない。

 (検査の義務)

第九十六条 登録導管輸送工作物検査機関は、検査を行うことを求められたときは、正当な理由がある場合を除き、遅滞なく、検査を行わなければならない。

2 登録導管輸送工作物検査機関は、公正に、かつ、経済産業省令で定める基準に適合する方法により検査を行わなければならない。

 (変更の届出)

第九十七条 登録導管輸送工作物検査機関は、その氏名若しくは名称、住所又は検査を行う事業所の名称若しくは所在地を変更しようとするときは、変更しようとする日の二週間前までに、経済産業大臣に届け出なければならない。

2 第九十四条第三項の規定は、前項の規定による届出があったときについて準用する。

 (業務規程)

第九十八条 登録導管輸送工作物検査機関は、検査の業務に関する規程(次項及び第三項において「業務規程」という。)を定め、検査の業務の開始前に、経済産業大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2 業務規程には、検査の実施方法、検査に関する料金の算定方法その他の経済産業省令で定める事項を定めておかなければならない。

3 経済産業大臣は、第一項の規定による届出のあった業務規程が検査の適正かつ確実な実施上不適当となったと認めるときは、当該業務規程を変更すべきことを命ずることができる。

 (業務の休廃止の届出)

第九十九条 登録導管輸送工作物検査機関は、検査の業務の全部又は一部を休止し、又は廃止しようとするときは、経済産業省令で定めるところにより、休止し、又は廃止しようとする日以前の経済産業省令で定める日までに、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。

2 第九十五条第五項の規定は、前項の規定による届出があったときについて準用する。

 (財務諸表等の備置き及び閲覧等)

第百条 登録導管輸送工作物検査機関は、毎事業年度経過後三月以内に、その事業年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書又は収支計算書並びに事業報告書(これらの作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。次項第三号及び第四号において同じ。)の作成がされている場合における当該電磁的記録を含む。同項第一号及び第三号並びに第百四十七条において「財務諸表等」という。)を作成し、五年間事業所に備えて置かなければならない。

2 導管輸送事業者その他の利害関係人は、登録導管輸送工作物検査機関の業務時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号の請求をするには、登録導管輸送工作物検査機関の定めた費用を支払わなければならない。

 一 財務諸表等が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求

 二 前号の書面の謄本又は抄本の請求

 三 財務諸表等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を経済産業省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

 四 前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって経済産業省令で定めるものをいう。)により提供することの請求又は当該事項を記載した書面の交付の請求

 (適合命令)

第百一条 経済産業大臣は、登録導管輸送工作物検査機関が第九十四条第一項第一号又は第三号に掲げる基準のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、当該登録導管輸送工作物検査機関に対し、これらの基準に適合するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

 (改善命令)

第百二条 経済産業大臣は、登録導管輸送工作物検査機関が第九十六条の規定に違反していると認めるときは、当該登録導管輸送工作物検査機関に対し、検査を行うべきこと又は検査の方法その他の業務の方法の改善に関し必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

 (検査についての申請及び経済産業大臣の命令)

第百三条 導管輸送事業者は、その導管輸送工作物について、登録導管輸送工作物検査機関が検査を行わない場合又は登録導管輸送工作物検査機関の検査の結果に異議のある場合は、経済産業大臣に対し、当該登録導管輸送工作物検査機関が検査を行うこと又は改めて検査を行うことを命ずべきことを申請することができる。

2 経済産業大臣は、前項の規定による申請があった場合において、当該申請に係る登録導管輸送工作物検査機関が第九十六条の規定に違反していると認めるときは、当該申請に係る登録導管輸送工作物検査機関に対し、前条の規定による命令をしなければならない。

3 経済産業大臣は、前項の場合において、前条の規定による命令をし、又は命令をしないことの決定をしたときは、遅滞なく、当該申請をした導管輸送事業者に通知しなければならない。

 (登録の取消し等)

第百四条 経済産業大臣は、登録導管輸送工作物検査機関が第九十四条第一項第二号イ又はハのいずれかに該当するに至ったときは、その登録を取り消さなければならない。

2 経済産業大臣は、登録導管輸送工作物検査機関が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消し、又は二年以内の期間を定めて検査の業務の全部若しくは一部を停止すべきことを命ずることができる。

 一 偽りその他不正の手段により登録又はその更新を受けたとき。

 二 第九十六条、第九十七条第一項、第九十八条第一項、第九十九条第一項、第百条第一項又は次条の規定に違反したとき。

 三 第九十八条第三項、第百一条又は第百二条の規定による命令に違反したとき。

 四 正当な理由がないのに第百条第二項の規定による請求を拒んだとき。

3 第九十五条第五項の規定は、前二項の規定による処分をしたときについて準用する。

 (帳簿の記載)

第百五条 登録導管輸送工作物検査機関は、経済産業省令で定めるところにより、帳簿を備え、検査に関し経済産業省令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。

 (経済産業大臣による検査業務実施)

第百六条 経済産業大臣は、登録を受ける者がいないとき、第九十九条第一項の規定による検査の業務の全部又は一部の休止又は廃止の届出があったとき、第百四条第一項又は第二項の規定により登録を取り消し、又は登録導管輸送工作物検査機関に対し検査の業務の全部若しくは一部の停止を命じたとき、登録導管輸送工作物検査機関が天災その他の事由により検査の業務の全部又は一部を実施することが困難となったときその他必要があると認めるときは、当該検査の業務の全部又は一部を自ら行うことができる。

2 経済産業大臣は、前項の規定により検査の業務の全部若しくは一部を自ら行うものとするとき、又は自ら行っていた検査の業務の全部若しくは一部を行わないこととするときは、その旨を告示しなければならない。

3 経済産業大臣が第一項の規定により検査の業務の全部又は一部を自ら行う場合における検査の業務の引継ぎその他の必要な事項については、経済産業省令で定める。

   第四章 貯留層の探査

 (貯留層の探査の許可)

第百七条 貯留層の探査(地下の地層が貯留層に該当するかどうかを調査するために行う地質構造の調査であって、貯留層の掘削を伴わず、かつ、地震探査法その他一定の区域を継続して使用するものとして経済産業省令で定める方法によるものをいう。以下単に「探査」という。)を行おうとする者は、経済産業大臣に申請して、その許可を受けなければならない。

2 前項の規定による申請をしようとする者は、経済産業省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書に探査を行おうとする区域を表示する図面を添えて、経済産業大臣に提出しなければならない。

 一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

 二 申請の区域の所在地

 三 探査の期間

 四 探査の方法

 五 その他経済産業省令で定める事項

3 経済産業大臣は、第一項の許可をしたときは、許可証を交付しなければならない。

4 前項の規定により許可証の交付を受けた者は、当該許可に係る探査を行うときは、当該許可証を携帯していなければならない。

5 第三項の許可証の再交付及び返納その他許可証に関する手続的事項は、経済産業省令で定める。

 (探査の許可の基準)

第百八条 経済産業大臣は、前条第一項の規定による申請が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、その申請を許可してはならない。

 一 その申請に係る探査の方法が経済産業省令で定める基準に適合するものであること。

 二 申請者が次のいずれにも該当しないこと。

  イ この法律に規定する罪を犯し、刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者

  ロ 第百十条(第四号を除く。ハ及びニにおいて同じ。)の規定により前条第一項の許可を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者

