衆議院

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第二一六回

衆第六号

   政治資金規正法等の一部を改正する法律案

 (政治資金規正法の一部改正)

第一条 政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)の一部を次のように改正する。

  第八条の二の次に次の一条を加える。

  (渡切りの方法による支出の禁止)

 第八条の二の二 政党又は第十九条の七第一項に規定する国会議員関係政治団体の経費の支出は、その役職員又は構成員に対する渡切りの方法によつては、することができない。

  第九条第一項第二号中「、第十二条」の下に「、第十三条の二」を加え、「及び第十二条第一項第二号」を「、第十二条第一項第二号及び第十三条の二第一項」に改める。

  第十三条の二を次のように改める。

 第十三条の二 政党の会計責任者(会計責任者の職務を補佐する者を含む。)は、当該政党の支出のうち、公開されることにより特別の支障が生じるおそれがあるためその公開の方法に工夫を必要とする安全・外交秘密関連支出、法人等業務秘密関連支出及び個人権利利益関連支出に該当する支出(以下「公開方法工夫支出」という。)については、第十二条第一項の規定による報告書に、同項第二号に掲げる事項(安全・外交秘密関連支出及び法人等業務秘密関連支出にあつてはその支出を受けた者の氏名及び住所並びに当該支出の年月日のうち日に係る部分の全部又は一部に、個人権利利益関連支出にあつては次項第三号の申出があつた事項に、それぞれ限る。)に代えて、その支出が公開方法工夫支出である旨の記載をすることができる。この場合において、当該記載をした支出については、同条第二項の規定は、適用しない。

 2 前項において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

  一 安全・外交秘密関連支出 公開されることにより国の安全、外交上の秘密その他の国の重大な利益を害するおそれがある支出

  二 法人等業務秘密関連支出 法人その他の団体(政治団体を除く。以下この号において同じ。)に対して政治上の主義又は施策に関する調査研究(次号において単に「調査研究」という。)のためにされた支出であつて、公開されることによりその支出を受けた法人その他の団体の業務に関する秘密を害するおそれがあり、かつ、当該法人その他の団体から書面でその旨の申出があつたもの

  三 個人権利利益関連支出 個人がその知識経験に基づいて必要な情報の提供又は助言をした対価としてされた調査研究のための支出であつて、公開されることによりその支出を受けた個人の権利利益を害するおそれがあり、かつ、当該個人から、書面で、当該支出について当該個人の氏名若しくは住所又は当該支出を受けた年月日のうち日に係る部分の全部又は一部が第十二条第一項の規定による報告書に記載されることを拒否する旨の申出があつたもの

 3 第十二条第一項の規定による報告書に公開方法工夫支出である旨を記載した支出については、政治資金委員会法(令和六年法律第▼▼▼号)で定めるところにより、政治資金委員会の監査を受けなければならない。

  第十六条第一項中「次項」の下に「及び第三項」を加え、同条に次の一項を加える。

 3 政党の会計責任者は、第十三条の二第二項第二号又は第三号の申出を受けた場合において、当該申出のあつた支出が公開方法工夫支出である旨を第十二条第一項の規定による報告書に記載したときは、当該申出に係る書面を、第二十条第一項の規定により当該報告書が公表された日から三年を経過する日まで保存しなければならない。

  第十七条第四項中「、第十三条」を「及び第十三条」に改め、「報告書について」の下に「、前条第三項の規定は第一項の規定による報告書に公開方法工夫支出である旨の記載をしたときについて」を加える。

  第十八条第一項中「)及び」を「)、第十六条第三項(前条第四項において準用する場合を含む。)及び」に改める。

  第十八条の二第一項中「第七条の二」の下に「、第八条の二の二」を、「第十六条第二項」の下に「及び第三項」を加える。

  第十九条の十二中「については」の下に「、第八条の二の二」を加える。

  第十九条の十六の三第一項中「みなして、」の下に「第八条の二の二及び」を加える。

  第二十四条第五号の次に次の二号を加える。

  五の二 第十六条第三項(第十七条第四項において準用する場合を含む。)の規定に違反して第十三条の二第二項第二号又は第三号の申出に係る書面を保存しない者

  五の三 第十六条第三項(第十七条第四項において準用する場合を含む。)の規定により保存すべき第十三条の二第二項第二号又は第三号の申出に係る書面に虚偽の記入をした者

  第二十五条第一項第二号中「、第十三条の二第二項」を削る。

第二条 政治資金規正法の一部を次のように改正する。

  第九条第一項第一号ヘ中「並びに当該」を「、当該」に改め、「及び年月日」の下に「並びに当該対価の支払をした者が第二十二条の八第四項において準用する第二十二条の五第一項本文に規定する者であつて同項ただし書に規定するものであるときはその旨」を加える。

