第二一六回
参第三号
大深度地下の公共的使用に関する特別措置法の廃止に関する措置等に関する法律案
(趣旨)
第一条 この法律は、大深度地下(大深度地下の公共的使用に関する特別措置法(平成十二年法律第八十七号。以下「大深度地下使用法」という。)第二条第一項に規定する大深度地下をいう。)をはじめ地下に大規模な施設又は工作物を設置する行為が、当該行為を行う区域に係る土地の陥没等により住民の生活等に大きな影響を生ずるおそれがあるとともに当該土地の価値を減少させるおそれがあるものであることに鑑み、地下の使用に係る手続の適正化等を図るため、大深度地下使用法の廃止に関する措置その他必要な措置を定めるものとする。
(大深度地下使用法の廃止に関する措置)
第二条 大深度地下使用法は、廃止するものとし、政府は、この法律の施行後一年以内に、そのために必要な措置を講ずるものとする。
2 政府は、前項の措置を講ずるに当たっては、認可事業者(大深度地下使用法第十条の使用の認可を受けた事業者をいう。以下この項において同じ。)による施設等未供用事業区域(当該認可に係る大深度地下使用法第二条第三項に規定する事業区域のうち、大深度地下使用法の廃止の際大深度地下使用法第四条各号に掲げる事業により設置された施設又は工作物の供用が開始されていない部分をいう。以下この項において同じ。)の大深度地下使用法の廃止後における使用に関し、次に掲げる措置を講ずるものとする。
一 認可事業者が大深度地下使用法の廃止後においても施設等未供用事業区域を使用して当該認可に係る事業を施行しようとする場合には、当該認可事業者は、当該事業に係る土地の所有者等からその使用の権原を取得しなければならないものとすること。
二 前号に規定する場合において、認可事業者は、同号の権原を取得するまでの間は、施設等未供用事業区域及びその周辺における安全の確保又は環境の保全のために必要な措置以外の措置をとることができないものとすること。
3 前項各号に掲げる措置が講じられたことにより生ずる損失については、適正に補償されるものとし、政府は、このために必要な措置を講ずるものとする。
(地下を公共の利益となる事業の用に供する場合における補償金の額の算定方法の見直し)
第三条 政府は、前条の措置と併せて、地下を公共の利益となる事業の用に供する場合における補償金の額の算定方法について、当該事業による土地の価値の減少により生ずる損失についても適正に補償されることとなるよう、必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。
(大規模地下開発による災害の発生の防止等のための措置の強化等の検討)
第四条 政府は、大規模地下開発(地下に大規模な施設又は工作物を設置する行為であって、その規模等に照らして、当該行為に係る土地の陥没等による災害が発生した場合に相当数の住民等の生命及び財産に被害が生ずるおそれがあるもの又は広範囲の地域の住民等の生活環境に影響を及ぼすおそれがあるものをいう。第二号において同じ。)に関し、当該地域の住民等の生命及び財産の保護並びに生活環境の保全の観点から、次に掲げる事項について、検討を加え、その結果に基づいて必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。
一 土地の陥没等による災害の発生の防止及び地域の生活環境の保全のための措置の強化
二 事前の詳細な地質調査等の実施及びその結果の公表並びに大規模地下開発の内容等についての住民等への説明の充実
附 則
この法律は、公布の日から施行する。
理 由
大深度地下をはじめ地下に大規模な施設又は工作物を設置する行為が、当該行為を行う区域に係る土地の陥没等により住民の生活等に大きな影響を生ずるおそれがあるとともに当該土地の価値を減少させるおそれがあるものであることに鑑み、地下の使用に係る手続の適正化等を図るため、大深度地下の公共的使用に関する特別措置法の廃止に関する措置その他必要な措置を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。