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第二一三回

閣第二七号

   食料供給困難事態対策法案

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)

 第二章 食料供給困難事態対策の実施に関する基本的な方針(第三条)

 第三章 特定食料等の需給状況に関する報告の徴収(第四条)

 第四章 食料供給困難事態対策本部(第五条−第十四条)

 第五章 食料供給困難事態対策(第十五条−第二十条)

 第六章 雑則(第二十一条・第二十二条)

 第七章 罰則(第二十三条・第二十四条)

 附則

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、世界における人口の増加、気候の変動、植物に有害な動植物及び家畜の伝染性疾病の発生及びまん延等により、世界の食料の需給及び貿易が不安定な状況となっていることに鑑み、食料供給困難事態に対応するため、食料供給困難事態対策の実施に関する基本的な方針の策定、食料供給困難事態対策本部の設置、特定食料の安定供給の確保のための措置等について定めることにより、食料安全保障の確保に寄与し、もって国民生活の安定と国民経済の円滑な運営の確保に資することを目的とする。

 (定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

 一 特定食料 米穀、小麦、大豆その他の農林水産物であって、国民が日常的に消費しているものその他の国民の食生活上重要なもの又は食品(全ての飲食物のうち医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第二条第一項に規定する医薬品、同条第二項に規定する医薬部外品及び同条第九項に規定する再生医療等製品以外のものをいう。以下この号において同じ。)の製造若しくは加工若しくは食事の提供を行う事業において原材料として重要な地位を占めるものその他の国民経済上重要なものとして政令で定めるもの(当該農林水産物を原材料として製造し、又は加工した食品であって政令で定めるものを含む。)をいう。

 二 特定資材 特定食料の生産に必要不可欠な資材として政令で定めるもの(その原材料を含む。)をいう。

 三 食料供給困難兆候 干害、冷害その他の気象上の原因による災害、植物に有害な動植物又は家畜の伝染性疾病の発生又はまん延その他の事象が生じたことにより、特定食料の供給が大幅に不足し、又は不足するおそれがあるため、特定食料の安定供給の確保のための措置を講じなければ食料供給困難事態の発生を未然に防止することが困難になると認められる事態をいう。

 四 食料供給困難事態 特定食料の供給が大幅に不足し、又は不足するおそれが高いため、国民生活の安定又は国民経済の円滑な運営に支障が生じたと認められる事態をいう。

 五 食料供給困難事態対策 第六条第一項の規定により同項に規定する本部が設置された時から第十四条第一項の規定により当該本部が廃止されるまでの間(以下「本部設置期間」という。)において、食料供給困難事態の発生を未然に防止し、又は食料供給困難事態を解消するため、国がこの法律の規定及び次条第一項に規定する基本方針に基づいて実施する措置をいう。

 六 指定行政機関 次に掲げる機関で政令で定めるものをいう。

  イ 内閣府、宮内庁並びに内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項及び第二項に規定する機関、デジタル庁並びに国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関

  ロ 内閣府設置法第三十七条及び第五十四条並びに宮内庁法(昭和二十二年法律第七十号)第十六条第一項並びに国家行政組織法第八条に規定する機関

  ハ 内閣府設置法第三十九条及び第五十五条並びに宮内庁法第十六条第二項並びに国家行政組織法第八条の二に規定する機関

  ニ 内閣府設置法第四十条及び第五十六条並びに国家行政組織法第八条の三に規定する機関

 七 指定地方行政機関 指定行政機関の地方支分部局(内閣府設置法第四十三条及び第五十七条(宮内庁法第十八条第一項において準用する場合を含む。)並びに宮内庁法第十七条第一項並びに国家行政組織法第九条の地方支分部局をいう。)その他の国の地方行政機関で政令で定めるものをいう。

   第二章 食料供給困難事態対策の実施に関する基本的な方針

第三条 政府は、食料供給困難事態対策を総合的かつ一体的に実施するため、食料供給困難事態対策の実施に関する基本的な方針(以下この条及び第九条第一項において「基本方針」という。)を定めるものとする。

