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第二一七回

衆第二四号

   ライドシェア事業に係る制度の導入に関する法律案

 (趣旨)

第一条 この法律は、国民、外国人観光旅客等の交通に対する基本的な需要が適切に充足されることの重要性に鑑み、ライドシェア事業に係る制度の導入に関し必要な基本的事項を定めるものとする。

 (定義)

第二条 この法律において「ライドシェア事業」とは、他人の需要に応じ、有償で、次に掲げる旅客の運送を行う事業をいう。

 一 他の者に委託して行う自家用自動車(道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)第七十八条に規定する自家用自動車をいう。以下同じ。)による旅客の運送

 二 運転者を雇用し、その者に自家用自動車を運転させて行う旅客の運送

 (ライドシェア事業に係る制度の導入)

第三条 政府は、ライドシェア事業に係る適切かつ合理的な制度を導入することにより、ライドシェア事業に係る輸送の安全を確保し、利用者の利益の保護及びその利便の増進を図るとともに、道路運送の総合的な発達を図るため、次条から第六条までに定める基本方針に基づき、ライドシェア事業に係る制度の導入のために必要な法制上の措置その他の措置を速やかに講ずるものとする。

 (ライドシェア事業への参入に関する基本方針)

第四条 ライドシェア事業への参入に関しては、次に掲げる事項を基本方針とする。

 一 ライドシェア事業に係る制度は、これを導入する地域、期間又は場合を限定しないものとすること。

 二 ライドシェア事業については、国土交通大臣の許可を受けて経営することができるようにすること。この場合において、その許可に関し、営業区域、ライドシェア事業の用に供される自家用自動車の数等の制限を条件として付さないものとなるよう、留意すること。

 三 国土交通大臣によるライドシェア事業の許可においては、その許可の申請者がライドシェア事業を自ら適確に遂行するに足りる能力を有するかどうか等を審査するものとすること。この場合において、道路運送法第三条第一号ハの一般乗用旅客自動車運送事業(次条第一項第一号において単に「一般乗用旅客自動車運送事業」という。)についての同法第四条第一項の許可を受けていることを許可の要件として定めることのないよう、留意すること。

 (ライドシェア事業の運賃及び料金並びにライドシェア事業者による運送の引受けに関する基本方針)

第五条 ライドシェア事業に係る運賃及び料金に関しては、次に掲げる事項に留意しつつ、ダイナミックプライシング(利用者の需要の増加に応じてライドシェア事業に係る運送の役務が十分に供給されるようライドシェア事業者(ライドシェア事業を経営する者をいう。以下同じ。)が適時にその運賃及び料金を設定することをいう。)が可能となるようにすることを基本方針とする。

 一 輸送の安全を確保するために必要な費用並びに一般乗用旅客自動車運送事業の運賃及び料金の水準を踏まえるものとすること。

 二 ライドシェア事業者がその運送の引受けに際し、あらかじめ、利用者に対しその運賃及び料金の額を提示しなければならないものとすること。

2 ライドシェア事業者による運送の引受けに関しては、出発地及び目的地を特定して、電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法をいう。)により行うものとすることを基本方針とする。

 (輸送の安全の確保等のための規制に関する基本方針)

第六条 輸送の安全の確保等のための規制に関しては、次に掲げる事項を基本方針とする。

 一 ライドシェア事業について、次に掲げる事項その他のライドシェア事業者に対し義務付け、又は禁止すべき事項に関する規定を設けること。

  イ 運転者の自動車の運転に関する経歴及び性犯罪等の経歴の確認

  ロ 運行管理に関する責任者の選任

  ハ ライドシェア事業の用に供される自家用自動車の定期的な点検及び整備の管理

  ニ 旅客の運送に関し生じた損害を賠償するために必要な金額を担保することができる保険契約の締結

  ホ 利用者からの相談対応に係る体制の整備

  ヘ 旅客の運送の委託に係る不当に低い料金の禁止

 二 前号に掲げるもののほか、ライドシェア事業者が法令等に違反した場合における業務改善命令、許可の取消し等に関する規定その他必要な規定を設けること。

 三 前二号に掲げる規定を設けるに当たっては、次に掲げる事項に留意すること。

  イ ライドシェア事業の用に供される自家用自動車の運転者について、道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第八十四条第二項の第二種運転免許を受けた者であることを要しないものとすること。

  ロ イに掲げるもののほか、輸送の安全を確保するための措置について、情報通信技術等を最大限に活用することを前提とし、合理的かつ適切なものにとどめるものとすること。

 (ライドシェア事業に係る運転者の多様な働き方の促進及び利用の円滑化のための措置)

第七条 政府は、ライドシェア事業の用に供される自家用自動車の運転者の多様な働き方の促進に資するよう、ライドシェア事業を経営しようとする者がライドシェア事業のうち第二条第一号に係るものを選択しやすい環境の整備のために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

2 政府は、ライドシェア事業の利用の円滑化を図るため、駅、空港等においてライドシェア事業に係る旅客を乗降させることのできる区域を定めることを支援することその他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

   附 則

 この法律は、公布の日から施行する。


     理 由

 国民、外国人観光旅客等の交通に対する基本的な需要が適切に充足されることの重要性に鑑み、ライドシェア事業に係る制度の導入に関し必要な基本的事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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