  ハ 前条第一項の許可を受けた者で法人であるものが第百十条の規定によりその許可を取り消された場合において、その取消しの日前三十日以内に当該法人の役員であった者で、その取消しの日から五年を経過しないもの

  ニ 前条第一項の許可を受けた者で法人であるものが第百十条の規定によりその許可を取り消された場合において、その取消しの原因となった事実が発生した当時現に当該法人の親会社等であった法人で、その取消しの日から五年を経過しないもの

  ホ 暴力団員等

  ヘ 法人であって、その業務を行う役員のうちにイからハまで又はホのいずれかに該当する者があるもの

  ト 暴力団員等がその事業活動を支配する者

  チ 法人であって、その者の親会社等がイ、ロ、ニ、ヘ又はトのいずれかに該当するもの

 三 その申請に係る探査が他人の許可貯留区域等の直上の区域で行われる場合においては、当該探査を行うことが当該他人の許可貯留区域等における貯留事業等の実施を著しく妨害するものでないこと。

 四 その申請に係る探査が他人の鉱区で行われる場合においては、当該探査を行うことが当該他人の鉱区における鉱業の実施を著しく妨害するものでないこと。

 五 その申請に係る探査を行うことが、農業、漁業その他の産業の利益を損じ、公共の福祉に反するものでないこと。

 六 前各号に掲げるもののほか、その申請に係る探査を行うことが内外の社会的経済的事情に照らして著しく不適切であり、公共の利益の増進に支障を及ぼすおそれがあるものでないこと。

 (変更の許可等)

第百九条 第百七条第一項の許可を受けた者は、当該許可に係る同条第二項各号(第一号を除く。)に掲げる事項の変更をしようとするときは、経済産業省令で定めるところにより、経済産業大臣の許可を受けなければならない。ただし、経済産業省令で定める軽微な変更については、この限りでない。

2 前条の規定は、前項の規定による変更の許可について準用する。

3 第百七条第一項の許可を受けた者は、同条第二項第一号に掲げる事項に変更があったとき、又は第一項ただし書の経済産業省令で定める軽微な変更をしたときは、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。

 (探査の許可の取消し)

第百十条 経済産業大臣は、第百七条第一項の許可を受けた者が次の各号のいずれかに該当するときは、当該許可を取り消すことができる。

 一 偽りその他不正の手段により第百七条第一項の許可又は前条第一項の規定による変更の許可を受けたとき。

 二 その者が行う探査の方法が第百八条第一号の経済産業省令で定める基準に適合しなくなったとき。

 三 第百八条第二号イからチまでのいずれかに該当するに至ったとき。

 四 その者が行う探査が第百八条第三号から第五号までに掲げる基準のいずれかに適合しなくなったとき。

 五 第百三十条第一項の規定により第百七条第一項の許可又は前条第一項の規定による変更の許可に付された条件に違反したとき。

 (違反行為に対する措置)

第百十一条 経済産業大臣は、次の各号のいずれかに該当する者に対し、当該違反行為に係る作業の中止、当該違反行為に係る探査に使用した装置若しくは物件の除去又は原状の回復を命ずることができる。

 一 第百七条第一項又は第百九条第一項の規定に違反して探査を行った者

 二 第百三十条第一項の規定により第百七条第一項の許可又は第百九条第一項の規定による変更の許可に付された条件に違反した者

 (探査の許可を受けた者である法人の合併及び分割)

第百十二条 第百七条第一項の許可を受けた者である法人の合併の場合(同項の許可を受けた者である法人と同項の許可を受けた者でない法人が合併する場合において、同項の許可を受けた者である法人が存続するときを除く。)又は分割の場合(当該許可に係る探査の事業の全部を承継させる場合に限る。)において、あらかじめ当該合併又は分割について経済産業省令で定めるところにより経済産業大臣の承認を受けたときは、合併後存続する法人若しくは合併により設立された法人又は分割により当該事業の全部を承継した法人は、同項の許可を受けた者の地位を承継する。

2 第百八条(第二号(ハ及びホを除く。)及び第六号に係る部分に限る。)の規定は、前項の承認について準用する。この場合において、同条第二号中「申請者」とあるのは、「合併後存続する法人若しくは合併により設立される法人又は分割により当該許可に係る探査の事業の全部を承継する法人」と読み替えるものとする。

 (探査の許可を受けた者の相続)

第百十三条 第百七条第一項の許可を受けた者が死亡した場合においては、相続人(相続人が二人以上ある場合において、その全員の同意により当該許可に係る探査の事業を承継すべき相続人を選定したときは、その者。以下この条において同じ。)が当該許可に係る探査の事業を引き続き行おうとするときは、その相続人は、被相続人の死亡後六十日以内に経済産業大臣に申請して、その承認を受けなければならない。

2 相続人が前項の承認の申請をした場合においては、被相続人の死亡の日からその承認を受ける日又は承認をしない旨の通知を受ける日までは、被相続人に対してした第百七条第一項又は第百九条第一項の許可は、その相続人に対してしたものとみなす。

3 第百八条(第二号イからハまで及びホ並びに第六号に係る部分に限る。)の規定は、第一項の承認について準用する。

4 第一項の承認を受けた相続人は、被相続人に係る第百七条第一項の許可を受けた者の地位を承継する。

 (国に関する特例)

第百十四条 国の機関が行う探査(国の機関が他の者に委託して行う場合を含む。)については、第百七条第一項の許可を受けることを要しない。この場合において、当該国の機関は、その探査を行おうとするときは、あらかじめ、経済産業大臣に協議しなければならない。

 (探査の結果の報告)

第百十五条 経済産業大臣は、貯留層の存在状況を把握し、又は探査の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、経済産業省令で定めるところにより、第百七条第一項の許可を受けた者に対し、その探査の結果を報告すべきことを命ずることができる。

   第五章 土地の使用及び収用

 (土地の立入り)

第百十六条 貯留事業等を行おうとする者、貯留事業等の許可の申請をした者若しくは貯留事業者等又は導管輸送事業を行おうとする者若しくは導管輸送事業者は、その貯留等工作物又は導管輸送工作物の設置に関する測量、実地調査又は工事のため必要があるときは、経済産業大臣の許可を受けて、他人の土地に立ち入ることができる。

2 経済産業大臣は、前項の許可の申請があったときは、土地の所有者及び占有者にその旨を通知し、意見書を提出する機会を与えなければならない。

3 第一項の許可を受けた者は、他人の土地に立ち入るときは、あらかじめ、土地の占有者に通知しなければならない。

4 第一項の許可を受けた者は、他人の土地に立ち入るときは、経済産業大臣の許可を受けたことを証する書面を携帯し、関係人に提示しなければならない。

 (損失の補償)

第百十七条 前条第一項の許可を受けた者は、同項の規定による行為により他人に損失を与えたときは、その損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。

2 前項の規定による損失の補償については、損失を与えた者と損失を受けた者とが協議しなければならない。

3 前項の規定による協議が成立しないときは、損失を与えた者又は損失を受けた者は、政令で定めるところにより、収用委員会に土地収用法第九十四条第二項の規定による裁決を申請することができる。

 (土地の使用)

