第二一三回
閣第五七号
事業性融資の推進等に関する法律案
目次
第一章 総則(第一条−第四条)
第二章 基本方針(第五条)
第三章 企業価値担保権
第一節 総則(第六条−第八条)
第二節 企業価値担保権
第一款 総則(第九条−第十四条)
第二款 企業価値担保権の効力等(第十五条−第二十九条)
第三款 企業価値担保権の消滅等(第三十条・第三十一条)
第三節 企業価値担保権に関する信託業務
第一款 総則(第三十二条−第三十八条)
第二款 業務(第三十九条・第四十条)
第三款 事業報告書(第四十一条)
第四款 監督(第四十二条−第五十四条)
第五款 指定紛争解決機関(第五十五条−第五十七条)
第六款 雑則(第五十八条・第五十九条)
第四節 企業価値担保権信託契約等
第一款 企業価値担保権信託契約の効力等(第六十条−第六十四条)
第二款 企業価値担保権に関する信託業務の承継等(第六十五条−第六十九条)
第五節 企業価値担保権の実行
第一款 総則(第七十条−第八十二条)
第二款 実行手続開始の申立て(第八十三条−第八十六条)
第三款 実行手続開始の決定及びこれに伴う効果等
第一目 実行手続開始の決定(第八十七条−第九十二条)
第二目 実行手続開始の決定に伴う効果(第九十三条−第百八条)
第三目 管財人(第百九条−第百二十六条)
第四款 共益債権(第百二十七条−第百三十一条)
第五款 配当債権
第一目 劣後債権等の届出(第百三十二条−第百三十六条)
第二目 配当債権の調査及び確定(第百三十七条−第百五十六条)
第六款 換価
第一目 通則(第百五十七条−第百六十一条)
第二目 優先担保権の目的である財産の処分等(第百六十二条・第百六十三条)
第七款 配当
第一目 通則(第百六十四条−第百六十八条)
第二目 最後配当(第百六十九条−第百七十七条)
第三目 簡易配当(第百七十八条−第百八十一条)
第四目 同意配当(第百八十二条)
第五目 中間配当(第百八十三条−第百八十七条)
第六目 追加配当(第百八十八条)
第八款 実行手続の終了(第百八十九条−第百九十二条)
第九款 雑則
第一目 登記(第百九十三条・第百九十四条)
第二目 破産手続の特則(第百九十五条−第二百七条)
第三目 再生手続の特則(第二百八条−第二百十三条)
第四目 更生手続の特則(第二百十四条・第二百十五条)
第六節 雑則
第一款 登記(第二百十六条−第二百二十四条)
第二款 担保付社債信託法の適用等(第二百二十五条)
第三款 担保仮登記の取扱い(第二百二十六条)
第四款 破産手続等における企業価値担保権等の取扱い(第二百二十七条−第二百三十一条)
第四章 事業性融資推進支援業務を行う者の認定等(第二百三十二条−第二百四十一条)
第五章 事業性融資推進本部(第二百四十二条−第二百四十八条)
第六章 雑則(第二百四十九条−第二百五十二条)
第七章 罰則(第二百五十三条−第二百六十九条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、事業性融資の推進等に関し、その基本理念、国の責務、基本方針の策定、企業価値担保権の設定、事業性融資推進支援業務を行う者の認定、事業性融資推進本部の設置等について定めることにより、不動産を目的とする担保権又は個人を保証人とする保証契約等に依存した融資慣行の是正及び会社の事業に必要な資金の調達等の円滑化を図り、これらにより会社の事業の継続及び成長発展を支え、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「事業性融資」とは、金融機関等からの会社に対する貸付けのうち、不動産を目的とする担保権又は第十二条第四項に規定する個人保証契約等(同項に規定する停止条件が付された契約その他の主務省令で定めるものを除く。)若しくはこれに準ずるものとして主務省令で定めるものによって担保されず、又は保証されないものをいう。
2 この法律において「会社」とは、会社法(平成十七年法律第八十六号)第二条第一号に規定する会社をいう。
3 この法律において「金融機関等」とは、次に掲げる者をいう。
一 銀行(銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第二条第一項に規定する銀行をいう。第三十三条第二項及び第三十九条第一項第一号において同じ。)
二 長期信用銀行(長期信用銀行法(昭和二十七年法律第百八十七号)第二条に規定する長期信用銀行をいう。第三十九条第一項第二号において同じ。)
三 信用金庫
四 信用金庫連合会
五 信用協同組合
六 中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第九条の九第一項第二号の事業を行う協同組合連合会
七 農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号)第十条第一項第二号の事業を行う農業協同組合
八 農業協同組合法第十条第一項第二号の事業を行う農業協同組合連合会
九 水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)第十一条第一項第三号の事業を行う漁業協同組合
十 水産業協同組合法第八十七条第一項第三号の事業を行う漁業協同組合連合会
十一 水産業協同組合法第九十三条第一項第一号の事業を行う水産加工業協同組合
十二 水産業協同組合法第九十七条第一項第一号の事業を行う水産加工業協同組合連合会
十三 農林中央金庫
十四 株式会社商工組合中央金庫
十五 沖縄振興開発金融公庫
十六 株式会社日本政策金融公庫
十七 株式会社日本政策投資銀行
十八 保険会社(保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第二項に規定する保険会社をいう。第三十九条第一項第十号及び第四十四条第五項において同じ。)
十九 信託会社(信託業法(平成十六年法律第百五十四号)第二条第二項に規定する信託会社をいう。第三十九条第一項第十三号及び第四十条において同じ。)(同法第二十一条第二項に規定する承認を受けて、金銭の貸付けに係る業務を行う者に限る。)
二十 貸金業法(昭和五十八年法律第三十二号)第二条第二項に規定する貸金業者
二十一 前各号に掲げる者のほか、金銭の貸付けその他金融に関する業務を行う者で政令で定めるもの
(基本理念)
第三条 事業性融資の推進等は、会社及び債権者の相互の緊密な連携の下に、会社の事業の継続及び成長発展に必要な資金の調達等の円滑化に資するものとなることを旨として、行われなければならない。
(国の責務)
第四条 国は、前条に定める基本理念にのっとり、事業性融資の推進に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。
第二章 基本方針
第五条 本部(第二百四十二条に規定する本部をいう。第三項において同じ。)は、事業性融資の推進に関する基本方針(以下この条及び第二百三十二条第一項において「基本方針」という。)を定めるものとする。
2 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 事業性融資を推進するための施策に関する基本的な方向
二 事業性融資を推進するための支援体制の整備に関する次に掲げる事項
イ 事業性融資推進支援業務(第二百三十二条第一項に規定する事業性融資推進支援業務をいう。ロ及びハにおいて同じ。)の内容に関する事項
ロ 事業性融資推進支援業務の実施体制に関する事項
ハ 事業性融資推進支援業務の実施に当たって配慮すべき事項
三 前二号に掲げるもののほか、事業性融資を推進するために必要な施策に関する事項
3 本部は、基本方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
第三章 企業価値担保権
第一節 総則
(定義)
第六条 この章(第十三条第四項、第百九十五条、第二百八条及び第二百十二条第一項を除く。)及び第七章において「債務者」とは、企業価値担保権の被担保債権の債務者である会社をいう。
2 この章において「企業価値担保権信託会社」とは、第三十二条の内閣総理大臣の免許を受けた者(第三十三条第一項又は第二項の規定により当該免許を受けたものとみなされた者を含む。)をいう。
3 この章及び次章において「企業価値担保権信託契約」とは、債務者と企業価値担保権信託会社との間で締結される信託契約であって、債務者を委託者とし、企業価値担保権信託会社を受託者とするものをいう。
4 この章において「特定被担保債権」とは、対象債権(企業価値担保権信託契約により定められた特定の債権又は一定の範囲に属する不特定の債権(債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限る。)をいう。以下この項において同じ。)のほか、次に掲げる財産上の請求権をいう。ただし、当該財産上の請求権の範囲を限定する旨の企業価値担保権信託契約の定め(第一号及び第二号に掲げる財産上の請求権については、対象債権に不特定の債権が含まれる場合の元本の確定前におけるその範囲に関する定めに限る。)があるときは、その定めるところによる。
一 対象債権が譲渡された場合の当該対象債権
二 対象債権を債務者のために弁済した者が当該対象債権を有する者に代位する場合の当該対象債権
三 対象債権について債権者の交替による更改があった場合の更改後の債権(更改前の当該対象債権の額を限度とする。)
四 企業価値担保権信託契約により定められた一定の範囲に属する不特定の債権(債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他債務者との一定の種類の取引によって生ずるものを除く。)であって、元本の確定前に有する特定の原因に基づいて債務者との間に継続して生ずる債権、手形上若しくは小切手上の請求権又は電子記録債権(電子記録債権法(平成十九年法律第百二号)第二条第一項に規定する電子記録債権をいう。第二十一条第二項において同じ。)
5 この章において「不特定被担保債権」とは、債務者が会社法第四百七十五条各号若しくは第六百四十四条各号に掲げる場合に該当し、又は破産手続開始の決定を受けたときにおける当該債務者に対する財産上の請求権であって、同法第四百七十六条に規定する清算株式会社若しくは同法第六百四十五条に規定する清算持分会社の財産又は破産財団から弁済又は配当を受けることができるもの(企業価値担保権の実行手続終結の決定があるまでに弁済又は配当を受けるものを除く。)をいう。
6 この章において「特定被担保債権者」とは、特定被担保債権に係る企業価値担保権信託契約に基づく信託の受益者をいう。
7 この章において「不特定被担保債権者」とは、不特定被担保債権を有する企業価値担保権信託契約に基づく信託の受益者をいう。
8 この章において「担保目的財産」とは、企業価値担保権の目的である財産をいう。
(企業価値担保権)
第七条 会社の総財産(将来において会社の財産に属するものを含む。第二十五条及び第二百六条第一項において同じ。)は、その会社に対する特定被担保債権及び不特定被担保債権を担保するため、一体として、企業価値担保権の目的とすることができる。
2 企業価値担保権者は、この法律の定めるところにより、担保目的財産について、他の債権者に先立って特定被担保債権及び不特定被担保債権に対する配当を受けることができる。
3 企業価値担保権者は、担保目的財産に対する強制執行、担保権の実行若しくは競売(担保権の実行としてのものを除く。第十九条第一項において同じ。)、企業担保権の実行又は国税滞納処分(その例による処分を含む。)のそれぞれの手続において、配当又は弁済金の交付を受けることができない。
4 企業価値担保権は、物権とする。
(企業価値担保権信託契約)
第八条 企業価値担保権を設定しようとする場合には、企業価値担保権信託契約に従わなければならない。
2 企業価値担保権信託契約は、次に掲げる事項をその内容とするものでなければ、その効力を生じない。
一 信託の目的が、企業価値担保権信託会社が次に掲げる行為をするものであること。
イ 企業価値担保権の管理及び処分をすること。
ロ 特定被担保債権者のために、企業価値担保権の実行手続において、配当可能額(第百六十六条第二項に規定する配当可能額をいう。ハにおいて同じ。)からハに規定する不特定被担保債権留保額を控除した額を限度として金銭の配当を受け、当該金銭の管理及び処分をすること。
ハ 不特定被担保債権者のために、配当可能額に応じ、債務者について行われ、又は行われるべき清算手続又は破産手続の公正な実施に要すると見込まれる額として政令で定めるところにより算定した額(第七十条第四項に規定する裁判所が当該清算手続又は破産手続の公正な実施に特に必要と認める場合にあっては、当該政令で定めるところにより算定した額に当該裁判所が定める額を加えた額)(第六十二条第一項及び第五節において「不特定被担保債権留保額」という。)の金銭の配当を受け、当該金銭の管理及び処分をすること。
二 特定被担保債権及び不特定被担保債権を担保するために企業価値担保権信託会社を企業価値担保権者として企業価値担保権を設定すること。
三 特定被担保債権の範囲を定めていること。
四 特定被担保債権を有し、又は有すべき者を受益者として指定すること。この場合において、当該者による受益権の取得は、次のイ又はロに掲げる者の区分に応じ、当該イ又はロに定める時に、その効力を生ずること。
イ 特定被担保債権(第六条第四項第一号から第三号までに掲げる財産上の請求権に限る。)を有し、又は有すべき者 企業価値担保権信託会社に対して当該受益権の取得について承諾をした時(当該特定被担保債権を有している場合に限る。)
ロ イに掲げる者以外の者 企業価値担保権信託会社に対して当該受益権の取得について承諾をした時
五 不特定被担保債権を有する者を受益者とすること。
六 企業価値担保権が消滅する前に企業価値担保権信託契約に係る信託が終了した場合の信託法(平成十八年法律第百八号)第百八十二条第一項第二号に規定する帰属権利者を債務者とすること。
七 その他内閣府令・法務省令で定める事項
第二節 企業価値担保権
第一款 総則
(企業価値担保権の極度額)
第九条 企業価値担保権は、特定被担保債権を、次項の規定により定める極度額の限度において担保するためにも設定することができる。
2 債務者は、いつでも、企業価値担保権者に対する請求により、企業価値担保権の極度額をその指定する金額に定めることができる。この場合において、企業価値担保権の極度額は、その請求の時に定まるものとする。
3 前項の請求は、書面でしなければ、その効力を生じない。
4 第二項の請求がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)によってされたときは、その請求は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。
5 第二項の極度額は、次に掲げる額の合計額を下回ることができない。
一 現に存する特定被担保債権に係る債務の額と以後二年間に生ずべき利息その他の定期金(次号に規定する手数料を除く。)及び当該債務の不履行による損害賠償の額とを加えた額
二 一定の期間及び金額の範囲内において、債務者の意思表示により当事者間において債務者を借主として金銭を目的とする消費貸借その他の債務者が対価を得て特定被担保債権に係る債務を負担することをその内容とする契約を成立させることができる権利を特定被担保債権者が債務者に付与し、債務者がこれに対して手数料を支払うことを約する契約が締結されている場合において、当該契約により生じさせることのできる債務の上限額と以後二年間に生ずべき当該手数料とを加えた額から当該契約により生じた現に存する債務の額を控除した額
6 企業価値担保権者は、第二項の請求を受けたときは、全ての特定被担保債権者に対し、遅滞なくその旨を通知しなければならない。
7 企業価値担保権の極度額の変更又は廃止は、利害関係を有する者の承諾を得なければ、することができない。
(企業価値担保権の設定に係る手続)
第十条 次の各号に掲げる債務者は、企業価値担保権の設定をするには、当該各号に定める決定又は決議によらなければならない。ただし、第一号又は第五号に掲げる債務者の定款に別段の定めがあるときは、その定めによる。
一 株式会社(取締役会設置会社(会社法第二条第七号に規定する取締役会設置会社をいう。次号において同じ。)を除く。) 取締役の決定(取締役が二人以上ある場合(企業価値担保権の設定についての決定を各取締役に委任した場合を除く。)にあっては、その過半数による決定)又は株主総会の決議
二 取締役会設置会社(監査等委員会設置会社(会社法第二条第十一号の二に規定する監査等委員会設置会社をいう。次号及び第三十四条第一項第三号において同じ。)及び指名委員会等設置会社(同法第二条第十二号に規定する指名委員会等設置会社をいう。第四号及び同項第三号において同じ。)を除く。) 取締役会(企業価値担保権の設定を株主総会の決議によって定めることができる旨の定款の定めがある場合にあっては、株主総会)の決議
三 監査等委員会設置会社 取締役会(企業価値担保権の設定を株主総会の決議によって定めることができる旨の定款の定めがある場合にあっては、株主総会)の決議又は取締役(会社法第三百九十九条の十三第五項に規定する場合又は同条第六項の規定による定款の定めがある場合において、取締役会の決議によって、企業価値担保権の設定についての決定の委任を受けた者に限る。)の決定
四 指名委員会等設置会社 取締役会(企業価値担保権の設定を株主総会の決議によって定めることができる旨の定款の定めがある場合にあっては、株主総会)の決議又は執行役(取締役会の決議によって、企業価値担保権の設定についての決定の委任を受けた者に限る。)の決定
五 持分会社(会社法第五百七十五条第一項に規定する持分会社をいう。第三十四条第一項第三号において同じ。) 社員の決定(社員が二人以上ある場合にあっては、社員(業務を執行する社員を定款で定めた場合にあっては、その社員)の過半数による決定)
(重複担保権の実行の禁止)
第十一条 特定被担保債権者(特定被担保債権者に代位する者を含む。)は、重複担保権(債務者の財産を目的として特定被担保債権を担保する質権、抵当権その他の担保権(企業価値担保権を除く。次条第一項第二号及び第三号ハにおいて同じ。)をいう。第五節及び第二百二十九条第二項において同じ。)の実行をすることができない。
(個人保証等の制限)
第十二条 特定被担保債権に係る債務(債務者以外の連帯債務者が負担する連帯債務を含む。以下この項において同じ。)について、次に掲げる契約その他これらに準ずるものとして主務省令で定める契約がある場合には、当該特定被担保債権を有する特定被担保債権者(特定被担保債権者に代位する者を含む。)は、当該契約に係る権利を行使することができない。特定被担保債権者でなくなった後においても、同様とする。
一 当該特定被担保債権に係る債務を保証する保証契約であって保証人が法人でないもの
二 当該特定被担保債権に係る債務を担保する質権、抵当権その他の担保権の設定に係る契約であって、当該担保権の設定者が法人でなく、かつ、当該設定者の所有に属する財産であって当該設定者が当該契約の締結時において生活の本拠として使用している不動産その他これに類する生活の用に供する資産で主務省令で定めるものを目的とするもの
三 当該特定被担保債権に係る債務を保証する保証契約であって保証人が法人であるもの(次に掲げる場合におけるものに限る。)
イ 数人の保証人がある場合において、そのうちの一人又は数人の保証人が法人でないとき。
ロ 当該保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権に係る債務(主たる債務者以外の連帯債務者が負担する連帯債務を含む。ハにおいて同じ。)を主たる債務とし、保証人を法人でないものとする保証契約が締結されている場合
ハ 当該保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権に係る債務を担保する質権、抵当権その他の担保権の設定に係る契約であって、当該担保権の設定者が法人でなく、かつ、当該設定者の所有に属する財産であって当該設定者が当該契約の締結時において生活の本拠として使用している不動産その他前号の主務省令で定めるものを目的とするものが締結されている場合
2 特定被担保債権に係る債務が連帯債務である場合において、債務者以外の連帯債務者の一人又は数人が法人でないときその他これに準ずるものとして主務省令で定めるときは、当該特定被担保債権を有する特定被担保債権者(特定被担保債権者に代位する者を含む。)は、債務者以外の連帯債務者が負担する連帯債務に係る債権を行使することができない。特定被担保債権者でなくなった後においても、同様とする。
3 前項に規定する場合において、債務者は、法人でない他の連帯債務者に対して求償権を行使することができない。債務者でなくなった後においても、同様とする。
4 第一項及び第二項の規定は、個人保証契約等(第一項各号に掲げる契約その他同項に規定する主務省令で定める契約又は第二項に規定する債務者以外の連帯債務者が負担する連帯債務に係る契約をいう。)において、債務者が特定被担保債権者に対して事業及び財産の状況を報告する義務を約したときにこれに違反して虚偽の報告をしたことが停止条件とされていることその他の主務省令で定める要件を満たす場合には、適用しない。
(物上保証の禁止)
第十三条 企業価値担保権は、他人の債務を担保するために設定することができない。
2 特定被担保債権に係る債務の引受けがあったときは、企業価値担保権者は、引受人の債務について、その企業価値担保権を行使することができない。
3 特定被担保債権に係る免責的債務引受があった場合における当該特定被担保債権を有する債権者は、民法(明治二十九年法律第八十九号)第四百七十二条の四第一項の規定にかかわらず、企業価値担保権を引受人が負担する債務に移すことができない。
4 特定被担保債権に係る債務について債務者の交替による更改があった場合における当該特定被担保債権を有する債権者は、企業価値担保権を更改後の債務に移すことができない。
(企業価値担保権の不可分性)
第十四条 企業価値担保権者は、特定被担保債権の全部の弁済を受けるまでは、担保目的財産の全部についてその権利を行使することができる。
第二款 企業価値担保権の効力等
(登記)
第十五条 企業価値担保権の得喪及び変更は、債務者の本店の所在地において、商業登記簿にその登記をしなければ、その効力を生じない。ただし、一般承継、混同又は特定被担保債権の消滅による得喪及び変更については、この限りでない。
(順位)
第十六条 数個の企業価値担保権相互の順位は、その登記の前後による。
(企業価値担保権の順位の変更)
第十七条 企業価値担保権の順位は、各企業価値担保権者の合意によって変更することができる。ただし、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない。
2 企業価値担保権者が前項の合意をするには、その企業価値担保権信託契約に係る全ての特定被担保債権者の同意を得なければならない。ただし、企業価値担保権信託契約に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
3 第一項の規定による順位の変更は、その登記をしなければ、その効力を生じない。
(他の権利との関係)
第十八条 債務者の財産の上に存する先取特権(民法第三百二十五条に規定する先取特権(同条第三号に係るものに限る。)に限る。)、質権又は抵当権(以下この款において「他の担保権」という。)と企業価値担保権とが競合する場合には、それらの優先権の順位は、他の担保権に係る登記、登録その他の対抗要件の具備と企業価値担保権に係る登記の前後による。
2 一般の先取特権又は企業担保権と企業価値担保権とが競合する場合には、企業価値担保権は、一般の先取特権又は企業担保権に優先する。
3 特別の先取特権(民法第三百二十五条に規定する先取特権を除く。)と企業価値担保権とが競合する場合には、企業価値担保権者は、同法第三百三十条第一項の規定による第一順位の先取特権と同一の権利を有する。
4 民法第三百三十七条又は第三百三十八条第一項の規定に従って登記をした同法第三百二十五条に規定する先取特権(同条第一号又は第二号に係るものに限る。)は、企業価値担保権に先立って行使することができる。
5 第一項の規定にかかわらず、債務者が他の担保権の目的である財産を取得した場合における当該他の担保権は、企業価値担保権に先立って行使することができる。
(強制執行等への異議)
第十九条 企業価値担保権者は、担保目的財産に対する強制執行、仮差押え、仮処分、担保権の実行若しくは競売又は企業担保権の実行(以下この項において「強制執行等」という。)に対しては、強制執行等が債務者の事業の継続に支障を来す場合には、異議を主張することができる。
2 民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第三十八条及び民事保全法(平成元年法律第九十一号)第四十五条の規定は、前項の場合について準用する。この場合において、民事執行法第三十八条第一項中「その強制執行」とあるのは「その強制執行等(事業性融資の推進等に関する法律第十九条第一項に規定する強制執行等をいう。次項において同じ。)」と、同条第二項中「強制執行」とあるのは「強制執行等」と、同条第三項中「執行裁判所」とあるのは「執行裁判所(仮差押え又は仮処分に対するものにあっては保全執行裁判所、企業担保権の実行に対するものにあっては企業担保法(昭和三十三年法律第百六号)第十条に規定する地方裁判所)」と読み替えるものとする。
(債務者による使用、収益及び処分)
第二十条 債務者は、企業価値担保権を設定した後も、担保目的財産の使用、収益及び処分をすることができる。
2 前項の規定にかかわらず、債務者は、次に掲げる行為その他の定款で定められた目的及び取引上の社会通念に照らして通常の事業活動の範囲を超える担保目的財産の使用、収益及び処分をするには、当該使用、収益及び処分の対象となる財産について全ての企業価値担保権者の同意を得なければならない。
一 重要な財産の処分
二 事業の全部又は重要な一部の譲渡
三 正当な理由がないのに、商品又は役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価で供給すること。
3 前項の規定に違反して行った債務者の行為は、無効とする。ただし、これをもって善意でかつ重大な過失がない第三者に対抗することができない。
(企業価値担保権の被担保債権の範囲)
第二十一条 企業価値担保権者は、次に掲げるものについて、その企業価値担保権を行使することができる。
一 特定被担保債権に係る確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部(第九条第二項の規定により極度額が定められた場合には、その極度額を限度とする。)
二 不特定被担保債権
2 債務者との取引によらないで取得する手形上若しくは小切手上の請求権又は電子記録債権を特定被担保債権とした場合において、次に掲げる事由があったときは、その前に取得したものについてのみ、その企業価値担保権を行使することができる。ただし、その後に取得したものであっても、その事由を知らないで取得したものについては、これを行使することを妨げない。
一 債務者の支払の停止
二 債務者についての破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始又は特別清算開始の申立て
三 他の企業価値担保権の実行手続開始の申立て
(特定被担保債権の範囲の変更)
第二十二条 元本の確定前においては、第六十条の規定により、特定被担保債権の範囲の変更をすることができる。この場合においては、後順位の企業価値担保権者その他の第三者の承諾を得ることを要しない。
(企業価値担保権の承継の制限)
第二十三条 企業価値担保権の承継は、受託者としての権利義務の承継とともにしなければならない。
(相続)
第二十四条 元本の確定前に特定被担保債権者について相続が開始したときは、企業価値担保権は、相続開始の時に存する特定被担保債権のほか、相続人と債務者との合意により定めた相続人が相続の開始後に取得する特定被担保債権を担保する。この場合において、債務者は、当該合意により定めた相続人と共同して、企業価値担保権者に対し、当該合意後遅滞なくその内容を通知しなければならない。
2 第二十二条後段の規定は、前項の合意をする場合について準用する。
3 相続の開始後六月以内に第一項の合意をしないときは、担保すべき元本は、相続開始の時に確定したものとみなす。
(合併)
第二十五条 元本の確定前に特定被担保債権者について合併があったときは、企業価値担保権は、合併の時に存する特定被担保債権のほか、合併後存続する法人又は合併によって設立された法人が合併後に取得する特定被担保債権を担保する。
2 元本の確定前に債務者について合併があったときは、企業価値担保権は、合併の時に存する特定被担保債権に係る債務のほか、合併後存続する会社又は合併によって設立された会社が合併後に負担する特定被担保債権に係る債務を担保する。
3 合併により消滅する債務者の総財産を目的とする企業価値担保権は、合併後存続する会社又は合併により設立される会社の総財産につき、効力を有する。
4 前項の場合において、合併の効力が生じた時に合併後存続する会社又は合併により設立される会社の財産に設定されている他の担保権は、同項に規定する企業価値担保権(合併により消滅する債務者の財産に当該他の担保権が設定されていた場合における当該債務者の総財産を目的とする企業価値担保権を除く。)に先立って行使することができる。
5 合併をする債務者の双方の総財産が企業価値担保権の目的となっている場合は、企業価値担保権等(これらの債務者に係る全ての企業価値担保権及び他の担保権(合併により消滅する会社又は合併後存続する会社の財産に設定されている他の担保権であって、当該合併により消滅する会社又は合併後存続する会社の総財産を目的とする全ての企業価値担保権に優先するものを除く。)をいう。)の合併後の順位に関し、当該企業価値担保権等を有する全ての者の間に協定がなければ、合併をすることができない。
6 債務者の合併の無効の訴えは、企業価値担保権者も、提起することができる。
(会社分割)
第二十六条 元本の確定前に特定被担保債権者を分割をする会社とする分割があったときは、企業価値担保権は、分割の時に存する特定被担保債権のほか、分割をした会社及び分割により設立された会社又は当該分割をした会社がその事業に関して有する権利義務の全部若しくは一部を当該会社から承継した会社が分割後に取得する特定被担保債権を担保する。
2 債務者は、企業価値担保権が担保する特定被担保債権に係る債務を分割により承継させることができない。
3 債務者の分割の無効の訴えは、企業価値担保権者も、提起することができる。
(元本確定期日等の定め)
第二十七条 特定被担保債権の元本については、企業価値担保権信託契約において、その確定すべき期日又は事由を定めることができる。
2 前項の期日又は事由は、第六十条の規定により、変更することができる。この場合においては、後順位の企業価値担保権者その他の第三者の承諾を得ることを要しない。
(元本確定請求)
第二十八条 前条第一項の期日又は事由の定めにかかわらず、債務者は、いつでも、特定被担保債権の元本の確定を請求することができる。この場合において、当該元本は、その請求の時から一週間を経過することによって確定する。
2 前条第一項の期日又は事由の定めにかかわらず、企業価値担保権者は、全ての特定被担保債権者の指図により、いつでも、特定被担保債権の元本の確定を請求することができる。ただし、企業価値担保権信託契約に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
3 前項の規定による請求があった場合には、特定被担保債権の元本は、その請求の時に確定する。
(元本の確定事由)
第二十九条 次に掲げる場合には、特定被担保債権の元本は、確定する。
一 企業価値担保権者が企業価値担保権の実行を申し立てたとき。ただし、実行手続開始の決定があったときに限る。
二 企業価値担保権者が他の企業価値担保権の実行手続開始の決定があったことを知った時から二週間を経過したとき。
三 債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。
2 前項第二号又は第三号の決定の効力が消滅したときは、特定被担保債権の元本は、確定しなかったものとみなす。ただし、元本が確定したものとしてその特定被担保債権を取得した者があるときは、この限りでない。
第三款 企業価値担保権の消滅等
(企業価値担保権の消滅)
第三十条 元本の確定後において、特定被担保債権の全部が消滅したときは、企業価値担保権も、消滅する。
(企業価値担保権の消滅時効)
第三十一条 企業価値担保権は、債務者に対しては、その担保する特定被担保債権と同時でなければ、時効によって消滅しない。
第三節 企業価値担保権に関する信託業務
第一款 総則
(免許)
第三十二条 企業価値担保権に関する信託業務は、内閣総理大臣の免許を受けた会社でなければ、営むことができない。
(みなし免許等)