2 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

 一 食料供給困難事態対策の実施に関する基本的な方向

 二 食料供給困難兆候又は食料供給困難事態に該当するかどうかの基準に関する事項

 三 国が実施する次に掲げる措置に関する事項

  イ 本部設置期間以外の期間において実施する措置の総合的な推進

  ロ 食料供給困難兆候及び食料供給困難事態の発生の状況及び動向に関する情報の収集

  ハ 食料供給困難事態の発生を未然に防止するため、食料供給困難兆候において実施する食料供給困難事態対策の総合的な推進

  ニ 食料供給困難事態を解消するため、食料供給困難事態において実施する食料供給困難事態対策の総合的な推進

 四 食料供給困難事態対策を実施するための体制に関する事項

 五 前各号に掲げるもののほか、食料供給困難事態対策の実施に関し必要な事項

3 基本方針は、食料供給困難兆候が発生する前の段階、食料供給困難兆候が発生した段階及び食料供給困難事態が発生した段階に区分して定めるものとする。

4 農林水産大臣は、基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。

5 農林水産大臣は、前項の閣議の決定があったときは、遅滞なく、基本方針を国会に報告するとともに、その旨を公示しなければならない。

6 前三項の規定は、基本方針の変更について準用する。

   第三章 特定食料等の需給状況に関する報告の徴収

第四条 主務大臣は、特定食料又は特定資材の国内の需給状況を把握するため、特定食料又は特定資材の出荷、販売、輸入、生産又は製造の事業を行う者、これらの者の組織する団体その他の関係者に対し、特定食料又は特定資材の出荷、販売、輸入、生産又は製造の状況について報告を求めることができる。

2 前項の規定により報告の求めを受けた者は、その求めに応じるよう努めなければならない。

   第四章 食料供給困難事態対策本部

 (食料供給困難兆候の発生に関する報告)

第五条 農林水産大臣は、食料供給困難兆候が発生したと認めるときは、内閣総理大臣に対し、供給が大幅に不足し、又は不足するおそれがある特定食料の需給の見通しその他の必要な情報の報告をしなければならない。

 (本部の設置)

第六条 内閣総理大臣は、前条の報告があった場合において、食料供給困難事態の発生を未然に防止するため必要があると認めるときは、内閣法(昭和二十二年法律第五号)第十二条第四項の規定にかかわらず、閣議にかけて、臨時に内閣に食料供給困難事態対策本部(以下「本部」という。)を設置するものとする。

2 内閣総理大臣は、本部を置いたときは、当該本部の名称並びに設置の場所及び期間を国会に報告するとともに、当該名称並びに場所及び期間を公示しなければならない。

 (本部の組織)

第七条 本部の長は、食料供給困難事態対策本部長(以下「本部長」という。)とし、内閣総理大臣(内閣総理大臣に事故があるときは、そのあらかじめ指名する国務大臣)をもって充てる。

2 本部長は、本部の事務を総括し、所部の職員を指揮監督する。

3 本部に、食料供給困難事態対策副本部長(以下この条及び第十一条第三項において「副本部長」という。)、食料供給困難事態対策本部員(以下この条において「本部員」という。)その他の職員を置く。

4 副本部長は、内閣官房長官及び農林水産大臣をもって充てる。

5 副本部長は、本部長を助け、本部長に事故があるときは、あらかじめ本部長が定めた順序で、その職務を代理する。

6 本部員は、本部長及び副本部長以外の全ての国務大臣をもって充てる。この場合において、国務大臣が不在のときは、そのあらかじめ指名する副大臣がその職務を代行することができる。

7 副本部長及び本部員以外の本部の職員は、内閣官房の職員、指定行政機関の長(国務大臣を除く。)その他の職員又は関係する指定地方行政機関の長その他の職員のうちから、内閣総理大臣が任命する。

 (本部の所掌事務)

第八条 本部は、次に掲げる事務をつかさどる。

 一 指定行政機関が次条第一項に規定する実施方針に基づき実施する食料供給困難事態対策の総合的な推進に関すること。

 二 第十一条第一項及び第二項並びに第十三条の規定により本部長の権限に属する事務

 三 前二号に掲げるもののほか、法令の規定によりその権限に属する事務

 (実施方針)

第九条 本部は、基本方針に基づき、食料供給困難事態対策の実施に関する方針(以下「実施方針」という。)を定めるものとする。

2 実施方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

 一 供給を確保すべき特定食料及び当該特定食料に係る特定資材(以下「措置対象特定食料等」という。)