第百十八条 貯留事業者等は、許可貯留区域等又はその付近において他人の土地をその貯留事業等に係る次に掲げる目的のために利用することが必要かつ適当であって、他の土地をもって代えることが著しく困難なときは、これを使用することができる。

 一 坑井の開設その他貯留等工作物の設置

 二 火薬類、燃料その他の重要資材又は土石の置場の設置

 三 道路の開設又は電気工作物の設置

 四 貯留事業等のための事務所又は貯留事業等に従事する者の宿舎の設置

2 導管輸送事業者は、その導管輸送事業の用に供するため、他人の土地に導管輸送工作物を設置することが必要かつ適当であって、他の土地をもって代えることが著しく困難なときは、これを使用することができる。

 (土地の収用)

第百十九条 貯留事業者は、許可貯留区域又はその付近において他人の土地をその貯留事業に係る前条第一項各号に掲げる目的に供した結果、その土地の形質を変更し、これを原状に回復することが著しく困難となった場合において、なおその土地をその目的に利用することが必要かつ適当であって、他の土地をもって代えることが著しく困難なときは、他人の土地を収用することができる。

2 導管輸送事業者は、その導管輸送事業の用に供するため、他人の土地に導管輸送工作物を設置した結果、その土地の形質を変更し、これを原状に回復することが著しく困難となった場合において、なおその土地をその目的に利用することが必要かつ適当であって、他の土地をもって代えることが著しく困難なときは、他人の土地を収用することができる。

 (許可及び公告)

第百二十条 貯留事業者等又は導管輸送事業者は、前二条の規定により他人の土地を使用し、又は収用しようとするときは、経済産業省令で定めるところにより、経済産業大臣に申請して、その許可を受けなければならない。

2 経済産業大臣は、前項の規定による申請があったときは、その申請に係る貯留事業等又は導管輸送事業について関係のある都道府県知事に協議するとともに、貯留事業者等又は導管輸送事業者並びに土地の所有者及び土地に関して権利を有する者の出頭を求めて、公開による意見の聴取を行わなければならない。

3 経済産業大臣は、前項の意見の聴取をしようとするときは、その期日の一週間前までに、事案の要旨並びに意見の聴取の期日及び場所を当事者に通知し、かつ、これを公示しなければならない。

4 第二項の意見の聴取に際しては、当事者に対して、当該事案について、証拠を提示し、意見を述べる機会を与えなければならない。

5 経済産業大臣は、第一項の許可をしたときは、次に掲げる事項を公告しなければならない。

 一 土地を使用し、又は収用しようとする者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

 二 使用又は収用の目的

 三 使用し、又は収用しようとする土地の所在地及び区域

 四 使用し、又は収用しようとする土地を表示する図面の縦覧場所

6 経済産業大臣は、第一項の許可をしたときは、直ちに、第二項に規定する都道府県知事を経由して、使用し、又は収用しようとする土地が所在する市町村の長にその旨を通知するとともに、その土地を表示する図面を送付しなければならない。

 (使用又は収用の手続の保留)

第百二十一条 貯留事業者等又は導管輸送事業者は、第百十八条又は第百十九条の規定により使用し、又は収用しようとする土地の全部又は一部について、前条第一項の許可後の使用又は収用の手続を保留することができる。

2 貯留事業者等又は導管輸送事業者は、前項の規定によって使用又は収用の手続を保留しようとするときは、経済産業省令で定めるところにより、前条第一項の規定による申請と同時に、その旨を記載した申立書を提出しなければならない。

3 経済産業大臣は、前項の規定による申立てがあったときは、前条第五項又は第六項の規定による公告又は通知の際、併せて同条第一項の許可後の使用又は収用の手続が保留される旨及び手続が保留される土地の区域を公告し、又は通知しなければならない。

 (土地収用法の適用)

第百二十二条 第百十八条又は第百十九条の規定による土地の使用又は収用に関しては、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、第百二十条第一項又は第五項の規定による許可又は公告があったときは、土地収用法第二十条の規定による事業の認定又は同法第二十六条第一項の規定による事業の認定の告示があったものとみなし、第百二十条第六項の規定による通知は同法第二十六条の二第一項の規定による通知と、第百二十条第六項の規定により市町村長が送付を受けた図面は同法第二十六条の二第二項の規定により公衆の縦覧に供すべき図面と、前条第三項の規定による公告は同法第三十三条の規定による告示とみなして、同法の規定を適用する。

2 前項の規定による土地収用法の適用については、同法第百二十九条及び第百三十一条第一項中「国土交通大臣」とあり、同条第二項中「国土交通大臣又は都道府県知事」とあり、並びに同法第百三十一条の二中「国土交通大臣若しくは都道府県知事」とあるのは、「経済産業大臣」とする。

3 経済産業大臣は、第百二十条第五項の規定による公告をしたときは、土地収用法第二十六条第二項及び第三項の規定にかかわらず、収用委員会の要求があった場合においては、土地の使用又は収用の許可に関する書類の写しを、収用委員会に送付しなければならない。

 (水の使用)

第百二十三条 土地の使用及び収用に関する規定は、貯留事業者等の水の使用に関する権利について準用する。

   第六章 損害の賠償

 (賠償義務)

第百二十四条 貯留層における二酸化炭素の貯蔵若しくは試掘のための土地の掘削、坑水の放流又は貯留層に貯蔵した二酸化炭素の漏えいによって他人に損害を与えたときは、当該損害の発生の時における当該許可貯留区域等の貯留事業者等が、当該損害の発生の時既に第五十五条第一項の規定により機構に貯留権が移転しているときは当該移転の時に当該貯留権を有していた貯留事業者が、当該損害の発生の時既に貯留権等(貯留権にあっては、貯留開始貯留事業以外の貯留事業に係るものに限る。)が消滅しているときは当該貯留権等の消滅の時における当該許可貯留区域等の貯留事業者等が、当該損害を賠償する責任を負う。

2 前項の場合において、損害が二以上の許可貯留区域等の貯留事業者等の行為によって生じたときは、各貯留事業者等は、連帯して損害を賠償する義務を負う。損害が二以上の許可貯留区域等の貯留事業者等の行為のいずれによって生じたかを知ることができないときも、同様とする。

3 前二項の場合において、損害の発生の後に貯留権等の譲渡があったときは、損害の発生の時の貯留事業者等及びその後の貯留事業者等が、連帯して損害を賠償する義務を負う。

4 前三項の規定による賠償については、貯留権等を共有する者の義務は、連帯とする。

 (負担部分と償還請求)

第百二十五条 前条第二項に規定する連帯債務者相互の間においては、その各自の負担部分は、等しいものと推定する。

2 前条第三項の場合において、貯留権等を譲り受けた者が賠償の義務を履行したときは、同条第一項又は第二項の規定により損害を賠償すべき者に対し、償還を請求することができる。

 (賠償)

第百二十六条 損害は、公正かつ適切に賠償されなければならない。

2 損害の賠償は、金銭をもってする。ただし、賠償金額に比して著しく多額の費用を要しないで原状の回復をすることができるときは、被害者は、原状の回復を請求することができる。

3 賠償義務者の申立てがあった場合において、裁判所が適当であると認めるときは、前項の規定にかかわらず、金銭をもってする賠償に代えて原状の回復を命ずることができる。