第三十三条 担保付社債信託法(明治三十八年法律第五十二号)第三条の免許を受けた者、金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号。以下「兼営法」という。)第一条第一項の認可を受けた金融機関(同項に規定する金融機関をいう。第三十九条第一項第十二号及び第四十条において同じ。)(担保権に関する信託業務を営むものに限る。)又は信託業法第三条若しくは第五十三条第一項の免許を受けた者は、前条の免許を受けたものとみなす。
2 銀行その他の内閣府令で定める者(前項に規定する者を除く。)は、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に企業価値担保権に関する信託業務を営む旨を届け出たときは、前条の免許を受けたものとみなす。
3 前二項の規定により前条の免許を受けたものとみなされる者であって会社でない者については、会社とみなして、この節及び第二百六十七条の規定を適用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。
(免許の申請)
第三十四条 第三十二条の免許を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。
一 商号
二 資本金の額(当該免許を受けようとする者が合名会社又は合資会社である場合にあっては、出資の総額)
三 取締役及び監査役(監査等委員会設置会社にあっては取締役、指名委員会等設置会社にあっては取締役及び執行役、持分会社にあっては業務を執行する社員)の氏名
四 会社法第二条第八号に規定する会計参与設置会社にあっては、会計参与の氏名又は名称
五 企業価値担保権に関する信託業務以外の業務を営むときは、その業務の種類
六 本店その他の営業所の名称及び所在地
2 前項の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
一 定款
二 会社の登記事項証明書
三 貸借対照表
四 収支の見込みを記載した書類
五 その他内閣府令で定める書類
(免許の基準)
第三十五条 内閣総理大臣は、第三十二条の免許の申請があった場合においては、当該申請を行う者が次に掲げる基準に適合するかどうかを審査しなければならない。
一 定款の規定が法令に適合していること。
二 企業価値担保権に関する信託業務を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有していること。
三 人的構成に照らして、企業価値担保権に関する信託業務を的確に遂行することができる知識及び経験を有し、かつ、十分な社会的信用を有していること。
四 他に営む業務がその企業価値担保権に関する信託業務を適正かつ確実に営むことにつき支障を及ぼすおそれがないこと。
2 内閣総理大臣は、前項の規定による審査の基準に照らし必要があると認めるときは、その必要の限度において、第三十二条の免許に条件を付し、及びこれを変更することができる。
(資本金等の額)
第三十六条 企業価値担保権信託会社の資本金の額(当該企業価値担保権信託会社が合名会社又は合資会社である場合にあっては、出資の総額)は、千万円を下回ってはならない。
(出資の払込金額)
第三十七条 企業価値担保権信託会社が合名会社又は合資会社であるときは、出資の払込金額が五百万円に達するまで、企業価値担保権に関する信託業務に着手してはならない。
(変更の届出)
第三十八条 企業価値担保権信託会社は、第三十四条第一項各号に掲げる事項に変更があったときは、その日から二週間以内に、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
第二款 業務
(業務の範囲)
第三十九条 企業価値担保権信託会社は、他の法律の規定にかかわらず、企業価値担保権に関する信託業務のほか、次の各号に掲げる法律の規定に基づいて行う当該各号に定める業務その他政令で定める業務を営むことができる。
一 銀行法 同法第十条及び第十一条に規定する銀行の業務並びに同法第十二条に規定する銀行の業務(同条に規定する担保付社債信託法その他の法律により銀行の営む業務に限る。)
二 長期信用銀行法 同法第六条に規定する長期信用銀行の業務及び同法第六条の二に規定する長期信用銀行の業務(同条に規定する担保付社債信託法その他の法律により長期信用銀行の営む業務に限る。)
三 株式会社商工組合中央金庫法(平成十九年法律第七十四号) 同法第二十一条に規定する株式会社商工組合中央金庫の業務
四 農林中央金庫法(平成十三年法律第九十三号) 同法第五十四条に規定する農林中央金庫の業務
五 中小企業等協同組合法 同法第九条の八に規定する信用協同組合の業務又は同法第九条の九に規定する協同組合連合会の業務
六 信用金庫法(昭和二十六年法律第二百三十八号) 同法第五十三条に規定する信用金庫の業務又は同法第五十四条に規定する信用金庫連合会の業務
七 労働金庫法(昭和二十八年法律第二百二十七号) 同法第五十八条の二に規定する労働金庫連合会の業務
八 農業協同組合法 同法第十条に規定する農業協同組合又は農業協同組合連合会の業務
九 水産業協同組合法 同法第十一条に規定する漁業協同組合の業務、同法第八十七条に規定する漁業協同組合連合会の業務、同法第九十三条に規定する水産加工業協同組合の業務又は同法第九十七条に規定する水産加工業協同組合連合会の業務
十 保険業法 同法第九十七条及び第九十八条から第百条までに規定する保険会社の業務又は同法第百九十九条において準用する同法第九十七条、第九十八条、第九十九条第一項、第二項及び第四項から第六項まで並びに第百条に規定する保険業法第二条第七項に規定する外国保険会社等の業務
十一 担保付社債信託法 同法第五条(各号を除く。)に規定する同法第一条に規定する信託会社の業務
十二 兼営法 兼営法第一条第一項に規定する信託業務を営む金融機関の業務
十三 信託業法 同法第二十一条第一項及び第二項(これらの規定を同法第六十三条第二項において準用する場合を含む。)に規定する信託会社又は外国信託会社(同法第二条第六項に規定する外国信託会社をいう。次条において同じ。)の業務
2 企業価値担保権信託会社(前項各号に定める業務又は同項に規定する政令で定める業務を営む企業価値担保権信託会社を除く。次項及び第四項において同じ。)は、前項の規定により営む業務のほか、内閣総理大臣の承認を受けて、その企業価値担保権に関する信託業務を適正かつ確実に営むことにつき支障を及ぼすおそれがない業務を営むことができる。
3 企業価値担保権信託会社は、前項の承認を受けようとするときは、営む業務の内容及び方法並びに当該業務を営む理由を記載した書類を添付して、申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。
4 企業価値担保権信託会社は、第二項の規定により営む業務の内容又は方法を変更しようとするときは、内閣総理大臣の承認を受けなければならない。
5 企業価値担保権信託会社は、企業価値担保権に関する信託業務、第一項各号に定める業務及び同項に規定する政令で定める業務並びに第二項の規定による承認を受けて営む業務(次項の規定により第二項の承認を受けたものとみなされる業務を含む。第四十四条第五項において同じ。)のほか、他の業務を営むことができない。
6 第三十二条の免許の申請書に申請者が第一項の規定により営む業務以外の業務を営む旨の記載がある場合において、当該申請者が当該免許を受けたときには、当該業務を営むことにつき第二項の承認を受けたものとみなす。
(信託業法の準用等)
第四十条 信託業法第十五条、第二十二条から第二十四条まで、第二十五条、第二十六条、第二十八条第三項、第二十九条及び第二十九条の三の規定は、企業価値担保権信託会社(兼営法第一条第一項の認可を受けた金融機関並びに信託会社及び外国信託会社を除く。)が企業価値担保権に関する信託業務を営む場合について準用する。この場合において、信託業法第二十二条第二項中「第二十八条」とあるのは「第二十八条第三項」と、「規定並びにこれらの規定に係る第七章の規定」とあるのは「規定」と、「、これらの規定」とあるのは「、第二十八条第三項」と、「、「信託会社(当該信託会社」とあるのは「「企業価値担保権信託会社(事業性融資の推進等に関する法律第四十条第一項に規定する企業価値担保権信託会社をいい、当該企業価値担保権信託会社」と、「含む」とあるのは「含む。次条第一項及び第二項において同じ」と、「する」とあるのは「、第二十九条第一項及び第二項中「信託会社」とあるのは「企業価値担保権信託会社」とする」と、同法第二十三条の二第一項第一号中「指定紛争解決機関が」とあるのは「指定紛争解決機関(事業性融資の推進等に関する法律第五十五条第一項第八号に規定する指定紛争解決機関をいう。以下この条において同じ。)が」と、「手続実施基本契約」とあるのは「手続実施基本契約(同号に規定する手続実施基本契約をいう。次項において同じ。)」と、同項第二号中「手続対象信託業務」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律第五十五条第四項に規定する特定信託業務」と、同条第三項第一号中「紛争解決等業務」とあるのは「紛争解決等業務(事業性融資の推進等に関する法律第五十五条第一項に規定する紛争解決等業務をいう。次号において同じ。)」と、「同号」とあるのは「第一項第二号」と、同項第二号及び第三号中「第八十五条の二第一項」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律第五十五条第一項」と、同法第二十四条第一項中「行為(次条に規定する特定信託契約による信託の引受けにあっては、第五号に掲げる行為を除く。)」とあるのは「行為」と、同条第二項中「信託契約」とあるのは「企業価値担保権信託契約(事業性融資の推進等に関する法律第六条第三項に規定する企業価値担保権信託契約をいう。第二十五条及び第二十六条第一項において同じ。)」と、同法第二十五条中「、信託契約」とあるのは「、企業価値担保権信託契約」と、「事項(特定信託契約による信託の引受けを行うときは、同号に掲げる事項を除く。)」とあるのは「事項」と、同条ただし書中「の保護に支障を生ずることがない場合として内閣府令で定める場合」とあるのは「との間で同一の内容の企業価値担保権信託契約を締結したことがある場合において、当該事項について説明を要しない旨の当該委託者の意思の表明があったとき」と、同法第二十六条第一項中「信託契約」とあるのは「企業価値担保権信託契約」と、同項ただし書中「当該情報を委託者に提供しなくても委託者の保護に支障を生ずることがない場合として内閣府令で定める場合」とあるのは「前条ただし書に規定する場合において、当該事項に係る情報の提供を要しない旨の当該委託者の意思の表明があったとき」と、同項第六号中「事項(第二条第三項各号のいずれにも該当しない信託にあっては、信託財産の管理又は処分の方針を含む。)」とあるのは「事項」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
2 兼営法第一条第一項の認可を受けた金融機関並びに信託会社及び外国信託会社が企業価値担保権信託契約による信託の引受けを行おうとする場合における信託業法第二十五条(兼営法第二条第一項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、信託業法第二十五条ただし書中「の保護に支障を生ずることがない場合として内閣府令で定める場合」とあるのは、「との間で同一の内容の信託契約を締結したことがある場合において、当該事項について説明を要しない旨の当該委託者の意思の表明があったとき」とし、これらの者が企業価値担保権信託契約による信託の引受けを行った場合における同法第二十六条第一項(兼営法第二条第一項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、信託業法第二十六条第一項ただし書中「当該情報を委託者に提供しなくても委託者の保護に支障を生ずることがない場合として内閣府令で定める場合」とあるのは、「前条ただし書に規定する場合において、当該事項に係る情報の提供を要しない旨の当該委託者の意思の表明があったとき」とする。
第三款 事業報告書
第四十一条 企業価値担保権信託会社は、内閣府令で定めるところにより、企業価値担保権に関する信託業務に係る報告書を作成し、内閣総理大臣に提出しなければならない。
第四款 監督
(企業価値担保権信託会社の監督)
第四十二条 企業価値担保権信託会社が営む企業価値担保権に関する信託業務は、内閣総理大臣の監督に属する。
(権利義務の承継)
第四十三条 合併後存続する企業価値担保権信託会社又は合併により設立する企業価値担保権信託会社は、合併により消滅する企業価値担保権信託会社の業務に関し、当該企業価値担保権信託会社が内閣総理大臣による免許その他の処分(この法律の規定に基づく処分に限る。)に基づいて有していた権利義務を承継する。
2 前項の規定は、会社分割により企業価値担保権に関する信託業務の全部の承継をする企業価値担保権信託会社について準用する。
(届出等)
第四十四条 企業価値担保権信託会社は、次の各号のいずれかに該当することとなったときは、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
一 破産手続開始、再生手続開始又は更生手続開始の申立てを行ったとき。
二 合併(当該企業価値担保権信託会社が合併により消滅した場合を除く。)をし、会社分割により企業価値担保権に関する信託業務の一部の承継をさせ、又は企業価値担保権に関する信託業務の一部の譲渡をしたとき。
三 その他内閣府令で定める場合に該当するとき。
2 企業価値担保権信託会社が次の各号のいずれかに該当することとなったときは、当該各号に定める者は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
一 企業価値担保権に関する信託業務を廃止したとき(会社分割により企業価値担保権に関する信託業務の全部の承継をさせたとき、及び企業価値担保権に関する信託業務の全部の譲渡をしたときを含む。) その会社
二 合併により消滅したとき その会社を代表する取締役若しくは執行役若しくは監査役又は業務を執行する社員であった者
三 破産手続開始の決定により解散したとき その破産管財人
四 合併及び破産手続開始の決定以外の理由により解散したとき その清算人
3 企業価値担保権信託会社は、企業価値担保権に関する信託業務の廃止をし、合併(当該企業価値担保権信託会社が合併により消滅するものに限る。)をし、合併及び破産手続開始の決定以外の理由による解散をし、会社分割による企業価値担保権に関する信託業務の全部若しくは一部の承継をさせ、又は企業価値担保権に関する信託業務の全部若しくは一部の譲渡をしようとするときは、その日の三十日前までに、内閣府令で定めるところにより、その旨を公告するとともに、全ての営業所の公衆の目につきやすい場所に掲示しなければならない。
4 企業価値担保権信託会社は、前項の公告をしたときは、直ちに、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
5 会社法第九百四十条第一項(第一号に係る部分に限る。)及び第三項の規定は、企業価値担保権信託会社(保険会社(保険業法第二条第五項に規定する相互会社を除く。)若しくは株式会社商工組合中央金庫である企業価値担保権信託会社又は企業価値担保権に関する信託業務(第三十九条第二項の規定による承認を受けて営む業務を含む。)を専ら営む企業価値担保権信託会社(以下この款において「企業価値担保権専業信託会社」という。)に限る。)が会社法第二条第三十四号に規定する電子公告により第三項の規定による公告をする場合について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。
(立入検査等)
第四十五条 内閣総理大臣は、企業価値担保権信託会社の信託業務の健全かつ適切な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該企業価値担保権信託会社に対し当該企業価値担保権信託会社の業務若しくは財産に関し参考となるべき報告若しくは資料の提出を命じ、又は当該職員に当該企業価値担保権信託会社の営業所その他の施設に立ち入らせ、その業務若しくは財産の状況に関し質問させ、若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(業務の停止等)
第四十六条 内閣総理大臣は、企業価値担保権信託会社の業務又は財産の状況に照らして、当該企業価値担保権信託会社の信託業務の健全かつ適切な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該企業価値担保権信託会社に対し、その必要の限度において、期限を付して当該企業価値担保権信託会社の業務の全部若しくは一部の停止を命じ、又は業務執行の方法の変更その他監督上必要な措置を命ずることができる。
(免許の取消し等)
第四十七条 内閣総理大臣は、企業価値担保権信託会社が法令、定款若しくは法令に基づく内閣総理大臣の処分に違反したとき、又は公益を害する行為をしたときは、当該企業価値担保権信託会社に対し、その業務の全部若しくは一部の停止若しくは取締役若しくは執行役若しくは監査役若しくは業務を執行する社員の解任を命じ、又は第三十二条の免許を取り消すことができる。
(免許の失効)
第四十八条 企業価値担保権信託会社が第四十四条第二項各号のいずれかに該当することとなったときは、当該企業価値担保権信託会社の第三十二条の免許は、その効力を失う。
(監督処分の公告)
第四十九条 内閣総理大臣は、第四十六条若しくは第四十七条の規定により業務の全部若しくは一部の停止を命じたとき、又は同条の規定により第三十二条の免許を取り消したときは、その旨を公告しなければならない。
(免許の取消しによる解散)
第五十条 企業価値担保権専業信託会社は、第四十七条の規定による免許の取消しによって解散する。
(清算人の選任)
第五十一条 企業価値担保権専業信託会社が前条の規定により解散したときは、内閣総理大臣は、利害関係人の申立てにより又は職権で、清算人を選任する。
(清算人の任免)
第五十二条 企業価値担保権専業信託会社に係る会社法第四百七十八条第二項から第四項まで、第四百七十九条第二項、第六百四十七条第二項から第四項まで又は第六百四十八条第三項に規定する清算人の選任又は解任は、内閣総理大臣が行う。
2 会社法第四百七十九条第二項の規定による申立ては、債務者又は受益者も行うことができる。
(清算の監督)
第五十三条 企業価値担保権専業信託会社の清算は、内閣総理大臣の監督に属する。
2 内閣総理大臣は、前項の監督上必要があると認めるときは、当該職員に当該企業価値担保権専業信託会社の営業所その他の施設に立ち入らせ、その業務若しくは財産の状況に関し質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
3 第四十五条第二項及び第三項の規定は、前項の規定による立入検査について準用する。
(清算手続等における内閣総理大臣の意見等)
第五十四条 裁判所は、企業価値担保権信託会社の清算手続、破産手続、再生手続、更生手続又は承認援助手続において、内閣総理大臣に対し、意見を求め、又は検査若しくは調査を依頼することができる。
2 内閣総理大臣は、前項に規定する手続において、必要があると認めるときは、裁判所に対し、意見を述べることができる。
3 第四十五条の規定は、第一項の規定により内閣総理大臣が裁判所から検査又は調査の依頼を受けた場合について準用する。
第五款 指定紛争解決機関
(紛争解決等業務を行う者の指定)
第五十五条 内閣総理大臣は、次に掲げる要件を備える者を、その申請により、紛争解決等業務(苦情処理手続(特定信託業務関連苦情を処理する手続をいう。)及び紛争解決手続(特定信託業務関連紛争について訴訟手続によらずに解決を図る手続をいう。第三項において同じ。)の業務並びにこれに付随する業務をいう。以下この款及び第七章において同じ。)を行う者として、指定することができる。
一 法人(人格のない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものを含み、外国の法令に準拠して設立された法人その他の外国の団体を除く。第四号ニにおいて同じ。)であること。
二 第五十七条において準用する信託業法第八十五条の二十四第一項の規定によりこの項の規定による指定を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者又は他の法律の規定による指定であって紛争解決等業務に相当する業務に係るものとして政令で定めるものを取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者でないこと。
三 この法律若しくは弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)又はこれらに相当する外国の法令の規定に違反し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者でないこと。
四 役員のうちに、次のいずれかに該当する者がないこと。
イ 心身の故障のため紛争解決等業務に係る職務を適正に執行することができない者として内閣府令で定める者
ロ 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者又は外国の法令上これと同様に取り扱われている者
ハ 拘禁刑以上の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者
ニ 第五十七条において準用する信託業法第八十五条の二十四第一項の規定によりこの項の規定による指定を取り消された場合若しくはこの法律に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けている当該指定に類する行政処分を取り消された場合において、その取消しの日前一月以内にその法人の役員(外国の法令上これと同様に取り扱われている者を含む。ニにおいて同じ。)であった者でその取消しの日から五年を経過しない者又は他の法律の規定による指定であって紛争解決等業務に相当する業務に係るものとして政令で定めるもの若しくは当該他の法律に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けている当該政令で定める指定に類する行政処分を取り消された場合において、その取消しの日前一月以内にその法人の役員であった者でその取消しの日から五年を経過しない者
ホ この法律若しくは弁護士法又はこれらに相当する外国の法令の規定に違反し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者
五 紛争解決等業務を的確に実施するに足りる経理的及び技術的な基礎を有すること。
六 役員又は職員の構成が紛争解決等業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。
七 紛争解決等業務の実施に関する規程(以下この款において「業務規程」という。)が法令に適合し、かつ、この法律の定めるところにより紛争解決等業務を公正かつ的確に実施するために十分であると認められること。
八 次項の規定により意見を聴取した結果、手続実施基本契約(紛争解決等業務の実施に関し指定紛争解決機関(この項の規定により指定を受けた者をいう。以下この款及び第七章において同じ。)と企業価値担保権信託会社との間で締結される契約をいう。以下この号及び次条において同じ。)の解除に関する事項その他の手続実施基本契約の内容(第五十七条において準用する信託業法第八十五条の七第二項各号に掲げる事項を除く。)その他の業務規程の内容(同条第三項の規定によりその内容とするものでなければならないこととされる事項並びに同条第四項各号及び第五項第一号に掲げる基準に適合するために必要な事項を除く。)について異議(合理的な理由が付されたものに限る。)を述べた企業価値担保権信託会社の数の企業価値担保権信託会社の総数に占める割合が政令で定める割合以下の割合となったこと。
2 前項の申請をしようとする者は、あらかじめ、内閣府令で定めるところにより、企業価値担保権信託会社に対し、業務規程の内容を説明し、これについて異議がないかどうかの意見(異議がある場合には、その理由を含む。)を聴取し、及びその結果を記載した書類を作成しなければならない。
3 内閣総理大臣は、第一項の規定による指定をしようとするときは、同項第五号から第七号までに掲げる要件(紛争解決手続の業務に係る部分に限り、同号に掲げる要件にあっては、第五十七条において準用する信託業法第八十五条の七第四項各号及び第五項各号に掲げる基準に係るものに限る。)に該当していることについて、あらかじめ、法務大臣に協議しなければならない。
4 第一項に規定する「特定信託業務関連苦情」とは、特定信託業務(企業価値担保権信託会社が営む企業価値担保権に関する信託業務をいう。以下この項において同じ。)に関する苦情をいい、「特定信託業務関連紛争」とは、特定信託業務に関する紛争で当事者が和解をすることができるものをいう。
5 内閣総理大臣は、第一項の規定による指定をしたときは、指定紛争解決機関の商号又は名称及び主たる営業所又は事務所の所在地並びに当該指定をした日を公告しなければならない。
(業務規程)
第五十六条 指定紛争解決機関は、次に掲げる事項に関する業務規程を定めなければならない。
一 手続実施基本契約の内容に関する事項
二 手続実施基本契約の締結に関する事項
三 紛争解決等業務の実施に関する事項
四 紛争解決等業務に要する費用について加入企業価値担保権信託会社(手続実施基本契約を締結した相手方である企業価値担保権信託会社をいう。次号において同じ。)が負担する負担金に関する事項
五 当事者である加入企業価値担保権信託会社又はその顧客から紛争解決等業務の実施に関する料金を徴収する場合にあっては、当該料金に関する事項
六 他の指定紛争解決機関その他相談、苦情の処理又は紛争の解決を実施する国の機関、地方公共団体、民間事業者その他の者との連携に関する事項
七 紛争解決等業務に関する苦情の処理に関する事項
八 前各号に掲げるもののほか、紛争解決等業務の実施に必要な事項として内閣府令で定めるもの
(信託業法の準用)
第五十七条 信託業法第五章の二(第八十五条の二及び第八十五条の七第一項を除く。)の規定は、指定紛争解決機関について準用する。この場合において、同法第八十五条の三第一項中「前条第一項」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律第五十五条第一項」と、同条第二項第一号中「前条第一項第三号」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律第五十五条第一項第三号」と、同項第六号中「前条第二項」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律第五十五条第二項」と、同法第八十五条の五第一項中「この法律」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律」と、同法第八十五条の六中「他の法律」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律以外の法律」と、同法第八十五条の七第二項中「前項第一号」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律第五十六条第一号」と、同条第三項中「第一項第二号」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律第五十六条第二号」と、同条第四項中「第一項第三号」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律第五十六条第三号」と、同条第五項中「第一項第四号及び」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律第五十六条第四号及び」と、同項第一号中「第一項第四号」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律第五十六条第四号」と、「同項第五号」とあるのは「同条第五号」と、同法第八十五条の十四第二項中「第八十五条の二第一項」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律第五十五条第一項」と、同法第八十五条の二十二第二項第一号中「第八十五条の二第一項第五号から第七号までに掲げる要件(」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律第五十五条第一項第五号から第七号までに掲げる要件(」と、「又は第八十五条の二第一項第五号」とあるのは「又は同法第五十五条第一項第五号」と、同法第八十五条の二十三第三項中「他の法律」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律以外の法律」と、同法第八十五条の二十四第一項中「、第八十五条の二第一項」とあるのは「、事業性融資の推進等に関する法律第五十五条第一項」と、同項第一号中「第八十五条の二第一項第二号」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律第五十五条第一項第二号」と、同項第二号中「第八十五条の二第一項」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律第五十五条第一項」と、同条第二項第一号中「第八十五条の二第一項第五号」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律第五十五条第一項第五号」と、「第八十五条の二第一項の」とあるのは「同法第五十五条第一項の」と、同条第三項及び第四項中「第八十五条の二第一項」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律第五十五条第一項」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
第六款 雑則
(財務大臣への資料提出等)
第五十八条 財務大臣は、その所掌に係る金融破綻処理制度及び金融危機管理に関し、企業価値担保権に関する信託業務に係る制度の企画又は立案をするため必要と認めるときは、内閣総理大臣に対し、必要な資料の提出及び説明を求めることができる。
2 財務大臣は、その所掌に係る金融破綻処理制度及び金融危機管理に関し、企業価値担保権に関する信託業務に係る制度の企画又は立案をするため特に必要と認めるときは、その必要の限度において、企業価値担保権信託会社に対し、資料の提出、説明その他の協力を求めることができる。
(内閣府令への委任)
第五十九条 この節に定めるもののほか、この節の規定による免許、承認及び指定に関する申請の手続、書類の提出の手続、記載事項及び保存期間その他この節の規定を実施するため必要な事項は、内閣府令で定める。
第四節 企業価値担保権信託契約等
第一款 企業価値担保権信託契約の効力等
(特定被担保債権の範囲の変更等の方法)
第六十条 特定被担保債権の範囲の変更又は元本の確定すべき期日若しくは事由の変更は、受託会社(企業価値担保権信託契約に基づく信託の受託者である企業価値担保権信託会社をいう。以下この節において同じ。)、債務者及び特定被担保債権者の合意による信託の変更によらなければならない。
(企業価値担保権の実行等の義務)
第六十一条 特定被担保債権が期限が到来しても弁済されず、又は債務者が特定被担保債権の弁済を完了せずに解散(合併によるものを除く。)をしたときは、受託会社は、全ての特定被担保債権者の指図により、企業価値担保権の実行その他の必要な措置をとらなければならない。ただし、企業価値担保権信託契約に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
(配当を受けた受託会社の義務等)
第六十二条 受託会社は、企業価値担保権の実行により、配当を受けた場合には、次に掲げる行為をする義務を負う。
一 特定被担保債権者に対し、遅滞なく、その有する特定被担保債権の額又は給付可能額から不特定被担保債権留保額を控除した額のいずれか低い額を上限として企業価値担保権信託契約で定める額に相当する金銭を給付すること。
二 債務者について清算手続若しくは破産手続が開始され、第四号の規定による金銭の給付をするまで又は第三項の規定により信託が終了するまでの間、不特定被担保債権者のために、当該金銭の給付をするために必要な財産を管理すること。
三 債務者が特別清算開始又は破産手続開始の申立てをする場合において、債務者のために、前号に規定する財産から、民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)の規定に従い当該申立ての手数料を納付し、会社法第八百八十八条第三項又は破産法(平成十六年法律第七十五号)第二十二条第一項の規定により特別清算の手続又は破産手続の費用として裁判所の定める金額を予納すること。
四 債務者について清算手続又は破産手続が開始されたときは、遅滞なく(当該清算手続又は破産手続が開始された後に当該配当を受けたときは、当該配当を受けた後遅滞なく)、当該清算手続又は破産手続における、弁済又は配当の順位に従って、不特定被担保債権者に不特定被担保債権留保額に相当する金銭(前号に規定する金額を予納した場合は、不特定被担保債権留保額から当該金額を控除した額に相当する金銭)を給付するために、清算人又は破産管財人に対し、当該金銭を給付すること。