 二 措置対象特定食料等の期間別の供給目標数量

 三 食料供給困難事態対策の実施に関する全般的な方針

 四 食料供給困難事態対策の実施に関する重要事項

3 本部長は、実施方針を定めたときは、直ちに、当該実施方針を公示してその周知を図らなければならない。

4 前項の規定は、実施方針の変更について準用する。

 (指定行政機関の長の権限の委任)

第十条 指定行政機関の長(当該指定行政機関が合議制の機関である場合にあっては、当該指定行政機関。以下同じ。)は、本部が設置されたときは、食料供給困難事態対策の実施のため必要な権限の全部又は一部を当該本部の職員である当該指定行政機関の職員又は当該指定地方行政機関の長若しくはその職員に委任することができる。

2 指定行政機関の長は、前項の規定による委任をしたときは、直ちに、その旨を公示しなければならない。

 (本部長の総合調整等)

第十一条 本部長は、食料供給困難事態対策を的確かつ迅速に実施するため必要があると認めるときは、実施方針に基づき、指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長並びに前条第一項の規定により権限を委任された当該指定行政機関の職員及び当該指定地方行政機関の職員に対し、指定行政機関が実施する食料供給困難事態対策に関する総合調整を行うことができる。

2 本部長は、食料供給困難事態対策を的確かつ迅速に実施するため必要があると認めるときは、実施方針に基づき、地方公共団体の長、措置対象特定食料等の出荷、販売、輸入、生産又は製造の事業を行う者の組織する団体その他の関係者に対し、資料又は情報の提供、意見の表明その他必要な協力を求めることができる。

3 本部長は、前二項の規定による権限の全部又は一部を副本部長に委任することができる。

4 本部長は、前項の規定による委任をしたときは、直ちに、その旨を公示しなければならない。

 (食料供給困難事態の発生の公示等)

第十二条 本部長は、食料供給困難事態が発生したと認めるときは、食料供給困難事態が発生した旨及び当該食料供給困難事態の概要の公示をし、並びにその旨及び当該概要を国会に報告するものとする。

2 本部長は、前項の公示をした後、食料供給困難事態を解消するための食料供給困難事態対策を実施する必要がなくなったと認めるときは、速やかに、食料供給困難事態が終了した旨の公示をし、及びその旨を国会に報告するものとする。

3 本部長は、食料供給困難事態において、国民が最低限度必要とする食料の供給が確保されず、又は確保されないおそれがあると認めるときは、その旨の公示をし、及びその旨を国会に報告するものとする。

4 本部長は、前項の公示をした後、国民が最低限度必要とする食料の供給が確保されないおそれがなくなったと認めるときは、速やかに、その旨の公示をし、及びその旨を国会に報告するものとする。

 (本部長の指示)

第十三条 本部長は、食料供給困難事態において、第十一条第一項の総合調整に基づく所要の措置が実施されない場合であって、食料供給困難事態対策を的確かつ迅速に実施するため特に必要があると認めるときは、その必要な限度において、指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長並びに第十条第一項の規定により権限を委任された当該指定行政機関の職員及び当該指定地方行政機関の職員に対し、必要な指示をすることができる。この場合においては、第十一条第三項及び第四項の規定を準用する。

 (本部の廃止)

第十四条 本部は、本部長が、食料供給困難事態の発生を未然に防止し、及び食料供給困難事態を解消するための食料供給困難事態対策を実施する必要がなくなったと認めるときに、廃止されるものとする。

2 内閣総理大臣は、本部が廃止されたときは、その旨を国会に報告するとともに、その旨を公示しなければならない。

   第五章 食料供給困難事態対策

 (出荷又は販売に関する要請等)

第十五条 主務大臣は、本部設置期間において、食料供給困難事態の発生を未然に防止し、又は食料供給困難事態を解消するため、措置対象特定食料等の出荷又は販売を調整することが必要であると認めるときは、当該措置対象特定食料等の出荷又は販売の事業を行う者(以下この条及び第十九条において「出荷販売業者」という。)に対し、当該措置対象特定食料等の出荷又は販売を調整するよう要請することができる。

