衆議院

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第二一七回

参第五号

   自殺対策基本法の一部を改正する法律案

 自殺対策基本法(平成十八年法律第八十五号)の一部を次のように改正する。

 目次中「第四章 自殺総合対策会議等(第二十三条−第二十五条)」を

第四章 協議会(第二十三条−第二十五条)

 

 

第五章 自殺総合対策会議等(第二十六条−第二十八条)

に改める。

 第二条第二項中「踏まえ」の下に「、関係機関、関係団体その他の関係者の連携と協働により」を加え、「実施され」を「推進され」に改め、同条に次の二項を加える。

6 自殺対策は、デジタル社会の進展を踏まえ、情報通信技術、人工知能関連技術等の適切な活用を図りながら展開されるようにするとともに、自殺の防止においては、インターネット等を通じて流通する自殺に関連する情報が及ぼす影響に関し適切な配慮がなされるようにするための取組の促進について特に留意されなければならない。

7 こどもに係る自殺対策は、こどもが自立した個人としてひとしく健やかに成長することができ、心身の状況、置かれている環境等にかかわらず、その権利利益の擁護が図られ、将来にわたって健康で心豊かな生活を送ることができる社会の実現を目指し、社会全体で取り組むことを基本として、行われなければならない。

 第三条の見出しを「(国の責務)」に改め、同条第一項中「次項」を「次条第一項及び第五条」に改め、同条第二項を次のように改める。

2 こどもに係る自殺対策について、内閣総理大臣、文部科学大臣及び厚生労働大臣は、その自殺の実態等を踏まえて適切かつ効果的に策定され、及び実施されるよう、相互に又は関係行政機関の長との間において緊密な連携協力を図りつつ、それぞれの所掌に係る施策を推進しなければならない。

 第三条第三項を削り、同条の次に次の一条を加える。

 (地方公共団体の責務)

第三条の二 地方公共団体は、基本理念にのっとり、自殺対策について、国と協力しつつ、当該地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

2 国は、地方公共団体に対し、前項の責務が十分に果たされるように必要な助言その他の援助を行うものとする。

 第五条を次のように改める。

 (学校の責務)

第五条 学校は、基本理念にのっとり、関係者との連携を図りつつ、こどもの自殺の防止等に取り組むよう努めるものとする。

 第六条の見出しを「(国民の理解)」に改め、同条を同条第二項とし、同条に第一項として次の一項を加える。

  国民は、生きることの包括的な支援としての自殺対策の重要性に関する理解と関心を深めるよう努めるものとする。

 第八条中「(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校をいい、幼稚園及び特別支援学校の幼稚部を除く。第十七条第一項及び第三項において同じ。)」を削る。

 第十二条中「第二十三条第二項第一号」を「第二十六条第二項第一号」に改める。

 第十七条第三項中「啓発、」の下に「及び」を加え、「啓発その他」を「啓発を行うとともに、自殺の防止等の観点から、心の健康の保持のための健康診断、保健指導等の措置のほか、精神保健に関する知識の向上その他の」に改める。

 第十八条中「環境の整備」の下に「、精神科医その他の医療従事者に対する自殺の防止等に関する研修の機会の確保」を加える。

 第十九条に次の二項を加える。

2 前項の規定により整備する体制においては、自殺をする危険性が高い者を早期に発見し、自殺の発生を回避するための適切な対処を行う上で必要な情報が、当該対処を行う関係機関及び関係団体に対し迅速かつ適切に提供されるようにするものとし、そのために必要な措置が講じられなければならない。

3 国及び地方公共団体は、自殺の防止の観点から、自殺の助長につながるような情報、物品、設備等についてその適切な管理、配慮等に関して注意を促すために必要な措置を講ずるものとする。

 第二十条中「適切な」を「適切かつ継続的な」に改める。

 第二十一条中「心理的影響」の下に「、その生活上の不安等」を加え、「適切な」を「総合的な」に改める。

 第二十五条を第二十八条とし、第二十四条を第二十七条とし、第二十三条を第二十六条とする。

 第四章を第五章とし、第三章の次に次の一章を加える。

   第四章 協議会

 (協議会の設置等)