2 前項第四号の規定により清算人又は破産管財人が給付を受けた金銭は、会社法第四百七十六条に規定する清算株式会社若しくは同法第六百四十五条に規定する清算持分会社の財産又は破産財団に属する財産とする。
3 次の各号のいずれかに該当する場合には、企業価値担保権信託契約に係る信託は終了するものとする。この場合において、当該信託の受益権は消滅する。
一 第百九十一条第二項の規定による公告の日から三十日を経過しても、債務者について清算手続が開始せず、かつ、破産手続開始の申立てがなされない場合
二 前号の期間内に債務者について清算手続が開始せず、かつ、当該期間内に破産手続開始の申立てがなされた場合において、当該申立てのいずれもが取り下げられ、又はこれらを却下し、若しくは棄却する決定が確定し、若しくは当該申立てに係る破産手続開始の決定を取り消す決定が確定したとき。
4 受託会社についての信託法第百八十四条の規定の適用については、同条第一項中「受益者(」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律(令和六年法律第▼▼▼号)第六条第六項に規定する特定被担保債権者(」と、「及び」とあるのは「、清算人(債務者(同条第一項に規定する債務者をいう。以下この項において同じ。)の特別清算が開始している場合に限る。)若しくは破産管財人(債務者の破産手続が開始している場合に限る。)又は同条第七項に規定する不特定被担保債権者(債務者の特別清算又は破産手続が開始していない場合に限る。)及び」と、「受益者等」とあるのは「特定被担保債権者等」と、同条第二項及び第三項中「受益者等」とあるのは「特定被担保債権者等」とする。
5 第一項第一号の「給付可能額」とは、第一号及び第二号に掲げる金額の合計額から第三号及び第四号に掲げる金額の合計額を減じて得た額をいう。
一 配当を受けた金額
二 信託財産に属する債権について弁済を受けた金額
三 信託法第四十九条第一項(同法第五十三条第二項及び第五十四条第四項において準用する場合を含む。)の規定により受託会社が有する権利の金額
四 信託法第二十一条第二項第二号に規定する信託債権に係る債務の金額
(特別代理人の選任)
第六十三条 次に掲げる場合には、裁判所は、受益者の申立てにより、特別代理人を選任することができる。
一 受託会社が第四十六条又は第四十七条の規定による業務の停止の命令を受けているとき。
二 受託会社が受益者のためにすべき信託業務の処理を怠っているとき。
三 受益者と受託会社との利益が相反する場合において、受託会社が受益者のために信託業務の処理に関する裁判上又は裁判外の行為をする必要があるとき。
2 前項の申立てを却下する裁判には、理由を付さなければならない。
3 第一項の規定による特別代理人の選任の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
4 第一項の申立てに係る非訟事件は、債務者の本店の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。
5 第一項の規定による非訟事件については、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第四十条及び第五十七条第二項(第二号に係る部分に限る。)の規定は、適用しない。
(受託会社等の行為の方式)
第六十四条 受託会社又は前条第一項の特別代理人がこの法律の規定により受益者のために裁判上又は裁判外の行為をする場合には、個別の受益者を表示することを要しない。
第二款 企業価値担保権に関する信託業務の承継等
(受託会社の辞任)
第六十五条 受託会社は、信託法第五十七条第一項の規定により辞任するときは、信託業務を承継する会社を定めなければならない。
(受託会社の解任)
第六十六条 受託会社についての信託法第五十八条第四項(同法第七十条において準用する場合を含む。次条第一項において同じ。)の規定の適用については、同法第五十八条第四項中「違反して信託財産に著しい損害を与えたこと」とあるのは、「違反したとき、信託事務の処理に不適任であるとき」とする。
(内閣総理大臣の権限)
第六十七条 内閣総理大臣は、受託会社に係る第三十二条の免許が第四十七条の規定による取消しその他の事由によりその効力を失ったときは、前条の規定により読み替えて適用される信託法第五十八条第四項若しくは信託法第六十二条第四項若しくは第六十三条第一項の規定による申立てをすること又は同法第六十二条第二項の規定による催告をすることができる。
2 前項に規定する場合において、裁判所が受託会社であった受託者を解任するまでの間は、当該受託会社であった受託者は、なお企業価値担保権信託会社とみなす。
(信託業務の承継)
第六十八条 第六十五条の規定による信託業務の承継は、債務者、受託会社であった者(以下この条及び次条第二項において「前受託会社」という。)及び信託業務を承継する会社(以下この条及び同項において「新受託会社」という。)がその契約書を作成することによって、その効力を生ずる。
2 前項の契約書は、電磁的記録をもって作成することができる。
3 第一項の契約書を書面をもって作成する場合には、当該書面には、債務者、前受託会社及び新受託会社の代表者が署名し、又は記名押印しなければならない。
4 第一項の契約書を電磁的記録をもって作成する場合には、当該電磁的記録には、債務者、前受託会社及び新受託会社の代表者が内閣府令・法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
(承継に関する業務の監督)
第六十九条 信託業務の承継に関する業務は、内閣総理大臣の監督に属する。
2 内閣総理大臣は、前項の監督上必要があると認めるときは、当該職員に前受託会社若しくは新受託会社の営業所その他の施設に立ち入らせ、その業務若しくは財産の状況に関し質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
3 第四十五条第二項及び第三項の規定は、前項の規定による立入検査について準用する。
第五節 企業価値担保権の実行
第一款 総則
(定義)
第七十条 この節において「実行手続」とは、この節の定めるところにより、企業価値担保権を実行する手続をいう。
2 この節において「執行事件」とは、実行手続に係る事件をいう。
3 この節において「執行裁判所」とは、執行事件が係属している地方裁判所をいう。
4 この節(第七十二条並びに第九款第二目及び第三目を除く。)において「裁判所」とは、執行事件を取り扱う一人の裁判官又は裁判官の合議体をいう。
5 この節において「申立債権」とは、申立人の企業価値担保権の特定被担保債権であって共益債権に該当しないものをいう。
6 この節において「共益債権」とは、実行手続によらないで担保目的財産から随時弁済を受けることができる債権をいう。
7 この節において「共益債権者」とは、共益債権を有する者をいう。
8 この節において「優先担保権」とは、実行手続開始当時債務者の財産につき存する担保権のうち申立人の企業価値担保権に優先するものであって、重複担保権に該当しないものをいう。
9 この節において「優先担保権者」とは、優先担保権を有する者をいう。
10 この節において「劣後担保権」とは、実行手続開始当時債務者の財産につき存する担保権(一般の先取特権、企業担保権及び留置権を除く。)のうち、申立人の企業価値担保権に劣後するもの又は当該企業価値担保権と同一順位のものであって、重複担保権に該当しないものをいう。
11 この節において「劣後債権」とは、劣後担保権の被担保債権(劣後担保権が企業価値担保権である場合にあっては、特定被担保債権)であって共益債権に該当しないものをいう。
12 この節において「劣後債権者」とは、劣後債権を有する者をいう。
13 この節において「配当債権」とは、申立債権、劣後債権又は租税等の請求権をいう。
14 この節において「配当債権者」とは、配当債権を有する者をいう。
15 この節において「配当債権者等」とは、配当債権者又は企業価値担保権者をいう。
16 この節において「配当外債権」とは、債務者に対する財産上の請求権であって配当債権及び共益債権に該当しないものをいう。
17 この節において「配当外債権者」とは、配当外債権を有する者をいう。
18 この節において「租税等の請求権」とは、国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)又は国税徴収の例によって徴収することのできる請求権(租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律(昭和四十四年法律第四十六号。第百五十六条第二項において「租税条約等実施特例法」という。)第十一条第一項に規定する共助対象外国租税(以下この節において「共助対象外国租税」という。)の請求権を除く。)であって、共益債権に該当しないものをいう。
(管轄)
第七十一条 執行事件は、債務者の主たる営業所の所在地(外国に主たる営業所がある場合にあっては、日本における主たる営業所の所在地)を管轄する地方裁判所が管轄する。
2 前項の規定にかかわらず、実行手続開始の申立ては、債務者の本店の所在地を管轄する地方裁判所にもすることができる。
3 第一項の規定にかかわらず、法人が他の株式会社の総株主の議決権(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株式についての議決権を除き、会社法第八百七十九条第三項の規定により議決権を有するものとみなされる株式についての議決権を含む。次項において同じ。)の過半数を有する場合には、当該法人(以下この項及び次項において「親法人」という。)について執行事件が係属しているときにおける当該他の株式会社(以下この項及び次項において「子株式会社」という。)についての実行手続開始の申立ては、親法人の執行事件が係属している地方裁判所にもすることができ、子株式会社について執行事件が係属しているときにおける親法人についての実行手続開始の申立ては、子株式会社の執行事件が係属している地方裁判所にもすることができる。
4 子株式会社が他の株式会社の総株主の議決権の過半数を有する場合には、当該他の株式会社を当該子株式会社の親法人の子株式会社と、親法人及び子株式会社が他の株式会社の総株主の議決権の過半数を有する場合には、当該他の株式会社を当該親法人の子株式会社とそれぞれみなして、前項の規定を適用する。
5 第一項の規定にかかわらず、株式会社が最終事業年度について会社法第四百四十四条の規定により当該株式会社及び他の法人に係る連結計算書類(同条第一項に規定する連結計算書類をいう。)を作成し、かつ、当該株式会社の定時株主総会においてその内容が報告された場合には、当該株式会社について執行事件が係属しているときにおける当該他の法人についての実行手続開始の申立ては、当該株式会社の執行事件が係属している地方裁判所にもすることができ、当該他の法人について執行事件が係属しているときにおける当該株式会社についての実行手続開始の申立ては、当該他の法人の執行事件が係属している地方裁判所にもすることができる。
6 第一項の規定にかかわらず、実行手続開始の申立ては、東京地方裁判所又は大阪地方裁判所にもすることができる。
(専属管轄)
第七十二条 この節に規定する裁判所の管轄は、専属とする。
(執行事件の移送)
第七十三条 裁判所は、著しい損害又は遅滞を避けるため必要があると認めるときは、職権で、執行事件を次に掲げる地方裁判所のいずれかに移送することができる。
一 債務者の営業所の所在地を管轄する地方裁判所
二 債務者の財産の所在地(債権については、裁判上の請求をすることができる地)を管轄する地方裁判所
三 第七十一条第二項から第六項までに規定する地方裁判所
(任意的口頭弁論等)
第七十四条 実行手続に関する裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。
2 裁判所は、職権で、執行事件に関して必要な調査をすることができる。
(公告等)
第七十五条 この節の規定による公告は、官報に掲載してする。
2 前項の規定による公告は、掲載があった日の翌日に、その効力を生ずる。
3 この節の規定により送達をしなければならない場合には、公告をもって、これに代えることができる。ただし、この節に特別の定めがある場合(この節の規定により公告及び送達をしなければならない場合を含む。)は、この限りでない。
4 この節の規定により裁判の公告がされたときは、一切の関係人に対して当該裁判の告知があったものとみなす。
(事件に関する文書の閲覧等)
第七十六条 利害関係人は、裁判所書記官に対し、この法律(この法律において準用する他の法律を含む。次条第一項において同じ。)の規定に基づき、裁判所に提出され、又は裁判所が作成した文書その他の物件(以下この款及び附則第六条第六項において「文書等」という。)の閲覧を請求することができる。
2 利害関係人は、裁判所書記官に対し、文書等の謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付を請求することができる。
3 前項の規定は、文書等のうち録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)については、適用しない。この場合において、これらの物について利害関係人の請求があるときは、裁判所書記官は、その複製を許さなければならない。
(ファイル記録事項の閲覧等)
第七十七条 利害関係人は、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、この法律の規定に基づき裁判所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。)に備えられたファイル(次項及び第三項並びに次条を除き、以下「ファイル」という。)に記録された事項(以下この条及び第八十条第六項において「ファイル記録事項」という。)の内容を最高裁判所規則で定める方法により表示したものの閲覧を請求することができる。
2 利害関係人は、裁判所書記官に対し、ファイル記録事項について、最高裁判所規則で定めるところにより、最高裁判所規則で定める電子情報処理組織(裁判所の使用に係る電子計算機と手続の相手方の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。次項及び次条において同じ。)を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法による複写を請求することができる。
3 利害関係人は、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、ファイル記録事項の全部若しくは一部を記載した書面であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該書面の内容がファイル記録事項と同一であることを証明したものを交付し、又はファイル記録事項の全部若しくは一部を記録した電磁的記録であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該電磁的記録の内容がファイル記録事項と同一であることを証明したものを最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法により提供することを請求することができる。
(事件に関する事項の証明)
第七十八条 利害関係人は、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、事件に関する事項を記載した書面であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該事項を証明したものを交付し、又は当該事項を記録した電磁的記録であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該事項を証明したものを最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法により提供することを請求することができる。
(閲覧等の特則)
第七十九条 前三条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる者は、当該各号に定める裁判があるまでの間は、これらの規定による請求をすることができない。ただし、当該者が申立人である場合は、この限りでない。
一 債務者以外の利害関係人 実行手続開始の申立てについての裁判
二 債務者 実行手続開始の申立てに関する口頭弁論若しくは債務者を呼び出す審尋の期日の指定の裁判又は前号に定める裁判
(支障部分の閲覧等の制限)
第八十条 次に掲げる文書等について、利害関係人がその閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付の受領又はその複製(以下この項から第三項までにおいて「閲覧等」という。)を行うことにより、債務者の事業の継続若しくは換価に著しい支障を生ずるおそれ又は債務者の財産に著しい損害を与えるおそれがある部分(以下この項から第三項までにおいて「支障部分」という。)があることにつき疎明があった場合には、裁判所は、当該文書等を提出した管財人の申立てにより、支障部分の閲覧等の請求をすることができる者を、当該管財人に限ることができる。
一 第九十二条第一項ただし書、第百十三条第二項又は第百五十七条第一項若しくは第二項の許可を得るために裁判所に提出された文書等
二 第百二十六条第二項の規定による報告に係る文書等
2 前項の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで、利害関係人(同項の申立てをした者を除く。次項において同じ。)は、支障部分の閲覧等の請求をすることができない。
3 支障部分の閲覧等の請求をしようとする利害関係人は、執行裁判所に対し、第一項に規定する要件を欠くこと又はこれを欠くに至ったことを理由として、同項の規定による決定の取消しの申立てをすることができる。
4 第一項の申立てを却下した決定及び前項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
5 第一項の規定による決定を取り消す決定は、確定しなければその効力を生じない。
6 前各項の規定は、ファイル記録事項について準用する。この場合において、第一項中「謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付の受領又はその複製」とあるのは、「複写又はその内容の全部若しくは一部を証明した書面の交付若しくはその内容の全部若しくは一部を証明した電磁的記録の提供の受領」と読み替えるものとする。
(民事訴訟法及び民事執行法の準用)
第八十一条 特別の定めがある場合を除き、実行手続について、その性質に反しない限り、民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第一編から第四編までの規定を準用する。この場合において、同法第百三十二条の十一第一項第一号中「第五十四条第一項ただし書の許可を得て訴訟代理人となったものを除く。)」とあるのは「弁護士に限る。)又は管財人若しくは管財人代理として選任を受けた者」と、「当該委任」とあるのは「当該委任又は選任」と、同項第二号中「第二条」とあるのは「第九条において準用する同法第二条」と読み替えるものとする。
2 民事執行法第十条、第十五条、第十八条及び第十八条の二の規定は、実行手続について準用する。この場合において、同法第十五条第一項中「この法律」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律」と、「執行裁判所」とあるのは「同法第七十条第三項に規定する執行裁判所」と、同法第十八条第一項及び第二項中「執行裁判所又は執行官」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律第七十条第三項に規定する執行裁判所又は管財人」と、同法第十八条の二中「この法律」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律」と読み替えるものとする。
(最高裁判所規則)
第八十二条 この節に定めるもののほか、実行手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
第二款 実行手続開始の申立て
(実行手続開始の申立て)
第八十三条 企業価値担保権の実行は、第六十一条の規定に基づいてする企業価値担保権者の実行手続開始の申立てによってする。
2 企業価値担保権者は、その企業価値担保権に優先する他の企業価値担保権がある場合においては、前項の規定による実行手続開始の申立てをすることができない。
(実行手続開始の申立ての方式)
第八十四条 実行手続開始の申立ては、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。
一 申立債権の内容及び原因
二 申立債権に係る企業価値担保権の内容
三 申立債権に係る弁済期の到来
2 申立人は、申立債権及び当該申立債権に係る企業価値担保権の存在並びに当該申立債権に係る弁済期の到来を証明しなければならない。
3 実行手続開始の申立ては、第一項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を明らかにしてするよう努めるものとする。
一 債務者の目的その他の債務者の概要
二 債務者の事業の内容及び状況
三 債務者の資産、負債その他の財産の状況
(費用の予納)
第八十五条 実行手続開始の申立てをするときは、申立人は、実行手続の費用として裁判所の定める金額を予納しなければならない。
2 費用の予納に関する決定に対しては、執行抗告をすることができる。
3 前項の執行抗告は、執行停止の効力を有する。
(実行手続開始の申立ての取下げの制限)
第八十六条 申立人が実行手続開始の決定後にその申立てを取り下げるには、裁判所の許可を得なければならない。
2 前項の申立ては、第百六十九条第二項、第百七十八条第一項又は第百八十二条第一項の許可があった後は、取り下げることができない。
3 第一項の規定により実行手続開始の申立てが取り下げられたときは、裁判所は、直ちに、その旨を公告し、かつ、第八十九条第三項各号に掲げる者(申立人を除く。)に通知しなければならない。ただし、第八十八条第二項の決定があったときは、知れている配当債権者等に対しては、当該通知をすることを要しない。
第三款 実行手続開始の決定及びこれに伴う効果等
第一目 実行手続開始の決定
(実行手続開始の決定)
第八十七条 裁判所は、第八十三条第一項の規定による実行手続開始の申立てがあった場合において、第八十四条第二項の証明があったときは、実行手続の費用の予納がないときを除き、実行手続開始の決定をする。
2 前項の決定は、その決定の時から、効力を生ずる。
(実行手続開始の決定と同時に定めるべき事項)
第八十八条 裁判所は、実行手続開始の決定と同時に、一人又は数人の管財人を選任し、かつ、劣後債権の届出をすべき期間及び配当債権の調査をするための期間を定めなければならない。
2 前項の場合において、知れている配当債権者等の数が千人以上であり、かつ、相当と認めるときは、裁判所は、第八十六条第三項本文、次条第四項本文において準用する同条第三項(第一号に係る部分に限る。)、第九十条第三項本文及び第九十一条第五項本文の規定による知れている配当債権者等に対する通知をしない旨の決定をすることができる。
(実行手続開始の公告等)
第八十九条 裁判所は、実行手続開始の決定をしたときは、直ちに、次に掲げる事項を公告しなければならない。
一 実行手続開始の決定の主文
二 管財人の氏名又は名称
三 前条第一項の規定により定めた期間
四 財産所持者等(担保目的財産の所持者及び債務者に対して債務を負担する者をいう。)は、債務者にその財産を交付し、又は弁済をしてはならない旨
五 第百七十八条第一項(第二号に係る部分に限る。)の規定による簡易配当をすることが相当と認められる場合にあっては、当該簡易配当をすることにつき異議のある配当債権者等は裁判所に対し、前条第一項に規定する配当債権の調査をするための期間の満了時までに異議を述べるべき旨
2 前条第二項の決定があったときは、裁判所は、前項各号に掲げる事項のほか、第八十六条第三項本文、第四項本文において準用する次項(第一号に係る部分に限る。)、次条第三項本文及び第九十一条第五項本文の規定による知れている配当債権者等に対する通知をしない旨をも公告しなければならない。
3 次に掲げる者には、前二項の規定により公告すべき事項を通知しなければならない。
一 申立人、管財人、債務者及び知れている配当債権者等
二 第一項第四号に規定する財産所持者等であって知れているもの
三 労働組合等(債務者の使用人その他の従業者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、債務者の使用人その他の従業者の過半数で組織する労働組合がないときは債務者の使用人その他の従業者の過半数を代表する者をいう。第百二十二条及び第百五十七条第四項第二号において同じ。)
4 第一項(第二号に係る部分に限る。)及び前項(第一号及び第二号に係る部分に限る。)の規定は第一項第二号に掲げる事項に変更を生じた場合について、同項(第三号に係る部分に限る。)及び前項(第一号に係る部分に限る。)の規定は第一項第三号に掲げる事項に変更を生じた場合(劣後債権の届出をすべき期間に変更を生じた場合に限る。)について、それぞれ準用する。ただし、前条第二項の決定があったときは、知れている配当債権者等に対しては、この項において準用する前項(第一号に係る部分に限る。)の規定による通知をすることを要しない。
(抗告)
第九十条 第八十三条第一項に規定する実行手続開始の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
2 前項の執行抗告においては、債務者は、企業価値担保権の不存在又は消滅を理由とすることができる。
3 実行手続開始の決定をした裁判所は、第一項の執行抗告があった場合において、当該決定を取り消す決定が確定したときは、直ちにその主文を公告し、かつ、前条第三項各号に掲げる者にその主文を通知しなければならない。ただし、第八十八条第二項の決定があったときは、知れている配当債権者等に対しては、当該通知をすることを要しない。
(実行手続の停止)
第九十一条 実行手続は、第一号の申立て又は第二号の文書(同号ハにあっては、文書又は電磁的記録)の提出があったときは、停止しなければならない。
一 企業価値担保権の登記の抹消がされた債務者についての実行手続の停止の申立て
二 次に掲げるいずれかの文書(ハにあっては、文書又は電磁的記録)
イ 企業価値担保権のないことを証する確定判決(確定判決と同一の効力を有するものを含む。ロにおいて同じ。)の謄本又は記録事項証明書(ファイルに記録されている事項を記載した書面であって裁判所書記官が当該書面の内容が当該ファイルに記録されている事項と同一であることを証明したものをいう。以下この号において同じ。)
ロ 企業価値担保権の登記を抹消すべき旨を命ずる確定判決の謄本又は記録事項証明書
ハ 企業価値担保権の実行をしない旨又は特定被担保債権者が特定被担保債権の弁済を受け、若しくは特定被担保債権の弁済の猶予をした旨を記載した裁判上の和解の調書その他の公文書の謄本(公文書が電磁的記録をもって作成されている場合にあっては、当該電磁的記録に記録されている事項の全部を記録した電磁的記録)(企業価値担保権の実行をしない旨又は特定被担保債権の弁済の猶予をした旨を記載又は記録をしたものにあっては、実行手続開始の決定前に作成されたものに限る。)
ニ 実行手続の停止及び執行処分の取消しを命ずる旨を記載した裁判の謄本又は記録事項証明書
ホ 実行手続の一時の停止を命ずる旨を記載した裁判の謄本又は記録事項証明書
ヘ 企業価値担保権の実行を一時禁止する裁判の謄本又は記録事項証明書
2 前項第一号の申立て又は同項第二号イからニまでに掲げる文書若しくは電磁的記録の提出があったときは、裁判所は、既にした執行処分をも取り消さなければならない。
3 裁判所は、第一項第二号ホ又はヘに掲げる文書の提出により実行手続が停止された場合において、必要があると認めるときは、当該文書に記載された停止又は禁止に係る期間が満了するまで管財人を当事者とする訴訟手続の中止を命ずることができる。
4 裁判所は、前項の規定による中止の命令を変更し、又は取り消すことができる。
5 裁判所は、第一項第二号ホ若しくはヘに掲げる文書の提出により実行手続が停止したとき、又は第二項の規定により既にした執行処分を取り消す決定が確定したときは、直ちに、その旨を公告し、かつ、第八十九条第三項各号に掲げる者に通知しなければならない。ただし、第八十八条第二項の決定があったときは、知れている配当債権者等に対しては、当該通知をすることを要しない。
(実行手続の停止時の保全行為)
第九十二条 前条第一項第二号ホ又はヘに掲げる文書の提出により実行手続が停止された場合であっても、第百十三条第一項の権利は管財人に専属する。ただし、管財人が債務者の常務に属しない行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。
2 前項ただし書の許可を得ないでした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
第二目 実行手続開始の決定に伴う効果
(弁済の禁止)
第九十三条 配当債権又は配当外債権については、実行手続開始後は、この法律に特別の定めがある場合を除き、実行手続によらなければ、弁済をし、弁済を受け、その他これを消滅させる行為(免除を除く。)をすることができない。
2 裁判所は、配当債権又は配当外債権について、債務者の事業の継続、債務者の取引先の保護その他の実行手続の公正な実施に必要があると認めるときは、管財人の申立てにより、その弁済をすることを許可することができる。
3 第一項の規定は、次に掲げる事由により、租税等の請求権が消滅する場合には、適用しない。
一 国税滞納処分(共益債権を徴収するためのものを除き、国税滞納処分の例による処分(共益債権及び共助対象外国租税の請求権を徴収するためのものを除く。)を含む。第九十六条第一項を除き、以下この款において同じ。)のうち、同条第三項の規定により続行が命じられたもの
二 国税滞納処分による差押えを受けた債務者の債権(差押えの効力の及ぶ債権を含む。)の第三債務者が当該国税滞納処分の失効中に徴収の権限を有する者に対して任意にした給付
三 徴収の権限を有する者による還付金又は過誤納金の充当
四 管財人が裁判所の許可を得てした弁済
(相殺権)
第九十四条 配当債権者が実行手続開始当時債務者に対して債務を負担する場合において、債権及び債務の双方が第八十八条第一項の規定により定められた劣後債権の届出をすべき期間(以下この条及び第五款において「債権届出期間」という。)の満了前に相殺に適するようになったときは、配当債権者は、当該債権届出期間内に限り、実行手続によらないで、相殺をすることができる。債務が期限付であるときも、同様とする。
2 配当外債権者が実行手続開始当時債務者に対して債務を負担するときは、実行手続によらないで、相殺をすることができる。債務が期限付であるときも、同様とする。
3 配当債権者又は配当外債権者が実行手続開始当時債務者に対して負担する債務が賃料債務である場合には、配当債権者又は配当外債権者は、実行手続開始後にその弁済期が到来すべき賃料債務(債権届出期間の満了後にその弁済期が到来すべきものを含む。次項において同じ。)については、実行手続開始の時における賃料の六月分に相当する額を限度として、実行手続によらないで、相殺をすることができる。ただし、配当債権者にあっては、当該相殺をすることができるのは、債権届出期間内に限る。
4 前項に規定する場合において、配当債権者又は配当外債権者が、実行手続開始後にその弁済期が到来すべき賃料債務について、実行手続開始後その弁済期に弁済をしたときは、配当債権者又は配当外債権者が有する敷金の返還請求権は、実行手続開始の時における賃料の六月分に相当する額(同項の規定により相殺をする場合には、相殺により免れる賃料債務の額を控除した額)の範囲内におけるその弁済額を限度として、共益債権とする。
5 前二項の規定は、地代又は小作料の支払を目的とする債務について準用する。
(相殺の禁止)
第九十五条 配当債権者又は配当外債権者は、実行手続開始後に債務者に対して債務を負担した場合には、相殺をすることができない。ただし、配当債権者が第百五十七条第一項の営業又は事業の譲受人として債務を負担した場合において、裁判所の許可を得たときは、この限りでない。
2 債務者に対して債務を負担する者は、実行手続開始後に他人の配当債権又は配当外債権を取得した場合には、相殺をすることができない。
(他の手続の失効等)