2 主務大臣は、食料供給困難事態において、前項の規定による要請をしてもなお当該食料供給困難事態を解消することが困難であると認めるときは、当該要請を受けた出荷販売業者に対し、主務省令で定めるところにより、当該措置対象特定食料等の出荷又は販売に関する計画(以下この条及び第十九条第二項において「出荷販売計画」という。)を作成し、主務大臣に届け出るべきことを指示することができる。

3 前項の規定による指示に従って届出をした出荷販売業者は、その届出に係る出荷販売計画を変更したときは、主務省令で定めるところにより、変更した事項を主務大臣に届け出なければならない。

4 主務大臣は、第二項の規定による指示に従って届出がされた全ての出荷販売計画に沿って当該措置対象特定食料等の出荷又は販売が行われたとしても食料供給困難事態を解消することが困難であると認めるときは、当該届出をした出荷販売業者であって、その届出に係る出荷販売計画の内容その他の当該措置対象特定食料等の出荷又は販売の事情を考慮して当該措置対象特定食料等の出荷又は販売の調整をすることができると認められるものに対し、当該出荷販売計画を変更すべきことを指示することができる。

5 第二項の規定による指示に従って届出をした出荷販売業者は、その届出に係る出荷販売計画(第三項の規定による変更の届出があったときは、その変更後のもの。次項において同じ。)に沿って当該出荷販売計画に係る措置対象特定食料等の出荷又は販売を行わなければならない。

6 主務大臣は、第四項の規定による指示を受けた出荷販売業者が正当な理由がなくその指示に従わなかったとき、又は前項に規定する出荷販売業者が正当な理由がなくその届出に係る出荷販売計画に沿って当該出荷販売計画に係る措置対象特定食料等の出荷若しくは販売を行っていないと認めるときは、その旨を公表することができる。

 (輸入に関する要請等)

第十六条 主務大臣は、本部設置期間において、食料供給困難事態の発生を未然に防止し、又は食料供給困難事態を解消するため、措置対象特定食料等の輸入を促進することが必要であると認めるときは、当該措置対象特定食料等の輸入の事業を行う者(次項及び第十九条において「輸入業者」という。)に対し、当該措置対象特定食料等の輸入を促進するよう要請することができる。

2 前条第二項から第六項までの規定は、前項の規定による要請に係る輸入業者について準用する。この場合において、同条第二項から第六項までの規定中「出荷販売計画」とあるのは「輸入計画」と、同条第二項及び第五項中「出荷又は販売」とあるのは「輸入」と、同条第四項中「出荷又は販売が」とあるのは「輸入が」と、「出荷又は販売の事情」とあるのは「輸入の事情」と、「出荷又は販売の調整」とあるのは「輸入」と、同条第六項中「出荷若しくは販売」とあるのは「輸入」と読み替えるものとする。

 (農林水産物の生産に関する要請等)

第十七条 主務大臣は、本部設置期間において、食料供給困難事態の発生を未然に防止し、又は食料供給困難事態を解消するため、措置対象特定食料等(特定食料及び特定資材のうち農林水産物に限る。以下この条において同じ。)の生産を促進することが必要であると認めるときは、当該措置対象特定食料等の生産の事業を行う者(以下この条において「農林水産物生産業者」という。)に対し当該措置対象特定食料等の生産を促進するよう要請し、又は農林水産物生産業者以外の者であって当該措置対象特定食料等の生産をすることができる見込みがあるものとして主務省令で定める要件に該当するもの(次項及び第二十一条第一項において「農林水産物生産可能業者」という。)に対し当該措置対象特定食料等の生産に協力するよう要請することができる。

2 第十五条第二項及び第三項の規定は、前項の規定による要請に係る農林水産物生産業者等(農林水産物生産業者及び農林水産物生産可能業者をいう。以下この条及び第十九条において同じ。)について準用する。この場合において、第十五条第二項中「措置対象特定食料等」とあるのは「第十七条第一項に規定する措置対象特定食料等」と、「出荷又は販売」とあるのは「生産」と、同項及び同条第三項中「出荷販売計画」とあるのは「生産計画」と読み替えるものとする。