 (賠償についてのしん酌)

第百二十七条 損害の発生又は拡大に関して被害者の責めに帰すべき事由があったときは、裁判所は、損害賠償の責任及び範囲を定めるについて、これをしん酌することができる。天災その他の不可抗力が競合したときも、同様とする。

 (消滅時効)

第百二十八条 損害賠償請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。

 一 被害者が損害及び賠償義務者を知った時から三年間行使しないとき。

 二 損害の発生の時から二十年間行使しないとき。

2 人の生命又は身体を害した場合における損害賠償請求権の消滅時効についての前項第一号の規定の適用については、同号中「三年間」とあるのは、「五年間」とする。

3 前二項の期間は、進行中の損害については、その進行のやんだ時から起算する。

 (適用除外)

第百二十九条 この章の規定は、貯留事業等に従事する者の業務上の負傷、疾病及び死亡に関しては、適用しない。

   第七章 雑則

 (許可等の条件)

第百三十条 この法律の規定による許可、認可又は承認(次項において「許可等」という。)には、条件を付し、及びこれを変更することができる。

2 前項の条件は、許可等の趣旨に照らして、又は許可等に係る事項の確実な実施を図るため必要な最小限度のものに限り、かつ、当該許可等を受ける者に不当な義務を課することとなるものであってはならない。

 (手数料)

第百三十一条 次に掲げる者は、政令で定めるところにより、実費を勘案して政令で定める額の手数料を国に納付しなければならない。

 一 第四条第一項、第十条第一項、第十二条第一項、第十四条第一項、第十六条第一項、第五十三条第五項(第二十二条第一項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)又は第百二十条第一項の許可を申請する者

 二 第九条第二項(第十二条第六項において準用する場合を含む。)の更新を申請する者

 三 第二十二条第三項、同条第五項(第五十三条第三項において準用する場合を含む。)又は第五十三条第二項の認可を申請する者

 四 第五十三条第四項(第二十二条第一項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の確認を受けようとする者

 五 第百六条第一項の規定により経済産業大臣の行う検査を受けようとする者

 (報告徴収及び立入検査)

第百三十二条 主務大臣は、この法律の施行に必要な限度において、貯留事業者に対し、その業務に関し必要な報告若しくは資料の提出を求め、又はその職員に、貯留事業者の事業所、事務所その他の事業場に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。

2 経済産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、試掘者又は導管輸送事業者に対し、その業務に関し必要な報告若しくは資料の提出を求め、又はその職員に、試掘者又は導管輸送事業者の事業所、事務所その他の事業場に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。

3 経済産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、探査を行う者に対し、その行為に関し必要な報告若しくは資料の提出を求め、又はその職員に、探査を行う者の事業所、事務所若しくは自動車若しくは船舶(以下この項において「自動車等」という。)に立ち入り、その行為の状況、自動車等若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。

4 経済産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、登録導管輸送工作物検査機関に対し、その業務に関し必要な報告若しくは資料の提出を求め、又はその職員に、登録導管輸送工作物検査機関の事業所若しくは事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。

5 前各項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

6 第一項から第四項までの規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

 (公害等調整委員会の裁定)

第百三十三条 第四条第一項、第十条第一項、第十二条第一項、第十四条第一項、第十九条第一項若しくは第二項、第百七条第一項、第百九条第一項又は第百十条の規定による経済産業大臣の処分(第十四条第一項の規定による処分にあっては、許可貯留区域等の増加に係るものに限る。)に不服がある者は、その不服の理由が鉱業、採石業又は砂利採取業との調整に関するものであるときは、公害等調整委員会に裁定を申請することができる。この場合には、審査請求をすることができない。

2 行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)第二十二条の規定は、前項の処分につき、処分をした行政庁が誤って審査請求又は再調査の請求をすることができる旨を教示した場合について準用する。

 (火薬類取締法等の適用除外)

第百三十四条 貯留事業者等が行う貯留事業等の用に供する火薬類については、火薬類取締法第十七条第一項及び第五項並びに第二十一条(経済産業省令で定める数量以下の火薬類の譲渡又は譲受けの場合に限る。)、第二十五条第一項、第二十六条、第二十九条第四項及び第六項(消費者に係る部分に限る。)、第三十条第二項(同項の経済産業省令で定める数量以上の火薬類を消費する者に係る部分に限る。)、第四十一条及び第四十二条(消費者に係る部分に限る。)、第四十三条第一項(消費者又は火薬類を保管する者の消費場所又は保管場所に係る部分に限る。)並びに第四十五条第二号(消費者その他火薬類を取り扱う者に係る部分に限る。)及び第三号の規定は、適用しない。

2 貯留事業者等が行う貯留事業等及びその用に供する貯留等工作物並びに導管輸送事業者が行う導管輸送事業及びその用に供する導管輸送工作物については、高圧ガス保安法(昭和二十六年法律第二百四号)第五条、第十三条、第十五条第一項、第十六条第一項及び第三項、第十七条の二、第二十三条第三項、第二十五条、第三十九条第二号及び第三号、第六十二条第一項並びに第六十三条の規定は、適用しない。

 (海上保安庁長官との関係)

第百三十五条 主務大臣は、第三十八条第一項又は第三十九条第一項の認可(海域の貯留層における貯留事業に係るものに限る。)をしたときは、遅滞なく、その旨を海上保安庁長官に通知するものとする。

 (主務大臣等)

第百三十六条 この法律における主務大臣は、次の各号に掲げる事項の区分に応じ、当該各号に定める大臣とする。

 一 海域の貯留層における貯留事業に関する事項(貯留事業場における保安に関する事項を除く。) 経済産業大臣及び環境大臣

 二 前号に掲げる事項以外の事項 経済産業大臣

2 この法律における主務省令は、前項各号に掲げる事項の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める主務大臣の発する命令とする。

 (権限の委任)

第百三十七条 この法律に規定する経済産業大臣の権限は、経済産業省令で定めるところにより、経済産業局長又は産業保安監督部長に委任することができる。

2 この法律に規定する環境大臣の権限は、環境省令で定めるところにより、地方環境事務所長に委任することができる。

 (経済産業省令等への委任)

第百三十八条 この法律に規定するもののほか、この法律の実施のため必要な手続その他の事項は、経済産業省令、環境省令又は主務省令で定める。

 (経過措置)

第百三十九条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

   第八章 罰則

第百四十条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、五年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 一 第十三条第一項の規定に違反して、貯留事業の許可を受けないで貯留層における二酸化炭素の貯蔵を行ったとき。

 二 第十三条第二項の規定に違反して、試掘の許可を受けないで試掘を行ったとき。

第百四十一条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、五年以下の拘禁刑若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 一 第九条第二項(第十二条第六項において準用する場合を含む。)の規定による試掘の許可の更新を受けないで当該試掘の許可の有効期間の満了後に試掘を行ったとき。

 二 第二十二条第二項の規定に違反したとき。

 三 第五十三条第五項(第二十二条第一項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の許可を受けないで貯留開始貯留事業を廃止したとき。

 四 第百七条第一項の許可又は第百九条第一項の規定による変更の許可を受けないで探査を行ったとき。

 五 第百十一条の規定による命令に違反したとき。

第百四十二条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、一年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 一 第二十二条第三項若しくは第四項又は第五十三条第二項の規定に違反したとき。