第九十六条 実行手続開始の決定があったときは、担保目的財産に対する強制執行等(配当債権若しくは配当外債権に基づく強制執行、仮差押え、仮処分若しくは担保権の実行又は配当債権若しくは配当外債権を被担保債権とする留置権による競売をいう。次項において同じ。)、企業担保権の実行、国税滞納処分(第九十三条第三項第一号に規定する国税滞納処分をいう。)、外国租税滞納処分(共助対象外国租税の請求権に基づき国税滞納処分の例によってする処分(共益債権を徴収するためのものを除く。)をいう。次項及び第三項において同じ。)又は配当債権若しくは配当外債権に基づく財産開示手続若しくは第三者からの情報取得手続の申立てはすることができない。
2 前項に規定する場合には、担保目的財産に対して既にされている強制執行等の手続、企業担保権の実行の手続、国税滞納処分、外国租税滞納処分並びに配当債権又は配当外債権に基づく財産開示手続及び第三者からの情報取得手続は、実行手続の関係においては、その効力を失う。ただし、強制執行等(配当債権又は配当外債権に基づく仮差押え又は仮処分を除く。第七項及び第八項において同じ。)の手続については、管財人において執行事件のためにその手続を続行することを妨げない。
3 前項の規定にかかわらず、裁判所は、債務者の事業の継続及び換価に支障を来さないと認めるときは、管財人若しくは租税等の請求権につき徴収の権限を有する者の申立てにより又は職権で、同項の規定により失効した国税滞納処分又は外国租税滞納処分の続行を命ずることができる。
4 第二項ただし書又は前項の規定により続行された手続又は処分に関する債務者に対する費用請求権は、共益債権とする。
5 第一項に規定する場合には、実行手続が終了するまでの間(第三項の規定により国税滞納処分の続行が命じられたときは、当該国税滞納処分の続行が命じられるまでの間)は、国税滞納処分により徴収すべき徴収金の請求権の時効は、進行しない。
6 第一項に規定する場合には、実行手続が終了するまでの間は、罰金、科料及び追徴の時効は、進行しない。ただし、当該罰金、科料又は追徴に係る請求権が共益債権である場合は、この限りでない。
7 第二項ただし書の規定により続行された強制執行等の手続については、民事執行法第六十三条及び第百二十九条(これらの規定を同法その他強制執行の手続に関する法令において準用する場合を含む。)の規定は、適用しない。
8 第二項ただし書の規定により続行された強制執行等に対する第三者異議の訴えについては、管財人を被告とする。
9 第一項及び第二項の規定は、優先担保権を行使する場合については、適用しない。
(続行された強制執行等における配当等に充てるべき金銭の取扱い)
第九十七条 前条第二項ただし書又は第三項の規定により続行された手続又は処分においては、配当又は弁済金の交付(以下この条において「配当等」という。)を実施することができない。ただし、同項の規定により続行された処分における租税等の請求権に対する配当等については、この限りでない。
2 前項本文に規定する手続(配当債権又は配当外債権を被担保債権とする留置権による競売手続を除く。次項において同じ。)又は処分においては、配当等に充てるべき金銭が生じたときは、管財人に対して、当該金銭に相当する額(前項ただし書の規定により配当等が実施されたときは、当該配当等の額を控除した額)の金銭を交付しなければならない。
3 前項の金銭の交付前に実行手続が終了したときは、第一項本文の規定にかかわらず、同項本文に規定する手続又は処分においては、その手続又は処分の性質に反しない限り、配当等に充てるべき金銭(同項ただし書の規定により配当等が実施されたものを除く。)について、配当等を実施しなければならない。
(債務者の財産関係に関する訴えの取扱い)
第九十八条 実行手続開始の決定があったときは、債務者の財産関係の訴訟手続は、中断する。
2 管財人は、前項の規定により中断した訴訟手続のうち配当債権に関しないものを受け継ぐことができる。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。
3 前項の場合においては、相手方の債務者に対する訴訟費用請求権は、共益債権とする。
4 実行手続が終了したときは、管財人を当事者とする債務者の財産関係の訴訟手続は、中断する。
5 債務者は、前項の規定により中断した訴訟手続を受け継がなければならない。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。
6 第一項の規定により中断した訴訟手続について第二項の規定による受継があるまでに実行手続が終了したときは、債務者は、当該訴訟手続を当然受継する。
(債権者代位訴訟の取扱い)
第九十九条 民法第四百二十三条第一項又は第四百二十三条の七の規定により債務者に属する権利(登記手続又は登録手続をすべきことを請求する権利を含む。)の行使をするため配当債権者又は配当外債権者が第三者に対して提起した訴訟が実行手続開始当時係属するときは、その訴訟手続は、中断する。
2 管財人は、前項の規定により中断した訴訟手続を受け継ぐことができる。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。
3 前項の場合においては、相手方の配当債権者又は配当外債権者に対する訴訟費用請求権は、共益債権とする。
4 第一項の規定により中断した訴訟手続について第二項の規定による受継があった後に実行手続が終了したときは、当該訴訟手続は中断する。
5 前項の場合には、配当債権者又は配当外債権者において同項の規定により中断した訴訟手続を受け継がなければならない。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。
6 第一項の規定により中断した訴訟手続について第二項の規定による受継があるまでに実行手続が終了したときは、配当債権者又は配当外債権者は、当該訴訟手続を当然受継する。
(行政庁に係属する事件の取扱い)
第百条 第九十八条の規定は、債務者の財産関係の事件で行政庁に係属するものについて準用する。
(債務者のした法律行為の効力)
第百一条 債務者が実行手続開始後に担保目的財産に関してした法律行為は、実行手続の関係においては、その効力を主張することができない。
2 債務者が実行手続開始の日にした法律行為は、実行手続開始後にしたものと推定する。
(開始後の権利取得の効力)
第百二条 実行手続開始後に担保目的財産に関して管財人又は債務者の法律行為によらないで権利を取得しても、その権利の取得は、実行手続の関係においては、その効力を主張することができない。
2 前条第二項の規定は、実行手続開始の日における前項の権利の取得について準用する。
(開始後の登記及び登録の効力)
第百三条 不動産又は船舶に関し実行手続開始前に生じた登記原因に基づき実行手続開始後にされた登記又は不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第百五条(第一号に係る部分に限る。)の規定による仮登記は、実行手続の関係においては、その効力を主張することができない。ただし、登記権利者が実行手続開始の事実を知らないでした登記又は仮登記については、この限りでない。
2 前項の規定は、権利の設定、移転若しくは変更に関する登録若しくは仮登録又は企業担保権若しくは企業価値担保権の設定、移転若しくは変更に関する登記について準用する。
(債務者に対する弁済の効力)
第百四条 実行手続開始後に、その事実を知らないで債務者にした弁済は、実行手続の関係においても、その効力を主張することができる。
2 実行手続開始後に、その事実を知って債務者にした弁済は、担保目的財産が受けた利益の限度においてのみ、実行手続の関係において、その効力を主張することができる。
(善意又は悪意の推定)
第百五条 前二条の規定の適用については、第八十九条第一項の規定による公告の前においてはその事実を知らなかったものと推定し、当該公告の後においてはその事実を知っていたものと推定する。
(共有関係)
第百六条 債務者が他人と共同して財産権を有する場合において、実行手続が開始されたときは、管財人は、共有者の間で分割をしない旨の定めがあるときでも、分割の請求をすることができる。
2 前項の場合には、他の共有者は、相当の償金を支払って債務者の持分を取得することができる。
(取戻権)
第百七条 実行手続の開始は、債務者に属しない財産を債務者から取り戻す権利に影響を及ぼさない。
2 破産法第六十三条第一項及び第三項並びに第六十四条の規定は、実行手続が開始された場合について準用する。この場合において、同法第六十三条第一項中「破産手続開始の決定」とあるのは「実行手続(事業性融資の推進等に関する法律第七十条第一項に規定する実行手続をいう。次条第一項において同じ。)開始の決定」と、同項ただし書及び同法第六十四条中「破産管財人」とあるのは「管財人」と、同条第一項中「破産者(保全管理人が選任されている場合にあっては、保全管理人)」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律第六条第一項に規定する債務者」と、「破産手続開始」とあるのは「実行手続開始」と読み替えるものとする。
(優先担保権の行使)
第百八条 優先担保権は、実行手続によらないで、行使することができる。
2 優先担保権者は、優先担保権の目的である財産が管財人による任意売却その他の事由により債務者の財産に属しないこととなった場合において当該優先担保権がなお存続するときにおける当該優先担保権を、実行手続によらないで、行使することができる。
第三目 管財人
(管財人の選任)
第百九条 管財人は、裁判所が選任する。この場合においては、裁判所は、申立人の意見を聴かなければならない。
2 法人は、管財人となることができる。
(管財人に対する監督等)
第百十条 管財人は、裁判所が監督する。
2 裁判所は、管財人が債務者の業務及び財産の管理を適切に行っていないとき、その他重要な事由があるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、管財人を解任することができる。この場合においては、申立人の意見を聴き、かつ、その管財人を審尋しなければならない。
(数人の管財人の職務執行)
第百十一条 管財人が数人あるときは、共同してその職務を行う。ただし、裁判所の許可を得て、それぞれ単独にその職務を行い、又は職務を分掌することができる。
2 管財人が数人あるときは、第三者の意思表示は、その一人に対してすれば足りる。
(管財人代理)
第百十二条 管財人は、必要があるときは、その職務を行わせるため、自己の責任で一人又は数人の管財人代理を選任することができる。
2 前項の管財人代理の選任については、裁判所の許可を得なければならない。
(管財人の権限)
第百十三条 実行手続開始の決定があった場合には、債務者の事業の経営並びに担保目的財産の管理及び処分をする権利は、裁判所が選任した管財人に専属する。
2 裁判所は、実行手続開始後において、必要があると認めるときは、管財人が次に掲げる行為をするには裁判所の許可を得なければならないものとすることができる。
一 財産の譲受け
二 借財
三 訴えの提起
四 和解又は仲裁合意(仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項に規定する仲裁合意をいう。)
五 権利の放棄
六 共益債権、第百七条第一項に規定する権利又は優先担保権の承認
七 優先担保権の目的である財産の受戻し
八 その他裁判所の指定する行為
3 前項の許可を得ないでした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
(担保目的財産の管理)
第百十四条 管財人は、就職の後直ちに債務者の業務及び担保目的財産の管理に着手しなければならない。
(当事者適格)
第百十五条 債務者の財産関係の訴えについては、管財人を原告又は被告とする。
(郵便物等の管理)
第百十六条 裁判所は、管財人の職務の遂行のため必要があると認めるときは、信書の送達の事業を行う者に対し、債務者に宛てた郵便物又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第三項に規定する信書便物(次条及び第百四十条第五項において「郵便物等」という。)を管財人に配達すべき旨を嘱託することができる。
2 裁判所は、債務者の申立てにより又は職権で、管財人の意見を聴いて、前項に規定する嘱託を取り消し、又は変更することができる。
3 実行手続が終了したときは、裁判所は、第一項に規定する嘱託を取り消さなければならない。
4 第一項又は第二項の規定による決定及び同項の申立てを却下する裁判に対しては、債務者又は管財人は、執行抗告をすることができる。
第百十七条 管財人は、債務者に宛てた郵便物等を受け取ったときは、これを開いて見ることができる。
2 債務者は、管財人に対し、管財人が受け取った前項の郵便物等の閲覧又は当該郵便物等で担保目的財産に関しないものの交付を求めることができる。
(管財人による調査)
第百十八条 管財人は、次に掲げる者に対して債務者の業務及び財産の状況につき報告を求め、債務者の帳簿、書類その他の物件を検査することができる。
一 債務者の代理人
二 債務者の取締役、会計参与、監査役、執行役、会計監査人、社員及び清算人
三 前号に掲げる者に準ずる者
四 債務者の従業者
2 管財人は、次に掲げる者に対しても債務者の業務及び財産の状況につき報告を求めることができる。
一 前項各号に掲げる者であった者
二 債務者の発起人、設立時取締役又は設立時監査役であった者
三 第二百三十二条第二項に規定する認定事業性融資推進支援機関(現に債務者と第二百三十七条に規定する契約を締結しているものに限る。)
3 管財人は、その職務を行うため必要があるときは、債務者の子会社(会社法第二条第三号に規定する子会社をいう。第二百五十五条第四項において同じ。)に対して、その業務及び財産の状況につき報告を求め、又はその帳簿、書類その他の物件を検査することができる。
(管財人の自己取引)
第百十九条 管財人は、裁判所の許可を得なければ、債務者の財産を譲り受け、債務者に対して自己の財産を譲り渡し、その他自己又は第三者のために債務者と取引をすることができない。
2 前項の許可を得ないでした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
(管財人の競業の制限)
第百二十条 管財人は、自己又は第三者のために債務者の事業の部類に属する取引をしようとするときは、裁判所に対し、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
2 前項の取引をした管財人は、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を裁判所に報告しなければならない。
3 管財人が第一項の規定に違反して同項の取引をしたときは、当該取引によって管財人又は第三者が得た利益の額は、債務者に生じた損害の額と推定する。
(管財人の注意義務)
第百二十一条 管財人は、善良な管理者の注意をもって、その職務を行わなければならない。
2 管財人が前項の注意を怠ったときは、その管財人は、利害関係人に対し、連帯して損害を賠償する義務を負う。
(管財人の情報提供努力義務)
第百二十二条 管財人は、労働組合等に対し、債務者の使用人その他の従業者の権利の行使に必要な情報を提供するよう努めなければならない。
(管財人の報酬等)
第百二十三条 管財人は、費用の前払及び裁判所が定める報酬を受けることができる。
2 管財人は、その選任後、債務者に対する債権又は債務者の株式その他の債務者に対する出資による持分を譲り受け、又は譲り渡すには、裁判所の許可を得なければならない。
3 管財人は、前項の許可を得ないで同項に規定する行為をしたときは、費用及び報酬の支払を受けることができない。
4 第一項の規定による決定に対しては、執行抗告をすることができる。
5 前各項の規定は、管財人代理について準用する。
(管財人の任務終了の場合の報告義務等)
第百二十四条 管財人の任務が終了した場合には、管財人は、遅滞なく、裁判所に計算の報告をしなければならない。
2 前項の場合において、管財人が欠けたときは、同項の計算の報告は、同項の規定にかかわらず、後任の管財人がしなければならない。
3 管財人の任務が終了した場合において、急迫の事情があるときは、管財人又はその承継人は、後任の管財人又は債務者が財産を管理することができるに至るまで必要な処分をしなければならない。
4 実行手続開始の決定の取消し若しくは実行手続廃止の決定が確定した場合又は実行手続開始の申立てが取り下げられた場合には、管財人は、共益債権を弁済しなければならない。ただし、その存否又は額について争いのある共益債権については、その債権を有する者のために供託しなければならない。
(財産の価額の評定等)
第百二十五条 管財人は、実行手続開始後遅滞なく、担保目的財産につき、実行手続開始の時における価額を評定しなければならない。
2 管財人は、前項の規定による評定を完了したときは、直ちに実行手続開始の時における貸借対照表及び財産目録を作成し、これらを裁判所に提出しなければならない。
(裁判所への報告)
第百二十六条 管財人は、実行手続開始後遅滞なく、次に掲げる事項を記載した報告書を、裁判所に提出しなければならない。
一 債務者の業務及び財産に関する経過及び現状
二 その他実行手続に関し必要な事項
2 管財人は、前項の規定によるもののほか、裁判所の定めるところにより、債務者の業務及び財産の管理状況その他裁判所の命ずる事項を裁判所に報告しなければならない。
第四款 共益債権
(共益債権となる請求権)
第百二十七条 次に掲げる請求権は、共益債権とする。
一 配当債権者等の共同の利益のためにする裁判上の費用の請求権
二 実行手続開始後の債務者の事業の経営並びに担保目的財産の管理及び処分に関する費用の請求権
三 第百二十三条第一項及び第百五十四条の規定により支払うべき費用及び報酬の請求権
四 債務者の業務及び財産に関し管財人が権限に基づいてした資金の借入れその他の行為によって生じた請求権
五 事務管理又は不当利得により実行手続開始後に債務者に対して生じた請求権
六 債務者のために支出すべきやむを得ない費用の請求権で、実行手続開始後に生じたもの(前各号に掲げるものを除く。)
(源泉徴収所得税等)
第百二十八条 債務者に対して実行手続開始前の原因に基づいて生じた源泉徴収に係る所得税、消費税、酒税、たばこ税、揮発油税、地方揮発油税、石油ガス税、石油石炭税、特別徴収に係る国際観光旅客税、地方消費税、申告納付の方法により徴収する道府県たばこ税(都たばこ税を含む。)及び市町村たばこ税(特別区たばこ税を含む。)並びに特別徴収義務者が徴収して納入すべき地方税の請求権は、共益債権とする。
(使用人の給料等)
第百二十九条 債務者について実行手続開始の決定があった場合において、実行手続開始前六月間の当該債務者の使用人の給料の請求権及び実行手続開始前の原因に基づいて生じた当該債務者の使用人の身元保証金の返還請求権は、共益債権とする。
2 前項に規定する場合において、第百六十九条第二項、第百七十八条第一項又は第百八十二条第一項の規定による許可の前に退職した債務者の使用人の退職手当の請求権は、退職前六月間の給料の総額に相当する額又はその退職手当の額の三分の一に相当する額のいずれか多い額を共益債権とする。
3 前項の退職手当の請求権で定期金債権であるものは、同項の規定にかかわらず、各期における定期金につき、その額の三分の一に相当する額を共益債権とする。
4 前二項の規定は、第百二十七条の規定により共益債権とされる退職手当の請求権については、適用しない。
5 第一項に規定する場合において、実行手続開始前の原因に基づいて生じた債務者の使用人の預り金の返還請求権は、実行手続開始前六月間の給料の総額に相当する額又はその預り金の額の三分の一に相当する額のいずれか多い額を共益債権とする。
(共益債権の取扱い)
第百三十条 共益債権は、配当債権に先立って、弁済する。
2 共益債権に基づき債務者の財産に対し強制執行又は仮差押えがされている場合において、その強制執行又は仮差押えが債務者の事業の継続又は換価に著しい支障を及ぼし、かつ、債務者が他に換価の容易な財産を十分に有するときは、裁判所は、実行手続開始後において、管財人の申立てにより又は職権で、担保を立てさせて、又は立てさせないで、その強制執行又は仮差押えの中止又は取消しを命ずることができる。共益債権である共助対象外国租税の請求権に基づき債務者の財産に対し国税滞納処分の例によってする処分がされている場合におけるその処分の中止又は取消しについても、同様とする。
3 裁判所は、前項の規定による中止の命令を変更し、又は取り消すことができる。
4 第二項の規定による中止又は取消しの命令及び前項の規定による決定に対しては、執行抗告をすることができる。
(財産不足の場合の弁済方法等)
第百三十一条 担保目的財産が共益債権の総額を弁済するのに足りないことが明らかになった場合における共益債権は、法令に定める優先権にかかわらず、債権額の割合により弁済する。ただし、共益債権について存する留置権、特別の先取特権、質権及び抵当権の効力を妨げない。
2 前項の規定にかかわらず、同項に規定する場合における第百二十七条第一号及び第二号に掲げる共益債権、同条第三号に掲げる共益債権のうち第百二十三条第一項の規定により支払うべき報酬に係るもの並びに第百六十条第四項に規定する共益債権は、他の共益債権に先立って、弁済する。
3 第一項に規定する場合には、裁判所は、管財人の申立てにより又は職権で、共益債権に基づき債務者の財産に対してされている強制執行又は仮差押えの手続の取消しを命ずることができる。共益債権である共助対象外国租税の請求権に基づき債務者の財産に対してされている国税滞納処分の例によってする処分の取消しについても、同様とする。
4 前項の規定による取消しの命令に対しては、執行抗告をすることができる。
第五款 配当債権
第一目 劣後債権等の届出
(劣後債権者の債権届出)
第百三十二条 実行手続に参加しようとする劣後債権者は、債権届出期間内に、次に掲げる事項を裁判所に届け出なければならない。
一 各劣後債権の内容及び原因並びに劣後担保権の内容
二 劣後担保権の目的である財産及びその価額(劣後担保権が企業価値担保権である場合にあっては、劣後担保権の目的である財産)
三 前二号に掲げるもののほか、最高裁判所規則で定める事項
(債権届出期間経過後の届出等)
第百三十三条 劣後債権者がその責めに帰することができない事由によって債権届出期間内に劣後債権の届出をすることができなかった場合には、その事由が消滅した後一月以内に限り、その届出をすることができる。
2 前項に規定する一月の期間は、伸長し、又は短縮することができない。
3 債権届出期間の経過後に生じた劣後債権については、その権利の発生した後一月の不変期間内に、その届出をしなければならない。
4 第一項及び第二項の規定は、申立人又は劣後債権者が、その責めに帰することができない事由によって、債権届出期間の経過後に、申立人が第八十四条第一項(第一号及び第二号に係る部分に限る。)の規定により明らかにした事項又は劣後債権者が前条若しくは第一項若しくは前項の規定により届け出た事項について他の配当債権者の利益を害すべき変更を加える場合について準用する。
(届出名義の変更)
第百三十四条 申立債権又は届出があった劣後債権を取得した者は、債権届出期間が経過した後でも、届出名義の変更を受けることができる。
(担保権の目的である財産を共通にする複数の劣後担保権がある場合の届出価額)
第百三十五条 届出があった劣後債権に係る劣後担保権についての第百三十二条第二号に掲げる価額(以下この条及び第百四十七条第七項第一号において「届出価額」という。)が、当該劣後担保権と目的である財産を共通にする他の劣後担保権についての届出価額を下回る場合は、当該劣後債権を有する劣後債権者は、届出価額について、当該他の劣後担保権の届出価額(当該届出価額が複数あるときは、当該届出価額のうち最も高いもの)と等しい価額の届出をしたものとみなす。
(租税等の請求権の届出等)
第百三十六条 租税等の請求権(劣後債権であるものを除く。)を有する者は、遅滞なく、当該租税等の請求権の額、原因及び担保権の内容並びに当該租税等の請求権が第九十六条第二項の規定により失効した国税滞納処分による差押えに係るものである場合には当該差押えの年月日を裁判所に届け出なければならない。
2 第九十六条第二項の規定により失効した国税滞納処分による差押えに係る租税等の請求権を有する者が、当該租税等の請求権について、前項の規定による届出をしたときは、第七款の規定による配当に関しては、当該国税滞納処分による差押えの時に国税徴収法又は地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)に規定する交付要求をしたものとみなす。
第二目 配当債権の調査及び確定
(電子配当債権者表の作成等)
第百三十七条 裁判所書記官は、申立債権及び届出があった配当債権について、最高裁判所規則で定めるところにより、電子配当債権者表(配当債権の調査の対象及び結果を明らかにするとともに、確定した配当債権に関する事項を明らかにするために裁判所書記官が作成する電磁的記録をいう。以下同じ。)を作成しなければならない。
2 電子配当債権者表には、各配当債権について、第八十四条第一項第一号及び第二号に掲げる事項、第百三十二条第一号及び第二号に掲げる事項、前条第一項に規定する事項その他最高裁判所規則で定める事項を記録しなければならない。
3 裁判所書記官は、第一項の規定により電子配当債権者表を作成したときは、最高裁判所規則で定めるところにより、これをファイルに記録しなければならない。
4 電子配当債権者表(前項の規定によりファイルに記録されたものに限る。附則第二十一条第一項を除き、以下同じ。)の内容に誤りがあるときは、裁判所書記官は、申立てにより又は職権で、いつでも更正する処分をすることができる。
5 前項の規定による更正の処分は、最高裁判所規則で定めるところにより、その旨をファイルに記録してしなければならない。
6 第四項の規定による更正の処分又は同項の申立てを却下する処分は、相当と認める方法で告知することによって、その効力を生ずる。
7 第四項の規定による更正の処分又は同項の申立てを却下する処分に対する異議の申立ては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。
8 前項の異議の申立てについての決定に対しては、執行抗告をすることができる。
9 前項の執行抗告は、執行停止の効力を有する。
(配当債権の調査の方法)
第百三十八条 裁判所による配当債権の調査は、前条第二項に規定する事項について、管財人が作成した認否書並びに配当債権者及び債務者の書面による異議に基づいてする。
(認否書の作成及び提出)
第百三十九条 管財人は、申立債権及び債権届出期間内に届出があった配当債権について、次に掲げる事項(特定被担保債権にあっては、第一号に掲げる事項)についての認否を記載した認否書を作成しなければならない。
一 配当債権の内容
二 劣後担保権の目的である財産の価額
2 管財人は、第百三十三条第一項若しくは第三項の規定によりその届出があり、又は同条第四項の規定により変更があった配当債権についても、前項各号(特定被担保債権にあっては、同項第一号)に掲げる事項(当該変更があった場合にあっては、変更後の同項各号(特定被担保債権にあっては、同項第一号)に掲げる事項)についての認否を同項の認否書に記載することができる。
3 管財人は、第八十八条第一項に規定する配当債権の調査をするための期間(以下この目及び第七款において「一般調査期間」という。)前の裁判所の定める期限までに、前二項の規定により作成した認否書を裁判所に提出しなければならない。
4 第一項の規定により同項の認否書に認否を記載すべき事項であって前項の規定により提出された認否書に認否の記載がないものがあるときは、管財人において当該事項を認めたものとみなす。
5 第二項の規定により第一項各号(特定被担保債権にあっては、同項第一号)に掲げる事項(第百三十三条第四項の規定により変更があった場合にあっては、変更後の第一項各号(特定被担保債権にあっては、同項第一号)に掲げる事項)についての認否を認否書に記載することができる配当債権について、第三項の規定により提出された認否書に当該事項の一部についての認否の記載があるときは、管財人において当該事項のうち当該認否書に認否の記載のないものを認めたものとみなす。
(一般調査期間における調査)
第百四十条 申立債権を有する者又は第百三十二条、第百三十三条若しくは第百三十六条第一項の規定により配当債権の届出をした配当債権者(以下この目において「申立債権者等」という。)は、一般調査期間内に、裁判所に対し、前条第一項又は第二項に規定する配当債権についての同条第一項各号(特定被担保債権にあっては、同項第一号)に掲げる事項(第百三十三条第四項の規定により変更があった場合にあっては、変更後の前条第一項各号(特定被担保債権にあっては、同項第一号)に掲げる事項)について、書面で異議を述べることができる。
2 債務者は、一般調査期間内に、裁判所に対し、前項に規定する配当債権の内容について、書面で異議を述べることができる。
3 裁判所は、一般調査期間を変更する決定をしたときは、その電子裁判書(第八十一条第一項において準用する民事訴訟法(以下この項において「準用民事訴訟法」という。)第百二十二条において準用する民事訴訟法第二百五十二条第一項の規定により作成された電磁的記録であって、準用民事訴訟法第百二十二条において準用する民事訴訟法第二百五十三条第二項の規定によりファイルに記録されたものをいう。以下同じ。)を管財人、債務者及び申立債権者等(債権届出期間の経過前にあっては、管財人、債務者、申立人及び知れている配当債権者)に送達しなければならない。
4 前項の規定による送達は、書類を通常の取扱いによる郵便に付し、又は民間事業者による信書の送達に関する法律第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者の提供する同条第二項に規定する信書便の役務を利用して送付する方法によりすることができる。
5 前項の規定による送達をした場合においては、その郵便物等が通常到達すべきであった時に、送達があったものとみなす。
(特別調査期間における調査)
第百四十一条 裁判所は、第百三十三条第一項若しくは第三項の規定によりその届出があり、又は同条第四項の規定により変更があった配当債権について、その調査をするための期間(以下この目において「特別調査期間」という。)を定めなければならない。ただし、当該配当債権について、管財人が、第百三十九条第三項の規定により提出された認否書に、同条第二項の規定により同条第一項各号(特定被担保債権にあっては、同項第一号)に掲げる事項(第百三十三条第四項の規定により変更があった場合にあっては、変更後の第百三十九条第一項各号(特定被担保債権にあっては、同項第一号)に掲げる事項)の全部又は一部についての認否を記載している場合は、この限りでない。
2 前項の規定により特別調査期間が定められた場合には、当該特別調査期間に関する費用は、同項に規定する配当債権を有する者の負担とする。
3 管財人は、特別調査期間に係る配当債権については、第百三十九条第一項各号(特定被担保債権にあっては、同項第一号)に掲げる事項(第百三十三条第四項の規定により変更があった場合にあっては、変更後の第百三十九条第一項各号(特定被担保債権にあっては、同項第一号)に掲げる事項)についての認否を記載した認否書を作成し、特別調査期間前の裁判所の定める期限までに、これを裁判所に提出しなければならない。この場合においては、同条第四項の規定を準用する。
4 申立債権者等にあっては前項の配当債権についての第百三十九条第一項各号(特定被担保債権にあっては、同項第一号)に掲げる事項(第百三十三条第四項の規定により変更があった場合にあっては、変更後の第百三十九条第一項各号(特定被担保債権にあっては、同項第一号)に掲げる事項)につき、債務者にあっては当該配当債権の内容につき、特別調査期間内に、裁判所に対し、それぞれ書面で異議を述べることができる。
5 前条第三項から第五項までの規定は、特別調査期間を定める決定又はこれを変更する決定をした場合における電子裁判書の送達について準用する。
(特別調査期間に関する費用の予納)
第百四十二条 前条第一項の規定により特別調査期間が定められた場合には、裁判所書記官は、相当の期間を定め、同条第二項に規定する配当債権を有する者に対し、同項の費用の予納を命じなければならない。
2 前項の規定による処分は、相当と認める方法で告知することによって、その効力を生ずる。
3 第一項の規定による処分に対しては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内に、異議の申立てをすることができる。
4 前項の異議の申立ては、執行停止の効力を有する。
5 第一項の場合において、同項の配当債権を有する者が同項の費用の予納をしないときは、裁判所は、決定で、その者がした配当債権の届出又は第百三十三条第四項の規定による変更に係る届出を却下しなければならない。
6 前項の規定による却下の決定に対しては、執行抗告をすることができる。
7 前項の執行抗告は、執行停止の効力を有する。
(異議等のない配当債権の確定)