  第十二条第一項第一号ト中「並びに当該」を「、当該」に改め、「年月日」の下に「並びに当該対価の支払をした者が第二十二条の八第四項において準用する第二十二条の五第一項本文に規定する者であつて同項ただし書に規定するものであるときはその旨」を加える。

  第十四条の見出し中「添付」の下に「等」を加え、同条に次の一項を加える。

 3 政党又は政治資金団体の会計責任者は、第十二条第一項の規定による報告書の提出及び第一項の規定による書面の添付については、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)第六条第一項の規定により同項に規定する電子情報処理組織を使用する方法(以下単に「電子情報処理組織を使用する方法」という。)により行うものとする。

  第十六条第二項中「第二十二条の五第二項」の下に「(第二十二条の八第四項において準用する場合を含む。)」を加える。

  第十八条の二第一項中「第十六条第二項及び第三項」を「第十六条第三項」に改め、同条第二項中「「第十八条の二第四項」と」の下に「、同条第二項中「第二十二条の五第二項(第二十二条の八第四項において準用する場合を含む。)」とあるのは「第二十二条の八第四項において準用する第二十二条の五第二項」と」を加える。

  第十九条の十五中「情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)第六条第一項の規定により同項に規定する」を削る。

  第二十条第三項中「いう」の下に「。第五項において同じ」を加え、同条に次の三項を加える。

 5 第一項の場合において、総務大臣は、総務省令で定めるところにより、第十四条第三項又は第十九条の十五の規定により電子情報処理組織を使用する方法により総務大臣又は都道府県の選挙管理委員会に提出された第十二条第一項又は第十七条第一項の規定による報告書に係るデータベース(当該報告書に記載された事項(個人寄附者等に係る事項として総務省令で定める事項を除く。)に関する情報の集合物であつて、それらの情報を電子計算機を用いて取得し、かつ、検索することができるように体系的に構成したものをいう。以下この条及び第二十条の三第三項において同じ。)を整備し、当該データベースをインターネットを通じて一般の利用に供しなければならない。

 6 データベースにおける第十二条第一項又は第十七条第一項の規定による報告書に記載された事項に関する情報の提供は、第一項後段の規定により同項後段の日までに公表される第十二条第一項の規定による報告書に係る情報にあつては当該日の属する年の十二月三十一日までに、当該報告書以外の同項又は第十七条第一項の規定による報告書に係る情報にあつては第一項の規定により当該報告書が公表された日以後遅滞なく、それぞれ開始するものとし、同項の規定によりこれらの報告書が公表された日以後三年を経過する日までの間、継続して行うものとする。

 7 都道府県の選挙管理委員会は、総務大臣の求めに応じ、第五項の規定によるデータベースの整備のために必要な事項を通知しなければならない。

  第二十条の三第三項中「第一項」の下に「又は第三項」を、「収支報告書等」の下に「又は第二十条第七項の規定により通知した事項」を加え、同項を同条第五項とし、同条第二項の次に次の二項を加える。

 3 データベースに係る第十二条第一項又は第十七条第一項の規定による報告書に記載された事項に関する情報で第二十条第六項の規定により提供が開始される前のものに係る行政機関の保有する情報の公開に関する法律第三条の規定による開示の請求があつた場合においては、当該報告書に記載された事項に関する情報の提供が開始される日前は同法第九条第一項の決定を行わない。

 4 前項に規定する開示の請求があつた場合における行政機関の保有する情報の公開に関する法律の規定の適用については、同法第十条第一項中「開示請求があった日から三十日以内」とあるのは「政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)第二十条第六項の規定により同条第五項のデータベースにおける同法第十二条第一項又は第十七条第一項の規定による報告書(次条において単に「報告書」という。)に記載された事項に関する情報の提供が開始された日から同日後三十日を経過する日までの間」と、同法第十一条中「開示請求があった日から六十日以内」とあるのは「政治資金規正法第二十条第六項の規定により同条第五項のデータベースにおける報告書に記載された事項に関する情報の提供が開始された日から同日後六十日を経過する日までの間」とする。