3 主務大臣は、前項において読み替えて準用する第十五条第二項の規定による指示に従って届出がされた全ての生産計画(前項において読み替えて準用する同条第二項に規定する生産計画をいう。以下この条及び第十九条第二項において同じ。)に沿って当該措置対象特定食料等の生産が行われたとしても食料供給困難事態を解消することが困難であると認めるときは、当該届出をした農林水産物生産業者等(その生産する農林水産物を通常生産する期間以外の期間に当該措置対象特定食料等の生産をすることができる者その他の主務省令で定める者に限る。)であって、その届出に係る生産計画の内容その他の当該措置対象特定食料等の生産の事情を考慮して当該措置対象特定食料等の生産をすることができると認められるものに対し、当該生産計画を変更すべきことを指示することができる。

4 主務大臣は、第十二条第三項の公示があった場合において、前項の規定による指示をしてもなお国民が最低限度必要とする食料の供給の確保が困難であると認めるときは、第二項において読み替えて準用する第十五条第二項の規定による指示に従って届出をした農林水産物生産業者等であって、その届出に係る生産計画の内容その他の当該措置対象特定食料等の生産の事情を考慮して当該措置対象特定食料等の生産をすることができると認められるものに対し、当該生産計画を変更すべきことを指示することができる。

5 第十五条第五項及び第六項の規定は、第二項において読み替えて準用する同条第二項の規定による指示に従って届出をした農林水産物生産業者等について準用する。この場合において、同条第五項及び第六項中「出荷販売計画」とあるのは「生産計画」と、「措置対象特定食料等」とあるのは「同条第一項に規定する措置対象特定食料等」と、同条第五項中「第三項」とあるのは「第十七条第二項において読み替えて準用する第三項」と、「出荷又は販売」とあるのは「生産」と、同条第六項中「第四項」とあるのは「第十七条第三項若しくは第四項」と、「出荷若しくは販売」とあるのは「生産」と読み替えるものとする。

 (加工品等の製造に関する要請等)

第十八条 主務大臣は、本部設置期間において、食料供給困難事態の発生を未然に防止し、又は食料供給困難事態を解消するため、措置対象特定食料等(特定食料及び特定資材のうち農林水産物以外のものに限る。第三項において同じ。)の製造を促進することが必要であると認めるときは、当該措置対象特定食料等の製造の事業を行う者(以下この条及び次条において「加工品等製造業者」という。)に対し、当該措置対象特定食料等の製造を促進するよう要請することができる。

2 第十五条第二項から第六項までの規定は、前項の規定による要請に係る加工品等製造業者について準用する。この場合において、同条第二項から第六項までの規定中「出荷販売計画」とあるのは「製造計画」と、同条第二項中「措置対象特定食料等」とあるのは「第十八条第一項に規定する措置対象特定食料等(以下この条において単に「措置対象特定食料等」という。)」と、同項及び同条第五項中「出荷又は販売」とあるのは「製造」と、同条第四項中「出荷又は販売が」とあるのは「製造が」と、「出荷又は販売の事情」とあるのは「製造の事情」と、「出荷又は販売の調整」とあるのは「製造」と、同条第六項中「出荷若しくは販売」とあるのは「製造」と読み替えるものとする。

3 主務大臣は、第一項の規定による要請をしてもなお食料供給困難事態の発生を未然に防止し、又は食料供給困難事態を解消することが困難であると認めるときは、加工品等製造業者以外の者であって、当該措置対象特定食料等の製造をすることができる見込みがあるものとして主務省令で定める要件に該当するもの(次条第一項において「加工品等製造可能業者」という。)に対し、当該措置対象特定食料等の製造に協力するよう要請することができる。

 (財政上の措置等)

第十九条 国は、第十五条第一項の規定による要請に応じて措置対象特定食料等の出荷又は販売の調整を行う出荷販売業者、第十六条第一項の規定による要請に応じて措置対象特定食料等の輸入を行う輸入業者、第十七条第一項の規定による要請に応じて同項に規定する措置対象特定食料等の生産を行う農林水産物生産業者等、前条第一項の規定による要請に応じて同項に規定する措置対象特定食料等の製造を行う加工品等製造業者及び同条第三項の規定による要請に応じて当該措置対象特定食料等の製造を行う加工品等製造可能業者に対し、これらの出荷若しくは販売の調整、輸入、生産又は製造が円滑に行われるようにするために必要な財政上の措置その他の措置を講ずるものとする。