第百四十三条 第百三十九条第一項各号(特定被担保債権にあっては、同項第一号)に掲げる事項(第百三十三条第四項の規定により変更があった場合にあっては、変更後の第百三十九条第一項各号(特定被担保債権にあっては、同項第一号)に掲げる事項)は、配当債権の調査において、管財人が認め、かつ、申立債権者等が一般調査期間内又は特別調査期間内に異議を述べなかったときは、確定する。
2 第百三十九条第一項第二号に掲げる事項(第百三十三条第四項の規定により変更があった場合にあっては、変更後の同号に掲げる事項)について、配当債権の調査において、管財人が認めず、又は申立債権者等が異議を述べたときは、当該管財人又は当該異議を述べた申立債権者等が述べた同号の財産の価額のうち最も低いものにより確定する。ただし、当該財産について、第百四十六条第一項の申立てがあった場合(同条第四項の規定により申立てが却下された場合を除く。)は、この限りでない。
3 裁判所書記官は、最高裁判所規則で定めるところにより配当債権の調査の結果を電子配当債権者表に記録しなければならない。
4 第一項又は第二項の規定により確定した事項についての電子配当債権者表の記録は、配当債権者の全員に対して確定判決と同一の効力を有する。
(配当債権査定決定)
第百四十四条 配当債権の調査において、配当債権の内容について管財人が認めず、又は申立債権者等が異議を述べた場合には、当該配当債権(以下この目及び第七款において「異議等のある配当債権」という。)を有する配当債権者は、当該管財人及び当該異議を述べた申立債権者等(以下この目において「異議者等」という。)の全員を相手方として、裁判所に、その内容についての査定の申立て(以下この目及び同款第二目において「配当債権査定申立て」という。)をすることができる。ただし、第百四十八条第一項並びに第百五十条第一項及び第二項の場合は、この限りでない。
2 配当債権査定申立ては、異議等のある配当債権に係る一般調査期間又は特別調査期間の末日から一月の不変期間内にしなければならない。
3 配当債権査定申立てがあった場合には、裁判所は、これを不適法として却下する場合を除き、決定で、異議等のある配当債権の存否及び内容を査定する裁判(次項において「配当債権査定決定」という。)をしなければならない。
4 裁判所は、配当債権査定決定をする場合には、異議者等を審尋しなければならない。
5 配当債権査定申立てについての決定があった場合には、その電子裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第七十五条第三項本文の規定は、適用しない。
(配当債権査定申立てについての決定に対する異議の訴え)
第百四十五条 配当債権査定申立てについての決定に不服がある者は、その送達を受けた日から一月の不変期間内に、異議の訴え(以下この目及び第七款第二目において「配当債権査定異議の訴え」という。)を提起することができる。
2 配当債権査定異議の訴えは、執行裁判所が管轄する。
3 配当債権査定異議の訴えの第一審裁判所は、執行裁判所が執行事件を管轄することの根拠となる法令上の規定が第七十一条第六項の規定のみである場合(執行裁判所が第七十三条(第三号に係る部分に限る。)の規定により執行事件の移送を受けた場合において、同号に規定する規定中移送を受けたことの根拠となる規定が同項の規定のみであるときを含む。)において、著しい損害又は遅滞を避けるため必要があると認めるときは、前項の規定にかかわらず、職権で、当該配当債権査定異議の訴えに係る訴訟を第七十一条第一項に規定する地方裁判所に移送することができる。
4 配当債権査定異議の訴えは、これを提起する者が、異議等のある配当債権を有する配当債権者であるときは異議者等の全員を、異議者等であるときは当該配当債権者を、それぞれ被告としなければならない。
5 配当債権査定異議の訴えの口頭弁論は、第一項の期間を経過した後でなければ開始することができない。
6 同一の配当債権に関し配当債権査定異議の訴えが数個同時に係属するときは、弁論及び裁判は、併合してしなければならない。この場合においては、民事訴訟法第四十条第一項から第三項までの規定を準用する。
7 配当債権査定異議の訴えについての判決においては、訴えを不適法として却下する場合を除き、配当債権査定申立てについての決定を認可し、又は変更する。
(劣後担保権の目的である財産についての価額決定の申立て)
第百四十六条 劣後債権者は、配当債権の調査においてその有する劣後債権に係る劣後担保権の目的である財産の価額について管財人が認めず、又は申立債権者等が異議を述べた場合には、当該管財人及び当該異議を述べた申立債権者等(次条第七項第一号及び第二号において「価額異議者等」という。)の全員を相手方として、当該劣後債権に係る一般調査期間又は特別調査期間の末日から一月以内の期間(次項及び第百五十一条において「価額決定申立期間」という。)に限り、裁判所に、当該財産についての価額決定の申立て(以下この目及び第百七十七条第二号において「価額決定の申立て」という。)をすることができる。
2 裁判所は、やむを得ない事由がある場合に限り、前項の劣後債権者の申立てにより、価額決定申立期間を伸長することができる。
3 価額決定の申立てをする劣後債権者は、その手続の費用として裁判所の定める金額を予納しなければならない。
4 前項に規定する費用の予納がないときは、裁判所は、価額決定の申立てを却下しなければならない。
(劣後担保権の目的である財産の価額の決定)
第百四十七条 価額決定の申立てがあった場合には、裁判所は、これを不適法として却下する場合を除き、評価人を選任し、前条第一項の財産の評価を命じなければならない。
2 前項の場合には、裁判所は、評価人の評価に基づき、決定で、同項の財産の価額を定めなければならない。
3 前項の決定は、配当債権者の全員に対して、その効力を有する。
4 価額決定の申立てについての決定に対しては、当該価額決定の申立てに係る事件の当事者は、執行抗告をすることができる。
5 前項の執行抗告は、執行停止の効力を有する。
6 価額決定の申立てについての決定又は第四項の執行抗告についての裁判があった場合には、その電子裁判書を同項に規定する当事者に送達しなければならない。この場合においては、第七十五条第三項本文の規定は、適用しない。
7 価額決定の申立てに係る手続に要した費用の負担は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定めるところによる。
一 第二項の決定により定められた価額(次号において「決定価額」という。)が前条第一項の劣後債権に係る劣後担保権についての届出価額と等しいか、又はこれを上回る場合 当該価額決定の申立ての相手方である価額異議者等の負担とする。
二 決定価額が価額異議者等が配当債権の調査において述べた第一項の財産の価額のうち最も低いものと等しいか、又はこれを下回る場合 前条第一項の劣後債権者の負担とする。
三 前二号に掲げる場合以外の場合 裁判所が、前二号に規定する者の全部又は一部に、その裁量で定める額を負担させる。
8 第四項の執行抗告に係る手続に要した費用は、当該執行抗告をした者の負担とする。
(異議等のある配当債権に関する訴訟の受継)
第百四十八条 異議等のある配当債権に関し実行手続開始当時訴訟が係属する場合において、配当債権者がその内容の確定を求めようとするときは、異議者等の全員を当該訴訟の相手方として、訴訟手続の受継の申立てをしなければならない。
2 第百四十四条第二項の規定は、前項の申立てについて準用する。
(主張の制限)
第百四十九条 配当債権査定申立て、配当債権査定異議の訴え又は前条第一項の規定による受継があった訴訟に係る手続においては、配当債権者は、第八十四条第一項第一号及び第二号に掲げる事項又は第百三十二条第一号に掲げる事項について、電子配当債権者表に記録されている事項のみを主張することができる。
(執行力ある債務名義のある債権に対する異議の主張)
第百五十条 異議等のある配当債権のうち執行力ある債務名義又は終局判決のあるものについては、異議者等は、債務者がすることのできる訴訟手続によってのみ、異議を主張することができる。
2 前項に規定する異議等のある配当債権に関し実行手続開始当時訴訟が係属する場合において、同項の異議者等が同項の規定による異議を主張しようとするときは、当該異議者等は、当該配当債権を有する配当債権者を相手方とする訴訟手続を受け継がなければならない。
3 第百四十四条第二項の規定は第一項の規定による異議の主張又は前項の規定による受継について、第百四十五条第五項及び第六項並びに前条の規定は前二項の場合について、それぞれ準用する。この場合においては、第百四十五条第五項中「第一項の期間」とあるのは、「異議等のある配当債権に係る一般調査期間又は特別調査期間の末日から一月の不変期間」と読み替えるものとする。
4 前項において準用する第百四十四条第二項に規定する期間内に第一項の規定による異議の主張又は第二項の規定による受継がされなかった場合には、異議者等が申立債権者等であるときは第百四十条第一項又は第百四十一条第四項の異議はなかったものとみなし、異議者等が管財人であるときは管財人においてその配当債権を認めたものとみなす。
(担保権の目的である財産を共通にする複数の劣後担保権がある場合の特例)
第百五十一条 担保権の目的である財産を共通にする複数の劣後担保権(企業価値担保権を除く。)がある場合には、第百四十七条第二項の決定は、当該劣後担保権に係る劣後債権者の全員につき価額決定申立期間(第百四十六条第二項の規定により当該価額決定申立期間が伸長されたときは、その伸長された期間)が経過した後にしなければならない。この場合において、当該財産に係る数個の価額決定の申立てに係る事件が同時に係属するときは、事件を併合して裁判しなければならない。
(配当債権の確定に関する訴訟の結果等の記録)
第百五十二条 裁判所書記官は、管財人又は配当債権者の申立てがあった場合には、最高裁判所規則で定めるところにより、配当債権の確定に関する訴訟の結果(配当債権査定申立てについての決定に対する配当債権査定異議の訴えが、第百四十五条第一項に規定する期間内に提起されなかったとき、取り下げられたとき、又は却下されたときは、当該決定の内容)及び価額決定の申立てについての決定の内容を電子配当債権者表に記録しなければならない。
(配当債権の確定に関する訴訟の判決等の効力)
第百五十三条 配当債権の確定に関する訴訟についてした判決は、配当債権者の全員に対して、その効力を有する。
2 配当債権査定申立てについての決定に対する配当債権査定異議の訴えが、第百四十五条第一項に規定する期間内に提起されなかったとき、取り下げられたとき、又は却下されたときは、当該決定は、配当債権者の全員に対して、確定判決と同一の効力を有する。
(訴訟費用の償還)
第百五十四条 担保目的財産が配当債権の確定に関する訴訟(配当債権査定申立てについての決定を含む。)によって利益を受けたときは、異議を主張した申立債権者等は、その利益の限度において、担保目的財産から訴訟費用の償還を受けることができる。
(実行手続終了の場合における配当債権の確定手続の取扱い)
第百五十五条 実行手続が終了した際現に係属する配当債権査定申立ての手続及び価額決定の申立ての手続は、実行手続が終了したときは終了するものとする。
2 実行手続が終了した際現に係属する配当債権査定異議の訴えに係る訴訟手続であって、管財人が当事者でないものは、実行手続が終了したときは終了するものとする。
3 実行手続が終了した際現に係属する第百四十八条第一項又は第百五十条第二項の規定による受継があった訴訟手続であって、管財人が当事者でないものは、実行手続が終了したときは中断するものとする。
4 前項の規定により訴訟手続が中断した場合においては、第九十八条第五項の規定を準用する。
(租税等の請求権等についての特例)
第百五十六条 租税等の請求権及び共助対象外国租税の請求権(以下この条及び第七款において「租税等の請求権等」という。)については、第百三十八条から前条まで(劣後担保権の目的である財産の価額の調査及び確定の手続に関する部分を除く。)の規定は、適用しない。
2 第百三十二条、第百三十三条又は第百三十六条第一項の規定による届出があった租税等の請求権等の原因(共助対象外国租税の請求権にあっては、租税条約等実施特例法第十一条第一項に規定する共助実施決定)が審査請求、訴訟その他の不服の申立てをすることができる処分である場合には、管財人は、当該届出があった租税等の請求権等について、当該不服の申立てをする方法で、異議を主張することができる。
3 前項の場合において、同項の届出があった租税等の請求権等に関し実行手続開始当時訴訟が係属するときは、同項に規定する異議を主張しようとする管財人は、当該届出があった租税等の請求権等を有する配当債権者を相手方とする訴訟手続を受け継がなければならない。当該届出があった租税等の請求権等に関し実行手続開始当時債務者の財産関係の事件が行政庁に係属するときも、同様とする。
4 第二項の規定による異議の主張又は前項の規定による受継は、管財人が第二項に規定する届出があったことを知った日から一月の不変期間内にしなければならない。
5 第百四十三条第三項の規定は第百三十二条、第百三十三条又は第百三十六条第一項の規定による届出があった租税等の請求権等について、第百四十九条、第百五十二条及び第百五十三条第一項の規定は第二項の規定による異議又は第三項の規定による受継があった場合について、それぞれ準用する。
第六款 換価
第一目 通則
(換価の方法)
第百五十七条 担保目的財産の換価は、裁判所の許可を得て、営業又は事業の譲渡によってする。
2 前項の規定にかかわらず、管財人は、必要があると認めるときは、担保目的財産に属する財産(民事執行法その他強制執行の手続に関する法令の規定による方法によって換価する場合にあっては、優先担保権の目的である財産を除く。)について、裁判所の許可を得て、同法その他強制執行の手続に関する法令の規定による方法又は任意売却によって換価することができる。ただし、次に掲げる場合には、裁判所の許可を要しない。
一 債務者の常務に属する任意売却をするとき。
二 裁判所が許可を要しないとしたとき。
3 前項の規定により民事執行法その他強制執行の手続に関する法令の規定による方法によって換価する場合には、同法第六十三条及び第百二十九条(これらの規定を同法その他強制執行の手続に関する法令において準用する場合を含む。)の規定は、適用しない。
4 裁判所は、第一項の許可をする場合には、次に掲げる者の意見を聴かなければならない。
一 知れている配当債権者
二 労働組合等
5 第一項又は第二項の許可を得ないでした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
6 第一項の許可を得て債務者に係る営業又は事業の譲渡をする場合において、当該債務者が株式会社であるときは、会社法第二編第七章の規定は、適用しない。
(譲受人の財産の取得時期)
第百五十八条 前条第一項の規定による営業若しくは事業の譲渡又は同条第二項の規定による担保目的財産に属する財産の換価がされる場合(民事執行法その他強制執行の手続に関する法令の規定による方法によって換価がされる場合を除く。)には、譲受人は、その代金の支払をした時に、その財産を取得する。
(許認可等の承継)
第百五十九条 管財人は、第百五十七条第一項の規定により債務者に係る営業又は事業の譲渡をしようとする場合には、裁判所に対し、当該債務者を相手方とする行政庁の許可、認可、免許その他の処分(以下この条において「許認可等」という。)に基づく権利及び義務を前条の譲受人に承継させることについての許可の申立てをすることができる。
2 裁判所は、前項の申立てがあった場合には、許認可等をした行政庁(許認可等があった後に当該行政庁の権限が他の行政庁に承継されたときは、当該他の行政庁)の意見を聴かなければならない。
3 前項の行政庁が許認可等の承継に反対する旨の意見を述べなかった場合には、裁判所は、第一項の許可をしなければならない。
4 第一項の許可があった場合には、前条の譲受人は、他の法令の規定にかかわらず、同条の代金の支払をした時に、許認可等に基づく権利及び義務を承継する。ただし、その承継に関し他の法令に禁止の定めがあるときは、この限りでない。
(劣後担保権の消滅等)
第百六十条 劣後担保権(企業価値担保権を除く。第四項において同じ。)及び重複担保権は、第百五十七条第一項又は第二項の規定による当該劣後担保権又は当該重複担保権の目的である財産の換価(民事執行法その他強制執行の手続に関する法令の規定による換価を除く。第三項において同じ。)により消滅する。
2 担保目的財産の上に存する留置権については、第百五十八条の譲受人は、これによって担保される債権を弁済する責めに任ずる。
3 利害関係を有する者の全員が第百五十七条第一項又は第二項に規定する裁判所の許可がされる時までに、裁判所に対し、前二項の規定と異なる合意をした旨の届出をしたときは、換価による担保目的財産の上の権利の変動は、その合意に従う。
4 実行手続開始の決定の取消し若しくは実行手続廃止の決定が確定した場合又は実行手続開始の申立てが取り下げられた場合において、第一項の規定により消滅した劣後担保権に係る劣後債権を有する劣後債権者があるときは、当該劣後債権(当該劣後担保権の目的である財産の価額が実行手続開始の時における処分価格であるとした場合における当該劣後担保権によって担保された範囲のものに限る。以下この項において同じ。)は、共益債権とする。ただし、当該劣後債権者が第百八十三条第一項に規定する中間配当により配当を受けていた場合には、当該共益債権の額は、当該劣後債権の額から当該劣後債権者が当該中間配当により配当を受けた額を控除した額とする。
(代金支払による登記等の抹消の申請)
第百六十一条 管財人は、第百五十七条第一項の規定による営業若しくは事業の譲渡又は同条第二項の規定による担保目的財産に属する財産の換価(民事執行法その他強制執行の手続に関する法令の規定による換価を除く。)がされた場合において、その代金の支払があったときは、遅滞なく、次に掲げる登記の抹消を申請しなければならない。
一 換価により消滅した劣後担保権又は重複担保権に係る登記
二 第九十六条第二項の規定により失効した差押え、仮差押え又は仮処分に係る登記
2 前項の規定による登記の抹消の申請に要する登録免許税その他の費用は、第百五十八条の譲受人の負担とする。
3 前二項の規定は、登録のある権利について準用する。
第二目 優先担保権の目的である財産の処分等
(優先担保権の目的である財産の処分)
第百六十二条 管財人は、優先担保権の目的である財産について、当該財産に係る全ての優先担保権者がその有する優先担保権の被担保債権の全部の弁済を受けることが明らかである場合に限り、裁判所の許可を得て、民事執行法その他強制執行の手続に関する法令の規定により、当該財産の換価をすることができる。この場合においては、優先担保権者は、その換価を拒むことができない。
2 前項の場合において、優先担保権者が受けるべき金額がまだ確定していないときは、管財人は、代金を別に寄託しなければならない。この場合においては、優先担保権は、寄託された代金につき存する。
(優先担保権者が処分をすべき期間の指定)
第百六十三条 優先担保権者が法律に定められた方法によらないで優先担保権の目的である財産の処分をする権利を有する場合において、その処分により当該優先担保権の被担保債権の全部の弁済を受けることが明らかである場合に限り、裁判所は、管財人の申立てにより、優先担保権者がその処分をすべき期間を定めることができる。
2 優先担保権者は、前項の期間内に処分をしないときは、同項の権利を失う。
3 第一項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
4 前項の執行抗告は、執行停止の効力を有する。
5 第一項の申立てについての裁判及び第三項の執行抗告についての裁判があった場合には、その電子裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第七十五条第三項本文の規定は、適用しない。
第七款 配当
第一目 通則
(配当の方法等)
第百六十四条 配当債権者等は、配当債権又は不特定被担保債権について、この款の定めるところに従い、担保目的財産から、配当を受けることができる。
2 配当債権者等は、管財人がその職務を行う場所において配当を受けなければならない。ただし、管財人と配当債権者等との合意により別段の定めをすることを妨げない。
3 管財人は、配当をしたときは、その配当をした金額を記載した報告書を裁判所に提出しなければならない。この場合においては、裁判所書記官は、最高裁判所規則で定めるところにより、当該報告書に記載された金額を電子配当債権者表に記録しなければならない。
4 管財人は、配当してなお残余があるときは、これを債務者に交付しなければならない。
(配当の順位)
第百六十五条 配当の順位は、この法律及び民法、商法(明治三十二年法律第四十八号)その他の法律の定める優先順位による。
2 同一順位において配当をすべき配当債権については、それぞれその債権の額の割合に応じて、配当をする。
(特定被担保債権及び不特定被担保債権に対する配当)
第百六十六条 管財人は、企業価値担保権の特定被担保債権に対する配当をする場合には、当該企業価値担保権を有する企業価値担保権者に対して配当をする。
2 前項の企業価値担保権者に対する配当額は、配当可能額(第一号に掲げる金額(当該企業価値担保権者に先立って配当を受けることができる配当債権者等がある場合にあっては、同号に掲げる金額から第二号に掲げる金額を減じて得た額)をいう。)から不特定被担保債権留保額を控除した額を限度とする。
一 次目から第六目までの規定により配当をすることができる金額
二 当該企業価値担保権者に先立って当該配当債権者等が次目から第六目までの規定による配当を受けることができる金額
3 管財人は、不特定被担保債権留保額を第一項の企業価値担保権の不特定被担保債権に対する配当として、同項の企業価値担保権者に対して交付する。
(劣後債権に対する配当)
第百六十七条 劣後債権(特定被担保債権を除く。以下この条において同じ。)に対する配当額は、劣後債権のうち、劣後担保権の目的である財産の価額が実行手続開始の時における処分価格であるとした場合における当該劣後担保権によって担保された範囲の額を限度とする。
(配当の許可後に実行手続の停止の申立て等があった場合の取扱い)
第百六十八条 次条第二項、第百七十八条第一項又は第百八十二条第一項の許可後に第九十一条第一項第一号の申立て又は同項第二号イからニまでに掲げる文書若しくは電磁的記録の提出があった場合において、申立人の他に配当を受けるべき配当債権者等があるときは、管財人は、その配当債権者等のために配当を実施しなければならない。
2 前項の許可後に第九十一条第一項第二号ホ又はヘに掲げる文書の提出があった場合においても、管財人は、配当を実施しなければならない。
第二目 最後配当
(配当)
第百六十九条 管財人は、一般調査期間の経過後であって担保目的財産の換価の終了後においては、第百八十九条第一項に規定する場合を除き、遅滞なく、第百三十二条、第百三十三条又は第百三十六条第一項の規定により配当債権の届出をした配当債権者(特定被担保債権者を除く。以下この款において「届出をした配当債権者」という。)及び第百六十六条第一項に規定する企業価値担保権者に対し、この目の規定による配当(以下この節において「最後配当」という。)をしなければならない。
2 管財人は、最後配当をするには、裁判所の許可を得なければならない。
3 前項の規定による許可をする場合において、裁判所は、債務者についての清算手続又は破産手続の公正な実施に特に必要と認めるときは、第八条第二項第一号ハに規定する政令で定めるところにより算定した額に加える額を定めるものとする。
4 裁判所は、管財人の意見を聴いて、あらかじめ、最後配当をすべき時期を定めることができる。
(配当表)
第百七十条 管財人は、前条第二項の規定による許可があったときは、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した配当表を作成し、これを裁判所に提出しなければならない。
一 最後配当の手続に参加することができる配当債権者等の氏名又は名称及び住所
二 最後配当の手続に参加することができる債権の額(第百六十六条第一項に規定する企業価値担保権者にあっては、不特定被担保債権留保額を含む。)
三 最後配当をすることができる金額
2 前項第二号に掲げる事項は、第百六十五条第一項に規定する順位に従い、これを記載しなければならない。
(配当の公告等)
第百七十一条 管財人は、前条第一項の規定により配当表を裁判所に提出した後、遅滞なく、最後配当の手続に参加することができる債権の総額及び最後配当をすることができる金額を公告し、又は届出をした配当債権者及び第百六十六条第一項に規定する企業価値担保権者に通知しなければならない。
2 前項の規定による通知は、その通知が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
3 第一項の規定による通知が届出をした配当債権者及び第百六十六条第一項に規定する企業価値担保権者に通常到達すべきであった時を経過したときは、管財人は、遅滞なく、その旨を裁判所に届け出なければならない。
(期限付債権の配当)
第百七十二条 配当債権が確定期限付債権でその期限が第百六十九条第二項の規定による許可後に到来すべきものであるときは、その配当債権は、最後配当について、当該許可の日において弁済期が到来したものとみなす。
2 前項の配当債権が無利息であるときは、第百六十九条第二項の規定による許可の日から前項の期限までの当該許可の日における法定利率による利息との合算額がその配当債権の額となるべき元本額をその配当債権の額とみなして、配当の額を計算しなければならない。
(配当債権の除斥)
第百七十三条 異議等のある配当債権(第百五十条第一項に規定するものを除く。)について最後配当の手続に参加するには、当該異議等のある配当債権を有する配当債権者が、第百七十一条第一項の規定による公告が効力を生じた日又は同条第三項の規定による届出があった日から起算して二週間以内に、管財人に対し、当該異議等のある配当債権の確定に関する配当債権査定申立てに係る査定の手続、配当債権査定異議の訴えに係る訴訟手続又は第百四十八条第一項の規定による受継があった訴訟手続が係属していることを証明しなければならない。
(配当表の更正)
第百七十四条 次に掲げる場合には、管財人は、直ちに、配当表を更正しなければならない。
一 電子配当債権者表を更正すべき事由が前条に規定する期間(以下この款において「最後配当に関する除斥期間」という。)内に生じたとき。
二 前条に規定する事項につき最後配当に関する除斥期間内に証明があったとき。
(配当表に対する異議)
第百七十五条 届出をした配当債権者又は第百六十六条第一項に規定する企業価値担保権者で配当表の記載に不服があるものは、最後配当に関する除斥期間が経過した後一週間以内に限り、裁判所に対し、異議を申し立てることができる。
2 裁判所は、前項の規定による異議の申立てを理由があると認めるときは、管財人に対し、配当表の更正を命じなければならない。
3 第一項の規定による異議の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。この場合においては、配当表の更正を命ずる決定に対する執行抗告の期間は、第七十七条第一項の規定により利害関係人がその電子裁判書の閲覧を請求することができることとなった日から起算する。
4 前項前段の執行抗告は、執行停止の効力を有する。
5 第一項の規定による異議の申立てを却下する裁判及び第三項前段の執行抗告についての裁判(配当表の更正を命ずる決定を除く。)があった場合には、その電子裁判書を当事者に送達しなければならない。
(配当額の定め及び通知)
第百七十六条 管財人は、前条第一項に規定する期間が経過した後(同項の規定による異議の申立てがあったときは、当該異議の申立てに係る手続が終了した後)、遅滞なく、最後配当の手続に参加することができる配当債権者等に対する配当額を定めなければならない。
2 次項の規定による配当額の通知を発する前に、新たに最後配当に充てることができる財産があるに至ったときは、管財人は、遅滞なく、配当表を更正しなければならない。
3 管財人は、前二項の規定により定めた配当額を、最後配当の手続に参加することができる配当債権者等に通知しなければならない。
(配当額の供託)
第百七十七条 管財人は、次に掲げる配当額を、これを受けるべき配当債権者等のために供託しなければならない。
一 異議等のある配当債権であって前条第三項の規定による配当額の通知を発した時にその確定に関する配当債権査定申立てに係る査定の手続、配当債権査定異議の訴えに係る訴訟手続、第百四十八条第一項若しくは第百五十条第二項の規定による受継があった訴訟手続又は同条第一項の規定による異議の主張に係る訴訟手続が係属しているものに対する配当額
二 第百四十六条第一項の劣後債権であって前条第三項の規定による配当額の通知を発した時に当該劣後債権に係る劣後担保権の目的である財産についての価額決定の申立ての手続が係属しているものに対する配当額
三 租税等の請求権等であって前条第三項の規定による配当額の通知を発した時に審査請求、訴訟(刑事訴訟を除く。)その他の不服の申立ての手続が終了していないものに対する配当額
四 停止条件付債権又は不確定期限付債権である配当債権に対する配当額
五 配当債権者等が受け取らない配当額
第三目 簡易配当
(簡易配当)
第百七十八条 裁判所は、第百六十九条第一項の規定により管財人が最後配当をしなければならない場合において、次に掲げるときは、管財人の申立てにより、最後配当に代えてこの目の規定による配当(以下この節において「簡易配当」という。)をすることを許可することができる。
一 配当をすることができる金額が千万円に満たないと認められるとき。
二 裁判所が、第八十九条第一項の規定により同項第五号に掲げる事項を公告し、かつ、その旨を申立人及び知れている配当債権者等に対し同条第三項(第一号に係る部分に限る。)の規定により通知した場合において、届出をした配当債権者及び第百六十六条第一項に規定する企業価値担保権者が第八十九条第一項第五号に規定する時までに異議を述べなかったとき。
三 前二号に掲げるもののほか、相当と認められるとき。
2 管財人は、前項の規定による許可があった場合には、次条において準用する第百七十条第一項の規定により配当表を裁判所に提出した後、遅滞なく、届出をした配当債権者及び第百六十六条第一項に規定する企業価値担保権者に対する配当見込額を定めて、簡易配当の手続に参加することができる債権の総額、簡易配当をすることができる金額及び当該配当見込額を届出をした配当債権者及び同項に規定する企業価値担保権者に通知しなければならない。
3 前項の規定による通知は、その通知が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
4 第二項の規定による通知が届出をした配当債権者及び第百六十六条第一項に規定する企業価値担保権者に通常到達すべきであった時を経過したときは、管財人は、遅滞なく、その旨を裁判所に届け出なければならない。
(準用)
第百七十九条 簡易配当については、前目(第百六十九条第一項、第二項及び第四項、第百七十一条、第百七十五条第三項から第五項まで並びに第百七十六条第三項を除く。)の規定を準用する。この場合において、第百六十九条第三項中「前項」とあり、第百七十条第一項中「前条第二項」とあり、及び第百七十二条中「第百六十九条第二項」とあるのは「第百七十八条第一項」と、第百七十三条中「第百七十一条第一項の規定による公告が効力を生じた日又は同条第三項」とあるのは「第百七十八条第四項」と、「二週間」とあるのは「一週間」と、第百七十四条各号及び第百七十五条第一項中「最後配当に関する除斥期間」とあるのは「簡易配当に関する除斥期間」と、第百七十六条第一項中「当該異議の申立てに係る手続が終了した後」とあるのは「当該異議の申立てについての決定があった後」と、同条第二項中「次項の規定による配当額の通知を発する前」とあるのは「前条第一項に規定する期間内」と、第百七十七条第一号から第三号までの規定中「前条第三項の規定による配当額の通知を発した時」とあるのは「第百七十五条第一項に規定する期間を経過した時」と読み替えるものとする。
(簡易配当の許可の取消し)
第百八十条 管財人は、第百七十八条第一項(第三号に係る部分に限る。)の規定による許可があった場合において、同条第二項の規定による通知をするときは、同時に、簡易配当をすることにつき異議のある配当債権者等は裁判所に対し同条第四項の規定による届出の日から起算して一週間以内に異議を述べるべき旨をも通知しなければならない。この場合において、届出をした配当債権者又は第百六十六条第一項に規定する企業価値担保権者が第百七十八条第四項の規定による届出の日から起算して一週間以内に異議を述べたときは、裁判所は、当該許可を取り消さなければならない。
(適用除外)
第百八十一条 第百七十八条第一項の規定による簡易配当の許可は、第百八十三条第一項に規定する中間配当をした場合は、することができない。
第四目 同意配当
第百八十二条 裁判所は、第百六十九条第一項の規定により管財人が最後配当をしなければならない場合において、管財人の申立てがあったときは、最後配当に代えてこの条の規定による配当(以下この節において「同意配当」という。)をすることを許可することができる。この場合において、管財人の申立ては、届出をした配当債権者及び第百六十六条第一項に規定する企業価値担保権者の全員が、管財人が定めた配当表、配当額並びに配当の時期及び方法について同意している場合に限り、することができる。
