第二一四回
衆第二号
政治資金規正法の一部を改正する法律案
政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)の一部を次のように改正する。
第二条に次の一項を加える。
3 政治資金の収支の報告に当たつては、真実の記載をしなければならず、収支の状況を明らかにしないようにするため支出の相手方として政治団体の役職員又は構成員を記載する等政治活動の公明の確保に支障を及ぼすような記載をしてはならない。
第八条の二の次に次の一条を加える。
(渡切りの方法による支出の禁止)
第八条の二の二 政治団体の経費の支出は、当該政治団体の役職員又は構成員に対する渡切りの方法によつては、することができない。
第十九条の八の次に次の二条を加える。
(国会議員関係政治団体の代表者の異動の制限)
第十九条の八の二 国会議員関係政治団体に係る衆議院議員又は参議院議員に係る公職の候補者が、衆議院議員若しくは参議院議員に係る公職の候補者でなくなつたとき(衆議院議員又は参議院議員が当該公職の選挙に係る候補者となろうとする者でなくなつたときを含む。)又は死亡したときは、当該公職の候補者の配偶者又は三親等内の親族は、当該国会議員関係政治団体の代表者となることができない。
(国会議員関係政治団体の寄附の制限)
第十九条の八の三 国会議員関係政治団体は、次に掲げる者に対しては、寄附をすることができない。国会議員関係政治団体でなくなつた後十年を経過していない政治団体が、第一号若しくは第二号に掲げる者又は当該国会議員関係政治団体に係る衆議院議員若しくは参議院議員に係る公職の候補者であつた者に対してする寄附についても、同様とする。
一 当該国会議員関係政治団体に係る衆議院議員又は参議院議員に係る公職の候補者の配偶者及び三親等内の親族
二 前号に掲げる者であつて衆議院議員又は参議院議員に係る公職の候補者であるものに係る国会議員関係政治団体
三 当該国会議員関係政治団体に係る衆議院議員又は参議院議員であつて当該公職の選挙に係る候補者となろうとする者でなくなつたもの
第二十一条の見出し中「寄附の制限」を「寄附等の禁止」に改め、同条第一項中「並びに第二十一条の三第一項及び第二項」を「、第二十一条の三第一項及び第二項並びに第二十二条の六の三」に改め、「、政党及び政治資金団体以外の者に対しては」を削り、「政治活動に関する寄附」の下に「又は政治資金パーティーの対価の支払」を加え、同条第二項中「寄附」の下に「及び政治資金パーティーの対価の支払」を加え、同条第三項中「(政党及び政治資金団体に対するものを除く。)」を「又は政治資金パーティーの対価の支払」に改める。
第二十一条の二第二項を削る。
第二十二条第一項中「五千万円」を「千万円」に改める。
第二十二条の六に見出しとして「(本人の名義以外の名義等による寄附等の制限)」を付し、同条第一項中「政治活動に関する寄附」の下に「又は政治資金パーティーの対価の支払」を加え、同条第三項中「寄附」の下に「又は政治資金パーティーの対価の支払」を加える。
第二十二条の六の二の次に次の一条を加える。
(雇用関係の不当利用等による寄附等の制限)
第二十二条の六の三 会社、労働組合、職員団体その他の団体は、その役職員又は構成員に対し、雇用その他の関係を不当に利用して、又は政治団体の会費の額に相当する額の金銭を支払うことを約束して、政治団体の構成員となることを勧誘し、かつ、当該政治団体をして、政治活動に関する寄附又は政治資金パーティーの対価の支払をさせてはならない。
第二十二条の七の見出し中「寄附のあつせん」を「寄附のあつせん等」に改め、同条第一項中「係る寄附のあつせん」の下に「又は政治資金パーティーの対価の支払のあつせん」を、「当該寄附のあつせん」の下に「又は対価の支払のあつせん」を加え、同条第二項中「寄附のあつせん」の下に「又は政治資金パーティーの対価の支払のあつせん」を、「、寄附」の下に「又は対価の支払」を、「当該寄附」の下に「又は対価として支払われる金銭等」を加える。
第二十二条の八第四項を削り、同条第五項を同条第四項とする。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、令和八年一月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 附則第三条及び第四条の規定 公布の日
二 第十九条の八の次に二条を加える改正規定 公布の日から起算して一月を経過した日
(政治資金パーティーの対価の支払に関する経過措置)
第二条 この法律による改正後の政治資金規正法第二十一条の規定は、この法律の施行の日(以下この条において「施行日」という。)以後に開催される政治資金規正法第八条の二に規定する政治資金パーティーの対価の支払で施行日以後にされるものについて適用する。
(政令への委任)
第三条 前条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
(関係法律の整備)
第四条 この法律の施行に関し必要な罰則の規定の整備その他関係法律(この法律を含む。)の整備については、別に法律で定める。
理 由
今般の政治資金をめぐる諸問題に鑑み、政治に対する国民の信頼の回復を図るため、政党から公職の候補者に対してされる寄附の禁止及び渡切りの方法による支出の禁止等の措置を講ずることにより、いわゆる「政策活動費」を禁止するほか、会社その他の団体の政治活動に関する寄附及び政治資金パーティーの対価の支払を全面禁止するとともに、いわゆる世襲候補者が、世襲でない候補者と比較して、政治資金の面において有利となっている現状を是正し、多様な人材が国民の代表として活躍できるようにするため、国会議員に係る政治資金の親族への引継ぎを制限する等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。