2 国は、第十五条第四項の規定による指示に従って変更した出荷販売計画に沿って措置対象特定食料等の出荷又は販売の調整を行う出荷販売業者、第十六条第二項において読み替えて準用する第十五条第四項の規定による指示に従って変更した輸入計画(第十六条第二項において読み替えて準用する第十五条第二項に規定する輸入計画をいう。)に沿って措置対象特定食料等の輸入を行う輸入業者、第十七条第三項又は第四項の規定による指示に従って変更した生産計画に沿って同条第一項に規定する措置対象特定食料等の生産を行う農林水産物生産業者等及び前条第二項において読み替えて準用する第十五条第四項の規定による指示に従って変更した製造計画(前条第二項において読み替えて準用する第十五条第二項に規定する製造計画をいう。)に沿って前条第一項に規定する措置対象特定食料等の製造を行う加工品等製造業者に対し、これらの出荷若しくは販売の調整、輸入、生産又は製造がこれらを行う者の経営に及ぼす影響を回避するために必要な財政上の措置その他の措置を講ずるものとする。

 (その他の食料供給困難事態対策)

第二十条 指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長は、本部設置期間において、措置対象特定食料等の価格の高騰又は供給不足が生じ、又は生ずるおそれがあるときは、実施方針で定めるところにより、関税定率法(明治四十三年法律第五十四号)、生活関連物資等の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律(昭和四十八年法律第四十八号)、国民生活安定緊急措置法(昭和四十八年法律第百二十一号)、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(平成六年法律第百十三号)、物価統制令(昭和二十一年勅令第百十八号)その他法令の規定に基づく措置その他適切な措置を講じなければならない。

2 指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長は、第十二条第三項の公示があった場合においては、前項に規定する措置として、国民生活安定緊急措置法、主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律その他法令の規定に基づく割当て又は配給その他適切な措置を講ずることにより、国民が最低限度必要とする食料の供給が確保され、国民が当該食料を入手できるよう特に配慮しなければならない。

   第六章 雑則

 (立入検査等)

第二十一条 主務大臣は、前章(第十八条第三項及び前二条を除く。)の規定の施行に必要な限度において、措置対象特定食料等の出荷、販売、輸入、生産若しくは製造の事業を行う者若しくは農林水産物生産可能業者に対し、その業務若しくは経理の状況に関し報告させ、又はその職員に、これらの者の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。

2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

 (主務大臣等)

第二十二条 この法律における主務大臣は、特定食料又は特定資材の出荷、販売、輸入、生産又は製造の事業を所管する大臣とする。

2 この法律における主務省令は、主務大臣の発する命令とする。

   第七章 罰則

第二十三条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした者は、二十万円以下の罰金に処する。

 一 第十五条第二項(第十六条第二項、第十七条第二項及び第十八条第二項において読み替えて準用する場合を含む。)の規定による指示に違反して、届出をしなかったとき。

 二 第十五条第三項(第十六条第二項、第十七条第二項及び第十八条第二項において読み替えて準用する場合を含む。)の規定に違反して、届出をしなかったとき。

2 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者若しくは管理人又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前項各号の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、同項の刑を科する。

3 法人でない団体について前項の規定の適用がある場合には、その代表者又は管理人がその訴訟行為について法人でない団体を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。

第二十四条 第二十一条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、二十万円以下の過料に処する。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (検討)

第二条 政府は、この法律の施行後適当な時期において、この法律の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、この法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

 (復興庁設置法の一部改正)

第三条 復興庁設置法(平成二十三年法律第百二十五号)の一部を次のように改正する。

  附則第三条第一項の表に次のように加える。

食料供給困難事態対策法(令和六年法律第▼▼▼号)

第二条第六号イ

デジタル庁

デジタル庁、復興庁

 (調整規定)

第四条 この法律の施行の日が官報の発行に関する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律(令和五年法律第八十六号)の施行の日前である場合には、同法第七条のうち復興庁設置法附則第三条第一項の表に次のように加える改正規定中「表に」とあるのは、「表情報通信技術を利用する方法による国の歳入等の納付に関する法律(令和四年法律第三十九号)の項の次に」とする。


     理 由

 米穀、小麦、大豆その他の国民の食生活上又は国民経済上重要な食料の供給が大幅に不足し、又は不足するおそれが高い事態に対応するため、食料供給困難事態対策本部の設置、当該食料等の安定供給の確保のための輸入若しくは生産の促進又は出荷の調整の要請等の措置を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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