2 前項の規定による許可があった場合には、管財人は、同項後段の配当表、配当額並びに配当の時期及び方法に従い、同項後段の届出をした配当債権者及び同項後段の企業価値担保権者に対して同意配当をすることができる。
3 同意配当については、第百六十九条第三項、第百七十条及び第百七十二条の規定を準用する。この場合において、同項中「前項」とあり、及び第百七十二条中「第百六十九条第二項」とあるのは「第百八十二条第一項」と、第百七十条第一項中「前条第二項の規定による許可があったときは、遅滞なく」とあるのは「あらかじめ」と読み替えるものとする。
第五目 中間配当
(中間配当)
第百八十三条 管財人は、一般調査期間の経過後であって担保目的財産の換価の終了前において、配当をするのに適当な担保目的財産に属する金銭があると認めるときは、最後配当に先立って、届出をした配当債権者及び第百六十六条第一項に規定する企業価値担保権者に対し、この目の規定による配当(以下この目において「中間配当」という。)をすることができる。
2 管財人は、中間配当をするには、裁判所の許可を得なければならない。
3 中間配当については、第百六十九条第三項、第百七十条、第百七十一条及び第百七十三条から第百七十五条までの規定を準用する。この場合において、同項中「前項」とあり、及び第百七十条第一項中「前条第二項」とあるのは「第百八十三条第二項」と、第百七十四条各号及び第百七十五条第一項中「最後配当に関する除斥期間」とあるのは「中間配当に関する除斥期間」と読み替えるものとする。
(配当率の定め及び通知)
第百八十四条 管財人は、前条第三項において準用する第百七十五条第一項に規定する期間が経過した後(同項の規定による異議の申立てがあったときは、当該異議の申立てについての決定があった後)、遅滞なく、配当率を定めて、その配当率を中間配当の手続に参加することができる配当債権者等に通知しなければならない。
(解除条件付債権の取扱い)
第百八十五条 解除条件付債権である配当債権については、相当の担保を供しなければ、中間配当を受けることができない。
2 前項の配当債権について、その条件が最後配当に関する除斥期間内に成就しないときは、同項の規定により供した担保は、その効力を失う。
(除斥された配当債権の後の配当における取扱い)
第百八十六条 第百八十三条第三項において準用する第百七十三条に規定する事項につき証明をしなかったことにより中間配当の手続に参加することができなかった配当債権について、当該配当債権を有する配当債権者が最後配当に関する除斥期間又はその中間配当の後に行われることがある中間配当に関する同条に規定する期間内に当該事項につき証明をしたときは、その中間配当において受けることができた額について、当該最後配当又はその中間配当の後に行われることがある中間配当において、他の同順位の配当債権者等に先立って配当を受けることができる。
(配当額の寄託)
第百八十七条 中間配当を行おうとする管財人は、次に掲げる配当債権に対する配当額を寄託しなければならない。
一 確定期限付債権である配当債権
二 異議等のある配当債権であって、第百七十七条第一号に規定する手続が係属しているもの
三 第百四十六条第一項の劣後債権であって、第百七十七条第二号に規定する手続が係属しているもの
四 租税等の請求権等であって、第百八十四条の規定による配当率の通知を発した時に第百七十七条第三号に規定する手続が終了していないもの
五 停止条件付債権又は不確定期限付債権である配当債権
六 解除条件付債権である配当債権であって、第百八十五条第一項の規定による担保が供されていないもの
2 前項(第一号に係る部分に限る。)の規定により同号に掲げる配当債権に対する配当額を寄託した場合には、最後配当において管財人は、その寄託した配当額を当該配当債権(最後配当までに当該配当債権の弁済期が到来した場合を含む。)を有する配当債権者に支払わなければならない。
3 第一項(第二号から第五号までに係る部分に限る。)の規定により当該各号に掲げる配当債権に対する配当額を寄託した場合において、最後配当において第百七十七条(第一号から第四号までに係る部分に限る。)の規定により当該配当債権に対する配当額を供託するときは、管財人は、その寄託した配当額をこれを受けるべき配当債権者のために供託しなければならない。
4 第一項(第六号に係る部分に限る。)の規定により同号に掲げる配当債権に対する配当額を寄託した場合において、当該配当債権の条件が最後配当に関する除斥期間内に成就しないときは、管財人は、その寄託した配当額を当該配当債権を有する配当債権者に支払わなければならない。
第六目 追加配当
第百八十八条 第百七十六条第三項の規定による配当額の通知を発した後(簡易配当にあっては第百七十九条において準用する第百七十五条第一項に規定する期間を経過した後、同意配当にあっては第百八十二条第一項の規定による許可があった後)、新たに配当に充てることができる相当の財産があることが確認されたときは、管財人は、裁判所の許可を得て、最後配当、簡易配当又は同意配当とは別に、届出をした配当債権者及び第百六十六条第一項に規定する企業価値担保権者に対し、この条の規定による配当(以下この条及び第百九十一条第一項において「追加配当」という。)をしなければならない。
2 追加配当については、第百六十九条第三項及び第百七十七条の規定を準用する。この場合において、同項中「前項」とあるのは「第百八十八条第一項」と、第百七十七条第一号から第三号までの規定中「前条第三項」とあるのは「第百八十八条第五項」と読み替えるものとする。
3 追加配当は、最後配当、簡易配当又は同意配当について作成した配当表によってする。
4 管財人は、第一項の規定による許可があったときは、遅滞なく、追加配当の手続に参加することができる配当債権者等に対する配当額を定めなければならない。
5 管財人は、前項の規定により定めた配当額を、追加配当の手続に参加することができる配当債権者等に通知しなければならない。
6 追加配当をした場合には、管財人は、遅滞なく、裁判所に書面による計算の報告をしなければならない。
7 前項の場合において、管財人が欠けたときは、当該計算の報告は、同項の規定にかかわらず、後任の管財人がしなければならない。
第八款 実行手続の終了
(費用不足の場合の実行手続廃止の決定)
第百八十九条 裁判所は、実行手続開始の決定があった後、担保目的財産をもって実行手続の費用を支弁するのに不足すると認めるときは、管財人の申立てにより又は職権で、実行手続廃止の決定をしなければならない。この場合においては、裁判所は、配当債権者等の意見を聴かなければならない。
2 裁判所は、前項の規定による実行手続廃止の決定をしたときは、直ちに、その主文及び理由の要旨を公告し、かつ、その電子裁判書を債務者及び管財人に送達しなければならない。
3 裁判所は、第一項の申立てを棄却する決定をしたときは、その電子裁判書を管財人に送達しなければならない。この場合においては、第七十五条第三項本文の規定は、適用しない。
4 第一項の規定による実行手続廃止の決定及び同項の申立てを棄却する決定に対しては、執行抗告をすることができる。
5 第一項の規定による実行手続廃止の決定を取り消す決定が確定したときは、当該実行手続廃止の決定をした裁判所は、直ちに、その旨を公告しなければならない。
6 第一項の規定による実行手続廃止の決定は、確定しなければその効力を生じない。
7 担保目的財産の上に存する企業価値担保権は、第一項の規定による実行手続廃止の決定が確定したときは消滅する。
(申立債権の弁済による実行手続廃止の決定)
第百九十条 裁判所は、担保目的財産の換価の終了前において、担保目的財産によって申立債権の全額を弁済することができ、かつ、これにより利害関係人に不利益を及ぼすおそれがないと認めるときは、管財人の申立てにより、申立債権の全額を弁済することを許可することができる。
2 裁判所は、前項の許可の決定をしたときは、直ちに、その主文及び理由の要旨を公告し、かつ、その電子裁判書を債務者及び管財人に送達しなければならない。
3 裁判所は、第一項の申立てを棄却する決定をしたときは、その電子裁判書を管財人に送達しなければならない。この場合においては、第七十五条第三項本文の規定は、適用しない。
4 第一項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
5 管財人は、第一項の許可の決定が確定したときは、申立債権を有する特定被担保債権者に対して申立債権の全額を弁済しなければならない。
6 裁判所は、前項の規定による弁済があったときは、実行手続廃止の決定をしなければならない。
7 裁判所は、前項の規定により実行手続廃止の決定をしたときは、直ちに、その主文及び理由の要旨を公告し、かつ、これを債務者に通知しなければならない。
8 第一項の許可の決定は、確定しなければその効力を生じない。
9 申立人の企業価値担保権は、第六項の規定による実行手続廃止の決定が確定したときは消滅する。
(実行手続終結の決定)
第百九十一条 裁判所は、最後配当、簡易配当又は同意配当が終了したときは、実行手続終結の決定をしなければならない。ただし、追加配当の見込みがある場合は、この限りでない。
2 裁判所は、前項の規定により実行手続終結の決定をしたときは、直ちに、次に掲げる事項(債務者について清算手続又は破産手続が開始されている場合には、第三号に掲げる事項を除く。)を公告し、かつ、これを債務者に通知しなければならない。
一 主文
二 理由の要旨
三 第六十二条第三項各号のいずれかに該当する場合には、企業価値担保権信託契約に係る信託は終了すること。
3 担保目的財産の上に存する企業価値担保権は、第一項の規定による実行手続終結の決定があったときは消滅する。
(実行手続廃止後又は実行手続終結後の電子配当債権者表の記録の効力)
第百九十二条 第百八十九条第一項若しくは第百九十条第六項の規定による実行手続廃止の決定が確定したとき、又は前条第一項の規定による実行手続終結の決定があったときは、確定した配当債権については、電子配当債権者表の記録は、債務者に対し、確定判決と同一の効力を有する。この場合において、配当債権者は、確定した配当債権について、当該債務者に対し、電子配当債権者表の記録により強制執行をすることができる。
2 前項の規定は、債務者が第百四十条第二項又は第百四十一条第四項の規定による異議を述べた場合には、適用しない。
第九款 雑則
第一目 登記
(登記の嘱託)
第百九十三条 実行手続開始の決定があったときは、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、実行手続開始の登記を債務者の本店の所在地の登記所に嘱託しなければならない。
2 前項の登記には、管財人の氏名又は名称及び住所、管財人がそれぞれ単独にその職務を行うことについて第百十一条第一項ただし書の許可があったときはその旨並びに管財人が職務を分掌することについて同項ただし書の許可があったときはその旨及び各管財人が分掌する職務の内容をも登記しなければならない。
3 第一項の規定は、次に掲げる登記について準用する。
一 前項に規定する事項に変更が生じた場合における変更の登記
二 実行手続開始の決定の取消しの決定が確定した場合における実行手続開始の決定の取消しの登記
三 実行手続廃止の決定が確定した場合における実行手続廃止の登記及び企業価値担保権の消滅の登記
四 実行手続開始の申立てが取り下げられた場合における実行手続開始の登記の抹消の登記
五 実行手続終結の決定があった場合における実行手続終結の登記及び企業価値担保権の消滅の登記
(非課税)
第百九十四条 前条の規定による登記については、登録免許税を課さない。
第二目 破産手続の特則
(実行手続開始の決定があった場合の破産事件の移送)
第百九十五条 裁判所(破産事件を取り扱う一人の裁判官又は裁判官の合議体をいう。以下この目において同じ。)は、破産手続開始の決定の前後を問わず、同一の債務者につき実行手続開始の決定があった場合において、当該破産事件を処理するために相当であると認めるときは、職権で、当該破産事件を執行裁判所に移送することができる。
(破産手続開始の申立て)
第百九十六条 実行手続開始の決定から当該実行手続が終了するまでの間、管財人は、債務者に破産手続開始の原因となる事実があるときは、当該債務者について破産手続開始の申立てをすることができる。
2 前項の債務者の財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになったときは、管財人は、直ちに同項の破産手続開始の申立てをしなければならない。
3 破産法第五条第一項及び第二項の規定にかかわらず、第一項の破産手続開始の申立ては、同項の実行手続が係属している地方裁判所にもすることができる。
4 第一項の申立てにより破産手続開始の決定があった場合は、管財人が第百六十六条第一項の企業価値担保権者に対して同条第三項の規定により交付する額は、不特定被担保債権留保額から、民事訴訟費用等に関する法律の規定に従い納付した破産手続開始の申立ての手数料及び破産法第二十二条第一項の規定により予納した金額を控除した額とする。
(破産手続開始の申立てを棄却する決定に対する抗告)
第百九十七条 管財人は、破産法第九条前段の規定にかかわらず、前条第一項の規定による破産手続開始の申立てを棄却する決定に対して、即時抗告をすることができる。
(破産手続開始の決定と同時に定めるべき事項等に関する特則)
第百九十八条 実行手続開始の決定から当該実行手続が終了するまでの間に、債務者につき破産手続開始の決定があった場合には、破産法第三十一条第一項の規定にかかわらず、裁判所は、同項各号の期間及び期日を定めないものとする。
2 前項の場合において、裁判所は、破産手続の進行に支障を来すおそれがないと認めるときは、速やかに、破産法第三十一条第一項各号の期間又は期日を定めなければならない。
3 破産法第三十二条第一項(第三号に係る部分に限る。)及び第三項(第一号に係る部分に限る。)の規定は、前項の規定により同法第三十一条第一項各号の期間又は期日を定めた場合について準用する。ただし、同条第五項の決定があったときは、知れている破産債権者に対しては、この項において準用する同法第三十二条第三項(第一号に係る部分に限る。)の通知をすることを要しない。
(破産管財人を当事者とする訴訟等の特則)
第百九十九条 破産手続開始の決定から当該破産手続が終了するまでの間に、破産者につき実行手続開始の決定があったときは、破産管財人を当事者とする破産者の財産関係の訴訟手続は、中断する。
2 第九十八条第二項から第六項までの規定は、前項の規定により中断した訴訟手続について準用する。この場合において、同条第五項及び第六項中「債務者」とあるのは、「破産管財人(破産手続の終了後にあっては、債務者)」と読み替えるものとする。
3 実行手続開始の決定から当該実行手続が終了するまでの間に、債務者につき破産手続開始の決定があったときは、破産法第四十四条第一項の規定にかかわらず、同項に規定する破産財団に関する訴訟手続(当該決定があったときに中断中のものを除く。)は、中断しないものとする。
4 前三項の規定は、債務者の財産関係の事件で行政庁に係属するものについて準用する。
5 債務者につき実行手続開始の決定があり、かつ、当該債務者を破産者とする破産手続開始の決定があった場合において、当該実行手続開始の決定から当該実行手続が終了するまでの間は、破産法第八十条の規定は、適用しない。
(双務契約に関する特則)
第二百条 債務者につき実行手続開始の決定があり、かつ、当該債務者を破産者とする破産手続開始の決定があった場合において、破産管財人は、当該実行手続開始の決定から当該実行手続が終了するまでの間に、破産法第五十三条第一項若しくは民法第六百四十二条第一項の規定により契約を解除しようとするとき又は同法第六百三十一条前段の規定により解約の申入れをしようとするときは、管財人の同意を得なければならない。
2 破産管財人は、前項の同意を得た場合には、破産法第五十三条第一項若しくは民法第六百四十二条第一項の規定による契約の解除権又は同法第六百三十一条前段の規定による解約の申入れをする権利(以下この条及び次条において「解除権等」という。)の行使に関し必要な範囲内で、担保目的財産に関し、金銭の収支その他の財産の管理及び処分をすることができる。
3 第一項に規定する場合において、解除権等の行使に係る相手方(第五項及び次条において「相手方」という。)は、破産法第五十三条第二項前段(同条第三項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の規定による催告を、管財人に対してもすることができる。管財人が当該催告を受けたときは、速やかに、その旨を第一項の破産管財人に通知しなければならない。
4 第一項に規定する場合において、管財人又は破産管財人が前項又は破産法第五十三条第二項前段の規定による催告を受けたときは、同項後段(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、当該破産管財人が同条第二項前段の規定による催告の期間内に確答をしないときは、当該破産管財人は、解除権等を放棄したものとみなす。
5 第一項に規定する場合において、破産法第五十三条第一項の規定により契約の解除があったときは、相手方は、実行手続において、債務者の受けた反対給付が担保目的財産中に現存するときは、その返還を請求することができ、現存しないときは、その価額について共益債権者としてその権利を行使することができる。
(破産管財人の解除権等の行使に関する訴訟手続の取扱い)
第二百一条 債務者につき実行手続開始の決定があり、かつ、当該債務者を破産者とする破産手続開始の決定があった場合において、破産管財人は、相手方及び管財人間の訴訟が係属するときは、解除権等を行使するため、相手方を被告として、当事者としてその訴訟に参加することができる。ただし、当該訴訟の目的である権利又は義務に係る請求をする場合に限る。
2 債務者につき実行手続開始の決定があり、かつ、当該債務者を破産者とする破産手続開始の決定があった場合において、管財人は、破産管財人が当事者である解除権等の行使に係る訴訟が係属するときは、当該訴訟の目的である権利又は義務に係る請求をするため、相手方を被告として、当事者としてその訴訟に参加することができる。
3 前項に規定する場合には、相手方は、同項の訴訟の口頭弁論の終結に至るまで、同項の管財人を被告として、当該訴訟の目的である権利又は義務に係る訴えをこれに併合して提起することができる。
4 民事訴訟法第四十条第一項から第三項までの規定は前三項の場合について、同法第四十三条並びに第四十七条第二項及び第三項の規定は第一項及び第二項の規定による参加の申出について、それぞれ準用する。
(管財人の管理処分権の優先)
第二百二条 債務者につき実行手続開始の決定があり、かつ、当該債務者を破産者とする破産手続開始の決定があった場合において、第一号に掲げる権利と第二号に掲げる権利とが競合するときは、第一号に掲げる権利は、第二号に掲げる権利に優先する。
一 第百十三条第一項の規定により管財人に専属する債務者の事業の経営並びに担保目的財産の管理及び処分をする権利
二 破産法第七十八条第一項の規定により破産管財人に専属する破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利
(破産債権の行使に関する特則)
第二百三条 債務者につき実行手続開始の決定があり、かつ、当該債務者を破産者とする破産手続開始の決定があった場合において、破産法第百条第一項の規定は、破産債権について、実行手続により、弁済をし、弁済を受け、その他これを消滅させる行為をするときは、適用しない。
(否認権に関する特則)
第二百四条 債務者につき実行手続開始の決定があり、かつ、当該債務者を破産者とする破産手続開始の決定があった場合において、破産管財人は、当該実行手続開始の決定から当該実行手続が終了するまでの間に、否認権を行使しようとするときは、管財人の同意を得なければならない。ただし、当該実行手続の申立人の有する企業価値担保権の設定を否認する場合を除く。
2 破産管財人は、前項の同意を得た場合には、否認権の行使に関し必要な範囲内で、担保目的財産に関し、金銭の収支その他の財産の管理及び処分をすることができる。
3 前項に規定する場合には、否認権の行使に係る相手方(次条において「相手方」という。)は、次の各号に掲げる区分に応じ、実行手続において当該各号に定める権利を行使することができる。
一 破産手続において破産法第百六十八条第一項(第一号に係る部分に限る。)又は第百七十条の二第一項本文の規定により反対給付の返還を請求する権利を有する場合 当該反対給付の返還を請求する権利
二 破産手続において破産法第百六十八条第一項(第二号に係る部分に限る。)又は第百七十条の二第一項の規定により財団債権者として反対給付の価額の償還を請求する権利を有する場合 共益債権者として当該反対給付の価額の償還を請求する権利
三 破産手続において破産法第百六十八条第二項(第一号又は第三号に係る部分に限る。)又は第百七十条の二第二項の規定により財団債権者として現存利益の返還を請求する権利を有する場合 共益債権者として当該現存利益の返還を請求する権利
(否認権に関する訴訟手続の取扱い)
第二百五条 債務者につき実行手続開始の決定があり、かつ、当該債務者を破産者とする破産手続開始の決定があった場合において、破産管財人は、相手方及び管財人間の訴訟が係属するときは、否認権を行使するため、相手方を被告として、当事者としてその訴訟に参加することができる。ただし、当該訴訟の目的である権利又は義務に係る請求をする場合に限る。
2 債務者につき実行手続開始の決定があり、かつ、当該債務者を破産者とする破産手続開始の決定があった場合において、破産管財人が当事者である否認の訴え(破産法第四十五条第二項の規定により受継された訴訟手続及び同法第百七十五条第一項の訴えを含む。以下この項において同じ。)が係属するときは、管財人は、破産管財人が当事者である否認の訴えの目的である権利又は義務に係る請求をするため、相手方を被告として、当事者としてその訴訟に参加することができる。
3 前項に規定する場合には、相手方は、同項の訴訟の口頭弁論の終結に至るまで、同項の管財人を被告として、当該訴訟の目的である権利又は義務に係る訴えをこれに併合して提起することができる。
4 民事訴訟法第四十条第一項から第三項までの規定は前三項の場合について、同法第四十三条並びに第四十七条第二項及び第三項の規定は第一項及び第二項の規定による参加の申出について、それぞれ準用する。
(企業価値担保権の実行をすべき期間の指定)
第二百六条 破産者の総財産を目的とする企業価値担保権が存在する場合には、裁判所は、破産管財人の申立てにより、企業価値担保権者がその実行をすべき期間を定めることができる。
2 企業価値担保権者は、前項の期間内にその実行をしないときは、企業価値担保権の実行をすることができない。
3 第一項の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
4 第一項の申立てについての裁判及び前項の即時抗告についての裁判があった場合には、その電子裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第七十五条第三項本文の規定は、適用しない。
(破産法の適用除外)
第二百七条 債務者につき実行手続開始の決定があり、かつ、当該債務者を破産者とする破産手続開始の決定があった場合において、当該実行手続開始の決定から当該実行手続が終了するまでの間は、破産法第三章第二節、第四章第三節、第六章第一節、第八章及び第九章の規定は、適用しない。
第三目 再生手続の特則
(実行手続開始の決定があった場合の再生事件の移送)
第二百八条 裁判所(再生事件を取り扱う一人の裁判官又は裁判官の合議体をいう。次条第一項及び第二項において同じ。)は、再生手続開始の決定の前後を問わず、同一の債務者につき実行手続開始の決定があった場合において、当該再生事件を処理するために相当であると認めるときは、職権で、当該再生事件を執行裁判所に移送することができる。
(再生手続開始の決定と同時に定めるべき事項等に関する特則)
第二百九条 実行手続開始の決定から当該実行手続が終了するまでの間に、債務者につき再生手続開始の決定があった場合には、民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第三十四条第一項の規定にかかわらず、裁判所は、同項の期間を定めないものとする。
2 前項の場合において、裁判所は、再生手続の進行に支障を来すおそれがないと認めるときは、速やかに、民事再生法第三十四条第一項の期間を定めなければならない。
3 民事再生法第三十五条第一項(第二号に係る部分に限る。)及び第三項(第一号に係る部分に限る。)の規定は、前項の規定により同法第三十四条第一項の期間を定めた場合について準用する。ただし、同条第二項の決定があったときは、知れている再生債権者に対しては、この項において準用する同法第三十五条第三項(同号に係る部分に限る。)の通知をすることを要しない。
(再生債務者等を当事者とする訴訟等の特則)
第二百十条 再生手続開始の決定から当該再生手続が終了するまでの間に、再生債務者につき実行手続開始の決定があったときは、再生債務者又は再生手続における管財人を当事者とする再生債務者の財産関係の訴訟手続は、中断する。
2 第九十八条第二項から第六項までの規定は、前項の規定により中断した訴訟手続について準用する。この場合において、同条第五項及び第六項中「債務者」とあるのは、「再生債務者又は再生手続における管財人(再生手続の終了後にあっては、債務者)」と読み替えるものとする。
3 実行手続開始の決定から当該実行手続が終了するまでの間に、債務者につき再生手続開始の決定があったときは、民事再生法第四十条第一項の規定にかかわらず、同項に規定する訴訟手続(当該決定があったときに中断中のものを除く。)は、中断しないものとする。
4 前三項の規定は、債務者の財産関係の事件で行政庁に係属するものについて準用する。
5 債務者につき実行手続開始の決定があり、かつ、当該債務者を再生債務者とする再生手続開始の決定があった場合において、当該実行手続開始の決定から当該実行手続が終了するまでの間は、民事再生法第六十七条第一項の規定は、適用しない。
(実行手続の管財人の管理処分権の優先)
第二百十一条 再生手続開始の決定から当該再生手続が終了するまでの間に、再生債務者につき実行手続開始の決定があった場合において、第一号に掲げる権利と第二号に掲げる権利とが競合するときは、第一号に掲げる権利は、第二号に掲げる権利に優先する。
一 第百十三条第一項の規定により管財人に専属する債務者の事業の経営並びに担保目的財産の管理及び処分をする権利
二 民事再生法第六十六条の規定により管財人に専属する再生債務者の業務の遂行並びに財産の管理及び処分をする権利
(再生手続の進行に関する特則)
第二百十二条 再生手続開始の決定の前後を問わず、同一の債務者に係る実行手続開始の決定があったときは、当該債務者に係る実行手続が終了し、又は停止するまでの間、当該債務者に係る再生手続は中止する。
2 民事再生法第二章(第二十三条から第二十五条まで、第三十一条から第三十三条まで、第三十四条第二項及び第三十五条から第三十七条までに係る部分に限る。)、第三章第一節、第六章第二節及び第四節、第九章並びに第十四章第二節の規定による手続(同法第三章第一節及び第六章第二節の規定による手続にあっては前項に規定する実行手続の申立人の有する企業価値担保権の設定を否認するためのものに限り、同法第十四章第二節の規定による手続にあっては同法第二百五十一条第一項に規定する破産法第二十八条第一項の規定による保全処分に関する手続を除く。)は、前項の場合であっても、することができる。
(再生債権の弁済に関する特則)
第二百十三条 債務者につき実行手続開始の決定があり、かつ、当該債務者を再生債務者とする再生手続開始の決定があった場合において、民事再生法第八十五条第一項の規定は、再生債権について、実行手続により、弁済をし、弁済を受け、その他これを消滅させる行為をするときは、適用しない。
第四目 更生手続の特則
(更生手続における劣後担保権の取扱い)
第二百十四条 実行手続における最後配当、簡易配当又は同意配当が終了するまでの間に、債務者につき更生手続開始の決定があったときは、当該実行手続において第百六十条第一項又は第三項の規定により消滅した劣後担保権は、当該更生手続との関係においては、消滅しなかったものとみなす。
(更生手続の管財人の管理処分権の優先)
第二百十五条 実行手続開始の決定から当該実行手続が終了するまでの間に、債務者につき更生手続開始の決定があった場合において、第一号に掲げる権利と第二号に掲げる権利とが競合するときは、第一号に掲げる権利は、第二号に掲げる権利に優先する。
一 会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第七十二条第一項の規定により管財人に専属する更生会社の事業の経営並びに財産の管理及び処分をする権利
二 第百十三条第一項の規定により管財人に専属する債務者の事業の経営並びに担保目的財産の管理及び処分をする権利
第六節 雑則
第一款 登記
(管轄登記所)
第二百十六条 企業価値担保権の登記及び企業価値担保権の実行手続に関する登記(以下この款において「企業価値担保権に関する登記」と総称する。)に関する事務は、企業価値担保権を設定する債務者の登記の事務をその本店所在地においてつかさどる登記所が管轄登記所としてつかさどる。
(登記事務取扱者)
第二百十七条 企業価値担保権に関する登記の事務は、商業登記の事務を取り扱う者が取り扱う。
(登記簿)
第二百十八条 企業価値担保権に関する登記は、第二百十六条の登記所に備えられた企業価値担保権を設定する債務者の登記簿にする。
(企業価値担保権の登記)
第二百十九条 企業価値担保権の登記は、企業価値担保権の設定、移転、変更、処分の制限又は消滅についてする。
(付記登記の順位)
第二百二十条 付記登記(企業価値担保権に関する登記のうち、既にされた企業価値担保権に関する登記についてする登記であって、当該既にされた企業価値担保権に関する登記を変更し、若しくは更正し、又はこれを移転するもので当該既にされた企業価値担保権に関する登記と一体のものとして公示する必要があるものをいう。以下この条において同じ。)の順位は主登記(付記登記の対象となる既にされた企業価値担保権に関する登記をいう。以下この条において同じ。)の順位により、同一の主登記に係る付記登記の順位はその前後による。
(会社の合併の場合の企業価値担保権の登記)
第二百二十一条 会社の合併による変更又は設立の登記を本店所在地において申請する場合において、合併する会社の双方の登記簿に企業価値担保権の登記があるときは、申請書に第二十五条第五項の協定を証する書面を添付しなければならない。
第二百二十二条 登記官は、会社の合併による変更又は設立の登記をする場合において、合併により消滅する会社の登記簿に企業価値担保権の登記があるときは、職権で合併後存続する会社又は合併により設立される会社の登記簿に企業価値担保権の登記をしなければならない。
(不動産登記法の準用)
第二百二十三条 不動産登記法第二条(第十二号から第十六号までに係る部分に限る。)、第十六条から第二十二条まで、第二十四条、第二十五条(第十号及び第十一号を除く。)、第二十六条、第五十九条(第四号(登記名義人が二人以上であるときに係る部分に限る。)及び第六号を除く。)、第六十条、第六十一条、第六十二条(相続に係る部分を除く。)、第六十三条第一項及び第二項(相続に係る部分を除く。)、第六十四条第一項、第六十六条(抵当証券の所持人又は裏書人に係る部分を除く。)、第六十七条第一項、第二項(抵当証券の所持人又は裏書人に係る部分を除く。)、第三項及び第四項、第六十八条(抵当証券の所持人又は裏書人に係る部分を除く。)、第七十一条、第七十二条(抵当証券の所持人又は裏書人に係る部分を除く。)、第八十九条第一項、第百五十二条から第百五十六条まで、第百五十七条(第四項を除く。)並びに第百五十八条の規定は、企業価値担保権に関する登記について準用する。この場合において、これらの規定(同法第十八条、第二十五条第一号、第百五十二条第二項及び第百五十七条第六項を除く。)中「不動産」とあるのは「企業価値担保権設定者である債務者」と、これらの規定(同法第二条第十三号及び第二十二条を除く。)中「登記名義人」とあるのは「企業価値担保権者」と、同号中「登記名義人をいい」とあるのは「企業価値担保権設定者又は企業価値担保権者をいい」と、「登記名義人を除く」とあるのは「企業価値担保権者を除く」と、同法第十八条中「不動産」とあるのは「企業価値担保権設定者である債務者(事業性融資の推進等に関する法律第六条第一項に規定する債務者をいう。以下この節において同じ。)」と、同法第二十二条中「登記名義人が」とあるのは「企業価値担保権者が」と、「登記名義人。次条第一項、第二項及び第四項各号において同じ。」とあるのは「企業価値担保権者」と、同条ただし書中「場合は」とあるのは「場合であって、政令で定めるところにより登記識別情報の提供に代わる措置を講じたときは」と、同法第二十五条第一号中「不動産の所在地」とあるのは「登記の事務」と、同法第五十九条第四号中「氏名又は名称」とあり、及び同法第六十四条第一項中「氏名若しくは名称」とあるのは「名称」と、同法第百五十二条第二項中「不動産登記」とあるのは「企業価値担保権に関する登記」と、同法第百五十四条中「登記簿等及び筆界特定書等」とあるのは「企業価値担保権に係る商業登記簿及びその附属書類(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)を含む。次条において同じ。)」と、同法第百五十五条中「登記簿等」とあるのは「企業価値担保権に係る商業登記簿及びその附属書類」と読み替えるほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