  第二十二条の五第一項中「もの)」の下に「(以下この条及び第二十二条の八第六項において「外国人等」という。)」を加え、「すべて」を「全て」に改め、同条第二項中「前項本文に規定する者」を「外国人等」に、「同項ただし書に規定するものは」を「前項ただし書に規定する者であるもの(以下この項及び次項において「特例上場日本法人」という。)は」に、「同項本文に規定する者であつて同項ただし書に規定するもの」を「特例上場日本法人」に改め、同条に次の一項を加える。

 3 外国人等(特例上場日本法人を除く。以下同じ。)は、外国人等であること又は特例上場日本法人でないことについて、これを偽つて政治活動に関する寄附をしてはならない。

  第二十二条の八第四項中「第二十二条の六第一項及び」を「第二十二条の五、第二十二条の六第一項及び」に改め、「おいて」の下に「、第二十二条の五第一項本文中「政治活動に関する寄附」とあり、同項ただし書中「寄附」とあり、及び同条第二項中「政治活動に関する寄附」とあるのは「政治資金パーティーの対価の支払」と、同項中「当該寄附」とあるのは「当該対価の支払」と、同条第三項中「政治活動に関する寄附」とあるのは「政治資金パーティーの対価の支払」と」を加え、同条に次の一項を加える。

 6 政治資金パーティーを開催する者は、当該政治資金パーティーの対価の支払を受けようとするときは、あらかじめ、当該対価の支払をする者に対し、外国人等から政治資金パーティーの対価の支払を受けることができない旨を書面により告知するものとする。

  第三十二条の二中「情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律第六条第一項の規定により同項に規定する」を削る。

  第三十三条の二第一項第一号中「第二十条、」を「第二十条第一項から第四項まで及び第七項、」に改める。

 (政治資金規正法の一部を改正する法律の一部改正)

第三条 政治資金規正法の一部を改正する法律(令和六年法律第六十四号)の一部を次のように改正する。

  附則第一条第一号中「から第三項まで」を削る。

  附則第三条第一項中「、第十三条の二第二項、同条第四項において読み替えて適用する第十二条第一項」を削る。

  附則第五条第四項中「及び第四項」を「、第四項及び第六項」に、「同条第二項及び」を「同条第二項中「同項に規定する報告書」とあり、及び同条第三項(第十七条第四項において準用する場合を含む。)中「当該報告書」とあるのは「住所限定報告書」と、」に改め、「「報告書」とあるのは「住所限定報告書」と」の下に「、同条第六項中「当該報告書が」とあるのは「当該報告書に係る住所限定報告書が」と、「これらの報告書」とあるのは「これらの報告書に係る住所限定報告書」と」を加える。

  附則第十三条から第十五条までを次のように改める。

 第十三条から第十五条まで 削除

  附則第十六条第一項を削り、同条第二項中「(次項において「寄附金控除の特例等」という。)」を削り、同項を同条第一項とし、同条第三項を削り、同条第四項中「前三項」を「前項」に改め、同項を同条第二項とする。

 (租税特別措置法の一部改正)

第四条 租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)の一部を次のように改正する。

  第四十一条の十八第一項中「なるもの及び」を「なるもの、」に改め、「認められるもの」の下に「及び公職の候補者(同法第三条第四項に規定する公職の候補者をいう。)が特定政党支部(同条第二項に規定する政党の支部で公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第十二条に規定する選挙区の区域又は選挙の行われる区域を単位として設けられるもののうちその代表者が当該公職の候補者であるものをいう。)に対してするもの」を加え、「(昭和二十五年法律第百号)第八十六条から」を「第八十六条から」に、「第四号ロの」を「同号ロの」に改める。

   附 則

 (施行期日)

第一条 この法律は、令和八年一月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

 一 第三条の規定並びに附則第八条及び第九条の規定 公布の日

 二 第二条の規定並びに附則第三条から第五条まで及び第七条の規定 令和九年一月一日

 (収支報告書の記載等に関する経過措置)

第二条 第一条の規定による改正後の政治資金規正法(以下この条において「第一条改正後政治資金規正法」という。)第十三条の二(第一条改正後政治資金規正法第十七条第四項において準用する場合を含む。)の規定は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)の属する年以後の年に係る第一条改正後政治資金規正法第十二条第一項の規定による報告書及び施行日から起算して一年が経過した日以後に第一条改正後政治資金規正法第十七条第一項の規定により同項の報告書を提出すべき事由が生じた場合における当該報告書並びにこれらに併せて提出すべき書面について適用する。