 二 第二十二条第九項(第五十三条第三項において準用する場合を含む。)又は第二十三条第二項(第五十七条第五項及び第六十四条第三項において準用する場合を含む。)の規定による命令に違反したとき。

 三 第七十八条第一項の規定による届出をしないで導管輸送事業を行い、又は虚偽の届出をしたとき。

 四 第百四条第二項の規定による検査の業務の停止の命令に違反したとき。

第百四十三条 第五十二条、第六十六条第三項若しくは第八十四条の規定による命令又は第六十七条第二項若しくは第三項若しくは第八十六条第二項若しくは第三項の規定による命令若しくは制限に違反したときは、当該違反行為をした者は、三百万円以下の罰金に処する。

第百四十四条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、百万円以下の罰金に処する。

 一 第十五条、第四十一条第二項、第四十三条第三項、第四十八条第二項、第五十条第三項若しくは第五項、第五十一条第二項、第六十二条第二項、第六十八条第二項(第八十七条において準用する場合を含む。)、第六十九条第四項、第七十三条(第八十九条において準用する場合を含む。)、第七十四条第三項、第八十二条第三項若しくは第五項、第八十三条第二項又は第八十八条第三項の規定による命令に違反したとき。

 二 第五十条第二項、第六十七条第一項、第八十二条第二項又は第八十六条第一項の規定に違反したとき。

 三 第六十六条第一項又は第二項の規定による措置を講じなかったとき。

 四 第七十一条第一項(第八十九条において準用する場合を含む。)の規定に違反して作業監督者を選任しなかったとき。

 五 第七十五条第一項から第三項まで又は第九十条第一項から第三項までの規定に違反して貯留等工作物又は導管輸送工作物の設置又は変更の工事をしたとき。

 六 第七十五条第五項又は第九十条第五項の規定による命令に違反して貯留等工作物又は導管輸送工作物の設置又は変更の工事をしたとき。

 七 第九十一条第一項の規定に違反して導管輸送工作物を使用したとき。

第百四十五条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、三十万円以下の罰金に処する。

 一 第三十五条第三項、第三十七条第三項、同条第六項(第五十八条第三項において準用する場合を含む。)、第四十五条第三項、第五十条第一項、第五十七条第一項(第六十四条第二項において準用する場合を含む。)、第五十八条第二項、第六十九条第一項若しくは第二項、第七十一条第二項(第八十九条において準用する場合を含む。)、第七十五条第七項若しくは第八項、第七十九条第二項、第八十条第一項、第八十二条第一項、第八十八条第一項若しくは第二項、第九十条第七項若しくは第八項又は第九十九条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。

 二 第四十三条第二項、第四十八条第一項、第四十九条(第六十四条第一項において準用する場合を含む。)又は第六十八条第一項(第八十七条において準用する場合を含む。)の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

 三 第五十条第四項又は第八十二条第四項の規定に違反したとき。

 四 第七十四条第一項若しくは第二項、第七十六条第一項、第七十七条(第九十二条において準用する場合を含む。)、第八十一条又は第九十一条第三項の規定に違反して記録を作成せず、若しくは虚偽の記録を作成し、又は記録を保存しなかったとき。

 五 第百五条の規定に違反して、帳簿を備えず、帳簿に同条に規定する事項の記載をせず、若しくは虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかったとき。

 六 第百七条第四項の規定に違反して許可証を携帯しないで探査を行ったとき。

 七 第百十五条の規定による命令に違反したとき。

 八 第百十六条第四項の規定に違反して、同項の書面を携帯せず、又はこれを提示しないで他人の土地に立ち入ったとき。

 九 第百三十条第一項の規定により付された条件(貯留事業等の許可又は第百七条第一項の許可若しくは第百九条第一項の規定による変更の許可に係るものに限る。)に違反したとき。

 十 第百三十二条第一項から第四項までの規定による報告若しくは資料の提出をせず、若しくは虚偽の報告をし、若しくは虚偽の資料を提出し、又はこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくはこれらの規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をしたとき。

第百四十六条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第百四十条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。

第百四十七条 第百条第一項の規定に違反して財務諸表等を備えて置かず、財務諸表等に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は正当な理由がないのに同条第二項の規定による請求を拒んだ者は、二十万円以下の過料に処する。

第百四十八条 第二十二条第七項(第五十三条第三項において準用する場合を含む。)、第三十九条第二項、第六十条第二項、第七十八条第三項、第八十条第二項又は第百九条第三項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、十万円以下の過料に処する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

 一 附則第二十二条の規定 公布の日

 二 第一章、第四章、第百三十条、第百三十二条第三項、第五項及び第六項、第百三十三条(第百七条第一項、第百九条第一項及び第百十条に係る部分に限る。)、第百三十七条第一項、第百三十八条並びに第百三十九条の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)並びに附則第五条、第六条及び第九条の規定 公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日

 三 第二章第一節(試掘に係る部分に限る。)、同章第二節(試掘及び試掘権に係る部分に限る。)、同章第三節第三款、第六十五条(試掘に係る部分に限る。)、同章第四節(試掘に係る部分に限る。)、第五章及び第六章(試掘に係る部分に限る。)、第百三十一条(第一号(第四条第一項、第十二条第一項、第十四条第一項及び第百二十条第一項に係る部分に限る。)に係る部分に限る。)、第百三十二条第二項(試掘者に係る部分に限る。)、第百三十三条(前号に掲げる規定及び第十条第一項に係る部分を除き、試掘に係る部分に限る。)、第百三十四条(試掘に係る部分に限る。)並びに第百三十七条第二項の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)並びに附則第七条、第八条、第十条から第十二条まで、第十七条及び第十九条から第二十一条までの規定 公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日

 (検討)

第二条 政府は、この法律の施行後五年を目途として、我が国における貯留事業の実施状況、諸外国における貯留事業に相当する事業の実施状況及び当該事業に係る制度等を勘案し、必要があると認めるときは、この法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

 (貯留事業に関する経過措置)

第三条 この法律の施行の際現に貯留事業を行っている者(以下「既存貯留事業者」という。)は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)から起算して六月を経過する日までの間は、第十三条第一項の規定にかかわらず、引き続き貯留事業を行うことができる。既存貯留事業者がその期間内に次項の許可の申請をした場合において、その期間を経過したときは、その申請について許可又は不許可の処分があるまでの間も、同様とする。

2 既存貯留事業者は、施行日から起算して六月を経過する日後も引き続きその貯留事業を行っている区域内の貯留層における貯留事業を行おうとするときは、同日までに経済産業大臣に申請して、その許可を受けることができる。

3 前項の規定による申請をしようとする既存貯留事業者は、経済産業省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を、経済産業大臣に提出しなければならない。

 一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名

 二 当該申請に係る貯留区域(次項及び第六項において「申請貯留区域」という。)