(法務省令への委任)
第二百二十四条 この款に定めるもののほか、企業価値担保権に係る登記簿の記録方法その他の登記の事務に関し必要な事項は、法務省令で定める。
第二款 担保付社債信託法の適用等
第二百二十五条 特定被担保債権が社債である場合における担保付社債信託法の適用については、同法第二条第一項中「社債に担保を付そうとする場合には、担保の目的である財産を有する者と信託会社との間の信託契約(以下単に「信託契約」という。)に従わなければならない。この場合において、担保の目的である財産を有する者が社債を発行しようとする会社又は発行した会社(以下「発行会社」と総称する。)以外の者であるときは、信託契約は、発行会社の同意がなければ、その効力を生じない」とあるのは「社債に企業価値担保権を付そうとする場合には、社債を発行しようとする会社又は発行した会社(以下「発行会社」と総称する。)である委託者と事業性融資の推進等に関する法律(令和六年法律第▼▼▼号)第六条第二項に規定する企業価値担保権信託会社である受託会社との間の同条第三項に規定する企業価値担保権信託契約(以下「信託契約」という。)に従わなければならない」と、同法第十五条第二項中「、発行会社又は社債権者集会(担保付社債の社債権者集会をいう。以下同じ。」とあるのは「又は社債権者集会(担保付社債の社債権者集会をいう。以下同じ。)(不特定被担保債権者(事業性融資の推進等に関する法律第六条第七項に規定する不特定被担保債権者をいう。以下この項及び第四十五条第一項において同じ。)がある場合にあっては、委託者、社債権者集会又は不特定被担保債権者」と、同法第十九条第一項中「次に」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律第八条第二項各号に掲げる事項のほか、次に」と、同項第一号中「、受託会社及び発行会社」とあるのは「及び受託会社」と、同項第十三号中「、担保権の順位、先順位の担保権者の有する担保権によって担保される債権の額及び担保の目的である財産に関し担保権者に対抗することができる権利」とあるのは「及び企業価値担保権の順位」と、同法第二十一条第一項中「担保付社債の総額」とあるのは「担保付社債」と、「第十九条第一項第三号」とあるのは「第十九条第一項第二号」と、同法第二十五条、第二十六条第二号及び第二十八条第三号中「担保付社債の総額」とあるのは「担保付社債」と、同法第三十一条中「担保付社債信託法」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律(令和六年法律第▼▼▼号)第二百二十五条第一項の規定により読み替えて適用される担保付社債信託法」と、同法第三十二条第二号及び第四十二条中「変更又は担保権若しくはその順位の譲渡若しくは放棄」とあるのは「変更」と、同法第三十六条及び第三十七条第二項中「総社債権者」とあるのは「総受益者」と、同法第四十五条第一項中「社債権者集会」とあるのは「社債権者集会(不特定被担保債権者がある場合にあっては、社債権者集会又は不特定被担保債権者)」と、同項各号中「総社債権者」とあるのは「総受益者」と、同法第四十六条中「総社債権者」とあるのは「総受益者」と、「個別の社債権者」とあるのは「個別の受益者」と、同法第四十七条並びに第四十八条第一項及び第二項中「委託者又は発行会社」とあるのは「委託者」と、同条第四項中「有する」とあるのは「有する。この場合において、当該債権は、事業性融資の推進等に関する法律第六条第四項に規定する特定被担保債権とみなす」と、同法第五十条第一項中「、発行会社及び社債権者集会」とあるのは「及び社債権者集会(不特定被担保債権者(事業性融資の推進等に関する法律(令和六年法律第▼▼▼号)第六条第七項に規定する不特定被担保債権者をいう。以下同じ。)がある場合にあっては、委託者、社債権者集会及び不特定被担保債権者)」と、同法第五十一条中「、発行会社及び社債権者集会」とあるのは「及び社債権者集会(不特定被担保債権者がある場合にあっては、委託者、社債権者集会及び不特定被担保債権者)」と、「及び受益者は」とあるのは「及び発行会社は」とあるのは「委託者及び受益者は」とあるのは「委託者は」と、「、発行会社又は社債権者集会」とあるのは「又は社債権者集会(不特定被担保債権者がある場合にあっては、委託者、社債権者集会又は不特定被担保債権者)」と、同法第五十五条中「社債権者、委託者又は発行会社」とあるのは「受益者又は委託者」と、同法第五十六条中「委託者、発行会社」とあるのは「委託者」と、同法第七十条中「(委託者が法人であるときは、その事業を執行する社員、理事、取締役、執行役、清算人その他法人の業務を執行する者)若しくはその破産管財人、受託会社若しくは発行会社」とあるのは「若しくは受託会社」と、「、第四十五条第一項の特別代理人又は外国会社の代表者」とあるのは「又は第四十五条第一項の特別代理人」とし、同法第十七条、第二十二条、第二十三条、第三十九条、第四十三条、第四十九条、第五十条第三項及び第六十二条から第六十四条までの規定は、適用しない。
2 前項に規定する場合においては、第二十八条第二項及び第六十一条中「全ての特定被担保債権者の指図」とあるのは、「社債権者集会の決議」とし、第十七条第二項、第六十条、第六十三条から第六十六条まで及び第六十八条の規定は、適用しない。
第三款 担保仮登記の取扱い
第二百二十六条 仮登記担保契約に関する法律(昭和五十三年法律第七十八号)第四条第一項に規定する担保仮登記(同法第十四条に規定する担保仮登記を除く。)に係る権利は、この章の規定の適用については、抵当権とみなす。
2 仮登記担保契約に関する法律第十四条に規定する担保仮登記は、企業価値担保権の実行手続においては、その効力を有しない。
第四款 破産手続等における企業価値担保権等の取扱い
(破産手続における企業価値担保権の取扱い)
第二百二十七条 企業価値担保権は、破産法の適用については、抵当権とみなす。
(再生手続における企業価値担保権の取扱い)
第二百二十八条 企業価値担保権は、民事再生法の適用については、抵当権とみなす。
(更生手続における企業価値担保権等の取扱い)
第二百二十九条 企業価値担保権は、会社更生法の適用については、抵当権とみなす。この場合において、同法第二条第十項中「の被担保債権」とあるのは「の事業性融資の推進等に関する法律(令和六年法律第▼▼▼号)第六条第四項に規定する特定被担保債権」と、同項ただし書中「被担保債権」とあるのは「特定被担保債権」とする。
2 債務者につき更生手続開始の決定があったときは、特定被担保債権者(特定被担保債権者に代位する者を含む。)は、当該更生手続の関係においては、重複担保権の効力を主張することができない。
3 第一項の規定により読み替えて適用する会社更生法第二条第十項の規定の適用については、不特定被担保債権が、更生手続開始前の原因に基づいて生じたものであって、担保目的財産の価額が更生手続開始の時における時価であるとした場合の価額に応じ、第八条第二項第一号ハに規定する政令で定めるところにより算定した額の計算に準じて算定した額の範囲で企業価値担保権によって担保されているものとみなす。会社更生法第二条第十項に規定する担保権(第一項の規定により抵当権とみなされる企業価値担保権を除く。)であって更生手続開始当時更生会社の財産につき存する企業価値担保権に劣後するもの又は当該企業価値担保権と同一順位のものの被担保債権に関する同条第十項の規定の適用についても、同様とする。
(特別清算手続における企業価値担保権の取扱い)
第二百三十条 企業価値担保権は、債務者につき特別清算開始の命令があった場合における会社法第二編第九章及び第七編第三章第三節の規定の適用については、抵当権とみなす。
(承認援助手続における企業価値担保権の取扱い)
第二百三十一条 企業価値担保権は、外国倒産処理手続の承認援助に関する法律(平成十二年法律第百二十九号)の適用については、抵当権とみなす。
第四章 事業性融資推進支援業務を行う者の認定等
(認定事業性融資推進支援機関)
第二百三十二条 主務大臣は、主務省令で定めるところにより、次項に規定する業務(以下この章及び第二百四十九条において「事業性融資推進支援業務」という。)を行う者であって、基本方針に適合すると認められるものを、その申請により、事業性融資推進支援業務を行う者として認定することができる。
2 前項の認定を受けた者(以下この章及び第二百四十九条において「認定事業性融資推進支援機関」という。)は、次に掲げる業務を行うものとする。
一 中小企業者(中小企業基本法(昭和三十八年法律第百五十四号)第二条第一項各号に掲げるもののうち、会社であるものをいう。)であって、認定事業性融資推進支援機関と第二百三十七条に規定する契約を締結した者(以下この章において「支援対象事業者」という。)から提供を受けた経営資源(設備、技術、個人の有する知識及び技能その他の事業活動に活用される資源をいう。)の内容、財務内容その他経営の状況の分析を行い、支援対象事業者及び支援対象金融機関等(当該支援対象事業者に対して事業性融資を行い、又は行おうとする金融機関等であって、認定事業性融資推進支援機関と同条に規定する契約を締結した者をいう。以下この項及び同条において同じ。)に対し、経営の向上の程度を示す指標及び当該指標を踏まえた目標の策定に必要な指導又は助言を行うこと。
二 支援対象事業者の事業の実施に関し、支援対象事業者及び支援対象金融機関等に対し、前号の指標及び目標をその内容に含む事業性融資を受けるための事業計画(次号において「支援対象事業計画」という。)の策定に必要な指導又は助言を行うこと。
三 支援対象事業計画に従って行われる事業の実施に関し、支援対象事業者に対し、定期的に報告を求めるとともに、必要に応じ、支援対象事業者又は支援対象金融機関等に対し、次に掲げる事項につき、指導又は助言を行うこと。
イ 第一号の目標の達成状況の分析に基づく対応策
ロ 第一号の指標若しくは目標又は支援対象事業計画の変更
ハ イ及びロに掲げるもののほか、支援対象事業者の事業の実施に必要な事項
四 事業性融資の推進及び企業価値担保権の利用に関する啓発活動を行うこと。
五 前各号に掲げる業務に関連して必要な情報の収集、調査及び研究を行い、並びにその成果を普及すること。
3 第一項の認定を受けようとする者は、主務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を主務大臣に提出しなければならない。
一 名称、住所及び代表者の氏名
二 主たる事務所の所在地
三 事業性融資推進支援業務に関する次に掲げる事項
イ 事業性融資推進支援業務の内容
ロ 事業性融資推進支援業務の実施体制
ハ イ及びロに掲げるもののほか、主務省令で定める事項
4 認定事業性融資推進支援機関は、前項第一号及び第二号に掲げる事項に変更があったときは遅滞なく、同項第三号イからハまでに掲げる事項の変更(主務省令で定める軽微な変更を除く。)をしようとするときはあらかじめ、その旨を主務大臣に届け出なければならない。
(欠格条項)
第二百三十三条 次の各号のいずれかに該当する者は、前条第一項の認定を受けることができない。
一 一般社団法人、一般財団法人その他主務省令で定める法人でない者
二 その法人又はその業務を行う役員がこの法律の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることのなくなった日から一年を経過しないもの
三 第二百三十六条の規定により前条第一項の認定を取り消され、その取消しの日から一年を経過しない法人
四 第二百三十六条の規定による前条第一項の認定の取消しの日前三十日以内にその取消しに係る法人の業務を行う役員であった者でその取消しの日から一年を経過しないものがその業務を行う役員となっている法人
(廃止の届出)
第二百三十四条 認定事業性融資推進支援機関は、その認定に係る事業性融資推進支援業務を廃止しようとするときは、主務省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を主務大臣に届け出なければならない。
(改善命令)
第二百三十五条 主務大臣は、認定事業性融資推進支援機関の事業性融資推進支援業務の運営に関し改善が必要であると認めるときは、当該認定事業性融資推進支援機関に対し、その改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
(認定の取消し)
第二百三十六条 主務大臣は、認定事業性融資推進支援機関が次の各号のいずれかに該当するときは、その認定を取り消すことができる。
一 第二百三十三条各号(第三号を除く。)のいずれかに該当するに至ったとき。
二 前条の規定による命令に違反したとき。
三 不正の手段により第二百三十二条第一項の認定を受けたことが判明したとき。
四 次条の規定に違反したとき。
五 第二百四十九条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
(支援対象事業者及び支援対象金融機関等との契約締結義務)
第二百三十七条 認定事業性融資推進支援機関は、第二百三十二条第二項第一号から第三号までに掲げる業務を行うに当たっては、支援対象事業者及び支援対象金融機関等との間で、これらの業務を行うことを内容とする契約を締結しなければならない。
(支援対象事業者に対する企業価値担保権信託契約の説明義務等)
第二百三十八条 認定事業性融資推進支援機関は、前条に規定する契約の締結後、速やかに、支援対象事業者(認定事業性融資推進支援機関に対し、主務省令で定めるところにより、次に掲げる事項の説明を過去に受けたことを証する情報を提供した者を除く。)に対し、次に掲げる事項の説明を行うとともに、企業価値担保権の利用に関する情報を提供し、かつ、主務省令で定めるところにより、当該説明を行ったことを証する情報を提供しなければならない。
一 企業価値担保権の設定、効力及び実行に関する事項
二 企業価値担保権信託契約において定めるべき事項(第八条第二項各号に掲げる事項をいう。)
(管財人への通知)
第二百三十九条 認定事業性融資推進支援機関は、支援対象事業者である第六条第一項に規定する債務者について企業価値担保権の実行手続開始の決定があったことを知った場合には、速やかに、当該実行手続における管財人に対し、当該債務者が認定事業性融資推進支援機関の支援対象事業者である旨を通知しなければならない。
(企業価値担保権信託契約の説明義務の特例)
第二百四十条 企業価値担保権信託契約を締結しようとする委託者が、第六条第二項に規定する企業価値担保権信託会社に対し、主務省令で定めるところにより、認定事業性融資推進支援機関から第二百三十八条各号に掲げる事項の説明を受けたことを証する情報を提供した場合における信託業法第二十五条(第四十条第一項及び兼営法第二条第一項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、信託業法第二十五条中「次条第一項第三号から第十六号まで」とあるのは、「次条第一項第三号から第十六号まで(委託者から、事業性融資の推進等に関する法律第二百三十八条各号に掲げる事項の説明を同法第二百三十二条第二項に規定する認定事業性融資推進支援機関から受けた旨の告知及び企業価値担保権に係る説明を要しない旨の意思の表明があった場合にあっては、次条第一項第五号から第九号まで、第十一号及び第十三号から第十六号まで)」とする。
(財政上の措置等)
第二百四十一条 政府は、認定事業性融資推進支援機関が行う事業性融資推進支援業務が円滑に実施されるよう、その実施に要する費用について、必要な財政上の措置その他の措置を講ずるものとする。
第五章 事業性融資推進本部
(設置)
第二百四十二条 金融庁に、特別の機関として、事業性融資推進本部(以下この章において「本部」という。)を置く。
(所掌事務)
第二百四十三条 本部は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 事業性融資の推進に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進に関すること。
二 事業性融資の推進に関する関係行政機関の事務の調整に関すること。
(組織)
第二百四十四条 本部は、事業性融資推進本部長及び事業性融資推進本部員をもって組織する。
(事業性融資推進本部長)
第二百四十五条 本部の長は、事業性融資推進本部長(次項及び次条第二項第五号において「本部長」という。)とし、内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第十一条の特命担当大臣をもって充てる。
2 本部長は、本部の事務を総括する。
(事業性融資推進本部員)
第二百四十六条 本部に、事業性融資推進本部員(次項において「本部員」という。)を置く。
2 本部員は、次に掲げる者をもって充てる。
一 法務大臣
二 財務大臣
三 農林水産大臣
四 経済産業大臣
五 前各号に掲げるもののほか、本部長以外の国務大臣のうちから、内閣総理大臣が指定する者
(資料提出の要求等)
第二百四十七条 本部は、その所掌事務を遂行するために必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。
2 本部は、その所掌事務を遂行するために特に必要があると認めるときは、前項に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。
(政令への委任)
第二百四十八条 第二百四十二条から前条までに定めるもののほか、本部の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。
第六章 雑則
(報告の徴収)
第二百四十九条 主務大臣は、認定事業性融資推進支援機関に対し、事業性融資推進支援業務の実施状況について報告を求めることができる。
(主務大臣等)
第二百五十条 この法律における主務大臣は、内閣総理大臣、財務大臣、農林水産大臣及び経済産業大臣とする。
2 この法律における主務省令は、主務大臣の発する命令とする。
(権限の委任)
第二百五十一条 内閣総理大臣は、この法律による権限(政令で定めるものを除く。)を金融庁長官に委任する。
2 金融庁長官は、政令で定めるところにより、前項の規定により委任された権限の一部を財務局長又は財務支局長に委任することができる。
(経過措置)
第二百五十二条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
第七章 罰則
第二百五十三条 管財人又は管財人代理が、自己若しくは第三者の利益を図り又は債権者に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、債権者に財産上の損害を加えたときは、十年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 管財人が法人であるときは、前項の規定は、管財人の職務を行う役員又は職員に適用する。
第二百五十四条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、三年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第三十二条の規定に違反して、免許を受けないで企業価値担保権に関する信託業務を営んだとき。
二 第四十条第一項において準用する信託業法第十五条の規定に違反して、他人に企業価値担保権に関する信託業務を営ませたとき。
第二百五十五条 次に掲げる者(法人を除く。)が、第百十八条第一項又は第二項の規定による報告を拒み、又は虚偽の報告をしたときは、三年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第百十八条第一項各号に掲げる者
二 第百十八条第二項各号に掲げる者
2 前項各号に掲げる者の代表者、代理人、使用人その他の従業者(次項第二号及び第四項において「代表者等」という。)が、当該各号に掲げる者の業務に関し、第百十八条第一項又は第二項の規定による報告を拒み、又は虚偽の報告をしたときも、前項と同様とする。
3 次に掲げる者が、その債務者の業務に関し、第百十八条第一項の規定による検査を拒んだときも、第一項と同様とする。
一 第百十八条第一項各号に掲げる者(法人を除く。)
二 第百十八条第一項各号に掲げる者の代表者等
4 債務者の子会社の代表者等が、その債務者の子会社の業務に関し、第百十八条第三項の規定による報告若しくは検査を拒み、又は虚偽の報告をしたときも、第一項と同様とする。
第二百五十六条 偽計又は威力を用いて、管財人又は管財人代理の職務を妨害したときは、当該違反行為をした者は、三年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第二百五十七条 管財人又は管財人代理が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、三年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 管財人又は管財人代理が、その職務に関し、不正の請託を受けて、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
3 管財人が法人である場合において、管財人の職務を行うその役員又は職員が、その管財人の職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、三年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。管財人が法人である場合において、その役員又は職員が、その管財人の職務に関し、管財人に賄賂を収受させ、又はその供与の要求若しくは約束をしたときも、同様とする。
4 前項に規定するその役員又は職員が、その管財人の職務に関し、不正の請託を受けて、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。同項に規定するその役員又は職員が、その管財人の職務に関し、不正の請託を受けて、管財人に賄賂を収受させ、又はその供与の要求若しくは約束をしたときも、同様とする。
5 前各項の場合において、犯人又は法人である管財人が収受した賄賂は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。
第二百五十八条 前条第一項又は第三項に規定する賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をしたときは、当該違反行為をした者は、三年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 前条第二項又は第四項に規定する賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をしたときは、当該違反行為をした者は、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第二百五十九条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、一年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第四十条第一項において準用する信託業法第二十四条第一項の規定に違反して、同項第一号、第三号又は第四号に掲げる行為をしたとき。
二 第四十条第一項において準用する信託業法第二十九条第二項の規定に違反して、同項各号に掲げる取引をしたとき。
三 第五十七条において準用する信託業法(以下この章において「準用信託業法」という。)第八十五条の三第一項の規定による指定申請書又は同条第二項の規定によりこれに添付すべき書類若しくは電磁的記録に虚偽の記載又は記録をしてこれらを提出したとき。
四 準用信託業法第八十五条の九の規定に違反して、同条に規定する暴力団員等を紛争解決等業務に従事させ、又は紛争解決等業務の補助者として使用したとき。
五 準用信託業法第八十五条の二十第一項の規定による報告書を提出せず、又は虚偽の記載をした報告書を提出したとき。
六 準用信託業法第八十五条の二十一第一項若しくは第二項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、若しくは虚偽の報告若しくは資料の提出をし、又はこれらの規定による当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくはこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
七 準用信託業法第八十五条の二十二第一項の規定による命令に違反したとき。
第二百六十条 指定紛争解決機関の紛争解決委員(準用信託業法第八十五条の四第一項に規定する紛争解決委員をいう。)若しくは役員若しくは職員又はこれらの職にあった者が、同項の規定に違反して、その職務に関して知り得た秘密を漏らし、又は自己の利益のために使用したときは、一年以下の拘禁刑若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第二百六十一条 第四十条第一項において準用する信託業法第二十九条第三項の規定に違反して、同項の規定による情報の提供をせず、又は虚偽の情報の提供をしたときは、当該違反行為をした者は、六月以下の拘禁刑若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第二百六十二条 準用信託業法第八十五条の十一若しくは第八十五条の十三第九項の規定による記録の作成若しくは保存をせず、又は虚偽の記録を作成したときは、当該違反行為をした者は、百万円以下の罰金に処する。
第二百六十三条 準用信託業法第八十五条の二十三第一項の認可を受けないで紛争解決等業務の全部若しくは一部の休止又は廃止をしたときは、当該違反行為をした者は、五十万円以下の罰金に処する。
第二百六十四条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 準用信託業法第八十五条の八第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
二 準用信託業法第八十五条の十八第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
三 準用信託業法第八十五条の十九の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
四 準用信託業法第八十五条の二十三第二項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
五 準用信託業法第八十五条の二十三第三項の規定による通知をせず、又は虚偽の通知をしたとき。
六 準用信託業法第八十五条の二十四第三項の規定による通知をせず、又は虚偽の通知をしたとき。
七 第二百四十九条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
第二百六十五条 第二百五十六条及び第二百五十八条の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第二条の例に従う。
2 第二百五十三条及び第二百五十七条の罪は、刑法第四条の例に従う。
第二百六十六条 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
一 第二百五十九条(第一号、第二号及び第四号を除く。) 二億円以下の罰金刑
二 第二百五十四条、第二百五十九条第一号、第二号若しくは第四号又は第二百六十条から第二百六十四条まで 各本条の罰金刑
2 前項の規定により法人でない団体を処罰する場合には、その代表者又は管理人がその訴訟行為につきその団体を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。
3 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、第二百五十五条(第一項を除く。)、第二百五十六条又は第二百五十八条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
第二百六十七条 次の各号のいずれかに該当する場合には、第六条第二項に規定する企業価値担保権信託会社の業務を執行する社員、取締役、執行役、清算人又は破産管財人を百万円以下の過料に処する。
一 第三十七条の規定に違反して、企業価値担保権に関する信託業務に着手したとき。
二 第三十八条又は第四十四条第一項、第二項(第二号を除く。)若しくは第四項の規定による届出をしなかったとき。
三 第三十九条第五項の規定に違反して、他の業務を営んだとき。
四 第四十四条第三項の規定による公告をせず、又は虚偽の公告をしたとき。
五 第四十五条第一項(第五十四条第三項において準用する場合を含む。次号において同じ。)の規定による報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をしたとき。
六 第四十五条第一項、第五十三条第二項若しくは第六十九条第二項の規定による当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、又はこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
七 第四十六条又は第四十七条の規定による命令に違反したとき。
八 第六十二条第一項第一号若しくは第四号の規定による金銭の給付をせず、又は同項第三号の規定による手数料の納付若しくは費用の予納を行わないとき。
2 第四十四条第二項第二号に定める者が、同項(同号に係る部分に限る。)の規定による届出をしなかったときも、前項と同様とする。
第二百六十八条 準用信託業法第八十五条の十六の規定に違反した者は、百万円以下の過料に処する。
第二百六十九条 準用信託業法第八十五条の十七の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して二年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 附則第四十八条の規定 公布の日
二 附則第九条から第二十五条までの規定 民事関係手続等における情報通信技術の活用等の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(令和五年法律第五十三号)の施行の日(以下「整備法施行日」という。)
(実行手続の電子化等に伴う経過措置)
第二条 この法律の施行の日(次条において「施行日」という。)から整備法施行日の前日までの間は、第七十七条、第七十八条、第八十条第六項、第八十一条第一項及び第百三十七条第三項の規定は適用せず、次の表の上欄に掲げる規定の適用については、これらの規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。
第七十六条第一項 |
含む。次条第一項において同じ |
含む |
第七十六条第二項 |
謄写又は |
謄写、 |
|
交付 |
交付又は事件に関する事項の証明書の交付 |
第七十九条 |
前三条 |
第七十六条 |
第九十一条第一項 |
第一号の申立て又は第二号の文書(同号ハにあっては、文書又は電磁的記録) |
次に掲げる文書 |
第九十一条第一項第一号 |
がされた債務者についての実行手続の停止の申立て |
に関する登記事項証明書 |
第九十一条第一項第二号 |
文書(ハにあっては、文書又は電磁的記録) |
文書 |
第九十一条第一項第二号ハ |
謄本(公文書が電磁的記録をもって作成されている場合にあっては、当該電磁的記録に記録されている事項の全部を記録した電磁的記録) |
謄本 |
|
記載又は記録をした |
記載した |
第九十一条第二項 |
の申立て又は同項第二号イ |
又は第二号イ |
|
掲げる文書若しくは電磁的記録 |
掲げる文書 |
第百三十七条第一項 |
最高裁判所規則で定めるところにより、電子配当債権者表(配当債権の調査の対象及び結果を明らかにするとともに、確定した配当債権に関する事項を明らかにするために裁判所書記官が作成する電磁的記録をいう。以下同じ。) |
配当債権者表 |
第百三十七条第二項 |
電子配当債権者表 |
前項の配当債権者表 |
|
記録しなければ |
記載しなければ |
第百三十七条第四項 |
電子配当債権者表(前項の規定によりファイルに記録されたものに限る。附則第二十一条第一項を除き、以下同じ。)の内容 |
配当債権者表の記載 |
第百三十七条第五項 |
