第二一七回
衆第一九号
棚田地域振興法の一部を改正する法律案
棚田地域振興法(令和元年法律第四十二号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項中「機能」の下に「(第十六条の四において「棚田地域の有する多面的機能」という。)」を加え、「棚田地域における定住等(棚田地域における定住及び他の地域の住民がその住所のほか棚田地域に居所を有することをいう」を「棚田地域への移住、棚田地域における定住及び棚田地域における特定居住(他の地域に住所を有する者が定期的な滞在のため棚田地域内に居所を定める特定居住(広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律(平成十九年法律第五十二号)第二条第一項第一号ハに規定する特定居住をいう。)をいう。第十六条の二及び第十六条の三において同じ」に改める。
第六条第三項中「過疎地域持続的発展計画」の下に「、特定居住促進計画」を加え、同条第五項中「第八条第一項において」を「以下」に改める。
第十三条の次に次の一条を加える。
(農地法等による処分)
第十三条の二 国の行政機関の長又は地方公共団体の長は、指定棚田地域内の土地を認定棚田地域振興活動計画に定める用途に供するため農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)その他の法律の規定による許可その他の処分を求められたときは、当該指定棚田地域の持続的発展に資するため、当該処分が迅速に行われるよう適切な配慮をするものとする。
第十五条の見出し中「公表」の下に「等」を加え、同条に次の一項を加える。
2 国及び地方公共団体は、指定棚田地域の振興に資する事業を活用した棚田地域振興活動を促進するため、農業者、農業者の組織する団体、地域住民、特定非営利活動法人その他の棚田地域振興活動に参加する者に対し、当該事業に関する情報の提供に努めるものとする。
第十五条の次に次の二条を加える。
(農業の振興を図るための生産基盤の強化等)
第十五条の二 国及び地方公共団体は、棚田地域の特性に即した農業の振興を図るため、生産基盤の強化(災害復旧及び災害からの復興に係るものを含む。)、地域特産物の開発並びに生産、流通及び消費の増進、先端的な技術の導入並びに観光業その他の産業との連携の推進について適切な配慮をするものとする。
(鳥獣被害の防止等)
第十五条の三 国及び地方公共団体は、棚田地域における生活環境の保全、農業の振興等を図るため、鳥獣の捕獲、防護柵の設置等による鳥獣による被害の防止並びにこれらに寄与する人材の育成及び確保について適切な配慮をするものとする。
第十六条中「地方公共団体は、」の下に「前条に定めるもののほか、棚田地域の農業の振興に寄与する人材その他の」を加え、同条の次に次の四条を加える。
(生活環境等の整備)
第十六条の二 国及び地方公共団体は、棚田地域への移住、棚田地域における定住及び棚田地域における特定居住並びに棚田地域における持続可能な地域社会の維持及び形成の促進に資するため、住宅等の整備(空家の活用によるものを含む。)、棚田地域において住民が日常生活を営むために必要な環境の持続的な確保に資する地域的な共同活動への支援その他の快適な生活環境の確保を図るための施策の充実について適切な配慮をするものとする。
(移住等をしようとする者の来訪及び滞在の促進)
第十六条の三 国及び地方公共団体は、棚田地域への移住及び棚田地域における特定居住の促進を図るため、棚田地域への移住又は棚田地域における特定居住をしようとする者への情報の提供、便宜の供与その他の棚田地域への移住又は棚田地域における特定居住をしようとする者の来訪及び滞在の促進について適切な配慮をするものとする。
(都市等と棚田地域の交流の促進等)
第十六条の四 国及び地方公共団体は、棚田地域における農業、棚田地域の有する多面的機能等を含め棚田地域に対する国民の理解と関心を深めるとともに、健康的でゆとりのある生活に資するため余暇を利用した棚田地域への滞在の機会を提供する事業活動の促進その他の都市等と棚田地域との間の交流の促進等について適切な配慮をするものとする。
(棚田地域との関わりを持つ者の間における連携及び協力の確保)
第十六条の五 国及び地方公共団体は、地域における創意工夫を生かしつつ棚田地域の持続的な発展が図られるよう、年齢、性別等にかかわりなく、農業者、農業者の組織する団体、地域住民、特定非営利活動法人、特定地域づくり事業協同組合(地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する法律(令和元年法律第六十四号)第二条第三項に規定する特定地域づくり事業協同組合をいう。)、学校、事業者その他の棚田地域との関わりを持つ者の間における緊密な連携及び協力を確保することについて適切な配慮をするものとする。
附則第二項中「令和七年三月三十一日」を「令和十二年三月三十一日」に改める。
附 則
この法律は、令和七年四月一日から施行する。ただし、附則第二項の改正規定は、公布の日から施行する。
理 由
棚田地域振興法の実施の状況に鑑み、その有効期限を令和十二年三月三十一日まで延長するとともに、国及び地方公共団体の指定棚田地域の振興に資する事業に関する情報提供の努力義務に係る規定、棚田地域の特性に即した農業の振興を図るための生産基盤の強化等について配慮する規定等を設ける等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。