 三 貯留事業を開始した年月日

 四 貯留事業の概要

4 第四条第三項から第五項までの規定は前項の申請書並びに当該申請書に係る貯留事業及び申請貯留区域について、第六条から第八条までの規定は第二項の許可並びに当該許可に係る貯留事業及び申請貯留区域について、第十条第三項(第三号を除く。)の規定は第二項の規定による申請及び当該申請に係る申請貯留区域について、第三十七条第四項の規定は第二項の許可(当該許可の日において既に申請貯留区域内の貯留層に二酸化炭素を貯蔵している既存貯留事業者に係るものに限る。)をしたときについて、第百三十三条の規定は同項の規定による経済産業大臣の処分について、それぞれ準用する。

5 経済産業大臣は、第二項の規定による申請(海域の貯留層における貯留事業に係るものに限る。)について同項の許可をしようとするときは、その申請が前項において準用する第十条第三項第一号(経理的基礎及び技術的能力に係る部分に限る。)及び第四号に掲げる基準に適合していることについて、あらかじめ、環境大臣に協議し、その同意を得なければならない。

6 第二項の許可を受けた既存貯留事業者(以下「許可既存貯留事業者」という。)については、当該許可を受けた日において貯留事業の許可を受けた貯留事業者(同日において既に申請貯留区域内の貯留層に二酸化炭素を貯蔵している場合にあっては、貯留開始貯留事業者)とみなして、この法律の規定(第三十七条第三項前段(貯留開始貯留事業者とみなされる許可既存貯留事業者にあっては、同項)を除く。)を適用する。この場合において、第十九条第三項第二号及び第四項中「第十条第三項第一号」とあるのは「第十条第三項第一号(附則第三条第四項において準用する場合を含む。)」と、第三十八条第一項中「貯留事業を開始する前に」とあるのは「附則第三条第二項の許可後遅滞なく」と、第六十九条第一項中「貯留事業等(第七十六条第一項の自主検査を伴う貯留等工作物の設置又は変更の工事をする場合にあっては、当該工事)の開始前に」とあるのは「附則第三条第二項の許可後遅滞なく」とする。

7 第二項の許可を申請する者は、政令で定めるところにより、実費を勘案して政令で定める額の手数料を国に納付しなければならない。

 (工事計画に関する経過措置)

第四条 第七十五条第一項の規定は、許可既存貯留事業者が前条第二項の許可を受けた時点において既に開始している貯留等工作物の設置又は変更の工事については、適用しない。

 (探査に関する経過措置)

第五条 附則第一条第二号に掲げる規定の施行の際現に第百七条第一項に規定する探査を行っている者は、同号に掲げる規定の施行の日から起算して一月間(当該期間内に同項の許可の申請をした場合には、当該申請について処分がある日まで)は、同項の規定にかかわらず、引き続き当該探査を行うことができる。

 (調整規定)

第六条 刑法等の一部を改正する法律(令和四年法律第六十七号)の施行の日(以下この条において「刑法施行日」という。)の前日までの間における第百四十条から第百四十二条までの規定の適用については、これらの規定中「拘禁刑」とあるのは、「懲役」とする。刑法施行日以後における刑法施行日前にした行為に対するこれらの規定の適用についても、同様とする。

 (鉱業法の一部改正)

第七条 鉱業法の一部を次のように改正する。

  第二十九条第一項中第九号を第十号とし、第八号を第九号とし、第七号の次に次の一号を加える。

  八 その出願に係る鉱業出願地が、他人の許可貯留区域等(二酸化炭素の貯留事業に関する法律(令和六年法律第▼▼▼号)第五条第一項第四号に規定する許可貯留区域等をいう。以下同じ。)の直上の区域と重複し、又は隣接する場合においては、当該鉱業出願地における鉱物の掘採が他人の貯留事業等(同法第三条第一項に規定する貯留事業等をいう。以下同じ。)の実施を著しく妨害するものでないこと。

  第四十条第一項中第六号を第七号とし、第五号を第六号とし、第四号の次に次の一号を加える。

  五 その申請に係る鉱業申請地が、他人の許可貯留区域等の直上の区域と重複し、又は隣接する場合においては、当該鉱業申請地における鉱物の掘採が他人の貯留事業等の実施を著しく妨害するものでないこと。

  第四十一条第三項中第八号を第九号とし、第七号を第八号とし、第六号の次に次の一号を加える。

  七 その申請に係る鉱業申請地が、他人の許可貯留区域等の直上の区域と重複し、又は隣接する場合においては、当該鉱業申請地における鉱物の掘採が他人の貯留事業等の実施を著しく妨害するものでないこと。

  第四十五条第二項中第五号を第六号とし、第四号を第五号とし、第三号の次に次の一号を加える。

  四 その申請に係る鉱業申請地が、他人の許可貯留区域等の直上の区域と重複し、又は隣接する場合においては、当該鉱業申請地における鉱物の掘採が他人の貯留事業等の実施を著しく妨害するものでないこと。

  第四十六条第二項中「第八号」を「第九号」に改める。

  第五十四条中「の鉱業」の下に「又は貯留事業等」を加える。

  第八十九条第三項中「第八号」を「第九号」に改める。

  第百条の三中第五号を第六号とし、第四号を第五号とし、第三号の次に次の一号を加える。

  四 その申請に係る探査が、他人の許可貯留区域等の直上の区域で行われるものであつて、当該許可貯留区域等における他人の貯留事業等の実施を著しく妨害するものでないこと。

  第百条の五第三号中「又は第四号」を「から第五号まで」に改める。

  第百条の八第二項及び第百条の九第三項中「第五号」を「第六号」に改める。

  第百三十三条第一号中「第二十九条第一項第八号」の下に「及び第九号」を加え、同条第三号中「同項第五号」の下に「及び第六号」を加え、同条第五号中「同項第七号」の下に「及び第八号」を加え、同条第七号中「同項第四号」の下に「及び第五号」を加え、同条中第十四号を第十五号とし、第十三号を第十四号とし、同条第十二号中「第百条の三第四号」の下に「又は第五号」を加え、同号を同条第十三号とし、同条第十一号を同条第十二号とし、同条第十号中「第百条の三第四号」の下に「及び第五号」を加え、同号を同条第十一号とし、同条第九号の次に次の一号を加える。

  十 第五十四条(第八十七条において準用する場合を含む。)の規定による鉱区若しくは租鉱区の減少の処分又は鉱業権若しくは租鉱権の取消しに不服のある者(鉱物の掘採が他人の貯留事業等の実施を著しく妨害するに至つたことを理由とする場合に限る。)

 (鉱業法の一部改正に伴う経過措置)

第八条 附則第一条第三号に掲げる規定の施行の日から施行日の前日までの間における前条の規定による改正後の鉱業法(以下この項及び第三項において「新鉱業法」という。)第二十九条第一項第八号、第四十条第一項第五号、第四十一条第三項第七号、第四十五条第二項第四号、第五十四条、第百条の三第四号及び第百三十三条第十号の規定の適用については、これらの規定中「貯留事業等」とあるのは「試掘」と、新鉱業法第二十九条第一項第八号中「許可貯留区域等」とあるのは「許可試掘区域」と、「第五条第一項第四号」とあるのは「第十四条第二項第二号」と、「第三条第一項」とあるのは「第二条第四項」と、新鉱業法第四十条第一項第五号、第四十一条第三項第七号、第四十五条第二項第四号及び第百条の三第四号中「許可貯留区域等」とあるのは「許可試掘区域」とする。