第二十三条 地方公共団体は、第十九条及び第二十条の施策でこどもに係るものを実施するに当たっては、単独で又は共同して、学校、教育委員会、児童相談所、精神保健福祉センター(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号)第六条第一項に規定する精神保健福祉センターをいう。)、医療機関、当該地域を管轄する警察署等の関係機関、自殺対策に係る活動を行う民間の団体その他の関係者をもって構成する協議会(次項及び次条において「協議会」という。)を置くことができる。

2 前項の規定により協議会を設置する地方公共団体は、協議会において次条第一項の規定によりこどもの自殺の防止のための対処、支援等の措置に関し協議を行うときは、あらかじめ、協議会を構成する者に、当該協議を行う事項を通知するものとする。

3 前項の規定による通知を受けた者は、正当な理由がある場合を除き、当該通知に係る事項の協議に応じなければならない。

 (協議会の事務等)

第二十四条 協議会は、前条第一項に規定する施策を適切かつ効果的に実施するため、こどもの自殺の防止等について必要な情報の交換を行うとともに、必要な対処、支援等の措置に関する協議を行うものとする。

2 協議会は、前項に規定する情報の交換及び協議を行うため必要があると認めるときは、関係行政機関その他の関係者に対して、資料又は情報の提供、意見の表明、説明その他必要な協力を求めることができる。

3 内閣総理大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣その他の国の関係行政機関の長及び都道府県は、こどもの自殺の防止等に関し、協議会を構成する者の求めに応じて、必要な助言、資料の提供その他の協力を行うことができる。

4 次の各号に掲げる協議会を構成する者の区分に従い、当該各号に定める者は、正当な理由がなく、協議会の事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

 一 国又は地方公共団体の機関 当該機関の職員又は職員であった者

 二 法人 当該法人の役員若しくは職員又はこれらの者であった者

 三 前二号に掲げる者以外の者 協議会を構成する者又は当該者であった者

5 前条及び前各項に定めるもののほか、協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、協議会が定める。

 (罰則)

第二十五条 前条第四項の規定に違反した者は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。

 附則第二条を次のように改める。

 (検討)

第二条 自殺対策については、自殺に関する状況の変化、自殺対策に係る諸施策の実施の状況、自殺対策等に関する最新の知見その他社会経済情勢の変化を踏まえ、適宜、その在り方に関して検討が加えられ、その結果に基づき、必要な見直し等の措置が講ぜられるものとする。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、目次の改正規定、第十二条の改正規定、第十七条第三項の改正規定、第二十五条を第二十八条とし、第二十四条を第二十七条とし、第二十三条を第二十六条とする改正規定、第四章を第五章とし、第三章の次に一章を加える改正規定及び次項から附則第四項までの規定は、令和八年四月一日から施行する。

 (厚生労働省設置法の一部改正)

2 厚生労働省設置法(平成十一年法律第九十七号)の一部を次のように改正する。

  第十八条第二項中「及び第十六号」を「、第十六号及び第十七号の二」に改める。

 (こども家庭庁設置法の一部改正)

3 こども家庭庁設置法(令和四年法律第七十五号)の一部を次のように改正する。

  第四条第一項第十七号の次に次の一号を加える。

  十七の二 こどもに係る自殺対策に関すること(他省の所掌に属するものを除く。)。

  第四条第一項第十八号中「前二号」を「前三号」に改める。

 (学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律の一部改正)

4 学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律(令和六年法律第六十九号)の一部を次のように改正する。

  附則第十条のうち厚生労働省設置法第十八条第二項の改正規定中「及び第十六号」を「、第十六号及び第十七号の二」に、「及び第十七号」を「、第十七号及び第十九号」に改める。

  附則第十一条のうちこども家庭庁設置法第四条第一項の改正規定中「第二十九号」を「第三十号」に、「二号ずつ」を「三号ずつ」に、「第二十号」を「第二十一号」に改め、「第十八号を」の下に「第二十号とし、第十七号の二を」を加える。


     理 由

 こどもの自殺が増加している状況等に鑑み、こどもに係る自殺対策が社会全体で取り組むことを基本として行われなければならないこと等を基本理念に明記するとともに、こどもの自殺の防止等について学校の責務を明らかにするほか、基本的施策を拡充し、地方公共団体がこどもの自殺の防止等について必要な情報の交換及び協議を行う協議会を設置することができることとする等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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