をファイルに記録して |
の書面を作成して |
第百四十条第三項 |
電子裁判書(第八十一条第一項において準用する民事訴訟法(以下この項において「準用民事訴訟法」という。)第百二十二条において準用する民事訴訟法第二百五十二条第一項の規定により作成された電磁的記録であって、準用民事訴訟法第百二十二条において準用する民事訴訟法第二百五十三条第二項の規定によりファイルに記録されたものをいう。以下同じ。) |
裁判書 |
第百四十一条第五項 |
電子裁判書 |
裁判書 |
第百四十三条第三項 |
は、最高裁判所規則で定めるところにより |
は、 |
|
電子配当債権者表に記録しなければ |
配当債権者表に記載しなければ |
第百四十三条第四項 |
電子配当債権者表の記録 |
配当債権者表の記載 |
第百四十四条第五項及び第百四十七条第六項 |
電子裁判書 |
裁判書 |
第百四十九条 |
電子配当債権者表に記録されている |
配当債権者表に記載されている |
第百五十二条 |
には、最高裁判所規則で定めるところにより |
には |
|
電子配当債権者表に記録しなければ |
配当債権者表に記載しなければ |
第百六十三条第五項 |
電子裁判書 |
裁判書 |
第百六十四条第三項 |
記載した報告書を裁判所に提出しなければならない。この場合においては、裁判所書記官は、最高裁判所規則で定めるところにより、当該報告書に記載された金額を電子配当債権者表に記録しなければ |
配当債権者表に記載しなければ |
第百七十四条第一号 |
電子配当債権者表 |
配当債権者表 |
第百七十五条第三項 |
第七十七条第一項 |
第七十六条第一項 |
|
電子裁判書 |
裁判書 |
第百七十五条第五項、第百八十九条第二項及び第三項並びに第百九十条第二項及び第三項 |
電子裁判書 |
裁判書 |
第百九十二条第一項 |
電子配当債権者表の記録 |
配当債権者表の記載 |
第二百六条第四項 |
電子裁判書 |
裁判書 |
第三条 施行日から整備法施行日の前日までの間の実行手続(第七十条第一項に規定する実行手続をいう。以下同じ。)における期日の呼出し、公示送達、申立てその他の申述、裁判書の作成及び送達並びに民事訴訟法の準用については、次条から附則第八条までの規定を適用する。
(期日の呼出し)
第四条 実行手続における期日の呼出しは、呼出状の送達、当該事件について出頭した者に対する期日の告知その他相当と認める方法によってする。
2 呼出状の送達及び当該事件について出頭した者に対する期日の告知以外の方法による期日の呼出しをしたときは、期日に出頭しない者に対し、法律上の制裁その他期日の不遵守による不利益を帰することができない。ただし、その者が期日の呼出しを受けた旨を記載した書面を提出したときは、この限りでない。
(公示送達の方法)
第五条 実行手続における公示送達は、裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨を裁判所の掲示場に掲示してする。
(電子情報処理組織による申立て等)
第六条 実行手続における申立てその他の申述(以下この条において「申立て等」という。)のうち、当該申立て等に関するこの法律その他の法令の規定により書面等(書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。次項及び第四項において同じ。)をもってするものとされているものであって、最高裁判所の定める裁判所に対してするもの(当該裁判所の裁判長、受命裁判官、受託裁判官又は裁判所書記官に対してするものを含む。)については、当該法令の規定にかかわらず、最高裁判所規則で定めるところにより、電子情報処理組織(裁判所の使用に係る電子計算機と申立て等をする者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を用いてすることができる。
2 前項の規定によりされた申立て等については、当該申立て等を書面等をもってするものとして規定した申立て等に関する法令の規定に規定する書面等をもってされたものとみなして、当該申立て等に関する法令の規定を適用する。
3 第一項の規定によりされた申立て等は、同項の裁判所の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に、当該裁判所に到達したものとみなす。
4 第一項の場合において、当該申立て等に関する他の法令の規定により署名等(署名、記名、押印その他氏名又は名称を書面等に記載することをいう。以下この項において同じ。)をすることとされているものについては、当該申立て等をする者は、当該法令の規定にかかわらず、当該署名等に代えて、最高裁判所規則で定めるところにより、氏名又は名称を明らかにする措置を講じなければならない。
5 第一項の規定によりされた申立て等が第三項に規定するファイルに記録されたときは、第一項の裁判所は、当該ファイルに記録された情報の内容を書面に出力しなければならない。
6 第一項の規定によりされた申立て等に係るこの法律その他の法令の規定による事件に関する文書等の閲覧若しくは謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付は、前項の書面をもってするものとする。当該申立て等に係る書類の送達又は送付も、同様とする。
(裁判書)
第七条 実行手続に関する裁判の裁判書を作成する場合には、当該裁判書には、当該裁判に係る主文、当事者及び法定代理人並びに裁判所を記載しなければならない。
2 前項の裁判書を送達する場合には、当該送達は、当該裁判書の正本によってする。
(民事訴訟法の準用)
第八条 特別の定めがある場合を除き、実行手続について、その性質に反しない限り、民事訴訟法第一編から第四編までの規定(同法第七十一条第二項、第九十一条の二、第九十二条第九項及び第十項、第九十二条の二第二項、第九十四条、第百条第二項、第一編第五章第四節第三款、第百十一条、同編第七章、第百三十三条の二第五項及び第六項、第百三十三条の三第二項、第百五十一条第三項、第百六十条第二項、第百八十五条第三項、第二百五条第二項、第二百十五条第二項、第二百二十七条第二項並びに第二百三十二条の二の規定を除く。)を準用する。この場合において、次の表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。
第百十二条第一項本文 |
前条の規定による措置を開始した |
裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨の裁判所の掲示場への掲示を始めた |
第百十二条第一項ただし書 |
前条の規定による措置を開始した |
当該掲示を始めた |
第百十三条 |
書類又は電磁的記録 |
書類 |
|
記載又は記録 |
記載 |
|
第百十一条の規定による措置を開始した |
裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨の裁判所の掲示場への掲示を始めた |
第百三十三条の三第一項 |
記載され、又は記録された書面又は電磁的記録 |
記載された書面 |
|
当該書面又は電磁的記録 |
当該書面 |
|
第百条 |
第百条第一項 |
|
又は電磁的記録その他これに類する書面又は電磁的記録 |
その他これに類する書面 |
第百五十一条第二項 |
方法又は最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用する方法 |
方法 |
第百六十条第一項 |
、最高裁判所規則で定めるところにより、電子調書(期日又は期日外における手続の方式、内容及び経過等の記録及び公証をするためにこの法律その他の法令の規定により裁判所書記官が作成する電磁的記録をいう。以下同じ。) |
調書 |
第百六十条第三項 |
前項の規定によりファイルに記録された電子調書の内容に |
調書の記載について |
第百六十条第四項 |
第二項の規定によりファイルに記録された電子調書 |
調書 |
第百六十条第四項ただし書 |
電子調書 |
調書 |
第百六十条の二第一項 |
前条第二項の規定によりファイルに記録された電子調書の内容 |
調書の記載 |
第百六十条の二第二項 |
その旨をファイルに記録して |
調書を作成して |
第二百五条第三項 |
事項又は前項の規定によりファイルに記録された事項若しくは同項の記録媒体に記録された事項 |
事項 |
第二百十五条第四項 |
事項又は第二項の規定によりファイルに記録された事項若しくは同項の記録媒体に記録された事項 |
事項 |
第二百三十一条の二第二項 |
方法又は最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用する方法 |
方法 |
第二百三十一条の三第二項 |
若しくは送付し、又は最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用する |
又は送付する |
第二百六十一条第四項 |
電子調書 |
調書 |
|
記録しなければ |
記載しなければ |
(手続費用額の確定手続に関する経過措置)
第九条 整備法施行日以後に第八十一条第一項において準用する民事訴訟法(以下「準用民事訴訟法」という。)第七十一条第二項の規定は、整備法施行日以後に開始される第七十条第二項に規定する執行事件(以下「整備法施行後執行事件」という。)における実行手続の費用の負担の額を定める申立てについて、適用する。
(期日の呼出しに関する経過措置)
第十条 準用民事訴訟法第九十四条の規定は、整備法施行後執行事件における期日の呼出しについて適用し、整備法施行日前に開始された第七十条第二項に規定する執行事件(以下「整備法施行前執行事件」という。)における期日の呼出しについては、なお従前の例による。
(送達報告書に関する経過措置)
第十一条 準用民事訴訟法第百条第二項の規定は、整備法施行後執行事件における送達報告書の提出について、適用する。
(公示送達の方法に関する経過措置)
第十二条 準用民事訴訟法第百十一条から第百十三条までの規定は、整備法施行後執行事件における公示送達について適用し、整備法施行前執行事件における公示送達については、なお従前の例による。
(電子裁判書の作成に関する経過措置)
第十三条 準用民事訴訟法第百二十二条において準用する民事訴訟法第二百五十二条及び第二百五十三条の規定は、整備法施行後執行事件における電子裁判書の作成について適用し、整備法施行前執行事件における裁判書の作成については、なお従前の例による。
(電子情報処理組織による申立て等に関する経過措置)
第十四条 準用民事訴訟法第一編第七章の規定は、整備法施行後執行事件における準用民事訴訟法第百三十二条の十第一項に規定する申立て等について適用し、整備法施行前執行事件における附則第六条第一項に規定する申立て等については、同条の規定は、整備法施行日以後も、なおその効力を有する。
(釈明処分による電磁的記録の提出に関する経過措置)
第十五条 準用民事訴訟法第百五十一条第二項の規定は、整備法施行後執行事件における釈明処分による電磁的記録の提出について適用し、整備法施行前執行事件における釈明処分による電磁的記録の提出については、なお従前の例による。
(口頭弁論調書に関する経過措置)
第十六条 準用民事訴訟法第百六十条の規定は、整備法施行後執行事件における口頭弁論調書の作成、記録及び口頭弁論の方式に関する規定の遵守に係る証明について適用し、整備法施行前執行事件における口頭弁論調書の作成、記載及び口頭弁論の方式に関する規定の遵守に係る証明については、なお従前の例による。
2 準用民事訴訟法第百六十条の二の規定は、整備法施行後執行事件における口頭弁論調書の更正について適用し、整備法施行前執行事件における口頭弁論調書の更正については、なお従前の例による。
(尋問に代わる書面の提出等に関する経過措置)
第十七条 準用民事訴訟法第二百五条第二項及び第二百十五条第二項(準用民事訴訟法第二百十八条第一項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定は、整備法施行後執行事件における準用民事訴訟法第二百五条第二項の提出及び準用民事訴訟法第二百十五条第二項の意見の陳述について、適用する。
(電磁的記録に記録された情報の内容に係る証拠調べに関する経過措置)
第十八条 準用民事訴訟法第二百三十一条の二第二項及び第二百三十一条の三第二項の規定は、整備法施行後執行事件における電磁的記録に記録された情報の内容に係る証拠調べについて適用し、整備法施行前執行事件における電磁的記録に記録された情報の内容に係る証拠調べについては、なお従前の例による。
(申立ての取下げが口頭でされた場合における期日の電子調書の記録に関する経過措置)
第十九条 準用民事訴訟法第二百六十一条第四項の規定は、整備法施行後執行事件における申立ての取下げが口頭でされた場合における期日の準用民事訴訟法第百六十条第一項に規定する電子調書の記録について適用し、整備法施行前執行事件における申立ての取下げが口頭でされた場合における期日の調書の記載については、なお従前の例による。
(事件に関する事項の証明に関する経過措置)
第二十条 第七十八条の規定は、整備法施行後執行事件に関する事項の証明について適用し、整備法施行前執行事件に関する事項の証明については、なお従前の例による。
(電子配当債権者表の作成等に関する経過措置)
第二十一条 第百三十七条、第百四十三条第三項(第百五十六条第五項において準用する場合を含む。)及び第四項、第百五十二条(第百五十六条第五項において準用する場合を含む。)並びに第百九十二条第一項の規定は、整備法施行後執行事件における電子配当債権者表の作成、記録及び更正の処分について適用し、整備法施行前執行事件における配当債権者表の作成、記載及び更正の処分については、なお従前の例による。
2 第百四十九条(第百五十条第三項及び第百五十六条第五項において準用する場合を含む。)の規定は、整備法施行後執行事件における配当債権(第七十条第十三項に規定する配当債権をいう。以下この項において同じ。)に関する査定の手続又は訴訟手続における主張の制限について適用し、整備法施行前執行事件における配当債権に関する査定の手続又は訴訟手続における主張の制限については、なお従前の例による。
(電子裁判書の送達に関する経過措置)
第二十二条 第百四十条第三項、第百四十一条第五項、第百四十四条第五項、第百四十七条第六項、第百六十三条第五項、第百八十九条第二項及び第三項、第百九十条第二項及び第三項並びに第二百六条第四項の規定は、整備法施行後執行事件における電子裁判書の送達について適用し、整備法施行前執行事件における裁判書の送達については、なお従前の例による。
(配当の実施に関する経過措置)
第二十三条 第百六十四条第三項の規定は、整備法施行後執行事件における配当について適用し、整備法施行前執行事件における配当については、なお従前の例による。
(配当表の更正に関する経過措置)
第二十四条 第百七十四条(第一号に係る部分に限り、第百七十九条及び第百八十三条第三項において準用する場合を含む。)の規定は、整備法施行後執行事件における配当表の更正について適用し、整備法施行前執行事件における配当表の更正については、なお従前の例による。
(配当表に対する異議の申立てについての裁判に関する経過措置)
第二十五条 第百七十五条第三項及び第五項(これらの規定を第百八十三条第三項において準用する場合を含む。)の規定は、整備法施行後執行事件における配当表に対する異議の申立てについての裁判について適用し、整備法施行前執行事件における配当表に対する異議の申立てについての裁判については、なお従前の例による。
(登記に関する経過措置)
第二十六条 不動産登記法附則第六条の規定は、第二百二十三条において準用する同法(次項において「準用不動産登記法」という。)の規定の適用について準用する。この場合において、不動産登記法附則第六条第三項の表第二十二条ただし書の項中「提供する」とあるのは「提供することができないことにつき正当な理由がある場合であって、政令で定めるところにより登記識別情報の提供」と、「提出する」とあるのは「提出することができないことにつき正当な理由がある場合であって、政令で定めるところにより登記済証の提出」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
2 前項において準用する不動産登記法附則第六条第一項の規定による指定を受けた登記手続において、同項の規定による指定がされた後、同条第三項の規定により読み替えて適用される準用不動産登記法第二十一条の規定により交付された登記済証を提出して登記の申請がされたときは、準用不動産登記法第二条第十四号に規定する登記識別情報が提供されたものとみなして、準用不動産登記法第二十二条本文の規定を適用する。
(公有水面埋立法の一部改正)
第二十七条 公有水面埋立法(大正十年法律第五十七号)の一部を次のように改正する。
第二十七条第一項第二号中「又ハ企業担保権」を「、企業担保権ノ実行又ハ企業価値担保権」に改める。
(健康保険法の一部改正)
第二十八条 健康保険法(大正十一年法律第七十号)の一部を次のように改正する。
第百七十二条中「すべて」を「全て」に改め、同条第一号中ホをヘとし、ニの次に次のように加える。
ホ 企業価値担保権の実行手続の開始があったとき。
(船員保険法の一部改正)
第二十九条 船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)の一部を次のように改正する。
第百三十一条第一項中「すべて」を「全て」に改め、同項第一号中ホをヘとし、ニの次に次のように加える。
ホ 企業価値担保権の実行手続の開始があったとき。
(農業協同組合法の一部改正)
第三十条 農業協同組合法の一部を次のように改正する。
第七十条の三第五項中「並びに民法第三百九十八条の十」を「、民法第三百九十八条の十並びに事業性融資の推進等に関する法律(令和六年法律第▼▼▼号)第二十六条第一項」に改める。
(金融商品取引法の一部改正)
第三十一条 金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)の一部を次のように改正する。
第二十九条の四第一項第一号ハ中「資金決済に関する法律」の下に「、事業性融資の推進等に関する法律(令和六年法律第▼▼▼号)」を加える。
第三十三条の五第一項第二号中「資金決済に関する法律」の下に「、事業性融資の推進等に関する法律」を加える。
(医療法及び国民年金法の一部改正)
第三十二条 次に掲げる法律の規定中「及び第二項」の下に「並びに事業性融資の推進等に関する法律(令和六年法律第▼▼▼号)第二十六条第一項」を加え、「同法」を「民法」に改める。
一 医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第六十二条の二
二 国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第百三十七条の三の十四
(地方税法の一部改正)
第三十三条 地方税法の一部を次のように改正する。
第十三条の二第一項第一号中「実行手続」の下に「、企業価値担保権の実行手続」を加える。
第十四条の三及び第十四条の四中「第十四条の十一まで」の下に「、第十四条の十二の二第一項」を加える。
第十四条の十二の次に次の一条を加える。
(法定納期限等以前に設定された企業価値担保権の優先等)
第十四条の十二の二 納税者又は特別徴収義務者が地方団体の徴収金の法定納期限等以前にその財産上に企業価値担保権を設定しているときは、その地方団体の徴収金は、その換価代金につき、その企業価値担保権により担保される債権に次いで徴収する。
2 前項の規定に基づき地方団体の徴収金に先立つ企業価値担保権により担保される事業性融資の推進等に関する法律(令和六年法律第▼▼▼号)第六条第四項に規定する特定被担保債権の元本の金額は、その企業価値担保権者がその地方団体の徴収金に係る差押え又は交付要求の通知を受けた時における債権額を限度とする。ただし、その地方団体の徴収金に優先する他の債権を有する者の権利を害することとなるときは、この限りでない。
(酒税法等の一部改正)
第三十四条 次に掲げる法律の規定中「実行手続」の下に「、企業価値担保権の実行手続」を加える。
一 酒税法(昭和二十八年法律第六号)第六条の三第一項第四号
二 揮発油税法(昭和三十二年法律第五十五号)第五条第三項
三 国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第二条第十号
四 石油ガス税法(昭和四十年法律第百五十六号)第五条第三項
五 石油石炭税法(昭和五十三年法律第二十五号)第五条第三項
六 たばこ税法(昭和五十九年法律第七十二号)第六条第三項
(厚生年金保険法の一部改正)
第三十五条 厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)の一部を次のように改正する。
第八十五条中「すべて」を「全て」に改め、同条第一号中ホをヘとし、ニの次に次のように加える。
ホ 企業価値担保権の実行手続の開始があつたとき。
(国の債権の管理等に関する法律の一部改正)
第三十六条 国の債権の管理等に関する法律(昭和三十一年法律第百十四号)の一部を次のように改正する。
第十七条中第八号を第九号とし、第七号を第八号とし、第六号を第七号とし、第五号の次に次の一号を加える。
六 債務者の財産について企業価値担保権の実行手続の開始があつたこと。
(首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律等の一部改正)
第三十七条 次に掲げる法律の規定中「又は企業担保権」を「、企業担保権の実行又は企業価値担保権」に改める。
一 首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律(昭和三十三年法律第九十八号)第二十五条第一項第二号
二 新住宅市街地開発法(昭和三十八年法律第百三十四号)第三十二条第一項第三号
三 近畿圏の近郊整備区域及び都市開発区域の整備及び開発に関する法律(昭和三十九年法律第百四十五号)第三十四条第一項第二号
四 流通業務市街地の整備に関する法律(昭和四十一年法律第百十号)第三十八条第一項第三号
五 新都市基盤整備法(昭和四十七年法律第八十六号)第五十一条第一項第三号
(国税徴収法の一部改正)
第三十八条 国税徴収法の一部を次のように改正する。
第二条第十二号中「実行手続」の下に「、企業価値担保権の実行手続」を加える。
第十条中「国税の優先等)」の下に「、第十八条の二第一項(法定納期限等以前に設定された企業価値担保権の優先等)」を加える。
第十一条中「優先等)」の下に「、第十八条の二第一項(法定納期限等以前に設定された企業価値担保権の優先等)」を加え、「先だつて」を「先立つて」に改める。
第十八条の次に次の一条を加える。
(法定納期限等以前に設定された企業価値担保権の優先等)
第十八条の二 納税者が国税の法定納期限等以前にその財産上に企業価値担保権を設定しているときは、その国税は、その換価代金につき、その企業価値担保権により担保される債権に次いで徴収する。
2 前項の規定に基づき国税に先立つ企業価値担保権により担保される事業性融資の推進等に関する法律(令和六年法律第▼▼▼号)第六条第四項(定義)に規定する特定被担保債権の元本の金額は、その企業価値担保権者がその国税に係る差押え又は交付要求の通知を受けた時における債権額を限度とする。
ただし、その国税に優先する他の債権を有する者の権利を害することとなるときは、この限りでない。
(登録免許税法の一部改正)
第三十九条 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。
別表第一第六号の次に次のように加える。
六の二 企業価値担保権の登記(企業価値担保権の信託の登記を含む。) |
||
(一) 企業価値担保権の設定の登記 |
企業価値担保権の件数 |
一件につき三万円 |
(二) 企業価値担保権の移転の登記 |
企業価値担保権の件数 |
一件につき六千円 |
(三) 企業価値担保権の順位の変更の登記 |
企業価値担保権の件数 |
一件につき六千円 |
(四) 信託の登記 |
企業価値担保権の件数 |
一件につき六千円 |
(五) 付記登記、抹消された登記の回復の登記又は登記事項の更正若しくは変更の登記(これらの登記のうち(一)から(四)までに掲げるものを除く。) |
申請件数 |
一件につき六千円 |
(六) 登記の抹消 |
申請件数 |
一件につき六千円 |
別表第一第三十九号の次に次のように加える。
三十九の二 企業価値担保権に関する信託業務の免許 |
||
事業性融資の推進等に関する法律(令和六年法律第▼▼▼号)第三十二条(免許)の企業価値担保権に関する信託業務の免許 |
免許件数 |
一件につき十五万円 |
(民事訴訟費用等に関する法律の一部改正)
第四十条 民事訴訟費用等に関する法律の一部を次のように改正する。
別表第一の一一の項中「又は企業担保権」を「、企業担保権の実行の申立て又は企業価値担保権」に改め、同表の一七の項ニ中「(平成八年法律第九十五号)」の下に「、事業性融資の推進等に関する法律(令和六年法律第▼▼▼号)」を加える。
(森林組合法の一部改正)
第四十一条 森林組合法(昭和五十三年法律第三十六号)の一部を次のように改正する。
第八十八条の五第一項中「並びに民法第三百九十八条の十」を「、民法第三百九十八条の十並びに事業性融資の推進等に関する法律(令和六年法律第▼▼▼号)第二十六条第一項」に改める。
第百八条の七及び第百八条の十五中「並びに民法第三百九十八条の十」を「、民法第三百九十八条の十並びに事業性融資の推進等に関する法律第二十六条第一項」に改める。
(一般会計における債務の承継等に伴い必要な財源の確保に係る特別措置に関する法律の一部改正)
第四十二条 一般会計における債務の承継等に伴い必要な財源の確保に係る特別措置に関する法律(平成十年法律第百三十七号)の一部を次のように改正する。
第二十条第一項の表に次のように加える。
事業性融資の推進等に関する法律(令和六年法律第▼▼▼号) |
第百二十八条 |
、たばこ税 |
、たばこ税、たばこ特別税 |
(金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律の一部改正)
第四十三条 金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律(平成十二年法律第百一号)の一部を次のように改正する。
第十五条第一号ワ中「若しくは信託業法」を「、信託業法若しくは事業性融資の推進等に関する法律(令和六年法律第▼▼▼号)」に改める。
(厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法等を廃止する等の法律の一部改正)
第四十四条 厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組合制度の統合を図るための農林漁業団体職員共済組合法等を廃止する等の法律(平成十三年法律第百一号)の一部を次のように改正する。
附則第五十七条第四項中「、第三号及び」を「及びホ、第三号並びに」に改める。
(信託業法の一部改正)
第四十五条 信託業法の一部を次のように改正する。
第五条第二項第五号中「若しくは金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)第十条の規定により同法第一条第一項の認可」を「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)第十条の規定により同法第一条第一項の認可を取り消され、若しくは事業性融資の推進等に関する法律(令和六年法律第▼▼▼号)第四十七条の規定により同法第三十二条の免許」に、「若しくは金融機関の信託業務の兼営等に関する法律に」を「、金融機関の信託業務の兼営等に関する法律若しくは事業性融資の推進等に関する法律に」に改め、同項第六号中「若しくは著作権等管理事業法(平成十二年法律第百三十一号)」を「、著作権等管理事業法(平成十二年法律第百三十一号)若しくは事業性融資の推進等に関する法律」に改め、同項第八号ニ中「若しくは金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第十条の規定により同法第一条第一項の認可」を「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第十条の規定により同法第一条第一項の認可を取り消された場合、若しくは事業性融資の推進等に関する法律第四十七条の規定により同法第三十二条の免許」に、「若しくは金融機関の信託業務の兼営等に関する法律に」を「、金融機関の信託業務の兼営等に関する法律若しくは事業性融資の推進等に関する法律に」に改め、同項第十号イ中「若しくは金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第十条の規定により同法第一条第一項の認可」を「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第十条の規定により同法第一条第一項の認可を取り消され、若しくは事業性融資の推進等に関する法律第四十七条の規定により同法第三十二条の免許」に、「若しくは金融機関の信託業務の兼営等に関する法律に」を「、金融機関の信託業務の兼営等に関する法律若しくは事業性融資の推進等に関する法律に」に改める。
第十四条第二項ただし書中「第三条」の下に「若しくは事業性融資の推進等に関する法律第三十二条」を加える。
第五十三条第六項第五号中「若しくは金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第十条の規定により同法第一条第一項の認可」を「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第十条の規定により同法第一条第一項の認可を取り消され、若しくは事業性融資の推進等に関する法律第四十七条の規定により同法第三十二条の免許」に、「若しくは金融機関の信託業務の兼営等に関する法律に」を「、金融機関の信託業務の兼営等に関する法律若しくは事業性融資の推進等に関する法律に」に改める。
(民事関係手続等における情報通信技術の活用等の推進を図るための関係法律の整備に関する法律の一部改正)
第四十六条 民事関係手続等における情報通信技術の活用等の推進を図るための関係法律の整備に関する法律の一部を次のように改正する。
第八十八条のうち民事訴訟費用等に関する法律別表第一の改正規定のうち、同表の二〇の項中「又は企業担保権」を「、企業担保権の実行の申立て又は企業価値担保権」に改め、同表の四五の項ニ中「(平成八年法律第九十五号)」の下に「、事業性融資の推進等に関する法律(令和六年法律第▼▼▼号)」を加える。
(金融庁設置法の一部改正)
第四十七条 金融庁設置法(平成十年法律第百三十号)の一部を次のように改正する。
目次中「第三章 審議会等(第六条−第二十三条)」を
「 |
第三章 金融庁に置かれる機関 |
|
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第一節 審議会等(第六条−第二十三条) |
|
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第二節 特別の機関(第二十四条) |
」 |
に、「第二十四条・第二十五条」を「第二十五条・第二十六条」に改める。
第四条第一項第三号ノ中「信託事業」の下に「及び企業価値担保権に関する信託業務」を加え、同項中第三十号を第三十一号とし、第二十五号から第二十九号までを一号ずつ繰り下げ、第二十四号の次に次の一号を加える。
二十五 事業性融資(事業性融資の推進等に関する法律(令和六年法律第▼▼▼号)第二条第一項に規定する事業性融資をいう。)の推進に関すること(他省の所掌に属するものを除く。)。
「第三章 審議会等」を「第三章 金融庁に置かれる機関」に改める。
第三章中第六条の前に次の節名を付する。
第一節 審議会等
第二十五条を第二十六条とし、第二十四条を第二十五条とし、第三章に次の一節を加える。
第二節 特別の機関
(事業性融資推進本部)
第二十四条 別に法律の定めるところにより金融庁に置かれる特別の機関は、事業性融資推進本部とする。
2 事業性融資推進本部については、事業性融資の推進等に関する法律(これに基づく命令を含む。)の定めるところによる。
(政令への委任)
第四十八条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
(検討)
第四十九条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の規定の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
理 由
不動産を目的とする担保権又は個人を保証人とする保証契約等に依存した融資慣行の是正及び会社の事業に必要な資金の調達等の円滑化を図るため、事業性融資の推進等に関し、その基本理念、国の責務、基本方針の策定、企業価値担保権の設定、事業性融資推進支援業務を行う者の認定、事業性融資推進本部の設置等について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。