2 この法律(附則第一条第三号に掲げる規定にあっては、当該規定。以下この項及び次項において同じ。)の施行前にされた鉱業法第二十一条第一項、第三十条第一項、第三十九条第一項、第四十一条第一項、第四十四条第一項、第四十五条第一項、第百条の二第一項又は第百条の四第一項の規定による許可の出願又は申請であって、この法律の施行の際許可をするかどうかの処分がなされていないものについての当該処分については、なお従前の例による。

3 新鉱業法第五十四条(鉱業法第八十七条において準用する場合を含む。)の規定による鉱区及び租鉱区(同法第七十三条に規定する租鉱区をいう。)の減少の処分並びに鉱業権(同法第五条に規定する鉱業権をいう。)及び租鉱権(同法第六条に規定する租鉱権をいう。)の取消し並びに新鉱業法第百条の五の規定による鉱業法第百条の二第一項の許可の取消しに関しては、この法律の施行の日前に生じた事由については、なお従前の例による。

 (鉱業等に係る土地利用の調整手続等に関する法律の一部改正)

第九条 鉱業等に係る土地利用の調整手続等に関する法律(昭和二十五年法律第二百九十二号)の一部を次のように改正する。

  第一条第二号に次のように加える。

   レ 二酸化炭素の貯留事業に関する法律(令和六年法律第▼▼▼号)第百三十三条第一項

 (印紙税法の一部改正)

第十条 印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)の一部を次のように改正する。

  別表第一第一号の課税物件の物件名の欄1中「鉱業権」の下に「、貯留権、二酸化炭素の貯留事業に関する法律(令和六年法律第▼▼▼号)第二条第八項(定義)に規定する試掘権」を加える。

 (印紙税法の一部改正に伴う経過措置)

第十一条 附則第一条第三号に掲げる規定の施行の日から施行日の前日までの間における前条の規定による改正後の印紙税法別表第一第一号の規定の適用については、同号中「鉱業権、貯留権」とあるのは、「鉱業権」とする。

 (登録免許税法の一部改正)

第十二条 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。

  第十一条第一項中「著作権」を「試掘権(二酸化炭素の貯留事業に関する法律(令和六年法律第▼▼▼号)第二条第八項(定義)に規定する試掘権をいう。別表第一第二十二号の二において同じ。)、著作権」に改める。

  別表第一第二十二号の次に次のように加える。

二十二の二 試掘権の登録(試掘権の信託の登録を含む。)

 () 試掘権の設定の登録

試掘区域の数

一個につき九万円

 () 試掘区域の増減による試掘権の変更の登録

 

 

  イ 試掘区域の増加又は試掘区域の増加及び減少による変更の登録

試掘区域の数

一個につき四万五千円

  ロ 試掘区域の減少による変更の登録

試掘区域の数

一個につき六千円

 () 試掘権の移転の登録

 

 

  イ 相続又は法人の合併による移転の登録

試掘区域の数

一個につき九千円

  ロ その他の原因による移転の登録

試掘区域の数

一個につき四万五千円

 () 試掘権の処分の制限の登録

債権金額又は極度金額

千分の四

 () 試掘権の信託の登録

試掘区域の数

一個につき九千円

 () 付記登録、仮登録、抹消した登録の回復の登録又は登録の更正若しくは変更の登録(これらの登録のうち()から()までに掲げるものを除く。)

試掘区域の数

一個につき千円

 () 登録の抹消

試掘区域の数

一個につき千円

第十三条 登録免許税法の一部を次のように改正する。

  第十一条第一項中「著作権」を「貯留権、著作権」に改める。

  別表第一第二十二号の二中「の登録(試掘権」を「又は貯留権の登録(試掘権又は貯留権」に改め、同号()及び()を次のように改める。

 () 貯留権の設定の登録

貯留区域の数

一個につき十八万円

 () 貯留区域の増減、合併又は分割による貯留権の変更の登録

 

 

  イ 貯留区域の増加又は貯留区域の増加及び減少による変更の登録

貯留区域の数

一個につき九万円

  ロ 貯留区域の減少による変更の登録

貯留区域の数

一個につき一万二千円

  ハ 貯留区域の合併による変更の登録

合併後の貯留区域の数

一個につき四万五千円

  ニ 貯留区域の分割による変更の登録

分割後の貯留区域の数

一個につき四万五千円

  別表第一第二十二号の二()中「の数」を「又は貯留区域の数」に改め、同号()を同号(十四)とし、同号()中「()まで」を「(十二)まで」に、「の数」を「又は貯留区域の数」に改め、同号()を同号(十三)とし、同号()の次に次のように加える。

 () 貯留権の移転の登録

 

 

  イ 相続又は法人の合併による移転の登録

貯留区域の数

一個につき一万八千円

  ロ その他の原因による移転の登録

貯留区域の数

一個につき九万円

 () 抵当権の設定又は試掘権、貯留権若しくは抵当権の処分の制限の登録

債権金額又は極度金額

千分の四

 () 二酸化炭素の貯留事業に関する法律第十六条第五項(許可貯留区域の分割及び合併の許可の申請)の承諾及び協定に係る抵当権の変更の登録

貯留区域の数

一個につき三千円

 () 順位の変更による抵当権の変更の登録(()に掲げる登録を除く。)

貯留区域の数

一個につき六千円

 () 抵当権の移転の登録

 

 

  イ 相続又は法人の合併による移転の登録

貯留区域の数

一個につき四千五百円

  ロ その他の原因による移転の登録

貯留区域の数

一個につき九千円

 (十一) 抵当権の順位の変更の登録

抵当権の件数

一件につき千円

 (十二) 信託の登録

 

 

  イ 抵当権の信託の登録

債権金額又は極度金額

千分の二

  ロ 抵当権以外の権利の信託の登録

試掘区域又は貯留区域の数

一個につき九千円

  別表第一第百八号の次に次のように加える。

百八の二 二酸化炭素を輸送する事業に係る登録導管輸送工作物検査機関の登録

 二酸化炭素の貯留事業に関する法律第九十一条第一項(登録導管輸送工作物検査機関の登録)の登録(更新の登録を除く。)

登録件数

一件につき九万円

 (海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部改正)

第十四条 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(昭和四十五年法律第百三十六号)の一部を次のように改正する。

  第十八条の七第二号を次のように改める。

  二 二酸化炭素の貯留事業に関する法律(令和六年法律第▼▼▼号)第十三条第一項に規定する貯留事業者が同法第四十条に規定する認可貯留事業実施計画に基づいて行う二酸化炭素(同法第二条第一項に規定する二酸化炭素をいう。以下この号及び第五十一条において同じ。)の海底下廃棄及び独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構が同法第五十四条第一項に規定する通知貯留区域管理業務として行う二酸化炭素の海底下廃棄

  第十八条の八から第十八条の十五までを削る。

  第十九条及び第十九条の二を次のように改める。

 第十九条及び第十九条の二 削除

  第四十八条第三項中「、第十八条の八第一項」及び「、特定二酸化炭素ガスの海底下廃棄」を削り、同条第八項中「、第十八条の八第一項」を削る。

  第五十一条中「特定二酸化炭素ガス」を「二酸化炭素」に改める。

  第五十五条第一項第五号中「、第十八条の十二」及び「、第十八条の八第一項」を削り、同項中第九号を削り、第十号を第九号とし、第十一号から第十六号までを一号ずつ繰り上げる。