第三条 第二条の規定による改正後の政治資金規正法(以下「第二条改正後政治資金規正法」という。)第九条第一項第一号ヘ及び第十二条第一項第一号ト(第二条改正後政治資金規正法第十七条第一項の規定によりその例によることとされる場合を含む。)の規定は、附則第一条第二号に掲げる規定の施行の日(以下「第二号施行日」という。)以後に開催される政治資金パーティー(第二条改正後政治資金規正法第八条の二に規定する政治資金パーティーをいう。以下この条及び附則第五条において同じ。)の対価に係る収入(第二条改正後政治資金規正法第四条第一項に規定する収入をいう。以下この条において同じ。)で第二号施行日以後に収受されるものについて適用し、第二号施行日前に開催された政治資金パーティーの対価に係る収入及び第二号施行日以後に開催される政治資金パーティーの対価に係る収入で第二号施行日前に収受されたものについては、なお従前の例による。

 (データベースの整備等に関する経過措置)

第四条 第二条改正後政治資金規正法第二十条第五項から第七項までの規定は、第二条改正後政治資金規正法第十二条第一項の規定による報告書にあっては第二号施行日以後に提出すべき期間が開始する当該報告書に記載された事項に関する情報について、第二条改正後政治資金規正法第十七条第一項の規定による報告書にあっては第二号施行日から起算して一年が経過した日以後に提出すべき事由が生じた場合における当該報告書に記載された事項に関する情報について適用する。この場合において、令和十年三月三十一日までの間に第二条改正後政治資金規正法第二十条第一項の規定により公表された第二条改正後政治資金規正法第十二条第一項又は第十七条第一項の規定による報告書に係る第二条改正後政治資金規正法第二十条第六項の規定の適用については、同項中「当該日の属する年の十二月三十一日」とあるのは「令和十年四月一日」と、「第一項の規定により当該報告書が公表された日」とあるのは「同日」と、「同項の」とあるのは「第一項の」とする。

 (政治資金パーティーの対価の支払に関する経過措置)

第五条 第二条改正後政治資金規正法第二十二条の八第四項において準用する第二条改正後政治資金規正法第二十二条の五の規定及び第二条改正後政治資金規正法第二十二条の八第六項の規定は、第二号施行日以後に開催される政治資金パーティーに係る対価の支払で、第二号施行日以後に支払を受け又は支払をするものについて適用する。

 (租税特別措置法の一部改正に伴う経過措置)

第六条 第四条の規定による改正後の租税特別措置法第四十一条の十八第一項及び第二項の規定は、個人が施行日以後に支出する同条第一項に規定する政治活動に関する寄附に係る支出金について適用し、個人が施行日前に支出した第四条の規定による改正前の租税特別措置法第四十一条の十八第一項に規定する政治活動に関する寄附に係る支出金については、なお従前の例による。

 (地方自治法の一部改正)

第七条 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)の一部を次のように改正する。

  別表第一政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)の項第一号イ中「第二十条、」を「第二十条第一項から第四項まで及び第七項、」に改める。

 (政令への委任)

第八条 この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

 (政党交付金の交付停止等に関する法制上の措置)

第九条 政党助成法(平成六年法律第五号)第三条第一項の規定による政党交付金の交付の決定を受けている政党に基準日に所属する衆議院議員又は参議院議員が政治資金又は選挙に関する犯罪に係る事件に関し起訴された場合に、当該政党に対して交付すべき政党交付金のうちその起訴された衆議院議員又は参議院議員に係る議員数割(同条第二項に規定する議員数割をいう。)の額に相当する額の政党交付金の交付を停止し、当該衆議院議員又は参議院議員が当該事件に関し刑に処せられたときは当該額の政党交付金の交付をしないこととする制度を設けるものとし、このために必要な法制上の措置について、附則第一条第一号に掲げる規定の施行の日後一年以内を目途として講ずるものとする。


     理 由

 最近における政治資金をめぐる状況に鑑み、政治団体の収支報告の適正の確保及び政治資金の収支の公開制度の充実並びに政治資金の授受の規正等により政治に対する国民の信頼の回復を図るため、渡切りの方法による支出の禁止、公開方法工夫支出についての収支報告書の記載、政党本部又は政治資金団体に係る収支報告書の電子情報処理組織を使用する方法による提出の義務化、収支報告書に記載された事項の検索が可能なデータベースのインターネットによる公開、外国人等からの寄附及び政治資金パーティーの対価の授受の禁止、政党の選挙区支部に対する寄附をした場合の寄附金控除の特例等の適用除外等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。


   本案施行に要する経費

 本案施行に要する経費としては、初年度約一億円の見込みである。

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