  第五十六条中第五号を削り、第六号を第五号とし、第七号から第十四号までを一号ずつ繰り上げる。

  第五十七条第七号中「、第十八条の十二」を削り、同条中第九号を削り、第十号を第九号とし、第十一号から第二十一号までを一号ずつ繰り上げる。

  第六十条中第二号を削り、第三号を第二号とする。

  第六十一条中「、第十八条の十二」を削る。

 (海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部改正に伴う経過措置)

第十五条 既存貯留事業者であって、前条の規定による改正前の海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(以下この項において「旧海防法」という。)第十八条の八第一項の許可を受けているもの(以下この項において「旧許可廃棄者」という。)が行う特定二酸化炭素ガス(旧海防法第十八条の七第二号に規定する特定二酸化炭素ガスをいう。)の海底下廃棄(海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第三条第七号の二に規定する海底下廃棄をいう。)については、旧許可廃棄者が附則第三条第二項の許可を受けるまでの間は、なお従前の例による。

2 許可既存貯留事業者が行う附則第三条第二項の許可に係る貯留事業については、前条の規定による改正後の海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第十八条の七の規定は、適用しない。

 (特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律の一部改正)

第十六条 特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(平成十二年法律第百十七号)の一部を次のように改正する。

  第二十一条第九項中「租鉱区」の下に「若しくは許可貯留区域等(二酸化炭素の貯留事業に関する法律(令和六年法律第▼▼▼号。以下「貯留事業法」という。)第五条第一項第四号に規定する許可貯留区域等をいう。以下同じ。)」を、「租鉱権」の下に「若しくは貯留事業等の許可(同項第二号ロに規定する貯留事業等の許可をいう。以下同じ。)」を加える。

  第二十六条第一項中「に不服がある者は」を「(許可貯留区域等の減少の処分及び貯留事業等の許可の取消しを除く。)に不服がある者は」に改める。

  第二十七条の次に次の一条を加える。

  (貯留事業法の準用)

 第二十七条の二 貯留事業法第二十一条及び第三十条第一項の規定は、第二十一条第九項の規定による許可貯留区域等の減少の処分について準用する。

 2 貯留事業法第二十七条並びに第三十条第二項及び第三項の規定は、前項において準用する同条第一項の規定による告示について準用する。

 3 貯留事業法第二十一条から第二十三条まで及び第三十二条の規定は、第二十一条第九項の規定による貯留事業等の許可の取消しについて準用する。この場合において、貯留事業法第二十二条第一項中「貯留開始貯留事業の許可の取消しを受けた貯留開始貯留事業者であった者又は貯留開始貯留事業者が解散し、若しくは死亡した場合において第十七条第一項若しくは第二項若しくは第十八条第一項の規定による承継がなかったときの清算人若しくは破産管財人若しくは相続人に代わって相続財産を管理する者」とあるのは「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律第二十一条第九項の規定による貯留事業の許可の取消しを受けた貯留開始貯留事業者であった者」と、同条第三項中「貯留開始貯留事業の許可の取消しを受けた日又は貯留開始貯留事業者の解散若しくは死亡の日」とあるのは「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律第二十一条第九項の規定による貯留事業の許可の取消しを受けた日」と読み替えるものとする。

  第三十一条に次の二項を加える。

 3 機構は、第二十一条第九項の規定による許可貯留区域等の減少の処分又は貯留事業等の許可の取消しによって損失を受けた貯留事業者等(貯留事業法第五条第一項第二号ハに規定する貯留事業者等をいう。以下この項において同じ。)又は貯留事業者等であった者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。

 4 貯留事業法第二十条第二項から第七項までの規定は、前項の規定による損失の補償について準用する。この場合において、同条第二項、第三項及び第五項中「国」とあるのは「原子力発電環境整備機構」と、同条第六項中「前条第一項」とあるのは「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律第二十一条第九項」と、「国」とあるのは「原子力発電環境整備機構」と読み替えるものとする。

 (独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構法の一部改正)

第十七条 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構法(平成十四年法律第九十四号)の一部を次のように改正する。

  第十一条第一項第二十三号の次に次の一号を加える。

  二十三の二 二酸化炭素の貯留事業に関する法律(令和六年法律第▼▼▼号)第六十五条の規定による協力を行うこと。

  第十二条第一号中「同項第二十三号」の下に「及び第二十三号の二」を加える。

第十八条 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構法の一部を次のように改正する。

  第十一条第一項中第二十六号を第二十八号とし、第二十五号を第二十七号とし、第二十四号を第二十六号とし、同項第二十三号の二中「(令和六年法律第▼▼▼号)」を削り、同号を同項第二十五号とし、同項第二十三号の次に次の一号を加える。

  二十四 二酸化炭素の貯留事業に関する法律(令和六年法律第▼▼▼号)第四十五条第一項の拠出金の徴収及び同法第五十四条第一項に規定する通知貯留区域管理業務を行うこと。

  第十二条第一号中「第二十三号の二」を「第二十五号」に改め、同条第三号中「同項第二十五号」を「同項第二十七号」に、「第六号」を「第七号」に改め、同条第七号中「第十一条第一項第二十六号」を「第十一条第一項第二十八号」に改め、同号を同条第八号とし、同条第六号中「第十一条第一項第二十五号」を「第十一条第一項第二十七号」に改め、同号を同条第七号とし、同条第五号の次に次の一号を加える。

  六 第十一条第一項第二十四号に掲げる業務及びこれに附帯する業務

  第十二条の二中「第二十五号及び第二十六号」を「第二十七号及び第二十八号」に改める。

  第十三条第三項中「及び同条第五号」を「、同条第五号」に、「について」を「及び同条第六号に掲げる業務に係る勘定(第六項において「第六号勘定」という。)について」に改め、同条第六項中「及び第五号勘定」を「、第五号勘定及び第六号勘定」に改める。

 (破産法の一部改正)

第十九条 破産法(平成十六年法律第七十五号)の一部を次のように改正する。

  第七十八条第二項第二号中「漁港水面施設運営権」の下に「、貯留権、試掘権(二酸化炭素の貯留事業に関する法律(令和六年法律第▼▼▼号)第二条第八項に規定する試掘権をいう。)」を加える。

 (破産法の一部改正に伴う経過措置)

第二十条 附則第一条第三号に掲げる規定の施行の日から施行日の前日までの間における前条の規定による改正後の破産法第七十八条第二項第二号の規定の適用については、同号中「貯留権、試掘権」とあるのは、「試掘権」とする。

 (罰則に関する経過措置)

第二十一条 この法律(附則第一条第三号に掲げる規定にあっては、当該規定)の施行前にした行為及び附則第十五条第一項の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (政令への委任)

第二十二条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。


     理 由

 二酸化炭素の貯留事業の健全な発達等を図るとともに、公共の安全を確保するため、二酸化炭素の貯留事業に係る許可制度及び貯留権の創設、貯留事業における保安の確保のために必要な措置の義務付け、二酸化炭素が貯蔵された事業場の長期的な管理のための制度の整備、導管輸送事業に係る届出制度の創設等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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